訂正有価証券報告書-第6期(平成30年7月1日-令和1年6月30日)

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2021/06/10 10:47
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1.業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度(2018年7月1日〜2019年6月30日)における世界経済は、米国と中国との貿易摩擦の激化や、それによる中国経済の先行きを含む海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響などに懸念があるものの、穏やかな景気の回復傾向が続いていると認識しています。一方で日本経済は、一部に弱さもみられるものの、企業収益や雇用環境の改善などを背景に、消費者マインドの持ち直しが見られ、今後も緩やかな景気回復が期待される状況にあると考えています。
こうした中で、グローバルなマーケティング・リサーチ市場は458億米ドル、そのうち当社グループが主に手掛けるオンライン・マーケティング・リサーチ市場は179億米ドルに達し(注1)、日本のマーケティング・リサーチ市場は2,190億円、そのうちオンライン・マーケティング・リサーチ市場は705億円に達する(注2)規模になったと認識しています。国内、海外共に市場は緩やかな拡大を続けており、特にオンライン・マーケティング・リサーチが市場全体を上回るペースで成長しています。
このような経済・市場環境の下で当社グループは、国内外において更に多様化やグローバル化が進む顧客企業のマーケティング課題の解決ニーズに対応すべく、マーケティング・リサーチ・サービスのラインナップの拡充を進めています。具体的には、当社が独自に保有する消費者パネルから得られる多種多様で膨大なデータ(属性、消費・購買、行動、意識、生体情報等)を統合的に扱うことで得られる革新的なインサイトについて、顧客企業への提供を強化しています。また、とりわけデジタル関連領域においては、国内外における企業のデジタル広告支出の最適化に資するデータ提供を中心とした事業の拡充に取り組んでいます。なお、本年度は欧州における個人情報保護規制(GDPR)の施行や、米国の大手SNS企業における個人情報流出に端を発し、デジタル関連事業の運営上、向かい風となるような状況も散見されましたが、中長期的な視点で見れば、顧客企業におけるマーケティング活動のデジタル化の推進は止まることのない大きな潮流であると考えています。
国内においては、デジタル・マーケティング関連商材やグローバル・リサーチ商材の販売が、広告代理店、サービス、不動産、自動車、流通といった様々な業界の顧客に対して堅調に推移しました。また、2018年7月に株式会社博報堂から51%の持分を取得して子会社化した株式会社H.M.マーケティングリサーチ(2018年10月1日付で株式会社東京サーベイ・リサーチより社名変更)の業績が加わったことも追い風となり、結果として国内全体では前期比で12.9%成長となる売上収益(30,977百万円)を記録しました。
海外においては、為替による悪影響がありつつも、グローバルなアルコール飲料メーカー、化粧品メーカー、さらに韓国の大手自動車メーカーや電機メーカーなどを中心とした取引が堅調に推移しました。また、第1四半期までは2017年10月に子会社化した米Acturus社の業績が加わったことによる影響が残り、第4四半期からは2019年4月に子会社化したW&Sホールディングス株式会社(2019年7月1日付で株式会社マクロミル・サウスイーストアジアに社名変更)の業績が加わっています。結果として、海外では前期比5.7%増となる売上収益(13,447百万円)を記録しました。
一方で費用面では、国内外での業容拡大に伴う人員拡充・オフィス増床に加え、上述のとおり、M&Aを通じて国内外で子会社化した企業の業績取り込みに伴う費用増により、営業費用が売上収益の増加ペースを上回って増加しました。また、第1四半期には、2018年7月に発行した普通社債により、金利水準が高まりつつあった外貨建ての既存借入金をリファイナンスしたことに伴う一時的な費用の計上の影響があり、昨年対比で金融収支は悪化しました。但し、結果として第2四半期以降の支払金利は着実に低下しており、インタレスト・カバレッジ・レシオ(直近12か月で算定)(注3)は12.89倍(前年同期間11.22倍)に改善しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上収益は44,279百万円(前期比10.6%増)、営業利益に減価償却費等を加えたEBITDA(利払・税引・償却前利益)(注4)は9,167百万円(同5.9%増)、営業利益7,751百万円(同1.9%増)、税引前利益7,285百万円(同1.2%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,702百万円(同0.4%減)となりました。また、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE、直近12か月で算定)は17.1%(前期比3.6ポイント減)となりました。
セグメント業績は以下のとおりです
