有価証券報告書-第21期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症流行とそれに伴う緊急事態宣言の発令から、経済活動が停滞するというかつてない状況となりました。緊急事態宣言が解除された5月以降には小康状態となり、経済活動は徐々に再開されましたが、季節的に各種感染症の罹患が増加する11月頃から感染症は再び拡大傾向に転じ、現在に至るまで直接対面を前提としたビジネスの実施が厳しい環境が続いております。
このような環境下、Web会議やWebセミナー配信等のオンラインソリューションは感染症拡大下において経済活動を継続していくために必要不可欠な社会インフラとして日本社会に広く浸透し、ビジネスのリモート化、オンライン化が急速に進行いたしました。当初は緊急避難的な利用として開始されたオンライン化ツールでしたが、移動時間削減による生産性向上や遠隔地との商談による商圏の拡大等、多くの企業がその有用性を認識したため、新型コロナウイルスの流行収束後もこの傾向は継続するものと考えております。
以上の市場環境により、当社グループが展開するオンラインソリューションの認知度が向上したとともに事業規模は拡大いたしました。
また、テレワ―クの定着及びリモートを活用したコミュニケーションDXによる生産性・生活の質の向上の実現に向けて、当連結会計年度において以下の項目を実施いたしました。
(ⅰ)Web会議ツールの継続的提供と市場拡大への貢献
緊急事態宣言下における必須ツールとしてWeb会議ツールを導入する企業が増加し、当社のWeb会議サービスである「V-CUBEミーティング」につきましても2月頃より問い合わせ件数が急増いたしました。緊急事態宣言が発令された4月をピークとして徐々に落ち着いたものの、サービス利用数や利用時間は依然としてコロナ禍以前よりも高水準で推移しております。Web会議ツールは今や企業活動に欠かせない社会インフラとなったため、今後も提供サービスの安定運用ができるよう機能開発・品質改善活動を継続してまいります。
(ⅱ)イベント配信サービス事業の拡大
様々な業界でイベント及びセミナーがオンライン開催にシフトしていく中、当社におけるイベント配信及びサポート件数は3月以降急増いたしました。オンラインイベント配信サービスの需要は来期以降、更に増加していく見込みであることから、キャパシティ拡大のための人材採用や機材調達等の先行投資を実施いたしました。
(ⅲ)テレワークを支援するセキュアなワークブース「テレキューブ」の提供
テレワークの普及に伴い在宅勤務者が増加するにつれ、家庭では実施しにくい機密性の高い商談や業務を遂行するためのセキュアな空間に対するニーズが郊外においても発生いたしました。このような需要に応えるため、従来展開していた都心部の駅周辺のみならず、郊外地域においてもテレキューブ設置台数を積極的に拡大いたしました。また、企業側ではこのような在宅勤務者とのWeb会議を開催するための会議室需要が増加したため、企業におけるテレキューブの設置台数も増加いたしました。
これらのミッション実現施策とともに、企業として持続的成長を実現していくための新規事業領域の創出や、株式会社としての使命たる企業価値最大化のための業績向上と株主還元も併せて実施いたしております。
当連結会計年度の業績は以下のとおりです。
(単位:千円)
当連結会計年度において、売上高は前年同期比で30.0%増加いたしました。これは主に、Web会議サービスや映像組み込みサービスの需要増加により、ビジュアルコミュニケーション事業売上高が伸長したことによるものです。
営業利益においては、事業拡大のための人員増により人件費を中心に販売費及び一般管理費が前年同期比で220,374千円増加したものの、ビジュアルコミュニケーション事業の売上割合が高まったことにより利益額は伸長し、前年同期比1,331,345千円増の1,046,392千円となりました。
営業外損益においては、為替が大きく変動する状況下でのグループ会社間の資金決済により為替差益26,776千円(前年同期比1,625.3%増)を計上しました。また、持分法適用会社であるテレキューブサービス株式会社では昨今の在宅勤務の増加に応え、住宅エリアの私鉄の駅や大型スーパー等への積極的な投資を行ったことにより、持分法による投資損失63,935千円を計上しました。
特別損益においては、保有投資有価証券の見直しと評価替えを実施した結果、海外投資の評価損132,612千円および投資有価証券の売却益148,122千円を計上いたしました。
なお、当社グループでは2020年11月に中期経営計画を公表しており、当連結会計年度は売上高79億円、営業利益9億円、親会社株主に帰属する当期純利益10億円を計画しており、これら全ての指標を達成いたしました。また、ROEとNOPLAT※ベースの配当性向の目標(27%、20%)に対して、配当性向は今後の成長投資を踏まえて15%となりましたが、ROEは33%と目標を大きく上回りました。
