有価証券報告書-第23期(2022/01/01-2022/12/31)
(1)経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスに対するワクチン接種の効果及びウイルス自体の弱毒化により、それまで行われていた行動制限が解除されることとなり、経済活動は新型コロナウイルス発生前の状態に近づいた年でした。一方で、ウクライナ侵攻に伴う世界的なエネルギー・物資不足や急激に進んだ円安により物価が上昇し、我が国の経済活動に影響を与えた年でもありました。
行動制限の緩和と経済活動の正常化により、米国では急激なリアル回帰が進み、オンラインイベントからリアルイベントへの揺り戻しが生じました。他方、日本ではリアル回帰が生じたものの、米国ほどの急激な揺り戻しは起こらず、リアルとオンラインの両方を組み合わせたハイブリッド形態が標準になりつつあります。
当社グループにおいては、急速なリアル回帰が生じた米国地域では苦戦を強いられたものの、日本においてはセミナーなどのイベントのオンライン化需要やオフィスや公共空間におけるWeb会議を実施できるセキュアな空間に対するニーズは底堅く、事業規模は緩やかに拡大いたしました。一方で、オンライン型セミナーが急速に普及したことから、顧客企業の内製化への切り替えが当初の想定よりも早く進み、中期経営計画において見込んでいた成長率を見直すこととなりました。今後はWeb配信専用スタジオを有する当社の強みを生かし、内製化が難しい大規模の配信案件の獲得や、Webセミナーの更なる普及によって需要の拡大が見込まれる付加価値の高いイベント案件の推進によって差別化を図り、事業の拡大を目指してまいります。
また、テレワ―クの定着及びリモートを活用したコミュニケーションDXによる生産性・生活の質の向上の実現に向けて、当連結会計年度において以下の項目を実施いたしました。
(ⅰ)Web会議ツールの継続的提供と市場拡大への貢献
緊急事態宣言下における必須ツールとしてWeb会議ツールを導入する企業が増加し、当社のWeb会議サービスである「V-CUBEミーティング」のほか、当社が代理店として販売する「Zoom」も堅調に推移しました。新型コロナウイルスの感染が拡大した前年度のような大幅な増収はないものの、テレワークの定着によりサービス利用数や利用時間は依然としてコロナ禍以前よりも高水準で推移しております。Web会議ツールは今や企業活動に欠かせない社会インフラとなったため、今後も提供サービスの安定運用ができるよう機能開発・品質改善活動を継続してまいります。
(ⅱ)イベント配信サービス事業の拡大
様々な業界でイベント及びセミナーがオンライン開催にシフトしていく中、前年に引き続き当社におけるオンラインイベント配信件数は急増いたしました。オンラインイベントの需要は今後も引き続き増加していく見込みであることから、人材や機材等のキャパシティ拡大とともに、他社サービスとの差別化となる高付加価値のオンラインイベントを提供するための開発投資を積極的に実施いたしました。
(ⅲ)テレワークを支援するセキュアなワークブース「テレキューブ」の提供
企業においてテレワークが普及した一方でオフィスへ出社する機会も戻りつつある中で、在宅勤務者とのWeb会議を開催するための場所の需要が拡大した結果、企業におけるテレキューブの設置台数も大幅に増加いたしました。また、コロナ禍により自宅でも職場でもない「第三の場所」を求める傾向を踏まえ、前年度に引き続き駅やオフィスビルなど公共向けのテレキューブ設置台数を積極的に拡大いたしました。
これらのミッション実現施策とともに、企業として持続的成長を実現していくための新規事業領域の創出や、株式会社としての使命たる企業価値最大化のための業績向上と株主還元も併せて実施いたしております。
当連結会計年度の業績は以下のとおりです。
(単位:千円)
当連結会計年度において、売上高は前年同期比で6.4%増加いたしました。これは、バーチャル株主総会の運用本格化などによって1件当たりの配信売上単価が上昇したこと、並びに企業向け及び公共空間向けテレキューブの設置台数が増加したことによるものです。
一方で、エンタープライズDX事業における自社製品比率の低下に伴う利益率低下や、イベントDX事業における製
薬業界における小規模配信の縮小、サードプレイスDX事業における「テレキューブ」に関する広告宣伝費用の発生
により、営業利益は前年同期比50%減の675,093千円となりました。
