有価証券報告書-第46期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
業績等の概要
(1) 業績
当連結会計年度における売上高は、15,658百万円と前連結会計年度に比べて941百万円(5.7%)の減少となりました。一方、営業利益は829百万円(前連結会計年度:営業損失697百万円)、経常利益は1,613百万円(前連結会計年度:経常損失813百万円)と黒字転換いたしました。特別損益として、SMO事業の譲渡に伴う利益653百万円及び米国前臨床事業の譲渡に伴う損失232百万円をそれぞれ計上いたしました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,950百万円(前連結会計年度:親会社株主に帰属する当期純損失3,555百万円)となりました。
当社グループのセグメント別業績は次のとおりであります。
① 前臨床事業
売上高は13,747百万円と前連結会計年度に比べて227百万円(1.6%)の減少となりましたが、営業利益は1,386百万円(前連結会計年度:営業損失623百万円)と黒字転換いたしました。
② 臨床事業
売上高は1,168百万円と前連結会計年度に比べて573百万円(32.9%)の減少となり、営業利益は56百万円と前連結会計年度に比べて70百万円(55.4%)の減少となりました。
③ トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
売上高は11百万円と前連結会計年度に比べて27百万円(70.4%)の減少となりました。営業損失は299百万円(前連結会計年度:営業損失245百万円)となりました。
④ メディポリス事業
売上高962百万円と前連結会計年度に比べて15百万円(1.6%)の増加となりました。営業損失は239百万円(前連結会計年度:営業利益12百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べて159百万円(3.0%)減少して、5,134百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、2,892百万円と前連結会計年度に比べて1,548百万円(115.2%)の増加となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,650百万円、減価償却費1,361百万円、前受金の増加額1,674百万円及び為替差益743百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、434百万円と前連結会計年度に比べて403百万円(48.1%)の減少となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,067百万円、関係会社株式の売却による収入685百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入807百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、3,501百万円と前連結会計年度に比べて722百万円(17.1%)の減少となりました。
主な内訳は、短期借入金の増加額977百万円、長期借入による収入510百万円及び長期借入金の返済による支出4,707百万円であります。
生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
4 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。
以下「連結財務諸表規則」という。) に基づいて作成しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等
(1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 概要
医薬品業界は、国内外において研究開発のスピードアップと効率化を目指したアウトソーシングが堅調です。このような顧客動向を受け、弊社は顧客から選ばれ続けるパートナーとなるべく、顧客ニーズを満たす迅速な対応とサービスの深化ならびに継続的な質の向上に注力しております。
② 前臨床事業
国内前臨床事業は、顧客満足度をさらに高めることに注力し、信頼と品質で選ばれる受託研究機関(CRO)を目指すとともに、再生医療開発支援や医療機器開発支援に加えて、薬効薬理試験メニューの拡充等、新しい技術分野における受託サービスを強化しております。当期の受注高及び受注残高は前期実績を上回って積みあがりました。同時に内部業務プロセスの見直しも精力的に進めており、利益率の改善に寄与しております。
米国前臨床事業のSNBL USA, Ltd.(米国 ワシントン州;以下「SNBL USA」)は、中長期的な視点で米国事業の成長を加速するためにシナジー効果が期待できる海外CROとの提携がより効果的と考え、北米を拠点とする臨床CROであるAltasciencesグループ(カナダ ケベック州)に前臨床事業(研究施設など不動産を除く)を分社化したうえで、昨年9月に事業譲渡いたしました。
