有価証券報告書-第17期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/26 14:30
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による感染者数増加の影響を受けながらも行動規制等が緩和され、徐々に経済活動の正常化が進み、景気は持ち直しの動きがみられましたが、地政学的リスク等による原材料価格・光熱費の高騰の影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが展開するカラオケ事業及び飲食事業におきましては、長期化した新型コロナウイルス感染症拡大防止対策により大人数での会食や宴会に対する自主的な自粛等のビジネス層の利用控えなどにより、想定よりも回復に遅れが見られております。
このような経営環境下におきまして、当社グループでは、各セグメントにおいて新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を優先課題として捉えるとともに、経営への影響を考慮した対応策を検討し、推し進めてまいりました。
経費面におきましても、コスト削減を進めることで経営の効率化を行い業績の安定化を図りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は26,911,561千円(前年同期比7.8%増)、営業損失は798,868千円(前年同期は営業損失529,169千円)、経常損失は139,255千円(前年同期は経常損失169,994千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は400,580千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失650,043千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a. 介護事業
介護事業におきましては、住宅型有料老人ホームを1ヶ所介護付有料老人ホームに転換し、それに伴い、デイサービスセンター、訪問介護事業所、居宅支援事業所をそれぞれ1ヶ所閉鎖しました。そのほか、障がい者支援事業の相談室事業所を閉鎖しております。また、障がい児通所支援事業放課後等デイサービスを4事業所、介護付有料老人ホームを3カ所新規開設しており、当連結会計年度末時点での営業拠点は121カ所198事業所となりました。
新型コロナウイルス感染症の第7波および8波が到来し、在宅介護サービスにおいては一部ご利用を控える動きが見られました。また、施設サービスにおける新規入居につきましても、入居予定施設内で感染が発生している状況下では、入居を延期されるケースも多く見られるなど当初の想定との乖離が生まれました。
それらの結果、当連結会計年度での既存施設の平均入居率は92.3%(前年同期既存平均入居率92.3%)となりました。
一方で、経費面では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に伴う入国制限の緩和がなされたことにより、インドネシアの現地法人において日本語の履修を終えて待機していた技能実習生等86名が当連結会計年度に入国したため、受け入れに伴う費用を計上しております。また、エネルギー価格の高騰に伴い光熱費が大幅に上昇しております。なお、売上高は21,458,826千円(前年同期比4.4%増)、セグメント利益は860,762千円(同33.9%減)となりました。
b. カラオケ事業
カラオケ事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の収束に兆しが見られないものの、感染症の分類見直しをはじめとして社会経済の正常化が進展し、消費の回復が期待されています。他方、資源価格の高騰や円安の進行、物価高による個人消費の低迷は懸念されております。このような情勢のもと、引き続き、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を徹底することで、店舗の衛生環境の整備に取り組んでおります。
それらの結果、売上高は4,256,009千円(前年同期比53.6%増)、セグメント損失は769,497千円(前年同期はセグメント損失987,012千円)となりました。
なお、当連結会計年度において新規開店を行っておらず退店を3店舗行ったことから、当連結会計年度末時点での店舗数は80店舗(前年同期83店舖)となりました。
c.飲食事業
飲食事業におきましては、カラオケ事業同様に新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい経営環境が続いております。この結果、売上高は499,075千円(前年同期比89.7%増)、セグメント損失は64,915千円(前年同期はセグメント損失155,408千円)となりました。
なお、当連結会計年度において業態変更を1店舗、退店を1店舗行ったことにより、当連結会計年度末時点での店舗数は10店舗となりました。
d.不動産事業
不動産事業におきましては、当連結会計年度においては、販売用不動産の売買及び賃貸不動産の仲介業務等を中心に行っておりますが、2月には賃貸マンション(67戸)を新築し賃貸用不動産への投資を新たに行ったことや、3月には介護事業のノウハウを生かし、優良な介護施設を収益不動産として2ヶ所取得するなどこれまでにない取り組みを始めております。今後も、当該事業においては情報収集の強化と積極的な展開を検討して参ります。この結果、売上高は527,273千円(前年同期比56.3%減)、セグメント利益は146,319千円(同48.6%減)となりました。
e.その他
その他におきましては、2022年8月10日付けにて特定技能外国人材の支援業務の委託を受けることができる登録支援機関として登録しており支援業務を開始しております。また、2022年12月1日付けにて有料職業紹介事業の許可を取得し、主に外国人材を対象とする人材紹介業務を開始いたしました。
ホテル事業におきましては、カラオケ事業、飲食事業と同様に新型コロナウイルス感染症による影響が想定よりも長引いた上、資源価格の高騰や円安の進行、物価高等により厳しい事業環境が継続しました。
この結果、売上高は170,376千円(前年同期比2.8%増)、セグメント損失は97,572千円(前年同期はセグメント損失118,594千円)となりました。
なお、ホテル事業については、当連結会計年度末をもって撤退をしております。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べ502,755千円減少し、30,067,691千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末より2,134,028千円減少し、13,528,236千円となりました。主な要因は、現金及び預金が2,601,473千円、販売用不動産が145,986千円減少し、売掛金が217,967千円、有価証券が100,000千円、その他(流動資産)が292,780千円増加したこと等によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末より1,631,273千円増加し、16,539,455千円となりました。主な要因は、建物及び構築物が1,579,544千円、土地が424,451千円、その他(投資その他の資産)が162,343千円増加し、その他(有形固定資産)が366,503千円、投資有価証券が133,399千円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比べ120,063千円増加し、17,805,309千円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末より1,054,271千円減少し、8,336,272千円となりました。主な要因は、短期借入金が360,000千円、1年内返済予定の長期借入金が589,397千円、未払法人税等が218,010千円減少したこと等によるものです。
固定負債は前連結会計年度末より1,174,335千円増加し、9,469,036千円となりました。主な要因は、長期借入金が1,252,452千円増加し、社債が60,000千円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末より622,819千円減少し、12,262,382千円となりました。主な要因は、配当金の支払い及び親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が減少したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて2,604,834千円減少し、9,054,541千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況については下記のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は7,277千円(前年同期は1,715,362千円の収入)となりました。収入の主な内訳は減価償却費の計上が673,980千円、減損損失の計上が267,064千円であり、支出の主な内訳は売上債権の増加額が217,125千円、法人税等の支払額が705,341千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,591,997千円(前年同期は1,505,633千円の支出)となりました。支出の主な内訳は有形固定資産の取得による支出が2,464,568千円、投資有価証券の取得による支出が109,000千円、定期預金の預入による支出が620,963千円であり、収入の主な内訳は定期預金の払戻による収入が624,483千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、20,177千円(前年同期は917,860千円の収入)となりました。支出の主な内訳は短期借入金の減少額が360,000千円、長期借入金の返済による支出が3,343,944千円、配当金の支払額が193,908千円であり、収入の主な内訳は、長期借入れによる収入が4,007,000千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注実績
該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高
(千円)
前年同期比(%)
介護事業21,458,8264.4
カラオケ事業4,256,00953.6
飲食事業499,07589.7
不動産事業527,273△56.3
その他170,3762.8
合計26,911,5617.8