営業外損益においては、借入金に対する支払利息44,937千円を計上したほか、持分法適用会社であるテレキューブサービス株式会社において前年に引き続き公共空間における積極的な投資を行なったため、持分法による投資損失22,866千円を計上しました。
特別損益においては、V-CUBEミーティングを中心に収益性の低下したソフトウェア資産の減損損失395,647千円を計上いたしました。
なお、2022年1月公表の当社グループ中期経営計画において、当初は、当連結会計年度の売上高115億円、営業利益20億円、親会社株主に帰属する当期純利益14億円と計画しておりましたが、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 で述べたとおり、イベントDX事業における製薬業界での小規模セミナー配信の内製化が当初想定よりも急速に進んだことから、2022年1月に中期経営計画を見直し、当連結会計年度の計画を売上高115億円、営業利益14億円、親会社に帰属する当期純利益11.5億円に修正しております。修正後計画については概ね指標を達成いたしました。また、ROEとNOPLAT※ベースの配当性向の目標についても、当初計画ではそれぞれ30%以上、12%を計画しておりましたが、修正計画では計画利益額の変更に伴い、それぞれ28%、22.8%といたしました。当連結会計年度のROE及びNOPLATベースの配当性向は、それぞれ30%、22%となり、概ね修正計画を達成しております。
※NOPLAT:Net Operating Profit Less Adjusted Tax(みなし税引後利益)
セグメント別の業績は、以下のとおりです。
Ⅰ.エンタープライズDX事業
(単位:千円)
エンタープライズDX事業は、主に企業や官公庁等を対象に、社内外のコミュニケーションにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するサービスを提供しております。
具体的には、自社開発の汎用Web会議システム「V-CUBE ミーティング」や「Zoom」の販売のほか、ディスカッションテーブル「V-CUBE Board」などの災害対策ソリューションやウェアラブルデバイスなど、企業向けのリモートコミュニケーションプロダクトを提供しております。また、顧客企業において映像組み込み型サービスの開発を容易にする「V-CUBE Video SDK」の提供やサービス開発及び運用支援をすることで、顧客企業におけるソリューション開発を支援しております。
当連結会計年度のセグメント売上高は、前年同期比5.3%減の4,331,141千円となりました。これは前連結会計年度に見られた、緊急退避的にリモートワークを行った企業によるWeb会議システムの需要が一巡したことによるもの、及び連結子会社であるWizlearn Technologiesにおける、シンガポール政府の方針に基づく学校向けLMS市場の大幅な縮小によるものであります。また、セグメント利益は前年同期比11.6%減の593,166千円となりました。これは、注力事業ではなくなったことにより自社製品比率が緩やかに低下したこと、及び円安による海外他社製品の原価が上昇したことで、限界利益率が減少したためであります。
Ⅱ.イベントDX事業
(単位:千円)
イベントDX事業は、様々な分野におけるイベント、セミナーのリモート化を支援する事業であります。
具体的には、Webセミナー配信サービス「V-CUBE セミナー」や「EventIn」などのセミナー配信ソフトウェアを提供するほか、イベント配信に係る運用設計、当日の配信サポートや後日のイベントデータ解析などの運用支援サービスを提供しております。
当連結会計年度では、製薬業界向けの小規模配信事業が内製化により縮小したことから、イベントDX事業全体の配信回数は前年同期比12%減の約6,500件となりました。一方で、本年度より運用が本格化したバーチャル株主総会や人材業界における就職説明会などの非製薬業界での事業の成長により、中・大規模の配信案件や高付加価値案件の配信件数が増加したことで、セグメント売上高は前年同期比6.3%増の5,008,155千円となりました。
一方、セグメント利益は前年同期比78.0%減の140,516千円となりました。これは前連結会計年度において効率的なサービス提供体制を構築していた製薬業界向け小規模配信事業が縮小したことに加えて製薬業界向けのウェブ講演会市場全体も縮小傾向にあること、及び米国におけるオミクロン株の流行による配信イベントの延期とその後の流行の鎮静化により発生した急速なリアル回帰によりXyvidの業績が低下し、それに伴いのれん償却額の負担が
