有価証券報告書-第45期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
業績等の概要
(1) 業績
当連結会計年度における売上高は、16,600百万円と前連結会計年度に比べて643百万円(3.7%)の減少となりました。営業損失は697百万円(前連結会計年度:営業損失1,792百万円)、経常損失は813百万円(前連結会計年度:経常損失2,105百万円)となりました。
一方、SRC経営権の譲渡に伴い、特別損失681百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純損失は3,555百万円(前連結会計年度:親会社株主に帰属する当期純損失915百万円)となりました。
当社グループのセグメント別業績は次のとおりであります。
① 前臨床事業
売上高は13,975百万円と前連結会計年度に比べて1,031百万円(8.0%)の増加となりました。営業損失は623百万円(前連結会計年度:営業損失1,714百万円)となりました。
② 臨床事業
Pharmaron CPCが連結子会社でなくなったため売上高は1,741百万円と前連結会計年度に比べて1,907百万円(52.3%)の減少となりました。営業利益は127百万円と前連結会計年度に比べて149百万円(53.9%)の減少となりました。
③ トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
売上高は39百万円と前連結会計年度に比べて14百万円(60.2%)の増加となり、営業損失は245百万円(前連結会計年度:営業損失250百万円)となりました。
④ メディポリス事業
売上高は947百万円と前連結会計年度に比べて268百万円(39.6%)の増加となり、営業利益は12百万円(前連結会計年度:営業損失158百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べて2,129百万円(28.7%)減少して、5,294百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、1,344百万円(前連結会計年度:849百万円の使用)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純損失1,507百万円、減価償却費1,472百万円、売上債権の減少額285百万円、前受金の増加額264百万円及びたな卸資産の減少額398百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、837百万円(前連結会計年度:314百万円の使用)となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,012百万円及び関係会社株式の売却による収入1,815百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、4,224百万円(前連結会計年度:3,815百万円の獲得)となりました。
主な内訳は、短期借入金の増加額1,076百万円、長期借入による収入850百万円及び長期借入金の返済による支出5,842百万円であります。
生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
4 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成30年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。
以下「連結財務諸表規則」という。) に基づいて作成しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等
(1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 概要
医薬品業界は、バイオベンチャー企業が活発な事業展開を進めております。米国では、機関投資家からの積極的な資金提供が原動力となり、開発・製造・販売のスピードアップや効率化を目指したアウトソーシングニーズが堅調です。このような顧客動向を受け、当社は顧客から選ばれるパートナーとなるべく、顧客ニーズに応えられるスピード対応とサービスの深化ならびに継続的な質の向上に注力しております。
米国前臨床事業は、当社100%子会社のSNBL USA, Ltd.(米国 Washington 州;以下「SNBL USA」)がTexas 州 Alice 市において動物輸入検疫および飼育・販売事業を運営してきた、Scientific Resource Center(以下「SRC」)を分社化し、同事業の経営権をOrient Bio Inc.(韓国 Seoul 市、以下「OrientBio 社」)に譲渡しました。現在、動物輸入検疫は、同社に外注しています。これによりSNBL USAは研究受託事業に専念し、固定費の負担軽減を含めて効率的な経営体制を構築しました。国内前臨床事業は、顧客満足度をさらに高めることに注力し、信頼で選ばれる受託研究機関を目指すとともに、再生医療開発支援や薬効薬理試験メニュー拡充などにより、試験受託を強化しております。
