訂正有価証券報告書-第97期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 業績
当期のわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境に改善の動きが続く中、個人消費が持ち直すなど、全体として緩やかな回復基調が続きました。
このような状況のもと、当社グループでは各事業にわたり積極的な営業活動を行った結果、運輸業やその他の事業で増収となったことから、営業収益は5,246億6千万円と、前連結会計年度に比べ16億2千8百万円の増加(前期比0.3%増)となりました。
これに伴い、営業利益は514億6千4百万円と、前連結会計年度に比べ15億1千7百万円の増加(前期比3.0%増)、経常利益は478億9千1百万円と、前連結会計年度に比べ12億5千3百万円の増加(前期比2.7%増)となったほか、親会社株主に帰属する当期純利益は293億2千8百万円と、前連結会計年度に比べ32億6千万円の増加(前期比12.5%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
ア 運輸業
鉄道事業につきましては、輸送面において、最重要課題かつ当社グループの長年の悲願である当社線近郊区間の複々線化について、代々木上原~梅ヶ丘間の複々線への切替工事を経て、代々木上原~登戸間で複々線での営業運転を開始いたしました。これにあわせて、複々線を活用したダイヤ改正を実施し、ラッシュ時間帯の混雑緩和や所要時間の短縮、東京メトロ千代田線直通列車増発による都心部へのアクセス向上等を図りました。また、眺望性や快適性をさらに高め、環境面にも配慮した新型ロマンスカー70000形(GSE)1編成を新造したほか、ロマンスカー30000形(EXE)や通勤車両1000形のリニューアルを引き続き実施するなど、輸送サービスの向上に努めました。
営業面においては、外国人旅行客のさらなる誘致に向けて、バンコクに続き、海外2つ目の拠点となる駐在員事務所をパリに開設し、現地旅行代理店との関係性の強化等に努めたほか、新宿駅において従来の外国人旅行客向け案内所の機能を拡張し、同駅南口及び西口に小田急旅行センターを開設することで受入体制の強化を図りました。また、行楽シーズンにおける臨時列車の運行や各種キャンペーンの展開等により、箱根、江の島・鎌倉エリア等への積極的な旅客誘致に努めました。
施設面においては、列車運行の安全性を一層高めるため、新宿駅や大和駅及び多摩線の駅間の高架区間等で耐震補強工事を引き続き推進したほか、栗平駅~黒川駅間等で法面改修工事を実施いたしました。さらに、駅施設の改良に努め、新宿駅西口地下改修工事の進捗にあわせ、改札内のトイレを全面リニューアルし、授乳室や子供用トイレ等の設置により利便性を高めたほか、生花や寄木細工等を活用して安らぎの空間を提供するなど、お客さまへのサービス向上を図りました。
自動車運送事業につきましては、小田急バス㈱等において、車両の更新により輸送サービスの向上を図るとともに、当社線の新ダイヤでの運行開始にあわせて鉄道とバスの接続性を高めたダイヤ改正を実施し、利便性の向上に努めました。
以上の結果、当社の鉄道事業において雇用環境の改善等により定期の輸送人員が増加したほか、箱根エリアの観光需要が好調に推移したことなどから、営業収益は1,761億8千3百万円と、前連結会計年度に比べ33億1千9百万円の増加(前年同期比1.9%増)となりました。
一方、営業利益につきましては、当社の鉄道事業において費用が増加したことなどから、281億2千2百万円と、前連結会計年度に比べ4億7千8百万円の減少(前期比1.7%減)となりました。
(業種別営業成績表)
(提出会社の鉄道事業運輸成績表)
(注) 乗車効率の算出方法
乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)×100
イ 流通業
百貨店業につきましては、㈱小田急百貨店新宿店の食料品フロアにおいて、2016年10月の和洋菓子売場に続き、和惣菜・弁当売場及び洋・中華惣菜売場をリニューアルするなど、既存顧客の支持拡大や新規顧客の取込みを図りました。また、全店において、催事をはじめとする各種営業施策を積極的に展開するなど、収益の確保に努めました。
ストア業等につきましては、小田急商事㈱が運営するスーパーマーケット「Odakyu OX」において、秦野店が新規オープンしたほか、各店で買い回りのしやすい売場づくりや全国各地から厳選した付加価値の高い商品の提供等に努めました。また、新業態の展開にも取り組むなど事業基盤の強化及び店舗の活性化を図りました。
以上の結果、百貨店業において訪日外国人客による免税売上が増加したものの、ストア業等において、外部への株式譲渡に伴いホームセンター事業を営む㈱ビーバートザンが連結除外となったことなどから、営業収益は2,144億7千9百万円と、前連結会計年度に比べ48億6百万円の減少(前期比2.2%減)となりました。
一方、営業利益につきましては、百貨店業において費用が減少したことなどから、46億4千7百万円と、前連結会計年度に比べ14億7千2百万円の増加(前期比46.4%増)となりました。
(業種別営業成績表)
ウ 不動産業
