有価証券報告書-第28期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
国内の情報通信分野においては、2018年においてもインターネット普及率は79.8%と高水準で推移しており、その中でもスマートフォンを保有している世帯割合は79.2%とパソコンを保有する世帯割合を上回る状況となっています(※1)。
一方、2000年以降、若年層を中心にテレビ離れの動きが進み、2018年には平日休日ともにインターネットの利用率がテレビ視聴率を初めて上回りました(※2)。さらに2019年の日本の広告費はインターネット向け広告費が前年比19.7%増の2兆1,048億円となり、テレビ向け広告費の1兆8,612億円を初めて上回りました(※3)。また、新型コロナウイルス拡散防止対策としてテレワークや自宅にいながら離れた相手とオンラインでコミュニケーションを図るサービスの普及が進み、今後もインターネット利用率の上昇とスマートフォンの普及拡大を背景に、デジタル化時代に沿ったサービスへの移行が加速していくものと見込まれます。
※1 出所:総務省 「平成30年通信利用動向調査の結果」
※2 出所:総務省 「平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
※3 出所:株式会社電通 「2019年 日本の広告費」
また、エンターテインメント市場においては、世界の音楽市場はストリーミングを中心に売上高は約2兆1,984億円(202億ドル)と前年比8.2%増加し、5年連続で売上高の伸びを記録しています(※4)。日本においては、音楽ビデオを含む音楽ソフトの生産実績は2,291億円と前年比5%減少し、依然としてパッケージ商品の縮小傾向が続いておりますが、有料音楽配信の売上実績は706億円と前年比10%増加いたしました。特にストリーミングは前年比33%上昇し、音楽配信売上金額の区分別シェアでは大きくダウンロードを上回りました(※5)。一方、「モノ消費からコト消費へ」ライフスタイルが変化するなか、ライブ・エンタテインメントの市場規模は継続した拡大が期待されたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、大型イベントやライブ・コンサートは延期、中止を余儀なくされ、先行きについては不透明な状況が続いております。
※4 出所:IFPI「Global Music Report 2020 - THE INDUSTRY IN 2019」
※5 出所:一般社団法人日本レコード協会「日本のレコード産業2020」
当社は1992年に創業され着信メロディを世界で初めて事業化するなど、携帯電話の普及とともに音楽配信事業を中核として順調に成長してまいりました。現在の音楽市場はスマートフォンの普及に伴い、ストリーミング、一般ユーザーが社会へ容易に情報発信できるユーザーアップロードコンテンツ(UUC)やソーシャルメディアといったメディアが多様化するなか、コンテンツの流通方法をはじめ、消費スタイルや、コンテンツの制作方法等、音楽業界のあらゆる活動が変化している状況にあります。
このような環境の下、当社グループは、創業以来コンテンツのデジタル流通に注力してきた取組みを活かし、引き続き『マルチコンテンツ&マルチデバイス戦略(様々なコンテンツを、必要なときに、必要な場所で楽しむことができる環境の創造)』を推進し、インターネット上に溢れる情報を収集、整理し、付加価値を高めてユーザーに提供するプラットフォームの開発など市場環境の変化に応じた新規サービス展開に取り組んでまいりました。
また、訪日観光客数は2018年に前年比8.7%増の年間3,119万人となり(※6)、日本におけるナイトタイムエコノミー市場の更なる拡大が期待されていましたが、新型コロナウイルスの世界的規模での感染拡大による海外からの入国制限が発令され、感染対策での店舗営業の自粛要請に伴い、市場は縮小を余儀なくされる状況となりました。当社が運営いたします都内最大級のミュージックラウンジ「PLUSTOKYO」(プラストーキョー)、ものまねを中心とした世界の一流パフォーマンスを提供するエンターテインメント施設「コロッケミミックトーキョー」では営業を休止し、感染拡大防止と安全確保を最優先とし、行政の方針や行動計画に基づき、今後も迅速に対応してまいります。
※6 出所:日本政府観光局「平成30年 訪日外客数・出国日本人数」
当社は、2019年10月8日付で、株式会社KSRの全株式を取得し、フェイス・グループに迎え入れました。同社は2000年に設立された「湘南乃風」のメンバーでもある新羅慎二氏が手掛ける国内レーベルです。ダンスミュージックを中心に様々なアーティストを輩出するとともに、楽曲制作、プロモーション、イベントなどエンターテインメントの分野にて幅広い事業を展開しています。今後は、フェイス・グループが進めるアーティスト向けプラットフォーム事業やアーティストの育成・開発、楽曲制作、宣伝・販売などの事業に対する相乗効果を発揮してまいります。
当社グループの当連結会計年度の業績については、売上高は主要な売上である既存配信サービス売上の減少および新型コロナウイルス感染防止のため店舗の営業を休止したことに伴い、前期比4.2%減の20,093百万円となりましたが、営業利益はレーベル事業における利益率の高い自社販売作品や音源使用にかかる売上が増加したため、前期比166.9%増の385百万円、経常利益は投資事業組合運用益を計上したため471百万円(前期は経常損失586百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は固定資産および非上場株式の減損処理に伴い特別損失を計上したため884百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失309百万円)となりました。
