有価証券報告書-第19期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
(1)財政状態及び経営成績の概要
①財政状態
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べて259,827千円減少し、1,245,486千円となりました。これは、売掛金が271,893千円減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べて129,566千円増加し、210,755千円となりました。これは、投資その他の資産の投資有価証券が119,799千円増加したことなどによります。
この結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて130,261千円減少し、1,456,242千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べて64,272千円減少し、110,447千円となりました。これは、前受金が34,502千円、未払金が23,140千円減少したことなどによります。
この結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて64,272千円減少し、110,447千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて65,989千円減少し、1,345,795千円となりました。これは、新株予約権の発行およびその一部の行使による株式の発行により資本金が362,421千円、資本剰余金が362,421千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失を782,398千円計上したことなどによります。
②経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、前半は企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら後半は国内においては10月の消費増税や大型台風が内需を下押しし、海外においては米中貿易摩擦、日韓関係、英国のEU離脱、新型肺炎の流行拡大など依然として先行き不透明な状況が継続しております。
当社グループを取り巻く再生医療分野におきましては、2014年11月25日に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(再生医療等安全性確保法)が施行された以降、新規参入は大手企業を含めて増加しており、今後巨大市場に成長することが見込まれております。また最近では、山中伸弥教授によるヒトiPS細胞の発明以降、iPS細胞の再生医療への応用など実用的な研究開発が数多く行われるようになり、将来における再生医療分野への期待度、関心度はますます高まっております。
このような環境のもと、当社は細胞シート再生医療事業では、食道再生上皮シート、軟骨再生シートの細胞シート再生医療製品パイプラインの自社開発を中心とした研究開発の推進、食道再生上皮シート、軟骨再生シートに続く第三品目の歯根膜再生シートの開発の検討を開始いたしました。
再生医療支援事業では更なる器材事業拡充を目指し、顧客の要望を踏まえた新規器材及び特注品の研究開発に取り組みました。国内の販売面では温度応答性細胞培養器材を中心とした器材製品の拡販に向けた主要販売代理店からの売上情報等の収集分析、共同での営業活動を実施、2019年3月に第18回再生医療学会総会への付設展示会に当社器材を展示するブースを出展するなど、当社器材製品の積極的な販売促進活動の結果、特に海外売上が前年比大幅に増加し器材事業としては過去最高の売上を計上することが出来ました。
前期より開始した当社細胞培養センターを活かした再生医療を支援する新たな事業、再生医療受託事業については、2018年に東京女子医科大学より受注した歯根膜細胞シートの医師主導治験で用いる細胞シートの再生医療受託サービスの第1号案件を2019年第1四半期に売上計上し、その後4号案件まで受注し売上計上しました。また、当社の知名度及び再生医療事業の潜在的成長可能性の認知度向上に向け、当社主催の第1回細胞シート工学イノベーションフォーラムを2019年7月に開催し、160名弱のアカデミア及び企業からの多数の参加があり、細胞シート工学の研究と臨床応用について活発な議論が展開され、好評を博すことができました。また、提携、協業、製造受託などの新たな取引先の開拓に寄与したこともあり、引き続き2020年10月に第2回目の細胞シート工学イノベーションフォーラムを開催する予定であります。
海外事業展開については、当社は台湾の三顧股份有限公司(MetaTech(AP)Inc.、以下「MetaTech社」といいます。)と細胞シート再生医療事業に関する台湾での独占的事業提携契約を2017年4月に締結いたしました。本契約で当社はMetaTech 社に対して細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シート・軟骨再生シート)の台湾での独占的な開発・製造・販売権を付与し、これにより台湾での細胞シート再生医療事業の開発・事業化は、当社支援のもとでMetaTech社が主体となって推進しております。本契約に基づく売上高は、2019年12月期においてマイルストーン売上を150,000千円計上し、このうち20,000千円については、MetaTech社の提携先病院である義大医療財団法人義大病院(台湾高雄市)が申請した「自己軟骨細胞移植」が、2019年12月18日付で、台湾衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)から、細胞治療技術施行計画(日本における先進医療に相当する治療)として承認されたことにより、自己軟骨のマイルストーンとして売上計上したものであります。さらに今後治療を開始し、10症例完了時には、50,000千円のマイルストーン売上を計上する予定です。また将来的には、MetaTech社が開発する軟骨再生シートが上市(販売)に至った際には、MetaTech社の売上高に応じて数%程度のロイヤリティの売上を計上する予定です。
今後も引き続きMetaTech社に対して食道再生上皮シート及び軟骨再生シート事業にかかる支援を行って参ります。
一方、食道、軟骨以外のパイプラインの開発・製造・販売にかかる事業提携は、当社とMetaTech社が中心となり2019年11月に共同出資して、2020年1月に台湾に設立した合弁会社で実施する予定です。
具体的には、設立した合弁会社では、日本又は台湾の大学、研究機関から提供を受けたシーズ技術を基に細胞シート工学を応用した再生医療等製品・治療法の開発を行い、その実現に向けて製品概要の検討、製造方法の最適化などを行います。台湾義大医療財団法人義大病院(台湾高雄市)の杜元坤教授(Dr.YUAN-KUN TU)が開発したシーズが候補の一例です。再生医療支援事業としては、臨床開発のコンサルティング及び製造販売承認申請の支援なども行っていく予定です。
