有価証券報告書-第14期(平成31年3月1日-令和2年2月29日)

【提出】
2020/05/29 9:14
【資料】
PDFをみる
【項目】
160項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用環境は底堅く推移したものの、設備投資や輸出が弱含み企業収益に減速傾向が見られました。また、長期化する米中の貿易摩擦や英国EU離脱問題、中東情勢の緊迫化、新型コロナウイルスの感染拡大など先行きについては不透明感が高まりつつあります。
小売業界におきましては、先行きへの不安も伴い個人消費は力強さに欠け、また業態を超えた販売競争もあり、依然として厳しい経営環境にあります。
このような状況のもと、当社グループでは、新規出店については9店舗、退店については7店舗を実施しました。これにより当連結会計年度末日現在の店舗数は673店舗(DCMカーマ167店舗、DCMダイキ155店舗、DCMホーマック297店舗、DCMサンワ32店舗、DCMくろがねや22店舗)となりました。
販売面においては、冷夏や暖冬の影響により季節商品が低調となりました。また、前年の北海道胆振東部地震などの災害需要の反動減により、建築資材などが低調となりました。消費税増税により、家電・リフォーム等の高単価商品や日用消耗品に駆け込み需要がありましたが、増税後は日用消耗品を中心に反動減が見られました。DCMブランド商品については、商品開発・販促強化等に取り組んだ効果もあり好調に推移しました。
お客さまへのサービス向上を目的として、DCMグループ全店舗とDCMオンラインで利用できる共通会員サービス「マイボ」を、2019年6月1日より開始し、2020年2月末日時点で450万人のお客さまにご加入いただきました。さらにお客さまが便利に安心してお買物いただけるよう、電子マネーなどのキャッシュレス決済拡充への取組みをすすめてまいります。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して190億4千8百万円増加し、4,347億3千3百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較して72億4千0百万円増加し、2,345億1千9百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して118億8百万円増加し、2,002億1千3百万円となりました。
ロ.経営成績
営業収益は4,373億7千1百万円(前期比98.1%)、営業利益は208億3千2百万円(前期比99.1%)、経常利益は201億7百万円(前期比101.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益は137億8千3百万円(前期比112.5%)となりました。
ハ.セグメント別の状況
セグメント別の経営成績については、「第5[経理の状況]1 連結財務諸表等[セグメント情報]」をご覧ください。
ニ.主要商品部門別の状況
(園芸部門)
天候不順などにより植物苗、肥料・用土、除雪用品が低調となりました。一方、増税による駆け込み需要により園芸バリカンや刈払機などは好調となりました。DCMブランド商品は、新規開発した「水で膨らむ土のう袋」を始めとして好調に推移しました。その結果、売上高は587億9千7百万円(前年同期比95.4%)となりました。
(ホームインプルーブメント部門)
前年の地震などの災害による復旧需要の反動減により、建築資材、作業用品、防災用品などが低調となりました。品揃えを強化したDCMブランド商品の電動工具、ファン付き作業服は好調に推移しました。その結果、売上高は877億6千4百万円(前年同期比97.4%)となりました。
(ホームレジャー・ペット部門)
品揃えを強化したアウトドア用品や、増税による駆け込み需要により電動自転車などが好調となりました。一方、ペットフードやトレーニング用品は低調となりました。DCMブランド商品は、売場展開を強化したペット用おやつなどが好調に推移しました。その結果、売上高は637億8千1百万円(前年同期比98.5%)となりました。
(ハウスキーピング部門)
日用消耗品は、売上高は前年を下回りましたが、価格訴求型から提案型へ売り方の変更をすすめたことにより、売上総利益は伸長しました。天候不順により、殺虫剤やカイロなどの季節商品の販売が低調となりました。その結果、売上高は1,047億9千0百万円(前年同期比98.0%)となりました。
(ホームファニシング部門)
天候不順などにより季節商品が低調となりました。DCMブランド商品は、収納用品を中心として好調に推移しました。その結果、売上高は254億9千6百万円(前年同期比95.6%)となりました。
(ホームエレクトロニクス部門)
増税前の駆け込み需要によりリフォーム、空調機器、調理家電などが好調に推移しました。一方、前年の災害需要の反動減により、電池、ライト、カセットコンロ・ボンベなどが低調となりました。その結果、売上高は453億2千5百万円(前年同期比96.8%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益204億1千4百万円に、減価償却費118億8千1百万円、仕入債務の増加額142億5千5百万円を加算する一方、たな卸資産の増加額24億9千1百万円、法人税等の支払額81億1千5百万円を減算するなどして、367億4千9百万円の収入(前年同期は250億7千4百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、土地等有形固定資産の売却による収入53億3千6百万円の一方、新規出店や物流センター建設などの有形固定資産の取得による支出104億7千3百万円、ソフトウエアなどの無形固定資産の取得による支出19億7千3百万円などにより、53億6千9百万円の支出(前年同期は97億7千0百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入210億円の一方、短期借入金の純減151億5千万円、長期借入金の返済による支出88億9百万円、配当金支払いによる支出37億6千6百万円、自己株式の取得による支出14億4千8百万円などにより、88億4千9百万円の支出(前年同期は114億2千3百万円の支出)となりました。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ225億3千0百万円増加し、382億7千2百万円となりました。
③ 仕入及び販売の実績
当社グループ(当社、連結子会社10社及び持分法適用関連会社1社、以下同じ)は、ホームセンター事業を主たる業務としているため、生産及び受注の実績は記載しておりません。また、投資情報の有用性の観点から、連結子会社を基礎とした地域別のセグメントに代えて、事業部門別に仕入及び販売の実績を記載しております。
イ.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
事業部門当連結会計年度
(自 2019年3月1日
至 2020年2月29日)
(百万円)
前期比(%)
ホームセンター事業
園芸40,32499.8
ホームインプルーブメント55,13198.7
ホームレジャー・ペット41,67998.7
ハウスキーピング72,73596.1
ホームファニシング14,72294.8
ホームエレクトロニクス29,53391.7
その他27,249100.7
ホームセンター事業計281,37897.3
商品供給高9,678111.9
合計291,05797.8

