訂正有価証券報告書-第30期(2018/04/01-2019/03/31)

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2023/06/09 13:08
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143項目
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度の日本株式市場は、米国を軸とした貿易摩擦への懸念のなか始まりました。朝鮮半島の地政学的リスクに落ち着きが見られるなかで為替が円安ドル高となったことが支えとなり堅調に推移し、5月下旬には一時23,000円を回復する場面もありました。米国が中国に対して追加の関税を課すことを公表したこと等により下落する場面はありましたが、9月にトルコの利上げによって新興国通貨に対する不安が一服したこと、米中関係の悪材料が出尽くしたとの見方が広がったことから、9月末には日経平均株価は24,000円を超える水準まで上昇しました。しかし、その後も貿易摩擦は解消されず年末には中国大手通信機器メーカー幹部の逮捕が米中関係を深刻化させるという見方につながったこと等により貿易摩擦や景況感悪化への懸念が高まったことで年末には大幅な下落となりました。年明け後、米中貿易協議の進展期待や中国の景気刺激策への期待などから株価は緩やかに上昇し、2月中旬に21,000円を回復しました。その後は、欧州の景気減速懸念や英国のEU離脱方法への警戒感などから模様眺めの状況となった結果、当連結会計年度末の日経平均株価は前連結会計年度末に比べ1.2%下落し21,205.81円で取引を終えました。
このような市場環境のもと、当社グループの当連結会計年度末運用資産残高は、1兆1,856億円(注1)と前期末に比して5.4%増加しました。
事業の持続的かつ安定的な基盤となる収益力を示す指標である基礎収益(注2)も前期比15.5%増の36億60百万円(前期は31億69百万円)となり、実質的な収益体質は着実に強化されております。
日本株式を投資対象とする運用戦略は、子会社であるスパークス・アセット・マネジメント株式会社が運用するファンドは、運用評価機関から継続して高い評価を受けております。また、私どもの投資哲学や運用スタイルへの関心も引き続き高いことから、日本の個人投資家の皆様に「日本株ならスパークス」とのSPARXブランドをさらに幅広く認知いただくよう努めております。
アジア株式を投資対象とする運用戦略は、東京・香港・韓国のファンドマネジャーがアジア企業への調査などを共同で行っており、投資アイディアを共有することで韓国株式の公募投資信託を新商品として設定するなど地力がついてきております。アジア企業の調査を通じ、今まで日本株式運用で培った運用手法を伝承することで「アジア株もスパークス」とのSPARXブランドを構築してまいります。
再生可能エネルギー発電事業のインフラ資産や不動産を投資対象とする実物資産の運用戦略は、全国の発電施設への投資を24件実行しており、再生可能エネルギー投資戦略の運用資産残高は1,529億円の規模となっております。太陽光のみでなく、バイオマス発電所も安定稼動させており、今後数年のうちに運転開始予定の風力発電所を含め投資対象は広がっております。また、発電事業等の開発段階から運転開始までのフェーズにおける投資(グリーン・フィールド投資)に加えて、運転開始後のフェーズにおける投資(ブラウン・フィールド投資)にフォーカスした、長期的に安定したキャッシュ・フローを源泉としたファンドも運用しております。ブラウン・フィールドのファンドでは、自ら開発した発電設備のみならず外部からの発電設備の取得も行うことができます。今後も引き続き再生可能エネルギーファンドのパイオニアとして皆様のご期待にお応えすべく、魅力的な投資商品の提供を行ってまいります。
次世代の成長に資する投資を長期的な視点から実践し、投資会社として未来を創造する新たな領域を開拓するため設立した未来創生ファンドは、1号ファンドの投資が完了し、2号ファンドを立ち上げ、2019年3月末で1,113億円まで運用資産残高の規模が拡大しております。国内外のベンチャー企業等への投資を着実に実行し、投資実績を積み上げ、質の高い投資を通じて、革新的な技術やビジネスモデルで世界をリードする企業を発掘・育成することで未来社会に貢献することを目指してまいります。
上記の結果、当連結会計年度における残高報酬(注3)は前期比19.1%増の102億1百万円となりました。一方、成功報酬(注4)は、前期比79.4%減の9億22百万円となり、営業収益は前期比15.0%減の112億39百万円となりました。
営業費用及び一般管理費は、前期比10.2%増の73億38百万円となりました。これは、成功報酬の減少に伴い利益が減少したことで業績賞与が減少したものの、委託者報酬(残高報酬)の増加に伴う支払手数料等が増加したことによるものです。
これらの結果、営業利益は前期比40.6%減の39億1百万円、経常利益は前期比39.2%減の40億51百万円となりました。また、当社が保有する投資有価証券の一部売却による投資有価証券売却益96百万円を特別利益に計上し、税金等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比30.7%減の32億46百万円となりました。
(注1)当連結会計年度末(2019年3月末)運用資産残高は速報値であります。
(注2)基礎収益とは、経常的に発生する残高報酬(手数料控除後)の金額から経常的経費を差し引いた金額であり、当社グループの最も重要な経営指標のひとつであります。
(注3)残高報酬には、日本再生可能エネルギー投資戦略に関連する発電所等の管理報酬を含んでおります。
(注4)成功報酬には、株式運用ファンドにおける成功報酬の他に、不動産購入・売却に対して当社グループがファンドから受ける一時的な報酬や、日本再生可能エネルギー投資戦略に関連する発電所スキームの組成の対価等として受ける一時的な報酬(アクイジションフィー)を含んでおります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ14億97百万減少し、当連結会計年度末は171億52百万円(前期比8.0%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主たる要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは6億78百万円の収入(前期は71億44百万円の収入)となりました。これは主に、法人税等の支払額25億44百万円があった一方で、税金等調整前当期純利益41億48百万円の計上等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは7億9百万円の支出(前期は20億50百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入6億3百万円があった一方で、投資有価証券の取得による支出14億39百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは15億9百万円の支出(前期は7億63百万円の支出)となりました。これは主に長期借入による収入20億円があった一方で、配当金の支払い14億27百万円及び子会社の自己株式取得による支出21億54百万円があったことによるものです。
営業の実績
(1)営業収益の実績
当社グループの連結営業収益の項目別内訳は以下のとおりです。
項目前連結会計年度(2018年3月期)当連結会計年度(2019年3月期)
金額
(百万円)
構成比(%)金額
(百万円)
構成比(%)
残高報酬8,56864.8%10,20190.8%
成功報酬4,47633.8%9228.2%
その他1821.4%1151.0%
営業収益合計13,227100.0%11,239100.0%