一方、当社グループの当連結会計年度末における財政状態については、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ403百万円増加し、前期比1.7%増の24,746百万円となりました。主として現金及び預金の増加485百万円、建物及び構築物の減少510百万円、投資有価証券の増加187百万円、繰延税金資産の増加311百万円等によるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ1,485百万円増加し、前期比21.8%増の8,307百万円となりました。主として長期借入金の増加377百万円、未払法人税等の増加225百万円、繰延税金負債の増加193百万円によるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ1,081百万円減少し、前期比6.2%減の16,439百万円となりました。主として自己株式の取得690百万円、自己株式の処分368百万円、剰余金の配当133百万円ならびに親会社株主に帰属する当期純損失884百万円によるものであります。自己資本比率は66.4%となりました。
セグメントの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
<コンテンツ事業>コンテンツ事業においては、既存配信事業の売上が減少を続けているため、新規性のある商品開発、多様化する収益機会の獲得に向けて各サービスの連動やプラットフォーム化のほか、高い成長率が見込めるアジア諸国などでの事業展開を積極的に進めており、今後も新たな成長分野への投資を行ってまいります。
「FaRao PRO」は、業務用BGMの提供のみならず、店舗のブランディングを提案するソリューションやアナウンス機能など、店舗運営に必要な機能拡充を中心とした営業活動を積極的に展開しております。また、タブレット端末を使用する従来商品に加え、初期費用を抑えたアプリ版サービスのリリース、ポイント事業との連携による小売店営業の強化を進めております。一方、日本でのサービスを基盤として、インドネシアにおいて「FaRao PRO」事業を展開しており、今後とも、国内外において新たなBGM市場の創造と活性化を目指してまいります。
今後拡大が期待される「D2C」(※7)のビジネスモデルによるアーティスト向けプラットフォーム「Fans'」は、オフィシャルサイトの構築、楽曲・映像配信、アーティストグッズの販売、ファンクラブ運営などアーティスト活動に必要な機能の拡充を行っております。2019年6月には、SNSとの連携強化によりファンがクリエイターの発信する情報を拡散することでコミュニティの創出に貢献できるシステムを導入するなど更なる機能拡充を図っており、より多くのアーティストが作品や情報を自由に発信できるサービスとして、利用者の獲得、拡大を目指すとともに、利便性の追及等サービス品質の向上に努めてまいります。
※7 自社で企画・製造したサービス・商品を直接ユーザーに届けるビジネス形態。Direct to Consumerの略称。
業績につきましては、新規事業の売上が寄与し、売上高は前期比1.8%増の3,574百万円となりましたが、キャリア公式サイトサービスの売上減少および新規事業の進捗の遅れ、新型コロナウイルスの感染拡大による店舗営業の休止に伴い、営業損失は643百万円(前期は営業損失605百万円)となりました。
<ポイント事業>ポイント事業においては、ポイント発行サービスを小売店舗に提供するだけでなく、ポイント発行データ取得・分析・販促活用を一連のサイクルとして企画から運用までトータルでサポートし、小売業の販促効率を最大限に高めるアウトソーシングサービスを提供しております。
業績につきましては、既存加盟店でのポイント発行が、販売促進施策の展開により堅調に推移し、売上高は前期比3.8%増の2,783百万円なりました。営業利益は、棚卸資産の評価減の増加により、前期比9.0%減の104百万円となりました。
<レーベル事業>レーベル事業においては、音楽市場の変化に伴う音楽・映像関連業界の厳しい環境の下、パッケージ商品に依存している状況からの脱却を図るため、将来を見据えた新規事業の強化を進めております。今後も継続的に音楽業界の主要な役割を果たし、収益を拡大していくためには、ヒット作品の創出、マネジメント、ライブ事業への投資に加えて、刻々と変化する市場環境を先取りしたサービスの投入が必要であると考えております。
業績につきましては、株式会社ドリーミュージックのアニメ関連商品および日本コロムビア株式会社のアニメ作品、ゲーム作品の売上が前期に比べ減少したため、売上高は前期比7.0%減の13,734百万円となりました。営業利益は、第4四半期にライブ売上の減少があったものの、新たに連結子会社となりました株式会社KSRの業績が堅調であったことや日本コロムビア株式会社において所属アーティストのライブ売上が好調であったこと、音源使用にかかる売上の堅調な推移などにより、前期比46.3%増の923百万円となりました。
※本文書に記載されている商品・サービス名は株式会社フェイスの日本またはその他の国における商標または登録商標です。
② キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ485百万円増加し、前期比4.0%増の12,585百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失769百万円、減価償却費310百万円、減損損失544百万円、のれん償却額115百万円、賞与引当金の増加額267百万円、投資有価証券評価損754百万円、売上債権の減少額210百万円があったこと等により前期比158.9%増の1,175百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出72百万円、ソフトウエアの取得による支出87百万円、投資有価証券の取得による支出322百万円、投資有価証券の売却による収入110百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社の取得による支出69百万円があったこと等により、512百万円の支出(前期は187百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出291百万円、長期借入れによる収入760百万円、自己株式の処分による収入189百万円、自己株式の取得による支出690百万円並びに配当金の支払額132百万円があったこと等により、165百万円の支出(前期は1,077百万円の支出)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは、生産活動を行っておりません。