訂正有価証券報告書-第31期(2019/04/01-2020/03/31)
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度の日本株式市場は、米中貿易交渉の進展期待から上昇して始まりました。その後、米国が中国からの輸入品に対する関税の引き上げを発表したことや、中国の大手通信機器メーカーの製品購入と当該メーカーへの出荷を全面的に禁止する措置を表明したことなどから世界的な景気低迷への懸念が強くなり日本株式市場は大きく下落する場面もありました。米中貿易交渉は長期化しておりましたが、香港情勢や英国のEU離脱問題に対する懸念が和らいだことや円安の進行により回復基調となりました。10月以降、世界的な株高となるなか日本株式市場も堅調に推移したものの、年を明けてから新型コロナウイルスの影響により3月末にかけて大幅に下落した結果、日経平均株価は前期末に比べ10.8%下落し18,917.01円で取引を終えました。
このような市場環境のもと、当社グループの当連結会計年度末運用資産残高は、1兆1,241億円(注1)と前連結会計年度末に比して5.2%減少しました。
日本株式を投資対象とする運用戦略は、子会社であるスパークス・アセット・マネジメント株式会社が運用するファンドは、運用評価機関から継続して高い評価を受けております。また、私どもの投資哲学や運用スタイルへの関心も引き続き高いことから、日本の個人投資家の皆様に「日本株ならスパークス」とのSPARXブランドをさらに幅広く認知いただくよう努めております。
アジア株式を投資対象とする運用戦略は、東京・香港・韓国のファンドマネジャーがアジア企業への調査などを共同で行っており、投資アイディアを共有することで韓国株式の公募投資信託を新商品として設定するなど地力がついてきております。アジア企業の調査を通じ、今まで日本株式運用で培った運用手法を伝承することで「アジア株もスパークス」とのSPARXブランドを構築してまいります。
再生可能エネルギー発電事業のインフラ資産や不動産を投資対象とする実物資産の運用戦略は、全国の発電施設への投資を27件実行しており、再生可能エネルギー投資戦略の運用資産残高は1,903億円の規模となっております。太陽光のみでなく、バイオマス発電所、風力発電所も安定稼動させており、投資対象は広がっております。また、発電事業等の開発段階から運転開始までのフェーズにおける投資(グリーン・フィールド投資)に加えて、運転開始後のフェーズにおける投資(ブラウン・フィールド投資)にフォーカスした、長期的に安定したキャッシュ・フローを源泉としたファンドも運用しております。ブラウン・フィールドのファンドでは、自ら開発した発電設備のみならず外部からの発電設備の取得も行うことができます。今後も引き続き再生可能エネルギーファンドのパイオニアとして皆様のご期待にお応えすべく、魅力的な投資商品の提供を行ってまいります。
次世代の成長に資する投資を長期的な視点から実践し、投資会社として未来を創造する新たな領域を開拓するため設立した未来創生ファンドは、投資が完了した1号ファンドからはIPOなど複数のイグジット案件も出てきており、これまでの投資の成果が、具体的に投資家の皆様へのリターンとして実現してきております。国内外のベンチャー企業等への投資を着実に実行し、投資実績を積み上げ、質の高い投資を通じて、革新的な技術やビジネスモデルで世界をリードする企業を発掘・育成することで未来社会に貢献することを目指してまいります。
運用資産残高は前連結会計年度末に比して減少したものの、日本の公募投信や未来創生ファンドなどの当社グループの平均残高報酬料率よりも高いファンドの残高報酬が、前連結会計年度に比べ増加したことにより、当連結会計年度における残高報酬(注2)は前期比5.0%増の107億10百万円となりました。さらに、成功報酬(注3)は、前期比79.0%増の16億52百万円となり、営業収益は前期比11.0%増の124億76百万円となりました。
営業費用及び一般管理費は、前期比9.0%増の79億96百万円となりました。これは主に委託者報酬(残高報酬)の増加に伴う支払手数料が増加したこと及び業容拡大に伴う人件費、事務委託費等が増加したことによるものです。
これらの結果、営業利益は前期比14.8%増の44億79百万円、為替差損等を計上した結果、経常利益は前期比9.2%増の44億23百万円となりました。また、当社が保有する投資有価証券の一部売却による投資有価証券売却損及び投資有価証券評価損、減損損失を特別損失に計上し、税金等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比29.1%減の23億1百万円となりました。
なお、事業の持続的かつ安定的な基盤となる収益力を示す指標である基礎収益(注4)は前期比1.9%減の35億91百万円(前期は36億60百万円)となったものの、これは新規事業のための先行投資を行っていることにより、経常的経費が増加していることによるものであり、実質的な収益体質は着実に強化されております。
投資哲学を共有しつつ、日本株、アジア株といった上場株式への投資から、再生可能エネルギー、未公開株式、これらを「4つの柱」と呼んでおりますが、投資対象を多角化させながら、上場株式市場のボラティリティの影響を受けにくい事業ポートフォリオの構築を進めてきております。
