訂正有価証券報告書-第53期(2019/03/01-2020/02/29)

【提出】
2023/03/24 9:11
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【項目】
156項目
(1)経営成績の概況
当連結会計年度(2019年3月1日~2020年2月29日)におけるわが国の経済は、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題、日韓関係の悪化など海外情勢の不確実性や政治リスクが懸念されましたが、堅調な企業業績や設備投資、雇用環境の改善が見られました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動の縮小などがあり、先行き不透明な状況が続いています。小売業界におきましては、業種・業態を越えた競争の激化や高齢化・人口減少によるマーケットの縮小、実質賃金の伸び悩みや将来不安による節約志向の定着などに加え、消費税率引き上げの影響などにより、依然として厳しい経営環境にあります。
このような環境のなかで、当社は、経営ビジョン「中四国くらし密着ドミナント(※)」のもと、当社グループ(当社及び連結子会社)を挙げて地域のくらしを守り、地域に貢献できる企業集団を目指し、企業スローガン「この街に、あってよかった。」の実現を図るべくお客様のくらしに密着した強固な事業基盤の構築に努めています。(※ドミナント・・・一定の地域において、占有率を高め同業他社と比較して優位性を確保する戦略)
また、中期経営計画(2018年度~2020年度)『「未来に向かってのあくなきチャレンジ」~成長のための企業文化・人材・利益体質づくり~』のもと、あらゆる課題を前向きに捉え、未来に向けてチャレンジし続ける企業文化を構築するとともに、既存事業の方向性を明確にし、安定的かつ着実な収益の拡大及び財務体質の強化を図ることで、地域のお客様から圧倒的な支持を得ることを目指しています。
これらの結果、当連結会計年度の営業収益は3,134億63百万円(前年同期比0.3%増)、営業利益は64億96百万円(前年同期比9.4%減)、経常利益は82億64百万円(前年同期比4.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は52億41百万円(前年同期比27.8%減)となりました。
また、2018年10月にイオン株式会社と締結した資本業務提携契約の内容に沿い、5月にマックスバリュ西日本株式会社の株式買付けを行いました。
なお、同期間において「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、保有する固定資産についての将来の回収可能性を検討した結果、店舗等に係る減損損失として9億97百万円計上しました。
セグメント別の状況は、次のとおりです。
(小売事業)
当社は2019年度の経営方針を『「売る力」を高め、「仕事を楽しく」する!~お客様のために、考え行動する。~』とし、「お客様視点と地域密着思考の定着」「新しい仕組みづくりと仕事改革」「人材育成と社員満足度向上」を方針として、常にお客様視点で行動できる企業文化の構築に向け、各種施策に取り組みました。
店舗では、6月にフジ北条店(愛媛県松山市)を、10月にピュアークック毘沙門台店(広島市安佐南区)をスクラップ・アンド・ビルドし、1月にフジ桜馬場店(山口県周南市)を新設しました。また広島県呉市でスーパーマーケットを展開していた株式会社三和ストアーから譲り受けた3店舗を、5月にピュアークックとしてオープンしました。既存店の活性化策として、3月にフジ・ZY高岡店(愛媛県松山市)をディスカウント業態からスーパーマーケット業態に変更し、フジ高岡店としてリニューアルしたほか、7店舗の改装を実施しました。さらに多様化する決済手段に対応し、お客様の利便性を高めるため、11月からフジ、スーパーABC、ピュアークック全店においてイオンの電子マネー「WAON」での店頭決済及び現金チャージのサービスを開始しました。
中核事業として位置付けるスーパーマーケット事業では、生鮮食品部門の差別化に注力しており、その一環として、プロセスセンターの整備・拡張を進めています。4月に四国地区向けの生鮮物流の効率化と品質向上を目的に、フジ四国生鮮センターを移転・拡張したほか、3月に精肉部門で2拠点目となるプロセスセンターを、7月に鮮魚部門のプロセスセンターを新設し、お客様のニーズに応じた高品質な商品をタイムリーかつ効率的にお届けできるようになりました。
また、「健康」ニーズに対応した「減塩」「低カロリー」、「作らない化」のニーズに対応した「簡便」「即食」「時短」、美容効果が期待できる商品など、機能性を謳った付加価値商品の展開を拡大しています。