・残高報酬
残高報酬料率(ネット・ベース)の推移は以下のとおりです。
区分前連結会計年度
(2018年3月期)
当連結会計年度
(2019年3月期)
当社グループ残高報酬料率
(ネット・ベース)
0.68%0.73%

(注) 残高報酬料率(ネット・ベース)=(残高報酬-残高報酬に係る支払手数料)÷ 期中平均運用資産残高
・成功報酬(株式運用ファンド関連)
成功報酬は、単純なケースでは過去のファンド計算期間末日の「一口当たり純資産価額」=「Net Asset Value Per Share」(以下、「NAVPS」と言います。)の最高値を、今ファンド計算期間末日のNAVPSと比較して、今ファンド計算期間末日のNAVPSの方が高かった場合に、値上がり部分に一定料率をかけて計算します(これを「ハイ・ウォーター・マーク方式」といいます)。
また、契約によっては、ベンチマークを一定以上上回った部分に一定料率をかけて計算するものもあります。
絶対リターン追求型の運用に多いハイ・ウォーター・マーク(HWM)方式の成功報酬の仕組み
0102010_001.jpg(注)1.上記の図は成功報酬の仕組みを簡便に説明したもので、実際の成功報酬の体系及びファンドの基準価格の
計算方法を厳密に説明しているものではありません。
(注)2.上記では、説明の都合上、成功報酬の料率を便宜的に20%として計算しております。
(2)運用資産残高の実績
以下の表は、当社グループの当期の運用資産残高の実績を示したものです。なお、日本円建て以外の運用資産残高を日本円に換算する際には、それぞれの時点における月末為替レートを用いております。 当社グループは、以下の場合を除き、直接的、間接的に子会社の持分割合を100%保有しており、下記の数値は当社子会社に対する当社持分に拘らず運用資産残高の100%を記載しております。
会社名2018年3月2019年3月
SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.70.1%100.0%

