有価証券報告書-第5期(平成29年7月1日-平成30年6月30日)
1.業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度(2017年7月1日~2018年6月30日)における世界経済は、中国を始めとしたアジア新興国等の経済の先行き、米国政権の政策運営に関する不確実性、新興金融資本市場の変動の影響等について不透明感があるものの、米国、ヨーロッパ地域、アジア地域と世界的に穏やかな景気回復傾向が続いていると認識しています。一方で日本経済においても、企業収益や雇用環境の改善などを背景に、消費者マインドの持ち直しが見られ、今後も緩やかな回復が期待される状況にあると考えています。
こうした中で、グローバルなマーケティング・リサーチ市場は445億米ドル、そのうち当社グループが主に手掛けるオンライン・マーケティング・リサーチ市場は173億米ドルに達し(注1)、日本のマーケティング・リサーチ市場は2,147億円、そのうちオンライン・マーケティング・リサーチ市場は672億円に達する(注2)規模となったと認識しております。国内、海外共に市場は堅調な拡大を続けており、特にオンライン・マーケティング・リサーチが市場全体を上回るペースで成長している中、今後も当社の事業成長にとって好ましい市場環境が継続するものと期待されます。
このような経済・市場環境の下で当社グループは、国内外においてさらなる多様化やグローバル化が進む顧客企業のマーケティング課題の解決ニーズに対応すべく、幅広いマーケティング・リサーチ・サービスのラインナップの拡充を推進すると同時に、消費者パネルから得られる属性、消費・購買、行動、意識、生体情報等、多種多様で膨大なデータから導かれる高品質で革新的なインサイトを提供することで、引き続き国内事業の安定的成長の追求、M&Aを含めた海外事業の基盤強化及び、特に国内外における企業のデジタル広告支出の最適化に資するデータを提供することを中心としたデジタル・マーケティング分野の拡充に取り組んでまいりました。
国内においては、当社グループの主要取引先の一つである広告代理店との取引に、同社の労働環境改革への取り組み等の影響による軟調さが残るものの、デジタル・マーケティング関連商材やグローバル・リサーチ商材の販売が、上記以外の広告代理店、電機、情報・通信、食料品、金融、自動車といった様々な業界の顧客に対して大きく伸長しました。特に当社単体が前年同期比9.3%成長となる過去最高の売上高(21,918百万円)を記録するなどグループ全体を牽引し、結果として国内全体は前年同期比で6.9%成長し、同じく過去最高となる売上高(27,448百万円)を記録しています。
海外においては、当社グループの中では附帯的な事業と位置付けられる北米におけるパネル提供事業において軟調さが継続したものの、グローバルなメディア企業、FMCG(Fast Moving Consumer Goods: 日用消費財)メーカー、アルコール飲料メーカー、さらに韓国の大手自動車メーカーや電機メーカー、政府・公共機関などを中心とした取引拡大等がありました。加えて、主要外貨の対円為替レートが前年同期比で上昇したこと、2017年10月に子会社化した米Acturus社の業績が加わったことも追い風となり、海外の売上収益は前年同期比26.9%増となる力強い成長を継続し、国内同様に過去最高となる売上収益(12,721百万円)を記録しています。
一方で費用面では、第1四半期においてアジア地域におけるグローバル・キー・アカウント(注3)向け調査の拡大や売上収益のミックスの変動に伴う外部パネルの調達費用や外注費用の増加があり、また、海外事業及びデジタル・マーケティング事業分野の強化のための人員拡充を中心として予定されていたキャッチアップ/戦略的投資(注4)の実施を継続したことに加えて、M&Aを通じて国内外で子会社化した企業の業績取り込みに伴う費用増等により、売上原価並びに販売費及び一般管理費中の人件費は前年同期比で増加しました。他方、前連結会計年度に計上していた上場関連費用が当連結会計年度においてほとんど計上されていないこと、2017年3月末に実施したリファイナンスによる金利引下げや為替の好影響があったこと等を受け、販売費及び一般管理費は売上収益が増加している中であるもののほぼ横ばいで推移し、金融費用は減少しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上収益は40,024百万円(前年同期比12.7%増)、営業利益に減価償却費等を加えたEBITDA(利払・税引・償却前利益)(注5)は8,660百万円(同12.5%増)、営業利益7,607百万円(同11.5%増)、税引前利益7,372百万円(同25.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,719百万円(同27.4%増)となりました。
なお、当社は、国内外においてM&A等を活用した事業基盤の強化や拡大を積極的に目指していくなかで、以下セグメント別の業績においては、各事業から生み出されるキャッシュ・フローの規模を通じた業績の把握や比較をより適切に行うことができるEBITDAを用いて、各セグメントの収益性に係る状況を記載しております。
セグメント業績は以下のとおりです。
(マクロミルグループ)
当社単体、国内子会社及び、一部海外子会社が属するマクロミルグループにおいては、前述の通り、過去最高を記録した国内の売上収益に加えて、韓国における子会社の取引拡大等があり、セグメント全体の売上収益が堅調に増大しました。また費用面では、前述のキャッチアップ/戦略的投資を行った中で、コストの増加が大きかったものの、前連結会計年度に計上していた上場関連費用が当連結会計年度においてほとんど計上されていないことによる影響が大きく、売上原価並びに販売費及び一般管理費の増加幅は売上収益の増大に比して限定的でした。
以上の結果、マクロミルグループセグメントの当連結会計年度における売上収益は、30,948百万円(前年同期比8.5%増)、EBITDAは7,667百万円(同16.6%増)となりました。
(MetrixLabグループ)
欧州や北米、中南米、中東及びアジアの一部といった地域で事業を展開するMetrixLabグループにおいては、前述の通り、北米でパネル提供事業を展開する連結子会社のPrecision Sample社で外部顧客向け売上収益が軟調な状況が年間を通じて継続したものの、グローバル・キー・アカウント向け調査を中心に、イギリスや北米、東南アジアを中心とした各地域で主力の広告プリテスト商材や広告・キャンペーン効果測定商材等の販売が堅調に推移しました。これに加え、2017年10月に子会社化した米Acturus社の業績を取り込んだ影響もあり、売上収益は前年を大きく上回って増大し、過去最高のセグメント売上収益となりました。一方、費用面では、海外事業の強化に向けた人員や事業拠点の拡充を力強く推進しており、また、Acturus社の新規連結に伴う費用増等もあって、売上原価並びに販売費及び一般管理費も前年同期比で増加しました。
以上の結果、MetrixLabグループセグメントの当連結会計年度における売上収益は、9,198百万円(前年同期比28.6%増)、EBITDAは992百万円(同11.3%減)となりました。
注:
(1) 2017年9月にESOMAR(European Society for Opinion and Marketing Research) が発表した「ESOMAR Global Market Research 2017」による。
(2) 2018年7月に一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)が発表した「第43回 経営業務実態調査」による。
(3) グローバルに事業を展開し、調査・マーケティングに係る多額の予算を有する顧客企業グループのうち、当社グループのさらなる成長の鍵となる顧客(キー・アカウント)として、グローバルに営業強化の対象としている企業群のこと。
(4) 過年度に計上予定の費用であったが、諸般の事情により実際の計上に至らなかったものにつき、当連結会計年度においてキャッチアップする形で改めて計上した費用や、足許の事業環境の変化等を受けて、中期事業計画策定時には想定していなかったものの、戦略的に計上することとなった費用。 当連結会計年度において合計で400百万円 の計上を予定していたところ、実際には392百万円の計上となった。
(5) EBITDA:Earnings Before Interest, Tax, Depreciation and Amortizationの略。当社ではEBITDA = 営業利益+減価償却費及び償却費+固定資産除却損+減損損失と定義しており、当該事業から生み出されるキャッシュ・フローの規模をより適切に把握することができるため、当該事業の収益性を測るための主要な経営指標として用いている。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ677百万円増加し、9,124百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、5,610百万円(前期比122百万円減)となりました。