※NOPLAT:Net Operating Profit Less Adjusted Tax(みなし税引後利益)
セグメント別の業績は、以下のとおりです。
Ⅰ.ビジュアルコミュニケーション事業
(単位:千円)
Web会議サービス「V-CUBE ミーティング」やWebセミナー配信サービス「V-CUBE セミナー」をはじめとする「V-CUBE」各サービスについて、「クラウド」型、「オンプレミス」型による提供をしております。
当連結会計年度では、Web会議サービスの需要が増加したことに加えて、コロナ禍を契機として急速に進行したイベントのオンライン化により、製薬業界を中心としたセミナー及びイベントの配信ビジネスの増加傾向が加速し、売上高は前年同期比49.0%増の6,062,071千円となりました。また、これらのサービスの伸長に伴ってセグメント利益も増加し、前年同期比377.5%増の1,309,793千円となりました。
Ⅱ.ラーニングマネジメントシステム事業
(単位:千円)
シンガポール子会社Wizlearn Technologies Pte. Ltd.が、学習管理システム「ASKnLearn」を主にASEANの学校・企業向けに提供しております。
当連結会計年度では、アイスタディ株式会社(現:株式会社クシム、以下「アイスタディ」)が前連結会計年度において連結子会社でなくなったことから売上高は前年同期比25.7%減の780,686千円となりました。
また、セグメント利益は122,689千円(前年同期はセグメント損失13,813千円)となりました。これは、季節性要因により第1四半期に収益性が低くなるアイスタディが連結除外となったこと、及び新型コロナウイルスの影響を一部受けたものの、シンガポールにおける企業向けサービスの販売活動が概ね堅調に推移したためであります。
Ⅲ.アプライアンス事業
(単位:千円)
防音型コミュニケーションブース「テレキューブ」について、公共空間向けや企業向けに販売するほか、サブスクリプション型のサービスを提供しております。加えて、テレビ会議システム「V-CUBE BOX」や、ディスカッションテーブル「V-CUBE Board」のほか、Web会議等に必要となる周辺機器の販売を行っております。
当連結会計年度では、第2四半期まで新型コロナウイルスの影響により「テレキューブ」の設置・販売が遅延しましたが、第3四半期より徐々に再開し、第4四半期では企業における会議室需要やテレワークの定着に伴う防音型ブースの需要の増加により販売台数が拡大いたしました。この結果、売上高は前年同期比15.2%増の1,439,811千円となり、セグメント利益は前年同期比38.8%増の182,842千円となりました。
② 財政状態の状況
(単位:千円)
a.資産
当連結会計年度末において、資産残高は前期末比3,028,328千円増の10,031,260千円となりました。これは、第4四半期における売上高の拡大により売掛金が増加したこと、また、販売活動の伸長及び前期末に一時的に減少させていたコミットメントライン等の借入金を再度増額したことにより、現金及び預金の残高が増加したためであります。
b.負債
資産の状況と同様に、販売活動の伸長により、買掛金、前受金残高が増加し、設備投資の一環として実施したリース取引の実行によりリース債務残高が増加いたしました。また、前期末に一時的に減少していた借入金を増額したことにより短期借入金残高も増加しております。この結果、負債残高は前期末比2,251,979千円増の6,205,842千円となりました。
c.純資産
上述のとおり、販売活動の伸長による買掛金等残高の増加及びコミットメントライン等の実行により借入金残高が増加したことにより、自己資本比率は37.8%(前連結会計年度末は43.2%)となりました。また、販売活動の伸長により親会社株主に帰属する当期純利益1,138,279千円を計上した一方、株主還元を目的とした自己株式の買い付けを実施したことにより、純資産残高は前期末比776,348千円増の3,825,417千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:千円)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は1,975,280千円となりました。これは利益率の高いビジュアルコミュニケーション事業が伸長したことで営業利益が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は935,455千円となりました。これは主に当社グループサービスの開発投資としての無形固定資産の取得に860,113千円を支出したためであります。この他、自社スタジオ増床のための敷金の差入れにより120,118千円を支出しております。