① 投資対象別の四半期運用資産残高の推移 (単位:億円)
投資対象2018年6月2018年9月2018年12月2019年3月
日本10,82811,72611,06411,487
韓国179183164141
アジア全域215212217227
合計11,22212,12211,44611,856

(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
2.2019年3月末運用資産残高は速報値となっております。
② 平均運用資産残高 (単位:億円)
2018年3月期
連結会計年度
2019年3月期
連結会計年度
当社グループ合計10,93711,572

(注) 1.各期の月末運用資産残高の単純平均であります。
2.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
3.2018年3月末運用資産残高は速報値となっております。
③ 成功報酬付運用資産残高及び比率
会社名2018年3月2019年3月
当社グループ合計残高(億円)2,8533,585
比率(%)25.430.2

(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
2. 2019年3月末運用資産残高は速報値となっております。
④ 投資戦略別四半期末運用資産残高の推移 ■投資対象が日本となる運用資産残高の内訳
(単位:億円)
投資戦略2018年6月2018年9月2018年12月2019年3月
日本株式ロング・ショート投資戦略486480444462
日本株式長期厳選投資戦略4,3464,8194,3955,063
日本株式中小型投資戦略2,4762,5131,9972,033
日本株式環境・クリーンテック投資戦略747789616-
日本株式価値創造・対話型投資戦略142152106112
日本株式マーケット・ニュートラル投資戦略58254337427
日本株式サステナブル投資戦略283432382414
日本不動産投資戦略331331331331
日本再生可能エネルギー投資戦略1,5871,5851,5281,529
未来創生投資戦略3673679251,113
その他000-
合計10,82811,72611,06411,487

(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
2.2019年3月末運用資産残高は速報値となっております。
■投資対象が韓国となる運用資産残高の内訳
(単位:億円)
投資戦略2018年6月2018年9月2018年12月2019年3月
韓国株式アクティブ投資戦略41463711
韓国株式アブソリュート・リターン投資戦略72716568
その他64666161
合計179183164141

(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
2.2019年3月末運用資産残高は速報値となっております。
■投資対象がアジア全域となる運用資産残高の内訳
(単位:億円)
投資戦略2018年6月2018年9月2018年12月2019年3月
アジア株式投資戦略215212217227
合計215212217227

(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
2.2019年3月末運用資産残高は速報値となっております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、後述の「第5経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
経営成績の分析については、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績」に含めて記載しております。
(次期の見通し)
当社グループの主たる事業である投信投資顧問業は、業績が経済情勢や相場環境によって大きな影響を受けるため将来の業績予想は難しいと認識しており、次期の見通しについての具体的な公表は差し控えさせていただきます。
(3)当連結会計年度の財政状態の分析
<資産の部>当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ5百万円減少し、313億31百万円となりました。主な増減内訳は、現金及び預金が14億97百万円の減少、投資有価証券が4億95百万円の増加、未収還付法人税等が5億12百万円の増加となっております。
<負債の部・純資産の部>当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3億64百万円増加し、103億10百万円となりました。主な増減内訳は、長期借入金が20億円の増加、未払金が2億27百万円の減少、未払法人税等が12億10百万円の減少となっております。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3億70百万円減少し、210億20百万円となりました。主な増減内訳は、資本剰余金が7億31百万円の減少、利益剰余金が18億15百万円の増加、非支配株主持分が13億75百万円の減少となっております。
(4)資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの投資を目的とした主な資金需要につきましては、シードマネー投資等によるものであります。
短期運転資金は自己資金を基本としており、シードマネー投資等につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は70億84百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は171億52百万円となっております。