国内臨床事業を担う株式会社新日本科学PPD(Pharmaceutical Product Development LLC;以下「PPD社」との合弁事業)は、急拡大しつつあるグローバル試験の巨大マーケットにいち早く対応すべく組織体制の構築強化を進め、順調に組織拡大が行われており、受託契約も順調に伸びております。一方、米国臨床事業は、Maryland 州 Baltimore市でPhaseⅠ事業を主体としておりましたSNBL Clinical Pharmacology Center, Inc.を、昨年3月にPharmaron Beijing Co., Ltd.(以下「Pharmaron社」)と合弁化し、当該法人は当社の持分法適用関連会社となり、名称をPharmaron CPC, Inc. (以下「Pharmaron CPC」)と改称して、新体制の下で事業を推進しております。
トランスレーショナル リサーチ事業は、米国に設立した経鼻投与基盤技術(Nasal Delivery System: NDS)を応用した偏頭痛薬の開発会社 Satsuma Pharmaceuticals, Inc. (以下「Satsuma社」)が、平成28年12月に米国の有力機関投資家からの資金調達に成功し、臨床試験に向けて順調に開発を進めております。また、NDSを応用したインフルエンザ経鼻ワクチン(開発コード:TR-Flu)の開発は、ワクチン会社から提供されたインフルエンザ抗原を用いて、TR-Fluによる抗体産生を評価するための非臨床試験を積み重ねており、優位性を確実に証明する段階へと進展しました。インフルエンザ抗原粉末投与専用デバイスとともにコンビネーション製品として開発しております。加えて、NDSを用いたフィージビリティ試験の受託については、国内外の大手製薬企業から新規化合物の経鼻応用を探索する試験を継続して受託し、共同研究にステップアップできる段階となっております。さらに、NDSの応用的発展である鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)の研究や、ヒト遺伝子の解析を基にした個別化医療の手法探索等、新規事業開発に着手いたしました。
一方、昨年9月、当社重要投資先である株式会社リジェネシスサイエンス(以下「RGS」)は、中国のヘルスケア事業大手であるLUYE Life Sciences Group Ltd.(以下「緑葉集団」)とRGSが保有する培養軟骨細胞技術及びその他再生医療技術に関してライセンス契約を締結しました。本ライセンス契約により、緑葉集団からRGSに支払われる契約締結時及び対象技術移転時に契約一時金の一部、ならびにライセンス製品である培養細胞の売上高及びライセンス技術使用の売上高に応じて支払われるマイルストーン及びロイヤリティの一部が、それぞれ当社に支払われます。このほか、ニホンウナギの内陸部での閉鎖式循環システムによる人工種苗生産に世界ではじめて成功いたしました。これは、従来の方法とは異なり、内陸地でも可能であること、病原体の混入の心配がなく飼育水槽の水質管理が容易にできること、水槽の適温維持が低コストでできることなどの特長があります。
② 前臨床事業
国内前臨床事業は、顧客満足度をさらに高めることに注力するとともに、再生医療等新しい技術分野における受託サービスを強化しており、受注高は昨年実績を超えて順調に積みあがってきております。
米国前臨床事業のSNBL USAは、米国政府主導の下で進められているARS試験や新規顧客からの問い合わせ増加に加えて、大手顧客からのリピート案件も着実に獲得しており、ブランドの再構築を整いつつ業績改善に向けての積極的な受注活動と経費削減の徹底を進めております。
当社グループは、霊長類を用いた前臨床研究受託に関して、その技術力の高さと背景データの豊富さに定評があること、自家繁殖場を有することで高品質動物を安定的に供給できる体制を確立していること、加えて、動物愛護の視点からAAALAC International(国際実験動物ケア評価認証協会)による認証をSNBLグループ全拠点で獲得していること等、明確な差別化戦略が効を奏しクライアントからの高い評価が定着してきており、継続した安定的な受注獲得に寄与しています。
③ 臨床事業
国内においては、平成27年4月1日に当社の臨床事業部門を会社分割し、PPD社との合弁会社となる株式会社新日本科学PPD(持分法適用関連会社)を設立し、グローバル臨床試験(国際共同治験)の実施体制を強化しております。
SMO事業においては、関東地域の事業基盤確立を企図して、平成28年10月に東京に拠点を置くアルメック株式会社の発行済株式の全株式を譲り受けて子会社とし、昨年4月には当社の完全子会社である株式会社新日本科学臨床薬理研究所との事業統合を行い、株式会社新日本科学SMOと改称して事業を行っております。また、本年1月には同じく子会社である株式会社Clinical Study SupportのSMO事業を統合し、がん対象試験の強化を進めております。
米国では、Maryland 州 Baltimore市のSNBL Clinical Pharmacology Center, Inc.を創薬探索化学合成分野においてグローバル製薬企業を多数顧客に持つPharmaron社と合弁事業化し、Pharmaron CPCと改称、従来からの事業にPharmaron社の営業ネットワークや独自技術を組み合わせる形で事業展開を図っております。
④ トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
