有価証券報告書-第19期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善により緩やかな回復基調にありましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大、これに伴う緊急事態宣言の発出による営業自粛や在宅勤務の拡大、各種催事が中止及び延期となった事で、大幅な企業業績の悪化等の影響が生じております。また、個人消費においても同様で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による外出の自粛要請及び、夜間の飲食店の営業自粛により個人消費を抑制されている事に加え、10月1日より開始された消費増税による影響及び賃金の伸び悩みや社会保険料の負担増加など将来不安を背景とした消費者の節約志向は依然として強く、経営環境は、極めて厳しい状況となっております。
このような環境のもと、当社グループは、“フードサービスから公共サービスまで提供可能な水平垂直統合型の企業構造”で他社との差別化を図り、プレミアムブランド戦略による高品質・高付加価値のサービスを提供するとともに、より一層の「安心・安全」な品質管理体制の強化、グループ総合力を活かしたトータルアウトソーシングサービスによる積極的な営業拡大を行うとともに、時間外労働の削減、消耗品の見直し等に係る原価圧縮施策、本部コスト削減による間接費の圧縮に取り組んでまいりました。また、当社グループは第1四半期において、2019年5月17日に開示しました、「資本業務提携及び第三者割当による優先株式の発行、定款の一部変更並びに資本金の額及び資本準備金の額の減少に関するお知らせ」に記載のユニゾン・キャピタル4号投資事業有限責任組合及びUnison Capital Partners IV(F), L.P.(以下、ユニゾン)との資本業務提携契約を締結し、同契約に基づき、2019年7月16日付けにて、第三者割当の方法によりユニゾンに対して総額40億円のB種優先株式及び総額25億円のC種優先株式、合計65億円を発行致しました。これにより、当社グループは、ユニゾンを事業パートナーとして再成長戦略「Re-Growth」を実現するため、グループ横断的な目線により経営改革を実行することを企業目標と設定いたしました。また、第2四半期において当社は、資金繰り及び長期資金の安定化を目的として、2019年7月26日に株式会社三井住友銀行をアレンジャーとする総額160億円(うち、60億円はコミットメントライン)のシンジケートローン契約を締結し、2019年7月31日に既存の借入金を全て返済し、同日に上記の借り入れが実行されることでリファイナンスが完了し、今後の成長資金の確保並びに財務の安定化に努めました。10月には、ユニゾンと共同での「Re-Growth委員会」を新設し、より機動的かつ迅速に、重要案件及び施策の検討を行う事が可能となり、ガバナンスの強化も推進致しました。さらに第4四半期においては、2020年2月27日に開示しました、「株式会社アインホールディングスとの業務提携及び連結子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ」に記載の、株式会社アインホールディングス(以下「アインHD」という)との間で営業開発等に関する業務提携及び連結子会社であるシダックスアイ株式会社(以下「SI社」という)の株式を全てアインHDに譲渡し、今後、アインHDとの協業により、当社基幹事業の重要顧客の一つである病院向け営業を強化しつつ、SI社の持つポテンシャルを十分に発揮させる事とした上で、事業の選択と集中を進めました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による前年同期比552百万円の減収及びコントラクトフードサービス事業及びメディカルフードサービス事業が赤字店撤退等により前年同期比1,827百万円減収があったものの、積極的な営業要因による増店効果でトータルアウトソーシング事業の売上が前年同期比で3,820百万円増収した事等により、129,585百万円(前連結会計年度比1.0%増)となりました。利益面につきましては、事業ポートフォリオの見直しによる売上総利益率の改善効果と間接コストの削減を行ったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による減益310百万円及び一時的な労務コストの発生並びに再成長戦略「Re-Growth」に伴う先行投資等により、営業利益は1,102百万円(前連結会計年度比36.6%減)となりました。経常損失につきましては、シンジケートローン組成費用及びリファイナンス費用等の金融費用が897百万円発生した事、優先株式発行等に係るコンサルティング費用511百万円等が発生した(いずれも今期のみの一過性コストであります)事により、127百万円(前連結会計年度は420百万円の経常利益)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、SI社譲渡による売却益1,125百万円があったものの、前期のカラオケ事業売却における最終費用として売却対象外店舗の閉鎖に関連して支払った立退料や、カラオケ事業の売却店舗に係る修繕補修工事費用等を計上した事等により、1,123百万円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、シダックス・コミュニティー㈱を譲渡したことによる株式等売却損4,334百万円の計上があった事等により、3,284百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(コントラクトフードサービス事業)
大手同業他社との競争激化に加え原材料価格の高騰、店舗における慢性的な人員不足、また、2月終わりからは新型コロナウイルス感染症拡大の影響による休業や縮小営業があり、売上で347百万円、利益で132百万円のマイナス影響が発生する等、経営環境は依然として厳しい状況にあります。このような環境のもと、健康支援をキーワードにお客様の満足度を高める提案活動を行いながら、地域(店舗)の独自のイベントを継続的に実施し売上向上を行うとともに、季節に合わせたフェアメニューや高付加価値メニューを展開。ビュッフェスタイル、機械化、完全調理品の導入などローコストオペレーションを推進し徹底したコスト管理を図ってまいりました。既存店舗においては、赤字店舗の撤退や低迷している店舗の改善をおこない活性化と収益力の強化に取り組むとともに新型コロナウイルス感染症拡大による影響の極小化を図るべく費用の削減を進めて参りました。また、多様化するお客様のニーズを的確に捉え、グループ総合力を活かしたソリューションサービスの提案を行い、営業開発と連動して新規店52店舗を獲得し事業拡大と経営効率の改善を進めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は26,177百万円(前連結会計年度比1.9%減)、セグメント利益は915百万円(前連結会計年度比7.9%減)となりました。