新型コロナウイルスの影響により株式市場の低調な状況がたとえ長期化したとしても、グループ全体の業績に対する影響は、過去に比べて相対的に小さくなっており、安定的に基礎収益を維持・成長できるビジネスモデルの構築が確実に前進していると考えております。
(注1)当連結会計年度末(2020年3月末)運用資産残高は速報値であります。
(注2)残高報酬には、日本再生可能エネルギー投資戦略に関連する発電所等の管理報酬を含んでおります。
(注3)成功報酬には、株式運用から発生する報酬の他、日本不動産投資戦略に関連する不動産購入・売却に対して当社グループがファンドから受ける一時的な報酬や、日本再生可能エネルギー投資戦略に関連する発電所スキームの組成の対価等として受ける一時的な報酬(アクイジションフィー)を含んでおります。
(注4)基礎収益とは、経常的に発生する残高報酬(手数料控除後)の金額から経常的経費を差し引いた金額であり、当社グループの最も重要な経営指標のひとつであります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ13億21百万円増加し、当連結会計年度末は184億74百万円(前期比7.7%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主たる要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは45億35百万円の収入(前期は6億78百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益39億69百万円の計上等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは25億81百万円の支出(前期は7億9百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入27億28百万円があった一方で、投資有価証券の取得による支出53億87百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは2億97百万円の支出(前期は15億9百万円の支出)となりました。これは主に短期借入金の増減額20億円の収入があった一方で、配当金の支払い20億43百万円があったことによるものです。
営業の実績
(1)営業収益の実績
当社グループの連結営業収益の項目別内訳は以下のとおりです。
・残高報酬
残高報酬料率(ネット・ベース)の推移は以下のとおりです。
(注) 残高報酬料率(ネット・ベース)=(残高報酬-残高報酬に係る支払手数料)÷ 期中平均運用資産残高
・成功報酬(株式運用ファンド関連)
成功報酬は、単純なケースでは過去のファンド計算期間末日の「一口当たり純資産価額」=「Net Asset Value Per Share」(以下、「NAVPS」と言います。)の最高値を、今ファンド計算期間末日のNAVPSと比較して、今ファンド計算期間末日のNAVPSの方が高かった場合に、値上がり部分に一定料率をかけて計算します(これを「ハイ・ウォーター・マーク方式」といいます)。
また、契約によっては、ベンチマークを一定以上上回った部分に一定料率をかけて計算するものもあります。
絶対リターン追求型の運用に多いハイ・ウォーター・マーク(HWM)方式の成功報酬の仕組み
(注)1.上記の図は成功報酬の仕組みを簡便に説明したもので、実際の成功報酬の体系及びファンドの基準価格の
計算方法を厳密に説明しているものではありません。
(注)2.上記では、説明の都合上、成功報酬の料率を便宜的に20%として計算しております。
(2)運用資産残高の実績
以下の表は、当社グループの当期の運用資産残高の実績を示したものです。なお、日本円建て以外の運用資産残高を日本円に換算する際には、それぞれの時点における月末為替レートを用いております。
当社グループは、市場に影響されない安定的な投資戦略と収益性の高い投資戦略によるハイブリッドのビジネスモデルを強化・拡大して成長することを目指しており、現在「日本株式」、「OneAsia」、「実物資産」及び「未来創生」の投資戦略を4本の柱としております。つきましては、この4本の柱に分けて運用資産残高をお伝えするため、今期より投資対象地域別の表示から投資戦略別の表示に変更しております。
① 投資戦略別の四半期運用資産残高の推移 (単位:億円)
(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
2.2020年3月末運用資産残高は速報値となっております。
② 平均運用資産残高 (単位:億円)
(注) 1.各期の月末運用資産残高の単純平均であります。
2.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
3.2020年3月末運用資産残高は速報値となっております。
③ 成功報酬付運用資産残高及び比率
(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
2. 2020年3月末運用資産残高は速報値となっております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、後述の「第5経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
