有価証券報告書-第16期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
業績等の概要
(1)業績
世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大で大きく落ち込んだものの、各国の政府・中央銀行は、大規模な財政拡大や金融緩和を打ち出し、短期間で世界経済は底打ちしました。2020年後半には、ワクチン開発や米国大統領選などに関する不確実性が残る中でも、中国と米国を中心に、世界経済は回復軌道に復しました。米国では、歴史的な低金利と企業業績回復への期待を背景に、年末にかけて主要株価指数が史上最高値を更新しました。2021年に入ると、一部の国・地域では変異株の感染拡大が成長の重石となっていますが、ワクチン接種の進展を背景に、世界経済は回復基調を維持しています。特に米国では、新政権の追加経済対策やワクチン接種の進展から、景気回復の勢いが増しており、物価は上昇傾向にあります。こうした中、米国長期金利が上昇したことで、一時的に株価が弱含む局面がありましたが、緩和的な金融環境や先行きの景気回復期待を背景に株価は持ち直しています。
わが国経済は、2020年春の全国的な緊急事態宣言の影響で個人消費が大幅に減少したほか、海外経済の悪化を受けて外需も弱含みました。政府は、特別定額給付金や雇用調整助成金の拡充、企業の資金繰り支援などを含む大規模な補正予算を編成し、日本銀行の資金繰り支援等の緩和強化と相俟って、失業率や倒産の急増を防ぎました。2020年後半からは、海外経済の回復や個人消費の持ち直しを受けて景気は回復軌道に復しました。2021年に入り、一部地域での感染再拡大と緊急事態宣言の影響から、一部業種では厳しい状況が続いていますが、全体として輸出や生産は増加、設備投資は持ち直しています。消費者物価は、前年比のマイナスが続いていますが、一時的要因を除く物価の基調は、需給ギャップ悪化の割に底堅く推移しています。日本銀行は、2021年3月に政策点検を行い、10年物国債金利の「ゼロ%程度」の範囲を上下0.25%に明確化しました。
第16期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度、当社は、営業利益は228億6千5百万円(前事業年度比29%減)、経常利益は230億7千2百万円(同29%減)、当期純利益は154億3千2百万円(同31%減)となりました。
(2)損益の経過
受入手数料
① 委託手数料
株式にかかる委託手数料11億円(前事業年度比19%減)、債券にかかる委託手数料5百万円(同37%減)を計上し、合計で11億5百万円(同19%減)を計上しました。
② 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
株式部門での手数料の計上はありませんでしたが(前事業年度5千7百万円)、債券部門で2千8百万円(前事業年度比66%減)の手数料を計上し、合計で2千8百万円(同80%減)を計上しました。
③ 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
株式部門で33億1千9百万円(前事業年度比58%増)の募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料を計上しました。
④ その他の受入手数料
その他の受入手数料として、主に株式関連業務401億5千万円(前事業年度比0%増)、債券関連業務330億7千1百万円(同4%減)を含む773億7百万円(同1%減)を計上しました。
以上により合計で817億6千1百万円(同0%増)の受入手数料を計上しました。
トレーディング損益
株券等トレーディングでは90億4千8百万円の利益(前事業年度147億4千4百万円の利益)を、債券等トレーディングでは14億9千8百万円の利益(同73億3千4百万円の利益)を、その他のトレーディングでは5千7百万円の利益(同8千4百万円の損失)を計上し、合計で106億4百万円の利益(同219億9千4百万円の利益)を計上しました。
金融収支
金融収益は有価証券貸借取引収益31億7千7百万円(前事業年度比77%減)、トレーディング商品等から生じる受取配当金22億9百万円(同31億7千2百万円増)を主として、40億7千1百万円(同68%減)を、金融費用は有価証券貸借取引費用76億3千4百万円(同44%減)、支払利息39億2千7百万円(同10%増)を主として、89億7千5百万円(同64%減)を計上し、金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は49億4百万円の損失(前事業年度120億1千3百万円の損失)となりました。
