訂正有価証券報告書-第98期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績
当期のわが国経済は、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動等により先行きは不透明な状況で推移したものの、企業収益や雇用・所得環境に改善の動きが続くなか、個人消費が持ち直す
など、全体として緩やかな景気の回復が続きました。
このような状況のもと、当社グループでは各事業にわたり積極的な営業活動を行った結果、運輸業等で増収となったことから、営業収益は526,675百万円と、前連結会計年度に比べ2,015百万円の増加(前期比0.4%増)、営業利益は52,089百万円と、前連結会計年度に比べ624百万円の増加(前期比1.2%増)、経常利益は49,687百万円と、前連結会計年度に比べ1,795百万円の増加
(前期比3.7%増)となったほか、親会社株主に帰属する当期純利益は32,468百万円と、前連結
会計年度に比べ3,139百万円の増加(前期比10.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
ア 運輸業
鉄道事業は、輸送面において、昨年3月の代々木上原駅~登戸駅間における複々線での営業運転開始に伴い、ラッシュ時間帯における最混雑区間の平均混雑率が、従前の192%から151%へ低下するとともに、こうした混雑緩和や所要時間短縮等の複々線化効果を積極的に訴求しました。また、本年3月のダイヤ改正より、新宿駅~代々木上原駅間で各駅停車が10両編成での運転を開始したほか、全ての通勤急行が10両編成での運転を開始するなど、輸送力の増強を図りました。さらに、通勤車両1000形のリニューアルを引き続き実施するとともに、ロマンスカー70000形(GSE)1編成を増備するなど、輸送サービスの向上を図りました。なお、昨年10月、ロマンスカー70000形(GSE)は、そのデザイン性が高く評価され、
「グッドデザイン金賞」を受賞しました。
営業面においては、昨年7月に定期運行が終了したロマンスカー7000形(LSE)をイベント列車として運行するなど、さまざまな企画を実施し収益の向上を図るとともに、行楽シーズンにおける臨時列車の運行や各種キャンペーンの展開等により、箱根、江の島・鎌倉エリア等への積極的な旅客誘致に努めました。また、訪日外国人旅行者のさらなる誘致に向けて、新たに4拠点(中国、台湾、ベトナム、インドネシア)で観光プロモーションの業務委託事務所を開設し、海外における情報発信を強化したほか、当社線各駅で携帯通訳機を順次導入し、駅係員による多言語対応を推進することで受入体制の強化を図りました。
施設面においては、列車運行の安全性を一層高めるため、代々木八幡駅および下北沢駅地下1階ホームにホームドアを整備したほか、玉川学園前駅~町田駅間の橋梁等での耐震補強工事や、玉川学園前駅~相模大野駅間等での法面改修工事を引き続き実施しました。また、昨年6月には、秦野市の鶴巻温泉駅南口広場整備事業と連携して進めてきた、同駅の駅舎改良工事が完了したほか、本年3月には、下北沢駅で新設した中央口改札やエスカレーターの使用を開始するなど、駅施設の充実を図りました。
バス業は、立川バス㈱において、昨年8月より立川・矢川~御殿場プレミアム・アウトレット間での路線バスの運行を開始したほか、各社でお客さまのニーズに対応した路線の開設やダイヤ改正を実施し、利便性の向上に努めました。
以上の結果、当社の鉄道事業において、複々線化効果や雇用環境の改善等により輸送人員が増加したことに加え、バス業が都市部を中心に堅調に推移したことなどから、営業収益は
179,293百万円と、前連結会計年度に比べ3,109百万円の増加(前期比1.8%増)、営業利益は
29,265百万円と、前連結会計年度に比べ1,142百万円の増加(前期比4.1%増)となりました。
(提出会社の鉄道事業運輸成績表)
(注) 乗車効率の算出方法
乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)×100
イ 流通業
百貨店業は、㈱小田急百貨店町田店において、本年3月のグランドオープンに先立ち、昨年6月より進めていた大規模リニューアルの一環として、化粧品や服飾雑貨等の品揃えを充実させたほか、知名度の高い専門店を導入するなど、既存顧客の支持拡大や新規顧客の取り込みを図りました。また、全店において、催事をはじめとする各種営業施策を積極的に展開しまし
た。
ストア・小売業は、当社および小田急商事㈱において、㈱セブン&アイ・ホールディングスと締結した業務提携契約に基づき、昨年10月の新宿駅西口地下での提携第1号店オープンをはじめとして、駅構内売店(Odakyu SHOP)およびコンビニエンスストア
(Odakyu MART)等のセブン‐イレブン店舗への転換を17店舗で実施するなど、
駅をご利用になるお客さまの利便性・満足度の向上を図りました。
以上の結果、小田急百貨店町田店および藤沢店におけるリニューアル工事に伴う売場閉鎖や、ストア・小売業における駅構内売店・コンビニエンスストアの閉店およびセブン‐イレブン店舗への転換に伴う工事閉鎖による影響などから、営業収益は210,681百万円と、前連結会計年度に比べ3,797百万円の減少(前期比1.8%減)、営業利益は2,960百万円と、前連結会計年度に比べ1,686百万円の減少(前期比36.3%減)となりました。
ウ 不動産業
不動産分譲業は、小田急不動産㈱において、開成駅への急行列車の停車に伴い利便性が向上した「リーフィア開成」等の戸建住宅や、同社単独では初となるリノベーション物件「THE PEAK麻布永坂」をはじめとしたマンションを分譲するなど、積極的な営業活動を実施