経営成績の分析については、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績」に含めて記載しております。
(次期の見通し)
当社グループの主たる事業である投信投資顧問業は、業績が経済情勢や相場環境によって大きな影響を受けるため将来の業績予想は難しいと認識しており、次期の見通しについての具体的な公表は差し控えさせていただきます。
(3)当連結会計年度の財政状態の分析
<資産の部>当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ23億76百万円増加し、337億7百万円となりました。主な増減内訳は、現金及び預金が13億21百万円の増加、投資有価証券が11億83百万円の増加となっております。
<負債の部・純資産の部>当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ30億59百万円増加し、133億69百万円となりました。主な増減内訳は、短期借入金が20億円の増加、未払法人税等が5億1百万円の増加となっております。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ6億82百万円減少し、203億38百万円となりました。主な増減内訳は、利益剰余金が2億58百万円の増加、自己株式が3億45百万円増加、その他有価証券評価差額金が4億46百万円減少となっております。
(4)資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの投資を目的とした主な資金需要につきましては、シードマネー投資等によるものであります。
短期運転資金は自己資金を基本としており、シードマネー投資等につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は90億82百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は184億74百万円となっております。
(1)業績
当連結会計年度の日本株式市場は、米中貿易交渉の進展期待から上昇して始まりました。その後、米国が中国からの輸入品に対する関税の引き上げを発表したことや、中国の大手通信機器メーカーの製品購入と当該メーカーへの出荷を全面的に禁止する措置を表明したことなどから世界的な景気低迷への懸念が強くなり日本株式市場は大きく下落する場面もありました。米中貿易交渉は長期化しておりましたが、香港情勢や英国のEU離脱問題に対する懸念が和らいだことや円安の進行により回復基調となりました。10月以降、世界的な株高となるなか日本株式市場も堅調に推移したものの、年を明けてから新型コロナウイルスの影響により3月末にかけて大幅に下落した結果、日経平均株価は前期末に比べ10.8%下落し18,917.01円で取引を終えました。
このような市場環境のもと、当社グループの当連結会計年度末運用資産残高は、1兆1,241億円(注1)と前連結会計年度末に比して5.2%減少しました。
日本株式を投資対象とする運用戦略は、子会社であるスパークス・アセット・マネジメント株式会社が運用するファンドは、運用評価機関から継続して高い評価を受けております。また、私どもの投資哲学や運用スタイルへの関心も引き続き高いことから、日本の個人投資家の皆様に「日本株ならスパークス」とのSPARXブランドをさらに幅広く認知いただくよう努めております。
アジア株式を投資対象とする運用戦略は、東京・香港・韓国のファンドマネジャーがアジア企業への調査などを共同で行っており、投資アイディアを共有することで韓国株式の公募投資信託を新商品として設定するなど地力がついてきております。アジア企業の調査を通じ、今まで日本株式運用で培った運用手法を伝承することで「アジア株もスパークス」とのSPARXブランドを構築してまいります。
再生可能エネルギー発電事業のインフラ資産や不動産を投資対象とする実物資産の運用戦略は、全国の発電施設への投資を27件実行しており、再生可能エネルギー投資戦略の運用資産残高は1,903億円の規模となっております。太陽光のみでなく、バイオマス発電所、風力発電所も安定稼動させており、投資対象は広がっております。また、発電事業等の開発段階から運転開始までのフェーズにおける投資(グリーン・フィールド投資)に加えて、運転開始後のフェーズにおける投資(ブラウン・フィールド投資)にフォーカスした、長期的に安定したキャッシュ・フローを源泉としたファンドも運用しております。ブラウン・フィールドのファンドでは、自ら開発した発電設備のみならず外部からの発電設備の取得も行うことができます。今後も引き続き再生可能エネルギーファンドのパイオニアとして皆様のご期待にお応えすべく、魅力的な投資商品の提供を行ってまいります。
次世代の成長に資する投資を長期的な視点から実践し、投資会社として未来を創造する新たな領域を開拓するため設立した未来創生ファンドは、投資が完了した1号ファンドからはIPOなど複数のイグジット案件も出てきており、これまでの投資の成果が、具体的に投資家の皆様へのリターンとして実現してきております。国内外のベンチャー企業等への投資を着実に実行し、投資実績を積み上げ、質の高い投資を通じて、革新的な技術やビジネスモデルで世界をリードする企業を発掘・育成することで未来社会に貢献することを目指してまいります。
