有価証券報告書-第52期(令和2年10月1日-令和3年9月30日)

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2021/12/17 14:09
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(1)経営成績の状況
当連結会計年度(2020年10月1日~2021年9月30日)の世界経済は、新型コロナウィルスワクチン(以下、ワクチン)の普及などから経済活動の正常化が段階的に進みました。もっとも、財政支援もあり需要が戻りつつあるなかで、海上運賃やエネルギー価格の高騰、半導体をはじめとする部品不足などが経済回復の重しとなっています。
わが国経済は、新型コロナの感染拡大により2021年1月以降、緊急事態宣言が断続的に発令され、内需を中心に経済の回復力が弱い状況が続きました。2021年半ば以降は、急ピッチでのワクチン接種などから、重症化率は抑制されつつありますが、医療供給体制の制約もあり、外出関連を中心に個人消費の回復は鈍い状況です。輸出は、世界経済のコロナ危機からの持ち直しや半導体需要の拡大を背景に、コロナ危機前の水準を上回って推移しました。生産は、外需を中心に需要面は持ち直しているものの、海外からの半導体や部品調達が滞るなど供給面の制約が強まっており、2021年半ば以降は減産を余儀なくされています。
このような環境のもと、当社グループは創業50周年を機に策定した新たな経営理念に基づき、社会課題解決企業として、品質及び顧客満足度を最優先にしつつ、総合シンクタンクとして培った科学的手法、先端的な技術の知見及び総合的なソリューションの提供力を活かした事業を展開しました。
当連結会計年度は、「中期経営計画2023(以下、中計2023)」の初年度にあたります。
リサーチ・コンサルティング事業並びに金融ソリューション事業を基盤事業として、また、DX(デジタルトランスフォーメーション)事業、ストック型(知的資産を活用した汎用サービス提供)事業及び海外事業を成長事業として位置づけ、着実な成長に向けて取り組んだ一年でした。新型コロナ感染拡大に伴い、一部の業務遂行にマイナス影響があったものの、当社グループにとっての事業機会の広がりもあり、当連結会計年度の業績への影響は限定的でした。
中計2023の基本方針に沿った具体的な案件、取り組みの例として、行政における住民からの相談対応をAIによって支援・高度化する自治体DX推進、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け大阪ガス株式会社ほか7社と「Zエナジー株式会社」の設立への参画など、様々な事業展開を進めました。加えて、中計2023で目指す「レジリエントで持続可能な社会」の実現に向け、金融安定理事会が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明するとともに、同提言に賛同する企業・金融機関等により構成される「TCFDコンソーシアム」に加入いたしました。
また、当連結会計年度は、既存株主を売出人とする上場来2回目の株式売出しを行い、当社株式の分布状況の改善と流動性向上を図りました。
当社グループの当連結会計年度における業績は、前連結会計年度における好調な受注も背景として、業績は堅調に推移し、売上高は103,030百万円(前年度比12.0%増)、営業利益は6,853百万円(同10.0%増)となりました。他方で、経常利益は7,568百万円(同9.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,009百万円(同29.4%減)となりましたが、前年度に計上した一時的利益(持分法による投資利益のうち、負ののれん相当額として計上した1,333百万円及び投資有価証券売却益2,731百万円)の影響を除くと増益基調を維持しています。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(シンクタンク・コンサルティングサ-ビス)
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止シミュレーション業務をはじめとしたヘルスケア・ウェルネス、先端通信技術関連、エネルギー等の分野が堅調に推移しました。加えて、金融機関向けのコンサルティングサービスなどが伸長し、売上高(外部売上高)は40,376百万円(同16.8%増)となりました。利益面では、前年度に計上した株式会社アイネスの持分法適用関連会社化に伴う負ののれん相当額の剥落に加え、受注損失引当金の計上により、経常利益は、4,197百万円(同20.6%減)となりました。
(ITサービス)
当連結会計年度は、金融・カード分野の大型統合案件が拡大するとともに、サービス型事業である人事給与アウトソーシングサービス及び中学高校向け受験サポートサービスなどが堅調に推移しました。こうした結果、売上高(外部売上高)は62,653百万円(同9.1%増)、経常利益は3,361百万円(同8.7%増)となりました。
(2)財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べて3,451百万円増加し、99,704百万円(前年度末比3.6%増)となりました。内訳としては、流動資産が59,142百万円(同5.6%増)、固定資産が40,561百万円(同0.8%増)となりました。流動資産は、主に売上、受注増加を背景に、現金及び預金が3,341百万円減少、受取手形及び売掛金が4,139百万円、たな卸資産が2,234百万円それぞれ増加したことにより3,114百万円増加しております。固定資産は、主にリースによる顧客向けシステムに係るハードウェアの取得等により336百万円増加しております。
負債は、前連結会計年度末と比べて1,155百万円増加し、35,867百万円(同3.3%増)となりました。これは、未払法人税等が1,896百万円、長期借入金が400百万円それぞれ減少したものの、未払費用が1,914百万円、前受金が756百万円、受注損失引当金が792百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
純資産は、主に利益剰余金が2,709百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べ2,295百万円増加し、63,836百万円(同3.7%増)となりました。自己資本比率は、56.4%となっております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,341百万円減少し、29,097百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、3,252百万円の収入(前連結会計年度は8,637百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益7,826百万円及び減価償却費3,615百万円のほか、売上債権の増加4,139百万円、たな卸資産の増加2,234百万円、未払費用の増加1,914百万円、法人税等の支払額4,148百万円によるものであります。
前連結会計年度との比較においては、税金等調整前当期純利益が3,125百万円減少、法人税等の支払額が2,143百万円増加したこと等により、5,385百万円の収入減となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,970百万円の支出(前連結会計年度は749百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入1,037百万円、投資有価証券の取得による支出491百万円、有形固定資産の取得による支出951百万円、無形固定資産の取得による支出1,665百万円によるものであります。
前連結会計年度との比較においては、投資有価証券の取得による支出が1,424百万円減少、投資有価証券の売却による収入が2,785百万円減少したこと等により、1,221百万円の支出増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、4,624百万円の支出(前連結会計年度は1,106百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出400百万円、配当金の支払額2,298百万円及びリース債務の返済による支出1,051百万円によるものであります。
前連結会計年度との比較においては、長期借入れによる収入が1,700百万円減少、長期借入金の返済が400百万円増加、配当金の支払額が655百万円増加したこと等により、3,518百万円の支出増となりました。
(4)生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年10月1日
至 2021年9月30日)
前年同期比
(%)
シンクタンク・コンサルティングサービス(百万円)43,55324.9
ITサービス(百万円)50,5874.2
合計(百万円)94,14112.9