相対的に重くなったことによるものであります。
小規模配信案件は縮小傾向にあるものの、法定の議事進行を要し失敗の許されない株主総会や内製化が困難な大規模配信案件、及び、ハイブリッドやメタバースのイベント等の高付加価値案件の需要は増加しているため、イベントDX事業全体としては今後も拡大を続けていくものと予測しております。
Ⅲ.サードプレイスDX事業
(単位:千円)
サードプレイスDX事業は、自宅や職場とは異なるサードプレイス(第3の場所)の提供や運用支援を行うことで、昨今日本に浸透しつつあるテレワークを1つのワークスタイルとして定着させることを目的とする事業であります。
具体的には、企業及び公共空間への「テレキューブ」の提供、公共空間におけるワークブースの管理運営システムの開発、「テレキューブ」において提供する関連サービスの開発を行っております。
当連結会計年度では、セグメント売上高は前年同期比30.8%増の2,889,838千円となりました。これはテレワークの浸透に伴って企業及び公共空間でのセキュアなワークブースの需要が増加したことにより販売件数が増加したことによるものであります。
また、セグメント利益は前年同期比8.0%減の646,787千円となりました。これは、第1四半期連結累計期間においてテレビ及びWeb媒体を利用した広告宣伝活動を実施したためであります。
② 財政状態の状況
(単位:千円)
a.資産
当連結会計年度末において、資産残高は前期末比1,632,843千円増の16,891,863千円となりました。これは主に新規サービスのソフトウェア開発に着手したことによりソフトウェア仮勘定残高が増加したこと、及び為替レートが円安方向に動いたことで海外子会社の円換算後ののれん残高が増加したことによるものであります。
b.負債
負債残高は前期末比744,164千円増の10,902,333千円となりました。これは主に、事業規模拡大により借入金等のポジションを増額したことで借入金残高が増加したためであります。
c.純資産
純資産残高は前期末比888,678千円増の5,989,529千円となりました。これは昨年末と比べて為替レートが大幅な円安となったために為替換算調整勘定が918,461千円増加したことによるものであります。
この純資産増加の影響により、自己資本比率は34.9%(前連結会計年度末は33.1%)に増加いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:千円)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、営業利益が前期に比べて縮小したことにより、前期比254,235千円減の1,833,235千円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は2,395,745千円となりました。これは主に当社グループサービスの開発投資としての無形固定資産の取得に1,592,147千円を支出したことによるものであります。また、公共向けテレキューブ事業の更なる推進のためのテレキューブサービス株式会社への増資として、50,000千円を支出したほか、当社の事業とのシナジー効果が見込まれる企業への出資により投資有価証券の取得に60,552千円を支出しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は290,310千円となりました。これは主に、事業活動の拡大により、短期借入金を中心に借入金のポジションを増加させた結果であります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、当社サービスの新規開発や機能拡充のための開発投資、イベント配信サービス(オンラインセミナー配信サービス)に使用する配信機材の調達、テレキューブを中心とするハードウェアの仕入調達であります。
開発投資についてはソフトウェア償却額と同程度の水準を目安とすることにより財務健全性を維持することとしております。また、配信機材やハードウェアは自己資金またはデットファイナンスによる調達を行っておりますが、特に配信機材の調達については回収期間や機材の陳腐化を総合的に判断して、借入またはリースの期間を決定しております。