運用資産残高は前連結会計年度末に比して減少したものの、日本の公募投信や未来創生ファンドなどの当社グループの平均残高報酬料率よりも高いファンドの残高報酬が、前連結会計年度に比べ増加したことにより、当連結会計年度における残高報酬(注2)は前期比5.0%増の107億10百万円となりました。さらに、成功報酬(注3)は、前期比79.0%増の16億52百万円となり、営業収益は前期比11.0%増の124億76百万円となりました。
営業費用及び一般管理費は、前期比9.0%増の79億96百万円となりました。これは主に委託者報酬(残高報酬)の増加に伴う支払手数料が増加したこと及び業容拡大に伴う人件費、事務委託費等が増加したことによるものです。
これらの結果、営業利益は前期比14.8%増の44億79百万円、為替差損等を計上した結果、経常利益は前期比9.2%増の44億23百万円となりました。また、当社が保有する投資有価証券の一部売却による投資有価証券売却損及び投資有価証券評価損、減損損失を特別損失に計上し、税金等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比29.1%減の23億1百万円となりました。
なお、事業の持続的かつ安定的な基盤となる収益力を示す指標である基礎収益(注4)は前期比1.9%減の35億91百万円(前期は36億60百万円)となったものの、これは新規事業のための先行投資を行っていることにより、経常的経費が増加していることによるものであり、実質的な収益体質は着実に強化されております。
投資哲学を共有しつつ、日本株、アジア株といった上場株式への投資から、再生可能エネルギー、未公開株式、これらを「4つの柱」と呼んでおりますが、投資対象を多角化させながら、上場株式市場のボラティリティの影響を受けにくい事業ポートフォリオの構築を進めてきております。
新型コロナウイルスの影響により株式市場の低調な状況がたとえ長期化したとしても、グループ全体の業績に対する影響は、過去に比べて相対的に小さくなっており、安定的に基礎収益を維持・成長できるビジネスモデルの構築が確実に前進していると考えております。
(注1)当連結会計年度末(2020年3月末)運用資産残高は速報値であります。
(注2)残高報酬には、日本再生可能エネルギー投資戦略に関連する発電所等の管理報酬を含んでおります。
(注3)成功報酬には、株式運用から発生する報酬の他、日本不動産投資戦略に関連する不動産購入・売却に対して当社グループがファンドから受ける一時的な報酬や、日本再生可能エネルギー投資戦略に関連する発電所スキームの組成の対価等として受ける一時的な報酬(アクイジションフィー)を含んでおります。
(注4)基礎収益とは、経常的に発生する残高報酬(手数料控除後)の金額から経常的経費を差し引いた金額であり、当社グループの最も重要な経営指標のひとつであります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ13億21百万円増加し、当連結会計年度末は184億74百万円(前期比7.7%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主たる要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは45億35百万円の収入(前期は6億78百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益39億69百万円の計上等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは25億81百万円の支出(前期は7億9百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入27億28百万円があった一方で、投資有価証券の取得による支出53億87百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは2億97百万円の支出(前期は15億9百万円の支出)となりました。これは主に短期借入金の増減額20億円の収入があった一方で、配当金の支払い20億43百万円があったことによるものです。
営業の実績
(1)営業収益の実績
当社グループの連結営業収益の項目別内訳は以下のとおりです。
項目 | 前連結会計年度(2019年3月期) | 当連結会計年度(2020年3月期) | ||
金額 (百万円) | 構成比(%) | 金額 (百万円) | 構成比(%) | |
残高報酬 | 10,201 | 90.8% | 10,710 | 85.9% |
成功報酬 | 922 | 8.2% | 1,652 | 13.2% |
その他 | 115 | 1.0% | 114 | 0.9% |
営業収益合計 | 11,239 | 100.0% | 12,476 | 100.0% |
・残高報酬
残高報酬料率(ネット・ベース)の推移は以下のとおりです。
区分 | 前連結会計年度 (2019年3月期) | 当連結会計年度 (2020年3月期) |
当社グループ残高報酬料率 (ネット・ベース) | 0.73% | 0.75% |
(注) 残高報酬料率(ネット・ベース)=(残高報酬-残高報酬に係る支払手数料)÷ 期中平均運用資産残高
・成功報酬(株式運用ファンド関連)
