有価証券報告書-第24期(2023/01/01-2023/12/31)
(1)経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、ロシア・ウクライナ戦争の長期化や日米間金利格差に伴う持続的な円安進行などの影響を受け、物価上昇及びそれに伴う個人消費の停滞や設備投資の遅れなどの課題に直面した年でありました。一方で、コロナ対策として導入していた入出国制限が各国において完全に解除されたことでインバウンド需要の増加が見られ、日本全体として見ればコロナ禍前の経済状態に回復した年となりました。
行動制限の緩和と経済活動の正常化により、米国では急激なリアル回帰が進み、オンラインイベントからリアルイベントへの揺り戻しが生じました。他方、日本ではリアル回帰が生じたものの、米国ほどの急激な揺り戻しは起こらず、リアルとオンラインの両方を組み合わせたハイブリッド形態が標準になりつつあります。
当社グループにおいては、アフターコロナにおけるリアル回帰が緩やかに進んだ日本においては業績が堅調に推移したものの、米国地域においてはコロナ後に獲得した新規顧客との案件開始が遅れたことで、業績が大幅な未達となりました。
一方で、コロナ禍における急激な需要増加に対応するために拡大した、人件費を中心とする固定費がアフターコロナにおいて利益率を低下させる要因となったため、適正水準に戻すべく、当連結会計年度第3四半期において希望退職者募集等を中心とした経営合理化策を実施いたしました。
2024年以降は、このような人件費や開発費におけるコストコントロールを徹底させることで、コロナ以前の固定費水準に回復させるとともに、当連結会計年度に開始した新規事業の展開と新製品の投入、及び米国市場における新たな顧客基盤の確立により売上高の堅実な成長を見込んでおります。そして、これらの取り組みを行うことにより来期以降の事業の拡大及び収益の改善を目指してまいります。
また、テレワークの定着及びリモートを活用したコミュニケーションDXによる生産性・生活の質の向上の実現に向けて、当連結会計年度において以下の項目を実施いたしました。
(ⅰ)Web会議ツールの継続的提供と市場拡大への貢献
緊急事態宣言下における必須ツールとしてWeb会議ツールを導入する企業が増加し、当社のWeb会議サービスである「V-CUBEミーティング」のほか、当社が代理店として販売する「Zoom」も堅調に推移しました。新型コロナウイルスの感染が拡大した前年度のような大幅な増収はないものの、テレワークの定着によりサービス利用数や利用時間は依然としてコロナ禍以前よりも高水準で推移しております。Web会議ツールは今や企業活動に欠かせない社会インフラとなったため、今後も提供サービスの安定運用ができるよう機能開発・品質改善活動を継続してまいります。
(ⅱ)イベント配信サービス事業の拡大
様々な業界でイベント及びセミナーがオンライン開催にシフトしていく中、前年に引き続き当社におけるオンラインイベント配信件数は急増いたしました。オンラインイベントの需要は今後も引き続き増加していく見込みであることから、人材や機材等のキャパシティ拡大とともに、他社サービスとの差別化となる高付加価値のオンラインイベントを提供するための開発投資を積極的に実施いたしました。
(ⅲ)テレワークを支援するセキュアな個室ブース「テレキューブ」の提供
企業においてテレワークが普及した一方でオフィスへ出社する機会も戻りつつある中で、在宅勤務者とのWeb会議を開催するための場所の需要が拡大した結果、企業におけるテレキューブの設置台数も大幅に増加いたしました。また、コロナ禍により自宅でも職場でもない「第三の場所」を求める傾向を踏まえ、前年度に引き続き駅やオフィスビルなど公共向けのテレキューブ設置台数を積極的に拡大いたしました。
これらのミッション実現施策とともに、企業として持続的成長を実現していくための新規事業領域の創出や、株式会社としての使命たる企業価値最大化のための業績向上と株主還元も併せて実施いたしております。
当連結会計年度の業績は以下のとおりです。
(単位:千円)
当連結会計年度において、売上高は前年同期比で9.4%減少いたしました。これは、主に国内の製薬業界の講演会の市場縮小の影響のほか、北米におけるリアル回帰の影響及びコロナ後に獲得した新規顧客との案件開始が遅れたことによるものです。北米地域でのリアル回帰による売上減少と案件開始時期の遅れは営業利益にも影響し、営業利益は△156,098千円(前年同期は675,093千円)となりました。
営業外損益においては、シンジケートローンの組成に伴う支払手数料を計上したほか、持分法適用会社であるテレキューブサービス株式会社における収益性が増加したことで持分法による投資損失が縮小し9,919千円を計上いたしました。
特別損益においては、主に北米地域の連結子会社であるXyvid, Inc.について収益性の低下を認識したことから減損損失3,779,758千円を計上いたしました。また経営合理化策実施のための費用として133,444千円を計上いたしております。
なお、2023年2月公表の当社グループ中期経営計画において、当初は、当連結会計年度の売上高125億円、営業利益7億円、親会社株主に帰属する当期純利益3.5億円と計画しておりましたが、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 で述べたとおり、当連結会計年度においては未達となりました。