(注)1.記載金額には消費税等は含まれておりません。
2.ホームセンター事業の部門別の主な取扱商品は、次のとおりであります。
部門取扱商品
園芸園芸用品、大型機械、農業・業務資材、屋外資材、植物他
ホームインプルーブメント作業用品、金物、工具、塗料、補修、木材、建築資材他
ホームレジャー・ペットカー用品、スポーツ、玩具、自転車、レジャー、ペット用品他
ハウスキーピング日用消耗品、文具、ダイニング・キッチン、バス・トイレタリー、
ヘルスケア・ビューティケア、食品他
ホームファニシングインテリア、寝具、家具収納他
ホームエレクトロニクス家庭電器、冷暖房、電材・照明、AV情報機器、住宅設備、エクステリア他
その他テナント植物、テナントペット、灯油、工事費、サービス料他

3.当連結会計年度より、ホームセンター事業の商品区分を一部変更したため、前年比較にあたっては、前連結会計年度分を組替えて表示をしております。
ロ.販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
事業部門当連結会計年度
(自 2019年3月1日
至 2020年2月29日)
(百万円)
前期比(%)
ホームセンター事業
園芸58,79795.4
ホームインプルーブメント87,76497.4
ホームレジャー・ペット63,78198.5
ハウスキーピング104,79098.0
ホームファニシング25,49695.6
ホームエレクトロニクス45,32596.8
その他33,008100.9
ホームセンター事業計418,96497.5
商品供給高11,036122.1
合計430,00098.0