なお、当社は、国内外においてM&A等を活用した事業基盤の強化や拡大を積極的に目指していくなかで、以下セグメント別の業績においては、各事業から生み出されるキャッシュ・フローの規模を通じた業績の把握や比較を適切に行うことができるEBITDA、及び営業利益を用いて、各セグメントの収益性に係る状況を記載しています。また、第2四半期より、セグメント名称を「マクロミルグループ」から「日本及び韓国事業」、「MetrixLabグループ」から「その他の海外事業」へ変更しています。当該変更は名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。
(日本及び韓国事業)
日本及び韓国事業セグメントにおいては、前述のとおり、国内の売上収益が堅調に推移し、韓国の子会社の取引拡大が継続したことに加えて、2018年7月に子会社化した博報堂との合弁事業であるH.M.マーケティングリサーチ社の業績と、2019年4月に子会社化したマクロミル・サウスイーストアジア社の業績を取り込んだ影響があり、セグメント全体の売上収益が大きく伸長しました。一方、費用面では、業容拡大に伴う人員・オフィスの拡充に加えて、上記2社の新規連結開始に伴う費用増もあり、営業費用が前期比で大きく増加しました。
以上の結果、日本及び韓国事業セグメントの当連結会計年度における売上収益は、35,020百万円(前期比13.2%増)、EBITDAは8,073百万円(同5.3%増)、セグメント利益は7,091百万円(同0.9%増)となりました。
(その他の海外事業)
北米、欧州、中南米、中東及び、日本と韓国等を除く一部アジア地域で事業を営むその他の海外事業セグメントにおいては、前述のとおり、為替による悪影響がありつつも、グローバル・キー・アカウント(注5)向け調査を中心に、主力の広告プリテスト商材や広告・キャンペーン効果測定商材の販売が進み、売上収益は堅調に推移しました。一方、費用面では、海外事業の強化に向けた人員や事業拠点の拡充を力強く推進しており、営業費用は前期比で増加しているものの、売上収益の増加の影響が当該費用増を上回る水準だったため、売上収益を上回るペースでの利益増の実現につながりました。
以上の結果、その他の海外事業セグメントの当連結会計年度における売上収益は、9,385百万円(前期比2.0%増)、EBITDAは1,093百万円(同10.2%増)、セグメント利益は659百万円(同14.4%増)となりました。
なお、日本及び韓国事業内のMACROMILL EMBRAIN CO.,LTD.の収益及び業績についてはウォン建てで管理し、その他の海外事業の収益及び業績についてはユーロ建てで管理しています。それぞれの換算レートは以下のとおりです。
算定期間(12ヶ月間)前連結会計年度
(2018年6月30日)
当連結会計年度
(2019年6月30日)
増減率
JPY/EUR(円)131.62126.89△3.6%
JPY/KRW(円)0.10070.0985△2.2%

売上収益に基づき算定した第4四半期連結会計期間の換算レートは以下のとおりです。
算定期間(3ヶ月間)2018年6月期 第4四半期
連結会計期間
2019年6月期 第4四半期
連結会計期間
増減率
JPY/EUR(円)130.28123.41△5.3%
JPY/KRW(円)0.10130.0939△7.4%

注:
(1) 2018年9月にESOMAR(European Society for Opinion and Marketing Research) が発表した「ESOMAR
Global Market Research 2018」による。
(2) 2019年7月に一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)が発表した「第44回 経営業務実態調査」
による。
(3) インタレスト・カバレッジ・レシオ =(営業利益+受取利息+受取配当金)/ 支払利息
(4) EBITDA:Earnings Before Interest, Tax, Depreciation and Amortizationの略。当社ではEBITDA = 営業利益
+減価償却費及び償却費+固定資産除却損+減損損失と定義しており、各事業から生み出されるキャッシュ・フロ
ーの規模をより適切に把握することができるため、各事業の収益性を測るための主要な経営指標として用いている。
(5) グローバルに事業を展開し、調査・マーケティング予算を多額に有する顧客企業のうち、当社グループのさらなる
成長の鍵となる顧客(キー・アカウント)として、グローバルに営業強化の対象としている企業群のこと。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ978百万円増加し、10,102百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、5,647百万円(前期比37百万円増)となりました。
これは主に、税引前利益7,285百万円、減価償却費及び償却費1,411百万円がありましたが、営業債権及びその他の債権の増加979百万円、利息の支払額371百万円、法人所得税の支払額2,841百万円等があったためです。