また、得られたフリーキャッシュフローについては、上述の開発投資やイベント配信ビジネスへの投資のほか、配当性向20%を目安とし、中長期的には30%を想定した株主還元を行ってまいります。なお、株価が割安と判断された場合は手許資金及び会社法上の分配可能額を勘案しながら積極的に自社株買いを実施してまいります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標は以下のとおりです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)1.各指標の計算方法は以下のとおりであります。
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
5.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を利用しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なることがあります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注状況の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
② 販売実績
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりです。
(3)経営者による分析
Ⅰ.エンタープライズDX事業
エンタープライズDX事業では汎用ウェブ等サービス、SDK、緊急対策、LMSの4つのカテゴリでサービス提供を行っております。各サービスの売上高推移は以下のとおりです。
サービス別売上高推移 (単位:千円)
当連結会計年度においては、「V-CUBE Video SDK」などのサービスがあるSDKの売上高が前年比75.1%増の1,300,952千円に増加した一方、前年度に緊急事態宣言による在宅勤務への急な切り替え対応のため、一時的にWeb会議システム需要が増加していた汎用ウェブ等のサービスについては、事態の長期化によって需要が落ち着いたことにより前年比26.3%減の2,034,376千円となりました。汎用ウェブ等サービスについては、世界的な企業によるサービス提供がなされる競争の激しい分野であることから、将来的には大きな成長は見込めず、横ばいで推移すると考えておりますが、映像組み込み型サービスの開発を容易にするSDKについては、コロナ禍で需要が拡大し今後も成長が見込まれる映像配信サービスの開発に必須であることから、今後も売上高は拡大していくものと考えております。
また、緊急対策サービスについては、コロナウイルスの弱毒化と流行の鎮静化により、長らく停止していた商談が前連結会計年度より再開したことから、売上高はコロナ禍前の水準に回復し、前年比16.5%増の487,446千円となりました。本サービスの主力商材は、災害現場や工場等の遠隔監視を可能とするシステムであり根強いニーズがあるため、翌連結会計年度以降も売上高は拡大していくものと見込んでおります。
Ⅱ.イベントDX事業
イベントDX事業においては、コロナ禍を契機としたリモート化へのシフトにより配信回数が急増しました。その後、配信内製化に伴い、2021年第1四半期をピークとして配信回数自体は減少いたしましたが、大規模配信案件や高付加価値案件の割合の上昇により、売上高は前連結会計年度より増加いたしました。
イベントDX事業の連結売上高推移 (単位:千円)
配信回数については第1四半期に増加し、第3四半期に減少するという季節的変動が若干みられるものの、当連結会計年度における配信回数は3か月平均1,700回前後(前年比約200回減)で落ち着いております。一方で大規模配信案件や高付加価値案件の割合が増加したために1配信あたりの単価は前年比で平均10万円程度増加したことで、当連結会計年度における連結売上高は前年同期比6.3%増の5,008,155千円となりました。
来期以降については、配信回数自体は本年度と同水準であるものの、法定の議事進行を要し失敗の許されない株主総会やクオリティの高いオンラインイベントを提供する高付加価値案件など、1配信当たり単価の高い案件の需要が増加すると予測されること、また米国においては当連結会計年度に生じた急激なリアル回帰が沈静化し、再びオンライン配信への揺り戻しが起きることが見込まれることから、当該事業については今後も緩やかに成長を続けていくものと考えております。
Ⅲ.サードプレイスDX事業