し、収益の確保に努めました。
不動産賃貸業は、当社において、商業施設「相模大野ステーションスクエア」や「小田急本厚木ミロード1」のリニューアルを実施するなど、施設の充実および活性化を図りました。また、当社および小田急不動産㈱において、沿線内外での積極的な不動産取得を推進し、事業規
模の拡大に努めました。
以上の結果、不動産分譲業における「THE PEAK麻布永坂」の販売や、不動産賃貸業における前期に開業した物件の収入の通期寄与などから、営業収益は69,006百万円と、前連結会計年度に比べ428百万円の増加(前期比0.6%増)、営業利益は13,759百万円と、前連結会計
年度に比べ1,221百万円の増加(前期比9.7%増)となりました。
エ その他の事業
ホテル業は、㈱ホテル小田急が運営する「ハイアット リージェンシー 東京」および㈱ホテル小田急サザンタワーが運営する「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」において、訪日外国人客を中心とした宿泊需要の取り込みにより、客室稼働率・平均室料の向上に努めることで収益の最大化を図るとともに、レストランや宴会場のリニューアルを実施するなど、施設のさらなる充実を図りました。また、沖縄UDS㈱において、昨年1月、沖縄・宮古島で
「HOTEL LOCUS」をオープンしました。
レストラン業は、ジローレストランシステム㈱および㈱小田急レストランシステムにおい
て、新規業態の開発や店舗の改装を実施するなど、集客力の強化を図りました。
以上の結果、ホテル業における「HOTEL LOCUS」の収入の通期寄与などから、営業収益は106,937百万円と、前連結会計年度に比べ1,914百万円の増加(前期比1.8%増)、営業利益は、ホテル業において、人件費等の費用が増加したことなどから、5,939百万円と、前
連結会計年度に比べ28百万円の減少(前期比0.5%減)となりました。
② キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益45,194百万円に減価償却費や法人税等の支払額などを加減した結果、72,733百万円の資金収入となり、前連結会計年度に比べ、12,661百万円の資金収入の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、80,094百万円の資金支出となり、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ、27,412百万円の資金支出の増加となりました。
この結果、これらを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは、7,361百万円の資金支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、15,083百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ、6,983百万円の資金支出の増加となりました。
なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ22,271百万円減少し、21,636百万円となりました。
③ 生産、受注および販売の実績
当社グループの主たる事業は、鉄道事業を中核とする運輸業、百貨店業を中核とする流通業、建物の賃貸、土地および建物の販売を行う不動産業およびその他の事業であり、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産及び受注の実績を金額あるいは数量で示すことはしていません。
そのため生産、受注及び販売の実績については、「(1) 経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成に際し、経営者は、決算日における資産・負債および報告期間における収入・費用の金額ならびに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において判断したものです。
ア たな卸資産の評価
当社グループは、多くのたな卸資産を保有しており、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2008年9月26日)を適用しています。また、当社では複々線化事業により取得した用地を固定資産に計上していますが、工事が終了した区間の当該用地など分譲用と判断した土地については、たな卸資産に振り替えたうえで同様に評価しています。
イ 有価証券の減損
当社グループは、金融機関や取引先の有価証券を保有しています。これらのうち、時価のある有価証券については、時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。
これらの有価証券は価格変動リスクを負っているため、損失が発生する可能性がありま
す。
ウ 固定資産の減損
当社グループは、多くの固定資産を保有しています。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出しているため、前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。
エ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しています。評価性引当額は将来年度の課税所得の見込額等を考慮して計上しますが、将来の業績変動により課税所得の見込額が減少又は増加した場合には、評価性引当額の追加計上または取り崩しが必要となる場合があります。
