有価証券報告書-第25期(2024/01/01-2024/12/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大などを背景に、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、不安定な国際情勢に伴うエネルギー価格及び原材料価格の上昇や円安に伴う物価上昇、中国経済の減速懸念、米国新政権の動向など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社の属する決済市場においては、政府が主導するキャッシュレス決済の普及促進やコロナ禍を起因とするキャッシュレス決済の浸透、また人手不足による省力化や業務効率化の必要性から事業者側のキャッシュレス導入も一層進んでおり、支払手段におけるキャッシュレス化は年々増加傾向にあります。政府が掲げている2025年までにキャッシュレス決済比率を40%にするという目標も1年前倒しでの達成が予測されており、将来的には80%という目標に向け、今後も継続的な市場の成長が見込まれております。
このような状況の下、当社グループは、クイック入金サービスや公共料金支払代行サービスなど既存サービスの着実な運営を推進するとともに、スマホ決済サービスPayBやキャッシュレス決済端末事業の拡大に向け取り組んでまいりました。
スマホ決済サービスPayBは、ゆうちょ銀行やメガバンク、全国の農協、地方銀行等、多数の金融機関において利用可能となっております。また、利用可能な払込票発行機関(加盟店)は民間収納企業、地方公共団体合わせ17,595社・団体まで広がり、特に地方公共団体については、地方税統一QRコード(eL-QR)制度にも対応したことから、全ての公共団体が発行するeL-QRが印刷されている納付書での地方税納付が可能となっております。また、国民年金保険料や固定資産税・自動車税など地方税の支払いをクレジットカード及び金融機関の預貯金口座から即時納付できるサービスなど「PayB」アプリの機能改善、サービス全体の利便性向上を図っております。その他の取り組みとしては、金融機関のATMに「PayB」機能を組み込み、ATMに搭載されたマルチリーダーを活用して、コンビニ等払込票のバーコードを読み込み、キャッシュカード、通帳又は現金での支払い手続きが可能となるサービスの提供を進めております。
大学等の教育業種向け学費収納管理業務効率化ソリューションである「学費収納管理システム」については、従来の「PayB for Campus」による支払手段に加え、主にアジア圏を中心とする外国人留学生向けに「WeChat Pay」及び「Alipay+」による決済機能を追加し、全国の大学に向けたサービスの提案、推進を行っております。また、医療機関向けに、医療会計システムと「PayB」を連携させることにより、いつでもどこでも診療費用の支払いができる、決済サービスの提供も開始しております。
スマホマルチ決済サービスの「WeChat Pay」や「Alipay+」につきましては、円安等を背景に2024年度の訪日外国人数が3,686万人を超え、消費額が8兆円を突破し、訪日外国人数、消費額ともに過去最高を更新した影響などから、売上高は期初計画を大幅に上回る結果となりました。
キャッシュレス決済端末販売については、飲料自販機での販売とともに、駐車場やコインランドリー等への新機能の開発や運営ソリューションの構築を引き続き進めております。受託開発案件等は、期初計画を若干下回ったものの、端末販売は、駐車場やJR東日本が駅構内に設置する多機能ロッカー「マルチエキューブ」への導入が進んだことなどから販売台数が期初計画を上回ったため、キャッシュレス決済端末事業全体では、売上・利益ともに期初計画を上回る結果となりました。
既存サービスにつきましては、クイック入金サービスは、円安の継続や日経平均株価の上昇基調が続いたことなど、株価・為替相場の変動が大きかったことから、取扱件数は期初計画を上回り堅調に推移いたしました。また、収納代行サービスの売上も取扱件数が、当初の見込みを上回って推移したため計画比で増収となっております。
その他のサービスも概ね、期初計画を上回り、順調に推移いたしました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べ4,662,838千円増加し、25,954,411千円となりました。
当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べ4,317,573千円増加し、22,995,562千円となりました。
当連結会計年度末における純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ345,264千円増加し、2,958,848千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高4,218,230千円(前年同期比11.5%増)、営業利益626,111千円(前年同期比34.3%増)、経常利益623,485千円(前年同期比34.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益406,905千円(前年同期比35.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績については、決済支援事業サービス以外の区分のサービスについては、重要性が乏しいことから記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して4,227,075千円増加となり、残高は23,653,699千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は4,356,214千円(前連結会計年度末は6,131,277千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益623,485千円、預り金の増加による収入4,078,433千円などの資金増加要因が立替金の増加による支出348,512千円、売上債権の増加による支出80,201千円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は48,313千円(前連結会計年度は66,149千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出48,557千円などの資金減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は80,695千円(前連結会計年度末は66,759千円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額75,155千円などの資金減少要因によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループでは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループでは、受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績及び現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りに特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