サードプレイスDX事業においては、企業及び公共空間においてWeb会議に対応したセキュアなワークブースである「テレキューブ」の需要が急増したことにより、当連結会計年度における販売実績台数は9,017台(前年比58%増)に、累計設置台数は16,770台に拡大いたしました。
主要駅やオフィスビルを中心とした公共空間に設置するテレキューブを販売する公共向けについては、Web会議の定着に伴い、公共空間における会議スペース需要が増加したことから設置箇所が拡大し、累計設置台数は前年比82%増の808台となりました。テレワークが定着した昨今の状況を鑑みれば、来期以降においても公共空間におけるセキュアなスペースに対する需要は高まっていくと考えられ、2023年12月期においても設置数は増加する見込みであります。
企業向けテレキューブの販売形態については、テレキューブ本体を購入いただく「販売型」に加えて、契約期間中は月額定額料金で利用することが可能な「サブスクリプション型」の2つの形態で提供しております。「サブスクリプション型」は「販売型」に比べて初期導入コストが抑えられるメリットがあるため、より幅広い顧客層へのアプローチが可能であります。
当連結会計年度における企業向けの販売実績台数は、前年比58%増の8,652台となり、累計設置台数は15,962台となりました。これは、企業オフィスへの出社と在宅勤務のハイブリッドな勤務形態が増加した結果、企業内においてもWeb会議に対応したセキュアな会議スペースの需要が急増したことによるものと考えられます。
今後はこのような勤務形態が主流になると見込まれることから、企業向けテレキューブの需要は今後も拡大していくものと考えております。
テレキューブ累計設置台数 (単位:台)
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスに対するワクチン接種の効果及びウイルス自体の弱毒化により、それまで行われていた行動制限が解除されることとなり、経済活動は新型コロナウイルス発生前の状態に近づいた年でした。一方で、ウクライナ侵攻に伴う世界的なエネルギー・物資不足や急激に進んだ円安により物価が上昇し、我が国の経済活動に影響を与えた年でもありました。
行動制限の緩和と経済活動の正常化により、米国では急激なリアル回帰が進み、オンラインイベントからリアルイベントへの揺り戻しが生じました。他方、日本ではリアル回帰が生じたものの、米国ほどの急激な揺り戻しは起こらず、リアルとオンラインの両方を組み合わせたハイブリッド形態が標準になりつつあります。
当社グループにおいては、急速なリアル回帰が生じた米国地域では苦戦を強いられたものの、日本においてはセミナーなどのイベントのオンライン化需要やオフィスや公共空間におけるWeb会議を実施できるセキュアな空間に対するニーズは底堅く、事業規模は緩やかに拡大いたしました。一方で、オンライン型セミナーが急速に普及したことから、顧客企業の内製化への切り替えが当初の想定よりも早く進み、中期経営計画において見込んでいた成長率を見直すこととなりました。今後はWeb配信専用スタジオを有する当社の強みを生かし、内製化が難しい大規模の配信案件の獲得や、Webセミナーの更なる普及によって需要の拡大が見込まれる付加価値の高いイベント案件の推進によって差別化を図り、事業の拡大を目指してまいります。
また、テレワ―クの定着及びリモートを活用したコミュニケーションDXによる生産性・生活の質の向上の実現に向けて、当連結会計年度において以下の項目を実施いたしました。
(ⅰ)Web会議ツールの継続的提供と市場拡大への貢献
緊急事態宣言下における必須ツールとしてWeb会議ツールを導入する企業が増加し、当社のWeb会議サービスである「V-CUBEミーティング」のほか、当社が代理店として販売する「Zoom」も堅調に推移しました。新型コロナウイルスの感染が拡大した前年度のような大幅な増収はないものの、テレワークの定着によりサービス利用数や利用時間は依然としてコロナ禍以前よりも高水準で推移しております。Web会議ツールは今や企業活動に欠かせない社会インフラとなったため、今後も提供サービスの安定運用ができるよう機能開発・品質改善活動を継続してまいります。
(ⅱ)イベント配信サービス事業の拡大
様々な業界でイベント及びセミナーがオンライン開催にシフトしていく中、前年に引き続き当社におけるオンラインイベント配信件数は急増いたしました。オンラインイベントの需要は今後も引き続き増加していく見込みであることから、人材や機材等のキャパシティ拡大とともに、他社サービスとの差別化となる高付加価値のオンラインイベントを提供するための開発投資を積極的に実施いたしました。