当社が独自開発した経鼻投与基盤技術(NDS)の研究開発を鋭意進めながら、早期の商品化と事業機会の最大化を目指している一方、製薬企業へフィージビリティ試験を経てライセンスアウトする従来の事業化スキームに加えて、外部資金を活用した新たなスキームを構築しました。この新たな事業化スキームは、特定の化合物を経鼻剤に適用する開発子会社を設立し、機関投資家等から資金を調達して、臨床試験へと開発段階を上げてProof-of-Concept(概念実証)の確認を行い、付加価値を高めた上で、開発会社の株式上場や製薬企業への開発品のライセンスアウト、もしくは会社売却等を目指したものであり、既に、NDSを応用した経鼻偏頭痛薬の開発会社であるSatsuma社が臨床試験の遂行に向けて順調に研究開発を進めております。また、平成29年12月、大手製薬企業との間にNose-to-Brain送達技術に関する共同研究契約を締結し、実研究を開始いたしました。本送達技術に関する問合せは活発化しており、本年3月、前記とは別の大手製薬企業とフィージビリティ試験契約を締結いたしました。
⑤ メディポリス事業
環境に配慮する社会的事業として、当社は鹿児島県指宿市において地熱発電事業を行っております。併せて自然と健康をテーマにした指宿ベイヒルズ HOTEL&SPAの運営を行っており、これらの事業をメディポリス事業と位置付けております。
本発電事業は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づいて運営しており、地球温暖化防止、純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、1,500kw級のバイナリー型地熱発電所を稼働、全量を売電しています。
当ホテルは昨年開業10周年を迎え、リブランディングを実行、客室のスイートルーム化、“砂蒸し風呂”など各種スパ施設並びに鉄板焼きやフレンチレストランの新設を行い、施設の充実を図りました。ホテル名称にも、昨年7月1日より「丘の上から眼下に広がる指宿市と錦江湾や大隅半島を臨む」といった意味を込め、「指宿ベイヒルズ HOTEL&SPA」と改称しました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、GLPやGCPといった法的規制に対する適合性の調査等で高い評価を受けております。しかしながら、クライアントの創薬開発競争が激化し国際化、高度化及び大型化してゆく中で、当社グループは、サービスの質を継続的に高めていくと共に、グローバル化し複雑化してゆく顧客ニーズに対し的確に対応しつつ成長を維持していくために、設備、人材面での投資が不可欠となっております。人材の育成には時間を要する部分があり、また施設に対する投資も規模の経済性の観点からも先行的に行う必要が生じます。
とりわけ、日本よりもはるかに巨大な市場を有する米国等の海外クライアントからのニーズに迅速かつ的確に対応してゆくためには、海外の規格や法的規制に対応可能な体制を整えることが戦略的に重要であると考えております。海外の規格や基準に適合性をもつためには、十分なる準備や適合性に関する調査への対応が必要であります。
従って、事業のグローバルな競争力の向上と事業規模拡大のためには、これらに継続的に取り組む必要があり、その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) 戦略的現状と見通し
これらの状況を踏まえて当社グループは、強固な地位を占める国内事業に加えて、より需要の大きな米国市場において事業拡大を図る方針であります。
国内の前臨床事業は中長期的な視点で顧客からの要望に対して確実に応えられる体制構築に取り組んでおります。特に、薬効薬理センターを強化し、薬効評価モデルにおいては再生医療分野からも引き合いがあり、また霊長類を用いた薬効試験においては、他のCROでは実施困難で臨床への外挿性の高い複数の大型案件の受託に成功しております。さらにiPS細胞等の機能解析にも応用可能な設備を強化しております。
米国の前臨床事業においては、活況な米国市場において積極的に営業強化を行うとともに、生産性向上に向けてプロセス改善にも引き続き取り組んでおります。
臨床事業においては、近年日本国内に限定した臨床試験の実施から、多国間で同時に臨床試験を行う国際共同治験(グローバル試験)に主体が移りつつあり、世界トップクラスの臨床CROであるPPDのグローバルネットワークを通じて、グローバル試験を含む幅広い試験の受託体制を強化すべくPPDと日本での事業を統合しております。
アジアにおいては、日米の前臨床事業への品質の高い実験動物供給拠点として、さらなる強化を図ってまいります。
(5) 財政状態の分析