また将来的には、当社が開発した食道、軟骨再生シート以外の品目を導出するのみならず、合弁会社が開発した品目を日本に導入して製造販売承認を目指す方法もあります。その際には当社の売上に寄与するものと考えております。
このような活動を行った結果、当連結会計年度の売上高は275,824千円(前連結会計年度比750,269千円の減少)、営業損失は780,796千円(前連結会計年度は営業利益140,062千円)、経常損失は786,234千円(前連結会計年度は経常利益140,675千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は782,398千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益129,745千円)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(再生医療支援事業)
温度応答性細胞培養器材を中心とする器材販売活動を推進し、上述のように特に海外売上が前年比大幅に増加し器材事業として過去最高の売上を計上することが出来ました。国内におきましても主要代理店を戦略的に集約し、マーケティング情報の共有、マーケティング活動の協業を実施した事も売上拡大に貢献しました。また、当社細胞培養センターを活かした再生医療を支援する新たな事業として2018年11月に開始した再生医療受託事業は、2019年に売上を計上することが出来ました。
このような活動を行った結果、売上高は117,134千円(前連結会計年度比51,040千円の増加)、営業損失は46,531千円(前連結会計年度は営業損失70,272千円)となりました。
(細胞シート再生医療事業)
細胞シート再生医療事業では、食道再生上皮シート及び軟骨再生シートの細胞シート再生医療等製品パイプラインの自社開発を中心とした研究開発を推進しております。
食道再生上皮シート再生医療等製品パイプラインでは、2016年8月より進めて参りました治験について2018年4月までに治験実施施設での症例登録を終了いたしました。本治験の安全性については、本製品に関連した副作用の発生はなく、問題は認められませんでした。一方で、主要評価項目であるESD(内視鏡的粘膜切除術)後8週目の狭窄予防効果において、閾値奏効率(ESD後の無処置患者に対する非狭窄率)に対して統計的な優位性が証明されませんでした。今般、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)より安全性は確認できたものの、有効性については十分なデータであるとは言い切れず、製造販売承認申請については追加の臨床試験を実施し、有効性を確認するデータの提出が必要である旨の回答がありました。
一方、2017年に発刊された食道癌診療ガイドライン(日本食道学会編)では、食道癌の内視鏡治療後の狭窄予防として、ステロイド局注、ステロイド内服のいずれかを行うことを強く推奨すると掲載され、最近では狭窄の予防を図るためステロイドが主な治療法として用いられることが多くなりました。ステロイドは安価で有効な治療法として認知されてきており、追加の臨床試験は対象患者をステロイド投与にリスクがある患者とする必要が生じたことから、対象患者や必要な症例数等についての協議をPMDAと行っております。
このような状況であることから、引き続き開発を進めていく一方、製造販売承認申請の時期についてはPMDAとの協議が完了次第すみやかにお知らせいたします。
軟骨再生シート再生医療等製品パイプラインでは、2019年1月に共同研究先の東海大学医学部付属病院が申請いたしました「自己細胞シートによる軟骨再生治療」が厚生労働省「第71回先進医療会議」において承認されました。なお、当該先進医療が東海大学で開始した際には、当社は自己軟骨細胞シートの受託加工を請け負い2020年に売上計上できる見込みであります。今後も収益を獲得しつつ、引き続き開発を進めて参る予定であります。
また、当社と東海大学の佐藤正人教授は、軟骨細胞シートに関する特許「培養細胞シート、製造方法及びその利用方法」を米国に共同出願し2019年11月に成立いたしました。当該特許は、移植用「軟骨再生シート」の基本特許であり、既に2012年2月7日及び2018年3月27日付でお知らせしております国内および欧州で登録済みの特許(日本特許番号:第4921353号)に対応するものです。これにより、現在開発中の軟骨再生シートを世界の主要な医薬品市場である日米欧において、知的財産面で保護することが出来ました。
また、同種細胞を用いた軟骨再生シートについては、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である2018年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題(同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立)が採択されました。事業期間は2018年10月から2021年3月までの3年間です。この事業では多指症由来軟骨細胞のセルストックの構築、軟骨細胞シートの製造方法や品質管理試験の最適化を行ったのち、安全性試験などのデータ取得を実施し、得られたデータをもとに早期事業化を目指して参ります。この事業において企業が商用利用のためにヒト組織を入手し、細胞ストックを構築するための仕組みづくりを模索しています。しかしながらセルストック構築には、各種医療機関・行政における細胞を採取・保管・供給するための仕組み作りに未だ整備が十分ではない点も見受けられ、組織の入手が遅れました。ようやく2020年1月になって初めて組織の入手ができたことから、当初予定していた治験開始の時期が遅れることになりました。
また共同研究先である東海大学では、同種軟骨細胞シートの臨床研究では10名の患者への移植が2019年12月に完了しました。今後移植1年後の検査結果の報告を期待するところです。
海外展開におきましては、台湾企業(MetaTech社)との間で締結した細胞シート再生医療事業に関する台湾での独占的事業提携契約に基づく売上を150,000千円計上いたしました。
以上のような活動を行った結果、売上高は158,689千円(前連結会計年度比801,310千円の減少)、営業損失は424,248千円(前連結会計年度は営業利益497,664千円)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて7,178千円増加し、1,065,072千円となりました。当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動に使用した資金は577,511千円(前連結会計年度比270,557千円の支出増)となりました。これは、税金等調整前当期純損失を782,571千円計上したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は133,274千円(前連結会計年度比132,151千円の支出増)となりました。これは、投資有価証券の取得による支出119,799千円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は721,248千円(前連結会計年度比696,599千円の収入増)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入718,364千円などによるものです。