なお、法人所得税の支払額は所得金額の増加や欠損金の繰越控除終了により前年同期比1,574百万円の増加となりました。営業債権の回転期間は78.3日(前年同期比0.4日短期化)、営業債務及びパネルポイント引当金の回転期間は51.5日(前年同期比5.0日長期化)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、1,819百万円(前期比281百万円減)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出421百万円、無形資産の取得による支出1,666百万円等があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、2,845百万円(前期比32百万円増)となりました。
これは主に、社債発行による収入9,947百万円がありましたが、短期借入金の返済による支出621百万円、長期借入金の返済による支出11,885百万円等があったためです。
2.生産、受注及び販売の状況
(1)生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
(2)受注状況
当社グループの事業は受注から納品までの期間が短いため、記載を省略します。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年7月1日
至 2019年6月30日)
前年同期比(%)
日本及び韓国事業35,000113.2
その他の海外事業9,278102.0
合計44,279110.6

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引については、相殺消去しております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年7月1日
至 2018年6月30日)
当連結会計年度
(自 2018年7月1日
至 2019年6月30日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
株式会社電通及びその関係会社5,91214.85,10711.5

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。株式会社電通及びその関係会社への売上は主に当社の子会社である株式会社電通マクロミルインサイトにおいて計上しております。
3.財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、決算日における財政状態、報告期間における経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える見積り・予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り・予測の評価を実施しております。なお、重要な会計方針及び見積りの詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記「3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。
(2)財政状態の分析
① 資産
資産は78,321百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,091百万円増加しました。これは主に現金及び現金同等物の増加978百万円、その他の無形資産の増加638百万円等の増加要因があったためです。
② 負債
負債は46,039百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,723百万円減少しています。これは主に、未払法人所得税等の減少784百万円、その他の流動負債の減少610百万円等の減少要因があったためです。なお、社債及び借入金は、借入金の返済が12,507百万円ありましたが、社債発行による収入が9,947百万円あり、結果として当連結会計年度末時点の純有利子負債/EBITDA倍率は2.79倍となりました。
③ 資本
資本は、32,282百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,814百万円増加しました。これは主に、配当金の支払額507百万円がありましたが、当期利益5,262百万円の発生等があったためです。
(3)経営成績の分析
経営成績の分析につきましては、前記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.業績等の概要 (1)業績」を参照ください。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
資本の財源及び資金の流動性についての分析につきましては、前記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」を参照ください。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、前記「2 事業等のリスク」をご参照ください。
(6)経営戦略の現状と見通し
