有価証券報告書-第29期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/17 15:05
【資料】
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【項目】
165項目
1. 財政状態の状況
(1) 資産
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて455,246百万円(5.3%増)増加し、9,043,969百万円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・現金及び現金同等物の主な増減理由は、「キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
・カード事業の貸付金は、主にクレジットカード事業の取扱高増加により前連結会計年度末と比べて増加しました。
・銀行事業の有価証券は、PayPay銀行(株)の資金運用による有価証券の取得・売却等により前連結会計年度末と比べて増加しました。
(2) 負債
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて326,161百万円(6.2%増)増加し、5,596,983百万円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・営業債務及びその他の債務は、主にPayPay(株)の加盟店に対する未払金の増加およびユーザーからの預り金の増加により前連結会計年度末と比べて増加しました。
・銀行事業の預金は、顧客からの預金の増加により前連結会計年度末と比べて増加しました。
(3) 資本
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末と比べて129,084百万円(3.9%増)増加し、3,446,985百万円となりました。
主な増減理由は以下のとおりです。
・利益剰余金は、配当の支払いによる減少があったものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による増加により前連結会計年度末と比べて増加しました。
・その他の包括利益累計額は、主に円安の影響に伴う在外営業活動体の換算差額の増加により前連結会計年度末と比べて増加しました。
2. 経営成績の状況
(1) 事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度の売上収益は、2022年10月にPayPay(株)を連結子会社化した影響に加えて、PayPay(株)とPayPayカード(株)を含むPayPay連結の成長に伴う戦略事業の増収、アスクルグループおよびZOZOグループの成長に伴うコマース事業の増収、アカウント広告の成長に伴うメディア事業の増収により、過去最高となる1兆8,146億円(前年同期比8.5%増)となりました。
調整後EBITDAは、上記増収やコマース事業を中心としたコスト最適化、戦略事業での事業の選択と集中により、過去最高となる4,149億円(24.7%増)となりました。なお、前年度第3四半期に計上した、PayPay(株)連結子会社化による企業結合に伴う再測定益の影響により、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益等については前年同期比で減益となったものの、企業結合に伴う再測定益は調整後EBITDAの算出における調整項目であり、調整後EBITDAへの影響はありません。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。なお、2024年3月期第1四半期より、サービスの効率的な提供に重点を置き、迅速に市場の変化に対応するため、一部のサービスおよび子会社をセグメント間で移管しています。主な変更内容は、その他に区分されていたヤフー(株)のデータソリューションサービスおよび子会社であるdely(株)のサービスをメディア事業に移管し、また、その他および調整額に配賦していたLINE(株)およびその子会社に関する費用の一部をメディア事業、コマース事業および戦略事業に配賦しています。これに伴い、前年同期のセグメント情報を遡及修正して表示しています。
また、2023年10月1日付のグループ内再編に伴い、2024年3月期第3四半期より一部のサービスおよび費用をセグメント間で移管しています。主な変更内容は、コマース事業に区分されていたプレミアム会員、戦略事業に区分されていた「LINE Search」およびその他に区分されていたメールサービスをメディア事業に移管し、調整額に計上されていたスタッフ部門およびテクノロジー部門の人件費、データセンターおよび社内インフラに関わる費用をメディア事業、コマース事業、戦略事業およびその他に配賦しています。これに伴い、前年同期のセグメント情報を遡及修正して表示しています。
① メディア事業
メディア事業の売上収益は、アカウント広告の増収等により7,076億円(前年同期比1.8%増)となりました。また、調整後EBITDAは2,546億円(前年同期比7.0%増)となりました。なお、メディア事業の売上収益が全売上収益に占める割合は39.0%となりました。
・アカウント広告:「LINE公式アカウント」において2023年6月に料金プランを改定したことも奏功し、有償アカウント数が増加しており、売上収益は前年同期比で22.3%増加しました。
・検索広告:パートナーサイト面では減収となったものの、LINEヤフー面の増収により、売上収益は前年同期比 0.8%増となりました。
・ディスプレイ広告:市況は緩やかな改善傾向にあるものの、前年同期比で減収となりました。
② コマース事業
コマース事業の売上収益は、アスクルグループおよびZOZOグループにおける増収や、サービスEC事業の成長もあり、前年同期比で増加しました。