(注)1.記載金額には消費税等は含まれておりません。
2.当連結会計年度より、ホームセンター事業の商品区分を一部変更したため、前年比較にあたっては、前連結会計年度分を組替えて表示をしております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、この連結財務諸表の作成に当たっては、合理的判断に基づき一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。また、これらの見積りについては不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態
当連結会計年度末における資産残高は、当連結会計年度末が金融機関の休日となり仕入債務等の支払いが翌期となったことなどから、資産合計は前連結会計年度末に比較して190億4千8百万円増加し、4,347億3千3百万円となりました。
負債残高は、借入金が減少した一方、当連結会計年度末が金融機関の休日となった影響により仕入債務等が増加したことなどから、負債合計は前連結会計年度末に比較して72億4千0百万円増加し、2,345億1千9百万円となりました。
純資産残高は、自己株式の取得や配当金の支払による減少の一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や新株予約権の行使による増加などから、純資産合計は前連結会計年度末に比較して118億8百万円増加し、2,002億1千3百万円となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
ロ.経営成績
(売上高)
冷夏や暖冬の影響により季節商品が低調となった他、前年の災害需要の反動減などから、売上高は4,300億0百万円(前期比98.0%)となりました。
(売上総利益)
定番商品の商品構成の見直しや、DCMブランドの売上構成比の上昇をすすめたことなどにより、(株)ケーヨーへの商品供給を除いた売上総利益率は33.6%と前期に比べ0.1ポイント改善し、売上総利益は1,413億5千0百万円(前期比98.0%)となりました。
(営業利益)
既存店の経費削減・コントロールなどにより、販売費及び一般管理費が前期に比べ24億3千0百万円減少し、営業利益は208億3千2百万円(前期比99.1%)となりました。
(経常利益)
持分法適用関連会社である㈱ケーヨーの利益改善などにより、経常利益は201億7百万円(前期比101.0%)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
固定資産売却益24億6千5百万円の計上などにより、親会社株主に帰属する当期純利益は137億8千3百万円(前期比112.5%)となりました。
ハ.中期経営計画の進捗状況
当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画(2017年度~2019年度)の達成状況については次のとおりであります。
2019年度
(2020年2月期)実績
2019年度
(2020年2月期)計画
達成状況
売上高430,000百万円460,000百万円93.5%
営業利益20,832百万円23,000百万円90.6%
営業利益率4.8%5.0%△0.2ポイント
経常利益20,107百万円22,600百万円89.0%
親会社株主に帰属する
当期純利益
13,783百万円14,000百万円98.5%
ROE7.1%7.0%+0.1ポイント

当社グループは、営業利益率、ROEを重要な指標として位置付けております。
当連結会計年度における営業利益率は4.8%(前期比±0.0ポイント)、ROEは7.1%(前期比0.5ポイント改善)となりました。
当社グループは、引き続き収益性と資本効率の向上に努めてまいります。新たに策定いたしました2023年2月期を最終年度とする中期経営計画(2020年度~2022年度)については次のとおりであります。
2019年度
(2020年2月期)実績
2022年度
(2023年2月期)計画
売上高430,000百万円433,000百万円
営業利益20,832百万円25,000百万円
営業利益率4.8%5.8%
経常利益20,107百万円24,400百万円
親会社株主に帰属する
当期純利益
13,783百万円16,400百万円
ROE7.1%7.5%

ニ.資本の財源及び資金の流動性
1)キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、367億4千9百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ116億7千5百万円収入が増加いたしました。主な増加要因は、利益改善、当連結会計年度末が金融機関の休日となったことによる仕入債務の増加などであります。一方、主な減少要因は、減価償却費の減少、法人税等の支払額の増加などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、53億6千9百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ44億1百万円支出が減少いたしました。主な要因は、有形固定資産の売却による収入の増加などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、88億4千9百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ25億7千4百万円支出が減少いたしました。主な要因は、長期借入金の返済による支出の減少によるものであります。
2)契約債務
2020年2月29日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
年度別要支払額(百万円)
契約債務合計1年以内1年超3年以内3年超5年以内5年超
短期借入金12,40012,400---
新株予約権付社債16,12116,121---
社債10,000--10,000-
長期借入金84,7036,37942,81035,514-
リース債務16,9341,1781,7462,58111,427

3)財務政策
(資金需要)
当社グループの資金需要は、営業活動については、商品販売に必要な運転資金(商品仕入、販管費等)が主な内容であります。
投資活動については、店舗の出店・修繕、生産性向上のための設備投資などが主な内容であります。加えて、企業買収及び事業等の譲受け並びに資本業務提携等(以下「M&A」といいます。)による資金需要が随時発生いたします。
(財務政策)
当社グループは、運転資金については内部資金より充当し、不足が生じた場合は短期借入金で調達を行っております。また、国内金融機関とコミットメントライン契約を締結し、流動性を補完しております。
設備投資については、営業キャッシュ・フローの範囲内で実施することを基本としておりますが、不足が生じた場合並びにM&A実行時は、長期借入金・社債等により調達を行っております。
長期借入金、社債等の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済時期等を勘案し、調達規模、調達手段を適宜判断して実施しております。
現時点では、M&Aによる規模拡大を重要視しており、機動的に対応できるよう手許資金を厚くする方針であります。平常時はグループファイナンスにより、当社グループ内での余剰資金の有効活用・有利子負債の圧縮を図っております。
株主還元については、安定した配当を維持することが重要であると考えております。安定配当をベースに1株当たり利益の増加にあわせて増配等を行ってまいりたいと考えております。自己株式については、事業計画の進捗状況、業績見通し、株価・金融市場動向等を総合的に勘案して取得を検討していく方針であります。