これは主に、税引前利益7,372百万円、減価償却費及び償却費1,052百万円がありましたが、営業債権及びその他の債権の増加2,237百万円、利息の支払額456百万円、法人所得税の支払額1,267百万円等があったためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、2,101百万円(前期比752百万円増)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出357百万円、無形資産の取得による支出669百万円、子会社の取得による支出1,044百万円等があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、2,813百万円(前期比657百万円増)となりました。
これは主に、短期借入れによる収入1,007百万円がありましたが、短期借入金の返済による支出1,225百万円、長期借入金の返済による支出2,411百万円等があったためです。
2.生産、受注及び販売の状況
(1)生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
(2)受注状況
当社グループの事業は受注から納品までの期間が短いため、記載を省略します。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引については、相殺消去しております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。株式会社電通及びその関係会社への売上は主に当社の子会社である株式会社電通マクロミルインサイトにおいて計上しております。
3.財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、決算日における財政状態、報告期間における経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える見積り・予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り・予測の評価を実施しております。なお、重要な会計方針及び見積りの詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記「3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。
(2)財政状態の分析
① 資産
資産につきましては、75,230百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,414百万円増加いたしました。これは主に、現金及び現金同等物の増加677百万円、営業債権及びその他の債権の増加2,355百万円、のれんの増加890百万円等の増加要因があったためです。
② 負債
負債につきましては、47,762百万円となり、前連結会計年度末に比べ701百万円減少しております。これは主に、営業債務及びその他の債務の増加516百万円、未払法人所得税等の増加878百万円等の増加要因がありましたが、借入金の減少2,462百万円、その他の金融負債の減少339百万円等の減少要因があったためです。また、結果として当連結会計年度末時点の純有利子負債/調整後EBITDA比率は3.19倍まで低下しています。
③ 資本
資本につきましては、27,468百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,115百万円増加いたしました。これは主に、配当金の支払額425百万円(非支配持分への配当金の支払額も含む)がありましたが、当期利益5,170百万円の発生等があったためです。
(3)経営成績の分析
経営成績の分析につきましては、前記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.業績等の概要 (1)業績」を参照ください。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
資本の財源及び資金の流動性についての分析につきましては、前記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」を参照ください。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、前記「2 事業等のリスク」をご参照ください。
(6)経営戦略の現状と見通し
当社グループがオンライン・マーケティング・リサーチ業界のリーディングカンパニーとして、「利便性が高く、より早く、そして安く」クライアント企業へアウトプットを提供し続けることは、当社の競争優位性、高収益基盤を維持するために不可欠です。その実現のため、当社は次に掲げる経営戦略を柱としています。なお、これらは前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に掲げる課題に中長期的に取組んで行くための戦略であります。
① 国内事業の安定的な成長の継続
これまで当社グループが培ってきた国内最大規模のオンライン・パネル・ネットワーク、調査品質、及びクライアント企業からの信頼は当社グループの競争力の源泉であり、これらを基礎として、今後も市場成長率を上回る成長を目指してまいります。そのため、これらの営業資産の更なる活用に加え、ITを活用した従来型の調査手法の代替・補完、スマートフォンやタブレット端末への対応などを加速させるとともに、調査の品質や対応速度の更なる向上を推進してまいります。
(参考情報)
当社の2017年6月期及び2018年6月期における売上高10百万円超の国内のクライアント数の推移は以下のとおりであります。
② 海外における事業拡大と成長の加速
MetrixLabグループとの経営統合によって、当社グループは欧州、米国、アジアの広範な国と地域に拠点、クライアントベース及びパネル・ネットワークを有することとなっております。これらのグローバルネットワークを最大限活用しつつ、当該経営統合以降進められてきた、グループシナジーの創出を引き続き実施していきます。
(参考情報)
当社グループの2017年6月期及び2018年6月期におけるエリア別の売上高実績、対前年同期比増減率及び換算に使用した主要な為替レートは以下のとおりであります。なお、2016年6月に公表した当社の中期事業計画においては、2016年6月期に30%程度と見込まれたグローバル売上比率(下記に示す海外分の売上に、日本企業による日本国外でのマーケティング・リサーチに係る売上を加えたものの連結売上収益に占める比率)を、2019年6月末までに40%程度まで高めるという数値目標を掲げている中で、当連結会計年度における当該比率は37%となりました。
(エリア別売上高)
(主要な為替レート)
③ デジタル・マーケティング事業の成長ドライバー(牽引役)への発展
当社グループは、デジタル・マーケティング事業を、今後のグループ成長の一翼を担う重要な戦略的領域として位置づけております。具体的には、スマートフォンやタブレット端末を含む様々なモバイルデバイスにおける行動データの取得範囲を拡大しながら、アンケートで取得するデータと組み合わせることで、クライアントに対して更に価値のあるインサイトをより分かりやすい形で提供してまいります。
(参考情報)
当社グループの2017年6月期及び2018年6月期におけるデジタル・マーケティング事業の売上高実績及び主要な商品の売上指数は以下のとおりであります。なお、前述の当社の中期事業計画においては、2016年6月期に10%程度と見込まれたデジタル売上比率を、2019年6月末までに20%程度まで高めるという数値目標を掲げている中で、当連結会計年度における当該比率は17%となりました。
(デジタル・マーケティング事業の売上高)
(主要な商品の売上指数)
※主要な商品の売上指数は、2015年6月期の第1四半期のAccess Millの売上高を1とした場合の各期における各商品の売上高を倍率化した数値であります。
④ 事業運営の更なる最適化を通じた収益性向上
事業の各プロセスにおける効率性強化や最適化に向けた活動、適切な行動管理指標(KPI)を通じた経営改善をグループ内で引き続き徹底してまいります。
⑤ M&A・提携等を活用した非有機的な成長の追求
当社グループは、これまでも株式会社電通マクロミルインサイト、MetrixLabグループ等のM&A・提携等も活用しながら非有機的な成長を実現してまいりましたが、今後も更なる飛躍を目指し、既存のM&A・提携等に係るシナジーの深化を図ると共に、継続して新規のM&A・提携等の機会も模索してまいります。こうした取り組みを通じて、新規顧客の開拓、グローバル及び業界特化のパネル基盤拡大、サービスの拡充、優秀な人材の確保、クロスセルを追求することが可能だと考えます。
以上に掲げる経営戦略を推進することで、当社グループはグローバルなマーケティング・リサーチ市場において売上高上位10社に入るだけでなく、更なる競争優位性の確保、高収益基盤の拡充の実現を目指す方針です。
(7)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、国内マーケティング・リサーチ業界の拡大に伴い、競争が激化するなか、M&Aを通じた海外展開及びそれを支える経営基盤の確立が必要との認識のもと、2014年4月に非公開化を行い、オランダ法人MetrixLab Holding B.V.の完全子会社化やグローバルマネジメントの獲得等により、グローバル企業としてのプラットフォームを確立してまいりました。今後の方針としては、グローバル展開の一層の加速化を目指し、MetrixLabグループとのグループシナジーの追求、デジタル・マーケティング等のサービスラインアップの拡充、それらを支える人材の育成と採用、有利子負債の返済等による健全な財務基盤の確立等に注力してまいります。具体的には、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
