四半期報告書-第23期第1四半期(2023/04/01-2023/06/30)

【提出】
2023/08/09 15:00
【資料】
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【項目】
37項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当社グループを取り巻く事業環境は、少子高齢化社会が及ぼす人手不足等の社会課題の蓄積やコロナ禍を起因としたライフスタイルの変遷など、目まぐるしく変化していく社会情勢への適応力が一層求められる大きな変革期を迎えています。
このような環境の中、当社グループでは、2023年3月期より、新たな経営理念体系「ミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)」を策定いたしました。そして、”未来の子供たちのために、より良い社会づくりの視点で、人々と共に「安心」「安全」「笑顔」の日々をつくる。”をミッションとして掲げ、2025年3月期を目標に更なる成長を見据えて策定した中期経営計画「Re-Growth 2025」の着実な遂行に、全力で取り組んでおります。
当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、全体的に堅調に推移したことで増収増益を達成したものの、事業セグメントにおける好不調が表れる結果となりました。売上高は、受注契約の増加に加え、経済活動の正常化に伴い需要も好転するなど順調に推移し、主要3事業全てで増収となりました。営業利益においては、引き続き社会サービス事業が全体を牽引し、車両運行サービス事業も増益を確保した一方で、原材料価格高騰の影響を受けたフードサービス事業が減益となりました。
当第1四半期連結累計期間における主な経営成績は次のとおりであります。 (単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同期比増減前年同期比
売上高29,84032,2852,445108.2%
営業利益1,1951,22832102.7%
経常利益8561,169313136.6%
親会社株主に帰属する四半期純利益917638△27869.7%

セグメントの業績は、次のとおりであります。 (単位:百万円)
売上高営業利益
当第1四半期
連結累計期間
前年同期比増減前年同期比当第1四半期
連結累計期間
前年同期比増減前年同期比
フードサービス事業13,779670105.1%434△12078.3%
車両運行サービス事業6,072270104.7%62449108.6%
社会サービス事業11,6721,366113.3%80284111.7%
その他900144119.1%106991,602.0%
消去・全社費用△138△5-△740△80-
合計32,2852,445108.2%1,22832102.7%

(フードサービス事業)
大手同業他社との競争激化や慢性的な人員不足に加え、足元においては原材料価格の高騰が継続するなど、事業環境は依然として厳しい状況が続いております。
社員食堂を中心とするコントラクトフードサービス部門では、オフィス、工場セグメント店舗を中心に喫食数が回復に向かう一方で、リモートワーク等の新しい働き方を取り入れる契約先も多く、職場における食事提供についても新しいサービスに対する期待が高まってきております。このような中、食事提供サービスや在宅勤務等の増加によって減少した食数に対応したローコストオペレーションモデルを構築し、積極的な提案活動を実施したほか、アフターコロナに対応する新規業態の開発や増加傾向にあるイベントや宴会等の獲得にも注力してまいりました。
病院・高齢者施設・保育給食を中心とするメディカルフードサービス部門では、新型コロナウィルス感染症の5類移行に伴い、高齢者施設は順調な回復傾向となりましたが、病院施設においては回復が鈍化傾向にあり、引き続き原材料価格高騰への対策などコストコントロールに努めました。また、保育給食においては、ミールキットを活用したオイシックス・ラ・大地株式会社との協業モデルの構築を推し進めてまいりました。
以上の結果、売上高は既存店の順調な回復により増収となりましたが、営業利益は価格転嫁の遅れや労務コスト上昇による原価率の悪化が影響し、減益となりました。
(車両運行サービス事業)
民間法人においては、ノンコア業務をアウトソーシングする流れが継続しており、特に車両運行管理業務については、役員送迎車や社員送迎バス等がその対象となっております。また、地方自治体においては財政再建と地域活性化のため、新たな交通体系の整備や学校統廃合におけるスクールバス需要等のニーズが高まっております。その一方で、運転士不足が深刻化しつつあり、全国で路線バスの減便が拡大するなど運転士の確保と育成が大きな課題となっております。
