有価証券報告書-第39期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/27 15:35
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、所得環境が回復基調にあったものの、個人消費の伸びは限定的なものとなり、加えて地政学的リスクによる影響も語られた一方、国内旅行者の増加やインバウンド旅行者数の最多更新など好材料も見受けられました。
このような環境下、当社グループは、当連結会計年度を初年度とする5ヶ年の中期経営計画「Kyoritsu Jump Up Plan」を策定し、中期経営計画の骨子である「顧客満足度の向上」及び「開発の先行的実施」を着実に推進いたしました。また、新たなブランディングの発信としてコーポレートスローガン・コーポレートシンボルを策定したほか、引き続き当社の事業と親密性が高い「大学箱根駅伝」への協賛や各種IR活動の実施等により、企業認知の向上にも努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、190,996百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,387百万円の増加となりました。主な要因は、土地及び仕掛販売用不動産の増加などによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、119,157百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,868百万円の増加となりました。主な要因は、社債の増加及び借入金の減少などによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、71,839百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,518百万円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金の増加などによるものであります。
この結果、自己資本比率は37.6%となり、前連結会計年度末に比べ0.6ポイントの増加となりました。
b.経営成績
当期は寮事業が安定的に利益を伸ばしたことに加え、ホテル事業におきましては新規オープンした13棟の開業費用等約18億円の発生の影響もありましたが、稼働率、客室単価が共に前期を着実に上回って好調に推移した結果、開業費用等を吸収して増収増益となりました。
この結果、売上高は152,021百万円(前期比11.9%増)、営業利益は13,087百万円(前期比10.8%増)、経常利益は12,928百万円(前期比12.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,778百万円(前期比23.0%増)となりました。これにより平成30年2月9日に公表いたしました平成30年3月期通期連結業績予想数値の修正をも大きく上回り、経常利益につきましては8期連続の増益、かつ6期連続の最高益を更新し中期経営計画初年度として順調な滑り出しとなりました。なお、この当期純利益には韓国の子会社である株式会社韓国共立メンテナンスにおきまして、地政学的リスクもあるなか韓国内でのドーミーインブランドの認知度向上等の成果を得るとともに収益改善を着実に進めつつあるものの、財務健全性確保の観点から、保有資産について減損損失4億48百万円を特別損失に計上いたしました分も吸収されております。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
寮事業
寮事業におきましては、期初稼働率98.3%(前年と同率)と好調にスタートし、3月末現在の稼働契約者数は37,391名(前期比917名増)となりました。一年を通して堅調に推移したほか、コストの適正化が功を奏し増収増益に繋がりました。
学生寮事業は、大学進学率の上昇や海外からの留学生入寮者数の増加等により高いニーズが継続いたしました。当期は新たに6校の大学様との提携を実現いたしました。一方で、全国での予備校生数の減少の影響もあり、当社学生寮の契約数は20,199名(前期比221名減)、売上高は25,272百万円(前期比0.0%減)となりました。なお、次期につきましては、学生寮の契約数は前期の水準を上回り、従来の増加傾向に戻っております。
社員寮事業は、雇用環境の改善が引き続き追い風となったほか、企業様の社員寮制度の導入によるニーズが継続して堅調だったことなどにより、大幅に契約数が増加いたしました。この結果、当社社員寮の契約数は11,899名(前期比1,066名増)、売上高は13,100百万円(前期比8.2%増)となりました。
ドミール事業は、ワンルームマンションタイプ寮として、提携学校・提携企業様からの入居斡旋紹介はもちろんのこと、食事付き寮からの住み替え需要等に対応し、契約数は5,293名(前期比72名増)、売上高は4,465百万円(前期比0.8%増)となりました。
受託寮事業は、企業・学校様が保有している寮を受託請負により管理運営する事業でありますが、「日本一の下宿屋としての運営力」により差別化を図って展開しており、売上高は4,214百万円(前期比10.2%増)となりました。
以上の結果、寮事業全体では事業所数は473ヶ所(前期比8ヶ所増・受託除く)、定員数は38,125名(前期比1,085名増)、売上高は47,052百万円(前期比3.1%増)となり、営業利益は7,579百万円(前期比4.6%増)となりました。