当社グループがオンライン・マーケティング・リサーチ業界のリーディングカンパニーとして、「利便性が高く、より早く、そして安く」クライアント企業へアウトプットを提供し続けることは、当社の競争優位性、高収益基盤を維持するために不可欠です。その実現のため、当社グループは、2016年6月に中期経営計画(2017年6月期~2019年6月期)を策定し公表しました。2019年6月期は当該中期経営計画の最終年度であり、その達成状況は以下のとおりです。
売上高は、2016年6月期から2019年6月期の年平均成長率10%程度の目標(M&A・提携等の影響を除外)に対し、年平均成長率9%となり概ね達成することができました。
また、売上高のうち、2016年6月期に30%程度と見込まれたグローバル売上比率(海外子会社の売上に、日本企業による日本国外でのマーケティング・リサーチに係る売上を加えたものの連結売上収益に占める比率)を、2019年6月末までに40%程度まで高めるという数値目標に対して、当連結会計年度における当該比率は36%となりました。同様に、2016年6月期に10%程度と見込まれたデジタル売上比率を、2019年6月末までに20%程度まで高めるという数値目標に対して、当連結会計年度における当該比率は19%となりました。
次期以降は、新たな中期経営計画のもと、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に掲げる課題に取り組んでいくために、以下に掲げる経営戦略を実行していく方針です。
① 国内事業の安定的な成長の継続
これまで当社グループが培ってきた国内最大規模のオンライン・パネル・ネットワーク、調査品質、及びクライアント企業からの信頼は当社グループの競争力の源泉であり、これらを基礎として、今後も市場成長率を上回る成長を目指します。そのため、これらの営業資産の更なる活用に加え、ITを活用した従来型の調査手法の代替・補完、スマートフォンやタブレット端末への対応などを加速させるとともに、調査の品質や対応速度の更なる向上を推進していく方針です。
(参考情報)
当社の2018年6月期及び2019年6月期における売上高10百万円超の国内のクライアント数の推移は以下のとおりであります。
決算期2018年
6月期
2019年
6月期
対前年同期比
増減率
売上高10百万円超の
国内のクライアント数
353364+3.1%

② 海外における事業拡大と成長の加速
当社は、グループの傘下企業として、主に米州、欧州及び一部のアジアを含むその他の海外地域において事業を展開するMetrixLabグループ、韓国において事業を展開するMACROMILL EMBRAIN CO.,LTD.、並びに新たにグループに加わった東南アジアにおいて事業を展開する株式会社マクロミル・サウスイーストアジアを抱えています。これらの傘下企業群を通じて、当社グループは欧州、米国、アジアの広範な国と地域に拠点、クライアントベース及びパネル・ネットワークを有しており、これらのグローバルネットワークを最大限活用しつつ、海外における事業拡大と成長の加速を引き続き目指していく方針です。
(参考情報)
当社グループの2018年6月期及び2019年6月期におけるエリア別の売上高実績、対前年同期比増減率及び換算に使用した主要な為替レートは以下のとおりです。
(エリア別売上高)
決算期2018年
6月期
2019年
6月期
対前年同期比
増減率
(単位:百万円)
日本27,44830,977+12.9%
海外12,72113,447+5.7%
相殺消去△145△145-
合計40,02444,279+10.6%

(主要な為替レート)
決算期2018年
6月期
2019年
6月期
増減率
JPY/EUR(円)131.6126.89△3.6%
JPY/KRW(円)0.10070.0985△2.2%

③ デジタル・マーケティング事業の成長ドライバー(牽引役)への発展
当社グループは、デジタル・マーケティング事業を、今後のグループ成長の一翼を担う重要な戦略的領域として位置づけています。具体的には、例えば、スマートフォンやタブレット端末を含む様々なモバイルデバイスにおける行動データの取得範囲を拡大しながら、アンケートで取得するデータと組み合わせることで、クライアントに対して更に価値のあるインサイトをより分かりやすい形で提供していく方針です。
(参考情報)
当社グループの2018年6月期及び2019年6月期におけるデジタル・マーケティング事業の売上高実績及び主要な商品の売上指数は以下のとおりです。
(デジタル・マーケティング事業の売上高)
決算期2018年
6月期
2019年
6月期
対前年同期比
増減率
(単位:百万円)
デジタル・マーケティング売上高6,5887,965+20.9%

(主要な商品の売上指数)
決算期2018年
6月期
2019年
6月期
対前年同期比
増減率
日本及び韓国事業
DMP Solution6.2617.08+173.0%
AccessMill16.0618.36+14.3%
その他の海外事業
CE3.144.60+46.5%
TRACK-3602.843.98+40.0%

※主要な商品の売上指数は、2015年6月期の第1四半期のAccess Millの売上高を1とした場合の各期における各商品の売上高を倍率化した数値であります。
なお、その他の海外事業の商品の売上指数及び成長率については、該当する連結累計期間の為替レートを適用した数値を用いて算出しています。