④生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
(b)受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
(c)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 最近2連結会計年度の主要な輸出先及び輸出販売高並びに割合は、次のとおりであります。
なお、( )内は販売実績に対する輸出高の割合であります。
3 最近2連結会計年度の主要な販売先及び販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、将来に関する事項は当連結会計年度末日現在において判断したものであり、リスクや不確実性を含んでいます。将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますのでご留意ください。
①財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べて259,827千円減少し、1,245,486千円となりました。これは、売掛金が271,893千円減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べて129,566千円増加し、210,755千円となりました。これは、投資その他の資産の投資有価証券が119,799千円増加したことなどによります。
この結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて130,261千円減少し、1,456,242千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べて64,272千円減少し、110,447千円となりました。これは、前受金が34,502千円、未払金が23,140千円減少したことになどよります。
この結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて64,272千円減少し、110,447千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて65,989千円減少し、1,345,795千円となりまし
た。これは、新株予約権の発行およびその一部の行使による株式の発行により資本金が362,421千円、資本剰余金が362,421千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失を782,398千円計上したことなどによります。
②経営成績の分析
再生医療支援事業では、温度応答性細胞培養器材を中心とする器材販売活動を推進し、特に海外売上が前年比大幅に増加し器材事業として過去最高の売上を計上することが出来ました。国内におきましても主要代理店を戦略的に集約し、マーケティング情報の共有、マーケティング活動の協業を実施した事も売上拡大に貢献しました。また、当社細胞培養センターを活かした再生医療を支援する新たな事業として2018年11月に開始した再生医療受託事業は、2019年に売上を計上することが出来ました。
このような活動を行った結果、売上高は117,134千円(前連結会計年度比51,040千円の増加)、営業損失は46,531千円(前連結会計年度は営業損失70,272千円)となりました。
細胞シート再生医療事業では、食道再生上皮シート及び軟骨再生シートの細胞シート再生医療等製品パイプラインの自社開発を中心とした研究開発を推進しております。
食道再生上皮シート再生医療等製品パイプラインでは、2016年8月より進めて参りました治験について2018年4月までに治験実施施設での症例登録を終了いたしました。本治験の安全性については、本製品に関連した副作用の発生はなく、問題は認められませんでした。一方で、主要評価項目であるESD(内視鏡的粘膜切除術)後8週目の狭窄予防効果において、閾値奏効率(ESD後の無処置患者に対する非狭窄率)に対して統計的な優位性が証明されませんでした。今般、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)より安全性は確認できたものの、有効性については十分なデータであるとは言い切れず、製造販売承認申請については追加の臨床試験を実施し、有効性を確認するデータの提出が必要である旨の回答がありました。
一方、2017年に発刊された食道癌診療ガイドライン(日本食道学会編)では、食道癌の内視鏡治療後の狭窄予防として、ステロイド局注、ステロイド内服のいずれかを行うことを強く推奨すると掲載され、最近では狭窄の予防を図るためステロイドが主な治療法として用いられることが多くなりました。ステロイドは安価で有効な治療法として認知されてきており、追加の臨床試験は対象患者をステロイド投与にリスクがある患者とする必要が生じたことから、対象患者や必要な症例数等についての協議をPMDAと行っております。
このような状況であることから、引き続き開発を進めていく一方、製造販売承認申請の時期についてはPMDAとの協議が完了次第すみやかにお知らせいたします。
軟骨再生シート再生医療等製品パイプラインでは、2019年1月に共同研究先の東海大学医学部付属病院が申請いたしました「自己細胞シートによる軟骨再生治療」が厚生労働省「第71回先進医療会議」において承認されました。なお、当該先進医療が東海大学で開始した際には、当社は自己軟骨細胞シートの受託加工を請け負い2020年に売上計上できる見込みであります。今後も収益を獲得しつつ、引き続き開発を進めて参る予定であります。
また、当社と東海大学の佐藤正人教授は、軟骨細胞シートに関する特許「培養細胞シート、製造方法及びその利用方法」を米国に共同出願し2019年11月に成立いたしました。当該特許は、移植用「軟骨再生シート」の基本特許であり、既に2012年2月7日及び2018年3月27日付でお知らせしております国内および欧州で登録済みの特許(日本特許番号:第4921353号)に対応するものです。これにより、現在開発中の軟骨再生シートを世界の主要な医薬品市場である日米欧において、知的財産面で保護することが出来ました。