また、ROEとNOPLAT※ベースの配当性向の目標についても、当初計画では6%、20%以上を計画しておりましたが、いずれも未達となりました。
※NOPLAT:Net Operating Profit Less Adjusted Tax(みなし税引後利益)
セグメント別の業績は、以下のとおりです。
Ⅰ.エンタープライズDX事業
(単位:千円)
エンタープライズDX事業は、主に企業や官公庁等を対象に、社内外のコミュニケーションにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するサービスを提供しております。
具体的には、自社開発の汎用Web会議システム「V-CUBE ミーティング」や「Zoom」の販売のほか、ディスカッションテーブル「V-CUBE Board」などの災害対策ソリューションやウェアラブルデバイスなど、企業向けのリモートコミュニケーションプロダクトを提供しております。また、顧客企業において映像組み込み型サービスの開発を容易にする「V-CUBE Video SDK」の提供やサービス開発及び運用支援をすることで、顧客企業におけるソリューション開発を支援しております。
当連結会計年度のセグメント売上高は、前年同期比2.0%増の4,418,504千円となりました。これはシンガポールの連結子会社であるWizlearn Technologies Pte. Ltdにおいて、企業向けのLMS事業売上が増加したことによるものであります。また、セグメント利益は前年同期比11.2%減の526,493千円となりました。これは、注力事業ではなくなったことにより収益性の高い自社製品比率が緩やかに低下したこと、及び円安に伴い海外他社製品の仕入価格が上昇したことで、限界利益率が減少したためであります。
Ⅱ.イベントDX事業
(単位:千円)
イベントDX事業は、様々な分野におけるイベント、セミナーのリモート化を支援する事業であります。
具体的には、Webセミナー配信サービス「V-CUBE セミナー」や「EventIn」などのセミナー配信ソフトウエアを提供するほか、イベント配信に係る運用設計、当日の配信サポートや後日のイベントデータ解析などの運用支援サービスを提供しております。
当連結会計年度では、国内の製薬業界の講演会市場の縮小のほか、北米地域におけるリアル回帰と新規顧客との案件開始時期のシフトが影響し、セグメント売上高は前年同期比17.8%減の4,115,984千円となりました。
また北米地域の連結子会社において売上減少に伴い収益性が低下したことから、セグメント利益は△734,127千円(前年同期は140,516千円)となりました。
イベントDX事業においては、当連結会計年度に実施した経営合理化策及び外注費率の見直しによるコスト適正化により、国内における収益性は今後回復する見込みであります。また当連結会計年度において収益性の低下が見られた北米地域においても新規顧客の獲得が進んでいることから、翌連結会計年度以降には利益率が回復するものと予測しております。
Ⅲ.サードプレイスDX事業
(単位:千円)
サードプレイスDX事業は、自宅や職場とは異なるサードプレイス(第3の場所)の提供や運用支援を行うことで、昨今日本に浸透しつつあるテレワークを1つのワークスタイルとして定着させることを目的とする事業であります。
具体的には、企業及び公共空間への「テレキューブ」の提供、公共空間における防音型個室ブースの管理運営システムの開発、「テレキューブ」において提供する関連サービスの開発を行っております。
当連結会計年度では、セグメント売上高は前年同期比11.8%減の2,550,184千円となりました。これは、公共空間向けの防音型個室ブースの需要が一巡したこと、及び企業向け防音型個室ブースの増加ペースが緩やかになったためであります。
また、セグメント利益は前年同期比14.1%増の737,869千円となりました。これは、前連結会計年度において実施したテレビ及びWeb媒体を利用した広告宣伝活動について、当連結会計年度においてはその実施がなかったためであります。
② 財政状態の状況
(単位:千円)
a.資産
当連結会計年度末において、資産残高は前期末比4,562,695千円減の12,329,168千円となりました。これは主に、ソフトウエア及び米国子会社ののれんについて減損損失を計上したことによる無形固定資産残高の減少、及び繰延税金資産の取崩しによるものであります。
b.負債
負債残高は前期末比680,778千円増の11,583,111千円となりました。これは主に、前連結会計年度末に一時的に減少させていた借入金等のポジションを再度増額したことにより借入金残高が増加したためであります。
c.純資産
純資産残高は前期末比5,243,473千円減の746,056千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失5,623,183千円を計上したため利益剰余金が減少したことによるものであります。