当連結会計年度における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,355百万円(2.4%)増加して、57,608百万円となりました。流動資産は、現金及び預金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ2,855百万円(15.7%)減少して、15,290百万円となりました。固定資産は、投資有価証券が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ4,211百万円(11.1%)増加して42,318百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ2,386百万円(7.1%)減少し、31,392百万円となりました。流動負債は、未払法人税等及び前受金が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ326百万円(1.7%)増加して20,002百万円となりました。固定負債は、繰延税金負債が増加したものの、長期借入金が減少したことなどにより前連結会計年度末に比べ2,713百万円(19.2%)減少して11,389百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したものの、その他有価証券評価差額金が増加したため、前連結会計年度末に比べ3,742百万円(16.7%)増加し、26,215百万円となりました。
(6)資本の財源及び資金の流動性に関する分析
(a)資金需要
当社グループの資金需要は、主に設備投資等の投資及び運転資金等となっております。設備投資等の投資を行うにあたっては、案件ごとに投資の回収可能性や収益向上の点から検討を行い、重要なものについては取締役会での決議を経て決定するなど、社内の所定の手続に従って決定しております。計画については、3設備の新設、除却等の計画(1)重要な設備の新設等に記載のとおりです。
(b)資金の源泉
営業キャッシュ・フローからの収入で賄いきれないものについて、借入により調達しております。また、設備投資の一部についてファイナンス・リースを利用しております。なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物等の残高は5,294百万円となっております。
(c)有利子負債
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は19,139百万円となっております。
なお、平成29年9月に取引金融機関との間でコミットメントライン方式によるシンジケートローン契約を締結しております。借入枠は6,240百万円で、平成30年3月31日現在の借入残高は4,500百万円となっております。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の世界的な新薬開発における国際化、大型化、高度化等の動向に鑑みますと、環境の変化に対応して経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。
前臨床事業におきましては、より付加価値が高く、かつ顧客満足度の高いサービスを、効率的かつ迅速に提供していく方針です。この前提条件として、より品質の高い実験動物を顧客ニーズに従い安定供給していく重要性が一層高まってきているために、国内、米国をはじめ中国、アジア地域の当社施設からの安定的な供給体制の確立に取り組んでおります。市場規模が日本の数倍あると予想される米国でのビジネスチャンスを逃さぬよう、当社グループの総力を挙げて米国子会社SNBL U.S.A., Ltd.の再生に取り組んでおります。
臨床事業におきましては、世界トップクラスの臨床CROであるPPDと日本における臨床事業を統合し、国内における臨床試験の実施体制を強化するとともに、PPDの有するグローバルネットワークを通じて、グローバル試験を含む幅広い試験の受託体制を強化し、事業の拡大を進めております。
トランスレーショナル リサーチ事業におきましては、創薬型の医薬品開発支援事業へのパラダイムシフトを進めるべく、外部資金を活用した開発を積極的に推進し、早期の事業化を目指していくよう取り組んでおります。
(8) 重要事象等
当社は複数の金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しており、本契約には純資産及び経常利益に関する財務制限条項が付されております。当事業年度末において、これらの制限条項中で経常利益に関する財務制限条項に抵触しております。しかしながら、当社は、従前から取引金融機関に対して当社状況を詳細に説明して現状を認識頂き、継続的な取引関係を構築しており、当該条項にかかる期限の利益喪失につき権利を行使しないことについての合意を得ておりますので、当該状況はすべて解消しております。
従いまして、当社としては継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
(1) 業績
当連結会計年度における売上高は、16,600百万円と前連結会計年度に比べて643百万円(3.7%)の減少となりました。営業損失は697百万円(前連結会計年度:営業損失1,792百万円)、経常損失は813百万円(前連結会計年度:経常損失2,105百万円)となりました。
一方、SRC経営権の譲渡に伴い、特別損失681百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純損失は3,555百万円(前連結会計年度:親会社株主に帰属する当期純損失915百万円)となりました。
当社グループのセグメント別業績は次のとおりであります。
① 前臨床事業
売上高は13,975百万円と前連結会計年度に比べて1,031百万円(8.0%)の増加となりました。営業損失は623百万円(前連結会計年度:営業損失1,714百万円)となりました。
② 臨床事業