(8)当社グループの事業の特徴と強みについて
当社グループの営むマーケティング・リサーチ事業とデジタル・マーケティング事業を包括した当社グループの特徴と強みは以下のとおりと認識しております。(当社グループのこれらの特徴と強みに関するリスクについては、前記「2 事業等のリスク」をあわせてご参照ください。)
[成長性]
当社グループは、グローバルなマーケティング・リサーチ企業の中で、最も早い成長を続けています(※1)。過去5年間(2013年6月期から2018年6月期まで)における当社グループの売上収益の年平均成長率は19%となっておりますが、これはオーガニックな成長(内部資源を活用した有機的な成長)とイン・オーガニックな成長(M&A等を活用した非有機的な成長)の両輪で実現しています。オーガニックな成長は、日本、世界ともに成長を続ける市場(※2)の中で、先に述べたような大規模・良質なパネル、世界でシームレスに展開する営業・リサーチ体制、業界をリードするワンストップ・ソリューション・ポートフォリオ等の競争優位性を強化することや、国内を中心とする当社グループの既存顧客に対して、買収したMetrixLabグループの強みである次世代のデジタル・マーケティング・ソリューション(※3)を提供する事等により実現してきました。イン・オーガニックな成長は、MetrixLabグループの買収、大手広告代理店との合弁会社の設立、EMBRAIN CO.,LTD.(現MACROMILL EMBRAIN CO.,LTD.)の買収等を通じ実現してきました。マーケティング・リサーチ事業の海外事業の展開に係る基盤の整理は既にある程度の目途がついたと考えておりますが、その周辺領域を中心に、今後も継続してイン・オーガニックな成長も追求すべく、中長期的な視点からM&Aのテーマを設定し、国内外に及ぶグループネットワークを駆使して戦略的・経済的に合理的なM&A案件の発掘を積極的に行っています。
(※1)グローバルなマーケティング・リサーチ企業の中で最も早い成長:出典: ESOMAR Global Market Research 2013/2015/2016/2017。2012年から2015年及び2016年にかけての当社グループの売上収益の年平均成長率(3ヶ年及び4ヶ年CAGR)が、同レポートに掲載されているlargest 25 global marketing research companies の中で最大となっております(但し、ヘルスケアITサービスプロバイダーであるIMS Healthを除きます。)。
(※2)日本、世界ともに成長を続ける市場:日本におけるオンライン・マーケティング・リサーチ市場の2011年から2017年にかけての年平均成長率は5%(日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)による。)、グローバルなオンライン・マーケティング・リサーチ市場の2011年から2016年にかけての年平均成長率は11%(ESOMAR – Global Market Researchによる。)、日本を含むグローバルなデジタル広告市場の2016年から2021年にかけての予想年平均成長率は15%(eMarketer – Worldwide Ad Spendingによる。)とされております。
(※3)MetrixLabグループの強みである次世代のデジタル・マーケティング・ソリューション:MetrixLabは、広告プリテストや、広告効果測定、ソーシャルメディア解析、ダッシュボード等の次世代型のデジタル・マーケティング・ソリューションの開発と販売を積極的に進めております。その結果、MetrixLabグループセグメントの売上高に占めるデジタル・マーケティング・ソリューション事業の割合は2018年6月期において40.1%に達しております。
[収益性]
当社グループは、大手マーケティング・リサーチ会社の中でトップクラスの収益性を誇っており(※1)、2018年6月期には調整後EBITDAの対売上収益比率21.9%を達成しました(調整後EBITDA及びその対売上収益比率の算出方法等の詳細については、後記の(参考情報)をご参照ください。)。これは、主として、効率の良いオペレーション、規模を生かした調達力、戦略的なプライシングによって実現しています。このうち、オペレーション効率の面では、業務の標準化・効率化、先端テクノロジーを駆使した自動化、人材の育成・高付加価値化を通じて、大手マーケティング・リサーチ会社の中では最も高い従業員一人当たり売上高を達成していると認識しております(※2)。次に調達力の面では、グローバルに大規模な事業展開を行っている市場ポジショニングを活かし、提携パネルの調達や業務の外注において当社グループに有利な条件での取引を行っています。最後にプライシングの面では、新たな付加価値の高いソリューションを開発することでより収益性の高い価格設定を実現すると共に、戦略的・組織的な価格コントロールの推進を通じて、顧客への提供価値や競争優位性に応じた適切な対価を頂くことに成功しています。こうした高い収益力、ひいては高いキャッシュ・フロー創出力が、次の成長に必要な戦略的な投資余力を生み出すことに繋がっていると考えております。
(※1)大手マーケティング・リサーチ会社の中でトップクラスの収益性:当社と国内外の主要なマーケティング・リサーチ企業(Nielsen Holdings N.V. (以下「Nielsen」という。)(Buyセグメント)、GfK SE(以下「GfK」という。)、Ipsos SA(以下「Ipsos」という。)、株式会社インテージホールディングス(以下「インテージ」という。)、株式会社クロス・マーケティンググループ(以下「クロスマーケティング」という。))の直近決算期におけるEBITDAマージンを比較した場合、当社が最も高い状況にあるとの理解です。
(※2)大手マーケティング・リサーチ会社の中では最も高い従業員一人当たり売上高:当社と国内外の主要なマーケティング・リサーチ企業(Nielsen、GfK、Ipsos、インテージ、クロスマーケティング)の直近決算期における従業員一人当たり売上高を比較した場合、当社が最も高い状況にあるとの理解です。
[顧客基盤の安定性]
当社グループは、世界中で多様な顧客基盤を有する上に、各顧客との高い取引継続率を誇っており、結果として安定性の高い事業構造を構築しております。このうち顧客基盤の多様性については、グローバル・ブランドの上位25社のうち約60%が当社グループの顧客である(※1)他、こうした超大手企業にとどまらず、世界90カ国以上において年間4,000超の企業との取引実績を有しています(2018年6月期)。また取引の継続性については、例えば日本市場における大口顧客との過去5年間の平均取引継続率が96.5%(※2)、海外市場における大口顧客との過去3年間の平均取引継続率が91.9%(※3)という高い水準を達成しています。これは、顧客とパネルの両面から、構造的に実現されていると考えております。すなわち、まず当社グループが顧客の課題の明確化と解決策の立案に携わることで、顧客と顧客の業界に対する理解がさらに深まり、当該顧客及びその業界に属する他の顧客に対して、より高付加価値なサービス提供ができるという構造があります。一方で、パネル側にとっても、上記顧客との関係から、より多くの案件と、より多くの回答機会(ひいては、パネルに対するインセンティブとして付与されるポイントの獲得機会)が得られる当社グループのパネルへの参加は魅力的であり、当社グループのパネルに応募し、積極的に回答することを望むインセンティブが生じています。結果として、当社グループに良質な自社パネルが構築されることになり、それが魅力となって顧客に当社グループを選んで頂ける状況が生じ、また一度取引を行った顧客にとっては、リサーチの継続性・正確性を維持する観点からも、当社グループを選び続けて頂ける、というサイクル構造が生じており、その両面が構造的に当社グループの高い取引継続率の実現に貢献していると考えています。
(※1)グローバル・ブランドの上位25社のうち約60%が当社グループの顧客:上位25社の選定は、Millward Brown社の2018年の調査に基づきます。また、当社グループが何らかのサービスを提供した会社を当社グループの顧客として算入しており、当該顧客の中には、当社グループ以外のマーケティング・リサーチ会社等を利用している会社も含まれます。
(※2)日本市場における大口顧客との過去5年間の平均取引継続率:ある事業年度における「日本市場における大口顧客との取引継続率」とは、直前事業年度における当社での売上高が1,000万円以上の企業のうち、当該事業年度においても取引(金額を問いません。)を継続している企業の割合をいいます。
(※3)海外市場における大口顧客との過去3年間の平均取引継続率:ある事業年度における「海外市場における大口顧客との取引継続率」とは、直前事業年度におけるMetrixLabグループでの売上高が0.1百万ユーロ以上の企業のうち、当該事業年度においても取引(金額を問いません。)を継続している企業の割合をいいます。
(9)株式会社センタンとの業務・資本提携と買収について
