四半期報告書-第21期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/14 15:01
【資料】
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【項目】
43項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当社グループを取り巻く事業環境は、少子高齢化社会が及ぼす人手不足等の社会課題の蓄積や断続的な新型コロナウイルス感染症拡大による生活様式の変化への対応が求められるなど、大きな変革期を迎えています。足元では、行動制限が緩和された10月以降、景況感に持ち直しの動きが見られたものの、原材料価格の高騰に加え、新たな変異ウイルスによる感染症の再拡大が発生するなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境の中、当社グループでは、再成長戦略「Re-Growth」の実現に向けた事業の選択と集中を実施しており、BtoB・BtoP(Public:官公庁、自治体)事業に特化していくため、BtoC事業からの撤退およびノンコア資産の売却など経営改革に注力しております。また、引き続き「安心・安全」な管理体制の強化に取り組みつつ、間接費の圧縮等による経営のスリム化に努め、全社でコロナ禍に対応すべく対策を講じてまいりました。
当第3四半期連結累計期間における主な経営成績は次のとおりであります。 (単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前年同期比増減前年同期比
売上高82,55687,6225,066106.1%
営業利益7292,2241,495305.0%
経常利益7912,2111,420279.5%
親会社株主に帰属
する四半期純利益
3854,4494,0641,155.6%

セグメントの業績は、次のとおりであります。 (単位:百万円)
売上高営業利益又は営業損失
当第3四半期
連結累計期間
前年同期比増減前年同期比当第3四半期
連結累計期間
前年同期比増減前年同期比
フードサービス事業40,0441,286103.3%2,076589139.7%
車両運行サービス事業16,348396102.5%1,380120109.5%
社会サービス事業28,1243,417113.8%1,345△12791.4%
その他3,854△42490.1%△249332-
消去・全社費用△748390-△2,328579-
合計87,6225,066106.1%2,2241,495305.0%

<フードサービス事業>大手同業他社との競争激化や原材料価格の高騰、店舗における慢性的な人員不足に加え、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響も受け、経営環境は依然として厳しい状況にあります。コントラクトフードサービス部門では、オフィス、工場セグメント店舗を中心に喫食数は戻りつつある一方で、リモートワーク等、政府が推奨する「新しい生活様式」に沿った新しい働き方を取り入れる契約先も多く、職場での食事提供についても新しいサービスに対する期待が高まってきております。そうした中、社員食堂を中心とするコントラクトフードサービス部門では、Withコロナ企画として「健康支援」をキーワードに非接触型の食事提供サービスや在宅勤務等の増加によって減少した食数に対応したローコスト運営の提案活動を積極的に行ってまいりました。また、病院や高齢者施設を中心とするメディカルフードサービス部門では、セントラルキッチンを活用した「やわらかマザーフード」や、季節の彩り溢れる食材を重箱へ盛り付けし高級感をアップした「御膳シリーズ」の提供に加え、完全調理品を用いた郷土料理で旅行気分を味わってもらう「全国郷土料理うまいもの紀行」や有事に備えた冷凍弁当の保管など、「新しい生活様式」に対応した「新しい食事の提案」をお客様が置かれている環境に合わせて積極的に行い、お客様の満足度を高める活動を進めてまいりました。このような取り組みに加えて、運営継続店において赤字店舗の撤退や低迷している店舗の改善を進め、店舗の活性化と解約防止に努めてまいりました。
また、新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中でも、SDGsを目的とした企業活動が社会全体で注目されている動きの中、SDGsをより身近に感じてもらう事を目的としたサステナブルフードを展開した事に加え、12月には、「スーパーフードの王様」と呼ばれ、未来のたんぱく資源として注目されている「スピルリナ」を使用したメニューを全国16か所の店舗で5日間展開したほか、保育給食にて「食品ロス削減の日(10月30日)」に全国160か所の幼稚園、保育所にて“食品ロス”をテーマにした塗り絵や紙芝居を使った食育企画を実施いたしました。