仕入実績については、サーバー管理費及び労務費が売上原価の大半を占めるため、記載を省略しております。当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間の取引については相殺消去しております。
2. 上記の金額に消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの作成にあたり、以下の事項が当社グループの重要な判断および見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a. 収益の認識
コンテンツ事業につきましては、数多くのコンテンツを所有するカラオケメーカー、ゲームメーカーなどのコンテンツプロバイダに対し、当社グループのコンテンツ配信ソリューションを提供することにより、当該サービスに加入する会員数またはコンテンツのダウンロード数に応じてユーザーより回収した金額をもとに所定のロイヤリティをコンテンツプロバイダからの報告書をもとに売上計上しております。また、当社グループ自らがコンテンツプロバイダとして行っているサービスについては、会員数の推移等を総合的に勘案しつつ、合理的な方法で売上高を発生基準により見積り計上しております。
ポイント事業につきましては、原則として出荷基準にて加盟店(代理店を含む)へのポイント登録カード販売額(契約に基づく掛率による)を計上しております。
レーベル事業につきましては、市販事業における製品に係る売上高は、製品がレコード特約店等に出荷された時点で認識し、総売上高から返品高を控除した純売上高を計上しております。
b. 売上原価
コンテンツ事業につきましては、サービスをするにあたって必要なサーバー保守費用やシステム構築費用、楽曲等を制作するための費用及び著作権料等並びにそれらに係る労務費や諸経費を売上原価としております。
ポイント事業につきましては、加盟店から返却されるフルマークカード(交換済ポイント)ならびにポイント交換のための仕入商品、加盟店に販売する販促ツールの制作費等を販売原価としております。また、売上高と売上原価を期間対応させるため出荷ポイントのうち未交換ポイント残高を一定の計算方式により見積原価として計上しております。見積原価は、総未交換ポイント残高のうち4年(統計的分析結果に基づく最終的な未使用状態の固定化に要する年数)を経過した未交換ポイントは使用される可能性が低いことから当該見積原価より控除して計上しております。
レーベル事業につきまして、録音費、アーティスト印税、他社所有原盤権使用料などの原盤制作費は、関連作品に係る売上高を認識するまで資産計上し、同時点で原価に計上しております。関連作品の売上予定が無くなったと判断した場合、資産計上されていた原盤制作費は、その事由が判明した時点で全額原価として処理しております。前払費用にはアーティストに支払う契約金や前払印税が含まれております。契約金は契約期間に対応して償却を行っており、前払印税は売上高に対応して原価計上し、また個々のアーティストの過去の作品の販売実績等に基づく販売見込み額を勘案し、予想される将来の売上高に対応して原価計上しております。
c. 投資の減損
売買目的有価証券以外の有価証券のうち時価のあるものについて、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、投資の減損を行います。この場合における「時価が著しく下落したとき」とは、個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合をいいます。また、下落率が30%以上50%未満の銘柄については、過去の株価の推移や発行会社の業績等を勘案し、減損処理の要否を検討しております。市場価格のない株式については、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、投資の減損を行います。この場合における「実質価額が著しく低下したとき」とは、株式の実質価額が取得原価に比べ50%以上低下した場合をいいます。ただし、当該発行会社の財政状態及び経営成績、将来の事業計画等により回復可能性が認められる場合には、投資の減損を行わない場合もあります。
d. 返品制度と返品調整引当金
著作権保護の観点から著作物であるCD等に関しては、レコード会社が市場での販売価格を定め、小売店が決められた定価で販売する再販売価格維持制度が定められております。これを背景として、一般にレコード会社と特約店等との販売契約において、レコード会社に製品を返品することができる旨約定されております。このため当社グループは将来の返品に備えて、過去の返品実績に基づく合理的な見積りにより算出した返品調整引当金を計上しております。
e. 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。なお、取引先の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる場合があります。
f. 退職給付に係る会計処理
従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務から年金資産の額を控除した額を退職給付に係る負債として計上し、未認識数理計算上の差異を退職給付に係る調整累計額として計上しております。