当社は、2017年6月期第3四半期より、次世代のリサーチ・ソリューション・メニューの拡充に向けた研究開発活動の一環として、2017年1月30日付で株式会社センタンと戦略的な業務・資本提携契約を締結し、同年2月2日付で同社株式の10%を取得いたしましたが、その関係性のより一層の強化を目指し、2018年1月5日付で同社の株式の41%を追加取得し、同社を子会社化いたしました。当社がこれまで培ってきたマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティングの両面に跨る幅広な経験・実績・顧客層と、センタン社が培ってきた生体情報(無意識反応)の取得・解析に係る豊富な実績とノウハウをかけ合わせ、これまで得られなかった消費者のより深いインサイトや意思決定プロセスに迫るマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティング・ソリューションの提供を目指した事業活動を行っております。
(10)米Acturus, Inc.の買収および合併について
当社は、2018年6月期第2四半期より、世界のマーケティング・リサーチ市場のおよそ半分を占める規模を持つ米国における事業展開を強化するにあたり、2017年10月2日付でActurus, Inc.の株式の100%を取得し、同社を子会社化いたしました。当社がこれまで培ってきたマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティングの両面に跨る幅広な経験・実績・顧客層と、Acturus社が培ってきた米国及び英国におけるマーケティング・リサーチ事業、特にインフルエンサー・マーケティングに係る豊富な実績とノウハウをかけ合わせ、米国を中心としたグローバルなベースでのマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティング・ソリューションの提供を強化することを目指しております。なお、本件株式取得は、当社の米国における連結子会社であるMetrixLab US, Inc.を通じて実行され、2018年7月2日付で両社を合併することで、拠点やコストの重複を排してより一体的な事業運営を行っております。
(11)W&Sホールディングス株式会社との業務・資本提携について
当社は、2018年6月期第2四半期より、成長の著しい東南アジア地区における事業展開を強化するにあたり、2017年9月21日付でW&Sホールディングス株式会社との間で戦略的な業務・資本提携契約を締結し、同年10月2日付で同社株式の10%を第三者割当増資により取得いたしました。当社がこれまで培ってきたマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティングの両面に跨る幅広な経験・実績・顧客層と、W&Sホールディングス社が培ってきた東南アジア地区におけるマーケティング・リサーチ及びパネルサプライ事業に係る豊富な実績とノウハウをかけ合わせ、同地区における、より的確で幅広い消費者パネルへのアクセスと、より深い消費者インサイトの獲得を可能にするマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティング・ソリューションの提供を目指しております。
(12)株式会社東京サーベイ・リサーチの買収について
当社は、2019年6月期第1四半期より、日本における事業展開を強化するにあたり、2018年6月25日付で株式会社博報堂との間で、同社が保有する株式会社東京サーベイ・リサーチ(以下「TSR」)に関する資本業務提携契約を締結した上で、同年7月2日付で同社株式の51%を取得し、同社を子会社化いたしました。今後は同社を次世代の博報堂グループのインハウス・マーケティング・リサーチ企業と位置付け、同社を両社のマーケティング・リサーチ分野におけるJV企業として運営することで、TSRの顧客に対して、より付加価値のあるマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティング・ソリューションの提供を目指しております。
(参考情報)
当社グループは、経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算出されたEBITDA、調整後EBITDA、親会社の所有者に帰属する当期利益、調整後親会社の所有者に帰属する当期利益及び調整後基本的1株当たり当期利益を重要な経営指標として位置づけており、過去2年間の各指標の推移は以下のとおりであります。
(1)EBITDA及び調整後EBITDA
(2)親会社の所有者に帰属する当期利益及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益
(注)1.EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費+固定資産除却損+減損損失
2.調整後EBITDA=EBITDA+マネジメントフィー+上場関連費用
3.調整後親会社の所有者に帰属する当期利益=親会社の所有者に帰属する当期利益+マネジメントフィー+上場関連費用-調整項目に係る税金等調整額
4.EBITDA、調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益はIFRSにより規定された指標ではなく、当社グループが、投資家にとって当社グループの業績を評価するために有用であると考える財務指標であります。当該財務指標は、上場後には発生しないと見込まれる費用や非経常的損益項目(通常の営業活動の結果を示していると考えられない項目、あるいは競合他社に対する当社グループの業績を適切に示さない項目)の影響を除外しております。
5.EBITDA、調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益は、当期利益に影響を及ぼす項目の一部を除外しており、分析手段としては重要な制限があることから、IFRSに準拠して表示された他の指標の代替的指標として考慮されるべきではありません。当社グループにおけるEBITDA、調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益は、同業他社の同指標あるいは類似の指標とは算定方法が異なるために、他社における指標とは比較可能でない場合があり、その結果、有用性が減少する可能性があります。
6.Bain Capital Private Equity, LPとのマネジメント契約に基づくマネジメントフィー及び関連費用であります。
7.上場準備アドバイザリー費用、上場のための組織体制構築に関する費用、上場のためのIFRS導入適時開示体制構築に関する費用、上場に向けた株式報酬費用等の上場関連の一時的な費用であります。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(のれんの償却)
日本基準ではのれんをその効果が発現すると合理的に見積もられる期間にわたり規則的に償却しておりましたが、IFRSでは移行日以降の償却を停止しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が前連結会計年度は2,314百万円減少、当連結会計年度は2,385百万円減少しております。
(1)業績
当連結会計年度(2017年7月1日~2018年6月30日)における世界経済は、中国を始めとしたアジア新興国等の経済の先行き、米国政権の政策運営に関する不確実性、新興金融資本市場の変動の影響等について不透明感があるものの、米国、ヨーロッパ地域、アジア地域と世界的に穏やかな景気回復傾向が続いていると認識しています。一方で日本経済においても、企業収益や雇用環境の改善などを背景に、消費者マインドの持ち直しが見られ、今後も緩やかな回復が期待される状況にあると考えています。
こうした中で、グローバルなマーケティング・リサーチ市場は445億米ドル、そのうち当社グループが主に手掛けるオンライン・マーケティング・リサーチ市場は173億米ドルに達し(注1)、日本のマーケティング・リサーチ市場は2,147億円、そのうちオンライン・マーケティング・リサーチ市場は672億円に達する(注2)規模となったと認識しております。国内、海外共に市場は堅調な拡大を続けており、特にオンライン・マーケティング・リサーチが市場全体を上回るペースで成長している中、今後も当社の事業成長にとって好ましい市場環境が継続するものと期待されます。
このような経済・市場環境の下で当社グループは、国内外においてさらなる多様化やグローバル化が進む顧客企業のマーケティング課題の解決ニーズに対応すべく、幅広いマーケティング・リサーチ・サービスのラインナップの拡充を推進すると同時に、消費者パネルから得られる属性、消費・購買、行動、意識、生体情報等、多種多様で膨大なデータから導かれる高品質で革新的なインサイトを提供することで、引き続き国内事業の安定的成長の追求、M&Aを含めた海外事業の基盤強化及び、特に国内外における企業のデジタル広告支出の最適化に資するデータを提供することを中心としたデジタル・マーケティング分野の拡充に取り組んでまいりました。
