四半期報告書-第28期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/02/14 11:46
【資料】
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【項目】
34項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
国内の情報通信分野においては、2018年においてもインターネット普及率は79.8%と高水準で推移しており、その中でもスマートフォンを保有している世帯割合は79.2%とパソコンを保有する世帯割合を上回る状況となっています(※1)。一方、2000年以降、若年層を中心にテレビ離れの動きが進み、2018年には平日休日ともにインターネットの利用率がテレビ視聴率を初めて上回りました(※2)。また、スマートフォンからの月間平均動画視聴時間は5年間で約4倍に増加するなど(※3)、今後もインターネット利用率の上昇とスマートフォンの普及拡大を背景に、デジタル化時代に沿ったサービスへの移行が加速していくものと見込まれます。
※1 出所: 総務省 「平成30年通信利用動向調査の結果」
※2 出所: 総務省 「平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
※3 出所: ニールセンデジタル株式会社「Nielsen Digital Database 2018」
また、エンターテインメント市場においては、世界の音楽市場はストリーミングを中心に売上高は190億ドルと前年比10%増加し(※4)、4年連続で増加するなか、1996年以降最大の売上高の伸びを記録しています。日本においても、音楽ビデオを含む音楽ソフトの生産実績は2,403億円と前年比4%増加し(※5)、3年ぶりに売上増に転じました。依然としてパッケージ商品の縮小傾向が続いておりますが、有料音楽配信の売上実績は645億円と前年比13%増加しており、特にストリーミングは前年比33%上昇し、ダウンロードを初めて上回りました。一方、ライブ・エンタテインメントの市場規模はコト消費の拡大を元に3,448億円と前年比4%増加しております(※6)。
※4 出所: IFPI「Global Music Report 2019」
※5 出所: 一般社団法人日本レコード協会「日本のレコード産業2019」
※6 出所: 一般社団法人コンサートプロモーターズ協会「平成30年基礎調査報告書」
当社は1992年に創業され着信メロディを世界で初めて事業化するなど、携帯電話の普及とともに音楽配信事業を中核として順調に成長してまいりました。現在の音楽市場はスマートフォンの普及に伴い、ストリーミング、一般ユーザーが社会へ容易に情報発信できるユーザーアップロードコンテンツ(UUC)やソーシャルメディアといったメディアが多様化するなか、コンテンツの流通方法をはじめ、消費スタイルや、コンテンツの制作方法等、音楽業界のあらゆる活動が変化している状況にあります。
このような環境の下、当社グループは、創業以来コンテンツのデジタル流通に注力してきた取組みを活かし、引き続き『マルチコンテンツ&マルチデバイス戦略(様々なコンテンツを、必要なときに、必要な場所で楽しむことができる環境の創造)』を推進し、インターネット上に溢れる情報を収集、整理し、付加価値を高めてユーザーに提供するプラットフォームの開発など市場環境の変化に応じた新規サービス展開に取り組んでまいりました。
また、2012年以降、訪日観光客数は増加を続け、2018年には前年比8.7%増の年間3,119万人となり(※7)、日本におけるナイトタイムエコノミー市場は2020年7月に控えた東京五輪後も拡大が期待されています。当社は2018年に都内最大級のミュージックラウンジ「PLUSTOKYO」(プラストーキョー)を東京・銀座に、2019年には、ものまねを中心とした世界の一流パフォーマンスを提供するエンターテインメント施設「コロッケミミックトーキョー」を東京・六本木にオープンいたしました。今後とも、音楽を軸としたアート、フード、エンターテインメントの要素を合わせ持つ空間として新しいライフスタイルの提案を行ってまいります。
※7 出所:日本政府観光局「平成30年 訪日外客数・出国日本人数」
当社は、2019年10月8日付で、株式会社KSRの全株式を取得し、フェイス・グループに迎え入れました。同社は2000年に設立され、「湘南乃風」のメンバー若旦那でもある新羅慎二氏が取締役を務める国内レーベルです。ダンスミュージックを中心に様々なアーティストを輩出するとともに、楽曲制作、プロモーション、イベントなどエンターテインメントの分野にて幅広い事業を展開しています。今後は、フェイス・グループが進めるアーティスト向けプラットフォーム事業やアーティストの育成・開発、楽曲制作、宣伝・販売などの事業に対する相乗効果を発揮してまいります。