このような環境のもと、役員車両部門及び一般車両部門においては、安定収益が見込める公共法人への営業活動の強化として、デマンドシステム及びスクールバスの提案を加速させ、成果が大きく表れているWebプロモーションによる販促に加え、クロスセル営業を推進するなど、引き続き新規契約の獲得に向けた営業体制の強化を図ってまいりました。
旅客運送部門においては、地方自治体に対してデマンドバスを含めた地方交通体系の提案や、高速乗合バスの新規路線の開拓を進めるなど、引き続き売上構造の安定化を図ってまいりました。
これらの結果、臨時便が減少した影響があったものの、期首からの増車に加え、運行時間の延長や休日運行の稼働等が順調に推移したほか、燃料単価も想定内で推移するなど原価率も改善し、増収増益を達成いたしました。
(社会サービス事業)
政府が掲げる「地方創生」政策は、地方創生の推進に向けた施策に政府一丸となって取り組んでおり、地方自治体においては財政健全化と地域活性化のため、自治体が提供するサービスを民間に委託するニーズは高まっております。さらに、住民サービスの効率的な運用を目指した施設の統合が進められるとともに、少子高齢化による行政サービスのコストアップと人手不足が、行政サービスのアウトソーシング市場を確実に伸長させる要因となっております。
このような環境のもと、成長ドライバーとして特に力を入れている学童保育・児童館・子育て支援受託業務においては、多様化する子育てニーズに応えるべく、培ってきたノウハウを活かしたコンテンツ開発に注力し、全国の自治体からの受託数は前年同期比で256箇所増加するなど、大きく成長し続けております。
そして、施設管理・図書館運営及び学校給食受託業務においても、新たな受託運営として、2023年4月に岩手県久慈市の「道の駅いわて北三陸」がオープンするなど、引き続き多くの自治体からの案件を受託し、順調な立ち上がりを見せております。また、図書館アプリの導入など行政支援経験を活かしたサービスによる施設の利便性と運営効率の向上に努めてまいりました。
以上の結果、運営施設数の増加が大きく寄与し、売上高・営業利益ともに二桁成長を遂げ、引き続き好調に推移いたしました。
(ESGとSDGsへの取り組み)
当社グループは、環境(Environment)、社会(Social)、統治(Governance)のESGに関する様々なステークホルダーの要請に対応し、かつDX(Digital Transformation)を活かした経営改革・事業改革を実践するために、地球環境対応、労働と人権に配慮した働き方改革・お客様満足度向上・地域社会への貢献といった社会課題やガバナンスへの対応などを進めてきております。
2021年10月に取締役会に直属するSDGs委員会を設立し、経営理念、経営目標、経営戦略の達成のために事業活動を通してSDGsの達成に寄与することを目指しております。2022年5月のSDGs委員会において、SDGs経営方針を“『未来の子供たちのために、より良い社会づくりの視点で、人々と共に「安心」「安全」「笑顔」の日々をつくる。』というミッションのもと、社員エンゲージメントへの投資により生産性を高めてその成果を還元し、顧客・パートナー企業との協創でイノベーションを進め、社会価値と経済価値が好循環するCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)を目指します。”といたしました。また、2022年9月に開示した統合報告書においても、SDGs経営の推進を説明しております。
当社グループの事業は、社員が生み出す、安心、安全、そして笑顔などの「価値」をお客様や取引先様へ提供することで幸せを育む事業であり、ジェンダー平等や多様性に配慮した社員一人ひとりの可能性を育み、「人を育み、幸せを最大化する社会課題解決企業」として持続可能な社会づくりに貢献してきております。
当社グループは、事業活動を通じて競争優位性を確立し、事業基盤を強化するとともに、人や社会、環境、そして株主に広く還元をしてまいります。
(ESG/SDGsに関する主な活動事例)
当社グループで全国の民間企業の役員車及び自治体の公用車、貸切バス等の車両運行を行う車両運行サービス事業では、2004年に国土交通省より一般乗合旅客自動車運送事業の認可を受け、京浜急行本線金沢文庫駅で路線バスの運行を開始しました。今年、同路線バス運行開始から20年目の節目を迎えるにあたり、地域へのさらなる環境負荷低減、ならびに乗客の皆様の利便性向上のため、計8台運行する路線のうち1台を電気バス(以下:EVバス)に切り替え、2023年4月より運行を開始しております。なお、当社グループとして、EVバスを導入・運行するのは初となります。