④ 事業運営の更なる最適化を通じた収益性向上
事業の各プロセスにおける効率性強化や最適化に向けた活動、適切な行動管理指標(KPI)を通じた経営改善をグループ内で引き続き徹底していく方針です。
⑤ M&A・提携等を活用した非有機的な成長の追求
当社グループは、これまで国内においては株式会社電通マクロミルインサイト、株式会社H.M.マーケティングリサーチ、海外においてはMetrixLabグループ、Acturus, Inc.等をM&Aを通じてグループ企業に加えることで、非有機的な売上収益の成長を実現してきました。
今後も更なる飛躍を目指し、これまでにM&A・提携等により当社グループに加わった企業とのシナジーの深化を図ると共に、継続して新たなM&A・提携等の機会も模索していく方針です。また、こうした取り組みを通じて、新規顧客の開拓、グローバル及び業界特化のパネル基盤拡大、サービスの拡充、優秀な人材の確保、クロスセルを追求することが可能だと考えています。
以上に掲げる経営戦略を推進することで、当社グループはグローバルなマーケティング・リサーチ市場において売上高上位10社に入ること、また、日本及びアジアNo.1のリサーチ会社となることを目指し、更なる競争優位性の確保、高収益基盤の拡充の実現を追求します。
(7)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、国内マーケティング・リサーチ業界の拡大に伴い、競争が激化するなか、M&Aを通じた海外展開及びそれを支える経営基盤の確立が必要との認識のもと、2014年4月に非公開化を行い、オランダ法人MetrixLab Holding B.V.の完全子会社化やグローバルマネジメントの獲得等により、グローバル企業としてのプラットフォームを確立してきました。
一方で、当社を取り巻く環境は、デジタル化の加速とともにクライアントニーズも急速に変化していることから、それらの多様化・高度化するニーズに対応したサービスの提供が必要不可欠だと考えています。このため、今後も引き続き、当社の強みである自社パネルの強化に努めるとともに、様々なデータを統合的に活用したこれまで以上に付加価値の高いソリューションの実現に努め、グローバルクライアントの更なる開拓、及び、クライアントにとって「パートナー」となる関係性の構築を目指していく方針です。
また、それらを実現するため、引き続き、デジタル商材における新サービスの開発やグローバルに活躍する人材の採用と育成、子会社間のシナジーの追求を図り、経営基盤の強化を追求します。
加えて、AIやRPA等を積極的に活用し業務の効率化を図ることで、既存事業の売上成長に応じた利益成長の実現を目指すとともに、有利子負債の返済等による健全な財務基盤の確立等に注力していく方針です。
具体的には、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
(8)当社グループの事業の特徴と強みについて
当社グループの営むマーケティング・リサーチ事業とデジタル・マーケティング事業を包括した当社グループの特徴と強みは以下のとおりと認識しています。(当社グループのこれらの特徴と強みに関するリスクについては、前記「2 事業等のリスク」をあわせてご参照ください。)
[成長性]
当社グループは、グローバルなマーケティング・リサーチ企業の中で、最も早い成長を続けています(※1)。過去5年間(2014年6月期から2019年6月期まで)における当社グループの売上収益の年平均成長率は16%となっておりますが、これはオーガニックな成長(内部資源を活用した有機的な成長)とイン・オーガニックな成長(M&A等を活用した非有機的な成長)の両輪で実現しています。オーガニックな成長は、日本、世界ともに成長を続ける市場(※2)の中で、大規模・良質な消費者パネルを構築し、業界をリードするワンストップ・ソリューション・ポートフォリオを、国内外の当社グループの顧客企業に対して提供する事等により実現してきました。イン・オーガニックな成長は、日本においては、大手広告代理店2社より、それぞれのインハウス・マーケティング・リサーチ事業子会社株式の過半数以上を取得して合弁事業化するなどことや、また、海外においては、Acturus社やマクロミル・サウスイーストアジア社の買収等を通じて事業規模の拡大を実現してきました。
今後も、日本及び海外における既存事業の力強い成長を目指すとともに、戦略的・経済的に合理的なM&A案件の発掘を積極的に行っていく方針です。
(※1)グローバルなマーケティング・リサーチ企業の中で最も早い成長:出典: ESOMAR Global Market Research 2013/2014/2018。2012年及び2013年から2017年にかけての当社グループの売上収益の年平均成長率(4ヶ年及び5ヶ年CAGR)が、同レポートに掲載されているlargest 25 global marketing research companies の中で最大です(但し、ヘルスケアITサービスプロバイダーであるIMS Healthを除く。)。
