有価証券報告書-第20期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/24 15:02
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152項目
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に伴う景気の悪化が続いており、依然として厳しい状況にあります。昨年5月25日に緊急事態宣言が解除されて以降、9月中旬より徐々に人出が回復しつつありました。しかし、12月より新型コロナウイルス感染症の国内感染者が再び急増したことにより、首都圏を中心に医療逼迫の事態となり、2021年1月に、11都府県(東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、京都、愛知、福岡、兵庫、岐阜、栃木)に向けて緊急事態宣言が再発出されました。2021年3月21日に全都府県解除はされたものの、感染者が増加傾向となったことで、4月に入り法改正により新設された「まん延防止等重点措置」が一部主要都市に適用されました。さらに4月25日に3度目の緊急事態宣言が4都府県(東京、大阪、京都、兵庫)に発出される等、引き続き経営環境は非常に厳しい状況となっております。
このような環境のもと、当社グループは、再成長戦略「Re-Growth」を実現するため、グループ横断的な目線により経営改革を実行することを企業目標に掲げております。新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、より一層の「安心・安全」な管理体制の強化を行った上で、各事業に専任の営業開発スタッフを配置することによる一段高いサービス提供及び積極的な営業拡大に取り組んでまいりました。
当社グループは、当期における新型コロナウイルス感染症による事業への影響を踏まえ、新型コロナウイルス感染症収束後のニューノーマルにおける市場環境を想定し、当社グループの経営資源を有効かつ適切に今後の成長分野に向けるべく、戦略や事業の方向性・対応策を検討してまいりました。これら今後の戦略や事業の方向性・対応策に基づく具体的な施策を打つにあたり、新セグメントに基づく事業区分が管理上より有用であると判断し、実際に新セグメントに基づく経営判断や予算策定等を行っていくこととしました。
このことから、従来当社グループは、報告セグメントを「コントラクトフードサービス事業」「メディカルフードサービス事業」「トータルアウトソーシング事業」「エスロジックス事業」の4つとしておりましたが、第3四半期より、「フードサービス事業」「車両運行サービス事業」「社会サービス事業」の3つのセグメントに変更しております。
フードサービス事業におけるコントラクトフードサービス部門においては、全国をカバーする地域拠点ごとに対して必要十分な経営資源の配分が特に重要であるとの認識から地域本部制を導入、メディカルフードサービス部門においては、保育給食の単独本部化等、内部組織改革に取り組んでまいりました。
車両運行サービス事業においては、業務・教育本部の新設による社員教育の徹底、成長のボトルネックを回避すべく運転サービス士の積極採用やリテンション施策に取り組んでまいりました。
社会サービス事業においては、特に成長著しい学童保育部門で、ナレッジシェアを可能とするべく組織的な情報共有基盤の構築に取り組んでまいりました。
さらに、グループ全体として時間外労働の削減、休業店舗等の人員の再配置による原価圧縮施策、本部コスト削減による間接費の圧縮に取り組んでまいりました。また、コロナ禍に伴う業績を鑑み、一部役員の報酬を削減いたしました。加えて、2020年9月28日に開示しました、「連結子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ」に記載のとおり、連結子会社であるシダックスビューティーケアマネジメント株式会社の株式を全て新日本ライフデザイン株式会社に譲渡し、事業の選択と集中を進め、グループ経営の効率化を図りました。さらに、前々期である2018年6月に株式会社B&V社に対して売却(株式割合で81%)したカラオケ事業に関しまして、実質的には前期末で追加負担等に関する撤退費用等を支出し決着しておりましたが、第2四半期において当社が保有していた残りの株式である19%の持分全てを株式会社B&V社に売却することで(当該売却が損益に与える影響は軽微)、当社グループは形式的にもカラオケ事業に現状では関与していないこととなりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高につきましては、主に学童保育部門の積極的な営業による自治体からの受託クラス増効果で社会サービス事業の売上が前年同期比で5,303百万円の増収となりました。一方で、前連結会計年度において、子会社であったシダックスアイ株式会社の全株式譲渡に伴う売上減少13,487百万円、フードサービス事業において、新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少及び赤字店撤退等による前年同期比7,606百万円の減収があったこと等により、110,148百万円(前連結会計年度比15.0%減)となりました。