日本コロムビア㈱及び一部の子会社においては、受給者向けには確定給付企業年金制度を、従業員向けには退職慰労金支給規定に基づく退職一時金制度と確定拠出年金制度を併用した年金制度を採用しております。
当社及び一部の国内連結子会社は、退職一時金制度又は確定拠出年金制度を採用しており、退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を適用しております。
退職給付費用及び退職給付債務は数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の期待収益率などが含まれております。割引率は日本証券業協会の「格付けマトリクス表」によるダブルA格相当以上を得ている社債の利回りを勘案して算出しており、年金資産の期待収益率は年金資産が投資されている資産の種類毎の長期期待収益率に基づいて算出しております。将来、年金資産の運用利回りが低下した場合や、退職給付債務を計算する前提となる数理上の前提・仮定に変更があった場合には、退職給付債務や退職給付費用が増加し、影響を及ぼす可能性があります。
g. 繰延税金資産
当社グループでは、一部の連結子会社において、繰延税金資産を計上しております。
現在の新型コロナウイルス感染症拡大に関する影響から、レーベル事業においては、将来の収益見通しが依然として不透明な状況にありますが、現時点では連結財務諸表に影響を与える会計上の見積り及び判断への影響は限定的と考えております。なお、不確実性が更に高まった場合には、将来における実績値に基づく結果がこの見積りとは異なる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の売上高は20,093百万円(前期比4.2%減)売上原価は12,605百万円(同8.2%減)、販売費及び一般管理費は7,102百万円(同0.3%増)、営業利益は385百万円(同166.9%増)、経常利益は471百万円(前期は経常損失586百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は884百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失309百万円)となりました。
a. 売上高
売上高は前期比872百万円減の20,093百万円となりました。これは、主として、レーベル事業でのアニメ関連商品およびアニメ作品、ゲーム作品の売上が前期に比べ減少したためであります。
b. 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は前期比1,131百万円減の12,605百万円、販売費及び一般管理費は前期比18百万円増の7,102百万円となりました。これは、主として、レーベル事業の売上減少に伴い、製造費が前期に比べ減少したためであります。
c. 営業利益
営業利益は、前期比240百万円増の385百万円となりました。これは、レーベル事業において新たに取得した連結子会社の業績が堅調であったことや、利益率の高い自社販売作品及び音源使用にかかる売上の増加等によるものであります。
d. 経常損益
経常損益は、前期比1,058百万円増の471百万円の利益となりました。これは主として、営業利益を385百万円及び投資事業組合運用益を117百万円計上したことによるものであります。
e. 税金等調整前当期純損益
税金等調整前当期純損益は、前期比376百万円減の769百万円の損失となりました。これは主として、投資有価証券評価損754百万円及び減損損失544百万円を計上したことによるものであります。
f. 親会社株主に帰属する当期純損益
親会社株主に帰属する当期純損益は、前期比575百万円減の884百万円の損失となりました。これは主として、税金等調整前当期純損失769百万円計上したこと及び法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額を114百万円計上したことによるものであります。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度における資本の財源および資金の流動性については、従前より営業活動並びに投資活動においては、手元資金で賄っております。一方、財務活動におきましては、自己株式の取得等に備え、銀行からの借入を実施しました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ485百万円増加し、前期比4.0%増の12,585百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失769百万円、減価償却費310百万円、減損損失544百万円、のれん償却額115百万円、賞与引当金の増加額267百万円、投資有価証券評価損754百万円、売上債権の減少額210百万円があったこと等により前期比158.9%増の1,175百万円の収入となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出72百万円、ソフトウエアの取得による支出87百万円、投資有価証券の取得による支出322百万円、投資有価証券の売却による収入110百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社の取得による支出69百万円があったこと等により、512百万円の支出(前期は187百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出291百万円、長期借入れによる収入760百万円、自己株式の処分による収入189百万円、自己株式の取得による支出690百万円並びに配当金の支払額132百万円があったこと等により、165百万円の支出(前期は1,077百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
