有価証券報告書-第21期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年4月に緊急事態宣言が発令され、経済活動の自粛が要請されたことから、個人消費や企業活動が制限され、景気後退が続きました。その後、緊急事態宣言が解除され、段階的に経済活動が再開し、政府の経済対策等により一部で持ち直しの動きも見られましたが、秋口からの感染の再拡大に歯止めがかからず、2021年1月には2度目の緊急事態宣言が発令されるなど、新型コロナウイルス感染症収束の見通しが立たず、世界経済や日本経済へのマイナス影響が長期化することが懸念され、先行き不透明な状況が続いております。
当社の属する決済市場においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年度に予定されていた東京オリンピックが延期されインバウンド需要が消失するなど、想定外の事態となりましたが、一方で現金に触れる必要のないキャッシュレス決済やスマートフォンを利用した非対面決済は、コロナ禍において今後、ますます普及が見込まれるものと思われます。また、「キャッシュレス・消費者還元事業」や「マイナポイント事業」など、キャッシュレス決済の基盤構築を目的とした政府の各種施策が実施されていることから、キャッシュレス決済市場は引き続き高い成長が見込まれるものと考えております。
このような状況の下、当社グループは、クイック入金サービスや公共料金支払代行サービスなど既存サービスの着実な運営、また即時口座振替サービスやスマホ決済アプリPayB、自動販売機向け電子マネー対応シンクライアント型決済端末の販売など新サービスの開発に取り組んで参りました。
クイック入金サービスは新型コロナウイルス感染拡大に伴い株式市場や為替市場の変動が大きかったため、通期にわたり取次件数が堅調に推移しました。また、収納代行サービスも新規取引先の取扱件数が当初の見込みを上回ったため、計画比で増収となりました。その他の既存サービスについては、新型コロナウイルス感染拡大の影響は受けておりません。
スマホ決済サービスPayBについては、2020年12月末時点で、37の金融機関において利用可能となっており、利用可能取引先については、5,793社・団体まで広がり、特に地方公共団体については663団体まで広がっております。2020年8月には株式会社ゆうちょ銀行と業務提携を行い、ゆうちょ銀行が提供するスマホ決済アプリ「ゆうちょPay」内において、PayBに対応する払込票の支払いが「ゆうちょPay」から可能となるサービスの取扱いを開始するなど、引き続き提携銀行の拡大と対象払込票発行企業の拡大を推進しております。WeChatペイやAlipayについては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う訪日中国人の減少により通期にわたり大幅に計画値を下回る結果となりましたが、当該インバウンド対応事業は、当社事業の中ではまだ新たな事業領域であり、当社全体の売上に占める割合は低いため、その影響は軽微となりました。
なお、WeChatペイについては、当社の業務提携先である財付通支付科技有限公司(Tenpay Payment Technology Co.,Ltd.)がプラットフォームを提供する「WeChatPayミニプログラム」を活用したサービスの提供を開始しており、2020年10月にはドラッグストア大手の株式会社ツルハにおいて同サービスを利用した越境ECサービスを開始しております。
自動販売機向け電子マネー対応シンクライアント型決済端末の販売については、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、一部、売上の期ずれが生じましたが、大幅な遅延はなく、概ね、計画通りに進捗いたしました。
以上のことから売上高全体では、概ね計画通りとなりましたが、利益率の高いクイック入金サービスが計画を上回ったこと、また、販管費を抑制したことなどから、営業利益・経常利益は当初の予想を大幅に上回りました。この結果、本社オフィスの移転中止に伴う解約諸費用を特別損失に計上しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益も予想を上回る結果となっております。
なお、当社の連結子会社でありましたQCS株式会社は、当該事業の営業力の強化と経営の効率化を図ることを目的として2020年1月1日付で吸収合併しております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べ2,190,428千円増加し、9,997,105千円となりました。
当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べ2,093,532千円増加し、7,980,164千円となりました。
当連結会計年度末における純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ96,895千円増加し、2,016,940千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高2,887,459千円(前年同期比26.1%増)、営業利益228,294千円(前年同期比112.3%増)、経常利益232,286千円(前年同期比115.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益142,125千円(前連結会計年度親会社株主に帰属する当期純損失24,491千円)となりました。
セグメントごとの経営成績については、決済支援事業サービス以外の区分のサービスについては、重要性が乏しいことから記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して1,788,474千円増加となり、残高は8,642,791千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は1,895,039千円(前連結会計年度末は1,846,018千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益173,822千円、減価償却費39,412千円、賃貸借契約解約損58,463千円及び預り金の増加額1,917,395千円等の資金増加要因が、売掛債権の増加による支出177,152千円、立替金の増加による支出139,928千円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は25,095千円(前連結会計年度は36,836千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出4,279千円、無形固定資産の取得による支出21,176千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は81,249千円(前連結会計年度末は95,619千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出25,833千円及び配当金の支払額55,416千円等の資金減少要因によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループでは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループでは、受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度の株式会社エヌ・ティ・ティ・データ及びあいおいニッセイ同和損害保険株式会社に対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績及び現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りに特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
