有価証券報告書-第41期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 16:24
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調にありましたが、第4四半期連結会計期間に新型コロナウイルスによる感染症が拡大し、日本のみならず、世界的に大きな影響を及ぼしました。
当社グループを取り巻く環境は、大学への海外からの留学生の増加や、大学進学率の上昇、企業様の寮制度導入の増加、訪日外国人旅行者数の続伸などのほか、ゴールデンウィークを主として国内旅行需要が高まっておりました。このような中、当社グループは中期経営計画の骨子である「顧客満足度の向上」及び「開発の先行的実施」を着実に推進してまいりましたが、当第4四半期連結会計期間に発生した新型コロナウイルスの影響拡大により、急激なインバウンドの減少や国内レジャー及びビジネス需要の減少などが発生し、当社グループの連結業績も大きな影響を受けました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、217,086百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,554百万円の増加となりました。主な要因は、仕掛販売用不動産、建物及び構築物、ならびに現金及び預金の増加などによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、133,131百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,170百万円の増加となりました。主な要因は、長期借入金の増加などによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、83,954百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,384百万円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金の増加などによるものであります。
この結果、自己資本比率は38.7%となり、前連結会計年度末に比べ0.6ポイントの減少となりました。
b.経営成績
売上高は169,770百万円(前期比4.3%増)、営業利益は11,205百万円(前期比23.1%減)、経常利益は12,499百万円(前期比12.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,927百万円(前期比27.6%減)となりました。
なお、新型コロナウイルスの影響拡大もあり、当初、東京オリンピック・パラリンピックを含めたインバウンド増加への対応の一環として事業を開始した、ホテル事業におけるグローバルキャビン(簡易型ホテル)等の資産を中心に、運営状況を再判定した結果、減損損失2,227百万円を計上いたしました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
寮事業
寮事業におきましては、当期に国際交流寮である「明治大学グローバル・ヴィレッジ」を含め、全国で合計15事業所1,574室を新たに開業いたしました。2019年4月の期初稼働率は98.7%(前年比1.0ポイント増)と好調にスタートいたしました。
学生寮事業は、海外からの留学生の増加等もあり堅調に推移した結果、売上高は26,027百万円(前期比0.8%増)となりました。
社員寮事業は、新たに寮制度を導入される企業様が増加し、以前よりお取引のある企業様による契約数も増加いたしました。この結果、売上高は15,002百万円(前期比6.3%増)となりました。
ドミール事業は、ワンルームマンションタイプ寮として、提携学校・提携企業様からの入居斡旋紹介等もあり、売上高は4,689百万円(前期比3.6%増)となりました。
受託寮事業は、企業・学校様が保有している寮を受託請負により管理運営する事業でありますが、「日本一の下宿屋としての運営力」により差別化を図って展開しており、売上高は4,583百万円(前期比2.8%増)となりました。
以上の結果、寮事業全体では事業所数494ヶ所(前期比9ヶ所増・受託除く)、定員数は40,633名(前期比1,183名増)、売上高50,303百万円(前期比2.8%増)、営業利益8,021百万円(前期比2.7%増)となりました。
なお、3月末現在の契約者数は、新型コロナウイルスの影響もあり38,124名(前年同期に比べ733名減)となりました。
ホテル事業
ホテル事業におきましては、当期にドーミーイン事業で「天然温泉 妙義の湯 ドーミーイン前橋」、「天然温泉 羽二重の湯 ドーミーイン福井」、「天然温泉 さんさの湯 ドーミーイン盛岡」、「天然温泉 凌雲の湯 御宿 野乃 浅草」、「天然温泉 扇浜の湯 ドーミーイン川崎」、「天然温泉 香梅の湯 ドーミーイン水戸」、「天然温泉 紫雲の湯 ラビスタ富良野ヒルズ」の7事業所をオープンし、リゾート事業では「越後湯沢温泉 湯けむりの宿 雪の花」、「ことひら温泉 御宿 敷島館」、「秋の宮温泉郷 湯けむりの宿 稲住温泉」の3事業所をオープンいたしました。当期につきましては、香港、中国、台湾を主としたインバウンド需要や国内旅行者の増加、徹底したコストコントロールなどにより、秋口に発生した台風災害による箱根地区への影響や新規事業所の開業費用等を通期で吸収する見込みでありました。しかしながら、当第4四半期連結会計期間に発生した新型コロナウイルスの影響により、急激なインバウンドの減少や、出張自粛による首都圏、関西圏を主としたドーミーイン事業での稼働率の低下等が発生し、減益となりました。なお、売上高は新規開業事業所の効果もあり、ドーミーイン事業が46,034百万円(前期比1.0%増)、リゾート事業が32,941百万円(前期比0.6%増)となりました。
以上の結果、ホテル事業全体では、事業所数121ヶ所(前期比10ヶ所増)、客室数17,656室(前期比1,716室増)、売上高78,976百万円(前期比0.8%増)、営業利益は4,853百万円(前期比41.0%減)となりました。
総合ビルマネジメント事業
総合ビルマネジメント事業では、建設案件及びビル管理契約が増加した効果などにより、売上高は16,661百万円(前期比7.3%増)となり、営業利益は611百万円(前期比106.1%増)と、増収増益となりました。
フーズ事業
フーズ事業では、ホテルレストラン受託事業の案件が増加したことなどにより、売上高は7,357百万円(前期比5.1%増)となり、営業利益は110百万円(前期比15.6%増)と、増収増益となりました。
デベロップメント事業
デベロップメント事業では、開発を推進したことや不動産流動化の実施等もあり、売上高は16,703百万円(前期比5.4%増)となりました。一方、営業利益は前期に比べて不動産流動化における開発利益の減少もあり、1,376百万円(前期比27.8%減)となりました。
その他事業
その他事業は、シニアライフ事業(高齢者向け住宅の管理運営事業)、PKP事業(自治体向け業務受託事業)、単身生活者支援事業、保険代理店事業、総合人材サービス事業、融資事業及び事務代行業であります。これらの事業の合計は、売上高は13,361百万円(前期比7.7%増)、営業利益は31百万円(前期は営業損失125百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,722百万円増加し17,792百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、売上債権の増減額の影響により、前連結会計年度に比べ1,502百万円収入が減少し、16,460百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、有形固定資産の取得による支出の影響により、前連結会計年度に比べ1,430百万円支出が増加し、22,904百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、長期借入れによる収入の影響により、前連結会計年度に比べ5,601百万円収入が増加し、8,208百万円の収入となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
50,3032.8
学生寮26,0270.8
社員寮15,0026.3
ドミール4,6893.6
受託寮4,5832.8
ホテル78,9760.8
ドーミーイン事業46,0341.0
リゾート事業32,9410.6
総合ビルマネジメント16,6617.3
オフィスビルマネジメント事業4,8994.2
レジデンスビルマネジメント事業11,7628.7
フーズ7,3575.1
デベロップメント16,7035.4
報告セグメント計170,0032.6
その他13,3617.7
調整額△13,594-
合計169,7704.3