また、グループ会社基盤強化のためテレキューブサービス株式会社への増資として、133,000千円を支出したほか、投資対象先の見直しを行ったことにより投資有価証券の取得に117,377千円を支出し、投資有価証券売却により209,264千円の収入が生じております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は950,756千円となりました。これは主に、前期末に一時的に減少させたコミットメントライン等の短期借入金を再度増額したことにより、1,174,950千円の収入があったためです。この他、長期借入金の返済により593,320千円を支出しております。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、当社サービスの新規開発や機能拡充のための開発投資、イベント配信サービス(オンラインセミナー配信サービス)に使用する配信機材の調達、テレキューブを中心とするハードウェアの仕入調達であります。
開発投資についてはソフトウェア償却額と同程度の水準を目安とすることにより財務健全性を維持することとしております。また、配信機材やハードウェアは自己資金またはデットファイナンスによる調達を行っておりますが、特に配信機材の調達については回収期間や機材の陳腐化を総合的に判断して、借入またはリースの期間を決定しております。
また、得られたフリーキャッシュフローについては、上述の開発投資やイベント配信ビジネスへの投資のほか、配当性向20%を目安とし、中長期的には30%を想定した株主還元を行ってまいります。なお、株価が割安と判断された場合は手許資金及び会社法上の分配可能額を勘案しながら積極的に自社株買いを実施してまいります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標は以下のとおりです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)1.各指標の計算方法は以下のとおりであります。
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
5.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を利用しております。
⑤ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注状況の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
② 販売実績
(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況 に記載のとおりです。
(3)経営者による分析
Ⅰ.ビジュアルコミュニケーション事業
ビジュアルコミュニケーション事業においては、コロナ禍を契機として当社サービスの需要が増加する中、ツール提供のみとなる「汎用型Web会議サービス」から付加価値の高いSaaS+Service型でサービス提供を行う「ソリューション」への売上高構成のシフトチェンジが見られました。
イベント配信サービス売上高の推移 (単位:百万円)
当連結会計年度においてビジュアルコミュニケーション事業の売上高は伸長いたしましたが、特に、年後半にかけてSaaS+Service型のイベント配信サービスの売上が急伸し、当第4四半期連結会計期間において前年同期比299.0%増の1,273百万円に到達し、当該事業セグメント売上高に占める割合も57.5%に上昇いたしました。このイベントWeb配信サービスの成長がビジュアルコミュニケーション事業の拡大に貢献いたしました。
イベント配信サービスは、配信現場における対面でのサービス提供を含むことから、緊急事態宣言のあった第2四半期連結会計期間には配信回数が減少し、緊急事態宣言解除後の第3四半期連結会計期間以降から急増しております。当該傾向及び緊急事態宣言後から2020年末にかけて国内における人の往来はある程度回復していたことから、イベント配信サービスには潜在的には大きな需要があり、今後、アフターコロナ下において往来の自由な環境が回復したとしても、当該サービスが積極的に選択される可能性が高いと考えております。
Ⅱ.ラーニングマネジメントシステム事業
ラーニングマネジメントシステム事業においては、前連結会計年度において、子会社であったアイスタディ株式会社が株式売却により当社グループから外れたため、当セグメントはシンガポール子会社であるWizlearn Technologies Pte. Ltd.(以下「Wizlearn」とする)の事業が主体となりました。