営業投資有価証券関連損益
営業投資有価証券関連損益の計上はありませんでした(前事業年度6百万円の利益)。
販売費・一般管理費
人件費265億4千3百万円(前事業年度比23%増)、グループ会社間における配賦費用232億1千万円(同4%増)、取引関係費76億4千5百万円(同5%減)等、合計で645億9千6百万円(同9%増)を計上しました。
営業外損益
営業外収益は2億7百万円(前事業年度3千7百万円)を計上し、営業外費用は0百万円(同0百万円)を計上しました。
なお、当社の報告セグメントは、「法人・機関投資家向け証券業務」という単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
(3)財政状態
資産の部
流動資産は5兆6,747億3千3百万円(前事業年度末比1%減)となりました。これは主にトレーディング商品の増加及び有価証券担保貸付金の減少によるものです。
固定資産は55億9千6百万円(同10%減)となりました。
以上の結果、当事業年度末の総資産は5兆6,803億3千万円(同1%減)となりました。
負債の部
流動負債は5兆1,259億1千1百万円(前事業年度末比1%減)となりました。これは主に有価証券担保借入金の減少、トレーディング商品の増加及び関係会社短期借入金の増加によるものです。
固定負債は3,591億3千2百万円(同1%減)となりました。これは主に長期借入金の減少によるものです。
特別法上の準備金は、当事業年度における追加計上はありません。
以上の結果、当事業年度末の負債合計は5兆4,954億9千8百万円(同1%減)となりました。
純資産の部
純資産は1,848億3千2百万円(前事業年度末比4%増)となりました。これは主に剰余金の配当による利益剰余金の減少、当期純利益による利益剰余金の増加によるものです。
(4)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末残高より808億1百万円減少し、2,826億2千1百万円となりました。各区分のキャッシュ・フローの状況の内訳は、以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による収入は、税引前当期純利益230億7千2百万円、約定見返勘定の減少721億4千4百万円、顧客分別金信託の減少101億4千4百万円、立替金及び預り金の減少21億2千4百万円等がありました。
一方営業活動による支出は、トレーディング商品の増加2,998億6千7百万円、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増加2,091億4千9百万円、短期差入保証金の増加805億3千5百万円等がありました。
これにより営業活動によるキャッシュ・フローは、5,608億2千5百万円の支出(前事業年度は3,693億3千6百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動による支出は短期貸付金の減少による収入489億9千7百万円がありました。
これにより投資活動によるキャッシュ・フローは、489億9千7百万円の収入(前事業年度は490億1百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動による収入は、関係会社短期借入金の増加による収入4,414億1千9百万円、長期借入れによる収入75億円等がありました。一方財務活動による支出は、長期借入金の返済による支出155億円、配当金の支払いによる支出86億3千7百万円等がありました。
これにより、財務活動によるキャッシュ・フローは、4,282億4千1百万円の収入(前事業年度は1,647億5千3百万円の支出)となりました。
(5)特定金融会社等の開示に関する内閣府令(1999年5月19日 大蔵省第57号)に基づく貸付金の状況
当社の貸付金の状況は次のとおりです。なお、当事業年度末において営業貸付金の残高はありません。
① 貸付金の種別残高内容
2021年3月31日現在、営業貸付金残高はありません。
② 資金調達内容
③ 業種別貸付金残高内訳
2021年3月31日現在、営業貸付金残高はありません。
④ 担保別貸付金残高内訳
2021年3月31日現在、営業貸付金残高はありません。
⑤ 期間別貸付金残高内訳
2021年3月31日現在、営業貸付金残高はありません。
(6)生産、受注及び販売の実績
当社の取引形態は一般的な製造業等における「生産」や「受注」といった概念が存在しないため記載しておりません。また当事業年度における販売実績がないため記載しておりません。