利益面につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による減益があったものの、休業になった店舗の社員の再配置による費用削減や間接コストの削減等に取り組んだ結果、営業利益は690百万円(前連結会計年度比37.4%減)となりました。経常利益につきましては、893百万円(前連結会計年度は127百万円の経常損失)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、630百万円(前連結会計年度は、1,123百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となり黒字転換を達成しました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、上記のとおり第3四半期より報告セグメントを変更したことに伴い、以下のセグメント別の業績は、前連結会計年度の数値についても、変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。
(フードサービス事業)
大手同業他社との競争激化や原材料価格の高騰、店舗における慢性的な人員不足に加えて新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い発出された2回目の緊急事態宣言の影響で、関東圏を中心とするコントラクトフードサービス部門のオフィスやキャンパス店舗で食数が大幅に落ち込むなど、経営環境は依然として厳しい状況にあります。
このような経営環境のもと、社員食堂を中心とするコントラクトフードサービス部門では、Withコロナ企画として「健康支援」をキーワードに非接触型の食事提供スタイルや在宅勤務等による食数減少に対応したローコスト運営の提案を行ってまいりました。また、病院や高齢者施設を中心とするメディカルフードサービス部門では、完全調理品(*)を用いた郷土料理で旅行気分を味わってもらう「全国郷土料理うまいもの紀行」や有事に備えた冷凍弁当の保管など、政府が進める新しい生活様式に対応した「新しい食事の提案」をお客様が置かれている環境に合わせて積極的に行い、お客様の満足度を高める活動を進めてまいりました。
一方、新型コロナウイルス感染症が拡大するなかで休業や縮小営業となり一定期間職場を失った店舗スタッフをフードサービス事業の中で再配置や労働力のシェアを行うなど、新型コロナウイルス感染症による影響の極小化を図るべく費用の削減に取り組むとともに、新型コロナウイルス感染症の影響が少ない店舗については、従来から取り組んでいるフェアメニューや地域(店舗)独自のイベントを継続的に実施し、特にメディカルフードサービス部門においては、セントラルキッチンを活用した「やわらかマザーフード」や、季節の彩り溢れる食材を重箱へ盛り付けし高級感をアップした「御膳シリーズ」の商品提供を行うなど対応してまいりました。また、既存店舗において、赤字店舗の撤退や低迷している店舗の改善を進め、並行して顧客満足度アンケート調査を実施し、個店別の課題を抽出して改善活動に繋げるなど、店舗の活性化と解約防止に努めてまいりました。営業開発につきましては、新規店94店舗を獲得し事業拡大と経営効率の改善に繋がっております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は51,660百万円(前連結会計年度比12.8%減)、セグメント利益は2,247百万円(前連結会計年度比38.8%減)となりました。
(車両運行サービス事業)
民間法人においては、各法人のノンコア業務をアウトソーシングする流れが継続しており、特に自動車管理業務については役員送迎車や社員送迎バス等がその対象となっております。また、地方自治体においては財政再建と地域活性化のため、新たな交通体系の整備や学校統廃合におけるスクールバス需要等のニーズが高まっております。一方で2020年以降、アウトソーシングの流れそのものは変わらないものの、新型コロナウイルス感染症の拡大により社会経済活動が縮小し、役員送迎車における稼働時間や日数の減少、施設休業に伴う送迎バスの運休などが発生し、とりわけ旅客運送部門においてはインバウンド需要が消滅し、大きな影響が生じております。
このような環境のもと、日々変化する状況の中での対応力が求められているため、役員車両部門においては新たな通勤手段としての車両利用を、社員送迎バス等においても「密」を避けるための増便を提案する等の新たな需要開拓に努めました。また、運休となった現場の社員を別の現場に再配置する等の施策を講じ、費用の管理に取り組んでまいりました。
旅客運送部門においては、インバウンド運行や国内ツアー運行から、社員送迎やスクールバスといった定期契約に基づく運行へと切り替えを進め、売上構造の安定化を図ってまいりました。
今期の新規獲得台数は305台、契約終了は283台となっております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は21,083百万円(前連結会計年度比3.9%減)、セグメント利益は1,556百万円(前連結会計年度比3.1%増)となりました。
(社会サービス事業)
政府が掲げる「地方創生」政策は新型コロナウイルス感染症が拡大するなかにおいても継続しており、地方自治体においては財政再建と地域活性化のため自治体が提供するサービスを民間に委託するニーズは高まっております。また、コンパクトタウン・スモールタウン化構想のもと、住民サービスの効率的な運用を目指した施設の統合が進められるとともに、少子高齢化による行政サービスのコストアップと人手不足が、行政サービスのアウトソーシング市場を確実に伸長させる要因となっております。