Wizlearnでは学校向けのLMSサービスを主力としておりましたが、昨今のシンガポール政府の政策により、同政府が一部の学校向けのLMSの導入を進めたことにより、当連結会計年度における学校向けの売上高が減少いたしました。他方で、政府補助金が支給される政策も追い風となり、企業向けサービスの市場が成長すると見込んでおります。Wizlearnにおいても企業向けサービスへのシフトを進めた結果、2期連続売上が増加(2019年は前期比10.9%増、2020年は前期比9.1%増)いたしました。
コロナ禍の影響により企業向け案件の受注が停滞したことから、当連結会計年度におけるLMS アジア合計での売上高は前年を上回らなかったものの、企業向け売上自体は2期連続で売上が増加したことから、当該分野での成長見込みは十分あると考えております。引き続き企業向けサービスの拡大を進めることにより、今後の成長を目指してまいります。
LMS アジアの販売先別売上高推移 (単位:千SGD)
(注) 為替変動の影響を除外するため、現地通貨で記載しております。
Ⅲ.アプライアンス事業
アプライアンス事業においては、取扱製品に大型機材が多いことから、当連結会計年度半ばまではコロナ禍の影響を受けて設置・販売が停滞したものの、その後は前年に引き続き、防音型スマートワークブースの「テレキューブ」を中心に需要が戻り、累計設置台数が拡大いたしました。
テレキューブについては、当連結会計年度より従来の「販売型」に加えて契約期間中は月額定額料金で利用することが可能な「サブスクリプション型」での提供を開始いたしました。「サブスクリプション型」は「販売型」に比べて初期導入コストが抑えられるメリットがあるため、より幅広い顧客層へのアプローチが可能となりました。
また、主要駅やオフィスビルを中心とした公共空間においては、ビジネスパーソンに対してリモートワーク時の場所を提供するソリューションとして本格展開を進めてまいりました。この結果、当連結会計年度における販売実績台数は1,671台(前年比335%増)に拡大いたしました。
在宅勤務者や顧客との面談でWeb会議を利用する機会が増加する中、企業内における会議室需要や公共空間におけるセキュアなコミュニケーションスペースに対する需要は拡大しており、テレキューブに対する需要は今後も続いていくものと考えております。
テレキューブ累計設置台数 (単位:台)
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症流行とそれに伴う緊急事態宣言の発令から、経済活動が停滞するというかつてない状況となりました。緊急事態宣言が解除された5月以降には小康状態となり、経済活動は徐々に再開されましたが、季節的に各種感染症の罹患が増加する11月頃から感染症は再び拡大傾向に転じ、現在に至るまで直接対面を前提としたビジネスの実施が厳しい環境が続いております。
このような環境下、Web会議やWebセミナー配信等のオンラインソリューションは感染症拡大下において経済活動を継続していくために必要不可欠な社会インフラとして日本社会に広く浸透し、ビジネスのリモート化、オンライン化が急速に進行いたしました。当初は緊急避難的な利用として開始されたオンライン化ツールでしたが、移動時間削減による生産性向上や遠隔地との商談による商圏の拡大等、多くの企業がその有用性を認識したため、新型コロナウイルスの流行収束後もこの傾向は継続するものと考えております。
以上の市場環境により、当社グループが展開するオンラインソリューションの認知度が向上したとともに事業規模は拡大いたしました。
また、テレワ―クの定着及びリモートを活用したコミュニケーションDXによる生産性・生活の質の向上の実現に向けて、当連結会計年度において以下の項目を実施いたしました。
(ⅰ)Web会議ツールの継続的提供と市場拡大への貢献
緊急事態宣言下における必須ツールとしてWeb会議ツールを導入する企業が増加し、当社のWeb会議サービスである「V-CUBEミーティング」につきましても2月頃より問い合わせ件数が急増いたしました。緊急事態宣言が発令された4月をピークとして徐々に落ち着いたものの、サービス利用数や利用時間は依然としてコロナ禍以前よりも高水準で推移しております。Web会議ツールは今や企業活動に欠かせない社会インフラとなったため、今後も提供サービスの安定運用ができるよう機能開発・品質改善活動を継続してまいります。
(ⅱ)イベント配信サービス事業の拡大
様々な業界でイベント及びセミナーがオンライン開催にシフトしていく中、当社におけるイベント配信及びサポート件数は3月以降急増いたしました。オンラインイベント配信サービスの需要は来期以降、更に増加していく見込みであることから、キャパシティ拡大のための人材採用や機材調達等の先行投資を実施いたしました。
(ⅲ)テレワークを支援するセキュアなワークブース「テレキューブ」の提供
テレワークの普及に伴い在宅勤務者が増加するにつれ、家庭では実施しにくい機密性の高い商談や業務を遂行するためのセキュアな空間に対するニーズが郊外においても発生いたしました。このような需要に応えるため、従来展開していた都心部の駅周辺のみならず、郊外地域においてもテレキューブ設置台数を積極的に拡大いたしました。また、企業側ではこのような在宅勤務者とのWeb会議を開催するための会議室需要が増加したため、企業におけるテレキューブの設置台数も増加いたしました。