その他重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、主なもの及びその補足事項については以下のとおりであります。
a.繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得を検討し、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。しかしながら、将来の課税所得等を検討し、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加計上する可能性があります。また、法人税率が引き下げられた場合、貸借対照表に計上する繰延税金資産の計上額を減額する可能性があります。
b.ソフトウエア
ソフトウエアについては、将来の収益獲得、費用削減が確実であると認められた開発費用についてはソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)に計上しております。このソフトウエアについて将来大規模な計画の変更や使用状況の見直しにより収益獲得、費用削減効果が大幅に損なわれた場合には、ソフトウエアの減損が必要となる可能性があります。
c.投資の減損
投資価値の棄損が著しく、かつ回収の可能性がないと判断した場合、投資の減損を計上しております。非上場企業への投資の場合、当該会社の財政状態の悪化によりその純資産価値が取得価額に比して50%程度以上下落した場合に将来の回復可能性がなければ、減損処理を行っております。将来の市況悪化・業績不振等により現在の帳簿価額に反映されていない損失や回収不能が発生した場合、投資の減損が必要となる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態の分析
(資産合計)
当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べ4,662,838千円増加の25,954,411千円(前連結会計年度末は21,291,573千円)となりました。これは主に、収納代行サービスに係る預り金の入出金のタイミングの影響を受け、現金及び預金が4,227,075千円増加したことなどによるものであります。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ4,659,288千円増加の25,559,281千円(前連結会計年度末は20,899,993千円)となりました。これは主に、現金及び預金が4,227,075千円増加したことなどによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ3,549千円増加の395,129千円(前連結会計年度末は391,580千円)となりました。これは主に、ソフトウエアが18,229千円増加した一方で、工具、器具及び備品が11,474千円減少したことなどによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べ4,317,573千円増加の22,995,562千円(前連結会計年度末は18,677,989千円)となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ4,335,860千円増加の22,937,659千円(前連結会計年度末は18,601,799千円)となりました。これは主に、預り金が4,078,433千円増加したことなどによるものであります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ18,286千円減少の57,903千円(前連結会計年度末は76,189千円)となりました。これは資産除去債務が増加した一方で、長期前受収益等が減少したことなどによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ345,264千円増加の2,958,848千円(前連結会計年度末は2,613,584千円)となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益406,905千円を計上した一方で、剰余金の配当75,473千円を実施したことなどによるものであります。
2) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、収納代行サービス、クイック入金サービス等が順調に推移したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ11.5%増の4,218,230千円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における売上原価は、上記収納代行サービスの売上増に伴い売上原価が増加したため、前連結会計年度に比べ11.2%増の2,684,563千円となりました。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、事業体制強化による人件費の増加などにより、前連結会計年度に比べ0.6%増の907,555千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は、197,208千円となりました。この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ35.6%増の406,905千円となりました。
3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、株式市場・外為市況動向、銀行法などの法改正、収納代行預り金などがあります。
