有価証券報告書-第18期(2023/04/01-2024/03/31)

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2024/06/27 13:46
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158項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行されたことで徐々に経済活動の正常化が進み、景気は持ち直しの動きがみられましたが、地政学的リスク等による原材料価格・光熱費の高騰の影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような経営環境下におきまして、当社グループでは、介護事業においてICTを活用することでDX化に努め、業務負担軽減およびサービスの質の向上に取り組んでまいりました。また、人的資本への投資として、社内認定資格の充実、研修プログラムの強化を図り、サービスの質の向上と併せて従業員の育成、定着率向上に取り組んでおります。
経費面におきましても、コスト削減を進めることで経営の効率化を行い業績の安定化を図りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は28,842,902千円(前年同期比7.2%増)、営業利益は589,051千円(前年同期は営業損失798,868千円)、経常利益は1,189,389千円(前年同期は経常損失139,255千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は213,915千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失400,580千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a. 介護事業
介護事業におきましては、介護付きホームを1カ所、デイサービスセンターを1カ所新規開設しております。また、小規模多機能型居宅介護、放課後等デイサービスをそれぞれ1カ所閉鎖しており、当連結会計年度末時点での営業拠点は120カ所197事業所となりました。
なお、当連結会計年度での既存施設の平均入居率は91.5%(前年同期既存平均入居率92.3%)と安定的に推移しました。
それらの結果、売上高は22,830,141千円(前年同期比6.4%増)、セグメント利益は1,585,512千円(同84.2%増)となりました。
b. カラオケ事業
カラオケ事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行されたことにより行動制限が緩和されましたが、資源価格の高騰や円安の進行、物価高等による個人の節約志向が強まる中、売上高は回復基調にはありますが、深夜帯や二次会需要の低迷により緩やかな回復となりました。
それらの結果、売上高は4,940,141千円(前年同期比16.1%増)、セグメント損失は324,471千円(前年同期はセグメント損失769,497千円)となりました。
なお、当連結会計年度において新規開店を行っておらず退店を4店舗行ったことから、当連結会計年度末時点での店舗数は76店舗(前年同期80店舖)となりました。
c.飲食事業
飲食事業におきましては、経済活動の正常化に伴いコロナ禍以前と比べ、完全な回復には至っておりませんが、順調な回復となりました。この結果、売上高は658,466千円(前年同期比31.9%増)、セグメント利益は18,255千円(前年同期はセグメント損失64,915千円)となりました。
なお、当連結会計年度において新規出店を1店舗、退店を1店舗行ったことにより、当連結会計年度末時点での店舗数は10店舗となりました。
d.不動産事業
不動産事業におきましては、当連結会計年度においては、販売用不動産の売買及び賃貸不動産の仲介業務等を中心に行っております。前連結会計年度に投資した賃貸用不動産及び収益不動産が、堅調に収益を確保することができており、今後も当該事業においては情報収集の強化と積極的な展開を検討してまいります。
この結果、売上高は350,270千円(前年同期比33.6%減)、セグメント利益は128,628千円(同12.1%減)となりました。
e.その他
その他におきましては、前連結会計年度より有料職業紹介事業の許可の取得および特定技能外国人材の支援業務の委託を受けることができる登録支援機関として登録されたことにより、有料職業紹介事業において外部への特定技能外国人材の紹介および登録支援機関として支援業務に注力しております。
また、グループ内の特定技能外国人材の支援業務についても内製化することでコスト削減に取り組んでおります。
この結果、売上高は63,882千円(前年同期比62.5%減)、セグメント利益は38,088千円(前年同期はセグメント損失97,572千円)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べ1,055,468千円増加し、31,123,160千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末より1,468,549千円増加し、14,996,786千円となりました。主な要因は、現金及び預金が1,312,200千円、売掛金が140,042千円、有価証券が100,000千円増加し、販売用不動産が62,349千円減少したこと等によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末より413,081千円減少し、16,126,374千円となりました。主な要因は、建物及び構築物が144,139千円、土地が156,304千円、その他(投資その他の資産)が84,027千円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比べ950,641千円増加し、18,755,950千円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末より927,197千円増加し、9,263,470千円となりました。主な要因は、買掛金が67,934千円、未払法人税等が514,354千円、その他(流動負債)が359,703千円増加したこと等によるものです。
固定負債は前連結会計年度末より23,443千円増加し、9,492,480千円となりました。主な要因は、資産除去債務(固定負債)が94,382千円増加し、繰延税金負債が67,498千円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末より104,827千円増加し、12,367,209千円となりました。主な要因は、その他の包括利益累計額が71,157千円増加したこと等によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1,039,159千円増加し、10,093,700千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況については下記のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,986,306千円(前年同期は7,277千円の収入)となりました。収入の主な内訳は税金等調整前当期純利益が820,597千円、減価償却費の計上が645,639千円、減損損失の計上が524,056千円であり、支出の主な内訳は法人税等の支払額が246,202千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、708,820千円(前年同期は2,591,997千円の支出)となりました。支出の主な内訳は有形固定資産の取得による支出が862,704千円、定期預金の預入による支出が825,575千円であり、収入の主な内訳は有形固定資産の売却による収入が362,921千円、定期預金の払戻による収入が564,488千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、255,610千円(前年同期は20,177千円の支出)となりました。支出の主な内訳は長期借入金の返済による支出が3,265,832千円、配当金の支払額が193,800千円であり、収入の主な内訳は、長期借入れによる収入が3,327,000千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注実績
該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高
(千円)
前年同期比(%)
介護事業22,830,1416.4
カラオケ事業4,940,14116.1
飲食事業658,46631.9
不動産事業350,270△33.6
その他63,882△62.5
合計28,842,9027.2