(7)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討状況は次のとおりです。なお文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析については、「第2「事業の状況」 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 業績等の概要 (3)財政状態」に記載しております。
受入手数料は、その他の受入手数料に係るグループ会社間における移転価格手数料736億3千8百万円(前事業年度比1%増)、受託業務31億5千3百万円(同11%減)が主な内容です。
トレーディング損益は株券等トレーディングにおいて、商品有価証券に係る実現損益635億3千9百万円の損失(前事業年度490億5千6百万円の利益)、評価損益265億7千万円の損失(同305億9百万円の損失)、デリバティブ取引に係る実現損益1,188億2千4百万円の利益(同53億9千1百万円の損失)、評価損益196億6千6百万円の損失(同15億8千9百万円の利益)を計上しました。債券等トレーディングにおいて、商品有価証券に係る実現損益426億7千9百万円の損失(同113億5千1百万円の利益)、評価損益448億1千5百万円の利益(同14億1千7百万円の損失)、デリバティブ取引に係る実現損益3億5千9百万円の損失(同27億6千6百万円の損失)、評価損益2億7千8百万円の損失(同1億6千6百万円の利益)を計上しました。
またその他のトレーディング損益では実現損益247億3千3百万円の利益(同162億7千万円の利益)、評価損益246億7千5百万円の損失(同163億5千5百万円の損失)を計上しました。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済環境の下にあっても、当社の業績は堅調に推移しております。また、今後の広がり方や収束時期等が不透明な状況ではありますが、当社のビジネスモデルは、長期的な経営環境の機会と課題の特徴に対応可能な安定したものであると考えています。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 業績等の概要 (4)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
流動性及び資本の源泉
当社は内部の管理枠組み・手続き、導入済み及び今後導入される規制基準への継続的な遵守を通じて、流動性及び資本を管理しております。
流動性及び資金調達管理
流動性リスク管理の枠組み
当社の流動性リスク管理ポリシー及び手続はモルガン・スタンレー・グループのものと整合的なものとなっております。当社取締役会は流動性リスクにおける許容範囲を定め、流動性リスクが適切に管理される事に最終的な責任を負っています。
当社の流動性・資金調達リスク管理枠組みにおける主要な目標は、様々な市場の状態及び時間軸において当社が充分な資金繰りが実行できることです。当該枠組みは、当社が財務的な債務の履行、業務戦略執行のサポート、及び予期しないストレスイベントに耐えるように設計されています。
次の原則が流動性及び資金繰りリスク管理枠組みの指針となっております。
・満期を迎える負債並びにその他の計画された、または緊急の資金流出に対して充分な流動資産が確保されていること。
・短期資金調達資への依存度を限定的とした上で、資産・負債の期日管理は整合的であること。
・資金調達源泉・取引相手・通貨・地域及び資金調達条件は分散されていること。
・流動性ストレステストは資金調達源泉へのアクセスが限定的となる期間を想定し説明可能となっていること。
資本管理
当社は財務的な強みの重要な源泉が資本にあると考えております。既定のポリシー・手続きに則り、また、現地規制要件を充足するかたちで当社は資本管理を行い、モニタリングしております。
モルガン・スタンレー・グループの資本管理ポリシーと平仄を取り、特にビジネスの機会・リスク・資本入手可能性・リターンに基づき、内部資本ポリシー・規制要件・格付け会社ガイドラインに則り当社は資本ポジションを管理しております。それゆえ、将来において当社はビジネスの絶えず変化し続けている要求に応じて資本ベースを調整する可能性があります。
当社全体としての充分な資本レベルは、ゴーイング・コンサーンとしての業務継続能力によって決定され、また全ての規制資本要件の充足を担保するものとなっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
・財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