不動産分譲業につきましては、小田急不動産㈱において、「リーフィア町田小山ヶ丘」等の戸建住宅や、「リーフィアレジデンス栗平」をはじめとするマンションを分譲するなど、収益の確保に努めました。また、住まいや暮らしに関するサービスをワンストップで提供する「小田急 住まいのプラザ」の新規出店と「ベンリー小田急」の開業により、リフォームや住替え支援、生活支援等の地域ニーズに即した商品やサービスの提供・開発を推進いたしました。
不動産賃貸業につきましては、当社において、海老名駅間地区「ⅤⅰNA
GARDENS」における飲食店中心の商業施設「TERRACE」が昨年11月に開業したほ
か、商業施設「小田急本厚木ミロード2」のリニューアルを実施するなど、施設の充実及び
活性化を図る施策を推進いたしました。
以上の結果、不動産分譲業において住宅販売戸数が増加したほか、不動産賃貸業において前期に取得した物件の賃料収入が寄与したものの、UDS㈱を不動産業からその他の事業へセグメント変更したことなどから、営業収益は685億7千8百万円と、前連結会計年度に比べ13億3千1百万円の減少(前期比1.9%減)となりました。
一方、営業利益につきましては、不動産賃貸業における増益が寄与したことなどから、125億3千8百万円と、前連結会計年度に比べ1億6千万円の増加(前期比1.3%増)となりました。
(業種別営業成績表)
なお、前連結会計年度の実績に対しUDS㈱のセグメント変更を考慮した場合、前連結会計
年度に比べ、営業収益は22億1千1百万円の増加(前期比3.3%増)、営業利益は2億6千5
百万円の増加(前期比2.2%増)となります。
エ その他の事業
ホテル業につきましては、㈱ホテル小田急が運営する「ハイアット リージェンシー 東京」において客室のリニューアルを引き続き実施したほか、㈱ホテル小田急サザンタワーが運営する「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」においてレストランのリニューアルを実施するなど、各ホテルで施設のさらなる充実を図るとともに、訪日外国人客の宿泊需要を適切に取り込み、客室稼働率・平均室料の向上に努めることで、収益の最大化を図りました。
レストラン飲食業につきましては、ジローレストランシステム㈱及び㈱小田急レストランシステムにおいて、新規業態の開発とあわせ、両社で6店舗の新規出店、12店舗の改装を実施するなど、集客力の強化を図りました。
以上の結果、UDS㈱を不動産業からその他の事業へセグメント変更したことによる影響のほか、ホテル業において、「ハイアット リージェンシー 東京」で、前期に実施した改修工事に伴う売止めによる反動があったことに加え、箱根のリゾートホテルも好調に推移したことなどから、営業収益は1,050億2千3百万円と、前連結会計年度に比べ55億1千1百万円の増加(前期比5.5%増)となりました。
これに伴い、営業利益は59億6千7百万円と、前連結会計年度に比べ3億6百万円の増加(前期比5.4%増)となりました。
(業種別営業成績表)
なお、前連結会計年度の実績に対しUDS㈱のセグメント変更を考慮した場合、前連結会
計年度に比べ、営業収益は17億8千3百万円の増加(前期比1.7%増)、営業利益は2億
1百万円の増加(前期比3.5%増)となります。
② キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益439億4千万円に減価償却費や法人税等の支払額などを加減した結果、853億9千4百万円の資金収入と、前連結会計年度
に比べ、58億9千9百万円の資金収入の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、526億8千1百万円の資金支出と、有形固定資産の取得による支出が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ、143億7千1百万円の資金
支出の減少となりました。
この結果、これらを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは327億1千2百万円の資金収
入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、80億9千9百万円の資金支出と、前連結会計年度に
比べ、123億7千4百万円の資金支出の減少となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ246億1千3
百万円増加し、439億7百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの主たる事業は、鉄道事業を中核とする運輸業、百貨店業を中核とする流通業、建物の賃貸、土地及び建物の販売を行う不動産業及びその他の事業であり、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産及び受注の実績を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
そのため生産、受注及び販売の実績については、「(1) 経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に際し、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収入・費用の金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針及び見積りには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