また、同種細胞を用いた軟骨再生シートについては、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である2018年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題(同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立)が採択されました。事業期間は2018年10月から2021年3月までの3年間です。この事業では多指症由来軟骨細胞のセルストックの構築、軟骨細胞シートの製造方法や品質管理試験の最適化を行ったのち、安全性試験などのデータ取得を実施し、得られたデータをもとに早期事業化を目指して参ります。この事業において企業が商用利用のためにヒト組織を入手し、細胞ストックを構築するための仕組みづくりを模索しています。しかしながらセルストック構築には、各種医療機関・行政における細胞を採取・保管・供給するための仕組み作りに未だ整備が十分ではない点も見受けられ、組織の入手が遅れました。ようやく2020年1月になって初めて組織の入手ができたことから、当初予定していた治験開始の時期が遅れることになりました。
また共同研究先である東海大学では、同種軟骨細胞シートの臨床研究では10名の患者への移植が2019年12月に完了しました。今後移植1年後の検査結果の報告を期待するところです。
海外展開におきましては、台湾企業(MetaTech社)との間で締結した細胞シート再生医療事業に関する台湾での独占的事業提携契約に基づく売上を150,000千円計上いたしました。
以上のような活動を行った結果、売上高は158,689千円(前連結会計年度比801,310千円の減少)、営業損失は424,248千円(前連結会計年度は営業利益497,664千円)となりました。
③キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて7,178千円増加し、1,065,072千円となりました。当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動に使用した資金は577,511千円(前連結会計年度比270,557千円の支出増)となりました。これは、税金等調整前当期純損失を782,571千円計上したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は133,274千円(前連結会計年度比132,151千円の支出増)となりました。これは、投資有価証券の取得による支出119,799千円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は721,248千円(前連結会計年度比696,599千円の収入増)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入718,364千円などによるものです。
④資本の財源及び資金の流動性
当社は引き続き細胞シート再生医療の実現に向けた研究開発投資を推進する予定であります。そのために必要となる今後の資金については、現有手許資金を充当する他、公的助成・補助の活用、エクイティ・ファイナンスを含めた金融的手法など様々な手段を活用して機動的に手当てを行う方針です。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤として様々な細胞シート再生医療等製品を開発し、その世界普及を目指しております。
当社の基盤技術である細胞シート工学は、バラバラの細胞から生体組織・臓器の基本単位となる「細胞シート」を生体外で人工的に作製することができる再生医療基盤技術です。
細胞シート再生医療については既に様々な組織の再生に関する臨床研究が実施されており、実際にヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示され始めています。
また2014年11月に「医薬品医療機器法」並びに「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が施行され、日本における再生医療を取り巻く環境が大きく変化し、再生医療等製品の産業化が進みつつあります。この日本における大きな外部環境の変化を活かしつつ、上記概要の通り計画を推進して参ります。
⑥経営戦略の現状・問題認識と今後の方針について
上述⑤のような状況の中、この日本における大きな外部環境の変化を活かすべく、下記概要の通り計画を推進して参ります。
●日本で早期の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す
●自己軟骨再生シートは東海大学より先進医療に係る製造を受託。先進医療を見据えて治験実施
●食道再生上皮シート及び軟骨再生シートに続く、第三品目の歯根膜再生シートについて東京医科歯科大学との間で詳細検討に向けた協議終了後、開発に着手する。
●日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極的に推進し収益の拡大を目指す。
●台湾における再生医療ビジネスへの投資拡大を見据え、メタッテク社及び台湾合弁会社との協業を強化し、更なる収益機会獲得を目指す。
●再生医療支援製品の新製品開発及び需要増加に対応した生産能力の確保、更なる収益機会の拡大を目指す。
●受託製造、コンサルティング事業を推進し、更なる収益機会獲得を目指す。
⑦継続企業の前提に関する事項について
当社グループは、当社新株予約権の行使による資金調達の実施により、当連結会計年度末の手元資金(現金及び預金)残高は1,065,072千円となり、財務基盤については安定的に推移しております。一方で事業面におきましては細胞シート再生医療事業の重要課題である当社細胞シート再生医療第1号製品の早期事業化の道程を示すまでには至っておらず、当社グループは当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると判断しております。
当社グループは当該状況の解消を図るべく、以下の施策に取り組んで参ります。
当社細胞シート再生医療第1号製品の早期事業化の実現と事業提携の推進による収益機会の獲得
当社グループは、今後、食道再生上皮シート並びに軟骨再生シートの開発を推進し、当社細胞シート再生医療第1号製品の早期事業化を実現すること、また事業提携先の開拓を通じて、更なる収益機会を獲得していくことで当該状況の解消を図って参ります。
①財政状態
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べて259,827千円減少し、1,245,486千円となりました。これは、売掛金が271,893千円減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べて129,566千円増加し、210,755千円となりました。これは、投資その他の資産の投資有価証券が119,799千円増加したことなどによります。