国内においては、当社グループの主要取引先の一つである広告代理店との取引に、同社の労働環境改革への取り組み等の影響による軟調さが残るものの、デジタル・マーケティング関連商材やグローバル・リサーチ商材の販売が、上記以外の広告代理店、電機、情報・通信、食料品、金融、自動車といった様々な業界の顧客に対して大きく伸長しました。特に当社単体が前年同期比9.3%成長となる過去最高の売上高(21,918百万円)を記録するなどグループ全体を牽引し、結果として国内全体は前年同期比で6.9%成長し、同じく過去最高となる売上高(27,448百万円)を記録しています。
海外においては、当社グループの中では附帯的な事業と位置付けられる北米におけるパネル提供事業において軟調さが継続したものの、グローバルなメディア企業、FMCG(Fast Moving Consumer Goods: 日用消費財)メーカー、アルコール飲料メーカー、さらに韓国の大手自動車メーカーや電機メーカー、政府・公共機関などを中心とした取引拡大等がありました。加えて、主要外貨の対円為替レートが前年同期比で上昇したこと、2017年10月に子会社化した米Acturus社の業績が加わったことも追い風となり、海外の売上収益は前年同期比26.9%増となる力強い成長を継続し、国内同様に過去最高となる売上収益(12,721百万円)を記録しています。
一方で費用面では、第1四半期においてアジア地域におけるグローバル・キー・アカウント(注3)向け調査の拡大や売上収益のミックスの変動に伴う外部パネルの調達費用や外注費用の増加があり、また、海外事業及びデジタル・マーケティング事業分野の強化のための人員拡充を中心として予定されていたキャッチアップ/戦略的投資(注4)の実施を継続したことに加えて、M&Aを通じて国内外で子会社化した企業の業績取り込みに伴う費用増等により、売上原価並びに販売費及び一般管理費中の人件費は前年同期比で増加しました。他方、前連結会計年度に計上していた上場関連費用が当連結会計年度においてほとんど計上されていないこと、2017年3月末に実施したリファイナンスによる金利引下げや為替の好影響があったこと等を受け、販売費及び一般管理費は売上収益が増加している中であるもののほぼ横ばいで推移し、金融費用は減少しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上収益は40,024百万円(前年同期比12.7%増)、営業利益に減価償却費等を加えたEBITDA(利払・税引・償却前利益)(注5)は8,660百万円(同12.5%増)、営業利益7,607百万円(同11.5%増)、税引前利益7,372百万円(同25.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,719百万円(同27.4%増)となりました。
なお、当社は、国内外においてM&A等を活用した事業基盤の強化や拡大を積極的に目指していくなかで、以下セグメント別の業績においては、各事業から生み出されるキャッシュ・フローの規模を通じた業績の把握や比較をより適切に行うことができるEBITDAを用いて、各セグメントの収益性に係る状況を記載しております。
セグメント業績は以下のとおりです。
(マクロミルグループ)
当社単体、国内子会社及び、一部海外子会社が属するマクロミルグループにおいては、前述の通り、過去最高を記録した国内の売上収益に加えて、韓国における子会社の取引拡大等があり、セグメント全体の売上収益が堅調に増大しました。また費用面では、前述のキャッチアップ/戦略的投資を行った中で、コストの増加が大きかったものの、前連結会計年度に計上していた上場関連費用が当連結会計年度においてほとんど計上されていないことによる影響が大きく、売上原価並びに販売費及び一般管理費の増加幅は売上収益の増大に比して限定的でした。
以上の結果、マクロミルグループセグメントの当連結会計年度における売上収益は、30,948百万円(前年同期比8.5%増)、EBITDAは7,667百万円(同16.6%増)となりました。
(MetrixLabグループ)
欧州や北米、中南米、中東及びアジアの一部といった地域で事業を展開するMetrixLabグループにおいては、前述の通り、北米でパネル提供事業を展開する連結子会社のPrecision Sample社で外部顧客向け売上収益が軟調な状況が年間を通じて継続したものの、グローバル・キー・アカウント向け調査を中心に、イギリスや北米、東南アジアを中心とした各地域で主力の広告プリテスト商材や広告・キャンペーン効果測定商材等の販売が堅調に推移しました。これに加え、2017年10月に子会社化した米Acturus社の業績を取り込んだ影響もあり、売上収益は前年を大きく上回って増大し、過去最高のセグメント売上収益となりました。一方、費用面では、海外事業の強化に向けた人員や事業拠点の拡充を力強く推進しており、また、Acturus社の新規連結に伴う費用増等もあって、売上原価並びに販売費及び一般管理費も前年同期比で増加しました。
以上の結果、MetrixLabグループセグメントの当連結会計年度における売上収益は、9,198百万円(前年同期比28.6%増)、EBITDAは992百万円(同11.3%減)となりました。
注:
(1) 2017年9月にESOMAR(European Society for Opinion and Marketing Research) が発表した「ESOMAR Global Market Research 2017」による。
(2) 2018年7月に一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)が発表した「第43回 経営業務実態調査」による。
(3) グローバルに事業を展開し、調査・マーケティングに係る多額の予算を有する顧客企業グループのうち、当社グループのさらなる成長の鍵となる顧客(キー・アカウント)として、グローバルに営業強化の対象としている企業群のこと。
(4) 過年度に計上予定の費用であったが、諸般の事情により実際の計上に至らなかったものにつき、当連結会計年度においてキャッチアップする形で改めて計上した費用や、足許の事業環境の変化等を受けて、中期事業計画策定時には想定していなかったものの、戦略的に計上することとなった費用。 当連結会計年度において合計で400百万円 の計上を予定していたところ、実際には392百万円の計上となった。
(5) EBITDA:Earnings Before Interest, Tax, Depreciation and Amortizationの略。当社ではEBITDA = 営業利益+減価償却費及び償却費+固定資産除却損+減損損失と定義しており、当該事業から生み出されるキャッシュ・フローの規模をより適切に把握することができるため、当該事業の収益性を測るための主要な経営指標として用いている。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ677百万円増加し、9,124百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、5,610百万円(前期比122百万円減)となりました。
これは主に、税引前利益7,372百万円、減価償却費及び償却費1,052百万円がありましたが、営業債権及びその他の債権の増加2,237百万円、利息の支払額456百万円、法人所得税の支払額1,267百万円等があったためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、2,101百万円(前期比752百万円増)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出357百万円、無形資産の取得による支出669百万円、子会社の取得による支出1,044百万円等があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、2,813百万円(前期比657百万円増)となりました。
これは主に、短期借入れによる収入1,007百万円がありましたが、短期借入金の返済による支出1,225百万円、長期借入金の返済による支出2,411百万円等があったためです。
2.生産、受注及び販売の状況
(1)生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
(2)受注状況
当社グループの事業は受注から納品までの期間が短いため、記載を省略します。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2017年7月1日 至 2018年6月30日) | 前年同期比(%) |
| マクロミルグループ | 30,928 | 108.5 |
| MetrixLabグループ | 9,095 | 130.0 |
| 合計 | 40,024 | 112.7 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引については、相殺消去しております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2016年7月1日 至 2017年6月30日) | 当連結会計年度 (自 2017年7月1日 至 2018年6月30日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| 株式会社電通及びその関係会社 | 5,312 | 15.0 | 5,912 | 14.8 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。株式会社電通及びその関係会社への売上は主に当社の子会社である株式会社電通マクロミルインサイトにおいて計上しております。