③ 臨床事業
SMO事業を担っておりました株式会社新日本科学SMO(以下「新日本科学SMO」)は、この数年、関東地域の事業基盤を確立しながら、グループ内のSMO事業を統合し、特にがん対象試験の強化を進めておりましたが、SMO業界として国内大手グループへの集約が進んでいることから、他社との提携を含めた事業再編を検討した結果、新たな成長が期待できるエムスリー株式会社(東京都港区)への事業売却が適当であると判断し、昨年10月に新日本科学SMOの全株式を譲渡いたしました。
④ トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
経鼻投与基盤技術(Nasal Delivery System: NDS)を応用して新規に開発した、鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)が大きく進展しました。細胞間隙からの通過を解析するのみならず、嗅神経を介して薬物を能動的に中枢へ移行させるメカニズムの解析も実施しております。現在、低分子から高分子を使い、画像解析等を駆使して脳移行を確認し、良好な進捗結果を得ております。複数の大手製薬企業との共同研究やフィージビリティ試験は順調に進んでおり、国内の大学との共同研究を始め、脳移行解析をさらに深化させています。これまでの成果は積極的に学会発表しており、併せて営業活動をおこなった結果、国内外の大手製薬企業からの問い合わせが増えております。
また、NDSを用いた従来型の薬物吸収フィージビリティ試験や自社での製剤研究結果に基づいて、国内外での事業化を企画しており、複数の候補化合物を選択しつつあります。併せて、的確な鼻内部位への送達と低価格化を実現すべく、新規デバイスの開発も進んでいます。
他方、NDSを応用した経鼻偏頭痛薬の開発会社である Satsuma Pharmaceuticals, Inc. (米国 カリフォルニア州、以下「Satsuma社」)は、第Ⅰ相臨床試験を終了して良好な結果を得て、来期中に第Ⅲ相臨床試験にステップアップすることが決まりました。
⑤ メディポリス事業
当社は、鹿児島県指宿市において、環境に配慮する社会的事業である地熱発電事業ならびに自然と健康をテーマにした指宿ベイヒルズ HOTEL&SPAの運営などを行っており、これらの事業をメディポリス事業と位置付けております。
発電事業は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を利用して運営しており、地球温暖化防止、純国産エネルギーの創出推進という我が国のエネルギー政策をうけて、1,500kw級のバイナリー型地熱発電所を稼働、全量を売電しております。なお、当期は法定保守点検の時期となっており、昨年8月から約2か月間発電を停止して点検を行ったため、この部分で売電量は減少しております。
ホテル事業は、丘の上から錦江湾と大隅半島を望む素晴らしいロケーションと豊富な温泉を利用した砂蒸し風呂や森の中の露天風呂などの各種スパ施設のほか、今期開設した鉄板焼き“道(みち)”やフレンチレストラン“セレステ”が好評で、さらに大河ドラマ“西郷どん”効果により、宿泊者数が順調に伸びております。
⑥ その他
2017年11月に世界ではじめて成功いたしましたニホンウナギの閉鎖循環システムを用いたシラスウナギ人工種苗生産は、研究規模を拡大し、大量生産に向けた研究を継続しております。今年3月には新たな研究施設を新設することを目的として、シラスウナギ人工生産研究開発拠点設置に関する協定を鹿児島県和泊町(沖永良部島)と締結いたしました。
当社の重要投資先である株式会社リジェネシスサイエンス(以下「RGS」)は、2017年9月、中国のヘルスケア事業大手であるLUYE Life Sciences Group Ltd.(中国 上海;以下「緑葉集団」)とRGSが保有する培養軟骨細胞技術及びその他再生医療技術に関してライセンス契約を締結しました。本ライセンス契約により、緑葉集団からRGSに支払われる契約締結時及び対象技術移転時に契約一時金の一部、ならびにライセンス製品である培養細胞の売上高及びライセンス技術使用の売上高に応じて支払われるマイルストーン及びロイヤリティの一部が、それぞれ弊社に支払われます。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、GLPやGCPといった法的規制に対する適合性の調査等で高い評価を受けております。しかしながら、クライアントの創薬開発競争が激化し国際化、高度化及び大型化してゆく中で、当社グループは、サービスの質を継続的に高めていくと共に、グローバル化し複雑化してゆく顧客ニーズに対し的確に対応しつつ成長を維持していくために、設備、人材面での投資が不可欠となっております。人材の育成には時間を要する部分があり、また施設に対する投資も規模の経済性の観点からも先行的に行う必要が生じます。
とりわけ、日本よりもはるかに巨大な市場を有する米国等の海外クライアントからのニーズに迅速かつ的確に対応してゆくためには、海外の規格や法的規制に対応可能な体制を整えることが戦略的に重要であると考えております。海外の規格や基準に適合性をもつためには、十分なる準備や適合性に関する調査への対応が必要であります。