オ 退職給付債務および費用
従業員の退職給付債務および費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率および長期期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付債務および費用に影響する可能性があります。
② 財政状態及び経営成績
(財政状態)
総資産は1,312,433百万円となり、当社の鉄道事業の設備投資や小田急百貨店町田店および藤沢店のリニューアル工事に伴い、有形固定資産が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ17,935百万円増加しました。また、負債の部は923,253百万円となり、有利子負債が減少したことなどから、前連結会計年度末と比べ4,667百万円減少しました。
純資産の部は、389,180百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ22,602百万円増加しました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等の適用に伴い、前連結会計年度末の数値に対し組み替え等をしたうえで比較しています。
(経営成績)
ア 営業収益および営業利益
当連結会計年度は、各事業にわたり積極的な営業活動を行った結果、運輸業等で増収となったことから、営業収益は526,675百万円と、前連結会計年度に比べ2,015百万円の増加(前期比0.4%増)、営業利益は52,089百万円と、前連結会計年度に比べ624百万円の増加(前期比1.2%増)となりました。なお、各セグメントの営業収益および営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しています。
イ 営業外損益および経常利益
営業利益の増加に伴い、経常利益は49,687百万円(前期比3.7%増)となりました。
ウ 特別損益および親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の特別損益は、前連結会計年度に比べて541百万円の悪化となりました。これは、前期に比べ、特別利益が減少したことによるものです。
これらの結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は45,194百万円となり、ここから法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は32,468百万円(前期比10.7%増)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
ア 設備投資による資本の投下
当社グループは、鉄道事業において、安全防災対策に積極的に取り組みながら、快適かつスピーディーな鉄道運行の実現に努めているほか、他の事業においても、沿線の魅力を高めることを目指して継続的な設備投資を行っています。当連結会計年度においては総額82,215百万円の設備投資を実施しました。
なお、各セグメントの設備投資等の概要については、「第3 設備の状況」の「1 設備投資等の概要」に記載しています。
イ 資金調達
当社グループの資金調達は、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債および民間金融機関からの借入金等、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しています。
なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム
(CMS)を導入し、資金繰の波動により、短期的な資金需要が発生する場合には、極力グ
ループ内資金を活用するほか、コマーシャルペーパー(CP)の発行も行っています。
ウ 資金の流動性
当社グループは、鉄道事業や流通業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しています。
④ 経営指標
当社グループでは、連結のEBITDA・有利子負債/EBITDA倍率を目標とする経営指標として設定しているほか、ROA・ROEについても注視しています。当連結会計年度
については、以下のとおりです。
(EBITDA・有利子負債/EBITDA倍率)
(注) 1 鉄道・運輸機構長期未払金は、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表[借入金等明細表]」における鉄道・運輸機構長期未払金の額とは異なり、上表では消費税等相当額を加えています。
2 リース債務及び社内預金は除いています。
3 EBITDAは、営業利益に減価償却費を加えたものです。
(ROA・ROE)
(注) 総資産、自己資本からその他有価証券の時価評価による影響額を除いて算出しています。
① 経営成績
当期のわが国経済は、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動等により先行きは不透明な状況で推移したものの、企業収益や雇用・所得環境に改善の動きが続くなか、個人消費が持ち直す
など、全体として緩やかな景気の回復が続きました。
このような状況のもと、当社グループでは各事業にわたり積極的な営業活動を行った結果、運輸業等で増収となったことから、営業収益は526,675百万円と、前連結会計年度に比べ2,015百万円の増加(前期比0.4%増)、営業利益は52,089百万円と、前連結会計年度に比べ624百万円の増加(前期比1.2%増)、経常利益は49,687百万円と、前連結会計年度に比べ1,795百万円の増加