Pharmaron CPCが連結子会社でなくなったため売上高は1,741百万円と前連結会計年度に比べて1,907百万円(52.3%)の減少となりました。営業利益は127百万円と前連結会計年度に比べて149百万円(53.9%)の減少となりました。
③ トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
売上高は39百万円と前連結会計年度に比べて14百万円(60.2%)の増加となり、営業損失は245百万円(前連結会計年度:営業損失250百万円)となりました。
④ メディポリス事業
売上高は947百万円と前連結会計年度に比べて268百万円(39.6%)の増加となり、営業利益は12百万円(前連結会計年度:営業損失158百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べて2,129百万円(28.7%)減少して、5,294百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、1,344百万円(前連結会計年度:849百万円の使用)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純損失1,507百万円、減価償却費1,472百万円、売上債権の減少額285百万円、前受金の増加額264百万円及びたな卸資産の減少額398百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、837百万円(前連結会計年度:314百万円の使用)となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,012百万円及び関係会社株式の売却による収入1,815百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、4,224百万円(前連結会計年度:3,815百万円の獲得)となりました。
主な内訳は、短期借入金の増加額1,076百万円、長期借入による収入850百万円及び長期借入金の返済による支出5,842百万円であります。
生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
前臨床事業 | 13,753,675 | 105.8 |
臨床事業 | 1,764,640 | 52.6 |
トランスレーショナル リサーチ事業 | 39,687 | 164.2 |
メディポリス事業 | 912,459 | 137.8 |
報告セグメント 計 | 16,470,463 | 96.6 |
その他事業 | 1,117 | 21.7 |
合計 | 16,471,580 | 96.6 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前期比(%) | 受注残高(千円) | 前期比(%) |
前臨床事業 | 13,524,676 | 95.4 | 13,601,559 | 94.1 |
臨床事業 | 1,974,413 | 60.3 | 1,870,454 | 114.2 |
トランスレーショナル リサーチ事業 | 40,027 | 130.3 | 7,000 | 105.1 |
メディポリス事業 | 912,459 | 137.8 | - | - |
報告セグメント 計 | 16,451,576 | 90.7 | 15,479,014 | 96.2 |
その他事業 | 1,995 | 49.0 | - | - |
合計 | 16,453,571 | 90.7 | 15,479,014 | 96.2 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
前臨床事業 | 13,904,878 | 107.7 |
臨床事業 | 1,741,530 | 47.7 |
トランスレーショナル リサーチ事業 | 39,687 | 164.2 |
メディポリス事業 | 912,459 | 137.8 |
報告セグメント 計 | 16,598,555 | 96.3 |
その他事業 | 1,995 | 49.0 |
合計 | 16,600,550 | 96.3 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
4 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成30年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。
以下「連結財務諸表規則」という。) に基づいて作成しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等
(1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 概要
医薬品業界は、バイオベンチャー企業が活発な事業展開を進めております。米国では、機関投資家からの積極的な資金提供が原動力となり、開発・製造・販売のスピードアップや効率化を目指したアウトソーシングニーズが堅調です。このような顧客動向を受け、当社は顧客から選ばれるパートナーとなるべく、顧客ニーズに応えられるスピード対応とサービスの深化ならびに継続的な質の向上に注力しております。