その他重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なもの及びその補足事項については以下のとおりであります。
a.繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得を検討し、全額が回収可能と判断し資産計上しております。しかしながら、将来の課税所得等を検討し、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加計上する可能性があります。また、法人税率が引き下げられた場合、貸借対照表に計上する繰延税金資産の計上額を減額する可能性があります。
b.ソフトウエア
ソフトウエアについては、将来の収益獲得、費用削減が確実であると認められた開発費用についてはソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)に計上しております。このソフトウエアについて将来大規模な計画の変更や使用状況の見直しにより収益獲得、費用削減効果が大幅に損なわれた場合には、ソフトウエアの減損が必要となる可能性があります。
c.投資の減損
投資価値の棄損が著しく、かつ回収の可能性がないと判断した場合、投資の減損を計上しております。非上場企業への投資の場合、当該会社の財政状態の悪化によりその純資産価値が取得価額に比して50%程度以上下落した場合に将来の回復可能性がなければ、減損処理を行っております。将来の市況悪化・業績不振等により現在の帳簿価額に反映されていない損失や回収不能が発生した場合、投資の減損が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態の分析
(資産合計)
当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べ2,190,428千円増加の9,997,105千円(前連結会計年度末は7,806,677千円)となりました。これは主に、現金及び預金が1,788,474千円増加したこと、また売掛金が177,152千円増加したことなどによるものであります。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ2,190,489千円増加の9,753,557千円(前連結会計年度末は7,563,067千円)となりました。これは主に、現金及び預金が1,788,474千円、売掛金が177,152千円増加したことなどによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ61千円減少の243,548千円(前連結会計年度末は243,609千円)となりました。これは主に、繰延税金資産が18,012千円増加した一方、建物(純額)が4,390千円、工具、器具及び備品(純額)が1,725千円、建設仮勘定が2,350千円、ソフトウエアが8,048千円減少したことなどによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べ2,093,532千円増加の7,980,164千円(前連結会計年度末は5,886,631円)となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ2,100,304千円増加の7,973,555千円(前連結会計年度末は5,873,250千円)となりました。これは主に、預り金が1,917,395千円、未払金が40,427千円、未払消費税等が36,353千円増加したことなどによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ6,772千円減少の6,608千円(前連結会計年度末は13,380千円)となりました。これは主に、資産除去債務が6,772千円減少したことなどによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ96,895千円増加の2,016,940千円(前連結会計年度末は1,920,045千円)となりました。これは主に、親会社に帰属する当期純利益142,125千円を計上したこと及び剰余金の配当により55,775千円減少したことなどによるものであります。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、収納代行サービス、クイック入金サービス等が順調に推移し、電子マネー対応シンクライアント型決済端末の販売においては大口売上先からの受注が回復したため、売上、営業利益ともに前期比で大幅に増加し、売上高は前連結会計年度に比べ26.1%増の2,887,459千円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における売上原価は、上記収納代行サービスの売上増及び電子マネー対応シンクライアント型決済端末の販売が回復したことに伴い売上原価が増加したため、前連結会計年度に比べ28.3%増の2,025,725千円となりました。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、事業拡大や営業体制強化による人件費の増加などにより、前連結会計年度に比べ4.9%増の633,440千円となりました。
(特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別損失は、本社オフィスの移転中止に伴う賃貸借契約解約損58,463千円であります。
また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)を21,151千円を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、142,125千円となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、株式市場・外為市況動向、銀行法などの法改正、収納代行預り金などがあります。