国内の情報通信分野においては、2018年においてもインターネット普及率は79.8%と高水準で推移しており、その中でもスマートフォンを保有している世帯割合は79.2%とパソコンを保有する世帯割合を上回る状況となっています(※1)。
一方、2000年以降、若年層を中心にテレビ離れの動きが進み、2018年には平日休日ともにインターネットの利用率がテレビ視聴率を初めて上回りました(※2)。さらに2019年の日本の広告費はインターネット向け広告費が前年比19.7%増の2兆1,048億円となり、テレビ向け広告費の1兆8,612億円を初めて上回りました(※3)。また、新型コロナウイルス拡散防止対策としてテレワークや自宅にいながら離れた相手とオンラインでコミュニケーションを図るサービスの普及が進み、今後もインターネット利用率の上昇とスマートフォンの普及拡大を背景に、デジタル化時代に沿ったサービスへの移行が加速していくものと見込まれます。
※1 出所:総務省 「平成30年通信利用動向調査の結果」
※2 出所:総務省 「平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
※3 出所:株式会社電通 「2019年 日本の広告費」
また、エンターテインメント市場においては、世界の音楽市場はストリーミングを中心に売上高は約2兆1,984億円(202億ドル)と前年比8.2%増加し、5年連続で売上高の伸びを記録しています(※4)。日本においては、音楽ビデオを含む音楽ソフトの生産実績は2,291億円と前年比5%減少し、依然としてパッケージ商品の縮小傾向が続いておりますが、有料音楽配信の売上実績は706億円と前年比10%増加いたしました。特にストリーミングは前年比33%上昇し、音楽配信売上金額の区分別シェアでは大きくダウンロードを上回りました(※5)。一方、「モノ消費からコト消費へ」ライフスタイルが変化するなか、ライブ・エンタテインメントの市場規模は継続した拡大が期待されたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、大型イベントやライブ・コンサートは延期、中止を余儀なくされ、先行きについては不透明な状況が続いております。
※4 出所:IFPI「Global Music Report 2020 - THE INDUSTRY IN 2019」
※5 出所:一般社団法人日本レコード協会「日本のレコード産業2020」
当社は1992年に創業され着信メロディを世界で初めて事業化するなど、携帯電話の普及とともに音楽配信事業を中核として順調に成長してまいりました。現在の音楽市場はスマートフォンの普及に伴い、ストリーミング、一般ユーザーが社会へ容易に情報発信できるユーザーアップロードコンテンツ(UUC)やソーシャルメディアといったメディアが多様化するなか、コンテンツの流通方法をはじめ、消費スタイルや、コンテンツの制作方法等、音楽業界のあらゆる活動が変化している状況にあります。
このような環境の下、当社グループは、創業以来コンテンツのデジタル流通に注力してきた取組みを活かし、引き続き『マルチコンテンツ&マルチデバイス戦略(様々なコンテンツを、必要なときに、必要な場所で楽しむことができる環境の創造)』を推進し、インターネット上に溢れる情報を収集、整理し、付加価値を高めてユーザーに提供するプラットフォームの開発など市場環境の変化に応じた新規サービス展開に取り組んでまいりました。
また、訪日観光客数は2018年に前年比8.7%増の年間3,119万人となり(※6)、日本におけるナイトタイムエコノミー市場の更なる拡大が期待されていましたが、新型コロナウイルスの世界的規模での感染拡大による海外からの入国制限が発令され、感染対策での店舗営業の自粛要請に伴い、市場は縮小を余儀なくされる状況となりました。当社が運営いたします都内最大級のミュージックラウンジ「PLUSTOKYO」(プラストーキョー)、ものまねを中心とした世界の一流パフォーマンスを提供するエンターテインメント施設「コロッケミミックトーキョー」では営業を休止し、感染拡大防止と安全確保を最優先とし、行政の方針や行動計画に基づき、今後も迅速に対応してまいります。
※6 出所:日本政府観光局「平成30年 訪日外客数・出国日本人数」
当社は、2019年10月8日付で、株式会社KSRの全株式を取得し、フェイス・グループに迎え入れました。同社は2000年に設立された「湘南乃風」のメンバーでもある新羅慎二氏が手掛ける国内レーベルです。ダンスミュージックを中心に様々なアーティストを輩出するとともに、楽曲制作、プロモーション、イベントなどエンターテインメントの分野にて幅広い事業を展開しています。今後は、フェイス・グループが進めるアーティスト向けプラットフォーム事業やアーティストの育成・開発、楽曲制作、宣伝・販売などの事業に対する相乗効果を発揮してまいります。
当社グループの当連結会計年度の業績については、売上高は主要な売上である既存配信サービス売上の減少および新型コロナウイルス感染防止のため店舗の営業を休止したことに伴い、前期比4.2%減の20,093百万円となりましたが、営業利益はレーベル事業における利益率の高い自社販売作品や音源使用にかかる売上が増加したため、前期比166.9%増の385百万円、経常利益は投資事業組合運用益を計上したため471百万円(前期は経常損失586百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は固定資産および非上場株式の減損処理に伴い特別損失を計上したため884百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失309百万円)となりました。