米国前臨床事業は、当社100%子会社のSNBL USA, Ltd.(米国 Washington 州;以下「SNBL USA」)がTexas 州 Alice 市において動物輸入検疫および飼育・販売事業を運営してきた、Scientific Resource Center(以下「SRC」)を分社化し、同事業の経営権をOrient Bio Inc.(韓国 Seoul 市、以下「OrientBio 社」)に譲渡しました。現在、動物輸入検疫は、同社に外注しています。これによりSNBL USAは研究受託事業に専念し、固定費の負担軽減を含めて効率的な経営体制を構築しました。国内前臨床事業は、顧客満足度をさらに高めることに注力し、信頼で選ばれる受託研究機関を目指すとともに、再生医療開発支援や薬効薬理試験メニュー拡充などにより、試験受託を強化しております。
国内臨床事業を担う株式会社新日本科学PPD(Pharmaceutical Product Development LLC;以下「PPD社」との合弁事業)は、急拡大しつつあるグローバル試験の巨大マーケットにいち早く対応すべく組織体制の構築強化を進め、順調に組織拡大が行われており、受託契約も順調に伸びております。一方、米国臨床事業は、Maryland 州 Baltimore市でPhaseⅠ事業を主体としておりましたSNBL Clinical Pharmacology Center, Inc.を、昨年3月にPharmaron Beijing Co., Ltd.(以下「Pharmaron社」)と合弁化し、当該法人は当社の持分法適用関連会社となり、名称をPharmaron CPC, Inc. (以下「Pharmaron CPC」)と改称して、新体制の下で事業を推進しております。
トランスレーショナル リサーチ事業は、米国に設立した経鼻投与基盤技術(Nasal Delivery System: NDS)を応用した偏頭痛薬の開発会社 Satsuma Pharmaceuticals, Inc. (以下「Satsuma社」)が、平成28年12月に米国の有力機関投資家からの資金調達に成功し、臨床試験に向けて順調に開発を進めております。また、NDSを応用したインフルエンザ経鼻ワクチン(開発コード:TR-Flu)の開発は、ワクチン会社から提供されたインフルエンザ抗原を用いて、TR-Fluによる抗体産生を評価するための非臨床試験を積み重ねており、優位性を確実に証明する段階へと進展しました。インフルエンザ抗原粉末投与専用デバイスとともにコンビネーション製品として開発しております。加えて、NDSを用いたフィージビリティ試験の受託については、国内外の大手製薬企業から新規化合物の経鼻応用を探索する試験を継続して受託し、共同研究にステップアップできる段階となっております。さらに、NDSの応用的発展である鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)の研究や、ヒト遺伝子の解析を基にした個別化医療の手法探索等、新規事業開発に着手いたしました。
一方、昨年9月、当社重要投資先である株式会社リジェネシスサイエンス(以下「RGS」)は、中国のヘルスケア事業大手であるLUYE Life Sciences Group Ltd.(以下「緑葉集団」)とRGSが保有する培養軟骨細胞技術及びその他再生医療技術に関してライセンス契約を締結しました。本ライセンス契約により、緑葉集団からRGSに支払われる契約締結時及び対象技術移転時に契約一時金の一部、ならびにライセンス製品である培養細胞の売上高及びライセンス技術使用の売上高に応じて支払われるマイルストーン及びロイヤリティの一部が、それぞれ当社に支払われます。このほか、ニホンウナギの内陸部での閉鎖式循環システムによる人工種苗生産に世界ではじめて成功いたしました。これは、従来の方法とは異なり、内陸地でも可能であること、病原体の混入の心配がなく飼育水槽の水質管理が容易にできること、水槽の適温維持が低コストでできることなどの特長があります。
② 前臨床事業
国内前臨床事業は、顧客満足度をさらに高めることに注力するとともに、再生医療等新しい技術分野における受託サービスを強化しており、受注高は昨年実績を超えて順調に積みあがってきております。
米国前臨床事業のSNBL USAは、米国政府主導の下で進められているARS試験や新規顧客からの問い合わせ増加に加えて、大手顧客からのリピート案件も着実に獲得しており、ブランドの再構築を整いつつ業績改善に向けての積極的な受注活動と経費削減の徹底を進めております。
当社グループは、霊長類を用いた前臨床研究受託に関して、その技術力の高さと背景データの豊富さに定評があること、自家繁殖場を有することで高品質動物を安定的に供給できる体制を確立していること、加えて、動物愛護の視点からAAALAC International(国際実験動物ケア評価認証協会)による認証をSNBLグループ全拠点で獲得していること等、明確な差別化戦略が効を奏しクライアントからの高い評価が定着してきており、継続した安定的な受注獲得に寄与しています。
③ 臨床事業
国内においては、平成27年4月1日に当社の臨床事業部門を会社分割し、PPD社との合弁会社となる株式会社新日本科学PPD(持分法適用関連会社)を設立し、グローバル臨床試験(国際共同治験)の実施体制を強化しております。