まず、株式市場・外為市況動向によって、当社グループの提供するクイック入金サービスが売上に与える影響は大きく、クイック入金サービスの収益が当社グループ全体の業績に大きな影響を与えることを認識しております。株式・外為等市況の変動幅が大きい程取引件数が増加する傾向にあり、市況変動幅が小さいと取引件数が減少する傾向にあります。このように株式・外為等市況に当社グループの業績が大きく影響を受けないために、スマホマルチ決済サービスや自動販売機向け電子マネー対応シンクライアント型決済端末の販売などの新規サービスを展開し事業を拡大していくことで、株式・外為等市況によるリスクを最大限に抑えるよう取り組んでおります。
また、当社グループは、改正割賦販売法のクレジット番号等取扱契約締結事業者に登録し、また、改正銀行法における電子決済等代行業者に登録しており、それぞれの規制を受け事業を行っております。それぞれの法律が改正され、その内容によって当社の提供するサービスが制限を受ける、また、何らかの事情により登録が取り消された場合、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼすことを認識しております。そのため当社グループは、関連する業界団体等に加入し、研修会やセミナーに参加することで最新の情報を入手できる環境を整えており、事業部門だけなくコーポレート部門も関与し、法改正への対応についても事前に対策が講じることができる体制を整えております。
当社グループの収納代行サービスは、事業者に代わり収納した代金を、分別管理された当社名義の預貯金口座に一時保管した後、所定の期日に事業者に送金しております。この際、当該収納代行代金の一次保管中に預貯金口座のある銀行が破綻した場合に、預貯金が目減りするリスクを認識しております。そのため当社グループは、事業者財産保護の観点から金融機関の決済性預貯金口座において決済用資金を分別管理し、ペイオフによる預金目減りのリスクを回避しております。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、収納代行サービスにかかる金融機関等への支払手数料や、システム開発や運用・維持にかかる人件費や外注費、自動販売機向けシンクライアント型電子決済端末の購入費用などの売上原価のほか、営業や管理部門などの人件費や本社オフィスの家賃などの販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、当社サービスにかかるサーバ構築費用やソフトウエア開発費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は、自己資金と金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は8,642,791千円となっております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが重視している経営指標は、新しく展開しておりますサービスの売上高です。それぞれの指標の実績及び目標は以下のとおりです。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「決済支援事業」以外の事業の重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年4月に緊急事態宣言が発令され、経済活動の自粛が要請されたことから、個人消費や企業活動が制限され、景気後退が続きました。その後、緊急事態宣言が解除され、段階的に経済活動が再開し、政府の経済対策等により一部で持ち直しの動きも見られましたが、秋口からの感染の再拡大に歯止めがかからず、2021年1月には2度目の緊急事態宣言が発令されるなど、新型コロナウイルス感染症収束の見通しが立たず、世界経済や日本経済へのマイナス影響が長期化することが懸念され、先行き不透明な状況が続いております。
当社の属する決済市場においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年度に予定されていた東京オリンピックが延期されインバウンド需要が消失するなど、想定外の事態となりましたが、一方で現金に触れる必要のないキャッシュレス決済やスマートフォンを利用した非対面決済は、コロナ禍において今後、ますます普及が見込まれるものと思われます。また、「キャッシュレス・消費者還元事業」や「マイナポイント事業」など、キャッシュレス決済の基盤構築を目的とした政府の各種施策が実施されていることから、キャッシュレス決済市場は引き続き高い成長が見込まれるものと考えております。
このような状況の下、当社グループは、クイック入金サービスや公共料金支払代行サービスなど既存サービスの着実な運営、また即時口座振替サービスやスマホ決済アプリPayB、自動販売機向け電子マネー対応シンクライアント型決済端末の販売など新サービスの開発に取り組んで参りました。
クイック入金サービスは新型コロナウイルス感染拡大に伴い株式市場や為替市場の変動が大きかったため、通期にわたり取次件数が堅調に推移しました。また、収納代行サービスも新規取引先の取扱件数が当初の見込みを上回ったため、計画比で増収となりました。その他の既存サービスについては、新型コロナウイルス感染拡大の影響は受けておりません。
スマホ決済サービスPayBについては、2020年12月末時点で、37の金融機関において利用可能となっており、利用可能取引先については、5,793社・団体まで広がり、特に地方公共団体については663団体まで広がっております。2020年8月には株式会社ゆうちょ銀行と業務提携を行い、ゆうちょ銀行が提供するスマホ決済アプリ「ゆうちょPay」内において、PayBに対応する払込票の支払いが「ゆうちょPay」から可能となるサービスの取扱いを開始するなど、引き続き提携銀行の拡大と対象払込票発行企業の拡大を推進しております。WeChatペイやAlipayについては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う訪日中国人の減少により通期にわたり大幅に計画値を下回る結果となりましたが、当該インバウンド対応事業は、当社事業の中ではまだ新たな事業領域であり、当社全体の売上に占める割合は低いため、その影響は軽微となりました。
なお、WeChatペイについては、当社の業務提携先である財付通支付科技有限公司(Tenpay Payment Technology Co.,Ltd.)がプラットフォームを提供する「WeChatPayミニプログラム」を活用したサービスの提供を開始しており、2020年10月にはドラッグストア大手の株式会社ツルハにおいて同サービスを利用した越境ECサービスを開始しております。
自動販売機向け電子マネー対応シンクライアント型決済端末の販売については、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、一部、売上の期ずれが生じましたが、大幅な遅延はなく、概ね、計画通りに進捗いたしました。
以上のことから売上高全体では、概ね計画通りとなりましたが、利益率の高いクイック入金サービスが計画を上回ったこと、また、販管費を抑制したことなどから、営業利益・経常利益は当初の予想を大幅に上回りました。この結果、本社オフィスの移転中止に伴う解約諸費用を特別損失に計上しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益も予想を上回る結果となっております。