まず、株式市場・外為市況動向によって、当社グループの提供するクイック入金サービスが売上に与える影響は大きく、クイック入金サービスの収益が当社グループ全体の業績に大きな影響を与えることを認識しております。株式・外為等市況の変動幅が大きい程取引件数が増加する傾向にあり、市況変動幅が小さいと取引件数が減少する傾向にあります。このように株式・外為等市況に当社グループの業績が大きく影響を受けないために、スマホマルチ決済サービスやキャッシュレス決済端末の販売などの新規サービスを展開し事業を拡大していくことで、株式・外為等市況によるリスクを最大限に抑えるよう取り組んでおります。
また、当社グループは、改正割賦販売法のクレジット番号等取扱契約締結事業者、改正銀行法における電子決済等代行業者、及び資金決済法における前払式支払手段発行事業者に登録しており、それぞれの規制を受け事業を行っております。それぞれの法律が改正され、その内容によって当社の提供するサービスが制限を受ける、また、何らかの事情により登録が取り消された場合、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼすことを認識しております。そのため当社グループは、関連する業界団体等に加入し、研修会やセミナーに参加することで最新の情報を入手できる環境を整えており、事業部門だけでなくコーポレート部門も関与し、法改正への対応についても事前に対策が講じることができる体制を整えております。
当社グループの収納代行サービスは、事業者に代わり収納した代金を、分別管理された当社名義の預貯金口座に一時保管した後、所定の期日に事業者に送金しております。この際、当該収納代行代金の一次保管中に預貯金口座のある銀行が破綻した場合に、預貯金が目減りするリスクを認識しております。そのため当社グループは、事業者財産保護の観点から金融機関の決済性預貯金口座において決済用資金を分別管理し、ペイオフによる預金目減りのリスクを回避しております。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、収納代行サービスにかかる金融機関等への支払手数料や、システム開発の運用・維持にかかる人件費や外注費、キャッシュレス決済端末の購入費用などの売上原価のほか、営業や管理部門などの人件費や本社オフィスの家賃などの販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、当社サービスにかかるサーバ構築費用やソフトウエア開発費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は、自己資金と金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は23,653,699千円となっております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが重視している経営指標は、新しく展開しておりますサービスの売上高です。それぞれの指標の実績及び目標は以下のとおりです。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「決済支援事業」以外の事業の重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大などを背景に、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、不安定な国際情勢に伴うエネルギー価格及び原材料価格の上昇や円安に伴う物価上昇、中国経済の減速懸念、米国新政権の動向など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社の属する決済市場においては、政府が主導するキャッシュレス決済の普及促進やコロナ禍を起因とするキャッシュレス決済の浸透、また人手不足による省力化や業務効率化の必要性から事業者側のキャッシュレス導入も一層進んでおり、支払手段におけるキャッシュレス化は年々増加傾向にあります。政府が掲げている2025年までにキャッシュレス決済比率を40%にするという目標も1年前倒しでの達成が予測されており、将来的には80%という目標に向け、今後も継続的な市場の成長が見込まれております。
このような状況の下、当社グループは、クイック入金サービスや公共料金支払代行サービスなど既存サービスの着実な運営を推進するとともに、スマホ決済サービスPayBやキャッシュレス決済端末事業の拡大に向け取り組んでまいりました。
スマホ決済サービスPayBは、ゆうちょ銀行やメガバンク、全国の農協、地方銀行等、多数の金融機関において利用可能となっております。また、利用可能な払込票発行機関(加盟店)は民間収納企業、地方公共団体合わせ17,595社・団体まで広がり、特に地方公共団体については、地方税統一QRコード(eL-QR)制度にも対応したことから、全ての公共団体が発行するeL-QRが印刷されている納付書での地方税納付が可能となっております。また、国民年金保険料や固定資産税・自動車税など地方税の支払いをクレジットカード及び金融機関の預貯金口座から即時納付できるサービスなど「PayB」アプリの機能改善、サービス全体の利便性向上を図っております。その他の取り組みとしては、金融機関のATMに「PayB」機能を組み込み、ATMに搭載されたマルチリーダーを活用して、コンビニ等払込票のバーコードを読み込み、キャッシュカード、通帳又は現金での支払い手続きが可能となるサービスの提供を進めております。
大学等の教育業種向け学費収納管理業務効率化ソリューションである「学費収納管理システム」については、従来の「PayB for Campus」による支払手段に加え、主にアジア圏を中心とする外国人留学生向けに「WeChat Pay」及び「Alipay+」による決済機能を追加し、全国の大学に向けたサービスの提案、推進を行っております。また、医療機関向けに、医療会計システムと「PayB」を連携させることにより、いつでもどこでも診療費用の支払いができる、決済サービスの提供も開始しております。
スマホマルチ決済サービスの「WeChat Pay」や「Alipay+」につきましては、円安等を背景に2024年度の訪日外国人数が3,686万人を超え、消費額が8兆円を突破し、訪日外国人数、消費額ともに過去最高を更新した影響などから、売上高は期初計画を大幅に上回る結果となりました。
キャッシュレス決済端末販売については、飲料自販機での販売とともに、駐車場やコインランドリー等への新機能の開発や運営ソリューションの構築を引き続き進めております。受託開発案件等は、期初計画を若干下回ったものの、端末販売は、駐車場やJR東日本が駅構内に設置する多機能ロッカー「マルチエキューブ」への導入が進んだことなどから販売台数が期初計画を上回ったため、キャッシュレス決済端末事業全体では、売上・利益ともに期初計画を上回る結果となりました。