一方、当社グループの当連結会計年度末における財政状態については、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ403百万円増加し、前期比1.7%増の24,746百万円となりました。主として現金及び預金の増加485百万円、建物及び構築物の減少510百万円、投資有価証券の増加187百万円、繰延税金資産の増加311百万円等によるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ1,485百万円増加し、前期比21.8%増の8,307百万円となりました。主として長期借入金の増加377百万円、未払法人税等の増加225百万円、繰延税金負債の増加193百万円によるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ1,081百万円減少し、前期比6.2%減の16,439百万円となりました。主として自己株式の取得690百万円、自己株式の処分368百万円、剰余金の配当133百万円ならびに親会社株主に帰属する当期純損失884百万円によるものであります。自己資本比率は66.4%となりました。
セグメントの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
<コンテンツ事業>コンテンツ事業においては、既存配信事業の売上が減少を続けているため、新規性のある商品開発、多様化する収益機会の獲得に向けて各サービスの連動やプラットフォーム化のほか、高い成長率が見込めるアジア諸国などでの事業展開を積極的に進めており、今後も新たな成長分野への投資を行ってまいります。
「FaRao PRO」は、業務用BGMの提供のみならず、店舗のブランディングを提案するソリューションやアナウンス機能など、店舗運営に必要な機能拡充を中心とした営業活動を積極的に展開しております。また、タブレット端末を使用する従来商品に加え、初期費用を抑えたアプリ版サービスのリリース、ポイント事業との連携による小売店営業の強化を進めております。一方、日本でのサービスを基盤として、インドネシアにおいて「FaRao PRO」事業を展開しており、今後とも、国内外において新たなBGM市場の創造と活性化を目指してまいります。
今後拡大が期待される「D2C」(※7)のビジネスモデルによるアーティスト向けプラットフォーム「Fans'」は、オフィシャルサイトの構築、楽曲・映像配信、アーティストグッズの販売、ファンクラブ運営などアーティスト活動に必要な機能の拡充を行っております。2019年6月には、SNSとの連携強化によりファンがクリエイターの発信する情報を拡散することでコミュニティの創出に貢献できるシステムを導入するなど更なる機能拡充を図っており、より多くのアーティストが作品や情報を自由に発信できるサービスとして、利用者の獲得、拡大を目指すとともに、利便性の追及等サービス品質の向上に努めてまいります。
※7 自社で企画・製造したサービス・商品を直接ユーザーに届けるビジネス形態。Direct to Consumerの略称。
業績につきましては、新規事業の売上が寄与し、売上高は前期比1.8%増の3,574百万円となりましたが、キャリア公式サイトサービスの売上減少および新規事業の進捗の遅れ、新型コロナウイルスの感染拡大による店舗営業の休止に伴い、営業損失は643百万円(前期は営業損失605百万円)となりました。
<ポイント事業>ポイント事業においては、ポイント発行サービスを小売店舗に提供するだけでなく、ポイント発行データ取得・分析・販促活用を一連のサイクルとして企画から運用までトータルでサポートし、小売業の販促効率を最大限に高めるアウトソーシングサービスを提供しております。
業績につきましては、既存加盟店でのポイント発行が、販売促進施策の展開により堅調に推移し、売上高は前期比3.8%増の2,783百万円なりました。営業利益は、棚卸資産の評価減の増加により、前期比9.0%減の104百万円となりました。
<レーベル事業>レーベル事業においては、音楽市場の変化に伴う音楽・映像関連業界の厳しい環境の下、パッケージ商品に依存している状況からの脱却を図るため、将来を見据えた新規事業の強化を進めております。今後も継続的に音楽業界の主要な役割を果たし、収益を拡大していくためには、ヒット作品の創出、マネジメント、ライブ事業への投資に加えて、刻々と変化する市場環境を先取りしたサービスの投入が必要であると考えております。
業績につきましては、株式会社ドリーミュージックのアニメ関連商品および日本コロムビア株式会社のアニメ作品、ゲーム作品の売上が前期に比べ減少したため、売上高は前期比7.0%減の13,734百万円となりました。営業利益は、第4四半期にライブ売上の減少があったものの、新たに連結子会社となりました株式会社KSRの業績が堅調であったことや日本コロムビア株式会社において所属アーティストのライブ売上が好調であったこと、音源使用にかかる売上の堅調な推移などにより、前期比46.3%増の923百万円となりました。
※本文書に記載されている商品・サービス名は株式会社フェイスの日本またはその他の国における商標または登録商標です。
② キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ485百万円増加し、前期比4.0%増の12,585百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失769百万円、減価償却費310百万円、減損損失544百万円、のれん償却額115百万円、賞与引当金の増加額267百万円、投資有価証券評価損754百万円、売上債権の減少額210百万円があったこと等により前期比158.9%増の1,175百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出72百万円、ソフトウエアの取得による支出87百万円、投資有価証券の取得による支出322百万円、投資有価証券の売却による収入110百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社の取得による支出69百万円があったこと等により、512百万円の支出(前期は187百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出291百万円、長期借入れによる収入760百万円、自己株式の処分による収入189百万円、自己株式の取得による支出690百万円並びに配当金の支払額132百万円があったこと等により、165百万円の支出(前期は1,077百万円の支出)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは、生産活動を行っておりません。仕入実績については、サーバー管理費及び労務費が売上原価の大半を占めるため、記載を省略しております。当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| コンテンツ(千円) | 3,574,322 | 1.8 |