・ここで、市場価格がない金融商品の時価評価に用いる評価技術は、市場で観察不能なパラメーターに基づくため見積りや仮定を含む判断を要します。そのような金融商品の時価は、市場から入手可能なデータに基づく評価技術に、適切なパラメーターを適用して決定します。観察不能なパラメーターには合理的に可能な代替的な数値も存在します。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大が市場の動向に影響を及ぼしましたが、当事業年度末時点の実際の市場の状況に基づきパラメーターを適切に決定しております。
・当該見積りや仮定の判断の妥当性を確保するために、同上「(金融商品関係) 1.金融商品の状況に関する事項 ③ 金融商品に係る主たるリスク管理体制 マーケット・リスク ロ)」に記載のとおり、ファイナンス部は、独自に入手した外部の情報端末(ロイター・テレレート等)の価格等をもとに、管理システムに記録された価格の整合性を確認し、約定日ベースかつ時価評価により損益の計算を日々行い、トレーダー及び各デスク管理者、管理責任者へと報告しております。具体的には、下記の時価検証プロセスを導入しております。
時価検証プロセス
当社の時価評価方針、プロセス及び手続きについて責任を負う部署はファイナンス本部内のバリュエーション・コントロール(VC)です。
VCは営業部門から独立し、当社の金融商品の時価評価について最終決定権限を有するファイナンス本部に属する部署です。VCは時価検証プロセスを導入し、評価モデルに基づくものを含む、時価で測定される当社の金融商品の時価の妥当性を検証します。
モデル・レビュー:VCはリスク管理本部に属するモデル・リスク・マネジメント(MRM)とともに、評価モデルの理論的健全性、評価手法の妥当性、及び営業部門が開発し観察可能なインプットを用いるキャリブレーション手法を独立してレビューします。モデルへのインプットが観察不能である場合、VCは提案された評価方法の妥当性をレビューし、市場参加者が観察不能なインプットを用いる場合の評価方法と首尾一貫しているかを決定します。観察可能なインプットがない場合に用いる評価手法には各種補外法及び類似の観察可能なインプットの使用が含まれます。レビューにおいて、VCは評価手法を開発し、営業部門の評価モデルによって計算された時価を独立して検証します。当社は一般に、モデル導入当初、及びその後定期的に時価とモデルをレビューします。
独立時価検証 :営業部門は、承認されたモデルと評価方法に基づいて時価を決定する責任を負います。一般に月次で、VCは独立して、評価モデルを用いて決定された金融商品の時価を検証します。その際に、VCは営業部門が用いたインプットの妥当性を検証し、上記のモデル・レビューにおいて承認済みの、文書化された評価方針への準拠性をテストします。当該独立時価検証と、営業部門が計算した時価に対してVCが行った調整の結果は、トレーダー及び各デスク管理者、管理責任者に定期的に報告されます。VCは直近に行われた取引、その他の観察可能な市場データ、例えば取引所のデータ、ブローカー/ディーラーから得るデータ、第三者ベンダーからのデータ、及びアグリゲーション・サービス業者からのデータなどを用いて、評価モデルに基づく金融商品の独立時価検証を行います。VCは外部データソース及びその評価手法について、当該外部業者が第三者時価情報源に対して期待される最低限の基準を満たしているかを評価します。承認された外部業者から提供をうける時価データは数多くの手法によって評価されます。例えば、外部業者から得た時価と実際の取引における価格の比較、評価手法及び外部業者が時価算定に用いた前提条件の分析、外部業者が提供する時価(または外部業者が入手した時価)に基づく取引が、市場でどの程度活発であるかを評価します。その結果、VCは観察可能な市場データのランキングを作成し、最上位に位置するデータソースを使用して、営業部門による金融商品時価評価額を検証します。特定の新規かつ重要な取引について、VCはモデル及び評価手法をレビューします。当初計上される取引の時価については、ファイナンス本部とMRMの両方が承認を行います。
市場で観察不能なインプットが時価評価に重要な影響を与える取引:
VCは営業部門の評価技法について、市場参加者が使用するものと首尾一貫しているかどうかをレビューします。
(1)業績
世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大で大きく落ち込んだものの、各国の政府・中央銀行は、大規模な財政拡大や金融緩和を打ち出し、短期間で世界経済は底打ちしました。2020年後半には、ワクチン開発や米国大統領選などに関する不確実性が残る中でも、中国と米国を中心に、世界経済は回復軌道に復しました。米国では、歴史的な低金利と企業業績回復への期待を背景に、年末にかけて主要株価指数が史上最高値を更新しました。2021年に入ると、一部の国・地域では変異株の感染拡大が成長の重石となっていますが、ワクチン接種の進展を背景に、世界経済は回復基調を維持しています。特に米国では、新政権の追加経済対策やワクチン接種の進展から、景気回復の勢いが増しており、物価は上昇傾向にあります。こうした中、米国長期金利が上昇したことで、一時的に株価が弱含む局面がありましたが、緩和的な金融環境や先行きの景気回復期待を背景に株価は持ち直しています。
