四半期報告書-第30期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/14 16:02
【資料】
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【項目】
36項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
国内の情報通信分野においては、2020年においてもインターネット普及率は83.4%と高水準で推移しており、その中でもスマートフォンを保有している世帯割合は86.8%とパソコンを保有する世帯割合70.1%を大きく上回る状況となっています(※1)。また、2000年以降、若年層を中心にテレビ離れの動きが継続して進んでいるなか、2020年の日本の広告費はインターネット向け広告費が前年比5.9%増の2兆2,290億円となり、テレビ向け広告費の1兆6,559億円を2年連続で上回りました(※2)。世界においてもその傾向は顕著であり、2021年の世界のデジタル広告費は前年比29.1%増の約40兆円(3,557億ドル)となり、デジタル広告費が構成比で初めて50%を超えました(※3)。
※1 出所: 総務省 「令和2年通信利用動向調査の結果」
※2 出所: 株式会社電通 「2020年 日本の広告費」
※3 出所: 株式会社電通グループ「世界の広告費成長率予測(2020~2024)」
また、エンタテインメント市場においては、2020年の世界の音楽市場はストリーミングを中心に売上高は約2兆3,328億円(216億ドル)と前年比7.4%増加し、6年連続で売上高の伸びを記録しています(※4)。日本においては、音楽ビデオを含む音楽ソフトの生産実績は1,944億円と前年比15%減少し、依然としてパッケージ商品の縮小傾向が続いておりますが、有料音楽配信の売上実績は783億円と前年比11%増加いたしました。有料音楽配信売上のうち、ストリーミングの売上は589億円と前年比27%増加し、有料配信売上全体の75%まで伸長しています(※5)。一方、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、大型イベントやライブ・コンサートは延期、中止を余儀なくされており、2020年のライブ・エンタテインメント市場は前年比82.4%減の1,106億円となりました(※6)。2021年においては、政府の基本的対処方針に基づく感染予防対策ガイドラインに沿ったリアルな場での音楽イベントが再開され始めています。一方で、多くのアーティストはインターネットでライブ配信を行いつつ、会場に限定数の観客も入れる「ハイブリッド公演」を実施するなど、新しいライブ・エンタテインメントの楽しみ方が定着しつつあります。様々な動員観客規模のライブが配信され、国内のデジタルライブ市場規模は2020年に140億円に達し、2024年には約1,000億円規模へ急拡大すると予測されています(※7)。
※4 出所: IFPI「Global Music Report 2021」
※5 出所: 一般社団法人日本レコード協会「日本のレコード産業2021」
※6 出所: ぴあ総研「ライブ・エンタテインメント市場規模の調査速報値(2021年5月13日公表)」
※7 出所: 株式会社CyberZ「国内デジタルライブエンターテインメント市場に関する市場動向調査」
当社は1992年に創業され着信メロディを世界で初めて事業化するなど、携帯電話の普及とともに音楽配信事業を中核として順調に成長してまいりました。現在の音楽市場はスマートフォンの普及に伴い、ストリーミング、一般ユーザーが社会へ容易に情報発信できるユーザーアップロードコンテンツ(UUC)やソーシャルメディアといったメディアが多様化するなか、コンテンツの流通方法をはじめ、消費スタイルや、コンテンツの制作方法等、音楽業界のあらゆる活動が変化している状況にあります。
このような環境の下、当社グループは、創業以来コンテンツのデジタル流通に注力してきた取組みを活かし、引き続き『マルチコンテンツ&マルチデバイス戦略(様々なコンテンツを、必要なときに、必要な場所で楽しむことができる環境の創造)』を推進し、インターネット上に溢れる情報を収集、整理し、付加価値を高めてユーザーに提供するプラットフォームの開発など市場環境の変化に応じた新規サービス展開に取り組んでまいりました。
2020年6月にリリースした新感覚ライブ配信プラットフォーム「Thumva」(サムバ)は新たなライブ体験を提供するインターネット視聴サービスです。グループ視聴やコメント投稿のほか、アーティストに対するギフティング機能を有し、ライブ会場に参加しているような高揚感、一体感を共有することができます。数々のアーティストのライブやオンライン体験型アトラクションなど多様なラインナップの配信を実施し、今後も様々なコンテンツの配信を予定しております。サービスの開始以来、約320公演の配信を実施し、会員登録者数は16万人を超えました(2021年12月現在)。
2021年7月には「Thumva」のリソースを活用した新たな店舗向けサービスとして、Web上で問い合わせや相談を希望する顧客に対し、ワンクリックで商談が開始できるオンラインサービス「Thumva BIZ」(サムバビズ)を開始いたしました。デジタルトランスフォーメーション時代に即したオンラインでの店舗様式を提案し、様々な業種の企業に導入いただいております。また、9月には株式会社日本旅行とサービスの販売に関する業務提携をいたしました。同社が有する全国の営業ネットワークを通じて、今後は「Thumva BIZ」並びにフェイス・グループの様々なサービスが提供されます。「Thumva BIZ」は対面接客業を中心に、様々な分野における新たな店舗DXサービスとして、今後も販路の拡大を目指してまいります。
当社が運営いたします都内最大級のミュージックラウンジ「PLUSTOKYO」(プラストーキョー)では、政府からの新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言、まん延防止等7重点措置ならびにリバウンド防止措置などの東京都感染拡大防止ガイドラインに沿って必要な対策を講じたうえで、営業を継続しております。新たな試みとして、アーティストやアニメ作品とコラボしたメニューや展示企画を期間限定で開催いたしました。今後も感染拡大防止と安全確保を最優先とし、行政の方針や行動計画に基づいて慎重に運営してまいります。
