有価証券報告書-第46期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/26 12:41
【資料】
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【項目】
144項目

対処すべき課題

(1)事業環境の見通し
わが国の経済動向は、株式市場が持ち直し、企業業績の向上とともに労働・所得環境の改善が進むなど、概ね順調であり、消費増税による影響等の懸念はあるものの、緩やかな回復傾向が続いております。
これらの景況感を背景に、金融業や製造業を中心とした設備投資は継続的な回復基調にあるとみられ、各種システム開発やクラウド型ITサービスの需要拡大、BCP(事業継続計画)やディザスターリカバリー(災害復旧)対策等のニーズが具体化するなど、IT投資についても引き続き緩やかな拡大基調が続くものと考えられます。
一方で、企業におけるITシステムの位置づけは、コスト削減のための手段から企業活動にとって重要かつ必要不可欠な経営インフラへと変化し、その活用の巧拙が企業業績に直接影響を与える状況にあります。企業の競争力を高め成長を促進するための戦略的IT投資需要は益々高まる傾向にあり、IT投資に対するニーズも以下のように多様化してきております。
・クラウドに代表されるITインフラの「所有」から「利用」への流れ
・顧客企業の海外展開に伴うグローバルサポートニーズ
・ITの活用によるビジネスモデルやサービスの変革
・営業力の強化や業務プロセスの可視化・効率化
・情報セキュリティの強化やITガバナンスの整備・強化
これら顧客企業のニーズに的確に対応することができるかどうか、そして、最適なサービスを満足いただける品質で提供し続けることができるかどうかが、ITサービス業界での競争優位性を高める最大の要因と捉えております。
(2)中期的な経営課題/経営戦略
このような環境の中、当社は、顧客企業のさまざまなビジネス上の課題を解決すべく、顧客企業のニーズを的確に捉え、最適なサービスを提供すること、また、ITを通して新たな価値を生み出すことで持続的な成長を目指しております。
当社は平成23年10月に㈱CSKと合併し、事業基盤を拡大するとともに、組織・機能の実質的な融合を推し進め、経営基盤の強化を図ってまいりました。平成27年3月期は、現中期経営計画の最終年度にあたり、同計画の目標達成に向け、基本戦略として掲げた「クロスセルの推進」、「グローバル関連ビジネスの拡大」、「クラウド関連ビジネスの拡充」への取り組みに邁進しております。
・「クロスセルの推進」
合併当初より、合併によって拡大した顧客基盤に対し、それぞれが得意とするサービスや商材を提供する「クロスセル」を全社的に推進し、統合による相乗効果を早期に発揮することに努めてまいりました。この活動は、事業基盤強化のみならず、歴史や企業文化の異なる両社の真の融合を促す効果をももたらすこととなりました。
引き続き、事業部門間の情報共有基盤の拡充などに取り組み、この活動を強化してまいります。当社が保有する複数の事業、サービス、ノウハウを複合的に組み合わせた、顧客企業のニーズに合致した最適なサービスの提供を通じ、一層の顧客基盤の拡大・強化に取り組んでまいります。
・「グローバル関連ビジネスの拡大」
当社は、顧客企業の海外進出に伴うIT需要、すなわち、企業活動の場を、日本を中心としつつも海外に拡大していくという日本企業のITサービス需要の全てを「グレータージャパニーズマーケット」と定義しております。
当社は、これまで、住友商事グループをはじめ、多くの顧客企業のグローバル展開をIT面で支援してまいりました。その実績やノウハウを活かし、「グレータージャパニーズマーケット」に対し、日本流の高い品質基準で支援していくことが、当社が掲げるグローバル戦略です。
日系企業のアジア、米州、欧州等の世界各国への進出支援や、グローバルベースでのシステム共通化・最適化を、日本国内のサービス品質をもって展開することにより、更なる収益拡大に取り組んでまいります。
・「クラウド関連ビジネスの拡充」
顧客企業の、ITシステムの「所有」から、ITサービスの「利用」への流れに伴う、クラウドサービス需要の高まりに対し、当社は、データセンターを強化、拡充するとともに、システム開発やBPOの業務ノウハウを組み合わせたサービス提供型ビジネスを展開しております。
クラウドサービスの提供基盤となるデータセンターに関しては、netXDCの名称のもとサービス展開をしておりますが、現在、保有する国内8ヶ所のデータセンターに加え、千葉県印西市に新データセンターを建設中であり、平成27年1月にサービス開始を予定しております。プライベートクラウドとパブリッククラウドを必要に応じて使い分けるハイブリッドクラウドの構築、運用と、独自のクラウド基盤として確立した従量型ITインフラ提供サービスであるUSiZE(ユーサイズ)を当社のクラウドサービスの柱として展開し、クラウド関連ビジネスの更なる拡充に取り組んでまいります。
これらの成長戦略の遂行と同時に、当社グループ全体の内部統制、リスク管理、コンプライアンス、セキュリティ管理をはじめとする社内管理体制の整備を継続して実施してまいります。
また、当社は、これらの諸施策に加え、ITサービス産業の厳しい競争を勝ち抜くためには、従業員一人ひとりが余すところなく能力を発揮できることが必須であると考え、「働きやすい、やりがいのある会社」作りに取り組んでおります。
具体的には、ライフステージに合った働き方を実現するために、復職支援金等の子育て支援策や、介護休暇制度の充実等による介護支援策を制定するとともに、多様な人材の活用による労働力の創出を実現するために、女性管理職の積極的登用、65歳完全雇用制度の制定、在宅勤務制度の拡充、更には従業員の健康増進とキャリア開発を両面から支えるためのプログラムの設計とその推進組織としてのライフサポート推進室、カウンセリングルームの設置等、全ての従業員が安心して働ける会社づくりを、着々と進めております。
また、これらの施策の前提として、従業員自身が心身ともに健康であることを重視し、残業の削減による総労働時間の短縮、年次有給休暇の完全取得推進などを目指した「スマートワーク・チャレンジ20」施策の展開、禁煙キャンペーン等に会社をあげて取り組んでおります。
これらの着実な取り組みに対し、昨年10月には、厚生労働大臣より「キャリア支援企業表彰2013~人を育て・人が育つ企業表彰~」の表彰企業に選定され、また日本経済新聞主催「2013年人を活かす会社」調査において総合ランキング2位に選ばれるなど、各方面から評価を頂いております。
当社は、これらの「働きやすい、やりがいのある会社」としての環境整備が従業員のやる気を引き出し、それが好業績を生み、全てのステークホルダーに利益還元される好循環サイクルを生み出すとの考えに基づき、ワークライフバランス、ダイバーシティ、健康管理、人材育成の4つの観点において、制度・仕組みの整備を一層推進してまいります。
そして、これらの取り組みを通じて、経営理念である「夢ある未来を、共に創る」の実現を目指してまいります。