この純資産減少の影響により、自己資本比率は5.0%(前連結会計年度末は34.9%)に減少いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:千円)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は990,958千円となりました。これは主に、非資金項目である減損損失の計上による増加があった一方で、税金等調整前当期純損失の計上によって減少となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は1,916,914千円となりました。これは主に、当社グループサービスの開発投資としての無形固定資産の取得に1,734,192千円を支出したほか、公共向けテレキューブ事業の更なる推進のためのテレキューブサービス株式会社への追加出資、会社分割による事業の取得に伴う支出をしたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果得られた資金は562,404千円となりました。これは主に、前期末に一時的に減少させていた借入金等のポジションを再度増額したことによるものであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、当社サービスの新規開発や機能拡充のための開発投資、イベント配信サービス(オンラインセミナー配信サービス)に使用する配信機材の調達、テレキューブを中心とするハードウェアの仕入調達であります。
開発投資についてはソフトウエア償却額と同程度の水準を目安とすることにより財務健全性を維持することとしております。また、配信機材やハードウェアは自己資金またはデットファイナンスによる調達を行っておりますが、特に配信機材の調達については回収期間や機材の陳腐化を総合的に判断して、借入またはリースの期間を決定しております。
また、得られたフリーキャッシュフローについては、上述の開発投資やイベント配信ビジネスへの投資のほか、配当性向20%を目安とし、中長期的には30%を想定した株主還元を行ってまいります。なお、株価が割安と判断された場合は手許資金及び会社法上の分配可能額を勘案しながら積極的に自社株買いを実施してまいります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標は以下のとおりです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)1.各指標の計算方法は以下のとおりであります。
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
5.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を利用しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なることがあります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注状況の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
② 販売実績
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりです。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
Ⅰ.エンタープライズDX事業
エンタープライズDX事業ではハイブリッドワーク(旧:汎用ウェブ等サービス)、ビジネスグロース(旧:SDK)、プロフェッショナルワーク(旧:緊急対策)、リスキリング(旧:LMS及び汎用ウェブ等サービスの一部)の4つのカテゴリでサービス提供を行っております。各サービスの売上高推移は以下のとおりです。
サービス別売上高推移 (単位:千円)
当連結会計年度においては、官公庁や製造業を主な顧客とするプロフェッショナルワーク事業において売上高が前年比29.0%増の628,626千円に増加いたしました。プロフェッショナルワーク事業は災害現場や工場等の遠隔監視を可能とする「V-CUBE Board」やウェアラブルデバイスなどのサービスを提供しており、商材の性質上、対面での商談を必要とすることから、コロナ禍の収束によって商談活動が再開したことが売上高の増加につながりました。
また、主にシンガポール子会社で展開しているリスキリング事業についても前年比9.3%増の878,611千円となりました。
Web会議システムが主力商材であるハイブリッドワーク事業については、世の中にテレワークが定着したことで需要が堅調に推移しており、前年比0.7%増の1,751,860千円となりました。ハイブリッドワーク事業については、世界的な企業によるサービス提供がなされる競争の激しい分野であることから、将来的には大きな成長は見込めず、横ばいで推移すると考えております。
一方、映像組み込み型サービスの開発を容易にするSDKを主力商材とするビジネスグロース事業については、前年比10.8%減の1,159,406千円となりました。
Ⅱ.イベントDX事業
イベントDX事業においては、その後、大規模配信案件や高付加価値案件の割合の上昇により配信1回当たりの平均単価は上昇したものの、年間配信回数は減少し、売上高は前連結会計年度より減少いたしました。
イベントDX事業の連結売上高推移 (単位:千円)
季節的変動については大きくはないものの、配信回数については第1四半期に増加し、第3四半期に減少、平均単価については株主総会開催が集中する第2四半期に増加するという傾向が見受けられます。当連結会計年度においては、大規模配信案件や高付加価値案件の割合が増加したために1配信あたりの単価は前年比で平均7万円程度増加したものの、一方で配信回数が3ヶ月平均1,300回前後(前年比約200回減)となったために、当連結会計年度における連結売上高は前年同期比17.8%減の4,115,984千円となりました。