わが国経済は、2020年春の全国的な緊急事態宣言の影響で個人消費が大幅に減少したほか、海外経済の悪化を受けて外需も弱含みました。政府は、特別定額給付金や雇用調整助成金の拡充、企業の資金繰り支援などを含む大規模な補正予算を編成し、日本銀行の資金繰り支援等の緩和強化と相俟って、失業率や倒産の急増を防ぎました。2020年後半からは、海外経済の回復や個人消費の持ち直しを受けて景気は回復軌道に復しました。2021年に入り、一部地域での感染再拡大と緊急事態宣言の影響から、一部業種では厳しい状況が続いていますが、全体として輸出や生産は増加、設備投資は持ち直しています。消費者物価は、前年比のマイナスが続いていますが、一時的要因を除く物価の基調は、需給ギャップ悪化の割に底堅く推移しています。日本銀行は、2021年3月に政策点検を行い、10年物国債金利の「ゼロ%程度」の範囲を上下0.25%に明確化しました。
第16期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度、当社は、営業利益は228億6千5百万円(前事業年度比29%減)、経常利益は230億7千2百万円(同29%減)、当期純利益は154億3千2百万円(同31%減)となりました。
(2)損益の経過
受入手数料
① 委託手数料
株式にかかる委託手数料11億円(前事業年度比19%減)、債券にかかる委託手数料5百万円(同37%減)を計上し、合計で11億5百万円(同19%減)を計上しました。
② 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
株式部門での手数料の計上はありませんでしたが(前事業年度5千7百万円)、債券部門で2千8百万円(前事業年度比66%減)の手数料を計上し、合計で2千8百万円(同80%減)を計上しました。
③ 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
株式部門で33億1千9百万円(前事業年度比58%増)の募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料を計上しました。
④ その他の受入手数料
その他の受入手数料として、主に株式関連業務401億5千万円(前事業年度比0%増)、債券関連業務330億7千1百万円(同4%減)を含む773億7百万円(同1%減)を計上しました。
以上により合計で817億6千1百万円(同0%増)の受入手数料を計上しました。
トレーディング損益
株券等トレーディングでは90億4千8百万円の利益(前事業年度147億4千4百万円の利益)を、債券等トレーディングでは14億9千8百万円の利益(同73億3千4百万円の利益)を、その他のトレーディングでは5千7百万円の利益(同8千4百万円の損失)を計上し、合計で106億4百万円の利益(同219億9千4百万円の利益)を計上しました。
金融収支
金融収益は有価証券貸借取引収益31億7千7百万円(前事業年度比77%減)、トレーディング商品等から生じる受取配当金22億9百万円(同31億7千2百万円増)を主として、40億7千1百万円(同68%減)を、金融費用は有価証券貸借取引費用76億3千4百万円(同44%減)、支払利息39億2千7百万円(同10%増)を主として、89億7千5百万円(同64%減)を計上し、金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は49億4百万円の損失(前事業年度120億1千3百万円の損失)となりました。
営業投資有価証券関連損益
営業投資有価証券関連損益の計上はありませんでした(前事業年度6百万円の利益)。
販売費・一般管理費
人件費265億4千3百万円(前事業年度比23%増)、グループ会社間における配賦費用232億1千万円(同4%増)、取引関係費76億4千5百万円(同5%減)等、合計で645億9千6百万円(同9%増)を計上しました。
営業外損益
営業外収益は2億7百万円(前事業年度3千7百万円)を計上し、営業外費用は0百万円(同0百万円)を計上しました。
なお、当社の報告セグメントは、「法人・機関投資家向け証券業務」という単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