衣料・住関連事業では、お客様のライフスタイルに応じた機能性商品や生活をより便利にする商品の提案を行うために、品揃えや売場構成の適正化を図るとともにお求めやすい価格設定とすることで、競争力の回復と収益性の改善に努めています。
ノンストアリテイル事業では、移動スーパー「おまかせくん」のサービスエリアの拡大を図っており、4店舗で新たにサービスを開始し、合計13店舗を拠点に、22台66ルートで営業を行っており、移動スーパーの売上高は前年同期比45.5%増となりました。
DVD・CD・書籍の小売及びレンタル業では、お客様にとって魅力ある店舗づくりを行うため、品揃えの強化・拡充及び接客サービスの強化に継続的に取り組んでいます。11月に行われた全国のTSUTAYA店舗の日本一を選ぶ「TSUTAYA STAFF CONFERENCE」では、これらの取り組みが評価され、TSUTAYA BOOKSTORE 重信が全国約1,400店のうちの頂点に輝きました。なお、既存店においては4店舗の改装を行ったほか、経営効率を高めるため、15店舗を事業譲渡しました。
これらの結果、小売事業の営業収益は、10月の消費税率引き上げによる消費活動の冷え込みや、暖冬による季節品の売り上げ不振などもありましたが、3,068億71百万円(前年同期比0.2%増)となりました。営業利益は、競争力強化の一環として商品価格の値下げを行ったことや、消費税率引き上げに伴う対策としてポイント付与による販売促進を強化したことにより、荒利益率が低下し、53億44百万円(前年同期比9.6%減)となりました。
(小売周辺事業)
食品製造・加工販売業では、単身世帯や共働き世帯の増加などを背景に「作らない化」が進んでいることから、「手軽さ」「時短」をコンセプトとした商品の開発を行い、ブランドの確立を図っています。また、生産能力の拡大と効率化を目指し、11月に惣菜工場の増改築を行いました。同時に自社廃棄物を活用したバイオマス発電施設も建設し、稼働を開始しました。
青果卸売業では、今年秋の完成予定で本社流通センターのスクラップ・アンド・ビルドに着手しており、コールドチェーンの確立による鮮度の向上とプロセスセンター機能の併設によるトータルオペレーションの効率化等を図ることで、今後の競争力強化と収益性の改善を目指しています。
飲食業では、新メニューの開発力及び主力商品の品質、サービスレベルの向上を図り、お客様からの信頼と支持を得られる店舗づくりに努めています。3月にはミスタードーナツいよてつ髙島屋ショップ(愛媛県松山市)を出店、既存店においては5店舗の改装を実施しました。また、経営効率を高めるため、6店舗を閉店しました。
クレジットカード事業では、「Mastercard」ブランドを搭載した新エフカクレジットカードの会員・利用拡大及び電子マネーのシェア拡大に向けた取り組みを継続的に推進しています。
総合フィットネスクラブ事業では、3月にジムスタジオ型店舗フィッタライトスタイル古川(愛媛県松山市)を新設、4月にマシンジム専門店に業態変更したフィッタジムスタイルを2店舗オープンしました。既存店においては1店舗を改装したほか、多様化する会員様のニーズにお応えできるよう、新プログラムの導入や会員様優待サービスの導入を行いました。また6月に、当社が保有する株式会社フジ・スポーツ&フィットネスの株式の10%をセントラルスポーツ株式会社に譲渡し、連携強化を図りました。
これらの結果、小売周辺事業の営業収益は、食品製造・加工販売業や飲食業が好調に推移したこともあり、358億57百万円(前年同期比1.7%増)となりました。営業利益は、人件費と投資に係る設備活動費が増加したことにより、9億61百万円(前年同期比0.6%減)となりました。
(その他)
総合ビルメンテナンス業では、「安全・安心・快適・便利」の提供と追求を目指し、総合管理体制の確立、お客様が安全・安心を体感できる保安業務の推進に取り組み、収益力の向上と事業領域の拡大を図っています。
一般旅行業では、価値の創造と収益の拡大を目指して、お客様に旅の魅力を提案する接客コンサルティング力の強化などに取り組んでいます。11月には台北―愛媛間のチャーター便を運航したほか、株式会社JTBとの連携によって、高付加価値商品、海外旅行販売が増加しましたが、国内個人旅行は苦戦が続きました。
これらの結果、その他事業の営業収益は92億21百万円(前年同期比1.1%増)、営業利益は旅行業の不振により3億90百万円(前年同期比16.6%減)となりました。
(注) セグメント別の営業収益には、売上高及び営業収入を含め、セグメント間の取引も含めています。また、記載金額には、消費税等を含めていません。
(売上及び仕入れの状況)
(1) セグメント別売上高
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年3月1日
至 2020年2月29日)
金額(百万円)前年同期比(%)
小売事業282,6660.1
小売周辺事業11,5803.8
その他1,67922.2
合計295,9250.4

