有価証券報告書-第30期(令和1年10月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/12/22 15:05
【資料】
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【項目】
87項目
(1)経営成績に関する分析
(当期の経営成績)
当期の経営環境において、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の世界的な感染拡大により経済活動が停滞し、また、4月上旬に発令された緊急事態宣言下における外出自粛や、消費行動の抑制に起因する広告需要の減少が見られました。その後、5月中旬には緊急事態宣言が解除され、経済活動が緩やかに再開していくとともに、3月後半から減少を続けていた広告需要も5月を底に回復し、以降9月まで回復が持続しております。
また、国内における2019年のスマートフォン個人保有率は67.6%まで伸長し、とりわけ10~30代においては8~9割に迫る高水準で普及しており、Z世代、ミレニアル世代を中心とした量的拡大が進行しております。それとともに保有者一人一人の利用目的についても、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の利用率の高まりに伴って多様化しており、質的にも顕著な変化がうかがわれます(出所:総務省「令和元年版通信利用動向調査」)。このようにスマートフォンがインターネット利用デバイスの主流となる中で、各種サービス・アプリケーション市場においては、動画、音楽、電子書籍を始めとするコンテンツへの拡大が加速しているほか、ソーシャルメディアの活用方法もコミュニケーションのみに留まらず、決済や購買などの領域にも広がり、その影響力をより一層強めていることから、それぞれのメディア特性やデータ、AIを活用したマーケティング支援の需要は一段と高まっております。
このような環境のもと、主力のデジタルマーケティング事業では、COVID-19による消費全般のオンライン化に伴う案件拡大や国内電通グループとの協業の推進により、増収増益となりました。メディアプラットフォーム事業では、COVID-19による影響から、赤字幅が拡大いたしました。
また、新たな事業セグメントへの拡張に向け、保有する資本を活用し、スポーツ領域、シェアリングアセット領域、エンタメ領域における各企業への資本参加、事業提携を開始いたしました。
これらの結果、収益は17,938百万円(前期比6.8%増)、Non-GAAP営業利益は2,452百万円(前期比18.8%増)、営業利益は2,274百万円(前期は183百万円の営業利益)、税引前当期利益は2,325百万円(前期は81百万円の税引前当期損失)、当期利益は1,471百万円(前期は542百万円の当期損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,464百万円(前期は547百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。
当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下、Non-GAAP指標)及びIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しております。Non-GAAP営業利益は、IFRSに基づく営業利益から、一時的要因を調整した恒常的な事業の業績を測る利益指標であります。経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来の見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しております。なお、一時的要因とは、将来見通し作成の観点から一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する減損損失、固定資産の売却損益等の一過性の利益や損失のことであります。さらに、財務諸表利用者にとって有用であると考えていることから、IFRSに準拠した開示ではありませんが、全ての取引について総額により表示した収益を「売上高」として任意開示しております。
営業利益からNon-GAAP営業利益への調整及び売上高は次のとおりであります。
(単位:百万円)
前期
(前連結会計年度)
当期
(当連結会計年度)
増減額増減率
営業利益1832,2742,091-
調整額(減損損失)1,80453△1,751
調整額(その他)7812547
Non-GAAP営業利益2,0652,45238718.8%
売上高76,50176,489△12△0.0%

報告セグメント別の業績は、次のとおりであります。なお、当期より、従来ネットマーケティング事業、メディアコンテンツ事業としていた報告セグメントの名称をデジタルマーケティング事業、メディアプラットフォーム事業に変更しております。当該変更は名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。また、前期のセグメント情報についても変更後の名称で記載しております。
当該内容の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に関する注記 4.セグメント情報」をご参照ください。
①デジタルマーケティング事業
デジタルマーケティングを中心として、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)における総合的な支援を行う事業セグメントによって構成されております。
当期においては、電通グループ協業での中期協業の顧客数及び顧客単価が前期比で増加し、提携が着実に進捗いたしました。また、ゲーム、マンガ、動画配信、EC等の広告主を中心とした、オンライン消費の拡大に伴う需要の取り込みにより、案件が拡大いたしました。国内ブランド広告取扱高も順調に増加いたしました。
これらの結果、収益は15,807百万円(前期比4.8%増)、Non-GAAP営業利益は5,248百万円(前期比9.9%増)となりました。
②メディアプラットフォーム事業
マンガコンテンツ事業「GANMA!」、採用プラットフォーム事業「ViViViT」、社会貢献プラットフォーム事業「gooddo」、医療プラットフォーム事業「Pharmarket」、育児プラットフォーム事業「ベビフル」等の事業セグメントから構成されております。
当期においては、マンガアプリ「GANMA!」の広告収益は、COVID-19感染拡大による影響を大きく受け、減少いたしました。一方で、累計ダウンロード数は2020年9月末時点で約1,461万件となり、サブスクリプション課金が堅調に増加いたしました。また、「GANMA!」以外のその他の事業の成長により、収益が増加いたしましたが、COVID-19感染拡大による影響により、赤字幅が拡大いたしました。
これらの結果、収益は2,487百万円(前期比24.0%増)、Non-GAAP営業損失は956百万円(前期は901百万円のNon-GAAP営業損失)となりました。
(2)財政状態に関する分析
当期末の資産は、前連結会計年度に比べて、4,012百万円増加し、34,425百万円となりました。これは主に、営業債権が2,715百万円増加したことによるものであります。
当期末の負債は、前連結会計年度に比べて、3,010百万円増加し、18,613百万円となりました。これは主に、営業債務が2,254百万円増加したことによるものであります。
当期末の資本は、前連結会計年度に比べて、1,002百万円増加し、15,811百万円となりました。これは主に、配当金の支払額が253百万円発生したこと及び当期利益を1,471百万円計上したことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当期における「現金及び現金同等物」は前連結会計年度に比べて408百万円減少し、14,081百万円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況と主な内容は、次のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
当期における営業活動の結果、2,340百万円の資金流入(前連結会計年度は1,258百万円の資金流入)となりました。これは主に、税引前当期利益2,325百万円を計上したことによるものであります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
当期における投資活動の結果、804百万円の資金流出(前連結会計年度は205百万円の資金流出)となりました。これは主に、有価証券の取得による支出962百万円が発生したことによるものであります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
当期における財務活動の結果、1,941百万円の資金流出(前連結会計年度は1,411百万円の資金流出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出850百万円、リース負債の返済による支出837百万円及び配当金の支払253百万円が発生したことによるものであります。
(4)仕入及び販売の実績
①仕入実績
仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。
②販売実績
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に関する注記 4.セグメント情報」に、販売実績に相当する内容を記載しております。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に、経営成績に重要な影響を与える要因に相当する内容を記載しております。
(6)経営者の課題認識と今後の方針について
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、経営者の課題認識と今後の方針に相当する内容を記載しております。
(7)資金の財源及び資金の流動性について
当社グループは、事業の競争力を維持・強化することによる持続的な成長を実現するため、また、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるために、新サービスないし新規事業に取り組んでいく考えであります。これらの資金需要は、手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。
流動性リスクとその管理方法については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に関する注記 27. 金融商品」に記載しております。
(8)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に関する注記 2.作成の基礎」及び「3.重要な会計方針」に記載しております。