来期以降については、配信回数自体は本年度と同水準であるものの、法定の議事進行を要し失敗の許されない株主総会やクオリティの高いオンラインイベントを提供する高付加価値案件など、1配信当たり単価の高い案件の需要が増加すると予測されること、また米国においては当連結会計年度に生じた急激なリアル回帰が沈静化し、再びオンライン配信への揺り戻しが起きることが見込まれることから、当該事業については今後も緩やかに成長を続けていくものと考えております。
Ⅲ.サードプレイスDX事業
サードプレイスDX事業においては、企業及び公共空間においてWeb会議に対応したセキュアな防音型個室ブースである「テレキューブ」の需要が根強く、当連結会計年度における販売実績台数は8,019台(前年比11%減)と前連結会計年度より減少したものの、累計設置台数は24,789台に拡大いたしました。
主要駅やオフィスビルを中心とした公共空間に設置するテレキューブを販売する公共向けについては、Web会議の定着に伴い、公共空間における会議スペース需要が増加したことから設置箇所が拡大し、累計設置台数は前年比27%増の1,030台となりました。テレワークが定着した昨今の状況を鑑みれば、来期以降においても公共空間におけるセキュアなスペースに対する需要は高まっていくと考えられ、2024年12月期においても設置数は増加する見込みであります。
企業向けテレキューブの販売形態については、テレキューブ本体を購入いただく「販売型」に加えて、契約期間中は月額定額料金で利用することが可能な「サブスクリプション型」の2つの形態で提供しております。「サブスクリプション型」は「販売型」に比べて初期導入コストが抑えられるメリットがあるため、より幅広い顧客層へのアプローチが可能であります。
当連結会計年度における企業向けの販売実績台数は、前年比10%減の7,797台となり、累計設置台数は23,759台となりました。これは、企業オフィスへの出社と在宅勤務のハイブリッドな勤務形態が増加した結果、企業内においてもWeb会議に対応したセキュアな会議スペースの需要が急増したことによるものと考えられます。
今後はこのような勤務形態が主流になると見込まれることから、企業向けテレキューブの需要は今後も拡大していくものと考えております。
テレキューブ累計設置台数 (単位:台)
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、ロシア・ウクライナ戦争の長期化や日米間金利格差に伴う持続的な円安進行などの影響を受け、物価上昇及びそれに伴う個人消費の停滞や設備投資の遅れなどの課題に直面した年でありました。一方で、コロナ対策として導入していた入出国制限が各国において完全に解除されたことでインバウンド需要の増加が見られ、日本全体として見ればコロナ禍前の経済状態に回復した年となりました。
行動制限の緩和と経済活動の正常化により、米国では急激なリアル回帰が進み、オンラインイベントからリアルイベントへの揺り戻しが生じました。他方、日本ではリアル回帰が生じたものの、米国ほどの急激な揺り戻しは起こらず、リアルとオンラインの両方を組み合わせたハイブリッド形態が標準になりつつあります。
当社グループにおいては、アフターコロナにおけるリアル回帰が緩やかに進んだ日本においては業績が堅調に推移したものの、米国地域においてはコロナ後に獲得した新規顧客との案件開始が遅れたことで、業績が大幅な未達となりました。
一方で、コロナ禍における急激な需要増加に対応するために拡大した、人件費を中心とする固定費がアフターコロナにおいて利益率を低下させる要因となったため、適正水準に戻すべく、当連結会計年度第3四半期において希望退職者募集等を中心とした経営合理化策を実施いたしました。
2024年以降は、このような人件費や開発費におけるコストコントロールを徹底させることで、コロナ以前の固定費水準に回復させるとともに、当連結会計年度に開始した新規事業の展開と新製品の投入、及び米国市場における新たな顧客基盤の確立により売上高の堅実な成長を見込んでおります。そして、これらの取り組みを行うことにより来期以降の事業の拡大及び収益の改善を目指してまいります。
また、テレワークの定着及びリモートを活用したコミュニケーションDXによる生産性・生活の質の向上の実現に向けて、当連結会計年度において以下の項目を実施いたしました。
(ⅰ)Web会議ツールの継続的提供と市場拡大への貢献
緊急事態宣言下における必須ツールとしてWeb会議ツールを導入する企業が増加し、当社のWeb会議サービスである「V-CUBEミーティング」のほか、当社が代理店として販売する「Zoom」も堅調に推移しました。新型コロナウイルスの感染が拡大した前年度のような大幅な増収はないものの、テレワークの定着によりサービス利用数や利用時間は依然としてコロナ禍以前よりも高水準で推移しております。Web会議ツールは今や企業活動に欠かせない社会インフラとなったため、今後も提供サービスの安定運用ができるよう機能開発・品質改善活動を継続してまいります。
(ⅱ)イベント配信サービス事業の拡大
様々な業界でイベント及びセミナーがオンライン開催にシフトしていく中、前年に引き続き当社におけるオンラインイベント配信件数は急増いたしました。オンラインイベントの需要は今後も引き続き増加していく見込みであることから、人材や機材等のキャパシティ拡大とともに、他社サービスとの差別化となる高付加価値のオンラインイベントを提供するための開発投資を積極的に実施いたしました。