(ⅲ)テレワークを支援するセキュアなワークブース「テレキューブ」の提供
企業においてテレワークが普及した一方でオフィスへ出社する機会も戻りつつある中で、在宅勤務者とのWeb会議を開催するための場所の需要が拡大した結果、企業におけるテレキューブの設置台数も大幅に増加いたしました。また、コロナ禍により自宅でも職場でもない「第三の場所」を求める傾向を踏まえ、前年度に引き続き駅やオフィスビルなど公共向けのテレキューブ設置台数を積極的に拡大いたしました。
これらのミッション実現施策とともに、企業として持続的成長を実現していくための新規事業領域の創出や、株式会社としての使命たる企業価値最大化のための業績向上と株主還元も併せて実施いたしております。
当連結会計年度の業績は以下のとおりです。
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 11,493,601 | 12,229,135 | 735,534 | 6.4 |
| 営業利益 | 1,351,187 | 675,093 | △676,094 | △50.0 |
| 経常利益 | 1,232,811 | 612,898 | △619,913 | △50.3 |
| 親会社帰属当期純利益 | 1,324,261 | 84,594 | △1,239,667 | △93.6 |
当連結会計年度において、売上高は前年同期比で6.4%増加いたしました。これは、バーチャル株主総会の運用本格化などによって1件当たりの配信売上単価が上昇したこと、並びに企業向け及び公共空間向けテレキューブの設置台数が増加したことによるものです。
一方で、エンタープライズDX事業における自社製品比率の低下に伴う利益率低下や、イベントDX事業における製
薬業界における小規模配信の縮小、サードプレイスDX事業における「テレキューブ」に関する広告宣伝費用の発生
により、営業利益は前年同期比50%減の675,093千円となりました。
営業外損益においては、借入金に対する支払利息44,937千円を計上したほか、持分法適用会社であるテレキューブサービス株式会社において前年に引き続き公共空間における積極的な投資を行なったため、持分法による投資損失22,866千円を計上しました。
特別損益においては、V-CUBEミーティングを中心に収益性の低下したソフトウェア資産の減損損失395,647千円を計上いたしました。
なお、2022年1月公表の当社グループ中期経営計画において、当初は、当連結会計年度の売上高115億円、営業利益20億円、親会社株主に帰属する当期純利益14億円と計画しておりましたが、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 で述べたとおり、イベントDX事業における製薬業界での小規模セミナー配信の内製化が当初想定よりも急速に進んだことから、2022年1月に中期経営計画を見直し、当連結会計年度の計画を売上高115億円、営業利益14億円、親会社に帰属する当期純利益11.5億円に修正しております。修正後計画については概ね指標を達成いたしました。また、ROEとNOPLAT※ベースの配当性向の目標についても、当初計画ではそれぞれ30%以上、12%を計画しておりましたが、修正計画では計画利益額の変更に伴い、それぞれ28%、22.8%といたしました。当連結会計年度のROE及びNOPLATベースの配当性向は、それぞれ30%、22%となり、概ね修正計画を達成しております。
※NOPLAT:Net Operating Profit Less Adjusted Tax(みなし税引後利益)
セグメント別の業績は、以下のとおりです。
Ⅰ.エンタープライズDX事業
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 4,573,186 | 4,331,141 | △242,045 | △5.3 |
| セグメント利益 | 670,872 | 593,166 | △77,706 | △11.6 |
エンタープライズDX事業は、主に企業や官公庁等を対象に、社内外のコミュニケーションにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するサービスを提供しております。