(メディカルフードサービス事業)
大手同業他社との競争激化に加え原材料価格の高騰、店舗における慢性的な人員不足など経営環境は依然として厳しい状況にあります。このような環境のもと、季節のスイーツ・食育イベントの実施、高品質なサービスの提供を行うとともに、セントラルキッチンを活用した「やわらかマザーフード」や、季節の彩り溢れる食材を重箱へ盛り付けし、高級感をアップした「御膳シリーズ」の商品提供を行うなど、お客様満足度の向上に努めてまいりました。一方で院外調理品の充実、既存店舗の解約防止、赤字店舗からの撤退並びに運営改善強化などによって既存店舗の活性化と収益性の向上に取り組んでまいりました。また、お客様の潜在的なニーズを的確に捉え、グループ総合力を活かしたソリューションサービスの提案を行い、営業開発とも連動して新規店29店舗を獲得し事業拡大に努めるとともに、収益力の強化と経営効率の改善を進めてまいりました。なお、2月終わりからの新型コロナウイルス感染症拡大の影響による大きなマイナス影響はありませんでした。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は30,866百万円(前連結会計年度比4.0%減)、セグメント利益は928百万円(前連結会計年度比4.7%減)となりました。
(トータルアウトソーシング事業)
政府が掲げる「地方創生」政策のもと、地方自治体においては財政再建と地域活性化へのニーズが高まっており、自治体が提供するサービスを民間に委託する流れが続いております。また、コンパクトタウン・スモールタウン化構想のもと、住民サービスの効率的な運用を目指した施設の統合や交通体系の整備が進められております。さらには少子高齢化が行政サービスのコストアップ、人手不足を招き、行政サービスのアウトソーシング市場は確実に伸長しております。しかしながら、2020年2月以降は新型コロナウイルス感染症拡大により社会活動が縮小し、当事業に関しましても売上で126百万円、利益で97百万円のマイナス影響が出ている状況であります。
このような環境のもと、車両運行管理事業においては、現場でサービスにあたる社員の正社員化を進める等の雇用条件向上を図り、採用の強化と離職の防止に努めました。更に「働き方改革」に沿った社員の労働時間と健康の管理に対応できる配置体制を整備し、それに適した価格での受託や契約更改に努めてまいりました。こうした取り組みには契約先のご理解も頂き、今期の新規獲得台数は215台(内スポット契約5台)、契約終了は184台となっております。新型コロナウイルス感染症拡大により、インバウンドの観光バス事業に影響が出ておりますが、社内の別契約での勤務等適正人員配置にて対応をしております。
社会サービス事業においては、特に力を入れている学童保育・児童館・子育て支援受託業務において、全国の自治体から新規案件の受託により、増収を実現。加えて、自治体要請による学校休校時の学童保育延長にも真摯に対応して参りました。また、既存事業であります施設管理・図書館および学校給食受託業務等におきましても、多くの自治体からの案件を受託し、立上後の運営も堅調に推移をしております。また新型コロナウイルス感染症拡大の影響のうち、休校期間中の学校給食については、現場施設の点検や清掃・消毒、研修等を行っており、業績への大きな影響はありません。今期の新規獲得件数は371件、契約終了は94件となっております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は49,641百万円(前連結会計年度比8.3%増)、セグメント利益は2,856百万円(前連結会計年度比3.3%増)となりました。
(コンビニエンス中食事業)
同業他社・大手コンビニエンスストアとの新規案件競争、商圏内への競合出店、店舗における人員不足など依然として厳しい環境が続いておりますが、お客様の満足度向上と増収増益の実現に向け、オリジナリティ強化・運営力の改革に取り組んでまいりました。
新規営業活動においては、クライアントニーズに柔軟に対応するため、大手コンビニFC・中堅コンビニモデル・小規模独自売店の3モデル最適提案を軸に、関係取引先とのアライアンス強化に取り組んでまいりました。
商品・サービス面においては、短期サイクルで商品を入れ替えながら食品・非食品催事を継続的に実施し客単価向上に努めてまいりましたが、新型コロナウイルス流行の影響を含む来店客数の減少要因で既存店売上は前連結会計年度比で5.8%減となりました。
運営管理面では、第3四半期に引き続き最低賃金の引き上げによる人件費増加による減益要因がありましたが、赤字店条件交渉や残業・商品及びロス管理などの継続的な既存店改善の取り組みを進め利益改善に努めてまいりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響につきましては、病院内売店、学校・商業施設職員用売店、官公庁・オフィス・工場内売店とも、流行拡大による自粛・制限・禁止措置の影響を大きく受け、3月においては来客数の減少に伴い売上が前年同月比64百万円の減収となりました。セグメント別の自粛・制限・禁止措置内容は、病院内売店におきましては外来受け入れ制限や面会の中止、感染警戒からの通院自粛による来客数減、学校・商業施設内職員売店につきましては休校・施設休業にともなう売店休業、官公庁・オフィス・工場は出勤制限による在館人数の大幅減に伴う売店営業時間短縮または休業、というもので、3月においては利益としては前年同月比44百万円の減益となりました。また、第4四半期において、2020年2月27日に開示しました、「株式会社アインホールディングスとの業務提携及び連結子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ」に記載の、アインHDとの間で営業開発等に関する業務提携及び連結子会社であるSI社の株式を全てアインHDに譲渡し、当社グループとしての事業の選択と集中を進めました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は13,487百万円(前連結会計年度比1.9%増)、セグメント損失は0百万円(前連結会計年度は147百万円のセグメント利益)となりました。
(エスロジックス事業)
エスロジックス事業においては、譲渡したカラオケ事業向けの売上が前期比で減少した一方で、当社グループのスケールメリットを最大限に活かし、安全性・信頼性の高い商品を徹底した衛生管理体制で一括発注・配送を展開してまいりました。また、一元物流システムをより合理的に活用できるよう、標準メニュー導入の促進、調達コスト上昇の抑制、物流費の値上げ抑制などに努めるとともに、同業他社とのアライアンスによる共同購買機構によって、スケールメリットを最大限に活用し、グループ外宛の新規取引の拡大を含めた収益性の向上にも努めてまいりました。また、健康効果が期待される食事メニューの開発、トレーサビリティ、アレルゲン関連など、付加価値の向上にも努め「安心・安全」な食材の供給を行って参りましたが、3月においては新型コロナウイルス感染症拡大による営業自粛などにより外販売上・内販売上共に減少し、前年同月比、売上で409百万円、利益で31百万円のマイナス影響がでました。