(ⅲ)テレワークを支援するセキュアな個室ブース「テレキューブ」の提供
企業においてテレワークが普及した一方でオフィスへ出社する機会も戻りつつある中で、在宅勤務者とのWeb会議を開催するための場所の需要が拡大した結果、企業におけるテレキューブの設置台数も大幅に増加いたしました。また、コロナ禍により自宅でも職場でもない「第三の場所」を求める傾向を踏まえ、前年度に引き続き駅やオフィスビルなど公共向けのテレキューブ設置台数を積極的に拡大いたしました。
これらのミッション実現施策とともに、企業として持続的成長を実現していくための新規事業領域の創出や、株式会社としての使命たる企業価値最大化のための業績向上と株主還元も併せて実施いたしております。
当連結会計年度の業績は以下のとおりです。
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 12,229,135 | 11,084,673 | △1,144,462 | △9.4 |
| 営業利益又は営業損失(△) | 675,093 | △156,098 | △831,191 | - |
| 経常利益又は経常損失(△) | 612,898 | △275,470 | △888,368 | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△) | 84,594 | △5,623,183 | △5,707,777 | - |
当連結会計年度において、売上高は前年同期比で9.4%減少いたしました。これは、主に国内の製薬業界の講演会の市場縮小の影響のほか、北米におけるリアル回帰の影響及びコロナ後に獲得した新規顧客との案件開始が遅れたことによるものです。北米地域でのリアル回帰による売上減少と案件開始時期の遅れは営業利益にも影響し、営業利益は△156,098千円(前年同期は675,093千円)となりました。
営業外損益においては、シンジケートローンの組成に伴う支払手数料を計上したほか、持分法適用会社であるテレキューブサービス株式会社における収益性が増加したことで持分法による投資損失が縮小し9,919千円を計上いたしました。
特別損益においては、主に北米地域の連結子会社であるXyvid, Inc.について収益性の低下を認識したことから減損損失3,779,758千円を計上いたしました。また経営合理化策実施のための費用として133,444千円を計上いたしております。
なお、2023年2月公表の当社グループ中期経営計画において、当初は、当連結会計年度の売上高125億円、営業利益7億円、親会社株主に帰属する当期純利益3.5億円と計画しておりましたが、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 で述べたとおり、当連結会計年度においては未達となりました。
また、ROEとNOPLAT※ベースの配当性向の目標についても、当初計画では6%、20%以上を計画しておりましたが、いずれも未達となりました。
※NOPLAT:Net Operating Profit Less Adjusted Tax(みなし税引後利益)
セグメント別の業績は、以下のとおりです。
Ⅰ.エンタープライズDX事業
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 4,331,141 | 4,418,504 | 87,363 | 2.0 |
| セグメント利益 | 593,166 | 526,493 | △66,673 | △11.2 |
エンタープライズDX事業は、主に企業や官公庁等を対象に、社内外のコミュニケーションにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するサービスを提供しております。
具体的には、自社開発の汎用Web会議システム「V-CUBE ミーティング」や「Zoom」の販売のほか、ディスカッションテーブル「V-CUBE Board」などの災害対策ソリューションやウェアラブルデバイスなど、企業向けのリモートコミュニケーションプロダクトを提供しております。また、顧客企業において映像組み込み型サービスの開発を容易にする「V-CUBE Video SDK」の提供やサービス開発及び運用支援をすることで、顧客企業におけるソリューション開発を支援しております。
当連結会計年度のセグメント売上高は、前年同期比2.0%増の4,418,504千円となりました。これはシンガポールの連結子会社であるWizlearn Technologies Pte. Ltdにおいて、企業向けのLMS事業売上が増加したことによるものであります。また、セグメント利益は前年同期比11.2%減の526,493千円となりました。これは、注力事業ではなくなったことにより収益性の高い自社製品比率が緩やかに低下したこと、及び円安に伴い海外他社製品の仕入価格が上昇したことで、限界利益率が減少したためであります。
Ⅱ.イベントDX事業
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 5,008,155 | 4,115,984 | △892,171 | △17.8 |
| セグメント利益又は損失(△) | 140,516 | △734,127 | △874,643 | - |
イベントDX事業は、様々な分野におけるイベント、セミナーのリモート化を支援する事業であります。