(※2)日本、世界ともに成長を続ける市場:日本におけるオンライン・マーケティング・リサーチ市場の2013年から2018年にかけての年平均成長率は4.2%(日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)による。)、グローバルなオンライン・マーケティング・リサーチ市場の2012年から2017年にかけての年平均成長率は10.1%(ESOMAR – Global Market Researchによる。)、日本を含むグローバルなデジタル広告市場の2017年から2022年にかけての予想年平均成長率は15%(eMarketer – Worldwide Ad Spendingによる。)とされています。
[収益性]
当社グループは、大手マーケティング・リサーチ会社の中でトップクラスの収益性を誇っており(※1)、2019年6月期にはEBITDAの対売上収益比率20.7%を達成しました。これは、主として、効率の良いオペレーション、規模を生かした調達力、戦略的なプライシングによって実現しています。このうち、オペレーション効率の面では、業務の標準化・効率化、先端テクノロジーを駆使した自動化、人材の育成・高付加価値化を通じて、大手マーケティング・リサーチ会社の中では最も高い従業員一人当たり売上高を達成していると認識しています(※2)。次に調達力の面では、グローバルに大規模な事業展開を行っている市場ポジショニングを活かし、提携パネルの調達や業務の外注において当社グループに有利な条件での取引を行っています。最後にプライシングの面では、新たな付加価値の高いソリューションを開発することでより収益性の高い価格設定を実現すると共に、戦略的・組織的な価格コントロールの推進を通じて、顧客への提供価値や競争優位性に応じた適切な対価を頂くことに成功しています。こうした高い収益力、ひいては高いキャッシュ・フロー創出力が、次の成長に必要な戦略的な投資余力を生み出すことに繋がっていると考えています。
(※1)大手マーケティング・リサーチ会社の中でトップクラスの収益性:当社と国内外の主要なマーケティング・リサーチ企業(Nielsen Holdings N.V. (以下「Nielsen」という。)(Buyセグメント)、Ipsos SA(以下「Ipsos」という。)、株式会社インテージホールディングス(以下「インテージ」という。)、株式会社クロス・マーケティンググループ(以下「クロスマーケティング」という。))の直近決算期におけるEBITDAマージンを比較した場合、当社が最も高い状況にあるとの理解です。
(※2)大手マーケティング・リサーチ会社の中では最も高い従業員一人当たり売上高:当社と国内外の主要なマーケティング・リサーチ企業(Nielsen、Ipsos、インテージ、クロスマーケティング)の直近決算期における従業員一人当たり売上高を比較した場合、当社が最も高い状況にあるとの理解です。
[顧客基盤の安定性]
当社グループは、世界中で多様な顧客基盤を有する上に、各顧客との高い取引継続率を誇っており、結果として安定性の高い事業構造を構築しています。このうち顧客基盤の多様性については、グローバル・ブランドの上位25社のうち約60%が当社グループの顧客である(※1)他、こうした超大手企業にとどまらず、世界90カ国以上において年間約4,200社の企業との取引実績を有しています(2019年6月期)。また取引の継続性については、例えば日本市場における大口顧客との過去5年間の平均取引継続率が96.4%(※2)、海外市場における大口顧客との過去4年間の平均取引継続率が92.8%(※3)という高い水準を達成しています。これは、顧客とパネルの両面から、構造的に実現されていると考えています。すなわち、まず当社グループが顧客の課題の明確化と解決策の立案に携わることで、顧客と顧客の業界に対する理解がさらに深まり、当該顧客及びその業界に属する他の顧客に対して、より高付加価値なサービス提供ができるという構造があります。一方で、パネル側にとっても、上記顧客との関係から、より多くの案件と、より多くの回答機会(ひいては、パネルに対するインセンティブとして付与されるポイントの獲得機会)が得られる当社グループのパネルへの参加は魅力的であり、当社グループのパネルに応募し、積極的に回答することを望むインセンティブが生じています。結果として、当社グループに良質な自社パネルが構築されることになり、それが魅力となって顧客に当社グループを選んで頂ける状況が生じ、また一度取引を行った顧客にとっては、リサーチの継続性・正確性を維持する観点からも、当社グループを選び続けて頂ける、という循環構造が生じており、その両面が構造的に当社グループの高い取引継続率の実現に貢献していると考えています。
(※1)グローバル・ブランドの上位25社のうち約60%が当社グループの顧客:上位25社の選定は、Millward Brown社の2019年の調査に基づきます。また、当社グループが何らかのサービスを提供した会社を当社グループの顧客として算入しており、当該顧客の中には、当社グループ以外のマーケティング・リサーチ会社等を利用している会社も含まれます。
(※2)日本市場における大口顧客との過去5年間の平均取引継続率:ある事業年度における「日本市場における大口顧客との取引継続率」とは、直前事業年度における当社での売上高が1,000万円以上の企業のうち、当該事業年度においても取引(金額を問いません。)を継続している企業の割合をいいます。