従って、事業のグローバルな競争力の向上と事業規模拡大のためには、これらに継続的に取り組む必要があり、その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) 戦略的現状と見通し
この数年、弊社が取組んでまいりました米国事業再編はすべて完了しております。SNBL USAは、引続き弊社100%の米国子会社として、Altascienceに営業譲渡した米国前臨床事業研究施設を保有しながら、弊社グループにおける米国事業の中核会社の役割を担いつつ資産を活用して中長期的に安定した収益を計上してまいります。
今後、米国での事業展開の主軸は、TR事業に移行(パラダイムシフト)してまいります。
国内の前臨床事業は、中長期的な視点で国内外の顧客からの要望に対して確実に応えられる体制構築に取組んでおります。中枢神経系領域の診断・検査体制の充実や、再生医療分野における最新装置を導入しており、他のCROでは実施困難な案件を受託しております。また、国内大手製薬企業から創薬プロセスに係る業務の一部を包括的に受託し、今年4月から業務を開始しております。これらを契機にして、効率的かつ効果的に各種実験を適切なタイミングで実施するオンリーワンの事業価値を継続して提供してまいります。
海外顧客からの引き合いも活発に推移しており、世界的大手製薬企業からの継続的な受注が実現しております。SNBL USAの運営で長年培ったノウハウと米国での勤務経験のある人材資産を最大限に活用して、今後も海外顧客からの受託拡大に注力してまいります。
アジアにおいては、前臨床事業への品質の高い実験動物供給拠点として、さらなる強化を図ってまいります。
国内の臨床事業は、世界トップクラス臨床CRO、Pharmaceutical Product Development LLC(米国ノースカロライナ州;PPD社)と国内に合弁事業として設立した株式会社新日本科学PPD(持分法適用関連会社)において、急拡大しつつあるグローバル試験(国際共同治験)の巨大マーケットにいち早く対応すべく盤石な組織体制の構築を進めており、順調に組織拡大が実現しております。今後も積極的な人材採用と組織強化による利益貢献を進めてまいります。
TR事業は、NDSの新たな応用領域として、Nose-to-Brain送達技術の研究開発に注力しております。中枢疾患におけるアンメットメディカルニーズは非常に高く、治療薬開発は製薬企業における重点注力領域となっています。血液-脳関門(Blood Brain Barrier)の存在により、静脈注射でも脳内に送達できない薬物について、Nose-to-Brain送達技術の応用が期待されています。現在、自社内研究開発に加えて、複数の大手製薬企業との共同研究契約ならびにフィージビリティ試験契約が締結されており、霊長類を用いた研究を中心に開発が進行しております。本技術を臨床開発ステージへと早期に飛躍させるために、製薬企業とのアライアンス成立を目指しています。
一方、経鼻ワクチンやNDSを用いた既存薬剤の投与経路変更など、パートナー企業とのアライアンスも継続して進めており、加えて自社による事業開発を可能にするような新規事業スキームの創設も目指してまいります。その他、NDSの早期の商品化と事業機会の最大化を目指して、外部資金を活用する新たなスキームにより米国に設立したSatsuma社は、臨床試験段階もフェーズ3へと開発をステップアップさせることに成功し、出口戦略を考える時期に来ております。
メディポリス事業は、従来の発電事業に加えて、地熱資源量の把握のための調査事業費補助金制度を利用して新規地熱発電の可能性を検討してまいります。また、今年3月にシラスウナギ人工生産研究開発拠点設置に関する協定を締結した和泊町(沖永良部島)において速やかに研究拠点を構え、一連の種苗生産を整えた上で大量生産事業化に向けた展開を図ってまいります。
その他、メディポリス指宿の資源を最大限活用すべく、様々な取組みを検討してまいります。
(5) 財政状態の分析
当連結会計年度における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,164百万円(5.5%)減少して、54,329百万円となりました。流動資産は、たな卸資産が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ3,471百万円(22.9%)減少して、11,666百万円となりました。固定資産は、有形固定資産が減少しましたが投資有価証券が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ306百万円(0.7%)増加して42,662百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ5,426百万円(17.3%)減少し、25,851百万円となりました。流動負債は、前受金が減少したことなどにより前連結会計年度末に比べ2,235百万円(11.2%)減少して17,767百万円となりました。固定負債は、リース債務が増加したものの、長期借入金が減少したことなどにより前連結会計年度末に比べ3,191百万円(28.3%)減少して8,083百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上し、その他有価証券評価差額金も増加したため、前連結会計年度末に比べ2,262百万円(8.6%)増加し、28,477百万円となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(6)資本の財源及び資金の流動性に関する分析
