有価証券報告書-第103期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 13:34
【資料】
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【項目】
120項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。なお本項に記載する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末における資産・負債及び収益・費用の計上等に関連しての種々の見積りを行っております。見積り及び判断は過去の実績や現時点で得られる今後の状況などの様々な要因に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
(2)経営成績の分析
① 売上高
連結売上高は主に空調部品売上の減少により、12,181,437千円(前年度比0.6%減)となりました。
② 営業損益
営業損益につきましては、合理化改善効果により、前期比281,294千円改善し、営業利益599,826千円(前年度比88.3%増)を計上しました。
③ 経常損益
経常損益につきましては、為替差損の減少により、前年度比326,079千円改善し、経常利益398,605千円(前年度比449.6%増)となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純損益
親会社株主に帰属する当期純損益につきましては法人税、住民税及び事業税131,118千円を計上いたしましたが、親会社株主に帰属する当期純利益262,285千円(前年度比247,207千円増)となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
価格競争や海外事業に潜在するリスクなど経済状況の変動を含め、様々な要因が挙げられますが、詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりと当社グループは認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合にはその対応に努める所存です。特に特定取引先への製品供給が大きな割合を占めており、かかる特定取引先への販売依存度を下げるため、国内外の新規取引先への営業体制を更に充実するなど、業績変動リスクの分散を図っていく所存であります。
(4)戦略的現状と見通し
当社では「収益力の強化」を中期的な最優先課題と捉え、「選択と集中」概念のもと、当社固有の高性能・高品質な製品をベースにその特性を活かせる用途分野や顧客対象を絞り込んだうえで開発や拡販活動を進めております。
自動車部品事業におきましては、「日本の業界標準」という地位は既に確立していると認識しておりますが、当社製品が更に「世界の業界標準」となるよう活動を進めてまいります。具体的には、主要顧客との国内外の取引を継続、強化する一方、欧米の自動車部品メーカーとの取引を拡大してまいります。主要な欧州メーカーとの量産が開始されており、取引量が拡大する見通しです。特に、独大手自動車メーカーとは、新プラットフォームに当社製品が搭載されることが確定しており、2020年3月期以降本格化する見通しです。また、製品開発ではEV・PHV向けの二次電池、モーター、PCU用各種製品や高温サーミスタの開発を引き続き進めてまいります。
空調部品事業におきましては、主要日系メーカーに重点を置き、当社に優位性がある製品に絞り込むことで安易に価格競争に加わらず、さらに不採算取引を削減する方針ですので、今後売上高としては横ばいで推移する見通しです。一方で、「地産地消」を原則とした3拠点生産や平準化生産を更に押し進め、引き続き採算性の向上を目指します。
エレメント・カスタム部品事業におきましては、「光通信」、「IGPT用パワー半導体」を柱としてまいります。「光通信」用はIOT関連での需要が大きく広がっており、2020年3月期には2017年3月期比530%の増加を見込んでおります。「IGPT用パワー半導体」では独大手半導体メーカーとの取引が確定しており、これが本格化する見通しです。
このように売上としては自動車部品、エレメント・カスタム部品事業分野が伸長し、空調部品事業分野は横ばいとなる見込みですが、エレメント部品は他の部品事業に比べ大幅に収益性が高いことから、エレメント部品シェアの増加により利益率は向上する見通しです。他方、原価面では、さらなる生産合理化や生産管理による平準化生産を拡充することにより原価率を低減し、「収益力の強化」を盤石なものにできるよう取り組んでおります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動で662,318千円獲得し、投資活動で314,963千円使用し、財務活動で236,089千円獲得した結果、前連結会計年度末に比べて604,477千円増加し、996,054千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加650,883千円の資金減少要因に対し、減価償却費352,613千円及びたな卸資産の減少287,560千円等による資金増加、税金等調整前当期純利益が前連結会計年度対比314,149千円増加したことにより、前連結会計年度の556,879千円の獲得に対し、662,318千円の獲得となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の純増減額が72,000千円減少したことにより、前連結会計年度の391,897千円の使用に対して、314,963千円の使用となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出が77,741千円減少しましたが、長期借入金の収入が1,171,671千円増加したことにより、前連結会計年度の196,655千円の使用に対し、236,089千円の獲得となりました。
② 財政状態
当連結会計年度における資産は、8,504,750千円となり前連結会計年度比796,472千円の増加となりました。これは主に現金及び預金の増加によるものであります。
当連結会計年度における負債は、7,095,786千円となり前連結会計年度比280,848千円の増加となりました。これは主に借入金等の増加によるものであります。
当連結会計年度における純資産は1,408,963千円となり前連結会計年度比515,623千円の増加となりました。これは主に資本金等の増加によるものであります。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの主要製品であるサーミスタは、ユーザーである機器メーカーの技術革新のスピードが速く、それらメーカーの新製品の開発に追従して製品開発を継続的に行うことが可能な設計技術体制を強化する必要があります。
また、当社製品は、国内市場のみならず、グローバルに使用される製品であるため、日系メーカーの海外生産拠点及び非日系メーカーに対するサービス及びサポートが必要となっており、海外での技術営業力を強化する必要があります。これらを実現するためには、優秀な人材の確保と育成が最重要課題であると認識しております。
一方、財政状態面では、平成29年3月末時点で、当社として318,059千円、連結グループとして496,990千円の負の利益剰余金を抱えております。まずこれを早期に一掃することが経営の使命と認識しております。