(3)財政状態
資産の部
流動資産は5兆6,747億3千3百万円(前事業年度末比1%減)となりました。これは主にトレーディング商品の増加及び有価証券担保貸付金の減少によるものです。
固定資産は55億9千6百万円(同10%減)となりました。
以上の結果、当事業年度末の総資産は5兆6,803億3千万円(同1%減)となりました。
負債の部
流動負債は5兆1,259億1千1百万円(前事業年度末比1%減)となりました。これは主に有価証券担保借入金の減少、トレーディング商品の増加及び関係会社短期借入金の増加によるものです。
固定負債は3,591億3千2百万円(同1%減)となりました。これは主に長期借入金の減少によるものです。
特別法上の準備金は、当事業年度における追加計上はありません。
以上の結果、当事業年度末の負債合計は5兆4,954億9千8百万円(同1%減)となりました。
純資産の部
純資産は1,848億3千2百万円(前事業年度末比4%増)となりました。これは主に剰余金の配当による利益剰余金の減少、当期純利益による利益剰余金の増加によるものです。
(4)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末残高より808億1百万円減少し、2,826億2千1百万円となりました。各区分のキャッシュ・フローの状況の内訳は、以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による収入は、税引前当期純利益230億7千2百万円、約定見返勘定の減少721億4千4百万円、顧客分別金信託の減少101億4千4百万円、立替金及び預り金の減少21億2千4百万円等がありました。
一方営業活動による支出は、トレーディング商品の増加2,998億6千7百万円、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増加2,091億4千9百万円、短期差入保証金の増加805億3千5百万円等がありました。
これにより営業活動によるキャッシュ・フローは、5,608億2千5百万円の支出(前事業年度は3,693億3千6百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動による支出は短期貸付金の減少による収入489億9千7百万円がありました。
これにより投資活動によるキャッシュ・フローは、489億9千7百万円の収入(前事業年度は490億1百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動による収入は、関係会社短期借入金の増加による収入4,414億1千9百万円、長期借入れによる収入75億円等がありました。一方財務活動による支出は、長期借入金の返済による支出155億円、配当金の支払いによる支出86億3千7百万円等がありました。
これにより、財務活動によるキャッシュ・フローは、4,282億4千1百万円の収入(前事業年度は1,647億5千3百万円の支出)となりました。
(5)特定金融会社等の開示に関する内閣府令(1999年5月19日 大蔵省第57号)に基づく貸付金の状況
当社の貸付金の状況は次のとおりです。なお、当事業年度末において営業貸付金の残高はありません。
① 貸付金の種別残高内容
2021年3月31日現在、営業貸付金残高はありません。
② 資金調達内容
| 2021年3月31日現在 |
| 借入先等 | 残高(百万円) | 平均調達金利(%) | |
| 金融機関等からの借入 | 679,829 | 0.94 | |
| 社債 | 132,410 | 1.21 | |
| 合計 | 812,239 | 0.99 | |
| 自己資本 | 184,832 | ||
| 資本金・出資額 | 62,149 | ||
③ 業種別貸付金残高内訳
2021年3月31日現在、営業貸付金残高はありません。
④ 担保別貸付金残高内訳
2021年3月31日現在、営業貸付金残高はありません。
⑤ 期間別貸付金残高内訳
2021年3月31日現在、営業貸付金残高はありません。
(6)生産、受注及び販売の実績
当社の取引形態は一般的な製造業等における「生産」や「受注」といった概念が存在しないため記載しておりません。また当事業年度における販売実績がないため記載しておりません。
(7)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討状況は次のとおりです。なお文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析については、「第2「事業の状況」 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 業績等の概要 (3)財政状態」に記載しております。