これらのミッション実現施策とともに、企業として持続的成長を実現していくための新規事業領域の創出や、株式会社としての使命たる企業価値最大化のための業績向上と株主還元も併せて実施いたしております。
当連結会計年度の業績は以下のとおりです。
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率(%) | |
| 売上高 | 6,369,887 | 8,282,569 | 1,912,682 | 30.0 |
| 営業利益 | △284,953 | 1,046,392 | 1,331,345 | - |
| 経常利益 | △341,846 | 1,020,100 | 1,361,946 | - |
| 親会社帰属当期純利益 | 34,386 | 1,138,279 | 1,103,893 | 3,210.3 |
当連結会計年度において、売上高は前年同期比で30.0%増加いたしました。これは主に、Web会議サービスや映像組み込みサービスの需要増加により、ビジュアルコミュニケーション事業売上高が伸長したことによるものです。
営業利益においては、事業拡大のための人員増により人件費を中心に販売費及び一般管理費が前年同期比で220,374千円増加したものの、ビジュアルコミュニケーション事業の売上割合が高まったことにより利益額は伸長し、前年同期比1,331,345千円増の1,046,392千円となりました。
営業外損益においては、為替が大きく変動する状況下でのグループ会社間の資金決済により為替差益26,776千円(前年同期比1,625.3%増)を計上しました。また、持分法適用会社であるテレキューブサービス株式会社では昨今の在宅勤務の増加に応え、住宅エリアの私鉄の駅や大型スーパー等への積極的な投資を行ったことにより、持分法による投資損失63,935千円を計上しました。
特別損益においては、保有投資有価証券の見直しと評価替えを実施した結果、海外投資の評価損132,612千円および投資有価証券の売却益148,122千円を計上いたしました。
なお、当社グループでは2020年11月に中期経営計画を公表しており、当連結会計年度は売上高79億円、営業利益9億円、親会社株主に帰属する当期純利益10億円を計画しており、これら全ての指標を達成いたしました。また、ROEとNOPLAT※ベースの配当性向の目標(27%、20%)に対して、配当性向は今後の成長投資を踏まえて15%となりましたが、ROEは33%と目標を大きく上回りました。
※NOPLAT:Net Operating Profit Less Adjusted Tax(みなし税引後利益)
セグメント別の業績は、以下のとおりです。
Ⅰ.ビジュアルコミュニケーション事業
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 4,068,869 | 6,062,071 | 1,993,202 | 49.0% |
| セグメント利益 | 274,306 | 1,309,793 | 1,035,487 | 377.5% |
Web会議サービス「V-CUBE ミーティング」やWebセミナー配信サービス「V-CUBE セミナー」をはじめとする「V-CUBE」各サービスについて、「クラウド」型、「オンプレミス」型による提供をしております。
当連結会計年度では、Web会議サービスの需要が増加したことに加えて、コロナ禍を契機として急速に進行したイベントのオンライン化により、製薬業界を中心としたセミナー及びイベントの配信ビジネスの増加傾向が加速し、売上高は前年同期比49.0%増の6,062,071千円となりました。また、これらのサービスの伸長に伴ってセグメント利益も増加し、前年同期比377.5%増の1,309,793千円となりました。
Ⅱ.ラーニングマネジメントシステム事業
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 1,051,001 | 780,686 | △270,315 | △25.7% |
| セグメント利益 | △13,813 | 122,689 | 136,502 | - |
シンガポール子会社Wizlearn Technologies Pte. Ltd.が、学習管理システム「ASKnLearn」を主にASEANの学校・企業向けに提供しております。
当連結会計年度では、アイスタディ株式会社(現:株式会社クシム、以下「アイスタディ」)が前連結会計年度において連結子会社でなくなったことから売上高は前年同期比25.7%減の780,686千円となりました。