(a)資金需要
当社グループの資金需要は、主に設備投資等の投資及び運転資金等となっております。設備投資等の投資を行うにあたっては、案件ごとに投資の回収可能性や収益向上の点から検討を行い、重要なものについては取締役会での決議を経て決定するなど、社内の所定の手続に従って決定しております。計画については、3設備の新設、除却等の計画(1)重要な設備の新設等に記載のとおりです。
(b)資金の源泉
営業キャッシュ・フローからの収入で賄いきれないものについて、借入により調達しております。また、設備投資の一部についてファイナンス・リースを利用しております。なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物等の残高は5,134百万円となっております。
(c)有利子負債
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は16,157百万円となっております。
なお、2018年9月に取引金融機関との間でコミットメントライン方式によるシンジケートローン契約を締結しております。借入枠は10,910百万円で、2019年3月31日現在の借入残高は6,300百万円となっております。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の世界的な新薬開発における国際化、大型化、高度化等の動向に鑑みますと、環境の変化に対応して経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。
前臨床事業におきましては、より付加価値が高く、かつ顧客満足度の高いサービスを、効率的かつ迅速に提供していく方針です。この前提条件として、より品質の高い実験動物を顧客ニーズに従い安定供給していく重要性が一層高まってきているために、中国、アジア地域の当社施設からの安定的な供給体制の確立に取り組んでおります。市場規模が日本の数倍あると予想される米国でのビジネスチャンスを逃さぬよう、SNBL USAの運営で長年培ったノウハウと米国での勤務経験のある人材資産を最大限に活用して、今後も海外顧客からの受託拡大に注力してまいります。
臨床事業におきましては、世界トップクラスの臨床CROであるPPDと日本における臨床事業を統合し、国内における臨床試験の実施体制を強化するとともに、PPDの有するグローバルネットワークを通じて、グローバル試験を含む幅広い試験の受託体制を強化し、事業の拡大を進めております。
トランスレーショナル リサーチ事業におきましては、創薬型の医薬品開発支援事業へのパラダイムシフトを進めるべく、外部資金を活用した開発を積極的に推進し、早期の事業化を目指していくよう取り組んでおります。
(8) 重要事象等
当社子会社の株式会社メディポリス・エナジーは複数の金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しており、当該契約には純資産及びDSCR(元利金支払前キャッシュフロー/貸付に係る元利金支払額)に関する財務制限条項が付されており、当事業年度末においてDSCRに関する財務制限条項に抵触しております。しかしながら、当社グループは、従前から取引金融機関に対して当社グループの状況を詳細に説明して現状を認識いただき、継続的な取引関係を構築しており、当該条項にかかる期限の利益喪失につき権利を行使しないことについての合意を得ておりますので、当該状況はすべて解消しております。
従いまして、当社としては継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
(1) 業績
当連結会計年度における売上高は、15,658百万円と前連結会計年度に比べて941百万円(5.7%)の減少となりました。一方、営業利益は829百万円(前連結会計年度:営業損失697百万円)、経常利益は1,613百万円(前連結会計年度:経常損失813百万円)と黒字転換いたしました。特別損益として、SMO事業の譲渡に伴う利益653百万円及び米国前臨床事業の譲渡に伴う損失232百万円をそれぞれ計上いたしました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,950百万円(前連結会計年度:親会社株主に帰属する当期純損失3,555百万円)となりました。
当社グループのセグメント別業績は次のとおりであります。
① 前臨床事業
売上高は13,747百万円と前連結会計年度に比べて227百万円(1.6%)の減少となりましたが、営業利益は1,386百万円(前連結会計年度:営業損失623百万円)と黒字転換いたしました。