| 決算期 (単位:百万円) | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | |||
| 金額 | 構成比 | 金額 | 構成比 | 金額 | 構成比 | |
| 純営業収益 | 91,113 | 100% | 91,531 | 100% | 87,462 | 100% |
| 受入手数料 | 90,227 | 99% | 81,544 | 89% | 81,761 | 93% |
| トレーディング損益 | 7,569 | 8% | 21,994 | 24% | 10,604 | 12% |
| 金融収支 | △6,689 | △7% | △12,013 | △13% | △4,904 | △6% |
| その他 | 5 | 0% | 6 | 0% | - | 0% |
受入手数料は、その他の受入手数料に係るグループ会社間における移転価格手数料736億3千8百万円(前事業年度比1%増)、受託業務31億5千3百万円(同11%減)が主な内容です。
トレーディング損益は株券等トレーディングにおいて、商品有価証券に係る実現損益635億3千9百万円の損失(前事業年度490億5千6百万円の利益)、評価損益265億7千万円の損失(同305億9百万円の損失)、デリバティブ取引に係る実現損益1,188億2千4百万円の利益(同53億9千1百万円の損失)、評価損益196億6千6百万円の損失(同15億8千9百万円の利益)を計上しました。債券等トレーディングにおいて、商品有価証券に係る実現損益426億7千9百万円の損失(同113億5千1百万円の利益)、評価損益448億1千5百万円の利益(同14億1千7百万円の損失)、デリバティブ取引に係る実現損益3億5千9百万円の損失(同27億6千6百万円の損失)、評価損益2億7千8百万円の損失(同1億6千6百万円の利益)を計上しました。
またその他のトレーディング損益では実現損益247億3千3百万円の利益(同162億7千万円の利益)、評価損益246億7千5百万円の損失(同163億5千5百万円の損失)を計上しました。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済環境の下にあっても、当社の業績は堅調に推移しております。また、今後の広がり方や収束時期等が不透明な状況ではありますが、当社のビジネスモデルは、長期的な経営環境の機会と課題の特徴に対応可能な安定したものであると考えています。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 業績等の概要 (4)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
流動性及び資本の源泉
当社は内部の管理枠組み・手続き、導入済み及び今後導入される規制基準への継続的な遵守を通じて、流動性及び資本を管理しております。
流動性及び資金調達管理
流動性リスク管理の枠組み
当社の流動性リスク管理ポリシー及び手続はモルガン・スタンレー・グループのものと整合的なものとなっております。当社取締役会は流動性リスクにおける許容範囲を定め、流動性リスクが適切に管理される事に最終的な責任を負っています。
当社の流動性・資金調達リスク管理枠組みにおける主要な目標は、様々な市場の状態及び時間軸において当社が充分な資金繰りが実行できることです。当該枠組みは、当社が財務的な債務の履行、業務戦略執行のサポート、及び予期しないストレスイベントに耐えるように設計されています。
次の原則が流動性及び資金繰りリスク管理枠組みの指針となっております。
・満期を迎える負債並びにその他の計画された、または緊急の資金流出に対して充分な流動資産が確保されていること。
・短期資金調達資への依存度を限定的とした上で、資産・負債の期日管理は整合的であること。
・資金調達源泉・取引相手・通貨・地域及び資金調達条件は分散されていること。
・流動性ストレステストは資金調達源泉へのアクセスが限定的となる期間を想定し説明可能となっていること。
資本管理
当社は財務的な強みの重要な源泉が資本にあると考えております。既定のポリシー・手続きに則り、また、現地規制要件を充足するかたちで当社は資本管理を行い、モニタリングしております。
モルガン・スタンレー・グループの資本管理ポリシーと平仄を取り、特にビジネスの機会・リスク・資本入手可能性・リターンに基づき、内部資本ポリシー・規制要件・格付け会社ガイドラインに則り当社は資本ポジションを管理しております。それゆえ、将来において当社はビジネスの絶えず変化し続けている要求に応じて資本ベースを調整する可能性があります。