レーベル事業においては、音楽業界、映画業界へ永年に渡り革新的かつ多大なる貢献をし続けている依田巽氏(ギャガ株式会社代表取締役社長 CEO、株式会社ティー ワイ リミテッド代表取締役会長)を2021年12月からレーベル統括最高顧問に迎えました。依田氏においては、2021年9月30日に完全子会社化した株式会社ドリーミュージックの取締役最高顧問として引き続きご尽力いただくとともに、レーベル事業の一層の強化にも寄与していただきます。
フェイス・グループはテレワーク勤務体制を恒常化しております。また、分散していた主要なオフィス機能を南青山オフィスに集約し、全面的にリニューアルいたしました。今後とも経営の効率化と収益性の向上を目指した事業活動を推進いたします。行動様式の変化や新たな価値観の定着を見据え、「アクティビティー・ベースド・ワーキング」(※8)の考えに基づき、多様で効率的な新しい働き方を実現してまいります。
※8 仕事内容に合わせて、作業するスペースやスタイルなどを選ぶことのできる働き方。
当社グループの第3四半期連結累計期間の業績については、ポイント事業においては前年同期に比べ物販売上が減少し、またレーベル事業の売上も減少したため、売上高は前年同期比24.2%減の11,444百万円、営業損失は8百万円(前年同期は営業利益633百万円)、経常利益は前年同期比63.0%減の256百万円となり、親会社株主に帰属する四半期純損失は8百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益182百万円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、従前の会計処理と比較して、当第3四半期連結累計期間の売上高は2,365百万円減少し、営業損失が138百万円減少、経常利益は138百万円増加、税金等調整前四半期純損失は138百万円減少しております。詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<コンテンツ事業>コンテンツ事業においては、既存配信事業の売上が減少を続けているため、新規性ある商品開発、多様化する収益機会の獲得に向けて各サービスの連動やプラットフォーム化のほか、海外への事業展開を進めるなど、今後も新たな成長分野への投資を行ってまいります。
「FaRao PRO」は、業務用BGMの提供のみならず、店舗のブランディングを提案するソリューションやアナウンス機能など、店舗運営に必要な機能拡充を中心とした営業活動を積極的に展開しております。今後とも、新たなBGM市場の創造と活性化を目指してまいります。
今後拡大が期待される「D2C」(※9)のビジネスモデルによるアーティスト向けプラットフォーム「Fans'」は、オフィシャルサイトの構築、楽曲・映像配信、アーティストグッズの販売、ファンクラブ運営などアーティスト活動に必要な機能の拡充を行っております。SNSとの連携強化によりファンがクリエイターの発信する情報を拡 散することでコミュニティの創出に貢献できるシステムを導入しており、より多くのアーティストが作品や情報を 自由に発信できるサービスとして、利用者の獲得、拡大を目指すとともに、利便性の追求等サービス品質の向上に 努めてまいります。
※9 自社で企画・製造したサービス・商品を直接ユーザーに届けるビジネス形態。Direct to Consumerの略称。
業績につきましては、キャリア公式サイトサービスの売上減少および新型コロナウイルス対策による店舗の営業自粛措置に伴い、売上高は前年同期比21.4%減の1,736百万円となり、営業損失は383百万円(前年同期は営業損失383百万円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、従前の会計処理と比較して、セグメント売上高は380百万円減少しておりますが、営業利益には影響ありません。
<ポイント事業>ポイント事業においては、ポイント発行サービスを小売店舗に提供するだけでなく、ポイント発行データ取得・分析・販促活用を一連のサイクルとして企画から運用までトータルでサポートし、小売業の販促効率を最大限に高めるアウトソーシングサービスを提供しております。
業績につきましては、物販売上および既存加盟店におけるポイント発行が減少したことにより、売上高は前年同期比85.2減の427百万円となり、営業利益は前年同期比63.4減の103百万円となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、従前の会計処理と比較して、セグメント売上高は1,402百万円減少しておりますが、営業利益には影響ありません。
<レーベル事業>レーベル事業においては、音楽市場の縮小に伴う音楽・映像関連業界の厳しい環境の下、パッケージ商品に依存している状況からの脱却を図るため、将来を見すえた新規事業の強化を進めております。
業績につきましては、日本コロムビア株式会社においてアニメ作品や利益率の高い音源使用にかかる売上の減少に伴い、売上高は前年同期比7.2%減の9,280百万円となり、営業利益は前年同期比63.1%減の270百万円となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、従前の会計処理と比較して、セグメント売上高は582百万円減少し、営業利益は138百万円増加しております。
※本文書に記載されている会社名、製品名は、各社および各団体の商標または登録商標です。
当第3四半期連結会計期間末における財政状態について、総資産は、前連結会計年度末に比べて70百万円増加し26,772百万円となりました。主として有形固定資産ならびに投資有価証券が増加したことによるものであります。負債は、前連結会計年度末に比べて526百万円減少し8,548百万円となりました。主として未払法人税等ならびに資産除去債務(流動負債)が減少したことによるものであります。純資産は、前連結会計年度末に比べて596百万円増加し18,224百万円となりました。主としてその他有価証券評価差額金の増加によるものであります。
自己資本比率は、前連結会計年度末比2.1ポイント増の68.1%となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、28百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。