SMO事業においては、関東地域の事業基盤確立を企図して、平成28年10月に東京に拠点を置くアルメック株式会社の発行済株式の全株式を譲り受けて子会社とし、昨年4月には当社の完全子会社である株式会社新日本科学臨床薬理研究所との事業統合を行い、株式会社新日本科学SMOと改称して事業を行っております。また、本年1月には同じく子会社である株式会社Clinical Study SupportのSMO事業を統合し、がん対象試験の強化を進めております。
米国では、Maryland 州 Baltimore市のSNBL Clinical Pharmacology Center, Inc.を創薬探索化学合成分野においてグローバル製薬企業を多数顧客に持つPharmaron社と合弁事業化し、Pharmaron CPCと改称、従来からの事業にPharmaron社の営業ネットワークや独自技術を組み合わせる形で事業展開を図っております。
④ トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
当社が独自開発した経鼻投与基盤技術(NDS)の研究開発を鋭意進めながら、早期の商品化と事業機会の最大化を目指している一方、製薬企業へフィージビリティ試験を経てライセンスアウトする従来の事業化スキームに加えて、外部資金を活用した新たなスキームを構築しました。この新たな事業化スキームは、特定の化合物を経鼻剤に適用する開発子会社を設立し、機関投資家等から資金を調達して、臨床試験へと開発段階を上げてProof-of-Concept(概念実証)の確認を行い、付加価値を高めた上で、開発会社の株式上場や製薬企業への開発品のライセンスアウト、もしくは会社売却等を目指したものであり、既に、NDSを応用した経鼻偏頭痛薬の開発会社であるSatsuma社が臨床試験の遂行に向けて順調に研究開発を進めております。また、平成29年12月、大手製薬企業との間にNose-to-Brain送達技術に関する共同研究契約を締結し、実研究を開始いたしました。本送達技術に関する問合せは活発化しており、本年3月、前記とは別の大手製薬企業とフィージビリティ試験契約を締結いたしました。
⑤ メディポリス事業
環境に配慮する社会的事業として、当社は鹿児島県指宿市において地熱発電事業を行っております。併せて自然と健康をテーマにした指宿ベイヒルズ HOTEL&SPAの運営を行っており、これらの事業をメディポリス事業と位置付けております。
本発電事業は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づいて運営しており、地球温暖化防止、純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、1,500kw級のバイナリー型地熱発電所を稼働、全量を売電しています。
当ホテルは昨年開業10周年を迎え、リブランディングを実行、客室のスイートルーム化、“砂蒸し風呂”など各種スパ施設並びに鉄板焼きやフレンチレストランの新設を行い、施設の充実を図りました。ホテル名称にも、昨年7月1日より「丘の上から眼下に広がる指宿市と錦江湾や大隅半島を臨む」といった意味を込め、「指宿ベイヒルズ HOTEL&SPA」と改称しました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、GLPやGCPといった法的規制に対する適合性の調査等で高い評価を受けております。しかしながら、クライアントの創薬開発競争が激化し国際化、高度化及び大型化してゆく中で、当社グループは、サービスの質を継続的に高めていくと共に、グローバル化し複雑化してゆく顧客ニーズに対し的確に対応しつつ成長を維持していくために、設備、人材面での投資が不可欠となっております。人材の育成には時間を要する部分があり、また施設に対する投資も規模の経済性の観点からも先行的に行う必要が生じます。
とりわけ、日本よりもはるかに巨大な市場を有する米国等の海外クライアントからのニーズに迅速かつ的確に対応してゆくためには、海外の規格や法的規制に対応可能な体制を整えることが戦略的に重要であると考えております。海外の規格や基準に適合性をもつためには、十分なる準備や適合性に関する調査への対応が必要であります。
従って、事業のグローバルな競争力の向上と事業規模拡大のためには、これらに継続的に取り組む必要があり、その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) 戦略的現状と見通し
これらの状況を踏まえて当社グループは、強固な地位を占める国内事業に加えて、より需要の大きな米国市場において事業拡大を図る方針であります。
国内の前臨床事業は中長期的な視点で顧客からの要望に対して確実に応えられる体制構築に取り組んでおります。特に、薬効薬理センターを強化し、薬効評価モデルにおいては再生医療分野からも引き合いがあり、また霊長類を用いた薬効試験においては、他のCROでは実施困難で臨床への外挿性の高い複数の大型案件の受託に成功しております。さらにiPS細胞等の機能解析にも応用可能な設備を強化しております。
米国の前臨床事業においては、活況な米国市場において積極的に営業強化を行うとともに、生産性向上に向けてプロセス改善にも引き続き取り組んでおります。
臨床事業においては、近年日本国内に限定した臨床試験の実施から、多国間で同時に臨床試験を行う国際共同治験(グローバル試験)に主体が移りつつあり、世界トップクラスの臨床CROであるPPDのグローバルネットワークを通じて、グローバル試験を含む幅広い試験の受託体制を強化すべくPPDと日本での事業を統合しております。