| ポイント(千円) | 2,783,983 | 3.8 |
| レーベル(千円) | 13,734,734 | △7.0 |
| 合計(千円) | 20,093,040 | △4.2 |
(注) 1. セグメント間の取引については相殺消去しております。
2. 上記の金額に消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの作成にあたり、以下の事項が当社グループの重要な判断および見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a. 収益の認識
コンテンツ事業につきましては、数多くのコンテンツを所有するカラオケメーカー、ゲームメーカーなどのコンテンツプロバイダに対し、当社グループのコンテンツ配信ソリューションを提供することにより、当該サービスに加入する会員数またはコンテンツのダウンロード数に応じてユーザーより回収した金額をもとに所定のロイヤリティをコンテンツプロバイダからの報告書をもとに売上計上しております。また、当社グループ自らがコンテンツプロバイダとして行っているサービスについては、会員数の推移等を総合的に勘案しつつ、合理的な方法で売上高を発生基準により見積り計上しております。
ポイント事業につきましては、原則として出荷基準にて加盟店(代理店を含む)へのポイント登録カード販売額(契約に基づく掛率による)を計上しております。
レーベル事業につきましては、市販事業における製品に係る売上高は、製品がレコード特約店等に出荷された時点で認識し、総売上高から返品高を控除した純売上高を計上しております。
b. 売上原価
コンテンツ事業につきましては、サービスをするにあたって必要なサーバー保守費用やシステム構築費用、楽曲等を制作するための費用及び著作権料等並びにそれらに係る労務費や諸経費を売上原価としております。
ポイント事業につきましては、加盟店から返却されるフルマークカード(交換済ポイント)ならびにポイント交換のための仕入商品、加盟店に販売する販促ツールの制作費等を販売原価としております。また、売上高と売上原価を期間対応させるため出荷ポイントのうち未交換ポイント残高を一定の計算方式により見積原価として計上しております。見積原価は、総未交換ポイント残高のうち4年(統計的分析結果に基づく最終的な未使用状態の固定化に要する年数)を経過した未交換ポイントは使用される可能性が低いことから当該見積原価より控除して計上しております。
レーベル事業につきまして、録音費、アーティスト印税、他社所有原盤権使用料などの原盤制作費は、関連作品に係る売上高を認識するまで資産計上し、同時点で原価に計上しております。関連作品の売上予定が無くなったと判断した場合、資産計上されていた原盤制作費は、その事由が判明した時点で全額原価として処理しております。前払費用にはアーティストに支払う契約金や前払印税が含まれております。契約金は契約期間に対応して償却を行っており、前払印税は売上高に対応して原価計上し、また個々のアーティストの過去の作品の販売実績等に基づく販売見込み額を勘案し、予想される将来の売上高に対応して原価計上しております。
c. 投資の減損
売買目的有価証券以外の有価証券のうち時価のあるものについて、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、投資の減損を行います。この場合における「時価が著しく下落したとき」とは、個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合をいいます。また、下落率が30%以上50%未満の銘柄については、過去の株価の推移や発行会社の業績等を勘案し、減損処理の要否を検討しております。市場価格のない株式については、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、投資の減損を行います。この場合における「実質価額が著しく低下したとき」とは、株式の実質価額が取得原価に比べ50%以上低下した場合をいいます。ただし、当該発行会社の財政状態及び経営成績、将来の事業計画等により回復可能性が認められる場合には、投資の減損を行わない場合もあります。
d. 返品制度と返品調整引当金
著作権保護の観点から著作物であるCD等に関しては、レコード会社が市場での販売価格を定め、小売店が決められた定価で販売する再販売価格維持制度が定められております。これを背景として、一般にレコード会社と特約店等との販売契約において、レコード会社に製品を返品することができる旨約定されております。このため当社グループは将来の返品に備えて、過去の返品実績に基づく合理的な見積りにより算出した返品調整引当金を計上しております。
e. 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。なお、取引先の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる場合があります。
f. 退職給付に係る会計処理
従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務から年金資産の額を控除した額を退職給付に係る負債として計上し、未認識数理計算上の差異を退職給付に係る調整累計額として計上しております。