(前期比3.7%増)となったほか、親会社株主に帰属する当期純利益は32,468百万円と、前連結
会計年度に比べ3,139百万円の増加(前期比10.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
ア 運輸業
鉄道事業は、輸送面において、昨年3月の代々木上原駅~登戸駅間における複々線での営業運転開始に伴い、ラッシュ時間帯における最混雑区間の平均混雑率が、従前の192%から151%へ低下するとともに、こうした混雑緩和や所要時間短縮等の複々線化効果を積極的に訴求しました。また、本年3月のダイヤ改正より、新宿駅~代々木上原駅間で各駅停車が10両編成での運転を開始したほか、全ての通勤急行が10両編成での運転を開始するなど、輸送力の増強を図りました。さらに、通勤車両1000形のリニューアルを引き続き実施するとともに、ロマンスカー70000形(GSE)1編成を増備するなど、輸送サービスの向上を図りました。なお、昨年10月、ロマンスカー70000形(GSE)は、そのデザイン性が高く評価され、
「グッドデザイン金賞」を受賞しました。
営業面においては、昨年7月に定期運行が終了したロマンスカー7000形(LSE)をイベント列車として運行するなど、さまざまな企画を実施し収益の向上を図るとともに、行楽シーズンにおける臨時列車の運行や各種キャンペーンの展開等により、箱根、江の島・鎌倉エリア等への積極的な旅客誘致に努めました。また、訪日外国人旅行者のさらなる誘致に向けて、新たに4拠点(中国、台湾、ベトナム、インドネシア)で観光プロモーションの業務委託事務所を開設し、海外における情報発信を強化したほか、当社線各駅で携帯通訳機を順次導入し、駅係員による多言語対応を推進することで受入体制の強化を図りました。
施設面においては、列車運行の安全性を一層高めるため、代々木八幡駅および下北沢駅地下1階ホームにホームドアを整備したほか、玉川学園前駅~町田駅間の橋梁等での耐震補強工事や、玉川学園前駅~相模大野駅間等での法面改修工事を引き続き実施しました。また、昨年6月には、秦野市の鶴巻温泉駅南口広場整備事業と連携して進めてきた、同駅の駅舎改良工事が完了したほか、本年3月には、下北沢駅で新設した中央口改札やエスカレーターの使用を開始するなど、駅施設の充実を図りました。
バス業は、立川バス㈱において、昨年8月より立川・矢川~御殿場プレミアム・アウトレット間での路線バスの運行を開始したほか、各社でお客さまのニーズに対応した路線の開設やダイヤ改正を実施し、利便性の向上に努めました。
以上の結果、当社の鉄道事業において、複々線化効果や雇用環境の改善等により輸送人員が増加したことに加え、バス業が都市部を中心に堅調に推移したことなどから、営業収益は
179,293百万円と、前連結会計年度に比べ3,109百万円の増加(前期比1.8%増)、営業利益は
29,265百万円と、前連結会計年度に比べ1,142百万円の増加(前期比4.1%増)となりました。
(提出会社の鉄道事業運輸成績表)
種別 | 単位 | 当連結会計年度 (2018.4.1~2019.3.31) | ||
対前期増減率(%) | ||||
営業日数 | 日 | 365 | 0.0 | |
営業キロ | キロ | 120.5 | 0.0 | |
客車走行キロ | 千キロ | 192,387 | 4.9 | |
定期 | 千人 | 471,984 | 1.3 | |
輸送人員 | 定期外 | 〃 | 294,671 | 1.8 |
計 | 〃 | 766,655 | 1.5 | |
定期 | 百万円 | 47,703 | 1.8 | |
旅客運輸収入 | 定期外 | 〃 | 71,822 | 1.9 |
計 | 〃 | 119,525 | 1.9 | |
運輸雑収 | 〃 | 3,838 | △1.5 | |
運輸収入合計 | 〃 | 123,364 | 1.8 | |
乗車効率 | % | 44.8 | ― |
(注) 乗車効率の算出方法
乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)×100
イ 流通業
百貨店業は、㈱小田急百貨店町田店において、本年3月のグランドオープンに先立ち、昨年6月より進めていた大規模リニューアルの一環として、化粧品や服飾雑貨等の品揃えを充実させたほか、知名度の高い専門店を導入するなど、既存顧客の支持拡大や新規顧客の取り込みを図りました。また、全店において、催事をはじめとする各種営業施策を積極的に展開しまし
た。
ストア・小売業は、当社および小田急商事㈱において、㈱セブン&アイ・ホールディングスと締結した業務提携契約に基づき、昨年10月の新宿駅西口地下での提携第1号店オープンをはじめとして、駅構内売店(Odakyu SHOP)およびコンビニエンスストア
(Odakyu MART)等のセブン‐イレブン店舗への転換を17店舗で実施するなど、
駅をご利用になるお客さまの利便性・満足度の向上を図りました。
以上の結果、小田急百貨店町田店および藤沢店におけるリニューアル工事に伴う売場閉鎖や、ストア・小売業における駅構内売店・コンビニエンスストアの閉店およびセブン‐イレブン店舗への転換に伴う工事閉鎖による影響などから、営業収益は210,681百万円と、前連結会計年度に比べ3,797百万円の減少(前期比1.8%減)、営業利益は2,960百万円と、前連結会計年度に比べ1,686百万円の減少(前期比36.3%減)となりました。
ウ 不動産業
不動産分譲業は、小田急不動産㈱において、開成駅への急行列車の停車に伴い利便性が向上した「リーフィア開成」等の戸建住宅や、同社単独では初となるリノベーション物件「THE PEAK麻布永坂」をはじめとしたマンションを分譲するなど、積極的な営業活動を実施