ア たな卸資産の評価
当社グループは、多くのたな卸資産を保有しており、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2008年9月26日)を適用しております。また、当社では複々線化事業により取得した用地を固定資産に計上しておりますが、工事が終了した区間の当該用地など分譲用と判断した土地については、たな卸資産に振り替えたうえで同様に評価しております。
イ 有価証券の減損
当社グループは、金融機関や取引先の有価証券を保有しております。これらのうち、時価のある有価証券については、時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。
これらの有価証券は価格変動リスクを負っているため、損失が発生する可能性がありま
す。
ウ 固定資産の減損
当社グループは、多くの固定資産を保有しております。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出しているため、前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。
エ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額は将来年度の課税所得の見込額等を考慮して計上しますが、将来の業績変動により課税所得の見込額が減少又は増加した場合には、評価性引当額の追加計上又は取り崩しが必要となる場合があります。
オ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。
② 財政状態及び経営成績
(財政状態)
総資産は1兆2,973億3千4百万円となり、前連結会計年度末と比べ272億3千2百万円増加
いたしました。これは、主に現金及び預金の増加によるものであります。また、負債の部は、
9,308億6千7百万円となり、前連結会計年度末と比べ、5億3千1百万円減少いたしました。
これは、主に前受金の減少によるものであります。
純資産の部は、3,664億6千6百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により
利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ277億6千3百万円増加いたしま
した。
(経営成績)
ア 営業収益及び営業利益
当連結会計年度は、各事業にわたり積極的な営業活動を行った結果、運輸業やその他の事業で増収となったことから、営業収益は5,246億6千万円と、前連結会計年度に比べ16億2千8百万円の増加(前期比0.3%増)となりました。これに伴い、営業利益は、514億6千4百万円と、前連結会計年度に比べ15億1千7百万円の増加(前期比3.0%増)となりました。なお、各セグメントの営業収益及び営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
イ 営業外損益及び経常利益
営業外損益は悪化したものの、営業利益の増加に伴い、経常利益は478億9千1百万円(前期比2.7%増)となりました。
ウ 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の特別損益は、前連結会計年度に比べて29億7千5百万円の改善となりました。これは、前期に比べ、特別利益が増加したことによるものであります。
これらの結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は439億4千万円となり、ここから法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は293億2千8百万円(前期比12.5%増)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
ア 設備投資による資本の投下
当社グループは、鉄道事業において、安全防災対策に積極的に取り組みながら、快適かつスピーディーな鉄道運行の実現に努めているほか、他の事業においても、沿線の魅力を高めることを目指して継続的な設備投資を行っております。当連結会計年度においては総額682億8千8百万円の設備投資を実施いたしました。
なお、各セグメントの設備投資等の概要については、「第3 設備の状況」の「1 設備投資等の概要」に記載しております。
イ 資金調達
当社グループの資金調達は、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債及び民間金融機関からの借入金など、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しております。
なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム
(CMS)を導入し、資金繰の波動により、短期的な資金需要が発生する場合には、極力グ
ループ内資金を活用するほか、コマーシャルペーパー(CP)の発行も行っております。
ウ 資金の流動性
当社グループは、鉄道事業や流通業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しております。
④ 経営指標