なお、当社の連結子会社でありましたQCS株式会社は、当該事業の営業力の強化と経営の効率化を図ることを目的として2020年1月1日付で吸収合併しております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べ2,190,428千円増加し、9,997,105千円となりました。
当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べ2,093,532千円増加し、7,980,164千円となりました。
当連結会計年度末における純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ96,895千円増加し、2,016,940千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高2,887,459千円(前年同期比26.1%増)、営業利益228,294千円(前年同期比112.3%増)、経常利益232,286千円(前年同期比115.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益142,125千円(前連結会計年度親会社株主に帰属する当期純損失24,491千円)となりました。
セグメントごとの経営成績については、決済支援事業サービス以外の区分のサービスについては、重要性が乏しいことから記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して1,788,474千円増加となり、残高は8,642,791千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は1,895,039千円(前連結会計年度末は1,846,018千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益173,822千円、減価償却費39,412千円、賃貸借契約解約損58,463千円及び預り金の増加額1,917,395千円等の資金増加要因が、売掛債権の増加による支出177,152千円、立替金の増加による支出139,928千円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は25,095千円(前連結会計年度は36,836千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出4,279千円、無形固定資産の取得による支出21,176千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は81,249千円(前連結会計年度末は95,619千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出25,833千円及び配当金の支払額55,416千円等の資金減少要因によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループでは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループでは、受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。
事業の名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
決済支援事業 (千円) | 2,885,077 | 26.2 |
ファイナンス支援事業 (千円) | 2,382 | △42.4 |
合計 (千円) | 2,887,459 | 26.1 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ | 240,529 | 10.5 | - | - |
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 | 228,411 | 10.0 | - | - |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度の株式会社エヌ・ティ・ティ・データ及びあいおいニッセイ同和損害保険株式会社に対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績及び現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りに特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
その他重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なもの及びその補足事項については以下のとおりであります。
a.繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得を検討し、全額が回収可能と判断し資産計上しております。しかしながら、将来の課税所得等を検討し、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加計上する可能性があります。また、法人税率が引き下げられた場合、貸借対照表に計上する繰延税金資産の計上額を減額する可能性があります。
b.ソフトウエア
ソフトウエアについては、将来の収益獲得、費用削減が確実であると認められた開発費用についてはソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)に計上しております。このソフトウエアについて将来大規模な計画の変更や使用状況の見直しにより収益獲得、費用削減効果が大幅に損なわれた場合には、ソフトウエアの減損が必要となる可能性があります。
c.投資の減損
投資価値の棄損が著しく、かつ回収の可能性がないと判断した場合、投資の減損を計上しております。非上場企業への投資の場合、当該会社の財政状態の悪化によりその純資産価値が取得価額に比して50%程度以上下落した場合に将来の回復可能性がなければ、減損処理を行っております。将来の市況悪化・業績不振等により現在の帳簿価額に反映されていない損失や回収不能が発生した場合、投資の減損が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態の分析
(資産合計)