成功報酬は、単純なケースでは過去のファンド計算期間末日の「一口当たり純資産価額」=「Net Asset Value Per Share」(以下、「NAVPS」と言います。)の最高値を、今ファンド計算期間末日のNAVPSと比較して、今ファンド計算期間末日のNAVPSの方が高かった場合に、値上がり部分に一定料率をかけて計算します(これを「ハイ・ウォーター・マーク方式」といいます)。
また、契約によっては、ベンチマークを一定以上上回った部分に一定料率をかけて計算するものもあります。
絶対リターン追求型の運用に多いハイ・ウォーター・マーク(HWM)方式の成功報酬の仕組み

計算方法を厳密に説明しているものではありません。
(注)2.上記では、説明の都合上、成功報酬の料率を便宜的に20%として計算しております。
(2)運用資産残高の実績
以下の表は、当社グループの当期の運用資産残高の実績を示したものです。なお、日本円建て以外の運用資産残高を日本円に換算する際には、それぞれの時点における月末為替レートを用いております。
当社グループは、市場に影響されない安定的な投資戦略と収益性の高い投資戦略によるハイブリッドのビジネスモデルを強化・拡大して成長することを目指しており、現在「日本株式」、「OneAsia」、「実物資産」及び「未来創生」の投資戦略を4本の柱としております。つきましては、この4本の柱に分けて運用資産残高をお伝えするため、今期より投資対象地域別の表示から投資戦略別の表示に変更しております。
① 投資戦略別の四半期運用資産残高の推移 (単位:億円)
投資戦略 | 2019年6月 | 2019年9月 | 2019年12月 | 2020年3月 |
日本株式 | 8,196 | 8,048 | 8,626 | 7,444 |
OneAsia | 274 | 271 | 634 | 522 |
実物資産 | 2,224 | 2,223 | 2,112 | 2,143 |
未来創生 | 1,113 | 1,118 | 1,118 | 1,132 |
合計 | 11,808 | 11,661 | 12,491 | 11,241 |
(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
2.2020年3月末運用資産残高は速報値となっております。
② 平均運用資産残高 (単位:億円)
2019年3月期 連結会計年度 | 2020年3月期 連結会計年度 | |
当社グループ合計 | 11,572 | 11,840 |
(注) 1.各期の月末運用資産残高の単純平均であります。
2.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
3.2020年3月末運用資産残高は速報値となっております。
③ 成功報酬付運用資産残高及び比率
会社名 | 2019年3月 | 2020年3月 | |
当社グループ合計 | 残高(億円) | 3,585 | 3,763 |
比率(%) | 30.2 | 33.5 |
(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
2. 2020年3月末運用資産残高は速報値となっております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、後述の「第5経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
経営成績の分析については、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績」に含めて記載しております。
(次期の見通し)
当社グループの主たる事業である投信投資顧問業は、業績が経済情勢や相場環境によって大きな影響を受けるため将来の業績予想は難しいと認識しており、次期の見通しについての具体的な公表は差し控えさせていただきます。
(3)当連結会計年度の財政状態の分析
<資産の部>当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ23億76百万円増加し、337億7百万円となりました。主な増減内訳は、現金及び預金が13億21百万円の増加、投資有価証券が11億83百万円の増加となっております。
<負債の部・純資産の部>当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ30億59百万円増加し、133億69百万円となりました。主な増減内訳は、短期借入金が20億円の増加、未払法人税等が5億1百万円の増加となっております。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ6億82百万円減少し、203億38百万円となりました。主な増減内訳は、利益剰余金が2億58百万円の増加、自己株式が3億45百万円増加、その他有価証券評価差額金が4億46百万円減少となっております。
(4)資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの投資を目的とした主な資金需要につきましては、シードマネー投資等によるものであります。
短期運転資金は自己資金を基本としており、シードマネー投資等につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は90億82百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は184億74百万円となっております。