この結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて130,261千円減少し、1,456,242千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べて64,272千円減少し、110,447千円となりました。これは、前受金が34,502千円、未払金が23,140千円減少したことなどによります。
この結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて64,272千円減少し、110,447千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて65,989千円減少し、1,345,795千円となりました。これは、新株予約権の発行およびその一部の行使による株式の発行により資本金が362,421千円、資本剰余金が362,421千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失を782,398千円計上したことなどによります。
②経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、前半は企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら後半は国内においては10月の消費増税や大型台風が内需を下押しし、海外においては米中貿易摩擦、日韓関係、英国のEU離脱、新型肺炎の流行拡大など依然として先行き不透明な状況が継続しております。
当社グループを取り巻く再生医療分野におきましては、2014年11月25日に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(再生医療等安全性確保法)が施行された以降、新規参入は大手企業を含めて増加しており、今後巨大市場に成長することが見込まれております。また最近では、山中伸弥教授によるヒトiPS細胞の発明以降、iPS細胞の再生医療への応用など実用的な研究開発が数多く行われるようになり、将来における再生医療分野への期待度、関心度はますます高まっております。
このような環境のもと、当社は細胞シート再生医療事業では、食道再生上皮シート、軟骨再生シートの細胞シート再生医療製品パイプラインの自社開発を中心とした研究開発の推進、食道再生上皮シート、軟骨再生シートに続く第三品目の歯根膜再生シートの開発の検討を開始いたしました。
再生医療支援事業では更なる器材事業拡充を目指し、顧客の要望を踏まえた新規器材及び特注品の研究開発に取り組みました。国内の販売面では温度応答性細胞培養器材を中心とした器材製品の拡販に向けた主要販売代理店からの売上情報等の収集分析、共同での営業活動を実施、2019年3月に第18回再生医療学会総会への付設展示会に当社器材を展示するブースを出展するなど、当社器材製品の積極的な販売促進活動の結果、特に海外売上が前年比大幅に増加し器材事業としては過去最高の売上を計上することが出来ました。
前期より開始した当社細胞培養センターを活かした再生医療を支援する新たな事業、再生医療受託事業については、2018年に東京女子医科大学より受注した歯根膜細胞シートの医師主導治験で用いる細胞シートの再生医療受託サービスの第1号案件を2019年第1四半期に売上計上し、その後4号案件まで受注し売上計上しました。また、当社の知名度及び再生医療事業の潜在的成長可能性の認知度向上に向け、当社主催の第1回細胞シート工学イノベーションフォーラムを2019年7月に開催し、160名弱のアカデミア及び企業からの多数の参加があり、細胞シート工学の研究と臨床応用について活発な議論が展開され、好評を博すことができました。また、提携、協業、製造受託などの新たな取引先の開拓に寄与したこともあり、引き続き2020年10月に第2回目の細胞シート工学イノベーションフォーラムを開催する予定であります。
海外事業展開については、当社は台湾の三顧股份有限公司(MetaTech(AP)Inc.、以下「MetaTech社」といいます。)と細胞シート再生医療事業に関する台湾での独占的事業提携契約を2017年4月に締結いたしました。本契約で当社はMetaTech 社に対して細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シート・軟骨再生シート)の台湾での独占的な開発・製造・販売権を付与し、これにより台湾での細胞シート再生医療事業の開発・事業化は、当社支援のもとでMetaTech社が主体となって推進しております。本契約に基づく売上高は、2019年12月期においてマイルストーン売上を150,000千円計上し、このうち20,000千円については、MetaTech社の提携先病院である義大医療財団法人義大病院(台湾高雄市)が申請した「自己軟骨細胞移植」が、2019年12月18日付で、台湾衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)から、細胞治療技術施行計画(日本における先進医療に相当する治療)として承認されたことにより、自己軟骨のマイルストーンとして売上計上したものであります。さらに今後治療を開始し、10症例完了時には、50,000千円のマイルストーン売上を計上する予定です。また将来的には、MetaTech社が開発する軟骨再生シートが上市(販売)に至った際には、MetaTech社の売上高に応じて数%程度のロイヤリティの売上を計上する予定です。
今後も引き続きMetaTech社に対して食道再生上皮シート及び軟骨再生シート事業にかかる支援を行って参ります。
一方、食道、軟骨以外のパイプラインの開発・製造・販売にかかる事業提携は、当社とMetaTech社が中心となり2019年11月に共同出資して、2020年1月に台湾に設立した合弁会社で実施する予定です。
具体的には、設立した合弁会社では、日本又は台湾の大学、研究機関から提供を受けたシーズ技術を基に細胞シート工学を応用した再生医療等製品・治療法の開発を行い、その実現に向けて製品概要の検討、製造方法の最適化などを行います。台湾義大医療財団法人義大病院(台湾高雄市)の杜元坤教授(Dr.YUAN-KUN TU)が開発したシーズが候補の一例です。再生医療支援事業としては、臨床開発のコンサルティング及び製造販売承認申請の支援なども行っていく予定です。
また将来的には、当社が開発した食道、軟骨再生シート以外の品目を導出するのみならず、合弁会社が開発した品目を日本に導入して製造販売承認を目指す方法もあります。その際には当社の売上に寄与するものと考えております。
このような活動を行った結果、当連結会計年度の売上高は275,824千円(前連結会計年度比750,269千円の減少)、営業損失は780,796千円(前連結会計年度は営業利益140,062千円)、経常損失は786,234千円(前連結会計年度は経常利益140,675千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は782,398千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益129,745千円)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(再生医療支援事業)