また、セグメント利益は122,689千円(前年同期はセグメント損失13,813千円)となりました。これは、季節性要因により第1四半期に収益性が低くなるアイスタディが連結除外となったこと、及び新型コロナウイルスの影響を一部受けたものの、シンガポールにおける企業向けサービスの販売活動が概ね堅調に推移したためであります。
Ⅲ.アプライアンス事業
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 1,250,016 | 1,439,811 | 189,795 | 15.2% |
| セグメント利益 | 131,700 | 182,842 | 51,142 | 38.8% |
防音型コミュニケーションブース「テレキューブ」について、公共空間向けや企業向けに販売するほか、サブスクリプション型のサービスを提供しております。加えて、テレビ会議システム「V-CUBE BOX」や、ディスカッションテーブル「V-CUBE Board」のほか、Web会議等に必要となる周辺機器の販売を行っております。
当連結会計年度では、第2四半期まで新型コロナウイルスの影響により「テレキューブ」の設置・販売が遅延しましたが、第3四半期より徐々に再開し、第4四半期では企業における会議室需要やテレワークの定着に伴う防音型ブースの需要の増加により販売台数が拡大いたしました。この結果、売上高は前年同期比15.2%増の1,439,811千円となり、セグメント利益は前年同期比38.8%増の182,842千円となりました。
② 財政状態の状況
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 資産 | 7,002,932 | 10,031,260 | 3,028,328 |
| 負債 | 3,953,863 | 6,205,842 | 2,251,979 |
| 純資産 | 3,049,069 | 3,825,417 | 776,348 |
a.資産
当連結会計年度末において、資産残高は前期末比3,028,328千円増の10,031,260千円となりました。これは、第4四半期における売上高の拡大により売掛金が増加したこと、また、販売活動の伸長及び前期末に一時的に減少させていたコミットメントライン等の借入金を再度増額したことにより、現金及び預金の残高が増加したためであります。
b.負債
資産の状況と同様に、販売活動の伸長により、買掛金、前受金残高が増加し、設備投資の一環として実施したリース取引の実行によりリース債務残高が増加いたしました。また、前期末に一時的に減少していた借入金を増額したことにより短期借入金残高も増加しております。この結果、負債残高は前期末比2,251,979千円増の6,205,842千円となりました。
c.純資産
上述のとおり、販売活動の伸長による買掛金等残高の増加及びコミットメントライン等の実行により借入金残高が増加したことにより、自己資本比率は37.8%(前連結会計年度末は43.2%)となりました。また、販売活動の伸長により親会社株主に帰属する当期純利益1,138,279千円を計上した一方、株主還元を目的とした自己株式の買い付けを実施したことにより、純資産残高は前期末比776,348千円増の3,825,417千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 373,242 | 1,975,280 | 1,602,038 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △746,222 | △935,455 | △189,233 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △1,581,884 | 950,756 | 2,532,640 |
| 現金及び現金同等物の当期末残高 | 790,148 | 2,772,585 | 1,982,437 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は1,975,280千円となりました。これは利益率の高いビジュアルコミュニケーション事業が伸長したことで営業利益が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は935,455千円となりました。これは主に当社グループサービスの開発投資としての無形固定資産の取得に860,113千円を支出したためであります。この他、自社スタジオ増床のための敷金の差入れにより120,118千円を支出しております。また、グループ会社基盤強化のためテレキューブサービス株式会社への増資として、133,000千円を支出したほか、投資対象先の見直しを行ったことにより投資有価証券の取得に117,377千円を支出し、投資有価証券売却により209,264千円の収入が生じております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は950,756千円となりました。これは主に、前期末に一時的に減少させたコミットメントライン等の短期借入金を再度増額したことにより、1,174,950千円の収入があったためです。この他、長期借入金の返済により593,320千円を支出しております。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、当社サービスの新規開発や機能拡充のための開発投資、イベント配信サービス(オンラインセミナー配信サービス)に使用する配信機材の調達、テレキューブを中心とするハードウェアの仕入調達であります。