日本コロムビア㈱及び一部の子会社においては、受給者向けには確定給付企業年金制度を、従業員向けには退職慰労金支給規定に基づく退職一時金制度と確定拠出年金制度を併用した年金制度を採用しております。
当社及び一部の国内連結子会社は、退職一時金制度又は確定拠出年金制度を採用しており、退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を適用しております。
退職給付費用及び退職給付債務は数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の期待収益率などが含まれております。割引率は日本証券業協会の「格付けマトリクス表」によるダブルA格相当以上を得ている社債の利回りを勘案して算出しており、年金資産の期待収益率は年金資産が投資されている資産の種類毎の長期期待収益率に基づいて算出しております。将来、年金資産の運用利回りが低下した場合や、退職給付債務を計算する前提となる数理上の前提・仮定に変更があった場合には、退職給付債務や退職給付費用が増加し、影響を及ぼす可能性があります。
g. 繰延税金資産
当社グループでは、一部の連結子会社において、繰延税金資産を計上しております。
現在の新型コロナウイルス感染症拡大に関する影響から、レーベル事業においては、将来の収益見通しが依然として不透明な状況にありますが、現時点では連結財務諸表に影響を与える会計上の見積り及び判断への影響は限定的と考えております。なお、不確実性が更に高まった場合には、将来における実績値に基づく結果がこの見積りとは異なる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の売上高は20,093百万円(前期比4.2%減)売上原価は12,605百万円(同8.2%減)、販売費及び一般管理費は7,102百万円(同0.3%増)、営業利益は385百万円(同166.9%増)、経常利益は471百万円(前期は経常損失586百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は884百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失309百万円)となりました。
a. 売上高
売上高は前期比872百万円減の20,093百万円となりました。これは、主として、レーベル事業でのアニメ関連商品およびアニメ作品、ゲーム作品の売上が前期に比べ減少したためであります。
b. 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は前期比1,131百万円減の12,605百万円、販売費及び一般管理費は前期比18百万円増の7,102百万円となりました。これは、主として、レーベル事業の売上減少に伴い、製造費が前期に比べ減少したためであります。
c. 営業利益
営業利益は、前期比240百万円増の385百万円となりました。これは、レーベル事業において新たに取得した連結子会社の業績が堅調であったことや、利益率の高い自社販売作品及び音源使用にかかる売上の増加等によるものであります。
d. 経常損益
経常損益は、前期比1,058百万円増の471百万円の利益となりました。これは主として、営業利益を385百万円及び投資事業組合運用益を117百万円計上したことによるものであります。
e. 税金等調整前当期純損益
税金等調整前当期純損益は、前期比376百万円減の769百万円の損失となりました。これは主として、投資有価証券評価損754百万円及び減損損失544百万円を計上したことによるものであります。
f. 親会社株主に帰属する当期純損益
親会社株主に帰属する当期純損益は、前期比575百万円減の884百万円の損失となりました。これは主として、税金等調整前当期純損失769百万円計上したこと及び法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額を114百万円計上したことによるものであります。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度における資本の財源および資金の流動性については、従前より営業活動並びに投資活動においては、手元資金で賄っております。一方、財務活動におきましては、自己株式の取得等に備え、銀行からの借入を実施しました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ485百万円増加し、前期比4.0%増の12,585百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失769百万円、減価償却費310百万円、減損損失544百万円、のれん償却額115百万円、賞与引当金の増加額267百万円、投資有価証券評価損754百万円、売上債権の減少額210百万円があったこと等により前期比158.9%増の1,175百万円の収入となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出72百万円、ソフトウエアの取得による支出87百万円、投資有価証券の取得による支出322百万円、投資有価証券の売却による収入110百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社の取得による支出69百万円があったこと等により、512百万円の支出(前期は187百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出291百万円、長期借入れによる収入760百万円、自己株式の処分による収入189百万円、自己株式の取得による支出690百万円並びに配当金の支払額132百万円があったこと等により、165百万円の支出(前期は1,077百万円の支出)となりました。