② 臨床事業
売上高は1,168百万円と前連結会計年度に比べて573百万円(32.9%)の減少となり、営業利益は56百万円と前連結会計年度に比べて70百万円(55.4%)の減少となりました。
③ トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
売上高は11百万円と前連結会計年度に比べて27百万円(70.4%)の減少となりました。営業損失は299百万円(前連結会計年度:営業損失245百万円)となりました。
④ メディポリス事業
売上高962百万円と前連結会計年度に比べて15百万円(1.6%)の増加となりました。営業損失は239百万円(前連結会計年度:営業利益12百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べて159百万円(3.0%)減少して、5,134百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、2,892百万円と前連結会計年度に比べて1,548百万円(115.2%)の増加となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,650百万円、減価償却費1,361百万円、前受金の増加額1,674百万円及び為替差益743百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、434百万円と前連結会計年度に比べて403百万円(48.1%)の減少となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,067百万円、関係会社株式の売却による収入685百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入807百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、3,501百万円と前連結会計年度に比べて722百万円(17.1%)の減少となりました。
主な内訳は、短期借入金の増加額977百万円、長期借入による収入510百万円及び長期借入金の返済による支出4,707百万円であります。
生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
前臨床事業 | 14,352,902 | 104.4 |
臨床事業 | 971,211 | 55.0 |
トランスレーショナル リサーチ事業 | 11,535 | 29.1 |
メディポリス事業 | 931,270 | 102.1 |
報告セグメント 計 | 16,266,920 | 98.8 |
その他事業 | 17,332 | 1,551.2 |
合計 | 16,284,253 | 98.9 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前期比(%) | 受注残高(千円) | 前期比(%) |
前臨床事業 | 19,188,928 | 141.9 | 10,600,013 | 77.9 |
臨床事業 | 1,220,657 | 61.8 | 144,206 | 7.7 |
トランスレーショナル リサーチ事業 | 4,535 | 11.3 | - | - |
メディポリス事業 | 931,270 | 102.1 | - | - |
報告セグメント 計 | 21,345,391 | 129.7 | 10,744,219 | 69.4 |
その他事業 | 17,332 | 868.7 | - | - |
合計 | 21,362,724 | 129.8 | 10,744,219 | 69.4 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
前臨床事業 | 13,717,246 | 98.7 |
臨床事業 | 981,292 | 56.3 |
トランスレーショナル リサーチ事業 | 11,535 | 29.1 |
メディポリス事業 | 931,270 | 102.1 |
報告セグメント 計 | 15,641,345 | 94.2 |
その他事業 | 17,332 | 868.7 |
合計 | 15,658,678 | 94.3 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
4 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。
以下「連結財務諸表規則」という。) に基づいて作成しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等
(1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 概要
医薬品業界は、国内外において研究開発のスピードアップと効率化を目指したアウトソーシングが堅調です。このような顧客動向を受け、弊社は顧客から選ばれ続けるパートナーとなるべく、顧客ニーズを満たす迅速な対応とサービスの深化ならびに継続的な質の向上に注力しております。