(注)1.金額は販売価格によっております。なお、セグメント間の取引は、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注状況
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年10月1日
至 2021年9月30日)
受注高
(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比
(%)
シンクタンク・コンサルティングサービス50,94329.441,66134.0
ITサービス67,53613.547,31911.5
システム開発36,370△2.720,622△5.3
アウトソーシングサービス31,16641.026,69629.2
合計118,47919.888,98121.0

(注)1.セグメント間の取引は、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.継続的に役務提供を行い実績に応じて料金を受領するサービスにつきましては、翌連結会計年度の売上見込みを受注残高に計上しております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年10月1日
至 2021年9月30日)
前年同期比
(%)
シンクタンク・コンサルティングサービス(百万円)40,37616.8
ITサービス(百万円)62,6539.1
システム開発(百万円)37,5284.7
アウトソーシングサービス(百万円)25,12416.3
合計(百万円)103,03012.0

(注)1.セグメント間の取引は、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年10月1日
至 2020年9月30日)
当連結会計年度
(自 2020年10月1日
至 2021年9月30日)
金額
(百万円)
割合(%)金額
(百万円)
割合(%)
三菱UFJニコス㈱12,13213.215,99215.5
㈱三菱UFJ銀行9,48810.310,59310.3

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、中期経営計画2023の初年度にあたり、官公庁や金融・カード分野の基盤事業の堅調な需要を取り込むとともに、目標年次である3年後の成長を見据えた先行投資を実施しました。その結果、当社グループの当連結会計年度における業績は、「(1)経営成績の状況」に記載のとおり、売上高は103,030百万円(前年度比12.0%増)、営業利益は6,853百万円(同10.0%増)、経常利益は、7,568百万円(同9.8%減)となりました。経常利益は、前年度比8億円の減少となりましたが、前年度に計上した一時的な持分法投資利益(負ののれん相当額)を除いた、いわば実力ベースの比較では、前年度比約5億円増と増益基調を維持しています。
(シンクタンク・コンサルティングサービス)
当連結会計年度は、官公庁向け重点政策分野の案件や民間企業向けの業務・事業革新コンサルティング及びパッケージ・ソリューション活用型ICTコンサルティング等の堅調な需要を背景に、官公庁及び金融向け案件等の事業が伸長しました。特に大型案件が寄与し、売上高は40,376百万円、前年度比5,795百万円増(同16.8%増)の伸びとなりました。一方、コスト面では、今後の成長に向けた先行投資や人員増による費用増に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、一部の大型調査案件において業務遂行に遅延が生じ受注損失引当金を計上しました。これらのコスト増を増収効果で吸収し、経常利益は4,197百万円となり、前年度に計上した一時的な持分法投資利益(株式会社アイネスの持分法適用会社化に伴って発生した負ののれん相当額1,333百万円)を除いた実力ベースで約2億円の増益となりました。
(ITサービス)
当連結会計年度は、金融・カード分野の受注増加、ビッグデータ活用基盤などのシステム、アウトソーシングサービス、中高大学向けサービスの拡大などに取り組みつつ、今後の成長を実現するための基盤固めや研究開発の強化を優先しました。DX事業や一般民間向け案件の拡大に向けた先行投資や品質強化などの管理コスト増がありましたが、金融・カード分野の大型統合案件拡大などに伴い、売上高は62,653百万円、前年度比5,214百万円増(9.1%増)、経常利益は3,361百万円、前年度比269百万円増(8.7%増)となりました。
② 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2021年9月期に中期経営計画2023(以下、中計2023)を開始し、目標年次である2023年9月期の財務目標を以下のとおり、定めております。
・経常利益:100億円
・ROE :10%
中計2023の初年度にあたる2021年9月期は、成長のための投資を拡充しつつ、増収増益基調を維持しており、計画通りに進捗しております。
中計2023では、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、今後の成長をけん引する成長事業と、当社グループの価値提供並びに競争力の源泉である基盤事業について、それぞれ戦略的な取り組みを進めています。
成長事業においては、行政・民間向けDXやストック型の各事業を本格的な成長軌道にのせていきます。特にITサービスセグメントでは、例えばビッグデータを活用した製造業・金融向けDXに加え、給与計算システム(PROSRV)、中高大学向けの受験サポートシステム(miraicompass)などの伸長を目指します。