し、収益の確保に努めました。
不動産賃貸業は、当社において、商業施設「相模大野ステーションスクエア」や「小田急本厚木ミロード1」のリニューアルを実施するなど、施設の充実および活性化を図りました。また、当社および小田急不動産㈱において、沿線内外での積極的な不動産取得を推進し、事業規
模の拡大に努めました。
以上の結果、不動産分譲業における「THE PEAK麻布永坂」の販売や、不動産賃貸業における前期に開業した物件の収入の通期寄与などから、営業収益は69,006百万円と、前連結会計年度に比べ428百万円の増加(前期比0.6%増)、営業利益は13,759百万円と、前連結会計
年度に比べ1,221百万円の増加(前期比9.7%増)となりました。
エ その他の事業
ホテル業は、㈱ホテル小田急が運営する「ハイアット リージェンシー 東京」および㈱ホテル小田急サザンタワーが運営する「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」において、訪日外国人客を中心とした宿泊需要の取り込みにより、客室稼働率・平均室料の向上に努めることで収益の最大化を図るとともに、レストランや宴会場のリニューアルを実施するなど、施設のさらなる充実を図りました。また、沖縄UDS㈱において、昨年1月、沖縄・宮古島で
「HOTEL LOCUS」をオープンしました。
レストラン業は、ジローレストランシステム㈱および㈱小田急レストランシステムにおい
て、新規業態の開発や店舗の改装を実施するなど、集客力の強化を図りました。
以上の結果、ホテル業における「HOTEL LOCUS」の収入の通期寄与などから、営業収益は106,937百万円と、前連結会計年度に比べ1,914百万円の増加(前期比1.8%増)、営業利益は、ホテル業において、人件費等の費用が増加したことなどから、5,939百万円と、前
連結会計年度に比べ28百万円の減少(前期比0.5%減)となりました。
② キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益45,194百万円に減価償却費や法人税等の支払額などを加減した結果、72,733百万円の資金収入となり、前連結会計年度に比べ、12,661百万円の資金収入の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、80,094百万円の資金支出となり、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ、27,412百万円の資金支出の増加となりました。
この結果、これらを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは、7,361百万円の資金支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、15,083百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ、6,983百万円の資金支出の増加となりました。
なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ22,271百万円減少し、21,636百万円となりました。
③ 生産、受注および販売の実績
当社グループの主たる事業は、鉄道事業を中核とする運輸業、百貨店業を中核とする流通業、建物の賃貸、土地および建物の販売を行う不動産業およびその他の事業であり、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産及び受注の実績を金額あるいは数量で示すことはしていません。
そのため生産、受注及び販売の実績については、「(1) 経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成に際し、経営者は、決算日における資産・負債および報告期間における収入・費用の金額ならびに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において判断したものです。
ア たな卸資産の評価
当社グループは、多くのたな卸資産を保有しており、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2008年9月26日)を適用しています。また、当社では複々線化事業により取得した用地を固定資産に計上していますが、工事が終了した区間の当該用地など分譲用と判断した土地については、たな卸資産に振り替えたうえで同様に評価しています。
イ 有価証券の減損
当社グループは、金融機関や取引先の有価証券を保有しています。これらのうち、時価のある有価証券については、時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。
これらの有価証券は価格変動リスクを負っているため、損失が発生する可能性がありま
す。
ウ 固定資産の減損
当社グループは、多くの固定資産を保有しています。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出しているため、前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。
エ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しています。評価性引当額は将来年度の課税所得の見込額等を考慮して計上しますが、将来の業績変動により課税所得の見込額が減少又は増加した場合には、評価性引当額の追加計上または取り崩しが必要となる場合があります。