② 前臨床事業
国内前臨床事業は、顧客満足度をさらに高めることに注力し、信頼と品質で選ばれる受託研究機関(CRO)を目指すとともに、再生医療開発支援や医療機器開発支援に加えて、薬効薬理試験メニューの拡充等、新しい技術分野における受託サービスを強化しております。当期の受注高及び受注残高は前期実績を上回って積みあがりました。同時に内部業務プロセスの見直しも精力的に進めており、利益率の改善に寄与しております。
米国前臨床事業のSNBL USA, Ltd.(米国 ワシントン州;以下「SNBL USA」)は、中長期的な視点で米国事業の成長を加速するためにシナジー効果が期待できる海外CROとの提携がより効果的と考え、北米を拠点とする臨床CROであるAltasciencesグループ(カナダ ケベック州)に前臨床事業(研究施設など不動産を除く)を分社化したうえで、昨年9月に事業譲渡いたしました。
③ 臨床事業
SMO事業を担っておりました株式会社新日本科学SMO(以下「新日本科学SMO」)は、この数年、関東地域の事業基盤を確立しながら、グループ内のSMO事業を統合し、特にがん対象試験の強化を進めておりましたが、SMO業界として国内大手グループへの集約が進んでいることから、他社との提携を含めた事業再編を検討した結果、新たな成長が期待できるエムスリー株式会社(東京都港区)への事業売却が適当であると判断し、昨年10月に新日本科学SMOの全株式を譲渡いたしました。
④ トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
経鼻投与基盤技術(Nasal Delivery System: NDS)を応用して新規に開発した、鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)が大きく進展しました。細胞間隙からの通過を解析するのみならず、嗅神経を介して薬物を能動的に中枢へ移行させるメカニズムの解析も実施しております。現在、低分子から高分子を使い、画像解析等を駆使して脳移行を確認し、良好な進捗結果を得ております。複数の大手製薬企業との共同研究やフィージビリティ試験は順調に進んでおり、国内の大学との共同研究を始め、脳移行解析をさらに深化させています。これまでの成果は積極的に学会発表しており、併せて営業活動をおこなった結果、国内外の大手製薬企業からの問い合わせが増えております。
また、NDSを用いた従来型の薬物吸収フィージビリティ試験や自社での製剤研究結果に基づいて、国内外での事業化を企画しており、複数の候補化合物を選択しつつあります。併せて、的確な鼻内部位への送達と低価格化を実現すべく、新規デバイスの開発も進んでいます。
他方、NDSを応用した経鼻偏頭痛薬の開発会社である Satsuma Pharmaceuticals, Inc. (米国 カリフォルニア州、以下「Satsuma社」)は、第Ⅰ相臨床試験を終了して良好な結果を得て、来期中に第Ⅲ相臨床試験にステップアップすることが決まりました。
⑤ メディポリス事業
当社は、鹿児島県指宿市において、環境に配慮する社会的事業である地熱発電事業ならびに自然と健康をテーマにした指宿ベイヒルズ HOTEL&SPAの運営などを行っており、これらの事業をメディポリス事業と位置付けております。
発電事業は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を利用して運営しており、地球温暖化防止、純国産エネルギーの創出推進という我が国のエネルギー政策をうけて、1,500kw級のバイナリー型地熱発電所を稼働、全量を売電しております。なお、当期は法定保守点検の時期となっており、昨年8月から約2か月間発電を停止して点検を行ったため、この部分で売電量は減少しております。
ホテル事業は、丘の上から錦江湾と大隅半島を望む素晴らしいロケーションと豊富な温泉を利用した砂蒸し風呂や森の中の露天風呂などの各種スパ施設のほか、今期開設した鉄板焼き“道(みち)”やフレンチレストラン“セレステ”が好評で、さらに大河ドラマ“西郷どん”効果により、宿泊者数が順調に伸びております。
⑥ その他
2017年11月に世界ではじめて成功いたしましたニホンウナギの閉鎖循環システムを用いたシラスウナギ人工種苗生産は、研究規模を拡大し、大量生産に向けた研究を継続しております。今年3月には新たな研究施設を新設することを目的として、シラスウナギ人工生産研究開発拠点設置に関する協定を鹿児島県和泊町(沖永良部島)と締結いたしました。