(※3)海外市場における大口顧客との過去4年間の平均取引継続率:ある事業年度における「海外市場における大口顧客との取引継続率」とは、直前事業年度におけるMetrixLabグループでの売上高が0.1百万ユーロ以上の企業のうち、当該事業年度においても取引(金額を問いません。)を継続している企業の割合をいいます。
(9)株式会社センタンとの業務・資本提携と買収について
当社は、2017年6月期第3四半期より、次世代のリサーチ・ソリューション・メニューの拡充に向けた研究開発活動の一環として、2017年1月30日付で株式会社センタンと戦略的な業務・資本提携契約を締結し、同年2月2日付で同社株式の10%を取得いたしましたが、その関係性のより一層の強化を目指し、2018年1月5日付で同社の株式の41%を追加取得し、同社を子会社化いたしました。当社がこれまで培ってきたマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティングの両面に跨る幅広な経験・実績・顧客層と、センタン社が培ってきた生体情報(無意識反応)の取得・解析に係る豊富な実績とノウハウをかけ合わせ、これまで得られなかった消費者のより深いインサイトや意思決定プロセスに迫るマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティング・ソリューションの提供を目指した事業活動を行っております。
(10)米Acturus, Inc.の買収および合併について
当社は、2018年6月期第2四半期より、世界のマーケティング・リサーチ市場のおよそ半分を占める規模を持つ米国における事業展開を強化するにあたり、2017年10月2日付でActurus, Inc.の株式の100%を取得し、同社を子会社化いたしました。当社がこれまで培ってきたマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティングの両面に跨る幅広な経験・実績・顧客層と、Acturus社が培ってきた米国及び英国におけるマーケティング・リサーチ事業、特にインフルエンサー・マーケティングに係る豊富な実績とノウハウをかけ合わせ、米国を中心としたグローバルなベースでのマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティング・ソリューションの提供を強化することを目指しております。なお、本件株式取得は、当社の米国における連結子会社であるMetrixLab US, Inc.を通じて実行され、2018年7月2日付で両社を合併することで、拠点やコストの重複を排してより一体的な事業運営を行っています。
(11)株式会社マクロミル・サウスイーストアジアの業務・資本提携と買収について
当社は、2018年6月期第2四半期より、成長の著しい東南アジア地区における事業展開を強化するにあたり、2017年9月21日付で株式会社マクロミル・サウスイーストアジア(2019年7月1日付でW&Sホールディングス株式会社より社名変更)との間で戦略的な業務・資本提携契約を締結し、同年10月2日付で同社株式の10%を第三者割当増資により取得いたしましたが、その関係性のより一層の強化を目指し、2019年4月1日付で同社の株式の41%を追加取得し、同社を子会社化しました。当社がこれまで培ってきたマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティングの両面に跨る幅広な経験・実績・顧客層と、同社が培ってきた東南アジア地区におけるマーケティング・リサーチ及びパネルサプライ事業に係る豊富な実績とノウハウをかけ合わせ、同地区における、より的確で幅広い消費者パネルへのアクセスと、より深い消費者インサイトの獲得を可能にするマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティング・ソリューションの提供を目指しています。
(12)株式会社H.M.マーケティングリサーチの買収について
当社は、2019年6月期第1四半期より、日本における事業展開を強化するにあたり、2018年6月25日付で株式会社博報堂との間で、同社が保有する株式会社H.M.マーケティングリサーチ(2018年10月1日付で株式会社東京サーベイ・リサーチより社名変更、以下「HMM」)に関する資本業務提携契約を締結した上で、同年7月2日付で同社株式の51%を取得し、同社を子会社化しました。今後は同社を次世代の博報堂グループのインハウス・マーケティング・リサーチ企業と位置付け、同社を両社のマーケティング・リサーチ分野におけるJV企業として運営することで、HMMの顧客に対して、より付加価値のあるマーケティング・リサーチ及びデジタル・マーケティング・ソリューションの提供を目指しています。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(のれんの償却)
日本基準ではのれんをその効果が発現すると合理的に見積もられる期間にわたり規則的に償却しておりましたが、IFRSでは移行日以降の償却を停止しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、営業費用が前連結会計年度は2,385百万円減少、当連結会計年度は2,394百万円減少しております。

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