当社グループでは、連結のEBITDA・有利子負債/EBITDA倍率を目標とする経営指標として設定しているほか、ROA・ROEについても注視しております。当連結会計年度
については、以下のとおりであります。
(EBITDA・有利子負債/EBITDA倍率)
(注) 1 鉄道・運輸機構長期未払金は、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表[借入金等明細表]」における鉄道・運輸機構長期未払金の額とは異なり、上表では消費税等相当額を加えております。
2 リース債務及び社内預金は除いております。
3 EBITDAは、営業利益に減価償却費を加えたものであります。
(ROA・ROE)
(注) 総資産、自己資本からその他有価証券の時価評価による影響額を除いて算出しております。
① 業績
当期のわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境に改善の動きが続く中、個人消費が持ち直すなど、全体として緩やかな回復基調が続きました。
このような状況のもと、当社グループでは各事業にわたり積極的な営業活動を行った結果、運輸業やその他の事業で増収となったことから、営業収益は5,246億6千万円と、前連結会計年度に比べ16億2千8百万円の増加(前期比0.3%増)となりました。
これに伴い、営業利益は514億6千4百万円と、前連結会計年度に比べ15億1千7百万円の増加(前期比3.0%増)、経常利益は478億9千1百万円と、前連結会計年度に比べ12億5千3百万円の増加(前期比2.7%増)となったほか、親会社株主に帰属する当期純利益は293億2千8百万円と、前連結会計年度に比べ32億6千万円の増加(前期比12.5%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
ア 運輸業
鉄道事業につきましては、輸送面において、最重要課題かつ当社グループの長年の悲願である当社線近郊区間の複々線化について、代々木上原~梅ヶ丘間の複々線への切替工事を経て、代々木上原~登戸間で複々線での営業運転を開始いたしました。これにあわせて、複々線を活用したダイヤ改正を実施し、ラッシュ時間帯の混雑緩和や所要時間の短縮、東京メトロ千代田線直通列車増発による都心部へのアクセス向上等を図りました。また、眺望性や快適性をさらに高め、環境面にも配慮した新型ロマンスカー70000形(GSE)1編成を新造したほか、ロマンスカー30000形(EXE)や通勤車両1000形のリニューアルを引き続き実施するなど、輸送サービスの向上に努めました。
営業面においては、外国人旅行客のさらなる誘致に向けて、バンコクに続き、海外2つ目の拠点となる駐在員事務所をパリに開設し、現地旅行代理店との関係性の強化等に努めたほか、新宿駅において従来の外国人旅行客向け案内所の機能を拡張し、同駅南口及び西口に小田急旅行センターを開設することで受入体制の強化を図りました。また、行楽シーズンにおける臨時列車の運行や各種キャンペーンの展開等により、箱根、江の島・鎌倉エリア等への積極的な旅客誘致に努めました。
施設面においては、列車運行の安全性を一層高めるため、新宿駅や大和駅及び多摩線の駅間の高架区間等で耐震補強工事を引き続き推進したほか、栗平駅~黒川駅間等で法面改修工事を実施いたしました。さらに、駅施設の改良に努め、新宿駅西口地下改修工事の進捗にあわせ、改札内のトイレを全面リニューアルし、授乳室や子供用トイレ等の設置により利便性を高めたほか、生花や寄木細工等を活用して安らぎの空間を提供するなど、お客さまへのサービス向上を図りました。
自動車運送事業につきましては、小田急バス㈱等において、車両の更新により輸送サービスの向上を図るとともに、当社線の新ダイヤでの運行開始にあわせて鉄道とバスの接続性を高めたダイヤ改正を実施し、利便性の向上に努めました。
以上の結果、当社の鉄道事業において雇用環境の改善等により定期の輸送人員が増加したほか、箱根エリアの観光需要が好調に推移したことなどから、営業収益は1,761億8千3百万円と、前連結会計年度に比べ33億1千9百万円の増加(前年同期比1.9%増)となりました。
一方、営業利益につきましては、当社の鉄道事業において費用が増加したことなどから、281億2千2百万円と、前連結会計年度に比べ4億7千8百万円の減少(前期比1.7%減)となりました。
(業種別営業成績表)
業種別 | 当連結会計年度 (2017.4.1~2018.3.31) | |
営業収益(百万円) | 対前期増減率(%) | |
鉄道事業 | 133,383 | 1.3 |
自動車運送事業 | 37,938 | 2.4 |
タクシー事業 | 3,042 | △0.5 |
航路事業 | 2,429 | 12.0 |
索道業 | 2,288 | 33.2 |
その他運輸業 | 1,330 | 10.8 |
消去 | △4,229 | ― |
営業収益計 | 176,183 | 1.9 |
(提出会社の鉄道事業運輸成績表)
種別 | 単位 | 当連結会計年度 (2017.4.1~2018.3.31) | ||
対前期増減率(%) | ||||
営業日数 | 日 | 365 | 0.0 | |
営業キロ | キロ | 120.5 | 0.0 | |
客車走行キロ | 千キロ | 183,332 | 0.1 | |
定期 | 千人 | 465,889 | 0.9 | |
輸送人員 | 定期外 | 〃 | 289,439 | 0.6 |
計 | 〃 | 755,328 | 0.8 | |