(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 当連結会計年度のその他は、介護事業・カラオケ事業・飲食事業・不動産事業以外の合計であり、株式会社ウチヤマホールディングスの有料職業紹介事業、特定技能外国人材等への支援業務及び合弁会社PT. Sawayaka Fujindo Indonesiaの職業訓練事業等が該当します。
3 前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
福岡県国民健康保険団体連合会4,814,28017.94,883,77716.9

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
a.経営成績の分析
(売上高)
売上高につきましては、28,842,902千円(前年同期比7.2%増)となりました。介護事業におきましては、前期開設した施設の入居者が増加したこと、また当期において介護付きホームを1カ所等の新規施設開設を行ったことにより、売上高は順調に推移いたしました。カラオケ事業及び飲食事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行されたことにより行動制限が緩和され、前年同期の売上高を上回りました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識並びに分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上総利益)
売上総利益につきましては、エネルギー価格の高騰に伴い光熱費及び原材料価格の高騰等により厳しい環境が続いておりますが、売上高が順調に推移したことにより2,102,119千円(前年同期比178.5%増)となりました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費につきましては、コスト削減を進めた結果、1,513,067千円(前年同期比2.6%減)となりました。主な内容は人件費及び租税公課となります。この結果、営業利益は、589,051千円(前年同期は営業損失798,868千円)となりました。
(経常利益)
営業外収益につきましては、受取保険金及び補助金収入が減少したことにより、721,018千円(前年同期比12.0%減)となりました。営業外費用につきましては、災害損失が減少したことにより、120,680千円(前年同期比24.5%減)となりました。この結果、経常利益は、1,189,389千円(前年同期は経常損失139,255千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益につきましては、前連結会計年度より助成金収入が減少したことにより、192,209千円(前年同期比33.8%減)となりました。特別損失につきましては、介護事業において5施設、カラオケ事業において52店舗、飲食事業において6店舗、不動産事業において賃貸等不動産1物件等の減損損失を計上したことから、561,001千円(前年同期比108.7%増)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、213,915千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失400,580千円)となりました。
b.財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
② 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期
自己資本比率(%)54.346.042.140.839.7
時価ベースの自己資本比率(%)20.925.520.617.423.0
キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)
3.2-7.81,878.46.9
インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)
49.8-28.50.133.0

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利息の支払額
(注) 1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2 キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しています。
3 株式時価総額は、期末株価×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
5 2021年3月期の営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率並びにインタレスト・カバレッジ・レシオは算定しておりません。
b.資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度におきましては、1,018,465千円の設備投資を行い、その主なものは、介護事業における介護施設の新設によるものです。これらの設備投資においては、借入金及び自己資金等で賄っております。また、資金の流動性については、当連結会計年度における流動比率は、161.9%となっており、今後、十分な流動性を確保するために、比率を高めてまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成の状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2022年5月19日に公表した「中期経営計画」(2023年3月期~2025年3月期の3ヵ年)において「成長戦略」をこれからのテーマの中心におき、既存事業の充実に加えて、介護事業を中心としたM&Aや、新規事業の開発などを積極的に検討し、将来の企業の成長に向けての体制強化に取り組んでおります。
ただし、ワクチン接種の進行により経済活動への制限は徐々に緩和されておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響は今後も一定期間継続するものの、売上高は徐々に回復すると見込んでおります。そのような環境下にあるため、財務目標としては、2025年3月期においてROEは6.6%以上を確保できるよう努めてまいります。