当社グループの第3四半期連結累計期間の業績については、主要な売上である既存配信サービスの売上は引き続き減少しており、コンテンツ事業における新規事業が売上に寄与いたしましたが、レーベル事業の売上が前年同期に比べ減少したため、売上高は前年同期比3.6%減の15,226百万円となりました。利益につきましては、レーベル事業の利益率の改善により、営業利益は前年同期比78.8%増の522百万円、経常利益は564百万円(前年同期は経常損失363百万円)となり、また、特別損失として投資有価証券評価損549百万円の計上を行ったため、親会社株主に帰属する四半期純損失は331百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失307百万円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<コンテンツ事業>コンテンツ事業においては、既存配信事業の売上が減少を続けているため、新規性ある商品開発、多様化する収益機会の獲得に向けて各サービスの連動やプラットフォーム化のほか、高い成長率が見込めるアジア諸国などでの事業展開を積極的に進めており、今後も新たな成長分野への投資を行ってまいります。
「FaRao PRO」は、業務用BGMの提供のみならず、店舗のブランディングを提案するソリューションやアナウンス機能など、店舗運営に必要な機能拡充を中心とした営業活動を積極的に展開しております。また、タブレット端末を使用する従来商品に加え、初期費用を抑えたアプリ版サービスのリリース、ポイント事業との連携による小売店営業の強化を進めております。日本でのサービスを基盤として、インドネシアにおいて「FaRao PRO」事業を展開しており、今後とも、国内外において新たなBGM市場の創造と活性化を目指してまいります。
今後拡大が期待される「D2C」(※8)のビジネスモデルによるアーティスト向けプラットフォーム「Fans'」は、オフィシャルサイトの構築、楽曲・映像配信、アーティストグッズの販売、ファンクラブ運営などアーティスト活動に必要な機能の拡充を行っております。2019年6月には、SNSとの連携強化によりファンがクリエイターの発信する情報を拡散することでコミュニティの創出に貢献できるシステムを導入するなど更なる機能拡充を図っており、より多くのアーティストが作品や情報を自由に発信できるサービスとして、利用者の獲得、拡大を目指すとともに、利便性の追及等サービス品質の向上に努めてまいります。
※8 自社で企画・製造したサービス・商品を直接ユーザーに届けるビジネス形態。Direct to Consumerの略称。
業績につきましては、新規事業の売上が寄与し、売上高は前年同期比7.9%増の2,732百万円となりましたが、キャリア公式サイトサービスの売上減少および新規事業の進捗の遅れに伴い、営業損失は453百万円(前年同期は営業損失406百万円)となりました。
<ポイント事業>ポイント事業においては、ポイント発行サービスを小売店舗に提供するだけでなく、ポイント発行データ取得・分析・販促活用を一連のサイクルとして企画から運用までトータルでサポートし、小売業の販促効率を最大限に高めるアウトソーシングサービスを提供しております。
業績につきましては、既存加盟店でのポイント発行が、販売促進施策の展開により堅調に推移し、売上高は前年同期比0.4%増の2,060百万円となりました。営業利益は、倉庫集約化等のコスト削減に伴い、前年同期比22.0%増の109百万円となりました。
<レーベル事業>レーベル事業においては、音楽市場の縮小に伴う音楽・映像関連業界の厳しい環境の下、パッケージ商品に依存している状況からの脱却を図るため、将来を見すえた新規事業の強化を進めております。
業績につきましては、株式会社ドリーミュージックのアニメ関連商品および日本コロムビア株式会社のアニメ作品、ゲーム作品の売上が前年同期に比べ減少したため、売上高は前年同期比6.9%減の10,432百万円となりました。営業利益は、新たに連結子会社となりました株式会社KSRの業績が堅調であったことや、日本コロムビア株式会社において所属アーティストのライブ売上が好調であったこと、音源使用にかかる売上の堅調な推移などにより、前年同期比43.3%増の869百万円となりました。
※本文書に記載されている会社名、製品名は、各社および各団体の商標または登録商標です。
当第3四半期連結会計期間末における財政状態について、総資産は、前連結会計年度末に比べて242百万円増加し24,585百万円となりました。主として現金及び預金が増加したことによるものであります。負債は、前連結会計年度末に比べて952百万円増加し7,775百万円となりました。主として借入金が増加したことによるものであります。純資産は、前連結会計年度末に比べて710百万円減少し16,809百万円となりました。主として親会社株主に帰属する四半期純損失の計上ならびに自己株式を取得したことよるものであります。
自己資本比率は、3.6ポイント減少して、68.4%となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、30百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。