四半期報告書-第49期第2四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/11/02 15:29
【資料】
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【項目】
38項目
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)
医薬品業界は、国内外において研究開発のスピードアップと効率化を目指してCRO(Contract Research Organization:医薬品開発業務受託機関)に外部委託するアウトソーシングの動きが引き続き拡大しており、コロナ禍でその流れは加速しています。また、新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の研究開発に加えて、抗体医薬、核酸医薬、ペプチド医薬、遺伝子治療、再生医療などの新規創薬モダリティの研究開発が本格化してきています。このようなトレンドを受け、CRO事業を主力事業とする当社は、“ダントツのCRO”としてクライアントが第一に当社を指名してくれる存在になることを目指しており、顧客ニーズを満たす迅速な対応とサービスの向上ならびに継続的な品質の向上に注力しております。
こうした状況の中、当第2四半期連結累計期間における売上高は7,961百万円と前第2四半期連結累計期間に比べて957百万円(13.7%)の増加となりました。
営業利益は1,969百万円と前第2四半期連結累計期間に比べて807百万円(69.6%)の増加、経常利益は2,529百万円と前第2四半期連結累計期間に比べて1,224百万円(93.8%)の増加となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、第1四半期に特別利益1,360百万円を計上したこともあり3,503百万円と前第2四半期連結累計期間に比べて2,364百万円(207.5%)の増加となりました。
当社グループの従業員数は、2021年9月30日現在で1,005名(2021年3月末比19人増)です。なお、当社の女性従業員比率は50.5%となっております。
当社グループのセグメント別の経営成績およびSDGs/ESGへの取組みは次のとおりです。
① CRO事業
CRO事業は、細胞・実験動物等を用いる前臨床試験を受託する前臨床事業と、臨床試験を受託する臨床事業から構成されます。
前臨床事業は、当第2四半期連結累計期間も好調に推移しました。前臨床試験のリードタイムの短縮を実現し、品質の高い最終試験報告書を提供するという製薬企業における利益最大化につながる、当社独自の“時間的価値創出”の取り組みが成果を表してきたことや、当社が構築している「自社グループ内での大型実験動物繁殖・供給体制」が新たな創薬モダリティの研究開発の本格化等により重要性を増していること、2019年4月から開始している大手製薬企業との創薬段階における包括的研究受託契約も順調に推移していること等により、当第2四半期連結累計期間における受注高は11,074百万円と前年同期に比べて3,529百万円(46.8%)と大幅な増加となり、第2四半期連結累計期間としては過去最高の受注高を記録しました。当第2四半期連結累計期間における海外からの受注高も2,555百万円と欧米からの受注がけん引役となり前年同期比104.4%増と大幅に伸び、海外受注高比率は23.5%(前年同期は16.6%)となりました。
臨床事業については、米国に本拠を置くグローバルCROであるPPD社と合弁会社・株式会社新日本科学PPD(以下 新日本科学PPD)を設立し事業を展開しております。新日本科学PPDは、PPD社が獲得した国際共同治験(グローバル試験)の日本国内での実施を主力事業としており、受注は順調に推移しています。新日本科学PPDは持分法適用関連会社(現在の当社持分比率40%)であることから営業外収益の項目で「持分法による投資利益」として計上されます。新日本科学PPDの当第2四半期連結累計期間の「持分法による投資利益」は404百万円(前年同期は411百万円)となっております。
CRO事業の売上高は、7,638百万円と前第2四半期連結累計期間に比べ921百万円(13.7%)の増加となりました。同事業の営業利益は、2,377百万円と前第2四半期連結累計期間に比べ836百万円(54.3%)と大幅増加になりました。好調な受注と豊富な受注残高を背景に試験室は高稼働となり売上高総利益率が改善したことに加え、内部業務プロセスのイノベーションによる経費節減により販売管理費はほぼ横ばいにとどまったことから同事業の営業利益率は31.1%となり、前年同期を8.2%ポイント上回りました。
なお、CRO事業の売上高と営業利益には新日本科学PPDによる収益が反映されていません。参考までにCRO事業の営業利益2,377百万円に新日本科学PPDの当第2四半期連結累計期間の「持分法による投資利益」404百万円を加えると2,781百万円であり、売上高比36.4%の利益率となります。
② トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
トランスレーショナル リサーチ(TR:Translational Research)とは、国内外の大学、バイオベンチャー、研究機関などにおける基礎研究から生まれる有望なシーズや新技術を発掘し、前臨床試験や臨床試験を行うことで付加価値を高めて事業化へつなげる研究開発のことです。当社のトランスレーショナル リサーチ事業(以下 TR事業)では、1998年以来、薬物の鼻粘膜吸収性を高める独自の経鼻投与基盤技術やデバイスを応用した創薬を行う一方、薬物の脳移行性をコントロールする独自の送達技術を研究開発中です。
当第2四半期連結累計期間は、当社の経鼻投与基盤技術を応用し経鼻偏頭痛治療薬の開発を米国で行っているSatsuma Pharmaceuticals, Inc.(カリフォルニア州;以下 Satsuma社)及び経鼻神経変性疾患レスキュー薬の臨床開発を目的に2020年10月に設立した株式会社SNLD(以下 SNLD社)の開発支援等に取り組みました。米国ナスダック市場の上場企業であるSatsuma社は改良を施した経鼻デバイスを用いた、新たな第Ⅲ相臨床試験を実施しており、2021年7月に患者への投与が開始されました。また、当社の100%子会社であるSNLD社は、2021年度中の第Ⅰ相臨床試験の開始を間近に計画しており準備を進めております。同時に、さらなる経鼻ワクチンを含む新規経鼻ポートフォリオ創生を実践しております。