具体的には、Webセミナー配信サービス「V-CUBE セミナー」や「EventIn」などのセミナー配信ソフトウエアを提供するほか、イベント配信に係る運用設計、当日の配信サポートや後日のイベントデータ解析などの運用支援サービスを提供しております。
当連結会計年度では、国内の製薬業界の講演会市場の縮小のほか、北米地域におけるリアル回帰と新規顧客との案件開始時期のシフトが影響し、セグメント売上高は前年同期比17.8%減の4,115,984千円となりました。
また北米地域の連結子会社において売上減少に伴い収益性が低下したことから、セグメント利益は△734,127千円(前年同期は140,516千円)となりました。
イベントDX事業においては、当連結会計年度に実施した経営合理化策及び外注費率の見直しによるコスト適正化により、国内における収益性は今後回復する見込みであります。また当連結会計年度において収益性の低下が見られた北米地域においても新規顧客の獲得が進んでいることから、翌連結会計年度以降には利益率が回復するものと予測しております。
Ⅲ.サードプレイスDX事業
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 2,889,838 | 2,550,184 | △339,654 | △11.8 |
| セグメント利益 | 646,787 | 737,869 | 91,082 | 14.1 |
サードプレイスDX事業は、自宅や職場とは異なるサードプレイス(第3の場所)の提供や運用支援を行うことで、昨今日本に浸透しつつあるテレワークを1つのワークスタイルとして定着させることを目的とする事業であります。
具体的には、企業及び公共空間への「テレキューブ」の提供、公共空間における防音型個室ブースの管理運営システムの開発、「テレキューブ」において提供する関連サービスの開発を行っております。
当連結会計年度では、セグメント売上高は前年同期比11.8%減の2,550,184千円となりました。これは、公共空間向けの防音型個室ブースの需要が一巡したこと、及び企業向け防音型個室ブースの増加ペースが緩やかになったためであります。
また、セグメント利益は前年同期比14.1%増の737,869千円となりました。これは、前連結会計年度において実施したテレビ及びWeb媒体を利用した広告宣伝活動について、当連結会計年度においてはその実施がなかったためであります。
② 財政状態の状況
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 資産 | 16,891,863 | 12,329,168 | △4,562,695 |
| 負債 | 10,902,333 | 11,583,111 | 680,778 |
| 純資産 | 5,989,529 | 746,056 | △5,243,473 |
a.資産
当連結会計年度末において、資産残高は前期末比4,562,695千円減の12,329,168千円となりました。これは主に、ソフトウエア及び米国子会社ののれんについて減損損失を計上したことによる無形固定資産残高の減少、及び繰延税金資産の取崩しによるものであります。
b.負債
負債残高は前期末比680,778千円増の11,583,111千円となりました。これは主に、前連結会計年度末に一時的に減少させていた借入金等のポジションを再度増額したことにより借入金残高が増加したためであります。
c.純資産
純資産残高は前期末比5,243,473千円減の746,056千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失5,623,183千円を計上したため利益剰余金が減少したことによるものであります。
この純資産減少の影響により、自己資本比率は5.0%(前連結会計年度末は34.9%)に減少いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,833,235 | 990,958 | △842,277 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △2,395,745 | △1,916,914 | 478,831 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 290,310 | 562,404 | 272,094 |
| 現金及び現金同等物の当期末残高 | 1,699,697 | 1,389,327 | △310,370 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は990,958千円となりました。これは主に、非資金項目である減損損失の計上による増加があった一方で、税金等調整前当期純損失の計上によって減少となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は1,916,914千円となりました。これは主に、当社グループサービスの開発投資としての無形固定資産の取得に1,734,192千円を支出したほか、公共向けテレキューブ事業の更なる推進のためのテレキューブサービス株式会社への追加出資、会社分割による事業の取得に伴う支出をしたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果得られた資金は562,404千円となりました。これは主に、前期末に一時的に減少させていた借入金等のポジションを再度増額したことによるものであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、当社サービスの新規開発や機能拡充のための開発投資、イベント配信サービス(オンラインセミナー配信サービス)に使用する配信機材の調達、テレキューブを中心とするハードウェアの仕入調達であります。