以上の結果、当連結会計年度の内部売上高を含めた売上高は32,614百万円(前連結会計年度比1.2%減)、セグメント利益は2,153百万円(前連結会計年度比7.7%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,386百万円増加し8,398百万円(前連結会計年度末比19.8%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、386百万円の資金減少(前連結会計年度は885百万円の資金減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失が2,315百万円、減価償却費が890百万円並びに投資有価証券評価損が311百万円計上されたほか、賞与引当金の増加額が843百万円あった一方、法人税等の支払額が389百万円あったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、838百万円の資金増加(前連結会計年度は3,182百万円の資金増加)となりました。これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式等の売却による収入が1,283百万円あった一方で、有形固定資産の取得による支出が361百万円、無形固定資産の取得による支出が268百万円あったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、944百万円の資金増加(前連結会計年度は4,274百万円の資金減少)となりました。これは主に、株式の発行による収入が6,500百万円、長期借入による収入が10,000百万円並びに短期借入金の増加額が3,650百万円あった一方、長期借入金の返済による支出が14,998百万円、アレンジメントフィー等の支払額が754百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が512百万円並びに自己株式の取得による支出が2,558百万円あったことによります。
生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業は、企業、官公庁、学校等の食堂の給食及び管理業務の受託運営を行うコントラクトフードサービス事業、病院入院患者を対象とした給食、病院内職員食堂及び老人保健施設等の給食の受託運営を行うメディカルフードサービス事業、民間企業や地方自治体への車両運行管理や施設管理及び運営など、食を含めた業務の一括アウトソーシング受託を行うトータルアウトソーシング事業、病院、企業、官公庁、大学及びオフィスビル等において、食料品、飲料、日用品及び医療衛生用品等を販売する施設内売店の受託運営を行うコンビニエンス中食事業、事業所給食事業、外食産業に利用する食材、消耗品を当社グループ及び得意先等へ販売を行う他、厨房設備の設計、販売を行うエスロジックス事業であり、受注・生産活動は行っていないため、生産の状況及び受注の実績は記載しておりません。
なお、コンビニエンス中食事業を構成する連結子会社であったシダックスアイ株式会社は、当連結会計年度において全株式を売却したため連結の範囲から除外しております。
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)当連結会計年度の財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度末における財政状態は、総資産38,084百万円(前連結会計年度末比2.3%減)、負債30,977百万円(前連結会計年度末比8.8%減)、純資産7,107百万円(前連結会計年度末比42.1%増)となりました。また、自己資本比率につきましては、前連結会計年度末に比べ6.4ポイント改善し18.7%となっております。
① 資産の部
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ882百万円減少し38,084百万円(前連結会計年度末比2.3%減)となりました。
流動資産においては、924百万円減少し23,485百万円となりました。これは主に、現金及び預金が1,386百万円増加した一方で、受取手形及び売掛金が360百万円、商品及び製品が466百万円、その他に含まれる未収消費税等が616百万円、未収法人税等が576百万円減少したことによります。
固定資産においては42百万円増加し14,598百万円となりました。これは主に、繰延税金資産が1,757百万円増加した一方で、有形固定資産が682百万円、投資有価証券が339百万円、敷金及び保証金が589百万円減少したことによります。
② 負債の部
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ2,986百万円減少し30,977百万円(前連結会計年度末比8.8%減)となりました。
流動負債においては、3,331百万円減少し22,460百万円となりました。これは主に、短期借入金が3,500百万円増加した一方で、未払金が1,204百万円、1年内返済予定の長期借入金が5,483百万円減少したことによります。
固定負債においては、344百万円増加し8,516百万円となりました。これは主に、長期借入金が485百万円増加したことによります。
③ 純資産の部
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ2,103百万円増加し7,107百万円(前連結会計年度末比42.1%増)となりました。これは主に、第三者割当増資により6,500百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失1,123百万円の計上並びにA種優先株式に係る優先配当の支払により140百万円、A種優先株式の取得及び消却により2,558百万円減少したことによります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高129,585百万円(前連結会計年度比1.0%増)、営業利益1,102百万円(前連結会計年度比36.6%減)、経常損失127百万円(前連結会計年度は420百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失1,123百万円(前連結会計年度は3,284百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
① 売上高
売上高につきましては、前連結会計年度に比べ1,307百万円増加し129,585百万円となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による552百万円の減収及びコントラクトフードサービス事業及びメディカルフードサービス事業が赤字店撤退等により1,827百万円減収があったものの、積極的な営業要因による増店効果でトータルアウトソーシング事業の売上が3,820百万円増加したこと等によります。