<車両運行サービス事業>民間法人においては、各法人のノンコア業務をアウトソーシングする流れが継続しており、特に車両運行管理業務については役員送迎車や社員送迎バス等がその対象となっております。また、地方自治体においては財政再建と地域活性化のため、新たな交通体系の整備や学校統廃合におけるスクールバス需要等のニーズが高まっております。一方で2020年以降、アウトソーシングの流れそのものは変わらないものの、新型コロナウイルス感染症の拡大により社会経済活動が縮小し、役員送迎車における稼働時間や日数の減少、施設休業に伴う送迎バスの運休などが発生するとともに、インバウンド需要の消滅も生じております。更に燃料単価の上昇といった原価増加要因も発生しております。
このような環境のもと、日々変化する状況の中での対応力が求められているため、役員車両部門においては新たな通勤手段としての車両利用、社員送迎バス等においても「密」を避けるための増便を提案するなど、新たな需要開拓に努めてまいりました。併せて、安定収益が見込める公共法人への営業活動を強化し、デマンドシステムおよびスクールバスの提案営業と入札案件の情報収集と獲得に注力いたしました。旅客運送部門においては、インバウンド運行や国内ツアー運行から、工場や倉庫に勤務する社員送迎やスクールバスといった定期契約に基づく運行へと切り替えを進め、売上構造の安定化を図ってまいりました。
<社会サービス事業>政府が掲げる「地方創生」政策は新型コロナウイルス感染症の影響下においても継続しており、地方自治体においては財政再建と地域活性化のため自治体が提供するサービスを民間に委託するニーズは高まっております。また、コンパクトタウン・スモールタウン化構想のもと、住民サービスの効率的な運用を目指した施設の統合が進められるとともに、少子高齢化による行政サービスのコストアップと人手不足が、行政サービスのアウトソーシング市場を確実に伸長させる要因となっております。
このような環境のもと、特に力を入れている学童保育・児童館・子育て支援受託業務においては、全国の自治体から新規案件の受託により受託現場数が大きく増加するとともに、施設管理・図書館運営および学校給食受託業務等においても、多くの自治体からの案件を受託し、立ち上げ後の運営も堅調に推移しております。また一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大により、一部施設において利用者数の減少や休業等の影響を受けているものの、ワクチン集団接種の会場運営等の新たな受託業務の獲得もあり、引き続き大きく躍進いたしました。
当社グループは、「すべては未来の子供たちのために」という大義のもと、創業以来、私たちの事業を通して社会課題解決に取り組んでおり、環境(Environment)、社会(Social)、統治(Governance)のESGに関する様々なステークホルダーの要請に対応し、かつDX(Digital Transformation)を活かした経営改革・事業改革を実践するために、地球環境対応、労働と人権に配慮した働き方改革・お客様満足度向上・地域社会への貢献といった社会課題やガバナンスへの対応などを進めてきております。
また、当社グループの事業を、「人」(社員)が生み出す「価値」を「人」(お客様や取引先様)へ提供することで幸せを育む事業と位置づけ、ジェンダー平等や多様性に配慮した社員一人ひとりの可能性を育み、「人を育み、幸せを最大化する社会課題解決企業」として持続可能な社会づくりに貢献してきております。これは、2015年に採択された国連のSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の趣旨と合致しており、事業活動を通してSDGsの達成に寄与することを目指し、これを羅針盤として活用する「SDGs経営」を推進しております。事業活動を通じて競争優位性を確立し、事業基盤を強化するとともに、ヒトや社会、環境、そして株主に広く還元をしてまいります。なお、当社グループは、2021年11月29日に東証に提出した「コーポレートガバナンス・コードに関する当社の対応方針」に関連して「価値創造ストーリー」を公開しました。当社の歴史・DNAに立ち返って特にサステナビリティ(SDGs)とコーポレートガバナンスを紐づけ、解説する内容となっております。
⦅ESG/SDGsに関する主な活動事例⦆
当社グループの特例子会社でグループ内の各種サポート業務を行うシダックスオフィスパートナー株式会社は、2021年9月に障害者雇用の優れた取り組みを行う企業を表彰する「令和3年度 障害者雇用エクセレントカンパニー賞(東京都知事賞)」に選定されました。従来、当社グループの財産は「人」であると考え、性別、国籍、障がいの有無にかかわらず、異なる個性や能力を持った「人」が活躍できるダイバーシティ経営を推進してまいりました。多様なサービスを全国で継続して展開するために、社員が健康で働きやすい環境を提供することは経営基盤の強化に繋がると考えております。