当社全体としての充分な資本レベルは、ゴーイング・コンサーンとしての業務継続能力によって決定され、また全ての規制資本要件の充足を担保するものとなっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
・財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
・ここで、市場価格がない金融商品の時価評価に用いる評価技術は、市場で観察不能なパラメーターに基づくため見積りや仮定を含む判断を要します。そのような金融商品の時価は、市場から入手可能なデータに基づく評価技術に、適切なパラメーターを適用して決定します。観察不能なパラメーターには合理的に可能な代替的な数値も存在します。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大が市場の動向に影響を及ぼしましたが、当事業年度末時点の実際の市場の状況に基づきパラメーターを適切に決定しております。
・当該見積りや仮定の判断の妥当性を確保するために、同上「(金融商品関係) 1.金融商品の状況に関する事項 ③ 金融商品に係る主たるリスク管理体制 マーケット・リスク ロ)」に記載のとおり、ファイナンス部は、独自に入手した外部の情報端末(ロイター・テレレート等)の価格等をもとに、管理システムに記録された価格の整合性を確認し、約定日ベースかつ時価評価により損益の計算を日々行い、トレーダー及び各デスク管理者、管理責任者へと報告しております。具体的には、下記の時価検証プロセスを導入しております。
時価検証プロセス
当社の時価評価方針、プロセス及び手続きについて責任を負う部署はファイナンス本部内のバリュエーション・コントロール(VC)です。
VCは営業部門から独立し、当社の金融商品の時価評価について最終決定権限を有するファイナンス本部に属する部署です。VCは時価検証プロセスを導入し、評価モデルに基づくものを含む、時価で測定される当社の金融商品の時価の妥当性を検証します。
モデル・レビュー:VCはリスク管理本部に属するモデル・リスク・マネジメント(MRM)とともに、評価モデルの理論的健全性、評価手法の妥当性、及び営業部門が開発し観察可能なインプットを用いるキャリブレーション手法を独立してレビューします。モデルへのインプットが観察不能である場合、VCは提案された評価方法の妥当性をレビューし、市場参加者が観察不能なインプットを用いる場合の評価方法と首尾一貫しているかを決定します。観察可能なインプットがない場合に用いる評価手法には各種補外法及び類似の観察可能なインプットの使用が含まれます。レビューにおいて、VCは評価手法を開発し、営業部門の評価モデルによって計算された時価を独立して検証します。当社は一般に、モデル導入当初、及びその後定期的に時価とモデルをレビューします。
独立時価検証 :営業部門は、承認されたモデルと評価方法に基づいて時価を決定する責任を負います。一般に月次で、VCは独立して、評価モデルを用いて決定された金融商品の時価を検証します。その際に、VCは営業部門が用いたインプットの妥当性を検証し、上記のモデル・レビューにおいて承認済みの、文書化された評価方針への準拠性をテストします。当該独立時価検証と、営業部門が計算した時価に対してVCが行った調整の結果は、トレーダー及び各デスク管理者、管理責任者に定期的に報告されます。VCは直近に行われた取引、その他の観察可能な市場データ、例えば取引所のデータ、ブローカー/ディーラーから得るデータ、第三者ベンダーからのデータ、及びアグリゲーション・サービス業者からのデータなどを用いて、評価モデルに基づく金融商品の独立時価検証を行います。VCは外部データソース及びその評価手法について、当該外部業者が第三者時価情報源に対して期待される最低限の基準を満たしているかを評価します。承認された外部業者から提供をうける時価データは数多くの手法によって評価されます。例えば、外部業者から得た時価と実際の取引における価格の比較、評価手法及び外部業者が時価算定に用いた前提条件の分析、外部業者が提供する時価(または外部業者が入手した時価)に基づく取引が、市場でどの程度活発であるかを評価します。その結果、VCは観察可能な市場データのランキングを作成し、最上位に位置するデータソースを使用して、営業部門による金融商品時価評価額を検証します。特定の新規かつ重要な取引について、VCはモデル及び評価手法をレビューします。当初計上される取引の時価については、ファイナンス本部とMRMの両方が承認を行います。
市場で観察不能なインプットが時価評価に重要な影響を与える取引:
VCは営業部門の評価技法について、市場参加者が使用するものと首尾一貫しているかどうかをレビューします。