当社の重要投資先である株式会社リジェネシスサイエンス(以下「RGS」)は、2017年9月、中国のヘルスケア事業大手であるLUYE Life Sciences Group Ltd.(中国 上海;以下「緑葉集団」)とRGSが保有する培養軟骨細胞技術及びその他再生医療技術に関してライセンス契約を締結しました。本ライセンス契約により、緑葉集団からRGSに支払われる契約締結時及び対象技術移転時に契約一時金の一部、ならびにライセンス製品である培養細胞の売上高及びライセンス技術使用の売上高に応じて支払われるマイルストーン及びロイヤリティの一部が、それぞれ弊社に支払われます。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、GLPやGCPといった法的規制に対する適合性の調査等で高い評価を受けております。しかしながら、クライアントの創薬開発競争が激化し国際化、高度化及び大型化してゆく中で、当社グループは、サービスの質を継続的に高めていくと共に、グローバル化し複雑化してゆく顧客ニーズに対し的確に対応しつつ成長を維持していくために、設備、人材面での投資が不可欠となっております。人材の育成には時間を要する部分があり、また施設に対する投資も規模の経済性の観点からも先行的に行う必要が生じます。
とりわけ、日本よりもはるかに巨大な市場を有する米国等の海外クライアントからのニーズに迅速かつ的確に対応してゆくためには、海外の規格や法的規制に対応可能な体制を整えることが戦略的に重要であると考えております。海外の規格や基準に適合性をもつためには、十分なる準備や適合性に関する調査への対応が必要であります。
従って、事業のグローバルな競争力の向上と事業規模拡大のためには、これらに継続的に取り組む必要があり、その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) 戦略的現状と見通し
この数年、弊社が取組んでまいりました米国事業再編はすべて完了しております。SNBL USAは、引続き弊社100%の米国子会社として、Altascienceに営業譲渡した米国前臨床事業研究施設を保有しながら、弊社グループにおける米国事業の中核会社の役割を担いつつ資産を活用して中長期的に安定した収益を計上してまいります。
今後、米国での事業展開の主軸は、TR事業に移行(パラダイムシフト)してまいります。
国内の前臨床事業は、中長期的な視点で国内外の顧客からの要望に対して確実に応えられる体制構築に取組んでおります。中枢神経系領域の診断・検査体制の充実や、再生医療分野における最新装置を導入しており、他のCROでは実施困難な案件を受託しております。また、国内大手製薬企業から創薬プロセスに係る業務の一部を包括的に受託し、今年4月から業務を開始しております。これらを契機にして、効率的かつ効果的に各種実験を適切なタイミングで実施するオンリーワンの事業価値を継続して提供してまいります。
海外顧客からの引き合いも活発に推移しており、世界的大手製薬企業からの継続的な受注が実現しております。SNBL USAの運営で長年培ったノウハウと米国での勤務経験のある人材資産を最大限に活用して、今後も海外顧客からの受託拡大に注力してまいります。
アジアにおいては、前臨床事業への品質の高い実験動物供給拠点として、さらなる強化を図ってまいります。
国内の臨床事業は、世界トップクラス臨床CRO、Pharmaceutical Product Development LLC(米国ノースカロライナ州;PPD社)と国内に合弁事業として設立した株式会社新日本科学PPD(持分法適用関連会社)において、急拡大しつつあるグローバル試験(国際共同治験)の巨大マーケットにいち早く対応すべく盤石な組織体制の構築を進めており、順調に組織拡大が実現しております。今後も積極的な人材採用と組織強化による利益貢献を進めてまいります。
TR事業は、NDSの新たな応用領域として、Nose-to-Brain送達技術の研究開発に注力しております。中枢疾患におけるアンメットメディカルニーズは非常に高く、治療薬開発は製薬企業における重点注力領域となっています。血液-脳関門(Blood Brain Barrier)の存在により、静脈注射でも脳内に送達できない薬物について、Nose-to-Brain送達技術の応用が期待されています。現在、自社内研究開発に加えて、複数の大手製薬企業との共同研究契約ならびにフィージビリティ試験契約が締結されており、霊長類を用いた研究を中心に開発が進行しております。本技術を臨床開発ステージへと早期に飛躍させるために、製薬企業とのアライアンス成立を目指しています。
一方、経鼻ワクチンやNDSを用いた既存薬剤の投与経路変更など、パートナー企業とのアライアンスも継続して進めており、加えて自社による事業開発を可能にするような新規事業スキームの創設も目指してまいります。その他、NDSの早期の商品化と事業機会の最大化を目指して、外部資金を活用する新たなスキームにより米国に設立したSatsuma社は、臨床試験段階もフェーズ3へと開発をステップアップさせることに成功し、出口戦略を考える時期に来ております。
メディポリス事業は、従来の発電事業に加えて、地熱資源量の把握のための調査事業費補助金制度を利用して新規地熱発電の可能性を検討してまいります。また、今年3月にシラスウナギ人工生産研究開発拠点設置に関する協定を締結した和泊町(沖永良部島)において速やかに研究拠点を構え、一連の種苗生産を整えた上で大量生産事業化に向けた展開を図ってまいります。
その他、メディポリス指宿の資源を最大限活用すべく、様々な取組みを検討してまいります。
(5) 財政状態の分析
