有価証券報告書-第14期(2025/07/01-2026/06/30)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、賃上げ進展に伴う実質賃金の増加基調や家計の購買力回復を背景に、内需主導での緩やかな拡大が続きました。特に企業の構造的な課題解決に向けたDXやAIの利活用・省人化投資は、政策支援の後押しもあり一段と加速しております。一方、米国の通商政策を巡る不確実性に加え、中東情勢の緊迫化に伴う資源価格の高騰や地政学的リスクの長期化など、国際経済における懸念拡大を背景に、依然として先行き不透明な状況が続きました。
当社グループの事業領域であるデジタルマーケティング市場及びマーケティングリサーチ市場は、顧客企業によるDX(デジタルトランスフォーメーション)への旺盛な投資を背景に堅調となっており、今後も中期的な成長が予想されます。一方で、消費者の購買行動は多様化が加速しており、これに対応した消費者ニーズ調査手法の革新やプロモーション手段の進化が求められるなど、競争環境の激化が想定されます。
こうした経営環境のなか、当社グループは、中期経営方針におけるテーマ「Unite&Generate」に基づき、グループシナジーを積極的に推進し、新たな付加価値を創出すると同時に、グループ各社の経営品質を向上させる取り組みを推進しました。
この結果、当連結会計年度における売上高は33,204百万円(前年同期比14.9%増)、営業利益は1,790百万円(同29.1%減)、経常利益は1,809百万円(同24.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は796百万円(同41.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、経営成績の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
(デジタルマーケティング事業)
デジタルマーケティング事業では、国内のグループ各社がデジタル領域に軸足を置き、インフルエンサーマーケティング支援や販促支援メディアの運営等の「ソーシャル&デジタルプロモーション」、システムの受託開発及び保守・運用、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関わる総合コンサルティング等の「SI・DXコンサルティング」、デジタル領域における人材派遣やBPOサービス等の「マーケティングHR」を提供しております。
同事業の外部顧客に対する売上高は16,670百万円(前年同期比33.1%増)となりました。その内訳として、1)「ソーシャル&デジタルプロモーション」売上高はインフルエンサーマーケティングやIPプロモーション分野が大きく伸びたことに加え、株式会社DIGITALIO及び株式会社スタートリングの新規連結効果により前期比42.1%増の11,731百万円、2)「SI・DXコンサルティング」売上高は既存のシステム開発分野が概ね前期並みとなったものの株式会社Coumの新規連結効果により前期比14.2%増の2,421百万円、3)「マーケティングHR」売上高はデジタル領域の人材支援・BPOサービスが好調で前期比17.5%増の2,519百万円となったことによるものです。
同事業のセグメント利益(営業利益)は1,030百万円(同14.4%増)となりました。この主な要因は、売上高増加によるものです。
(リサーチ・インサイト事業)
リサーチ・インサイト事業では、国内外のグループ各社において、オンライン・オフライン双方でのマーケティングデータ収集、複合的な分析、消費者インサイトの発掘、レポート作成等を通じ、お客様企業のマーケティング戦略における意思決定への支援を行っております。
同事業の外部顧客に対する売上高は16,534百万円(前年同期比1.0%増)となりました。その内訳として、1)「国内」売上高は、不透明な経済情勢の中でもお客様企業のリサーチ需要は底堅く、前期比2.3%増の11,711百万円と小幅ながら増収を確保した一方、2)「海外」売上高につきましては、主力の米国では増収を確保したものの、英国、インド、インドネシアが苦戦したこと等により前期比2.1%減の4,823百万円となったことによるものです。
同事業のセグメント利益(営業利益)は3,067百万円(同19.8%減)となりました。その主因は、海外売上高の伸び悩みと、販売費及び一般管理費の増加などによるものです。
当連結会計年度末の財政状態は、資産については、流動資産が22,547百万円(前連結会計年度末比9,677百万円増)となりました。主な項目としては、現金及び預金11,478百万円、売掛金5,523百万円となっております。固定資産は4,160百万円(同609百万円増)となりました。主な項目としては、ソフトウエア449百万円、のれん1,506百万円、投資その他の資産のその他に含まれる敷金677百万円となっております。その結果、総資産は26,707百万円(同10,286百万円増)となりました。
負債については、流動負債が14,003百万円(前連結会計年度末比8,586百万円増)となりました。主な項目としては、買掛金1,901百万円、契約負債2,238百万円、預り金4,489百万円、1年内返済予定の長期借入金1,636百万円、短期借入金497百万円となっております。固定負債は4,338百万円(同1,321百万円増)となりました。主な項目としては、長期借入金3,888百万円となっております。その結果、負債は18,341百万円(同9,907百万円増)となりました。