ホテル事業
ホテル事業におきましては、国内旅行者やインバウンド旅行者の需要が引き続き増加したことに加え、「お客様第一の心」の実現の徹底をはかったことにもより、多くのリピーター様に定宿としてご利用いただくなど、前期を上回り高稼働、高客室単価にて推移し開業費用を吸収し増収増益となりました。
ドーミーイン(ビジネスホテル)事業は、当期に「明神の湯 ドーミーインPREMIUM神田」、「天然温泉 日向の湯 ドーミーイン宮崎」、「天然温泉 八雲の湯 ドーミーイン出雲」、「天然温泉 海神の湯 ドーミーインEXPRESS仙台シーサイド」、「天然温泉 勝運の湯 ドーミーイン甲府丸の内」、「天然温泉 吉野桜の湯 御宿 野乃 奈良」、「global cabin 東京水道橋」、「天然温泉 石手の湯 ドーミーイン松山」、「天然温泉 紺碧の湯 ドーミーイン高知」の9棟がオープンいたしました。一方で、ドーミーイン事業におけるインバウンドのお客様の占める割合が前期比6.6%増の27.1%となった影響もあり、当初予想を上回る高稼働、高客室単価にて推移いたしました。この結果、売上高は39,741百万円(前期比23.0%増)となりました。
リゾート(リゾートホテル)事業は、当期に出雲大社のお膝元に中国・四国エリア初出店となる「いにしえの宿 佳雲」、「お宿 月夜のうさぎ」の2棟がオープンしたほか、共立リゾート初のペット同宿ホテル「ルシアン旧軽井沢」及び箱根地区4棟目としてハイグレードな「強羅温泉 雪月花別邸 翠雲」がオープンいたしました。既存の事業所におきましては、台風の影響もありましたが、前期を上回る高稼働、高客室単価にて推移いたしました。この結果、売上高は30,418百万円(前期比8.3%増)となりました。また、稼働状況に応じた柔軟な人員配置をすることにより、コスト管理を徹底いたしました。
以上の結果、ホテル事業全体では、事業所数は98ヶ所(前期比12ヶ所増)、客室数は14,144室(前期比1,428室増)、売上高は70,160百万円(前期比16.1%増)、営業利益は新規オープンした13棟の開業費用等約18億円の発生の影響もあり7,155百万円(前期比3.2%増)となりました。
総合ビルマネジメント事業
総合ビルマネジメント事業は、前期の大型建設案件による一時的な増収の反動があり、減収減益となりました。この結果、売上高は14,877百万円(前期比6.7%減)、営業利益は504百万円(前期比2.7%減)となりました。
フーズ事業
フーズ事業では、ホテルレストラン受託事業の案件増加や外食事業の不採算店舗の閉鎖に伴い増収増益となりました。この結果、売上高は6,732百万円(前期比3.6%増)、営業利益は158百万円(前期比196.3%増)となりました。
デベロップメント事業
デベロップメント事業では、分譲マンション開発の減少による減収がありましたが、不動産流動化等による増益の結果、売上高は22,450百万円(前期比2.4%減)、営業利益は1,117百万円(前期比18.0%増)となりました。
その他事業
その他事業は、シニアライフ事業(高齢者向け住宅の管理運営事業)、PKP事業(自治体向け業務受託事業)、単身生活者支援事業、保険代理店事業、総合人材サービス事業、融資事業及び事務代行業であります。これらの事業の合計は、売上高は11,845百万円(前期比6.0%増)、営業損失は290百万円(前期は営業損失404百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,118百万円増加し、16,972百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、売上債権の増減額及びたな卸資産の増減額の影響により、前連結会計年度に比べ1,382百万円収入が減少し、13,029百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、有形固定資産の取得による支出及び有形固定資産の売却による収入の影響により、前連結会計年度に比べ11,587百万円支出が減少し、16,676百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、長期借入金の返済による支出及び社債の発行による収入の影響により、前連結会計年度に比べ2,664百万円収入が増加し、5,804百万円の収入となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
47,0523.1
学生寮25.272△0.0
社員寮13,1008.2
ドミール4,4650.8
受託寮4,21410.2
ホテル70,16016.1
ドーミーイン事業39,74123.0
リゾート事業30,4188.3
総合ビルマネジメント14,877△6.7
オフィスビルマネジメント事業4,6306.1
レジデンスビルマネジメント事業10,246△11.6
フーズ6,7323.6
デベロップメント22,450△2.4
報告セグメント計161,2736.4
その他11,8456.0
調整額△21,097-
合計152,02111.9