定期 | 百万円 | 46,871 | 1.2 | |
旅客運輸収入 | 定期外 | 〃 | 70,451 | 0.8 |
計 | 〃 | 117,322 | 0.9 | |
運輸雑収 | 〃 | 3,895 | 6.4 | |
運輸収入合計 | 〃 | 121,217 | 1.1 | |
乗車効率 | % | 46.6 | ― |
(注) 乗車効率の算出方法
乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)×100
イ 流通業
百貨店業につきましては、㈱小田急百貨店新宿店の食料品フロアにおいて、2016年10月の和洋菓子売場に続き、和惣菜・弁当売場及び洋・中華惣菜売場をリニューアルするなど、既存顧客の支持拡大や新規顧客の取込みを図りました。また、全店において、催事をはじめとする各種営業施策を積極的に展開するなど、収益の確保に努めました。
ストア業等につきましては、小田急商事㈱が運営するスーパーマーケット「Odakyu OX」において、秦野店が新規オープンしたほか、各店で買い回りのしやすい売場づくりや全国各地から厳選した付加価値の高い商品の提供等に努めました。また、新業態の展開にも取り組むなど事業基盤の強化及び店舗の活性化を図りました。
以上の結果、百貨店業において訪日外国人客による免税売上が増加したものの、ストア業等において、外部への株式譲渡に伴いホームセンター事業を営む㈱ビーバートザンが連結除外となったことなどから、営業収益は2,144億7千9百万円と、前連結会計年度に比べ48億6百万円の減少(前期比2.2%減)となりました。
一方、営業利益につきましては、百貨店業において費用が減少したことなどから、46億4千7百万円と、前連結会計年度に比べ14億7千2百万円の増加(前期比46.4%増)となりました。
(業種別営業成績表)
業種別 | 当連結会計年度 (2017.4.1~2018.3.31) | ||
営業収益(百万円) | 対前期増減率(%) | ||
小田急百貨店新宿店 | 94,346 | 3.2 | |
小田急百貨店町田店 | 35,656 | △1.5 | |
百貨店業 | 小田急百貨店藤沢店 | 13,036 | △1.0 |
その他 | 7,490 | 0.4 | |
計 | 150,530 | 1.5 | |
ストア業等 | 71,126 | △9.1 | |
消去 | △7,178 | ― | |
営業収益計 | 214,479 | △2.2 |
ウ 不動産業
不動産分譲業につきましては、小田急不動産㈱において、「リーフィア町田小山ヶ丘」等の戸建住宅や、「リーフィアレジデンス栗平」をはじめとするマンションを分譲するなど、収益の確保に努めました。また、住まいや暮らしに関するサービスをワンストップで提供する「小田急 住まいのプラザ」の新規出店と「ベンリー小田急」の開業により、リフォームや住替え支援、生活支援等の地域ニーズに即した商品やサービスの提供・開発を推進いたしました。
不動産賃貸業につきましては、当社において、海老名駅間地区「ⅤⅰNA
GARDENS」における飲食店中心の商業施設「TERRACE」が昨年11月に開業したほ
か、商業施設「小田急本厚木ミロード2」のリニューアルを実施するなど、施設の充実及び
活性化を図る施策を推進いたしました。
以上の結果、不動産分譲業において住宅販売戸数が増加したほか、不動産賃貸業において前期に取得した物件の賃料収入が寄与したものの、UDS㈱を不動産業からその他の事業へセグメント変更したことなどから、営業収益は685億7千8百万円と、前連結会計年度に比べ13億3千1百万円の減少(前期比1.9%減)となりました。
一方、営業利益につきましては、不動産賃貸業における増益が寄与したことなどから、125億3千8百万円と、前連結会計年度に比べ1億6千万円の増加(前期比1.3%増)となりました。
(業種別営業成績表)
業種別 | 当連結会計年度 (2017.4.1~2018.3.31) | |
営業収益(百万円) | 対前期増減率(%) | |
不動産分譲業 | 32,342 | 6.8 |
不動産賃貸業 | 41,994 | 2.0 |
その他 | ― | △100.0 |
消去 | △5,758 | ― |
営業収益計 | 68,578 | △1.9 |
なお、前連結会計年度の実績に対しUDS㈱のセグメント変更を考慮した場合、前連結会計
年度に比べ、営業収益は22億1千1百万円の増加(前期比3.3%増)、営業利益は2億6千5
百万円の増加(前期比2.2%増)となります。
エ その他の事業
ホテル業につきましては、㈱ホテル小田急が運営する「ハイアット リージェンシー 東京」において客室のリニューアルを引き続き実施したほか、㈱ホテル小田急サザンタワーが運営する「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」においてレストランのリニューアルを実施するなど、各ホテルで施設のさらなる充実を図るとともに、訪日外国人客の宿泊需要を適切に取り込み、客室稼働率・平均室料の向上に努めることで、収益の最大化を図りました。
レストラン飲食業につきましては、ジローレストランシステム㈱及び㈱小田急レストランシステムにおいて、新規業態の開発とあわせ、両社で6店舗の新規出店、12店舗の改装を実施するなど、集客力の強化を図りました。