導入するEVバスは、大容量バッテリーと低消費電力システムを搭載し、1回の充電で280kmの長距離走行が可能(※1)なほか、バスの主な燃料となる軽油を一切使用しないため、走行時にCO2や窒素酸化物、粒子状物質等が発生しません。また、現在使用しているディーゼル型の車両に比べ、年間約32トンのCO2削減および環境負荷の低減につながります。そのほか、車両の騒音の抑制、昇降口には軽量のスロープを内蔵し高齢者や小さなお子様も安心して乗車が可能になるなど、地域住民の皆様のライフサイクルに合わせた持続可能な運行環境を追求しました。
当社グループはこれからも、事業活動を通じたSDGsの活用により、お客様及び取引先様とのパートナーシップを強化し、健康、持続可能なまちづくり、カーボンニュートラルへの挑戦、働き方改革など持続可能な成長を目指してまいります。
※1:試験条件は定速60km/h、負荷重500kg、エアコンオフによるもの。走行時の走り方や条件(気象、道路、運転、架装等の状況)により航続距離は変化します。
(健康経営への取り組み)
当社は、社内の健康経営を推進するべく、従業員の健康維持・増進を支える部署横断型の「健康経営推進プロジェクト」を設置しております。2023年3月に「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に3年連続で選定されております。
また、当社グループでは、全国の民間企業の役員車、および自治体の公用車、スクールバスやデマンドバス等の車両運行を行っております。この度、国土交通省が実施する「働きやすい職場認証制度 (運転者職場環境良好度認証制度)」の1つ星認証を取得しました。この制度は、自動車運送事業(トラック・バス・タクシー事業)の運転者不足に対応するための総合的な取り組みの一環として、事業者の労働条件や労働環境を求職者が容易に確認できるよう「見える化」し、より働きやすい労働環境の実現や安定的な人材の確保を目指す目的で、2020年度に創設されました。現在、全国で自動車運送事業の需要が高まる中、同認証の取得に伴い、従業員がより一層安心して働けるよう、努めてまいります。
当社グループは、財産は「人」であると考え、性別、国籍、障がいの有無にかかわらず、異なる個性や能力を持った「人」が活躍できるダイバーシティ経営を推進しており、今後も「人」を重要視した経営を続けていくとともに、すべての従業員が働き甲斐があり、かつ安心して働ける環境整備に継続して努めてまいります。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,010百万円増加し35,205百万円(前連結会計年度末比6.1%増)となりました。流動資産においては、2,298百万円増加し26,581百万円となりました。これは主に、現金及び預金が1,786百万円増加したことによります。固定資産においては、288百万円減少し8,623百万円となりました。これは主に、繰延税金資産が363百万円減少したことによります。
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ1,831百万円増加し22,801百万円(前連結会計年度末比8.7%増)となりました。流動負債においては、2,206百万円増加し20,845百万円となりました。これは主に、未払金が1,058百万円、未払費用が703百万円増加したことによります。固定負債においては、375百万円減少し1,955百万円となりました。これは主に、借入金の返済により長期借入金が375百万円減少したことによります。
当第1四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ179百万円増加し12,404百万円(前連結会計年度末比1.5%増)となりました。これは主に、配当により資本剰余金が547百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益638百万円を計上したことによります。
以上の結果、当第1四半期連結会計期間末における自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.6ポイント減少し35.2%となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
特記すべき事項はありません。