3.財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、決算日における財政状態、報告期間における経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える見積り・予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り・予測の評価を実施しております。なお、重要な会計方針及び見積りの詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記「3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。
(2)財政状態の分析
① 資産
資産につきましては、75,230百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,414百万円増加いたしました。これは主に、現金及び現金同等物の増加677百万円、営業債権及びその他の債権の増加2,355百万円、のれんの増加890百万円等の増加要因があったためです。
② 負債
負債につきましては、47,762百万円となり、前連結会計年度末に比べ701百万円減少しております。これは主に、営業債務及びその他の債務の増加516百万円、未払法人所得税等の増加878百万円等の増加要因がありましたが、借入金の減少2,462百万円、その他の金融負債の減少339百万円等の減少要因があったためです。また、結果として当連結会計年度末時点の純有利子負債/調整後EBITDA比率は3.19倍まで低下しています。
③ 資本
資本につきましては、27,468百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,115百万円増加いたしました。これは主に、配当金の支払額425百万円(非支配持分への配当金の支払額も含む)がありましたが、当期利益5,170百万円の発生等があったためです。
(3)経営成績の分析
経営成績の分析につきましては、前記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.業績等の概要 (1)業績」を参照ください。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
資本の財源及び資金の流動性についての分析につきましては、前記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」を参照ください。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、前記「2 事業等のリスク」をご参照ください。
(6)経営戦略の現状と見通し
当社グループがオンライン・マーケティング・リサーチ業界のリーディングカンパニーとして、「利便性が高く、より早く、そして安く」クライアント企業へアウトプットを提供し続けることは、当社の競争優位性、高収益基盤を維持するために不可欠です。その実現のため、当社は次に掲げる経営戦略を柱としています。なお、これらは前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に掲げる課題に中長期的に取組んで行くための戦略であります。
① 国内事業の安定的な成長の継続
これまで当社グループが培ってきた国内最大規模のオンライン・パネル・ネットワーク、調査品質、及びクライアント企業からの信頼は当社グループの競争力の源泉であり、これらを基礎として、今後も市場成長率を上回る成長を目指してまいります。そのため、これらの営業資産の更なる活用に加え、ITを活用した従来型の調査手法の代替・補完、スマートフォンやタブレット端末への対応などを加速させるとともに、調査の品質や対応速度の更なる向上を推進してまいります。
(参考情報)
当社の2017年6月期及び2018年6月期における売上高10百万円超の国内のクライアント数の推移は以下のとおりであります。
| 決算期 | 2017年 6月期 | 2018年 6月期 | 対前年同期比 増減率 |
| 売上高10百万円超の 国内のクライアント数 | 317 | 353 | +11.4% |
② 海外における事業拡大と成長の加速
MetrixLabグループとの経営統合によって、当社グループは欧州、米国、アジアの広範な国と地域に拠点、クライアントベース及びパネル・ネットワークを有することとなっております。これらのグローバルネットワークを最大限活用しつつ、当該経営統合以降進められてきた、グループシナジーの創出を引き続き実施していきます。
(参考情報)
当社グループの2017年6月期及び2018年6月期におけるエリア別の売上高実績、対前年同期比増減率及び換算に使用した主要な為替レートは以下のとおりであります。なお、2016年6月に公表した当社の中期事業計画においては、2016年6月期に30%程度と見込まれたグローバル売上比率(下記に示す海外分の売上に、日本企業による日本国外でのマーケティング・リサーチに係る売上を加えたものの連結売上収益に占める比率)を、2019年6月末までに40%程度まで高めるという数値目標を掲げている中で、当連結会計年度における当該比率は37%となりました。
(エリア別売上高)
| 決算期 | 2017年 6月期 | 2018年 6月期 | 対前年同期比 増減率 |
| (単位:百万円) | |||
| 日本 | 25,667 | 27,448 | +6.9% |
| 海外 | 10,025 | 12,721 | +26.9% |
| 相殺消去 | △178 | △145 | - |
| 合計 | 35,514 | 40,024 | +12.7% |
(主要な為替レート)
| 決算期 | 2017年 6月期 | 2018年 6月期 | 増減率 |
| JPY/EUR(円) | 118.9 | 131.6 | +10.7% |
| JPY/USD(円) | 109.1 | 110.4 | +1.1% |
| JPY/KRW(円) | 0.0959 | 0.1007 | +5.0% |
③ デジタル・マーケティング事業の成長ドライバー(牽引役)への発展
当社グループは、デジタル・マーケティング事業を、今後のグループ成長の一翼を担う重要な戦略的領域として位置づけております。具体的には、スマートフォンやタブレット端末を含む様々なモバイルデバイスにおける行動データの取得範囲を拡大しながら、アンケートで取得するデータと組み合わせることで、クライアントに対して更に価値のあるインサイトをより分かりやすい形で提供してまいります。
(参考情報)
当社グループの2017年6月期及び2018年6月期におけるデジタル・マーケティング事業の売上高実績及び主要な商品の売上指数は以下のとおりであります。なお、前述の当社の中期事業計画においては、2016年6月期に10%程度と見込まれたデジタル売上比率を、2019年6月末までに20%程度まで高めるという数値目標を掲げている中で、当連結会計年度における当該比率は17%となりました。
(デジタル・マーケティング事業の売上高)
| 決算期 | 2017年 6月期 | 2018年 6月期 | 対前年同期比 増減率 |
| (単位:百万円) | |||
| デジタル・マーケティング売上高 | 4,392 | 6,588 | +50.0% |
(主要な商品の売上指数)
| 決算期 | 2017年 6月期 | 2018年 6月期 | 対前年同期比 増減率 |
| マクロミルグループ | |||
| DMP Solution | 4.11 | 6.26 | +52.3% |
| AccessMill | 10.67 | 16.06 | +50.5% |
| MetrixLabグループ | |||
| B-HEALTH | 0.75 | 2.07 | +178.3% |
| TRACK-360 | 2.05 | 2.84 | +38.8% |
※主要な商品の売上指数は、2015年6月期の第1四半期のAccess Millの売上高を1とした場合の各期における各商品の売上高を倍率化した数値であります。
④ 事業運営の更なる最適化を通じた収益性向上
事業の各プロセスにおける効率性強化や最適化に向けた活動、適切な行動管理指標(KPI)を通じた経営改善をグループ内で引き続き徹底してまいります。
⑤ M&A・提携等を活用した非有機的な成長の追求
当社グループは、これまでも株式会社電通マクロミルインサイト、MetrixLabグループ等のM&A・提携等も活用しながら非有機的な成長を実現してまいりましたが、今後も更なる飛躍を目指し、既存のM&A・提携等に係るシナジーの深化を図ると共に、継続して新規のM&A・提携等の機会も模索してまいります。こうした取り組みを通じて、新規顧客の開拓、グローバル及び業界特化のパネル基盤拡大、サービスの拡充、優秀な人材の確保、クロスセルを追求することが可能だと考えます。
以上に掲げる経営戦略を推進することで、当社グループはグローバルなマーケティング・リサーチ市場において売上高上位10社に入るだけでなく、更なる競争優位性の確保、高収益基盤の拡充の実現を目指す方針です。