② 売上総利益及び営業利益
売上総利益につきましては、前連結会計年度に比べ74百万円増加し17,030百万円となりました。営業利益につきましては、前連結会計年度に比べ636百万円減少し1,102百万円となりました。これは主に、事業ポートフォリオの見直しによる売上総利益率の改善効果と間接コストの削減を行ったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による減益310百万円及び一時的な労務コストの発生並びに再成長戦略「Re-Growth」に伴う先行投資を行ったこと等によります。
③ 営業外損益
営業外収益につきましては、前連結会計年度に比べ200百万円増加し712百万円となりました。これは主に、受取保険金が278百万円増加したことによります。営業外費用につきましては、前連結会計年度に比べ111百万円増加し1,943百万円となりました。これは主に、シンジケートローン手数料が509百万円増加した一方で、支払負担金が383百万円減少したことによります。
④ 特別損益
特別利益につきましては、前連結会計年度に比べ1,023百万円増加し1,163百万円となりました。これは主に、関係会社株式売却益を1,125百万円計上したことによります。特別損失につきましては、前連結会計年度に比べ1,909百万円減少し3,351百万円となりました。これは主に、前連結会計年度において、関係会社株式等売却損4,334百万円を計上したこと及び支払補償金が2,124百万円増加したことによります。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純損失
親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、前連結会計年度に比べ2,160百万円減少し1,123百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失が2,384百万円減少したこと及び法人税等調整額が306百万円増加したことによります。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループのトータルアウトソーシング事業は、車両運行管理業務を受託しており、原油価格の高騰等によりガソリン、軽油等の仕入単価が上昇した場合、基本的にはコスト増加相当分をお客様に転嫁させていただくよう努めておりますが、それができない場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループのエスロジックス事業は、コントラクトフードサービス事業、メディカルフードサービス事業等への食材一元物流事業を行っております。当該事業では、食材の「安心・安全」を追求し、地球環境へ配慮した物流体制を構築し、その上で食材価格や物量の安定調達を計画実行しておりますが、調達食材が市況・為替相場・自然災害等で需給バランスが崩れ品質や価格が変化した場合には、調達コストが上昇し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
その他、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループの経営戦略の現状と見通しにつきましては「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(5)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業活動を通じて健全・健康な社会を実現し、様々な社会問題を解決する企業「ソーシャル・ウェルネス・カンパニー」として、お客様の満足度を最大化することに日々努めております。
その実現のために持株会社である当社においては、各事業子会社を含めたグループ全体の経営戦略を策定し、資産効率と収益性の向上を追求しております。よって、当社は総資産経常利益率の向上及び財務の安定性、企業としての健全性、資金調達手段の多様化などを踏まえた自己資本利益率の向上を経営目標として掲げております。
当連結会計年度における総資産経常利益率は△0.3%(前年同期比1.3ポイント下落)となり、自己資本利益率は△18.9%(前年同期比48.9ポイント改善)となりました。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
②資金需要
当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。
運転資金需要のうち主なものは、食材の購入費用や現場で従事する従業員に対する労務費のほか、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金需要としましては、主に新規現場に対する設備投資等によるものであります。
③財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては未行使の借入枠を利用した短期借入金及び変動金利の長期借入金で調達しております。
(7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウィルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴う影響に関する会計上の見積り方法につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
①繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
②固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループの収益性が著しく低下した資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(8)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、長期、中期、短期の経営方針を策定し、常にその実行状況の検証をするよう努めております。しかしながら、当社グループを取り巻く経営環境は、同業他社との競争激化に加え、将来への不安を背景とする消費者の低価格・節約志向の継続と併せ、引続き厳しい状況で推移することが予想されます。
当社グループといたしましては、水平垂直統合型グループ構造をより一層強化していくとともに、グループ総合力を活かした高品質・高付加価値なサービスを提供し、安定的な収益を確保できる経営基盤の強化を引き続き進めてまいります。