温度応答性細胞培養器材を中心とする器材販売活動を推進し、上述のように特に海外売上が前年比大幅に増加し器材事業として過去最高の売上を計上することが出来ました。国内におきましても主要代理店を戦略的に集約し、マーケティング情報の共有、マーケティング活動の協業を実施した事も売上拡大に貢献しました。また、当社細胞培養センターを活かした再生医療を支援する新たな事業として2018年11月に開始した再生医療受託事業は、2019年に売上を計上することが出来ました。
このような活動を行った結果、売上高は117,134千円(前連結会計年度比51,040千円の増加)、営業損失は46,531千円(前連結会計年度は営業損失70,272千円)となりました。
(細胞シート再生医療事業)
細胞シート再生医療事業では、食道再生上皮シート及び軟骨再生シートの細胞シート再生医療等製品パイプラインの自社開発を中心とした研究開発を推進しております。
食道再生上皮シート再生医療等製品パイプラインでは、2016年8月より進めて参りました治験について2018年4月までに治験実施施設での症例登録を終了いたしました。本治験の安全性については、本製品に関連した副作用の発生はなく、問題は認められませんでした。一方で、主要評価項目であるESD(内視鏡的粘膜切除術)後8週目の狭窄予防効果において、閾値奏効率(ESD後の無処置患者に対する非狭窄率)に対して統計的な優位性が証明されませんでした。今般、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)より安全性は確認できたものの、有効性については十分なデータであるとは言い切れず、製造販売承認申請については追加の臨床試験を実施し、有効性を確認するデータの提出が必要である旨の回答がありました。
一方、2017年に発刊された食道癌診療ガイドライン(日本食道学会編)では、食道癌の内視鏡治療後の狭窄予防として、ステロイド局注、ステロイド内服のいずれかを行うことを強く推奨すると掲載され、最近では狭窄の予防を図るためステロイドが主な治療法として用いられることが多くなりました。ステロイドは安価で有効な治療法として認知されてきており、追加の臨床試験は対象患者をステロイド投与にリスクがある患者とする必要が生じたことから、対象患者や必要な症例数等についての協議をPMDAと行っております。
このような状況であることから、引き続き開発を進めていく一方、製造販売承認申請の時期についてはPMDAとの協議が完了次第すみやかにお知らせいたします。
軟骨再生シート再生医療等製品パイプラインでは、2019年1月に共同研究先の東海大学医学部付属病院が申請いたしました「自己細胞シートによる軟骨再生治療」が厚生労働省「第71回先進医療会議」において承認されました。なお、当該先進医療が東海大学で開始した際には、当社は自己軟骨細胞シートの受託加工を請け負い2020年に売上計上できる見込みであります。今後も収益を獲得しつつ、引き続き開発を進めて参る予定であります。
また、当社と東海大学の佐藤正人教授は、軟骨細胞シートに関する特許「培養細胞シート、製造方法及びその利用方法」を米国に共同出願し2019年11月に成立いたしました。当該特許は、移植用「軟骨再生シート」の基本特許であり、既に2012年2月7日及び2018年3月27日付でお知らせしております国内および欧州で登録済みの特許(日本特許番号:第4921353号)に対応するものです。これにより、現在開発中の軟骨再生シートを世界の主要な医薬品市場である日米欧において、知的財産面で保護することが出来ました。
また、同種細胞を用いた軟骨再生シートについては、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である2018年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題(同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立)が採択されました。事業期間は2018年10月から2021年3月までの3年間です。この事業では多指症由来軟骨細胞のセルストックの構築、軟骨細胞シートの製造方法や品質管理試験の最適化を行ったのち、安全性試験などのデータ取得を実施し、得られたデータをもとに早期事業化を目指して参ります。この事業において企業が商用利用のためにヒト組織を入手し、細胞ストックを構築するための仕組みづくりを模索しています。しかしながらセルストック構築には、各種医療機関・行政における細胞を採取・保管・供給するための仕組み作りに未だ整備が十分ではない点も見受けられ、組織の入手が遅れました。ようやく2020年1月になって初めて組織の入手ができたことから、当初予定していた治験開始の時期が遅れることになりました。
また共同研究先である東海大学では、同種軟骨細胞シートの臨床研究では10名の患者への移植が2019年12月に完了しました。今後移植1年後の検査結果の報告を期待するところです。
海外展開におきましては、台湾企業(MetaTech社)との間で締結した細胞シート再生医療事業に関する台湾での独占的事業提携契約に基づく売上を150,000千円計上いたしました。
以上のような活動を行った結果、売上高は158,689千円(前連結会計年度比801,310千円の減少)、営業損失は424,248千円(前連結会計年度は営業利益497,664千円)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて7,178千円増加し、1,065,072千円となりました。当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動に使用した資金は577,511千円(前連結会計年度比270,557千円の支出増)となりました。これは、税金等調整前当期純損失を782,571千円計上したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は133,274千円(前連結会計年度比132,151千円の支出増)となりました。これは、投資有価証券の取得による支出119,799千円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は721,248千円(前連結会計年度比696,599千円の収入増)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入718,364千円などによるものです。
④生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
(b)受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