そうした中、TR事業の当第2四半期連結累計期間の売上高は計上されず(前第2四半期連結累計期間:売上高4百万円)、営業損失は334百万円(前第2四半期連結累計期間:営業損失311百万円)となりました。
③ メディポリス事業
当社は鹿児島県指宿市の高台に103万坪(3,400,000㎡)の広大な敷地(メディポリス指宿)を保有しており、この自然資本(約9割が森林)を活用して、環境に配慮した社会的事業として地熱発電事業と、人々の健康の実現(Wellbeing)をメインコンセプトとしたホテル宿泊施設の運営(ホスピタリティ事業)、レッドリストに登録されているニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)の人工種苗生産研究に取り組んでいる水産事業を行っております。
地熱発電事業はホテルで浴用に使用している温泉泉源の余剰蒸気を活用した温泉発電について2023年3月期中の稼働に向けた開発に着手しています。また2021年9月にメディポリス指宿の敷地内において大気中の二酸化炭素を回収し、地中深くに貯留するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)に関して九州大学と共同研究を開始しております。ホスピタリティ事業は、ホテルの一部を改装・増築し、2020年12月よりヒーリングリゾートホテル「別邸 天降る丘」として運営を開始しております。これに伴いまして、従来の「指宿ベイヒルズHOTEL & SPA」につきましては、中長期滞在特化型施設としての運営を開始しております。
メディポリス事業の当第2四半期連結累計期間の業績は、地熱発電事業は1,500kW級のバイナリー型地熱発電所を稼働し全量を売電しており収益に貢献していますが、新型コロナウイルス感染拡大でホテル宿泊施設において低水準な稼働率が続いていることや水産事業の研究開発を進めたことから、売上高は260百万円と前第2四半期連結累計期間に比べ8百万円(3.0%)の減少となり、営業損失は11百万円(前第2四半期連結累計期間:営業損失15百万円)となりました。
SDGs/ESGへの取組み
2015年9月の国連総会で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」は、2030年までの達成を目指す世界中の人々が幸せに暮らせるように定められた世界共通の目標です。これは、創業以来の当社理念「環境・生命・人材を大切にする会社であり続ける」と、当社スローガン「わたしも幸せ、あなたも幸せ、みんな幸せ」そのものであり、当社はSDGs/ESGの取組みについて業界のリーディングカンパニーであると自覚して取り組んでおります。
当第2四半期連結累計期間は、2021年8月27日に取締役会の諮問機関として「SDGs委員会」を設置しました。当社社外取締役の戸谷圭子氏を委員長として毎月活発な議論を行っております。その成果として作成したサステナビリティレポートおよび各種ESGポリシーを自社WEBサイト上の専用ページ(https://www.snbl.co.jp/esg/)に開示しております。
(資産、負債、純資産の状況)
当第2四半期連結累計期間における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりです。
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ187百万円(0.5%)減少し、36,785百万円となりました。流動資産は、現金及び預金が減少したことなどにより前連結会計年度末に比べ794百万円(5.4%)減少して13,985百万円となりました。固定資産は、投資有価証券のうち持分法適用関連会社株式が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ607百万円(2.7%)増加して22,799百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ2,407百万円(11.4%)減少し、18,725百万円となりました。流動負債は、短期借入金が減少したことなどにより前連結会計年度末に比べ885百万円(7.4%)減少して11,030百万円となりました。固定負債は、長期借入金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,522百万円(16.5%)減少して7,695百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益を3,503百万円計上し、投資有価証券の時価評価額が減少したことでその他有価証券評価差額金が715百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ2,220百万円(14.0%)増加し、18,059百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べて877百万円(12.0%)減少して、6,402百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は1,574百万円と前第2四半期連結累計期間に比べて554百万円(54.4%)の増加となりました。
主な内訳は、税金等調整前四半期純利益3,905百万円、減価償却費560百万円、持分法投資利益385百万円、売上債権の減少額518百万円及び法人税等の支払額676百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は380百万円(前第2四半期連結累計期間:332百万円の使用)となりました。
主な内訳は、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入1,084百万円、有形固定資産の取得による支出696百万円及び貸付金の回収による収入342百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2,921百万円と前第2四半期連結累計期間に比べて2,443百万円(511.5%)の増加となりました。
主な内訳は、長期借入の返済による支出1,998百万円及び配当金の支払いによる支出825百万円です。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第2四半期連結累計期間において会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、180百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。