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善により緩やかな回復基調にありましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大、これに伴う緊急事態宣言の発出による営業自粛や在宅勤務の拡大、各種催事が中止及び延期となった事で、大幅な企業業績の悪化等の影響が生じております。また、個人消費においても同様で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による外出の自粛要請及び、夜間の飲食店の営業自粛により個人消費を抑制されている事に加え、10月1日より開始された消費増税による影響及び賃金の伸び悩みや社会保険料の負担増加など将来不安を背景とした消費者の節約志向は依然として強く、経営環境は、極めて厳しい状況となっております。
このような環境のもと、当社グループは、“フードサービスから公共サービスまで提供可能な水平垂直統合型の企業構造”で他社との差別化を図り、プレミアムブランド戦略による高品質・高付加価値のサービスを提供するとともに、より一層の「安心・安全」な品質管理体制の強化、グループ総合力を活かしたトータルアウトソーシングサービスによる積極的な営業拡大を行うとともに、時間外労働の削減、消耗品の見直し等に係る原価圧縮施策、本部コスト削減による間接費の圧縮に取り組んでまいりました。また、当社グループは第1四半期において、2019年5月17日に開示しました、「資本業務提携及び第三者割当による優先株式の発行、定款の一部変更並びに資本金の額及び資本準備金の額の減少に関するお知らせ」に記載のユニゾン・キャピタル4号投資事業有限責任組合及びUnison Capital Partners IV(F), L.P.(以下、ユニゾン)との資本業務提携契約を締結し、同契約に基づき、2019年7月16日付けにて、第三者割当の方法によりユニゾンに対して総額40億円のB種優先株式及び総額25億円のC種優先株式、合計65億円を発行致しました。これにより、当社グループは、ユニゾンを事業パートナーとして再成長戦略「Re-Growth」を実現するため、グループ横断的な目線により経営改革を実行することを企業目標と設定いたしました。また、第2四半期において当社は、資金繰り及び長期資金の安定化を目的として、2019年7月26日に株式会社三井住友銀行をアレンジャーとする総額160億円(うち、60億円はコミットメントライン)のシンジケートローン契約を締結し、2019年7月31日に既存の借入金を全て返済し、同日に上記の借り入れが実行されることでリファイナンスが完了し、今後の成長資金の確保並びに財務の安定化に努めました。10月には、ユニゾンと共同での「Re-Growth委員会」を新設し、より機動的かつ迅速に、重要案件及び施策の検討を行う事が可能となり、ガバナンスの強化も推進致しました。さらに第4四半期においては、2020年2月27日に開示しました、「株式会社アインホールディングスとの業務提携及び連結子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ」に記載の、株式会社アインホールディングス(以下「アインHD」という)との間で営業開発等に関する業務提携及び連結子会社であるシダックスアイ株式会社(以下「SI社」という)の株式を全てアインHDに譲渡し、今後、アインHDとの協業により、当社基幹事業の重要顧客の一つである病院向け営業を強化しつつ、SI社の持つポテンシャルを十分に発揮させる事とした上で、事業の選択と集中を進めました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による前年同期比552百万円の減収及びコントラクトフードサービス事業及びメディカルフードサービス事業が赤字店撤退等により前年同期比1,827百万円減収があったものの、積極的な営業要因による増店効果でトータルアウトソーシング事業の売上が前年同期比で3,820百万円増収した事等により、129,585百万円(前連結会計年度比1.0%増)となりました。利益面につきましては、事業ポートフォリオの見直しによる売上総利益率の改善効果と間接コストの削減を行ったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による減益310百万円及び一時的な労務コストの発生並びに再成長戦略「Re-Growth」に伴う先行投資等により、営業利益は1,102百万円(前連結会計年度比36.6%減)となりました。経常損失につきましては、シンジケートローン組成費用及びリファイナンス費用等の金融費用が897百万円発生した事、優先株式発行等に係るコンサルティング費用511百万円等が発生した(いずれも今期のみの一過性コストであります)事により、127百万円(前連結会計年度は420百万円の経常利益)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、SI社譲渡による売却益1,125百万円があったものの、前期のカラオケ事業売却における最終費用として売却対象外店舗の閉鎖に関連して支払った立退料や、カラオケ事業の売却店舗に係る修繕補修工事費用等を計上した事等により、1,123百万円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、シダックス・コミュニティー㈱を譲渡したことによる株式等売却損4,334百万円の計上があった事等により、3,284百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(コントラクトフードサービス事業)
大手同業他社との競争激化に加え原材料価格の高騰、店舗における慢性的な人員不足、また、2月終わりからは新型コロナウイルス感染症拡大の影響による休業や縮小営業があり、売上で347百万円、利益で132百万円のマイナス影響が発生する等、経営環境は依然として厳しい状況にあります。このような環境のもと、健康支援をキーワードにお客様の満足度を高める提案活動を行いながら、地域(店舗)の独自のイベントを継続的に実施し売上向上を行うとともに、季節に合わせたフェアメニューや高付加価値メニューを展開。ビュッフェスタイル、機械化、完全調理品の導入などローコストオペレーションを推進し徹底したコスト管理を図ってまいりました。既存店舗においては、赤字店舗の撤退や低迷している店舗の改善をおこない活性化と収益力の強化に取り組むとともに新型コロナウイルス感染症拡大による影響の極小化を図るべく費用の削減を進めて参りました。また、多様化するお客様のニーズを的確に捉え、グループ総合力を活かしたソリューションサービスの提案を行い、営業開発と連動して新規店52店舗を獲得し事業拡大と経営効率の改善を進めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は26,177百万円(前連結会計年度比1.9%減)、セグメント利益は915百万円(前連結会計年度比7.9%減)となりました。
(メディカルフードサービス事業)
