有価証券報告書-第24期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/17 17:11
【資料】
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【項目】
99項目
1. 財政状態の状況
(1) 資産
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて87,032百万円(3.5%減)減少し、2,429,601百万円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・現金及び現金同等物の主な増減理由は、「3. キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
・カード事業の貸付金は、主にクレジットカード事業の取扱高増加により前連結会計年度末と比べて増加しました。
・銀行事業の有価証券は、(株)ジャパンネット銀行の資金運用による有価証券の取得・売却等により前連結会計年度末と比べて増加しました。
(2) 負債
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて124,331百万円(8.9%増)増加し、1,519,077百万円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・営業債務及びその他の債務は、主に「Yahoo!ショッピング」加盟店に対する未払金の増加およびふるさと納税に係る未払金の増加により前連結会計年度末と比べて増加しました。
・銀行事業の預金は、顧客からの預金の増加により前連結会計年度末と比べて増加しました。
・有利子負債は、主に社債の発行により前連結会計年度末と比べて増加しました。
(3) 資本
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末と比べて211,363百万円(18.8%減)減少し、910,523百万円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・利益剰余金は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による増加があったものの、自己株式の消却および配当金の支払いにより前連結会計年度末と比べて減少しました。
2. 経営成績の状況
(1) 事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度の売上収益は、9,547億円と前年同期と比べて575億円(6.4%増)増加しました。これは、会計方針の変更に伴う影響があったものの、主に広告売上収益や、アスクルグループの売上収益が増加したこと、ならびに前年度第4四半期の(株)ジャパンネット銀行の子会社化が寄与したことによるものです。
営業利益は、売上収益の増加や第1四半期の子会社株式売却益があったものの、販売促進費、減価償却費及び償却費および人件費が増加したこと、当社の子会社であるアスクル(株)において36億円、シナジーマーケティング(株)において23億円の減損損失をそれぞれ計上したこと、ならびに前年度第1四半期にアスクル(株)の保険金収入があったこと等により、前年同期比で減少しました。また、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益については、上記要因に加え、当期よりサービスを開始した「PayPay」への積極的な投資の結果、183億円の持分法投資損失を計上したこと等により前年同期比で減少しました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上収益9,547億円(前連結会計年度比6.4%増)、営業利益1,405億円(前連結会計年度比24.4%減)、税引前利益1,233億円(前連結会計年度比36.1%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益786億円(前連結会計年度比40.0%減)となりました。
① メディア事業
検索連動型広告における売上収益が、表示デザインの改善や新機能の提供開始により前年同期比で増加したこと等に伴い、メディア事業の売上収益は前年同期比で増加しました。一方、Yahoo! JAPANトップページをはじめ各サービスにおいて動画コンテンツを充実させるための調達費用等が前年同期比で増加したこと等に伴い、営業利益は前年同期比で減少しました。
以上の結果、当連結会計年度のメディア事業の売上収益は3,034億円(前年同期比4.4%増)、営業利益は1,410億円(前年同期比9.6%減)となり、全売上収益に占める割合は31.8%となりました。(※1)
② コマース事業
アスクルグループやワイジェイカード(株)における売上収益が増加したことや、前年度第4四半期に(株)ジャパンネット銀行を子会社化したことが寄与したことに加え、「Yahoo!ショッピング」における広告売上収益(※2)が増加したこと等により、コマース事業の売上収益は前年同期比で増加しました。また、eコマース取扱高(物販)(※3)は、前年同期比で8.7%増の1兆9,515億円となりました。一方、営業利益はコマース事業拡大のための積極的な販売促進活動等により、前年同期比で減少しました。
以上の結果、当連結会計年度のコマース事業の売上収益は6,496億円(前年同期比9.7%増)、営業利益は557億円(前年同期比32.7%減)となり、全売上収益に占める割合は68.0%となりました。(※1)
(※1) 2018年4月1日より、サービスの効率的な提供に重点を置き、迅速に市場の変化に対応するため、一部のサービスおよび子会社をセグメント間で移管しています。移管の主な内容は、子会社である(株)GYAOを含む映像関連サービスを「コマース事業」から「メディア事業」へ移管していることです。これに伴い、前連結会計年度のセグメント情報を修正再表示しています。
(※2) 当社におけるコマース事業の広告売上収益、バリューコマース(株)が「Yahoo!ショッピング」出店ストアに販売している「Yahoo!ショッピング」の広告商品「ストアマッチ」等の売上収益の合計値です。「Yahoo!ショッピング」出店ストアが出稿している検索連動型広告、YDN等の売上収益はメディア事業セグメントの広告売上収益に計上しています。
(※3) 「Yahoo!官公庁オークション」を含む「ヤフオク!」の取扱高、ショッピング事業取扱高、その他物販取扱高、2015年度2Q以降(2Qは1ヶ月相当)のアスクル(株)におけるBtoB事業インターネット経由売上収益(20日締め)を含みます。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループはインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また受注生産形態をとらない事業も多いため、セグメント毎に生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
なお、販売の状況については、「2 経営成績の状況 (1) 事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況」における各セグメントの業績に関連づけて示しています。
3. キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ321,540百万円減少し、546,784百万円となりました。このうち、銀行事業に関する日銀預け金は237,018百万円です。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の納付があったものの、主に税引前利益の計上により149,957百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に銀行事業の有価証券の取得・売却等および有形固定資産・無形資産の取得により212,193百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に自己株式の取得により263,305百万円の支出となりました。
流動性および資金の源泉
流動性リスクとその管理方法については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 29. 金融商品」に記載しています。
当連結会計年度における資金の主な増減要因については、上記に記載していますが、投資有価証券の取得や恒常的な支出であるサーバー等ネットワーク設備への設備投資等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉としています。
4. 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
(1) 連結の範囲
アスクル(株)については、議決権の45.1%を所有しているため、日本基準では関連会社ですが、IFRSでは議決権の分散状況および過去の株主総会の投票パターン等を勘案した結果、当社がアスクル(株)を実質的に支配していると判断し、同社を子会社化しています。
上記の影響により、IFRSでは日本基準に比べて資産合計が250,411百万円増加、負債合計が140,384百万円増加、資本合計が99,968百万円増加しています。また、売上収益が383,535百万円増加、営業利益が4,654百万円減少、親会社の所有者に帰属する当期利益が617百万円減少しています。
(2) 売上収益の純額表示
日本基準では主に検索連動型広告等の売上に応じて支払うTraffic Acquisition Costの一部について純額で表示していますが、IFRSでは総額で表示しています。
上記の影響により、IFRSでは日本基準に比べて売上収益が25,523百万円増加しています。
(3) のれんの償却
日本基準ではその効果の及ぶ期間を見積り、その期間で償却することとしていますが、IFRSでは移行日以降の償却を停止しています。
上記の影響により、IFRSでは日本基準に比べて営業利益が10,353百万円増加、親会社の所有者に帰属する当期利益が10,315百万円増加しています。