純資産は8,366百万円(前連結会計年度末比379百万円増)となりました。主な項目としては利益剰余金が7,887百万円となっております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は11,478百万円(前連結会計年度末比3,844百万円増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果増加した資金は、1,854百万円となりました。主な要因は、法人税等の支払額870百万円などの減少要因があった一方で、税金等調整前当期純利益1,712百万円の計上、減価償却費264百万円の計上、のれん償却額314百万円の計上などによる増加要因があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果増加した資金は、782百万円となりました。主な要因は、有形・無形固定資産の取得による支出339百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出596百万円などの減少要因があった一方で、貸付金の回収による収入1,825百万円などによる増加要因があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果増加した資金は、1,064百万円となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出1,272百万円、自己株式の取得による支出380百万円、配当金の支払額280百万円などの減少要因があった一方で、長期借入れによる収入3,000百万円の増加要因があったことによります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当社グループでは、販売実績のほとんどが生産実績であることから、記載を省略しております。
b. 受注実績
当社グループでは、概ね受注から納品までの期間が短く、受注管理を行う必要性が乏しいため記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2025年7月1日 至 2026年6月30日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| デジタルマーケティング事業 | 16,670,354 | 33.1 |
| リサーチ・インサイト事業 | 16,533,599 | 1.0 |
| 合計 | 33,203,953 | 14.9 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループでは、経営に委託された資本を最も効率よく活用すべく、適正資本構成を維持したうえでの収益力を図ることができるROEを、最も重要な経営指標として位置付けております。同時に、当社グループが成長段階であるとの認識に立ち、株主の収益成長期待に応えるため、売上高成長率、営業利益率を重視した事業経営に取り組んでおります。
[売上高成長率について]
当連結会計年度の売上高成長率は、14.9%(前連結会計年度は10.4%)となりました。売上高成長率が前期比で上昇した主因は、デジタルマーケティング事業において、株式会社DIGITALIO及び株式会社スタートリングの新規連結を開始したことに加え、インフルエンサーマーケティングやIPプロモーション等の高成長事業がけん引したことで、同事業の売上高が前期比33.1%増加したためであります。一方、リサーチ・インサイト事業では、米国関税政策や中東情勢悪化の影響により顧客のマーケティングリサーチ活動が一部で停滞し、とりわけ海外リサーチが苦戦したことで、同事業の売上高は前期比1.0%増にとどまりました。
こうした中、引き続き当社グループは、成長ドライバーとして位置付けるデジタルマーケティング事業ではM&Aを含む成長投資を適切に継続し、またリサーチ・インサイト事業においては売上高成長力及び収益性の回復につとめ、連結売上高全体として10%以上の売上高成長率を中期的に確保するための取り組みを実行してまいります。
[営業利益率について]
当連結会計年度の売上高営業利益率は5.4%(前連結会計年度は8.7%)となりました。営業利益率が前年同期比で下落した主な要因は、比較的セグメント利益率の低いデジタルマーケティング事業の売上高構成比が上昇(前期比6.9%ポイント上昇)したことに加え、リサーチ・インサイト事業のセグメント利益率が低下(前期比4.8%ポイント低下)したこと、等によります。
今後は、デジタルマーケティング事業のセグメント利益率の改善や、リサーチ・インサイト事業の収益回復等の、収益力向上施策に取り組み、連結売上高営業利益率の改善を目指します。
[ROEについて]
当連結会計年度のROEは、9.7%(前連結会計年度は18.0%)となりました。ROEが前期比で低下した要因は、1)売上高当期純利益率の低下と、2)総資産回転率の低下の影響が大きく、3)財務レバレッジの上昇でカバーできなかったことによるものです。以下、要素項目ごとに説明いたします。
1)売上高当期純利益率(親会社株主に帰属する当期純利益÷売上高)は2.4%となり、前期の4.7%から大きく低下しました。これは主に、上述のとおり売上高営業利益率が前期比で低下したことに加え、固定資産の減損損失および投資有価証券評価損などの特別損失を計上したことによるものです。
2)総資産回転率(売上高÷期首期末単純平均総資産)は1.54回となり、前年同期の1.75回に対し小幅ながら低下しました。要因として、上述のとおり売上高成長率が14.9%となった一方で、株式会社DIGITALIOの連結化を主因として総資産が前期末比で62.6%増となり、売上高の増加を上回ったためであります。