開発投資についてはソフトウェア償却額と同程度の水準を目安とすることにより財務健全性を維持することとしております。また、配信機材やハードウェアは自己資金またはデットファイナンスによる調達を行っておりますが、特に配信機材の調達については回収期間や機材の陳腐化を総合的に判断して、借入またはリースの期間を決定しております。
また、得られたフリーキャッシュフローについては、上述の開発投資やイベント配信ビジネスへの投資のほか、配当性向20%を目安とし、中長期的には30%を想定した株主還元を行ってまいります。なお、株価が割安と判断された場合は手許資金及び会社法上の分配可能額を勘案しながら積極的に自社株買いを実施してまいります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標は以下のとおりです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2016年12月期 | 2017年12月期 | 2018年12月期 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | |
| 自己資本比率(%) | 34.4 | 30.1 | 35.0 | 43.2 | 37.8 |
| 時価ベースの 自己資本比率(%) | 119.9 | 118.7 | 83.6 | 226.9 | 738.8 |
| キャッシュ・フロー対 有利子負債比率(年) | 3.9 | 5.6 | 4.0 | 5.9 | 1.8 |
| インタレスト・ カバレッジ・レシオ(倍) | 50.5 | 25.9 | 33.6 | 17.9 | 88.8 |
(注)1.各指標の計算方法は以下のとおりであります。
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
5.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を利用しております。
⑤ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注状況の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
② 販売実績
(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況 に記載のとおりです。
(3)経営者による分析
Ⅰ.ビジュアルコミュニケーション事業
ビジュアルコミュニケーション事業においては、コロナ禍を契機として当社サービスの需要が増加する中、ツール提供のみとなる「汎用型Web会議サービス」から付加価値の高いSaaS+Service型でサービス提供を行う「ソリューション」への売上高構成のシフトチェンジが見られました。
イベント配信サービス売上高の推移 (単位:百万円)
| 種別 | 2019年 第1四半期 | 2019年 第2四半期 | 2019年 第3四半期 | 2019年 第4四半期 | 2020年 第1四半期 | 2020年 第2四半期 | 2020年 第3四半期 | 2020年 第4四半期 |
| 配信回数 | 609回 | 456回 | 595回 | 722回 | 707回 | 572回 | 1,175回 | 2,299回 |
| 平均単価 | 550千円 | 544千円 | 437千円 | 443千円 | 547千円 | 656千円 | 504千円 | 554千円 |
| 売上高 (百万円) | 334 | 248 | 260 | 319 | 386 | 375 | 592 | 1,273 |
| 当該事業 セグメント売上 に占める割合 | 32.0% | 25.6% | 28.4% | 28.1% | 36.5% | 29.2% | 39.4% | 57.5% |
| 事業セグメント 売上高 (百万円) | 1,046 | 968 | 915 | 1,138 | 1,058 | 1,286 | 1,502 | 2,214 |