また、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化等の国際課題対策のため2020年7月に施行された「レジ袋有料化」以降、全国のグループ店舗・施設にて、レジ袋を購入されたお客様による収益金の一部(レジ袋販売額から仕入れ額を引いた残金)を寄付金として2021年10月に日本UNEP協会*1(代表理事:鈴木基之)に寄付をいたしました。「レジ袋有料化」施行に伴う本活動と並行して、店頭でのポスター掲示やスタッフによるお客様への声がけといった啓発活動を実施した結果、2020年度のレジ袋販売総数は、2019年度の半分に減少いたしました。
当社グループはこれからも、事業活動を通じたSDGsの活用により、お客様及び取引先とのパートナーシップを強化し、健康、持続可能なまちづくり、カーボンニュートラルへの挑戦、働き方改革など持続可能な成長を目指してまいります。
*1 日本UNEP協会:国連の中核機関として環境分野のリーダーシップを取るUNEP(国連環境計画)の国内における活動普及、および日本と海外を結んだグローバルな環境ネットワークを構築する団体。
<健康経営への取り組み>当社は2021年3月に「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)」に選定されております。当社グループの健康経営への取り組みは、代表取締役会長兼社長を最高責任者、人事担当役員を施策の企画・実行のトップとして、人事企画部が総務部、総合研究所等と連携して推進しております。当社グループは、社員に健全で働きやすい環境を提供することが結果として、優秀な人材の確保と労働生産性向上による経営基盤の強化に繋がると考えており、本年度は、社会サービス事業等を行うシダックス大新東ヒューマンサービス株式会社が、2021年6月に女性の活躍推進に関する取り組みが優良な企業として、厚生労働省より「えるぼし」認定を受けました。加えて、病院・高齢者福祉施設等の給食サービスを行うシダックスフードサービス株式会社も同年11月に認定されるなど、引き続き他のグループ企業においても、認定取得を目指してまいります。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ3,780百万円減少し36,132百万円(前連結会計年度末比9.5%減)となりました。流動資産においては、1,299百万円減少し24,921百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が1,578百万円増加した一方で、現金及び預金が3,092百万円減少したことによります。固定資産においては、2,480百万円減少し11,211百万円となりました。これは主に、有形固定資産が1,535百万円減少したことによります。
当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ7,943百万円減少し24,449百万円(前連結会計年度末比24.5%減)となりました。流動負債においては、1,651百万円減少し24,171百万円となりました。これは主に、長期借入金を1年内返済予定の長期借入金に振り替えたことにより借入金が3,472百万円増加した一方で、未払金が3,812百万円、未払消費税等が1,275百万円減少したことによります。固定負債においては、6,291百万円減少し277百万円となりました。これは主に、長期借入金が6,157百万円減少したことによります。
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ4,163百万円増加し11,683百万円(前連結会計年度末比55.4%増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益4,449百万円の計上によるものです。
以上の結果、当第3四半期連結会計期間末における自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ13.5ポイント上昇し32.3%となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更を行っております。
詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項」の(会計上の見積りの変更)(中伊豆ワイナリーヒルズに係る固定資産の減損に係る見積りの変更)をご参照ください。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
特記すべき事項はありません。