3)財務レバレッジ(期末総資産÷期末自己資本)は3.19倍となり前連結会計年度末の2.06倍に対し上昇いたしました。これは、利益創出等に伴う純資産ならびに自己資本の増加があった一方で、株式会社DIGITALIOの連結化を主因として総資産が増加したことによります。
当連結会計年度末の財政状態は、資産については、流動資産が22,547百万円(前連結会計年度末比9,677百万円増)となりました。主な項目としては、現金及び預金11,478百万円、売掛金5,523百万円となっております。固定資産は4,160百万円(同609百万円増)となりました。主な項目としては、ソフトウェア449百万円、のれん1,506百万円、投資その他の資産のその他に含まれる敷金677百万円となっております。増加の主な要因は、新規連結による現金及び預金及び売掛金等の増加であります。その結果、総資産は26,707百万円(同10,286百万円増)となりました。
負債については、流動負債が14,003百万円(前連結会計年度末比8,586百万円増)となりました。主な項目としては、買掛金1,901百万円、契約負債2,238百万円、預り金4,489百万円、1年内返済予定の長期借入金1,636百万円、短期借入金497百万円となっております。固定負債は4,338百万円(同1,321百万円増)となりました。主な項目としては、長期借入金3,888百万円となっております。増加の主な要因は、新規連結による預り金の増加、連結子会社における契約負債の増加及び長期借入金の新規借入による増加であります。その結果、負債は18,341百万円(同9,907百万円増)となりました。
純資産は8,366百万円(前連結会計年度末比379百万円増)となりました。主な項目としては利益剰余金が7,887百万円となっております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュフローの状況)
当連結会計年度においては、持続的な成長の実現のため様々な取り組みを通じて、グループのビジネスモデルの進化と各事業における対応領域の拡大を推進しており、税金等調整前当期純利益を1,712百万円計上いたしましたことから、営業活動によるキャッシュ・フローは1,854百万円の資金の増加となりました。
また、下記「(資本の財源)」に記載のとおり、長期借入金について3,000百万円の借入をした一方で、1,272百万円の資金を返済しており、財務活動によるキャッシュ・フローは1,064百万円の資金の増加となりました。
その結果、現金及び現金同等物の期末残高が3,844百万円増加しております。
2026年度については、現段階の計画において大規模な資本的支出の予定は無く、今後の資金需要については、手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達を実施いたします。
その他については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資本の財源)
当連結会計年度においては、デジタルマーケティング事業の拡大を目的として、また、グループとして事業基盤を維持し、継続的な成長のための投資を実行していくことを目的として、長期借入金3,000百万円を調達いたしました。
(資金の流動性)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は11,478百万円(前年同期比3,844百万円増)であり、有利子負債は主に金融機関からの借入金であります。なお、流動比率は161.0%であります。グループ全体として、一定の流動性は確保しており、現時点において懸念される点は無いと認識しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末における資産及び負債、連結会計年度における収益及び費用に影響を及ぼすような仮定や見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、仮定あるいは条件の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
b. 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損の検討にあたり、管理会計上の区分を基礎として資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額は、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しており、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、今後当社の連結業績に影響を与えるリスクとして特に注視すべき不透明な要因として、混迷が長期化するウクライナや中東情勢のほか、原材料価格の高騰や急激な為替レートの変動などが挙げられます。これらの要因が当社の顧客の企業活動に影響をもたらし、顧客企業の新商品・サービス開発投資、マーケティングDX投資、販売促進活動等が想定以上に急激に変更(加速または縮減)された場合、当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があるものと認識しております。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。