当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べ2,190,428千円増加の9,997,105千円(前連結会計年度末は7,806,677千円)となりました。これは主に、現金及び預金が1,788,474千円増加したこと、また売掛金が177,152千円増加したことなどによるものであります。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ2,190,489千円増加の9,753,557千円(前連結会計年度末は7,563,067千円)となりました。これは主に、現金及び預金が1,788,474千円、売掛金が177,152千円増加したことなどによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ61千円減少の243,548千円(前連結会計年度末は243,609千円)となりました。これは主に、繰延税金資産が18,012千円増加した一方、建物(純額)が4,390千円、工具、器具及び備品(純額)が1,725千円、建設仮勘定が2,350千円、ソフトウエアが8,048千円減少したことなどによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べ2,093,532千円増加の7,980,164千円(前連結会計年度末は5,886,631円)となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ2,100,304千円増加の7,973,555千円(前連結会計年度末は5,873,250千円)となりました。これは主に、預り金が1,917,395千円、未払金が40,427千円、未払消費税等が36,353千円増加したことなどによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ6,772千円減少の6,608千円(前連結会計年度末は13,380千円)となりました。これは主に、資産除去債務が6,772千円減少したことなどによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ96,895千円増加の2,016,940千円(前連結会計年度末は1,920,045千円)となりました。これは主に、親会社に帰属する当期純利益142,125千円を計上したこと及び剰余金の配当により55,775千円減少したことなどによるものであります。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、収納代行サービス、クイック入金サービス等が順調に推移し、電子マネー対応シンクライアント型決済端末の販売においては大口売上先からの受注が回復したため、売上、営業利益ともに前期比で大幅に増加し、売上高は前連結会計年度に比べ26.1%増の2,887,459千円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における売上原価は、上記収納代行サービスの売上増及び電子マネー対応シンクライアント型決済端末の販売が回復したことに伴い売上原価が増加したため、前連結会計年度に比べ28.3%増の2,025,725千円となりました。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、事業拡大や営業体制強化による人件費の増加などにより、前連結会計年度に比べ4.9%増の633,440千円となりました。
(特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別損失は、本社オフィスの移転中止に伴う賃貸借契約解約損58,463千円であります。
また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)を21,151千円を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、142,125千円となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、株式市場・外為市況動向、銀行法などの法改正、収納代行預り金などがあります。
まず、株式市場・外為市況動向によって、当社グループの提供するクイック入金サービスが売上に与える影響は大きく、クイック入金サービスの収益が当社グループ全体の業績に大きな影響を与えることを認識しております。株式・外為等市況の変動幅が大きい程取引件数が増加する傾向にあり、市況変動幅が小さいと取引件数が減少する傾向にあります。このように株式・外為等市況に当社グループの業績が大きく影響を受けないために、スマホマルチ決済サービスや自動販売機向け電子マネー対応シンクライアント型決済端末の販売などの新規サービスを展開し事業を拡大していくことで、株式・外為等市況によるリスクを最大限に抑えるよう取り組んでおります。
また、当社グループは、改正割賦販売法のクレジット番号等取扱契約締結事業者に登録し、また、改正銀行法における電子決済等代行業者に登録しており、それぞれの規制を受け事業を行っております。それぞれの法律が改正され、その内容によって当社の提供するサービスが制限を受ける、また、何らかの事情により登録が取り消された場合、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼすことを認識しております。そのため当社グループは、関連する業界団体等に加入し、研修会やセミナーに参加することで最新の情報を入手できる環境を整えており、事業部門だけなくコーポレート部門も関与し、法改正への対応についても事前に対策が講じることができる体制を整えております。
当社グループの収納代行サービスは、事業者に代わり収納した代金を、分別管理された当社名義の預貯金口座に一時保管した後、所定の期日に事業者に送金しております。この際、当該収納代行代金の一次保管中に預貯金口座のある銀行が破綻した場合に、預貯金が目減りするリスクを認識しております。そのため当社グループは、事業者財産保護の観点から金融機関の決済性預貯金口座において決済用資金を分別管理し、ペイオフによる預金目減りのリスクを回避しております。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、収納代行サービスにかかる金融機関等への支払手数料や、システム開発や運用・維持にかかる人件費や外注費、自動販売機向けシンクライアント型電子決済端末の購入費用などの売上原価のほか、営業や管理部門などの人件費や本社オフィスの家賃などの販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、当社サービスにかかるサーバ構築費用やソフトウエア開発費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は、自己資金と金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は8,642,791千円となっております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが重視している経営指標は、新しく展開しておりますサービスの売上高です。それぞれの指標の実績及び目標は以下のとおりです。
サービス名 | 2019年12月期 実績 | 2020年12月期 実績 | 2021年12月期 目標 |
スマートフォン決済サービス | 222百万円 | 334百万円 | 569百万円 |
カードリーダーソリューションサービス | 119百万円 | 413百万円 | 610百万円 |
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「決済支援事業」以外の事業の重要性が乏しいため、記載を省略しております。