(7)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、国内マーケティング・リサーチ業界の拡大に伴い、競争が激化するなか、M&Aを通じた海外展開及びそれを支える経営基盤の確立が必要との認識のもと、2014年4月に非公開化を行い、オランダ法人MetrixLab Holding B.V.の完全子会社化やグローバルマネジメントの獲得等により、グローバル企業としてのプラットフォームを確立してまいりました。今後の方針としては、グローバル展開の一層の加速化を目指し、MetrixLabグループとのグループシナジーの追求、デジタル・マーケティング等のサービスラインアップの拡充、それらを支える人材の育成と採用、有利子負債の返済等による健全な財務基盤の確立等に注力してまいります。具体的には、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
(8)当社グループの事業の特徴と強みについて
当社グループの営むマーケティング・リサーチ事業とデジタル・マーケティング事業を包括した当社グループの特徴と強みは以下のとおりと認識しております。(当社グループのこれらの特徴と強みに関するリスクについては、前記「2 事業等のリスク」をあわせてご参照ください。)
[成長性]
当社グループは、グローバルなマーケティング・リサーチ企業の中で、最も早い成長を続けています(※1)。過去5年間(2013年6月期から2018年6月期まで)における当社グループの売上収益の年平均成長率は19%となっておりますが、これはオーガニックな成長(内部資源を活用した有機的な成長)とイン・オーガニックな成長(M&A等を活用した非有機的な成長)の両輪で実現しています。オーガニックな成長は、日本、世界ともに成長を続ける市場(※2)の中で、先に述べたような大規模・良質なパネル、世界でシームレスに展開する営業・リサーチ体制、業界をリードするワンストップ・ソリューション・ポートフォリオ等の競争優位性を強化することや、国内を中心とする当社グループの既存顧客に対して、買収したMetrixLabグループの強みである次世代のデジタル・マーケティング・ソリューション(※3)を提供する事等により実現してきました。イン・オーガニックな成長は、MetrixLabグループの買収、大手広告代理店との合弁会社の設立、EMBRAIN CO.,LTD.(現MACROMILL EMBRAIN CO.,LTD.)の買収等を通じ実現してきました。マーケティング・リサーチ事業の海外事業の展開に係る基盤の整理は既にある程度の目途がついたと考えておりますが、その周辺領域を中心に、今後も継続してイン・オーガニックな成長も追求すべく、中長期的な視点からM&Aのテーマを設定し、国内外に及ぶグループネットワークを駆使して戦略的・経済的に合理的なM&A案件の発掘を積極的に行っています。
(※1)グローバルなマーケティング・リサーチ企業の中で最も早い成長:出典: ESOMAR Global Market Research 2013/2015/2016/2017。2012年から2015年及び2016年にかけての当社グループの売上収益の年平均成長率(3ヶ年及び4ヶ年CAGR)が、同レポートに掲載されているlargest 25 global marketing research companies の中で最大となっております(但し、ヘルスケアITサービスプロバイダーであるIMS Healthを除きます。)。
(※2)日本、世界ともに成長を続ける市場:日本におけるオンライン・マーケティング・リサーチ市場の2011年から2017年にかけての年平均成長率は5%(日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)による。)、グローバルなオンライン・マーケティング・リサーチ市場の2011年から2016年にかけての年平均成長率は11%(ESOMAR – Global Market Researchによる。)、日本を含むグローバルなデジタル広告市場の2016年から2021年にかけての予想年平均成長率は15%(eMarketer – Worldwide Ad Spendingによる。)とされております。
(※3)MetrixLabグループの強みである次世代のデジタル・マーケティング・ソリューション:MetrixLabは、広告プリテストや、広告効果測定、ソーシャルメディア解析、ダッシュボード等の次世代型のデジタル・マーケティング・ソリューションの開発と販売を積極的に進めております。その結果、MetrixLabグループセグメントの売上高に占めるデジタル・マーケティング・ソリューション事業の割合は2018年6月期において40.1%に達しております。
[収益性]
当社グループは、大手マーケティング・リサーチ会社の中でトップクラスの収益性を誇っており(※1)、2018年6月期には調整後EBITDAの対売上収益比率21.9%を達成しました(調整後EBITDA及びその対売上収益比率の算出方法等の詳細については、後記の(参考情報)をご参照ください。)。これは、主として、効率の良いオペレーション、規模を生かした調達力、戦略的なプライシングによって実現しています。このうち、オペレーション効率の面では、業務の標準化・効率化、先端テクノロジーを駆使した自動化、人材の育成・高付加価値化を通じて、大手マーケティング・リサーチ会社の中では最も高い従業員一人当たり売上高を達成していると認識しております(※2)。次に調達力の面では、グローバルに大規模な事業展開を行っている市場ポジショニングを活かし、提携パネルの調達や業務の外注において当社グループに有利な条件での取引を行っています。最後にプライシングの面では、新たな付加価値の高いソリューションを開発することでより収益性の高い価格設定を実現すると共に、戦略的・組織的な価格コントロールの推進を通じて、顧客への提供価値や競争優位性に応じた適切な対価を頂くことに成功しています。こうした高い収益力、ひいては高いキャッシュ・フロー創出力が、次の成長に必要な戦略的な投資余力を生み出すことに繋がっていると考えております。
(※1)大手マーケティング・リサーチ会社の中でトップクラスの収益性:当社と国内外の主要なマーケティング・リサーチ企業(Nielsen Holdings N.V. (以下「Nielsen」という。)(Buyセグメント)、GfK SE(以下「GfK」という。)、Ipsos SA(以下「Ipsos」という。)、株式会社インテージホールディングス(以下「インテージ」という。)、株式会社クロス・マーケティンググループ(以下「クロスマーケティング」という。))の直近決算期におけるEBITDAマージンを比較した場合、当社が最も高い状況にあるとの理解です。
(※2)大手マーケティング・リサーチ会社の中では最も高い従業員一人当たり売上高:当社と国内外の主要なマーケティング・リサーチ企業(Nielsen、GfK、Ipsos、インテージ、クロスマーケティング)の直近決算期における従業員一人当たり売上高を比較した場合、当社が最も高い状況にあるとの理解です。
[顧客基盤の安定性]
当社グループは、世界中で多様な顧客基盤を有する上に、各顧客との高い取引継続率を誇っており、結果として安定性の高い事業構造を構築しております。このうち顧客基盤の多様性については、グローバル・ブランドの上位25社のうち約60%が当社グループの顧客である(※1)他、こうした超大手企業にとどまらず、世界90カ国以上において年間4,000超の企業との取引実績を有しています(2018年6月期)。また取引の継続性については、例えば日本市場における大口顧客との過去5年間の平均取引継続率が96.5%(※2)、海外市場における大口顧客との過去3年間の平均取引継続率が91.9%(※3)という高い水準を達成しています。これは、顧客とパネルの両面から、構造的に実現されていると考えております。すなわち、まず当社グループが顧客の課題の明確化と解決策の立案に携わることで、顧客と顧客の業界に対する理解がさらに深まり、当該顧客及びその業界に属する他の顧客に対して、より高付加価値なサービス提供ができるという構造があります。一方で、パネル側にとっても、上記顧客との関係から、より多くの案件と、より多くの回答機会(ひいては、パネルに対するインセンティブとして付与されるポイントの獲得機会)が得られる当社グループのパネルへの参加は魅力的であり、当社グループのパネルに応募し、積極的に回答することを望むインセンティブが生じています。結果として、当社グループに良質な自社パネルが構築されることになり、それが魅力となって顧客に当社グループを選んで頂ける状況が生じ、また一度取引を行った顧客にとっては、リサーチの継続性・正確性を維持する観点からも、当社グループを選び続けて頂ける、というサイクル構造が生じており、その両面が構造的に当社グループの高い取引継続率の実現に貢献していると考えています。
(※1)グローバル・ブランドの上位25社のうち約60%が当社グループの顧客:上位25社の選定は、Millward Brown社の2018年の調査に基づきます。また、当社グループが何らかのサービスを提供した会社を当社グループの顧客として算入しており、当該顧客の中には、当社グループ以外のマーケティング・リサーチ会社等を利用している会社も含まれます。
(※2)日本市場における大口顧客との過去5年間の平均取引継続率:ある事業年度における「日本市場における大口顧客との取引継続率」とは、直前事業年度における当社での売上高が1,000万円以上の企業のうち、当該事業年度においても取引(金額を問いません。)を継続している企業の割合をいいます。