開発投資についてはソフトウエア償却額と同程度の水準を目安とすることにより財務健全性を維持することとしております。また、配信機材やハードウェアは自己資金またはデットファイナンスによる調達を行っておりますが、特に配信機材の調達については回収期間や機材の陳腐化を総合的に判断して、借入またはリースの期間を決定しております。
また、得られたフリーキャッシュフローについては、上述の開発投資やイベント配信ビジネスへの投資のほか、配当性向20%を目安とし、中長期的には30%を想定した株主還元を行ってまいります。なお、株価が割安と判断された場合は手許資金及び会社法上の分配可能額を勘案しながら積極的に自社株買いを実施してまいります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標は以下のとおりです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | |
| 自己資本比率(%) | 43.2 | 37.8 | 33.1 | 34.9 | 5.0 |
| 時価ベースの 自己資本比率(%) | 226.9 | 738.8 | 171.5 | 104.7 | 64.2 |
| キャッシュ・フロー対 有利子負債比率(年) | 5.9 | 1.8 | 3.3 | 4.1 | 8.6 |
| インタレスト・ カバレッジ・レシオ(倍) | 17.9 | 88.8 | 58.5 | 40.6 | 21.7 |
(注)1.各指標の計算方法は以下のとおりであります。
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
5.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を利用しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なることがあります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注状況の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
② 販売実績
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりです。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
Ⅰ.エンタープライズDX事業
エンタープライズDX事業ではハイブリッドワーク(旧:汎用ウェブ等サービス)、ビジネスグロース(旧:SDK)、プロフェッショナルワーク(旧:緊急対策)、リスキリング(旧:LMS及び汎用ウェブ等サービスの一部)の4つのカテゴリでサービス提供を行っております。各サービスの売上高推移は以下のとおりです。
サービス別売上高推移 (単位:千円)
| 種別 | 2022年 第1四半期 | 2022年 第2四半期 | 2022年 第3四半期 | 2022年 第4四半期 | 2023年 第1四半期 | 2023年 第2四半期 | 2023年 第3四半期 | 2023年 第4四半期 |
| ハイブリッド ワーク | 464,777 | 420,960 | 415,306 | 438,139 | 437,919 | 415,884 | 426,658 | 471,399 |
| ビジネス グロース | 404,258 | 316,908 | 295,193 | 284,591 | 328,179 | 279,008 | 283,382 | 268,835 |
| プロフェッショナルワーク | 192,364 | 83,436 | 73,475 | 138,169 | 179,949 | 124,570 | 83,081 | 241,024 |
| リスキリング | 183,725 | 191,985 | 210,646 | 217,201 | 226,120 | 208,934 | 229,446 | 214,110 |
| 合計 | 1,245,126 | 1,013,292 | 994,621 | 1,078,101 | 1,172,168 | 1,028,397 | 1,022,568 | 1,195,370 |
当連結会計年度においては、官公庁や製造業を主な顧客とするプロフェッショナルワーク事業において売上高が前年比29.0%増の628,626千円に増加いたしました。プロフェッショナルワーク事業は災害現場や工場等の遠隔監視を可能とする「V-CUBE Board」やウェアラブルデバイスなどのサービスを提供しており、商材の性質上、対面での商談を必要とすることから、コロナ禍の収束によって商談活動が再開したことが売上高の増加につながりました。
また、主にシンガポール子会社で展開しているリスキリング事業についても前年比9.3%増の878,611千円となりました。
