有価証券報告書-第14期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/25 11:49
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157項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、企業収益や雇用環境の改善が続き、緩やかな回復基調で推移していたものの、消費税増税に加えて新型コロナウイルス感染症が全世界に広まりを見せたことから、個人消費や企業の活動への影響が拡大し、年度末の状況は極めて厳しいものとなりました。また、先行きの不透明性が増し、回復の見通しが立てづらい状況となっております。
このような経営環境下におきまして、当社グループでは、各セグメントで事業戦略に基づく営業活動等を積極的に推し進めてまいりました。また、介護事業、カラオケ事業、飲食事業間において、相互のシナジー効果を向上させるよう様々な取り組みを企画し実践するなどして、積極的にサービスの付加価値向上に努めました。
経費面におきましても、コスト削減を進めることで経営の効率化を行い業績の安定化を図りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は30,295,077千円(前年同期比11.3%増)、営業利益は1,075,874千円(同4.9%増)、経常利益は1,321,019千円(同0.4%減)となりました。また、固定資産の将来の回収可能性を検討した結果、主にカラオケ事業において帳簿価額を回収可能価額まで減損処理することとし、減損損失1,078,457千円を計上したことなどから親会社株主に帰属する当期純利益は1,099,557千円減少し、2,652千円(同99.8%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a. 介護事業
介護事業におきましては、介護付有料老人ホーム2カ所を開設したほか、訪問看護ステーションを1事業所新規開設しました。これらにより、当連結会計年度末時点での営業拠点は104カ所182事業所となりました。
当連結会計年度におきましては、産学官連携をさらに推し進めております。公立大学法人九州歯科大学との連携では、社内資格の口腔ケア認定士の育成に努め、2020年3月末での資格取得者は1,117名となりました。口腔ケアを充実させたことで、誤嚥性肺炎等の疾病予防が進んでおります。
国立大学法人九州工業大学との連携では、IOTの技術を利用し、介護スタッフの行動分析の実証実験を行った結果をもとに、AI等を活用した職員の業務効率化に向けた取り組みも進めております。
国立大学法人九州大学との連携では、生きがいづくりをテーマにライフマップという入居者様の情報収集ツールを開発しております。それを活用することで、施設入居後の生活をより充実したものとなるように努めております。
これらに加えて既存施設におきましては、近隣の病院や居宅介護支援事業所への訪問による連携の強化を推進することで入居率の安定化を目指した結果、当連結会計年度での既存施設の平均入居率は94.4%となりました(前期平均95.7%)。一方で、経費面では、当初計画した介護人員を確保することが出来なかったため、派遣人材で補うなどした結果、派遣人件費が予定を上回ることとなりました。これらの結果、売上高は19,050,915千円(前年同期比6.5%増)、セグメント利益は1,106,496千円(同10.7%減)となりました。
b. カラオケ事業
カラオケ事業におきましては、新規出店を3店舗行った一方で退店を3店舗行ったことから、当連結会計年度末時点での店舗数は91店舗(前年同期91店舖)となりました。既存店舖では、SNSを活用しクーポン等を積極的に送信するなどしてリピート客の増加を図ったほか、商品力強化のためのメニュー変更や会員ポイント10倍キャンペーンを行うなどしました。しかし、8月には九州北部地域において集中豪雨、9月には首都圏を大型台風が直撃するなど自然災害が相次いで発生したことや9月から11月にかけてはラグビーワールドカップ2019日本大会が開催され国民の大きな注目を集めたこと、さらに10月からの消費税増税などが重なったことで集客が想定を下回る状況となりました。加えて、当連結会計年度の終盤には世界中に拡大している新型コロナウイルス感染症の影響による外出及びイベントの自粛が拡がったため、客足が鈍化することとなりました。この結果、売上高は6,832,737千円(前年同期比6.4%減)、セグメント利益は569,271千円(同35.4%減)となりました。
c.飲食事業
飲食事業におきましては、閉店を1店舗行ったことにより、当連結会計年度末時点での店舗数は国内16店舗、海外2店舗となりました。営業面では、カラオケ事業と同様に、ラグビーワールドカップ開催や自然災害、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出自粛等の影響から集客の鈍化が見られました。この結果、売上高は1,249,241千円(前年同期比21.3%減)、セグメント損失は5,119千円(前年同期はセグメント利益51,848千円)となりました。
d.不動産事業
不動産事業におきましては、大型の販売用不動産の売却等を行ったことにより大幅な増収増益となっております。この結果、売上高は2,955,853千円(前年同期は売上高197,478千円)、セグメント利益は556,820千円(前年同期はセグメント利益20,046千円)となりました。
e.その他
その他におきましては、ホテル事業において、宿泊客の増加、宴会の獲得、日帰り入浴の促進等に取り組みました。しかしながら、カラオケ事業、飲食事業同様に自然災害、新型コロナウイルス感染症の影響などから集客が減少しております。この結果、売上高は206,328千円(前年同期比9.8%減)、セグメント損失は76,881千円(前年同期はセグメント損失53,660千円)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べ449,744千円減少し、29,622,290千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末より474,302千円減少し、15,075,227千円となりました。主な要因は、販売用不動産が2,215,059千円減少し、現金及び預金が1,519,071千円、売掛金が116,728千円増加したこと等によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末より24,558千円増加し、14,547,062千円となりました。主な要因は、建設仮勘定が918,199千円、その他(投資その他の資産)が244,312千円増加し、建物及び構築物が846,110千円、土地が270,973千円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比べ298,050千円減少し、13,544,085千円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末より458,615千円減少し、6,298,234千円となりました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が399,517千円、未払法人税等が245,400千円、その他(流動負債)が553,617千円減少し、短期借入金が722,600千円増加したこと等によるものです。
固定負債は前連結会計年度末より160,564千円増加し、7,245,851千円となりました。主な要因は、長期借入金が315,478千円増加し、その他(固定負債)が100,506千円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末より151,694千円減少し、16,078,205千円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加と配当金の支払による減少により利益剰余金が191,379千円減少したこと等によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1,515,574千円増加し、10,371,661千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況については下記のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は3,072,233千円(前年同期は317,132千円の支出)となりました。収入の主な内訳は減価償却費の計上が774,095千円、減損損失の計上が1,078,457千円、たな卸資産の減少額が2,220,175千円であり、支出の主な内訳はその他の流動負債の減少額が303,308千円、法人税等の支払額が769,105千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,672,948千円(前年同期は1,366,683千円の収入)となりました。収入の主な内訳は投資有価証券の売却による収入が354,176千円、定期預金の払戻による収入が283,806千円であり、支出の主な内訳は有形固定資産の取得による支出が1,621,825千円、投資有価証券の取得による支出が200,000千円、定期預金の預入による支出が285,036千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、113,655千円(前年同期は1,227,551千円の支出)となりました。収入の主な内訳は短期借入金の増加額が722,600千円、長期借入れによる収入が2,680,000千円であり、支出の主な内訳は長期借入金の返済による支出が2,764,039千円、割賦債務の返済による支出が270,767千円、配当金の支払額が194,137千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注実績
該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高
(千円)
前年同期比(%)
介護事業19,050,9156.5
カラオケ事業6,832,737△6.4
飲食事業1,249,241△21.3
不動産事業2,955,8531,496.8
その他206,328△9.8
合計30,295,07711.3