オ 退職給付債務および費用
従業員の退職給付債務および費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率および長期期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付債務および費用に影響する可能性があります。
② 財政状態及び経営成績
(財政状態)
総資産は1,312,433百万円となり、当社の鉄道事業の設備投資や小田急百貨店町田店および藤沢店のリニューアル工事に伴い、有形固定資産が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ17,935百万円増加しました。また、負債の部は923,253百万円となり、有利子負債が減少したことなどから、前連結会計年度末と比べ4,667百万円減少しました。
純資産の部は、389,180百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ22,602百万円増加しました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等の適用に伴い、前連結会計年度末の数値に対し組み替え等をしたうえで比較しています。
(経営成績)
ア 営業収益および営業利益
当連結会計年度は、各事業にわたり積極的な営業活動を行った結果、運輸業等で増収となったことから、営業収益は526,675百万円と、前連結会計年度に比べ2,015百万円の増加(前期比0.4%増)、営業利益は52,089百万円と、前連結会計年度に比べ624百万円の増加(前期比1.2%増)となりました。なお、各セグメントの営業収益および営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しています。
イ 営業外損益および経常利益
営業利益の増加に伴い、経常利益は49,687百万円(前期比3.7%増)となりました。
ウ 特別損益および親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の特別損益は、前連結会計年度に比べて541百万円の悪化となりました。これは、前期に比べ、特別利益が減少したことによるものです。
これらの結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は45,194百万円となり、ここから法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は32,468百万円(前期比10.7%増)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
ア 設備投資による資本の投下
当社グループは、鉄道事業において、安全防災対策に積極的に取り組みながら、快適かつスピーディーな鉄道運行の実現に努めているほか、他の事業においても、沿線の魅力を高めることを目指して継続的な設備投資を行っています。当連結会計年度においては総額82,215百万円の設備投資を実施しました。
なお、各セグメントの設備投資等の概要については、「第3 設備の状況」の「1 設備投資等の概要」に記載しています。
イ 資金調達
当社グループの資金調達は、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債および民間金融機関からの借入金等、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しています。
なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム
(CMS)を導入し、資金繰の波動により、短期的な資金需要が発生する場合には、極力グ
ループ内資金を活用するほか、コマーシャルペーパー(CP)の発行も行っています。
ウ 資金の流動性
当社グループは、鉄道事業や流通業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しています。
④ 経営指標
当社グループでは、連結のEBITDA・有利子負債/EBITDA倍率を目標とする経営指標として設定しているほか、ROA・ROEについても注視しています。当連結会計年度
については、以下のとおりです。
(EBITDA・有利子負債/EBITDA倍率)
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | |
借入金・社債 | 611,474 | 615,568 |
鉄道・運輸機構長期未払金(注1) | 107,723 | 99,724 |
有利子負債計(注2) | 719,197 | 715,293 |
EBITDA(注3) | 96,811 | 98,817 |
有利子負債/EBITDA倍率 | 7.4倍 | 7.2倍 |
(注) 1 鉄道・運輸機構長期未払金は、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表[借入金等明細表]」における鉄道・運輸機構長期未払金の額とは異なり、上表では消費税等相当額を加えています。
2 リース債務及び社内預金は除いています。
3 EBITDAは、営業利益に減価償却費を加えたものです。
(ROA・ROE)
前連結会計年度 (%) | 当連結会計年度 (%) | |
ROA(総資産営業利益率)(注) | 4.2 | 4.2 |
ROE(自己資本当期純利益率)(注) | 9.4 | 9.7 |
(注) 総資産、自己資本からその他有価証券の時価評価による影響額を除いて算出しています。