こうした展開を下支えするために、社内DX基盤整備を行うほか、DX人財強化等のため人員増強を図ります。
基盤事業については、シンクタンク・コンサルティングセグメントにおけるリサーチ・コンサルティング事業のポートフォリオ入れ替えを推進し、DXに結び付く案件の比重を高めます。また、ポストコロナに向けたオフィス改革等を前広に進めることで、2023年9月期以降の経費削減につなげていきます。
ITサービスセグメントでは、引き続き大型SI案件によって業績をけん引しつつ、売上増に比した販管費抑制を進め利益率向上を図ります。
上述の「成長事業改革」、「基盤事業改革」に加えて、「シンクタンク事業改革」、「人財・風土改革」、「経営システム改革」のあわせて5つの改革に取り組んでおり、その一層の加速化に努めてまいります。
③ 財政状態、キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度の財政状態、キャッシュ・フローの分析につきましては、「(2)財政状態の状況、(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、運転資金に加え、データセンターの設備・機器装置への投資、ソフトウェア開発費用、成長分野への事業投資や研究開発投資などで構成されます。これらの資金需要に対して、主に自己資金を充当し、必要に応じて金融機関からの借入等により調達する方針としております。
また、当社グループは売上高の季節変動が大きく、第2四半期までは支出が先行し営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスになる傾向があります。季節的な資金需要に機動的かつ安定的に対応するため、当座貸越契約を締結しております。
当連結会計年度に実施した設備投資4,049百万円の所要資金は、自己資金とリースによっております。当連結会計年度末における有利子負債の残高は4,926百万円となっております。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は29,097百万円となっており、また好調な業績により自己資本も充実しました。従来にも増して、当社グループの事業・投資を積極的に推進していく財務基盤を備えていると考えております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、期末日における資産及び負債、報告期間における収益及び費用等に影響を与えるような仮定や見積りを必要としております。過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる見積りを行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (注記事項) 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、当社グループの連結財務諸表の金額に特に重要な影響を与える可能性のある主要な会計上の見積り及び仮定は以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (注記事項) 追加情報」に記載しております。
(受注損失引当金)
当社グループは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注契約のうち、将来の損失発生が見込まれ、かつ、当該損失を合理的に見積もることが可能なものについて、翌連結会計年度以降の損失見込額を計上しております。
なお、各決算日時点における受注契約ごとの仕様、遂行体制、納期、進捗状況等に基づき、作業内容や工数を主要な仮定として総費用を見積もり、将来の損失見込額を算定しております。
当社グループのシンクタンク・コンサルティングサービスの主な業務、ITサービスにおけるシステム開発は、仕様や業務内容がお客様の要求に基づき定められております。契約ごとの個別性が高く、お客様要望の高度化、案件の複雑化や完成までの事業環境の変化等によって、当初見積り時には予見不能な作業工数の増加により総費用の見積りが変動することがあります。総費用の見積りが大幅に変動した場合には、受注損失引当金及び売上原価に影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、過去の課税所得水準及び一時差異等のスケジューリングの結果に基づき回収可能性を判断し、将来の課税所得の見込みを主要な仮定として繰延税金資産を計上しております。
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、経営環境に著しい変化が生じるなどにより将来の課税所得の見積額が変動した場合には、将来の繰延税金資産及び税金費用に影響を与える可能性があります。
(退職給付債務及び退職給付費用)
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、数理計算上設定した割引率、昇給率、退職率、死亡率、年金資産の期待運用収益率などを主要な仮定として算定しております。
年金資産の時価の下落、金利環境の変動等により、数理計算の前提に変化が生じた場合には、退職給付債務及び退職給付費用に影響を与える可能性があります。

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