当連結会計年度においてビジュアルコミュニケーション事業の売上高は伸長いたしましたが、特に、年後半にかけてSaaS+Service型のイベント配信サービスの売上が急伸し、当第4四半期連結会計期間において前年同期比299.0%増の1,273百万円に到達し、当該事業セグメント売上高に占める割合も57.5%に上昇いたしました。このイベントWeb配信サービスの成長がビジュアルコミュニケーション事業の拡大に貢献いたしました。
イベント配信サービスは、配信現場における対面でのサービス提供を含むことから、緊急事態宣言のあった第2四半期連結会計期間には配信回数が減少し、緊急事態宣言解除後の第3四半期連結会計期間以降から急増しております。当該傾向及び緊急事態宣言後から2020年末にかけて国内における人の往来はある程度回復していたことから、イベント配信サービスには潜在的には大きな需要があり、今後、アフターコロナ下において往来の自由な環境が回復したとしても、当該サービスが積極的に選択される可能性が高いと考えております。
Ⅱ.ラーニングマネジメントシステム事業
ラーニングマネジメントシステム事業においては、前連結会計年度において、子会社であったアイスタディ株式会社が株式売却により当社グループから外れたため、当セグメントはシンガポール子会社であるWizlearn Technologies Pte. Ltd.(以下「Wizlearn」とする)の事業が主体となりました。
Wizlearnでは学校向けのLMSサービスを主力としておりましたが、昨今のシンガポール政府の政策により、同政府が一部の学校向けのLMSの導入を進めたことにより、当連結会計年度における学校向けの売上高が減少いたしました。他方で、政府補助金が支給される政策も追い風となり、企業向けサービスの市場が成長すると見込んでおります。Wizlearnにおいても企業向けサービスへのシフトを進めた結果、2期連続売上が増加(2019年は前期比10.9%増、2020年は前期比9.1%増)いたしました。
コロナ禍の影響により企業向け案件の受注が停滞したことから、当連結会計年度におけるLMS アジア合計での売上高は前年を上回らなかったものの、企業向け売上自体は2期連続で売上が増加したことから、当該分野での成長見込みは十分あると考えております。引き続き企業向けサービスの拡大を進めることにより、今後の成長を目指してまいります。
LMS アジアの販売先別売上高推移 (単位:千SGD)
| 種別 | 2018年12月期 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | |
| LMS アジア | 企業向け | 3,655 | 4,053 | 4,424 |
| 学校向け | 6,491 | 5,124 | 3,575 | |
| その他 | 2,250 | 1,432 | 1,025 | |
| 合計 | 12,397 | 10,609 | 9,024 | |
(注) 為替変動の影響を除外するため、現地通貨で記載しております。
Ⅲ.アプライアンス事業
アプライアンス事業においては、取扱製品に大型機材が多いことから、当連結会計年度半ばまではコロナ禍の影響を受けて設置・販売が停滞したものの、その後は前年に引き続き、防音型スマートワークブースの「テレキューブ」を中心に需要が戻り、累計設置台数が拡大いたしました。
テレキューブについては、当連結会計年度より従来の「販売型」に加えて契約期間中は月額定額料金で利用することが可能な「サブスクリプション型」での提供を開始いたしました。「サブスクリプション型」は「販売型」に比べて初期導入コストが抑えられるメリットがあるため、より幅広い顧客層へのアプローチが可能となりました。
また、主要駅やオフィスビルを中心とした公共空間においては、ビジネスパーソンに対してリモートワーク時の場所を提供するソリューションとして本格展開を進めてまいりました。この結果、当連結会計年度における販売実績台数は1,671台(前年比335%増)に拡大いたしました。
在宅勤務者や顧客との面談でWeb会議を利用する機会が増加する中、企業内における会議室需要や公共空間におけるセキュアなコミュニケーションスペースに対する需要は拡大しており、テレキューブに対する需要は今後も続いていくものと考えております。
テレキューブ累計設置台数 (単位:台)
| 種別 | 2019年期末 | 2020年 第1四半期末 | 2020年 第2四半期末 | 2020年 第3四半期末 | 2020年期末 |
| 公共向け | 65 | 90 | 113 | 152 | 213 |
| 企業向け(販売型) | 319 | 559 | 715 | 1,164 | 1,688 |
| 企業向け (サブスクリプション型) | - | 9 | 27 | 72 | 154 |
| 合計 | 384 | 658 | 855 | 1,388 | 2,055 |
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。