eコマース取扱高(※1)は、コスト最適化等の影響があったものの、4兆1,954億円(前年同期比2.0%増)となり、うち国内物販系取扱高は、3兆380億円(前年同期比1.7%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度におけるコマース事業の売上収益は、8,215億円(前年同期比3.6%増)となりました。また、調整後EBITDAは上記増収やコスト最適化により、1,432億円(前年同期比25.0%増)となりました。なお、コマース事業の売上収益が全売上収益に占める割合は45.3%となりました。
(※1) eコマース取扱高は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 33. 売上収益 (1) 売上収益の分解 各セグメントの主なサービス・商品」に掲載しているコマース事業の「LINEヤフー」内の「ショッピング事業」、「リユース事業」、「サービスEC事業」および「ZOZO、アスクル」内の「ZOZO」、「アスクル」ならびにメディア事業の「その他」の有料デジタルコンテンツ等における取扱高の合算値です。
③ 戦略事業
戦略事業の売上収益は、2022年10月のPayPay(株)連結子会社化の影響やPayPay連結の成長により、前年同期比で増加しました。
PayPay連結取扱高は、12.5兆円(※2、3)(前年同期比22.2%増(※4))となり、順調に拡大しています。また、PayPay銀行(株)の貸出金残高は7,293億円(前年同期比16.8%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における戦略事業の売上収益は、2,899億円(前年同期比51.0%増)となりました。また、事業の選択と集中を推進したことやPayPay連結の成長により、戦略事業の調整後EBITDAは115億円となり通期で初めて黒字となりました。なお、戦略事業の売上収益が全売上収益に占める割合は16.0%となりました。
(※2) ユーザー間での「PayPay残高」の「送る・受け取る」機能の利用は含まず。2022年3月期第4四半期以降は「Alipay」、「LINE Pay」等経由の決済を含む。2022年2月より提供開始した「クレジット (旧あと払い)」による決済を含む。PayPayカード(株)の取扱高を2022年3月期の期初から連結して表示。PayPay(株)とPayPayカード(株)間の内部取引消去後
(※3) 値は10億円単位で端数切り捨ての上、1,000億円単位で四捨五入
(※4) PayPayカード(株)の取扱高を含む連結取扱高の増減率
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループはインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また受注生産形態をとらない事業も多いため、セグメント毎に生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。 なお、販売の状況については、「2 経営成績の状況 (1) 事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況」における各セグメントの業績に関連づけて示しています。
(3) 経営指標に関する分析・検討
当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の各指標を主要な経営指標としています。当連結会計年度における当該指標の推移のうち、全社の売上収益、調整後EBITDA、広告関連売上収益、eコマース取扱高、「PayPay」取扱高については、「2.経営成績の状況」に記載のとおり堅調に推移しています。
また、その他の経営指標に関しましては、メディア事業では、Yahoo! JAPANポータルサイトの月間ログインユーザーID数、ログインユーザー利用時間。また、コミュニケーションアプリLINEの月間アクティブユーザー数(MAU)、DAU/MAU比率(MAUに占める日次アクティブユーザー数(DAU)の比率。アクティブ率)は前年同期比で引き続き、堅調に推移しました。また、戦略事業ではキャッシュレスの推進等により、「PayPay」の決済回数やPayPay銀行(株)の貸出金残高が順調に増加しました。これらの増加は、当連結会計年度における同事業の堅調な成長に寄与していると判断しています。
3. キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ231,420百万円減少し、1,420,430百万円となりました。このうち銀行事業に関する日銀預け金は231,807百万円です。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、カード事業の貸付金の増加、法人所得税の支払、銀行事業の貸付金の増加があったものの、主に営業債務及びその他の債務の増加、税引前利益の計上、銀行事業の預金の増加の計上により316,477百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、銀行事業の有価証券の売却または償還による収入、貸付金の回収による収入があったものの、主に銀行事業の有価証券の取得による支出、投資の取得による支出、有形固定資産の取得による支出により444,060百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入があったものの、主に社債の償還による支出、長期借入金の返済による支出、配当金の支払、リース負債の返済による支出、コマーシャル・ペーパーの発行・償還により81,490百万円の支出となりました。
流動性および資金の源泉
流動性リスクとその管理方法については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 30. 金融商品」に記載しています。
当連結会計年度における資金の主な増減要因については、上記に記載していますが、恒常的な支出であるサーバー等ネットワーク設備への設備投資等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉としています。
4. 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.見積り及び判断の利用」に記載しています。