(c)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメント | 当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | 前年同期比(%) |
| 再生医療支援事業(千円) | 117,134 | 77.2 |
| 細胞シート再生医療事業(千円) | 158,689 | △83.5 |
| 合計(千円) | 275,824 | △73.1 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 最近2連結会計年度の主要な輸出先及び輸出販売高並びに割合は、次のとおりであります。
なお、( )内は販売実績に対する輸出高の割合であります。
| 輸出先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 欧州 | 24,538 | 2.5 | 48,725 | 22.8 |
| アジア | 962,739 | 97.4 | 164,552 | 77.0 |
| 米国 | 1,142 | 0.1 | 341 | 0.2 |
| 合計 | 988,421 (96.3%) | 100.0 | 213,619 (77.4%) | 100.0 |
3 最近2連結会計年度の主要な販売先及び販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| MetaTech(AP)INC. | 962,739 | 93.8 | 164,552 | 59.7 |
| Thermo Fisher Scientific Inc. | 24,538 | 2.4 | 48,725 | 17.7 |
| フナコシ(株) | 13,871 | 1.4 | 26,059 | 9.4 |
| 学校法人東京女子医科大学 | 3,849 | 0.4 | 14,074 | 5.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、将来に関する事項は当連結会計年度末日現在において判断したものであり、リスクや不確実性を含んでいます。将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますのでご留意ください。
①財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べて259,827千円減少し、1,245,486千円となりました。これは、売掛金が271,893千円減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べて129,566千円増加し、210,755千円となりました。これは、投資その他の資産の投資有価証券が119,799千円増加したことなどによります。
この結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて130,261千円減少し、1,456,242千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べて64,272千円減少し、110,447千円となりました。これは、前受金が34,502千円、未払金が23,140千円減少したことになどよります。
この結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて64,272千円減少し、110,447千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて65,989千円減少し、1,345,795千円となりまし
た。これは、新株予約権の発行およびその一部の行使による株式の発行により資本金が362,421千円、資本剰余金が362,421千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失を782,398千円計上したことなどによります。
②経営成績の分析
再生医療支援事業では、温度応答性細胞培養器材を中心とする器材販売活動を推進し、特に海外売上が前年比大幅に増加し器材事業として過去最高の売上を計上することが出来ました。国内におきましても主要代理店を戦略的に集約し、マーケティング情報の共有、マーケティング活動の協業を実施した事も売上拡大に貢献しました。また、当社細胞培養センターを活かした再生医療を支援する新たな事業として2018年11月に開始した再生医療受託事業は、2019年に売上を計上することが出来ました。
このような活動を行った結果、売上高は117,134千円(前連結会計年度比51,040千円の増加)、営業損失は46,531千円(前連結会計年度は営業損失70,272千円)となりました。
細胞シート再生医療事業では、食道再生上皮シート及び軟骨再生シートの細胞シート再生医療等製品パイプラインの自社開発を中心とした研究開発を推進しております。
食道再生上皮シート再生医療等製品パイプラインでは、2016年8月より進めて参りました治験について2018年4月までに治験実施施設での症例登録を終了いたしました。本治験の安全性については、本製品に関連した副作用の発生はなく、問題は認められませんでした。一方で、主要評価項目であるESD(内視鏡的粘膜切除術)後8週目の狭窄予防効果において、閾値奏効率(ESD後の無処置患者に対する非狭窄率)に対して統計的な優位性が証明されませんでした。今般、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)より安全性は確認できたものの、有効性については十分なデータであるとは言い切れず、製造販売承認申請については追加の臨床試験を実施し、有効性を確認するデータの提出が必要である旨の回答がありました。
一方、2017年に発刊された食道癌診療ガイドライン(日本食道学会編)では、食道癌の内視鏡治療後の狭窄予防として、ステロイド局注、ステロイド内服のいずれかを行うことを強く推奨すると掲載され、最近では狭窄の予防を図るためステロイドが主な治療法として用いられることが多くなりました。ステロイドは安価で有効な治療法として認知されてきており、追加の臨床試験は対象患者をステロイド投与にリスクがある患者とする必要が生じたことから、対象患者や必要な症例数等についての協議をPMDAと行っております。
このような状況であることから、引き続き開発を進めていく一方、製造販売承認申請の時期についてはPMDAとの協議が完了次第すみやかにお知らせいたします。
軟骨再生シート再生医療等製品パイプラインでは、2019年1月に共同研究先の東海大学医学部付属病院が申請いたしました「自己細胞シートによる軟骨再生治療」が厚生労働省「第71回先進医療会議」において承認されました。なお、当該先進医療が東海大学で開始した際には、当社は自己軟骨細胞シートの受託加工を請け負い2020年に売上計上できる見込みであります。今後も収益を獲得しつつ、引き続き開発を進めて参る予定であります。