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますので、ご参照下さい。会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」をご参照下さい。
(繰延税金資産)
将来の利益計画に基づいた課税所得の見積りを行い、将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を計上しています。
繰延税金資産の回収可能性は、連結会計年度末時点で入手可能な情報や資料に基づき判断しておりますが、新型コロナウイルスの影響により、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損処理) 当社グループは各事業所を資産グループとして判断しており、営業活動から生ずる損益が継続してマイナスである資産グループについては、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
回収可能価額の算定にあたっては、連結会計年度末時点で入手可能な情報や資料に基づき判断しておりますが、新型コロナウイルスの影響により、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ14,554百万円増加の217,086百万円(前連結会計年度末は202,531百万円)となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ9,533百万円増加の50,590百万円(前連結会計年度末は41,056百万円)となりました。これは主に、不動産流動化等により、仕掛販売用不動産が4,702百万円増加、受取手形及び売掛金が1,783百万円、及び現金及び預金が1,660百万円増加したことなどによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ5,107百万円増加の165,904百万円(前連結会計年度末は160,796百万円)となりました。これは主に、新規事業所の開業等により、建物及び構築物が4,195百万円増加、建設仮勘定が3,810百万円減少、敷金が1,244百万円増加したことなどによるものであります。
繰延資産は、前連結会計年度末に比べ86百万円減少の591百万円(前連結会計年度末は678百万円)となりました。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ10,170百万円増加の133,131百万円(前連結会計年度末は122,961百万円)となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ21,040百万円増加の71,080百万円(前連結会計年度末は50,040百万円)となりました。これは主に、前連結会計年度末に固定負債に残高のあった転換社債型新株予約権付社債が、流動負債の1年以内償還予定の転換社債型新株予約権付社債に振り替わったためであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ10,870百万円減少の62,050百万円(前連結会計年度末は72,921百万円)となりました。これは主に、前連結会計年度末に固定負債に残高のあった転換社債型新株予約権付社債が、流動負債の1年以内償還予定の転換社債型新株予約権付社債に振り替わったためであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,384百万円増加の83,954百万円(前連結会計年度末は79,570百万円)となりました。これは主に、利益剰余金が5,095百万円増加したことによるものです。
2)経営成績
(売上高)
売上高は、新規事業所の開業等により、前期に比べ4.3%増の169,770百万円となりました。そのうち、寮事業売上高は、前期に比べ2.8%増の50,303百万円、ホテル事業売上高は、前期に比べ0.8%増の78,976百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、新規事業所の開業費用等の増加などにより、前期に比べ8.2%増の135,554百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、前期に比べ0.0%減の23,009百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、新型コロナウイルスの影響により首都圏、関西圏を主としたドーミーイン事業での稼働率が低下し、前期に比べ27.6%減の6,927百万円となりました。3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、事業所、リース物件の賃借料のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規事業所の取得及び開業費用、既存事業所の改修費用等によるものであります。
当社グループは、事業資金について自己資金のほか、金融機関からの借入等により調達しております。一方で、自社所有物件の一部について当社の管理運営・賃借契約付運用物件として投資家に売却する等の手法を活用して有利子負債依存度の低下を図っております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は93,444百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は17,792百万円となっております
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画の主な定量目標と初年度進捗状況
中期経営計画3年目である当期は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響により、当初計画を下回る進捗状況となりました。一方、開発計画につきましては予定通りに進捗し、ホテル事業においては、中期経営計画の開発目標室数に達しております。
中期経営計画の主な定量目標と進捗状況は以下に記載のとおりであります。
主な定量目標中期経営計画最終年度(2022年度3月期)進捗状況
売上高2,200億円1,697億円
営業利益190億円112億円
ネットDER財務健全性の目途となる1.0倍以内0.9倍
配当性向配当性向を20%超とするべく、漸次水準切り上げ25.3%
ROE10%以上8.5%

開発計画中期経営計画
期間中開発目標室数
進捗状況
開業決定室数進捗率内)開業済室数
7,000室約6,100室87%4,317室
ドーミーイン9,000室約9,000室100%4,636室
リゾート1,400室約1,500室107%659室

(注)開業決定室数は、2020年3月31日現在、中期経営計画期間中に開業が決定している室数(一部予定)であり、開業済室数を含みます。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。