Web会議システムが主力商材であるハイブリッドワーク事業については、世の中にテレワークが定着したことで需要が堅調に推移しており、前年比0.7%増の1,751,860千円となりました。ハイブリッドワーク事業については、世界的な企業によるサービス提供がなされる競争の激しい分野であることから、将来的には大きな成長は見込めず、横ばいで推移すると考えております。
一方、映像組み込み型サービスの開発を容易にするSDKを主力商材とするビジネスグロース事業については、前年比10.8%減の1,159,406千円となりました。
Ⅱ.イベントDX事業
イベントDX事業においては、その後、大規模配信案件や高付加価値案件の割合の上昇により配信1回当たりの平均単価は上昇したものの、年間配信回数は減少し、売上高は前連結会計年度より減少いたしました。
イベントDX事業の連結売上高推移 (単位:千円)
| 種別 | 2022年 第1四半期 | 2022年 第2四半期 | 2022年 第3四半期 | 2022年 第4四半期 | 2023年 第1四半期 | 2023年 第2四半期 | 2023年 第3四半期 | 2023年 第4四半期 |
| 配信回数 | 2,142回 | 1,783回 | 1,266回 | 1,714回 | 1,578回 | 1,313回 | 1,018回 | 1,317回 |
| 平均単価 | 679 | 790 | 701 | 734 | 682 | 913 | 791 | 786 |
| セグメント 売上高 | 1,453,826 | 1,408,860 | 887,827 | 1,257,640 | 1,076,552 | 1,199,286 | 804,768 | 1,035,376 |
季節的変動については大きくはないものの、配信回数については第1四半期に増加し、第3四半期に減少、平均単価については株主総会開催が集中する第2四半期に増加するという傾向が見受けられます。当連結会計年度においては、大規模配信案件や高付加価値案件の割合が増加したために1配信あたりの単価は前年比で平均7万円程度増加したものの、一方で配信回数が3ヶ月平均1,300回前後(前年比約200回減)となったために、当連結会計年度における連結売上高は前年同期比17.8%減の4,115,984千円となりました。
来期以降については、配信回数自体は本年度と同水準であるものの、法定の議事進行を要し失敗の許されない株主総会やクオリティの高いオンラインイベントを提供する高付加価値案件など、1配信当たり単価の高い案件の需要が増加すると予測されること、また米国においては当連結会計年度に生じた急激なリアル回帰が沈静化し、再びオンライン配信への揺り戻しが起きることが見込まれることから、当該事業については今後も緩やかに成長を続けていくものと考えております。
Ⅲ.サードプレイスDX事業
サードプレイスDX事業においては、企業及び公共空間においてWeb会議に対応したセキュアな防音型個室ブースである「テレキューブ」の需要が根強く、当連結会計年度における販売実績台数は8,019台(前年比11%減)と前連結会計年度より減少したものの、累計設置台数は24,789台に拡大いたしました。
主要駅やオフィスビルを中心とした公共空間に設置するテレキューブを販売する公共向けについては、Web会議の定着に伴い、公共空間における会議スペース需要が増加したことから設置箇所が拡大し、累計設置台数は前年比27%増の1,030台となりました。テレワークが定着した昨今の状況を鑑みれば、来期以降においても公共空間におけるセキュアなスペースに対する需要は高まっていくと考えられ、2024年12月期においても設置数は増加する見込みであります。
企業向けテレキューブの販売形態については、テレキューブ本体を購入いただく「販売型」に加えて、契約期間中は月額定額料金で利用することが可能な「サブスクリプション型」の2つの形態で提供しております。「サブスクリプション型」は「販売型」に比べて初期導入コストが抑えられるメリットがあるため、より幅広い顧客層へのアプローチが可能であります。
当連結会計年度における企業向けの販売実績台数は、前年比10%減の7,797台となり、累計設置台数は23,759台となりました。これは、企業オフィスへの出社と在宅勤務のハイブリッドな勤務形態が増加した結果、企業内においてもWeb会議に対応したセキュアな会議スペースの需要が急増したことによるものと考えられます。
今後はこのような勤務形態が主流になると見込まれることから、企業向けテレキューブの需要は今後も拡大していくものと考えております。
テレキューブ累計設置台数 (単位:台)
| 種別 | 2022年 第1四半期末 | 2022年 第2四半期末 | 2022年 第3四半期末 | 2022年期末 | 2023年 第1四半期末 | 2023年 第2四半期末 | 2023年 第3四半期末 | 2023年期末 |
| 公共向け | 581 | 626 | 699 | 808 | 899 | 929 | 965 | 1,030 |
| 企業向け(販売型) | 9,610 | 11,777 | 13,472 | 15,423 | 17,805 | 19,491 | 21,199 | 23,055 |
| 企業向け (サブスクリプション型) | 322 | 415 | 495 | 539 | 591 | 632 | 655 | 704 |
| 合計 | 10,513 | 12,818 | 14,666 | 16,770 | 19,295 | 21,052 | 22,819 | 24,789 |
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。