このような環境のもと、社会サービス事業においては、特に力を入れている学童保育・児童館・子育て支援受託業務において、全国の自治体から新規案件の受託により受託現場数が大きく増加するとともに、自治体要請による学校休校時の学童保育延長にも真摯に対応してまいりました。また、既存事業であります施設管理・図書館運営および学校給食受託業務等におきましても、多くの自治体からの案件を受託し、立上後の運営も堅調に推移をしており、全体としては増収増益となりました。新型コロナウイルス感染症による施設休業等もありましたが、施設の点検や清掃・消毒、研修等の事業継続に努めることにより自治体からの評価を受け、受託料は概ね契約通り支払われており、業績への大きな影響はありません。
今期の新規獲得件数は500件、契約終了は122件となっております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は32,996百万円(前連結会計年度比19.2%増)、セグメント利益は1,421百万円(前連結会計年度比1.9%増)となりました。
(ESG/SDGsに関する主な活動事例)
2020年4月7日より東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に緊急事態宣言が発出されました。その渦中の4月22日より、アサヒグループホールディングス株式会社、国分グループ本社株式会社との共同による医療従事者への支援活動として、当社グループの病院向け物流ルートを活用し、新型コロナウイルス感染拡大の長期化により厳しい環境に置かれている医療従事者に対して、3社で協業し、感染症指定病院を含む全国の病院208か所・約11万8千人を対象にアサヒグループの商品約1億1,000万円相当の寄付による支援を実施しました。また、新型コロナウイルス感染症への対応に対しては、2月に「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、社用スマートフォンを中心に、社員約6,200名に新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」を導入するなど、お客様、パートアルバイト社員を含む全従業員とその家族の安心・安全確保に対する対策を実施いたしました。
また、病院、高齢者福祉施設では10月1日より受託運営する580施設にて、完全調理品(*)で全国各地の郷土料理を提供する「全国郷土料理うまいもの紀行」を開始しました。新型コロナウイルス感染症の影響で外出が難しいなか、お客様に病院や施設内にいながらにして、郷土料理で旅行気分を味わっていただく企画としました。メニューは全て、各地域の当社グループの栄養士監修のもと、地元の味を再現し商品化されます。10月の第1弾は“九州・沖縄編”として、福岡県の「がめ煮」や大分県の「とり天」など8品。3月の第2弾は“北海道編”を実施し、「ザンギ」や「スープカレー」「ジンギスカン」などの北海道の代表的な料理以外にアイヌ料理「ラタシケプ」など全8品を提供しました。運営の負担軽減や省人化での対応、廃棄物の削減、調理・洗浄時における水の削減効果も期待できます。
さらに、環境に対する取り組みとして、従業員送迎バスとして水素を活用した次世代型燃料電池バスを6月より東京・有明地区にて運行開始いたしました。従業員送迎バスに燃料電池バスを使用するのは国内初の試みとなりました。年間約20トンのCO2削減につながると試算されております次世代型燃料電池バスは、大容量外部給電システムを備えており、災害時には電源としての活用も可能です。
当社はこれからも、これらの事業活動を通じたSDGsの活用により、お客様及び取引先とのパートナーシップを強化し、健康、持続可能なまちづくり、カーボンニュートラルへの挑戦、働き方改革など持続可能な成長を目指してまいります。
*完全調理品:工場等で調理し、料理にまで完成させた食品。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,356百万円増加し10,754百万円(前連結会計年度末比28.1%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、6,935百万円の資金増加(前連結会計年度は386百万円の資金減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が519百万円計上されたほか、未払金の増加額が5,391百万円、未払消費税等の増加額が1,193百万円、助成金の受取額が507百万円あった一方、支払補償金の支払額が380百万円、法人税等の支払額が374百万円あったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、161百万円の資金増加(前連結会計年度は838百万円の資金増加)となりました。これは主に、保険積立金の解約による収入が536百万円あった一方、有形固定資産の取得による支出が169百万円、無形固定資産の取得による支出が188百万円あったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、4,754百万円の資金減少(前連結会計年度は944百万円の資金増加)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額が3,000百万円、長期借入金の返済による支出が1,493百万円、配当金の支払額が228百万円あったことによります。