(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 当連結会計年度のその他は、介護事業・カラオケ事業・飲食事業・不動産事業以外の合計であり、株式会社さわやか倶楽部のホテル事業及び合弁会社PT. Sawayaka Fujindo Indonesiaの職業訓練事業等が該当します。
3 前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
福岡県国民健康保険団体連合会4,921,69419.74,814,28017.9

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
a.経営成績の分析
(売上高)
売上高につきましては、26,911,561千円(前年同期比7.8%増)となりました。介護事業におきましては、前期開設した施設の入居者が増加したこと、また当期において介護付有料老人ホーム3カ所等の新規施設開設を行ったことにより、売上高は順調に推移いたしました。カラオケ事業及び飲食事業におきましては、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、厳しい事業環境は続いておりますが、2020年3月期には及ばないものの緩やかな回復基調にあります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識並びに分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上総利益)
売上総利益につきましては、新型コロナウイルス感染症により定着した消費行動から客足は鈍く、また、エネルギー価格の高騰に伴い光熱費及び原材料価格の高騰等により754,801千円(前年同期比28.6%減)となりました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費につきましては、コスト削減を進めた結果、1,553,669千円(前年同期比2.0%減)となりました。主な内容は人件費及び租税公課となります。この結果、営業損失は、798,868千円(前年同期は営業損失529,169千円)となりました。
(経常利益)
営業外収益につきましては、補助金収入が増加したことにより、819,531千円(前年同期比64.4%増)となりました。営業外費用につきましては、災害損失が増加したことにより、159,917千円(前年同期比14.9%増)となりました。この結果、経常損失は、139,255千円(前年同期は経常損失169,994千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益につきましては、前連結会計年度より助成金収入が減少したことにより、290,417千円(前年同期比72.4%減)となりました。特別損失につきましては、介護事業において2施設、カラオケ事業において28店舗、飲食事業において3店舗、不動産事業において賃貸等不動産1物件の減損損失を計上したことから、268,808千円(前年同期比73.5%減)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、400,580千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失650,043千円)となりました。
b.財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
② 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
2019年3月期2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期
自己資本比率(%)54.054.346.042.140.8
時価ベースの自己資本比率(%)29.620.925.520.617.4
キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)
-3.2-7.81,878.4
インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)
-49.8-28.50.1

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利息の支払額
(注) 1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2 キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しています。
3 株式時価総額は、期末株価×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
5 2019年3月期及び2021年3月期の営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率並びにインタレスト・カバレッジ・レシオは算定しておりません。
b.資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度におきましては、主に介護事業にて介護施設の新設、不動産事業における賃貸マンションの新築及び収益不動産の取得に伴い2,586,850千円の設備投資を行いました。これらの設備投資においては、借入金及び自己資金等で賄っております。また、資金の流動性については、当連結会計年度における流動比率は、162.3%となっており、今後、十分な流動性を確保するために、比率を高めてまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成の状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「中期経営計画」(2023年3月期~2025年3月期の3ヵ年)において「成長戦略」をこれからのテーマの中心におき、既存事業の充実に加えて、介護事業を中心としたM&Aや、新規事業の開発などを積極的に検討し、将来の企業の成長に向けての体制強化に取り組んでおります。
ただし、ワクチン接種の進行により経済活動への制限は徐々に緩和されておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響は今後も一定期間継続するものの、売上高は徐々に回復すると見込んでおります。そのような環境下にあるため、財務目標としては、2025年3月期においてROEは6.6%以上を確保できるよう努めてまいります。