また、当社と東海大学の佐藤正人教授は、軟骨細胞シートに関する特許「培養細胞シート、製造方法及びその利用方法」を米国に共同出願し2019年11月に成立いたしました。当該特許は、移植用「軟骨再生シート」の基本特許であり、既に2012年2月7日及び2018年3月27日付でお知らせしております国内および欧州で登録済みの特許(日本特許番号:第4921353号)に対応するものです。これにより、現在開発中の軟骨再生シートを世界の主要な医薬品市場である日米欧において、知的財産面で保護することが出来ました。
また、同種細胞を用いた軟骨再生シートについては、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である2018年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題(同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立)が採択されました。事業期間は2018年10月から2021年3月までの3年間です。この事業では多指症由来軟骨細胞のセルストックの構築、軟骨細胞シートの製造方法や品質管理試験の最適化を行ったのち、安全性試験などのデータ取得を実施し、得られたデータをもとに早期事業化を目指して参ります。この事業において企業が商用利用のためにヒト組織を入手し、細胞ストックを構築するための仕組みづくりを模索しています。しかしながらセルストック構築には、各種医療機関・行政における細胞を採取・保管・供給するための仕組み作りに未だ整備が十分ではない点も見受けられ、組織の入手が遅れました。ようやく2020年1月になって初めて組織の入手ができたことから、当初予定していた治験開始の時期が遅れることになりました。
また共同研究先である東海大学では、同種軟骨細胞シートの臨床研究では10名の患者への移植が2019年12月に完了しました。今後移植1年後の検査結果の報告を期待するところです。
海外展開におきましては、台湾企業(MetaTech社)との間で締結した細胞シート再生医療事業に関する台湾での独占的事業提携契約に基づく売上を150,000千円計上いたしました。
以上のような活動を行った結果、売上高は158,689千円(前連結会計年度比801,310千円の減少)、営業損失は424,248千円(前連結会計年度は営業利益497,664千円)となりました。
③キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて7,178千円増加し、1,065,072千円となりました。当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動に使用した資金は577,511千円(前連結会計年度比270,557千円の支出増)となりました。これは、税金等調整前当期純損失を782,571千円計上したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は133,274千円(前連結会計年度比132,151千円の支出増)となりました。これは、投資有価証券の取得による支出119,799千円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は721,248千円(前連結会計年度比696,599千円の収入増)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入718,364千円などによるものです。
④資本の財源及び資金の流動性
当社は引き続き細胞シート再生医療の実現に向けた研究開発投資を推進する予定であります。そのために必要となる今後の資金については、現有手許資金を充当する他、公的助成・補助の活用、エクイティ・ファイナンスを含めた金融的手法など様々な手段を活用して機動的に手当てを行う方針です。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤として様々な細胞シート再生医療等製品を開発し、その世界普及を目指しております。
当社の基盤技術である細胞シート工学は、バラバラの細胞から生体組織・臓器の基本単位となる「細胞シート」を生体外で人工的に作製することができる再生医療基盤技術です。
細胞シート再生医療については既に様々な組織の再生に関する臨床研究が実施されており、実際にヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示され始めています。
また2014年11月に「医薬品医療機器法」並びに「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が施行され、日本における再生医療を取り巻く環境が大きく変化し、再生医療等製品の産業化が進みつつあります。この日本における大きな外部環境の変化を活かしつつ、上記概要の通り計画を推進して参ります。
⑥経営戦略の現状・問題認識と今後の方針について
上述⑤のような状況の中、この日本における大きな外部環境の変化を活かすべく、下記概要の通り計画を推進して参ります。
●日本で早期の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す
●自己軟骨再生シートは東海大学より先進医療に係る製造を受託。先進医療を見据えて治験実施
●食道再生上皮シート及び軟骨再生シートに続く、第三品目の歯根膜再生シートについて東京医科歯科大学との間で詳細検討に向けた協議終了後、開発に着手する。
●日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極的に推進し収益の拡大を目指す。
●台湾における再生医療ビジネスへの投資拡大を見据え、メタッテク社及び台湾合弁会社との協業を強化し、更なる収益機会獲得を目指す。
●再生医療支援製品の新製品開発及び需要増加に対応した生産能力の確保、更なる収益機会の拡大を目指す。
●受託製造、コンサルティング事業を推進し、更なる収益機会獲得を目指す。
⑦継続企業の前提に関する事項について
当社グループは、当社新株予約権の行使による資金調達の実施により、当連結会計年度末の手元資金(現金及び預金)残高は1,065,072千円となり、財務基盤については安定的に推移しております。一方で事業面におきましては細胞シート再生医療事業の重要課題である当社細胞シート再生医療第1号製品の早期事業化の道程を示すまでには至っておらず、当社グループは当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると判断しております。
当社グループは当該状況の解消を図るべく、以下の施策に取り組んで参ります。
当社細胞シート再生医療第1号製品の早期事業化の実現と事業提携の推進による収益機会の獲得
当社グループは、今後、食道再生上皮シート並びに軟骨再生シートの開発を推進し、当社細胞シート再生医療第1号製品の早期事業化を実現すること、また事業提携先の開拓を通じて、更なる収益機会を獲得していくことで当該状況の解消を図って参ります。