生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業は、企業、官公庁、学校等の食堂の給食及び管理業務や、病院入院患者を対象とした給食、病院内職員食堂及び老人保健施設等の給食の受託運営を行うフードサービス事業、民間企業や地方自治体への車両運行管理業務のアウトソーシング受託を行っている車両運行サービス事業、民間企業や地方自治体への施設管理・運営及び主に小中学校向けの給食業務など、食を含めた業務のアウトソーシング受託を行う社会サービス事業であり、受注・生産活動は行っていないため、生産の状況及び受注の実績は記載しておりません。
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
フードサービス事業(百万円)51,660△12.8
車両運行サービス事業(百万円)21,083△3.9
社会サービス事業(百万円)32,99619.2
報告セグメント計(百万円)105,740△13.6
その他(百万円)4,407△38.7
合計(百万円)110,148△15.0

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は、変更後のセグメント区分に組み替えた数値により算定しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)当連結会計年度の財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度末における財政状態は、総資産39,913百万円(前連結会計年度末比4.8%増)、負債32,392百万円(前連結会計年度末比4.6%増)、純資産7,520百万円(前連結会計年度末比5.8%増)となりました。また、自己資本比率につきましては、前連結会計年度末に比べ0.1ポイント改善し18.8%となっております。
① 資産の部
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,828百万円増加し39,913百万円(前連結会計年度末比4.8%増)となりました。
流動資産においては、2,734百万円増加し26,220百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が377百万円、現金及び預金が2,356百万円増加したことによります。
固定資産においては906百万円減少し13,692百万円となりました。これは主に、有形固定資産が804百万円減少したことによります。
② 負債の部
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ1,415百万円増加し32,392百万円(前連結会計年度末比4.6%増)となりました。
流動負債においては、3,362百万円増加し25,823百万円となりました。これは主に、未払金が5,024百万円、未払費用が527百万円、未払消費税等が1,193百万円増加した一方で、買掛金が473百万円、短期借入金が3,000百万円減少したことによります。
固定負債においては、1,947百万円減少し6,569百万円となりました。これは主に、長期借入金が1,643百万円減少したことによります。
③ 純資産の部
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ413百万円増加し7,520百万円(前連結会計年度末比5.8%増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益630百万円の計上並びに優先配当の支払により227百万円減少したことによります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高110,148百万円(前連結会計年度比15.0%減)、営業利益690百万円(前連結会計年度比37.4%減)、経常利益893百万円(前連結会計年度は127百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益630百万円(前連結会計年度は1,123百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
① 売上高
売上高につきましては、前連結会計年度に比べ19,437百万円減少し110,148百万円となりました。これは主に、前連結会計年度において、子会社であったシダックスアイ株式会社の全株式を譲渡したことに伴う13,487百万円の減収に加え、フードサービス事業において、新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少及び赤字店撤退等による7,606百万円の減収があったこと等によります。
② 売上総利益及び営業利益
売上総利益につきましては、前連結会計年度に比べ3,955百万円減少し13,075百万円となりました。営業利益につきましては、前連結会計年度に比べ412百万円減少し690百万円となりました。これは主に、休業になった店舗の社員の再配置による費用削減や間接コストの削減等に取り組んだ一方で、新型コロナウイルス感染症の影響による減益があったこと等によります。