大手同業他社との競争激化に加え原材料価格の高騰、店舗における慢性的な人員不足など経営環境は依然として厳しい状況にあります。このような環境のもと、季節のスイーツ・食育イベントの実施、高品質なサービスの提供を行うとともに、セントラルキッチンを活用した「やわらかマザーフード」や、季節の彩り溢れる食材を重箱へ盛り付けし、高級感をアップした「御膳シリーズ」の商品提供を行うなど、お客様満足度の向上に努めてまいりました。一方で院外調理品の充実、既存店舗の解約防止、赤字店舗からの撤退並びに運営改善強化などによって既存店舗の活性化と収益性の向上に取り組んでまいりました。また、お客様の潜在的なニーズを的確に捉え、グループ総合力を活かしたソリューションサービスの提案を行い、営業開発とも連動して新規店29店舗を獲得し事業拡大に努めるとともに、収益力の強化と経営効率の改善を進めてまいりました。なお、2月終わりからの新型コロナウイルス感染症拡大の影響による大きなマイナス影響はありませんでした。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は30,866百万円(前連結会計年度比4.0%減)、セグメント利益は928百万円(前連結会計年度比4.7%減)となりました。
(トータルアウトソーシング事業)
政府が掲げる「地方創生」政策のもと、地方自治体においては財政再建と地域活性化へのニーズが高まっており、自治体が提供するサービスを民間に委託する流れが続いております。また、コンパクトタウン・スモールタウン化構想のもと、住民サービスの効率的な運用を目指した施設の統合や交通体系の整備が進められております。さらには少子高齢化が行政サービスのコストアップ、人手不足を招き、行政サービスのアウトソーシング市場は確実に伸長しております。しかしながら、2020年2月以降は新型コロナウイルス感染症拡大により社会活動が縮小し、当事業に関しましても売上で126百万円、利益で97百万円のマイナス影響が出ている状況であります。
このような環境のもと、車両運行管理事業においては、現場でサービスにあたる社員の正社員化を進める等の雇用条件向上を図り、採用の強化と離職の防止に努めました。更に「働き方改革」に沿った社員の労働時間と健康の管理に対応できる配置体制を整備し、それに適した価格での受託や契約更改に努めてまいりました。こうした取り組みには契約先のご理解も頂き、今期の新規獲得台数は215台(内スポット契約5台)、契約終了は184台となっております。新型コロナウイルス感染症拡大により、インバウンドの観光バス事業に影響が出ておりますが、社内の別契約での勤務等適正人員配置にて対応をしております。
社会サービス事業においては、特に力を入れている学童保育・児童館・子育て支援受託業務において、全国の自治体から新規案件の受託により、増収を実現。加えて、自治体要請による学校休校時の学童保育延長にも真摯に対応して参りました。また、既存事業であります施設管理・図書館および学校給食受託業務等におきましても、多くの自治体からの案件を受託し、立上後の運営も堅調に推移をしております。また新型コロナウイルス感染症拡大の影響のうち、休校期間中の学校給食については、現場施設の点検や清掃・消毒、研修等を行っており、業績への大きな影響はありません。今期の新規獲得件数は371件、契約終了は94件となっております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は49,641百万円(前連結会計年度比8.3%増)、セグメント利益は2,856百万円(前連結会計年度比3.3%増)となりました。
(コンビニエンス中食事業)
同業他社・大手コンビニエンスストアとの新規案件競争、商圏内への競合出店、店舗における人員不足など依然として厳しい環境が続いておりますが、お客様の満足度向上と増収増益の実現に向け、オリジナリティ強化・運営力の改革に取り組んでまいりました。
新規営業活動においては、クライアントニーズに柔軟に対応するため、大手コンビニFC・中堅コンビニモデル・小規模独自売店の3モデル最適提案を軸に、関係取引先とのアライアンス強化に取り組んでまいりました。
商品・サービス面においては、短期サイクルで商品を入れ替えながら食品・非食品催事を継続的に実施し客単価向上に努めてまいりましたが、新型コロナウイルス流行の影響を含む来店客数の減少要因で既存店売上は前連結会計年度比で5.8%減となりました。
運営管理面では、第3四半期に引き続き最低賃金の引き上げによる人件費増加による減益要因がありましたが、赤字店条件交渉や残業・商品及びロス管理などの継続的な既存店改善の取り組みを進め利益改善に努めてまいりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響につきましては、病院内売店、学校・商業施設職員用売店、官公庁・オフィス・工場内売店とも、流行拡大による自粛・制限・禁止措置の影響を大きく受け、3月においては来客数の減少に伴い売上が前年同月比64百万円の減収となりました。セグメント別の自粛・制限・禁止措置内容は、病院内売店におきましては外来受け入れ制限や面会の中止、感染警戒からの通院自粛による来客数減、学校・商業施設内職員売店につきましては休校・施設休業にともなう売店休業、官公庁・オフィス・工場は出勤制限による在館人数の大幅減に伴う売店営業時間短縮または休業、というもので、3月においては利益としては前年同月比44百万円の減益となりました。また、第4四半期において、2020年2月27日に開示しました、「株式会社アインホールディングスとの業務提携及び連結子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ」に記載の、アインHDとの間で営業開発等に関する業務提携及び連結子会社であるSI社の株式を全てアインHDに譲渡し、当社グループとしての事業の選択と集中を進めました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は13,487百万円(前連結会計年度比1.9%増)、セグメント損失は0百万円(前連結会計年度は147百万円のセグメント利益)となりました。
(エスロジックス事業)
エスロジックス事業においては、譲渡したカラオケ事業向けの売上が前期比で減少した一方で、当社グループのスケールメリットを最大限に活かし、安全性・信頼性の高い商品を徹底した衛生管理体制で一括発注・配送を展開してまいりました。また、一元物流システムをより合理的に活用できるよう、標準メニュー導入の促進、調達コスト上昇の抑制、物流費の値上げ抑制などに努めるとともに、同業他社とのアライアンスによる共同購買機構によって、スケールメリットを最大限に活用し、グループ外宛の新規取引の拡大を含めた収益性の向上にも努めてまいりました。また、健康効果が期待される食事メニューの開発、トレーサビリティ、アレルゲン関連など、付加価値の向上にも努め「安心・安全」な食材の供給を行って参りましたが、3月においては新型コロナウイルス感染症拡大による営業自粛などにより外販売上・内販売上共に減少し、前年同月比、売上で409百万円、利益で31百万円のマイナス影響がでました。