以上の結果、UDS㈱を不動産業からその他の事業へセグメント変更したことによる影響のほか、ホテル業において、「ハイアット リージェンシー 東京」で、前期に実施した改修工事に伴う売止めによる反動があったことに加え、箱根のリゾートホテルも好調に推移したことなどから、営業収益は1,050億2千3百万円と、前連結会計年度に比べ55億1千1百万円の増加(前期比5.5%増)となりました。
これに伴い、営業利益は59億6千7百万円と、前連結会計年度に比べ3億6百万円の増加(前期比5.4%増)となりました。
(業種別営業成績表)
業種別 | 当連結会計年度 (2017.4.1~2018.3.31) | ||
営業収益(百万円) | 対前期増減率(%) | ||
ハイアット リージェンシー 東京 | 11,197 | 1.5 | |
ホテルセンチュリー静岡 | 3,098 | 0.2 | |
ホテル業 | 小田急ホテルセンチュリー サザンタワー | 3,779 | 1.1 |
その他 | 12,599 | 28.3 | |
計 | 30,675 | 10.8 | |
レストラン飲食業 | 20,423 | △1.4 | |
旅行業 | 5,314 | △1.8 | |
ビル管理・メンテナンス業 | 20,875 | △2.0 | |
その他 | 33,502 | 12.2 | |
消去 | △5,768 | ― | |
営業収益計 | 105,023 | 5.5 |
なお、前連結会計年度の実績に対しUDS㈱のセグメント変更を考慮した場合、前連結会
計年度に比べ、営業収益は17億8千3百万円の増加(前期比1.7%増)、営業利益は2億
1百万円の増加(前期比3.5%増)となります。
② キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益439億4千万円に減価償却費や法人税等の支払額などを加減した結果、853億9千4百万円の資金収入と、前連結会計年度
に比べ、58億9千9百万円の資金収入の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、526億8千1百万円の資金支出と、有形固定資産の取得による支出が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ、143億7千1百万円の資金
支出の減少となりました。
この結果、これらを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは327億1千2百万円の資金収
入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、80億9千9百万円の資金支出と、前連結会計年度に
比べ、123億7千4百万円の資金支出の減少となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ246億1千3
百万円増加し、439億7百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの主たる事業は、鉄道事業を中核とする運輸業、百貨店業を中核とする流通業、建物の賃貸、土地及び建物の販売を行う不動産業及びその他の事業であり、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産及び受注の実績を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
そのため生産、受注及び販売の実績については、「(1) 経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に際し、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収入・費用の金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針及び見積りには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
ア たな卸資産の評価
当社グループは、多くのたな卸資産を保有しており、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2008年9月26日)を適用しております。また、当社では複々線化事業により取得した用地を固定資産に計上しておりますが、工事が終了した区間の当該用地など分譲用と判断した土地については、たな卸資産に振り替えたうえで同様に評価しております。
イ 有価証券の減損
当社グループは、金融機関や取引先の有価証券を保有しております。これらのうち、時価のある有価証券については、時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。
これらの有価証券は価格変動リスクを負っているため、損失が発生する可能性がありま
す。
ウ 固定資産の減損
当社グループは、多くの固定資産を保有しております。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出しているため、前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。
エ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額は将来年度の課税所得の見込額等を考慮して計上しますが、将来の業績変動により課税所得の見込額が減少又は増加した場合には、評価性引当額の追加計上又は取り崩しが必要となる場合があります。