既存サービスにつきましては、クイック入金サービスは、円安の継続や日経平均株価の上昇基調が続いたことなど、株価・為替相場の変動が大きかったことから、取扱件数は期初計画を上回り堅調に推移いたしました。また、収納代行サービスの売上も取扱件数が、当初の見込みを上回って推移したため計画比で増収となっております。
その他のサービスも概ね、期初計画を上回り、順調に推移いたしました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べ4,662,838千円増加し、25,954,411千円となりました。
当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べ4,317,573千円増加し、22,995,562千円となりました。
当連結会計年度末における純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ345,264千円増加し、2,958,848千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高4,218,230千円(前年同期比11.5%増)、営業利益626,111千円(前年同期比34.3%増)、経常利益623,485千円(前年同期比34.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益406,905千円(前年同期比35.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績については、決済支援事業サービス以外の区分のサービスについては、重要性が乏しいことから記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して4,227,075千円増加となり、残高は23,653,699千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は4,356,214千円(前連結会計年度末は6,131,277千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益623,485千円、預り金の増加による収入4,078,433千円などの資金増加要因が立替金の増加による支出348,512千円、売上債権の増加による支出80,201千円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は48,313千円(前連結会計年度は66,149千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出48,557千円などの資金減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は80,695千円(前連結会計年度末は66,759千円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額75,155千円などの資金減少要因によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループでは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループでは、受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。
事業の名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
決済支援事業(千円) | 4,217,057 | 11.5 |
ファイナンス支援事業(千円) | 1,172 | △3.5 |
合計(千円) | 4,218,230 | 11.5 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績及び現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りに特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
その他重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、主なもの及びその補足事項については以下のとおりであります。
a.繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得を検討し、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。しかしながら、将来の課税所得等を検討し、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加計上する可能性があります。また、法人税率が引き下げられた場合、貸借対照表に計上する繰延税金資産の計上額を減額する可能性があります。
b.ソフトウエア
ソフトウエアについては、将来の収益獲得、費用削減が確実であると認められた開発費用についてはソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)に計上しております。このソフトウエアについて将来大規模な計画の変更や使用状況の見直しにより収益獲得、費用削減効果が大幅に損なわれた場合には、ソフトウエアの減損が必要となる可能性があります。
c.投資の減損
投資価値の棄損が著しく、かつ回収の可能性がないと判断した場合、投資の減損を計上しております。非上場企業への投資の場合、当該会社の財政状態の悪化によりその純資産価値が取得価額に比して50%程度以上下落した場合に将来の回復可能性がなければ、減損処理を行っております。将来の市況悪化・業績不振等により現在の帳簿価額に反映されていない損失や回収不能が発生した場合、投資の減損が必要となる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態の分析
(資産合計)