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照下さい。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ17,387百万円増加の190,996百万円(前連結会計年度末は173,609百万円)となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ7,091百万円増加の39,442百万円(前連結会計年度末は32,350百万円)となりました。これは主に、不動産流動化等により、仕掛販売用不動産が2,652百万円増加したこと、及び現金及び預金が2,087百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ10,047百万円増加の150,992百万円(前連結会計年度末は140,944百万円)となりました。これは主に、新規事業所にかかる土地及び建物及び構築物の取得等により、土地が3,075百万円、建物及び構築物が2,442百万円増加したことによるものであります。
繰延資産は、前連結会計年度末に比べ248百万円増加の562百万円(前連結会計年度末は313百万円)となりました。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ9,868百万円増加の119,157百万円(前連結会計年度末は109,289百万円)となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ190百万円減少の52,287百万円(前連結会計年度末は52,477百万円)となりました。これは主に、短期借入金が4,483百万円減少したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ10,058百万円増加の66,869百万円(前連結会計年度末は56,811百万円)となりました。これは主に、社債が13,580百万円増加したことによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ7,518百万円増加の71,839百万円(前連結会計年度末は64,320百万円)となりました。これは主に、利益剰余金が7,382百万円増加したことによるものです。
2)経営成績
(売上高)
売上高は、寮事業が堅調に推移したほか、ホテル事業が好調に推移したことなどにより、前期に比べ11.9%増の152,021百万円となりました。そのうち、寮事業売上高は、前期に比べ3.1%増の47,052百万円、ホテル事業売上高は、前期に比べ16.1%増の70,160百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、新規事業所の開業費用等の増加などにより、前期に比べ12.3%増の118,214百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、新規事業所の開業に伴う支払手数料の増加などにより、前期に比べ10.5%増の20,719百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ23.0%増の8,778百万円となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、事業所、リース物件の賃借料のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規事業所の取得及び開業費用、既存事業所の改修費用等によるものであります。
当社グループは、事業資金について自己資金のほか、金融機関からの借入等により調達しております。一方で、自社所有物件の一部について当社の管理運営・賃借契約付運用物件として投資家に売却する等の手法を活用して有利子負債依存度の低下を図っております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は78,877百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は16,972百万円となっております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画の主な定量目標と初年度進捗状況
中期経営計画初年度である当期は、「堅調な寮事業」に加え「ホテル事業の客室稼働率および客室単価がお客様のご好評を得て前年を上回って推移」さらに「不動産流動化事業の取り組み」等により、5ヶ年計画の前半における利益成長をスピードアップさせました。
中期経営計画の主な定量目標と初年度進捗状況は以下に記載のとおりであります。
主な定量目標中期経営計画最終年度(平成34年度3月期)当期進捗状況(初年度)
売上高2,200億円1,520億円
営業利益190億円130億円
ネットDER財務健全性の目途となる1.0倍以内0.9倍
配当性向配当性向を20%超とするべく、漸次水準切り上げ17.7%(次期18%予定)
ROE10%以上12.9%

開発計画中期経営計画
期間中開発目標室数
当期進捗状況(初年度)
当期開業済室数開業決定室数進捗率
7,000室963室4,207室60.1%
ドーミーイン9,000室1,579室8,418室93.5%
リゾート1,400室253室1,020室72.9%

(注)開業決定室数は、平成30年4月30日現在、中期経営計画期間中に開業が決定している室数(一部予定)であり、当期開業済室数を含みます。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。