以上の結果、当連結会計年度の内部売上高を含めた売上高は32,614百万円(前連結会計年度比1.2%減)、セグメント利益は2,153百万円(前連結会計年度比7.7%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,386百万円増加し8,398百万円(前連結会計年度末比19.8%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、386百万円の資金減少(前連結会計年度は885百万円の資金減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失が2,315百万円、減価償却費が890百万円並びに投資有価証券評価損が311百万円計上されたほか、賞与引当金の増加額が843百万円あった一方、法人税等の支払額が389百万円あったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、838百万円の資金増加(前連結会計年度は3,182百万円の資金増加)となりました。これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式等の売却による収入が1,283百万円あった一方で、有形固定資産の取得による支出が361百万円、無形固定資産の取得による支出が268百万円あったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、944百万円の資金増加(前連結会計年度は4,274百万円の資金減少)となりました。これは主に、株式の発行による収入が6,500百万円、長期借入による収入が10,000百万円並びに短期借入金の増加額が3,650百万円あった一方、長期借入金の返済による支出が14,998百万円、アレンジメントフィー等の支払額が754百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が512百万円並びに自己株式の取得による支出が2,558百万円あったことによります。
生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業は、企業、官公庁、学校等の食堂の給食及び管理業務の受託運営を行うコントラクトフードサービス事業、病院入院患者を対象とした給食、病院内職員食堂及び老人保健施設等の給食の受託運営を行うメディカルフードサービス事業、民間企業や地方自治体への車両運行管理や施設管理及び運営など、食を含めた業務の一括アウトソーシング受託を行うトータルアウトソーシング事業、病院、企業、官公庁、大学及びオフィスビル等において、食料品、飲料、日用品及び医療衛生用品等を販売する施設内売店の受託運営を行うコンビニエンス中食事業、事業所給食事業、外食産業に利用する食材、消耗品を当社グループ及び得意先等へ販売を行う他、厨房設備の設計、販売を行うエスロジックス事業であり、受注・生産活動は行っていないため、生産の状況及び受注の実績は記載しておりません。
なお、コンビニエンス中食事業を構成する連結子会社であったシダックスアイ株式会社は、当連結会計年度において全株式を売却したため連結の範囲から除外しております。
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
コントラクトフードサービス事業(百万円) | 26,177 | △1.9 |
メディカルフードサービス事業(百万円) | 30,866 | △4.0 |
トータルアウトソーシング事業(百万円) | 49,641 | 8.3 |
コンビニエンス中食事業(百万円) | 13,487 | 1.9 |
エスロジックス事業(百万円) | 5,016 | 1.8 |
報告セグメント計(百万円) | 125,189 | 1.9 |
その他(百万円) | 4,396 | △19.2 |
合計(百万円) | 129,585 | 1.0 |
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)当連結会計年度の財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度末における財政状態は、総資産38,084百万円(前連結会計年度末比2.3%減)、負債30,977百万円(前連結会計年度末比8.8%減)、純資産7,107百万円(前連結会計年度末比42.1%増)となりました。また、自己資本比率につきましては、前連結会計年度末に比べ6.4ポイント改善し18.7%となっております。
① 資産の部
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ882百万円減少し38,084百万円(前連結会計年度末比2.3%減)となりました。
流動資産においては、924百万円減少し23,485百万円となりました。これは主に、現金及び預金が1,386百万円増加した一方で、受取手形及び売掛金が360百万円、商品及び製品が466百万円、その他に含まれる未収消費税等が616百万円、未収法人税等が576百万円減少したことによります。
固定資産においては42百万円増加し14,598百万円となりました。これは主に、繰延税金資産が1,757百万円増加した一方で、有形固定資産が682百万円、投資有価証券が339百万円、敷金及び保証金が589百万円減少したことによります。
② 負債の部
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ2,986百万円減少し30,977百万円(前連結会計年度末比8.8%減)となりました。
流動負債においては、3,331百万円減少し22,460百万円となりました。これは主に、短期借入金が3,500百万円増加した一方で、未払金が1,204百万円、1年内返済予定の長期借入金が5,483百万円減少したことによります。
固定負債においては、344百万円増加し8,516百万円となりました。これは主に、長期借入金が485百万円増加したことによります。
③ 純資産の部
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ2,103百万円増加し7,107百万円(前連結会計年度末比42.1%増)となりました。これは主に、第三者割当増資により6,500百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失1,123百万円の計上並びにA種優先株式に係る優先配当の支払により140百万円、A種優先株式の取得及び消却により2,558百万円減少したことによります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高129,585百万円(前連結会計年度比1.0%増)、営業利益1,102百万円(前連結会計年度比36.6%減)、経常損失127百万円(前連結会計年度は420百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失1,123百万円(前連結会計年度は3,284百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
① 売上高