当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べ4,662,838千円増加の25,954,411千円(前連結会計年度末は21,291,573千円)となりました。これは主に、収納代行サービスに係る預り金の入出金のタイミングの影響を受け、現金及び預金が4,227,075千円増加したことなどによるものであります。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ4,659,288千円増加の25,559,281千円(前連結会計年度末は20,899,993千円)となりました。これは主に、現金及び預金が4,227,075千円増加したことなどによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ3,549千円増加の395,129千円(前連結会計年度末は391,580千円)となりました。これは主に、ソフトウエアが18,229千円増加した一方で、工具、器具及び備品が11,474千円減少したことなどによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べ4,317,573千円増加の22,995,562千円(前連結会計年度末は18,677,989千円)となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ4,335,860千円増加の22,937,659千円(前連結会計年度末は18,601,799千円)となりました。これは主に、預り金が4,078,433千円増加したことなどによるものであります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ18,286千円減少の57,903千円(前連結会計年度末は76,189千円)となりました。これは資産除去債務が増加した一方で、長期前受収益等が減少したことなどによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ345,264千円増加の2,958,848千円(前連結会計年度末は2,613,584千円)となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益406,905千円を計上した一方で、剰余金の配当75,473千円を実施したことなどによるものであります。
2) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、収納代行サービス、クイック入金サービス等が順調に推移したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ11.5%増の4,218,230千円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における売上原価は、上記収納代行サービスの売上増に伴い売上原価が増加したため、前連結会計年度に比べ11.2%増の2,684,563千円となりました。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、事業体制強化による人件費の増加などにより、前連結会計年度に比べ0.6%増の907,555千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は、197,208千円となりました。この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ35.6%増の406,905千円となりました。
3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、株式市場・外為市況動向、銀行法などの法改正、収納代行預り金などがあります。
まず、株式市場・外為市況動向によって、当社グループの提供するクイック入金サービスが売上に与える影響は大きく、クイック入金サービスの収益が当社グループ全体の業績に大きな影響を与えることを認識しております。株式・外為等市況の変動幅が大きい程取引件数が増加する傾向にあり、市況変動幅が小さいと取引件数が減少する傾向にあります。このように株式・外為等市況に当社グループの業績が大きく影響を受けないために、スマホマルチ決済サービスやキャッシュレス決済端末の販売などの新規サービスを展開し事業を拡大していくことで、株式・外為等市況によるリスクを最大限に抑えるよう取り組んでおります。
また、当社グループは、改正割賦販売法のクレジット番号等取扱契約締結事業者、改正銀行法における電子決済等代行業者、及び資金決済法における前払式支払手段発行事業者に登録しており、それぞれの規制を受け事業を行っております。それぞれの法律が改正され、その内容によって当社の提供するサービスが制限を受ける、また、何らかの事情により登録が取り消された場合、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼすことを認識しております。そのため当社グループは、関連する業界団体等に加入し、研修会やセミナーに参加することで最新の情報を入手できる環境を整えており、事業部門だけでなくコーポレート部門も関与し、法改正への対応についても事前に対策が講じることができる体制を整えております。
当社グループの収納代行サービスは、事業者に代わり収納した代金を、分別管理された当社名義の預貯金口座に一時保管した後、所定の期日に事業者に送金しております。この際、当該収納代行代金の一次保管中に預貯金口座のある銀行が破綻した場合に、預貯金が目減りするリスクを認識しております。そのため当社グループは、事業者財産保護の観点から金融機関の決済性預貯金口座において決済用資金を分別管理し、ペイオフによる預金目減りのリスクを回避しております。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、収納代行サービスにかかる金融機関等への支払手数料や、システム開発の運用・維持にかかる人件費や外注費、キャッシュレス決済端末の購入費用などの売上原価のほか、営業や管理部門などの人件費や本社オフィスの家賃などの販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、当社サービスにかかるサーバ構築費用やソフトウエア開発費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は、自己資金と金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は23,653,699千円となっております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが重視している経営指標は、新しく展開しておりますサービスの売上高です。それぞれの指標の実績及び目標は以下のとおりです。
サービス名 | 2023年12月期 実績 | 2024年12月期 実績 | 2025年12月期 目標 |
スマートフォン決済サービス | 554百万円 | 911百万円 | 1,195百万円 |
カードリーダーソリューションサービス | 545百万円 | 536百万円 | 603百万円 |
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「決済支援事業」以外の事業の重要性が乏しいため、記載を省略しております。