③ 営業外損益
営業外収益につきましては、前連結会計年度に比べ158百万円減少し554百万円となりました。これは主に、受取保険金が277百万円減少したことによります。営業外費用につきましては、前連結会計年度に比べ1,591百万円減少し351百万円となりました。これは主に、シンジケートローン手数料が898百万円、支払手数料が525百万円減少したことによります。
④ 特別損益
特別利益につきましては、前連結会計年度に比べ627百万円減少し535百万円となりました。これは主に、関係会社株式売却益が1,115百万円減少したことによります。特別損失につきましては、前連結会計年度に比べ2,441百万円減少し909百万円となりました。これは主に、支払補償金が2,406百万円減少したことによります。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失1,123百万円から1,753百万円増加し630百万円となりました。これは主に、上記の営業外損益、特別損益の影響により税金等調整前当期純利益が2,835百万円増加した一方で、法人税等調整額が1,232百万円増加したことによります。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの車両運行サービス事業は、車両運行管理業務を受託しており、原油価格の高騰等によりガソリン、軽油等の仕入単価が上昇した場合、基本的にはコスト増加相当分をお客様に転嫁させていただくよう努めておりますが、それができない場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループのフードサービス事業は、食材の「安心・安全」を追求し、地球環境へ配慮した物流体制を構築し、その上で食材価格や物量の安定調達を計画実行しておりますが、調達食材が市況・為替相場・自然災害等で需給バランスが崩れ品質や価格が変化した場合には、調達コストが上昇し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
その他、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループの経営戦略の現状と見通しにつきましては「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(5)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業活動を通じて健全・健康な社会を実現し、様々な社会課題を解決する企業「ソーシャル・ウェルネス・カンパニー」として、お客様の満足度を最大化することに日々努めております。
その実現のために持株会社である当社においては、各事業子会社を含めたグループ全体の経営戦略を策定し、資産効率と収益性の向上を追求しております。よって、当社は総資産経常利益率の向上及び財務の安定性、企業としての健全性、資金調達手段の多様化などを踏まえた自己資本利益率の向上を経営目標として掲げております。
当連結会計年度における総資産経常利益率は2.3%(前年同期比2.6ポイント改善)となり、自己資本利益率は8.6%(前年同期比27.5ポイント改善)となりました。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
②資金需要
当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。
運転資金需要のうち主なものは、食材の購入費用や現場で従事する従業員に対する労務費のほか、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金需要としましては、主に新規現場に対する設備投資等によるものであります。
③財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては未行使の借入枠を利用した短期借入金及び変動金利の長期借入金で調達しております。
(7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
①繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、実際に発生した課税所得の時期及び金額が見積と異なった場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
②固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、収益性が著しく低下した資産又は資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(8)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、長期、中期、短期の経営方針を策定し、常にその実行状況の検証をするよう努めております。しかしながら、当社グループを取り巻く経営環境は、同業他社との競争激化に加え、将来への不安を背景とする消費者の低価格・節約志向の継続と併せ、引続き厳しい状況で推移することが予想されます。
当社グループといたしましては、グループ構造をより一層強化していくとともに、グループ総合力を活かした高品質・高付加価値なサービスを提供し、安定的な収益を確保できる経営基盤の強化を引き続き進めてまいります。