(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 当連結会計年度のその他は、介護事業・カラオケ事業・飲食事業・不動産事業以外の合計であり、株式会社さわやか倶楽部のホテル事業が該当します。
3 前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
福岡県国民健康保険団体連合会4,964,67818.25,028,00316.6

4 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
a.経営成績の分析
(売上高)
売上高につきましては、30,295,077千円(前年同期比11.3%増)となりました。この増加の主な要因は、介護事業において前期開設した施設の入居者が増加したこと、また当期において新規の施設開設を介護付有料老人ホーム2カ所及び訪問看護ステーション1事業所を行ったこと並びに不動産事業において大型の販売用不動産の売却を行ったことなどであります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識ならびに分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上総利益)
売上総利益につきましては、介護事業において、前期に開設した施設の入居が順調に進んだことや不動産事業における販売用不動産の売却が要因となり、2,801,537千円(前年同期比3.0%増)となりました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費につきましては、1,725,663千円(前年同期比1.9%増)となりました。主な内容は人件費及び公租公課のほか、IR等の費用となります。この結果、営業利益は、1,075,874千円(前年同期比4.9%増)となりました。
(経常利益)
営業外収益につきましては、374,740千円(前年同期比6.6%減)となりました。営業外費用につきましては、129,596千円(前年同期比28.6%増)となりましたが、これは為替差損及び災害損失が増加したことが主な要因です。この結果、経常利益は、1,321,019千円(前年同期比0.4%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益につきましては、当連結会計年度は発生がなく、前連結会計年度は670,292千円でした。特別損失につきましては、介護事業において7施設、カラオケ事業において29店舗、飲食事業において8店舗、不動産事業において賃貸等不動産4物件、その他事業においてホテル1施設の減損損失を計上するなどした結果、1,089,667千円(前年同期比157.4%増)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、2,652千円(前年同期比99.8%減)となりました。
b.財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
2016年3月期2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期
自己資本比率(%)49.448.751.354.054.3
時価ベースの自己資本比率(%)33.128.238.329.620.9
キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)
13.36.55.1-3.2
インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)
7.421.230.2-49.8

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利息の支払額
(注) 1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2 キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しています。
3 株式時価総額は、期末株価×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
5 2019年3月期の営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率並びにインタレスト・カバレッジ・レシオは算定しておりません。
b.資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度におきましては、主に介護事業における介護施設及びカラオケ事業における店舗の新規開設に伴い1,719,874千円の設備投資を行いました。これらの設備投資においては、借入金及び自己資金等で賄っております。また、資金の流動性については、当連結会計年度における流動比率は、239.4%となっており、今後、十分な流動性を確保するために、比率を高めてまいります。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、当連結会計年度末における経営成績等の状況に影響を与えるような重要な会計方針及び各種引当金の見積りの概要につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 追加情報」に記載されているとおりであります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成の状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「中期経営計画」(2020年3月期~2022年3月期の3ヵ年)において「成長戦略」をこれからのテーマの中心におき、既存事業の充実に加えて、介護事業を中心としたM&Aや、新規事業の開発などを積極的に検討し、将来の企業の成長に向けての体制強化に取り組んでおります。
ただし、2019年の年末頃より新型コロナウイルス感染症が全世界に広まりを見せたことから、個人消費や企業の活動への影響が拡大したため、先行きの不透明性が増し、回復の見通しが立てづらい状況となっております。そのような環境下にあるため、当社は2020年3月期における財務目標は具体的に掲げておりません。新型コロナウイルス感染症への対応策を優先的に講じつつ、以前の状況を回復した折にはROEは5.0%以上を確保できるよう努めてまいります。