オ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。
② 財政状態及び経営成績
(財政状態)
総資産は1兆2,973億3千4百万円となり、前連結会計年度末と比べ272億3千2百万円増加
いたしました。これは、主に現金及び預金の増加によるものであります。また、負債の部は、
9,308億6千7百万円となり、前連結会計年度末と比べ、5億3千1百万円減少いたしました。
これは、主に前受金の減少によるものであります。
純資産の部は、3,664億6千6百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により
利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ277億6千3百万円増加いたしま
した。
(経営成績)
ア 営業収益及び営業利益
当連結会計年度は、各事業にわたり積極的な営業活動を行った結果、運輸業やその他の事業で増収となったことから、営業収益は5,246億6千万円と、前連結会計年度に比べ16億2千8百万円の増加(前期比0.3%増)となりました。これに伴い、営業利益は、514億6千4百万円と、前連結会計年度に比べ15億1千7百万円の増加(前期比3.0%増)となりました。なお、各セグメントの営業収益及び営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
イ 営業外損益及び経常利益
営業外損益は悪化したものの、営業利益の増加に伴い、経常利益は478億9千1百万円(前期比2.7%増)となりました。
ウ 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の特別損益は、前連結会計年度に比べて29億7千5百万円の改善となりました。これは、前期に比べ、特別利益が増加したことによるものであります。
これらの結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は439億4千万円となり、ここから法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は293億2千8百万円(前期比12.5%増)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
ア 設備投資による資本の投下
当社グループは、鉄道事業において、安全防災対策に積極的に取り組みながら、快適かつスピーディーな鉄道運行の実現に努めているほか、他の事業においても、沿線の魅力を高めることを目指して継続的な設備投資を行っております。当連結会計年度においては総額682億8千8百万円の設備投資を実施いたしました。
なお、各セグメントの設備投資等の概要については、「第3 設備の状況」の「1 設備投資等の概要」に記載しております。
イ 資金調達
当社グループの資金調達は、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債及び民間金融機関からの借入金など、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しております。
なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム
(CMS)を導入し、資金繰の波動により、短期的な資金需要が発生する場合には、極力グ
ループ内資金を活用するほか、コマーシャルペーパー(CP)の発行も行っております。
ウ 資金の流動性
当社グループは、鉄道事業や流通業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しております。
④ 経営指標
当社グループでは、連結のEBITDA・有利子負債/EBITDA倍率を目標とする経営指標として設定しているほか、ROA・ROEについても注視しております。当連結会計年度
については、以下のとおりであります。
(EBITDA・有利子負債/EBITDA倍率)
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | |
借入金・社債 | 601,735 | 611,474 |
鉄道・運輸機構長期未払金(注1) | 100,842 | 107,723 |
有利子負債計(注2) | 702,578 | 719,197 |
EBITDA(注3) | 96,883 | 96,811 |
有利子負債/EBITDA倍率 | 7.3倍 | 7.4倍 |
(注) 1 鉄道・運輸機構長期未払金は、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表[借入金等明細表]」における鉄道・運輸機構長期未払金の額とは異なり、上表では消費税等相当額を加えております。
2 リース債務及び社内預金は除いております。
3 EBITDAは、営業利益に減価償却費を加えたものであります。
(ROA・ROE)
前連結会計年度 (%) | 当連結会計年度 (%) | |
ROA(総資産営業利益率)(注) | 4.1 | 4.2 |
ROE(自己資本当期純利益率)(注) | 9.0 | 9.4 |
(注) 総資産、自己資本からその他有価証券の時価評価による影響額を除いて算出しております。