(注) 1 上記金額には、消費税等を含めていません。
2 上記金額は、セグメント間の取引を消去しています。
(2) 商品部門別売上高
商品部門別当連結会計年度
(自 2019年3月1日
至 2020年2月29日)
金額(百万円)前年同期比(%)
食料品138,1890.6
衣料品19,708△4.1
日用雑貨品その他27,675△1.6
外食11,0343.3
テナント99,3171.1
合計295,9250.4

(注) 上記金額には、消費税等を含めていません。
(3) セグメント別仕入高
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年3月1日
至 2020年2月29日)
金額(百万円)前年同期比(%)
小売事業209,0710.7
小売周辺事業15,841△0.2
その他1,07135.6
合計225,9850.8

(注) 1 上記金額には、消費税等を含めていません。
2 上記金額は、セグメント間の取引を消去しています。
(2)財政状態の状況の分析
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の概況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っています。
当連結会計年度における資産の残高は、現金及び預金が10億95百万円、受取手形及び売掛金が13億35百万円、有形固定資産が23億19百万円、マックスバリュ西日本株式会社の株式買付等により投資有価証券が71億49百万円増加しましたが、一方で退職給付に係る資産が11億73百万円減少したこと等により1,717億57百万円となり、前連結会計年度末と比較し117億84百万円増加しました。
負債の残高は、長期借入金(1年内返済長期借入金含む)が51億70百万円、当連結会計年度末日が金融機関休業日により未払金が24億85百万円増加したこと等により833億67百万円となり、前連結会計年度末と比較し89億18百万円増加しました。
純資産の残高は、利益剰余金が44億75百万円増加し、一方で退職給付に係る調整累計額が11億31百万円減少したこと等により883億90百万円となり、前連結会計年度末と比較し28億65百万円増加しました。
(3)キャッシュフローの状況の分析
当連結会計年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、税金等調整前当期純利益75億32百万円に含まれる非資金項目の減価償却費60億3百万円、減損損失9億97百万円の調整、また法人税等の支払が20億76百万円あったこと等により、120億53百万円の収入(前年同期は98億53百万円の収入)となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、有形及び無形固定資産の取得(設備関係支払手形決済等を含む)による支出104億25百万円、投資有価証券の取得による支出69億85百万円、また有形固定資産の売却による収入17億72百万円あったこと等により157億78百万円の支出(前年同期は70億85百万円の支出)となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、長期借入金の返済による支出が69億79百万円、配当金の支払額が7億65百万円、また長期借入金による収入が121億50百万円あったこと等により48億20百万円の収入(前年同期は22億7百万円の支出)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は105億85百万円となり、期首から10億95百万円増加しました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
2016年2月期2017年2月期2018年2月期2019年2月期2020年2月期
自己資本比率(%)41.344.452.453.351.3
時価ベースの自己資本比率(%)45.953.353.346.435.7
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)4.03.82.12.42.4
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)18.923.941.243.363.7

(注) 1 各指標の算出方法は以下のとおりです。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
3 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
4 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象
としています。