売上高につきましては、前連結会計年度に比べ1,307百万円増加し129,585百万円となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による552百万円の減収及びコントラクトフードサービス事業及びメディカルフードサービス事業が赤字店撤退等により1,827百万円減収があったものの、積極的な営業要因による増店効果でトータルアウトソーシング事業の売上が3,820百万円増加したこと等によります。
② 売上総利益及び営業利益
売上総利益につきましては、前連結会計年度に比べ74百万円増加し17,030百万円となりました。営業利益につきましては、前連結会計年度に比べ636百万円減少し1,102百万円となりました。これは主に、事業ポートフォリオの見直しによる売上総利益率の改善効果と間接コストの削減を行ったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による減益310百万円及び一時的な労務コストの発生並びに再成長戦略「Re-Growth」に伴う先行投資を行ったこと等によります。
③ 営業外損益
営業外収益につきましては、前連結会計年度に比べ200百万円増加し712百万円となりました。これは主に、受取保険金が278百万円増加したことによります。営業外費用につきましては、前連結会計年度に比べ111百万円増加し1,943百万円となりました。これは主に、シンジケートローン手数料が509百万円増加した一方で、支払負担金が383百万円減少したことによります。
④ 特別損益
特別利益につきましては、前連結会計年度に比べ1,023百万円増加し1,163百万円となりました。これは主に、関係会社株式売却益を1,125百万円計上したことによります。特別損失につきましては、前連結会計年度に比べ1,909百万円減少し3,351百万円となりました。これは主に、前連結会計年度において、関係会社株式等売却損4,334百万円を計上したこと及び支払補償金が2,124百万円増加したことによります。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純損失
親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、前連結会計年度に比べ2,160百万円減少し1,123百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失が2,384百万円減少したこと及び法人税等調整額が306百万円増加したことによります。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループのトータルアウトソーシング事業は、車両運行管理業務を受託しており、原油価格の高騰等によりガソリン、軽油等の仕入単価が上昇した場合、基本的にはコスト増加相当分をお客様に転嫁させていただくよう努めておりますが、それができない場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループのエスロジックス事業は、コントラクトフードサービス事業、メディカルフードサービス事業等への食材一元物流事業を行っております。当該事業では、食材の「安心・安全」を追求し、地球環境へ配慮した物流体制を構築し、その上で食材価格や物量の安定調達を計画実行しておりますが、調達食材が市況・為替相場・自然災害等で需給バランスが崩れ品質や価格が変化した場合には、調達コストが上昇し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
その他、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループの経営戦略の現状と見通しにつきましては「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(5)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業活動を通じて健全・健康な社会を実現し、様々な社会問題を解決する企業「ソーシャル・ウェルネス・カンパニー」として、お客様の満足度を最大化することに日々努めております。
その実現のために持株会社である当社においては、各事業子会社を含めたグループ全体の経営戦略を策定し、資産効率と収益性の向上を追求しております。よって、当社は総資産経常利益率の向上及び財務の安定性、企業としての健全性、資金調達手段の多様化などを踏まえた自己資本利益率の向上を経営目標として掲げております。
当連結会計年度における総資産経常利益率は△0.3%(前年同期比1.3ポイント下落)となり、自己資本利益率は△18.9%(前年同期比48.9ポイント改善)となりました。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
②資金需要
当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。
運転資金需要のうち主なものは、食材の購入費用や現場で従事する従業員に対する労務費のほか、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金需要としましては、主に新規現場に対する設備投資等によるものであります。
③財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては未行使の借入枠を利用した短期借入金及び変動金利の長期借入金で調達しております。
(7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウィルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴う影響に関する会計上の見積り方法につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
①繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
②固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループの収益性が著しく低下した資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(8)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、長期、中期、短期の経営方針を策定し、常にその実行状況の検証をするよう努めております。しかしながら、当社グループを取り巻く経営環境は、同業他社との競争激化に加え、将来への不安を背景とする消費者の低価格・節約志向の継続と併せ、引続き厳しい状況で推移することが予想されます。
当社グループといたしましては、水平垂直統合型グループ構造をより一層強化していくとともに、グループ総合力を活かした高品質・高付加価値なサービスを提供し、安定的な収益を確保できる経営基盤の強化を引き続き進めてまいります。