(※3)海外市場における大口顧客との過去3年間の平均取引継続率:ある事業年度における「海外市場における大口顧客との取引継続率」とは、直前事業年度におけるMetrixLabグループでの売上高が0.1百万ユーロ以上の企業のうち、当該事業年度においても取引(金額を問いません。)を継続している企業の割合をいいます。
(9)株式会社センタンとの業務・資本提携と買収について
当社は、2017年6月期第3四半期より、次世代のリサーチ・ソリューション・メニューの拡充に向けた研究開発活動の一環として、2017年1月30日付で株式会社センタンと戦略的な業務・資本提携契約を締結し、同年2月2日付で同社株式の10%を取得いたしましたが、その関係性のより一層の強化を目指し、2018年1月5日付で同社の株式の41%を追加取得し、同社を子会社化いたしました。当社がこれまで培ってきたマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティングの両面に跨る幅広な経験・実績・顧客層と、センタン社が培ってきた生体情報(無意識反応)の取得・解析に係る豊富な実績とノウハウをかけ合わせ、これまで得られなかった消費者のより深いインサイトや意思決定プロセスに迫るマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティング・ソリューションの提供を目指した事業活動を行っております。
(10)米Acturus, Inc.の買収および合併について
当社は、2018年6月期第2四半期より、世界のマーケティング・リサーチ市場のおよそ半分を占める規模を持つ米国における事業展開を強化するにあたり、2017年10月2日付でActurus, Inc.の株式の100%を取得し、同社を子会社化いたしました。当社がこれまで培ってきたマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティングの両面に跨る幅広な経験・実績・顧客層と、Acturus社が培ってきた米国及び英国におけるマーケティング・リサーチ事業、特にインフルエンサー・マーケティングに係る豊富な実績とノウハウをかけ合わせ、米国を中心としたグローバルなベースでのマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティング・ソリューションの提供を強化することを目指しております。なお、本件株式取得は、当社の米国における連結子会社であるMetrixLab US, Inc.を通じて実行され、2018年7月2日付で両社を合併することで、拠点やコストの重複を排してより一体的な事業運営を行っております。
(11)W&Sホールディングス株式会社との業務・資本提携について
当社は、2018年6月期第2四半期より、成長の著しい東南アジア地区における事業展開を強化するにあたり、2017年9月21日付でW&Sホールディングス株式会社との間で戦略的な業務・資本提携契約を締結し、同年10月2日付で同社株式の10%を第三者割当増資により取得いたしました。当社がこれまで培ってきたマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティングの両面に跨る幅広な経験・実績・顧客層と、W&Sホールディングス社が培ってきた東南アジア地区におけるマーケティング・リサーチ及びパネルサプライ事業に係る豊富な実績とノウハウをかけ合わせ、同地区における、より的確で幅広い消費者パネルへのアクセスと、より深い消費者インサイトの獲得を可能にするマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティング・ソリューションの提供を目指しております。
(12)株式会社東京サーベイ・リサーチの買収について
当社は、2019年6月期第1四半期より、日本における事業展開を強化するにあたり、2018年6月25日付で株式会社博報堂との間で、同社が保有する株式会社東京サーベイ・リサーチ(以下「TSR」)に関する資本業務提携契約を締結した上で、同年7月2日付で同社株式の51%を取得し、同社を子会社化いたしました。今後は同社を次世代の博報堂グループのインハウス・マーケティング・リサーチ企業と位置付け、同社を両社のマーケティング・リサーチ分野におけるJV企業として運営することで、TSRの顧客に対して、より付加価値のあるマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティング・ソリューションの提供を目指しております。
(参考情報)
当社グループは、経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算出されたEBITDA、調整後EBITDA、親会社の所有者に帰属する当期利益、調整後親会社の所有者に帰属する当期利益及び調整後基本的1株当たり当期利益を重要な経営指標として位置づけており、過去2年間の各指標の推移は以下のとおりであります。
(1)EBITDA及び調整後EBITDA
| 国際会計基準 | ||
| 第4期 | 第5期 | |
| 決算期 | 2017年6月期 | 2018年6月期 |
| 営業利益 (百万円) | 6,825 | 7,607 |
| +減価償却費及び償却費等 (百万円) | 871 | 1,053 |
| EBITDA(注1) (百万円) | 7,696 | 8,660 |
| (調整額) | ||
| +マネジメントフィー(注6) (百万円) | 374 | - |
| +上場関連費用(注7) (百万円) | 460 | 97 |
| 調整額小計(税金等調整前) (百万円) | 834 | 97 |
| 調整後EBITDA(注2) (百万円) | 8,531 | 8,757 |
| 対売上収益比率 (%) | 24.0 | 21.9 |
(2)親会社の所有者に帰属する当期利益及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益
| 国際会計基準 | ||
| 第4期 | 第5期 | |
| 決算期 | 2017年6月期 | 2018年6月期 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 (百万円) | 3,706 | 4,719 |
| (調整額) | ||
| +マネジメントフィー(注6) (百万円) | 374 | - |
| +上場関連費用(注7) (百万円) | 481 | 97 |
| 調整額小計(税金等調整前) (百万円) | 855 | 97 |
| 調整項目の税金等調整額 (百万円) | 312 | 3 |
| 調整額小計(税金等調整後) (百万円) | 543 | 93 |
| 調整後親会社の所有者に帰属する当期利益(注3) (百万円) | 4,249 | 4,813 |
| 対売上収益比率 (%) | 12.0 | 12.0 |
| 調整後基本的1株当たり当期利益 (円) | 111.34 | 122.95 |
(注)1.EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費+固定資産除却損+減損損失
2.調整後EBITDA=EBITDA+マネジメントフィー+上場関連費用
3.調整後親会社の所有者に帰属する当期利益=親会社の所有者に帰属する当期利益+マネジメントフィー+上場関連費用-調整項目に係る税金等調整額
4.EBITDA、調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益はIFRSにより規定された指標ではなく、当社グループが、投資家にとって当社グループの業績を評価するために有用であると考える財務指標であります。当該財務指標は、上場後には発生しないと見込まれる費用や非経常的損益項目(通常の営業活動の結果を示していると考えられない項目、あるいは競合他社に対する当社グループの業績を適切に示さない項目)の影響を除外しております。
5.EBITDA、調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益は、当期利益に影響を及ぼす項目の一部を除外しており、分析手段としては重要な制限があることから、IFRSに準拠して表示された他の指標の代替的指標として考慮されるべきではありません。当社グループにおけるEBITDA、調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益は、同業他社の同指標あるいは類似の指標とは算定方法が異なるために、他社における指標とは比較可能でない場合があり、その結果、有用性が減少する可能性があります。
6.Bain Capital Private Equity, LPとのマネジメント契約に基づくマネジメントフィー及び関連費用であります。
7.上場準備アドバイザリー費用、上場のための組織体制構築に関する費用、上場のためのIFRS導入適時開示体制構築に関する費用、上場に向けた株式報酬費用等の上場関連の一時的な費用であります。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(のれんの償却)
日本基準ではのれんをその効果が発現すると合理的に見積もられる期間にわたり規則的に償却しておりましたが、IFRSでは移行日以降の償却を停止しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が前連結会計年度は2,314百万円減少、当連結会計年度は2,385百万円減少しております。