当連結会計年度における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,164百万円(5.5%)減少して、54,329百万円となりました。流動資産は、たな卸資産が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ3,471百万円(22.9%)減少して、11,666百万円となりました。固定資産は、有形固定資産が減少しましたが投資有価証券が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ306百万円(0.7%)増加して42,662百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ5,426百万円(17.3%)減少し、25,851百万円となりました。流動負債は、前受金が減少したことなどにより前連結会計年度末に比べ2,235百万円(11.2%)減少して17,767百万円となりました。固定負債は、リース債務が増加したものの、長期借入金が減少したことなどにより前連結会計年度末に比べ3,191百万円(28.3%)減少して8,083百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上し、その他有価証券評価差額金も増加したため、前連結会計年度末に比べ2,262百万円(8.6%)増加し、28,477百万円となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(6)資本の財源及び資金の流動性に関する分析
(a)資金需要
当社グループの資金需要は、主に設備投資等の投資及び運転資金等となっております。設備投資等の投資を行うにあたっては、案件ごとに投資の回収可能性や収益向上の点から検討を行い、重要なものについては取締役会での決議を経て決定するなど、社内の所定の手続に従って決定しております。計画については、3設備の新設、除却等の計画(1)重要な設備の新設等に記載のとおりです。
(b)資金の源泉
営業キャッシュ・フローからの収入で賄いきれないものについて、借入により調達しております。また、設備投資の一部についてファイナンス・リースを利用しております。なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物等の残高は5,134百万円となっております。
(c)有利子負債
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は16,157百万円となっております。
なお、2018年9月に取引金融機関との間でコミットメントライン方式によるシンジケートローン契約を締結しております。借入枠は10,910百万円で、2019年3月31日現在の借入残高は6,300百万円となっております。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の世界的な新薬開発における国際化、大型化、高度化等の動向に鑑みますと、環境の変化に対応して経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。
前臨床事業におきましては、より付加価値が高く、かつ顧客満足度の高いサービスを、効率的かつ迅速に提供していく方針です。この前提条件として、より品質の高い実験動物を顧客ニーズに従い安定供給していく重要性が一層高まってきているために、中国、アジア地域の当社施設からの安定的な供給体制の確立に取り組んでおります。市場規模が日本の数倍あると予想される米国でのビジネスチャンスを逃さぬよう、SNBL USAの運営で長年培ったノウハウと米国での勤務経験のある人材資産を最大限に活用して、今後も海外顧客からの受託拡大に注力してまいります。
臨床事業におきましては、世界トップクラスの臨床CROであるPPDと日本における臨床事業を統合し、国内における臨床試験の実施体制を強化するとともに、PPDの有するグローバルネットワークを通じて、グローバル試験を含む幅広い試験の受託体制を強化し、事業の拡大を進めております。
トランスレーショナル リサーチ事業におきましては、創薬型の医薬品開発支援事業へのパラダイムシフトを進めるべく、外部資金を活用した開発を積極的に推進し、早期の事業化を目指していくよう取り組んでおります。
(8) 重要事象等
当社子会社の株式会社メディポリス・エナジーは複数の金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しており、当該契約には純資産及びDSCR(元利金支払前キャッシュフロー/貸付に係る元利金支払額)に関する財務制限条項が付されており、当事業年度末においてDSCRに関する財務制限条項に抵触しております。しかしながら、当社グループは、従前から取引金融機関に対して当社グループの状況を詳細に説明して現状を認識いただき、継続的な取引関係を構築しており、当該条項にかかる期限の利益喪失につき権利を行使しないことについての合意を得ておりますので、当該状況はすべて解消しております。
従いまして、当社としては継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。