アジアにおいては、日米の前臨床事業への品質の高い実験動物供給拠点として、さらなる強化を図ってまいります。
(5) 財政状態の分析
当連結会計年度における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,355百万円(2.4%)増加して、57,608百万円となりました。流動資産は、現金及び預金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ2,855百万円(15.7%)減少して、15,290百万円となりました。固定資産は、投資有価証券が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ4,211百万円(11.1%)増加して42,318百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ2,386百万円(7.1%)減少し、31,392百万円となりました。流動負債は、未払法人税等及び前受金が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ326百万円(1.7%)増加して20,002百万円となりました。固定負債は、繰延税金負債が増加したものの、長期借入金が減少したことなどにより前連結会計年度末に比べ2,713百万円(19.2%)減少して11,389百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したものの、その他有価証券評価差額金が増加したため、前連結会計年度末に比べ3,742百万円(16.7%)増加し、26,215百万円となりました。
(6)資本の財源及び資金の流動性に関する分析
(a)資金需要
当社グループの資金需要は、主に設備投資等の投資及び運転資金等となっております。設備投資等の投資を行うにあたっては、案件ごとに投資の回収可能性や収益向上の点から検討を行い、重要なものについては取締役会での決議を経て決定するなど、社内の所定の手続に従って決定しております。計画については、3設備の新設、除却等の計画(1)重要な設備の新設等に記載のとおりです。
(b)資金の源泉
営業キャッシュ・フローからの収入で賄いきれないものについて、借入により調達しております。また、設備投資の一部についてファイナンス・リースを利用しております。なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物等の残高は5,294百万円となっております。
(c)有利子負債
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は19,139百万円となっております。
なお、平成29年9月に取引金融機関との間でコミットメントライン方式によるシンジケートローン契約を締結しております。借入枠は6,240百万円で、平成30年3月31日現在の借入残高は4,500百万円となっております。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の世界的な新薬開発における国際化、大型化、高度化等の動向に鑑みますと、環境の変化に対応して経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。
前臨床事業におきましては、より付加価値が高く、かつ顧客満足度の高いサービスを、効率的かつ迅速に提供していく方針です。この前提条件として、より品質の高い実験動物を顧客ニーズに従い安定供給していく重要性が一層高まってきているために、国内、米国をはじめ中国、アジア地域の当社施設からの安定的な供給体制の確立に取り組んでおります。市場規模が日本の数倍あると予想される米国でのビジネスチャンスを逃さぬよう、当社グループの総力を挙げて米国子会社SNBL U.S.A., Ltd.の再生に取り組んでおります。
臨床事業におきましては、世界トップクラスの臨床CROであるPPDと日本における臨床事業を統合し、国内における臨床試験の実施体制を強化するとともに、PPDの有するグローバルネットワークを通じて、グローバル試験を含む幅広い試験の受託体制を強化し、事業の拡大を進めております。
トランスレーショナル リサーチ事業におきましては、創薬型の医薬品開発支援事業へのパラダイムシフトを進めるべく、外部資金を活用した開発を積極的に推進し、早期の事業化を目指していくよう取り組んでおります。
(8) 重要事象等
当社は複数の金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しており、本契約には純資産及び経常利益に関する財務制限条項が付されております。当事業年度末において、これらの制限条項中で経常利益に関する財務制限条項に抵触しております。しかしながら、当社は、従前から取引金融機関に対して当社状況を詳細に説明して現状を認識頂き、継続的な取引関係を構築しており、当該条項にかかる期限の利益喪失につき権利を行使しないことについての合意を得ておりますので、当該状況はすべて解消しております。
従いまして、当社としては継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。