具体的には、自社開発の汎用Web会議システム「V-CUBE ミーティング」や「Zoom」の販売のほか、ディスカッションテーブル「V-CUBE Board」などの災害対策ソリューションやウェアラブルデバイスなど、企業向けのリモートコミュニケーションプロダクトを提供しております。また、顧客企業において映像組み込み型サービスの開発を容易にする「V-CUBE Video SDK」の提供やサービス開発及び運用支援をすることで、顧客企業におけるソリューション開発を支援しております。
当連結会計年度のセグメント売上高は、前年同期比5.3%減の4,331,141千円となりました。これは前連結会計年度に見られた、緊急退避的にリモートワークを行った企業によるWeb会議システムの需要が一巡したことによるもの、及び連結子会社であるWizlearn Technologiesにおける、シンガポール政府の方針に基づく学校向けLMS市場の大幅な縮小によるものであります。また、セグメント利益は前年同期比11.6%減の593,166千円となりました。これは、注力事業ではなくなったことにより自社製品比率が緩やかに低下したこと、及び円安による海外他社製品の原価が上昇したことで、限界利益率が減少したためであります。
Ⅱ.イベントDX事業
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 4,710,320 | 5,008,155 | 297,835 | 6.3 |
| セグメント利益 | 639,846 | 140,516 | △499,330 | △78.0 |
イベントDX事業は、様々な分野におけるイベント、セミナーのリモート化を支援する事業であります。
具体的には、Webセミナー配信サービス「V-CUBE セミナー」や「EventIn」などのセミナー配信ソフトウェアを提供するほか、イベント配信に係る運用設計、当日の配信サポートや後日のイベントデータ解析などの運用支援サービスを提供しております。
当連結会計年度では、製薬業界向けの小規模配信事業が内製化により縮小したことから、イベントDX事業全体の配信回数は前年同期比12%減の約6,500件となりました。一方で、本年度より運用が本格化したバーチャル株主総会や人材業界における就職説明会などの非製薬業界での事業の成長により、中・大規模の配信案件や高付加価値案件の配信件数が増加したことで、セグメント売上高は前年同期比6.3%増の5,008,155千円となりました。
一方、セグメント利益は前年同期比78.0%減の140,516千円となりました。これは前連結会計年度において効率的なサービス提供体制を構築していた製薬業界向け小規模配信事業が縮小したことに加えて製薬業界向けのウェブ講演会市場全体も縮小傾向にあること、及び米国におけるオミクロン株の流行による配信イベントの延期とその後の流行の鎮静化により発生した急速なリアル回帰によりXyvidの業績が低下し、それに伴いのれん償却額の負担が
相対的に重くなったことによるものであります。
小規模配信案件は縮小傾向にあるものの、法定の議事進行を要し失敗の許されない株主総会や内製化が困難な大規模配信案件、及び、ハイブリッドやメタバースのイベント等の高付加価値案件の需要は増加しているため、イベントDX事業全体としては今後も拡大を続けていくものと予測しております。
Ⅲ.サードプレイスDX事業
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 2,210,094 | 2,889,838 | 679,744 | 30.8 |
| セグメント利益 | 702,723 | 646,787 | △55,936 | △8.0 |
サードプレイスDX事業は、自宅や職場とは異なるサードプレイス(第3の場所)の提供や運用支援を行うことで、昨今日本に浸透しつつあるテレワークを1つのワークスタイルとして定着させることを目的とする事業であります。
具体的には、企業及び公共空間への「テレキューブ」の提供、公共空間におけるワークブースの管理運営システムの開発、「テレキューブ」において提供する関連サービスの開発を行っております。
当連結会計年度では、セグメント売上高は前年同期比30.8%増の2,889,838千円となりました。これはテレワークの浸透に伴って企業及び公共空間でのセキュアなワークブースの需要が増加したことにより販売件数が増加したことによるものであります。
また、セグメント利益は前年同期比8.0%減の646,787千円となりました。これは、第1四半期連結累計期間においてテレビ及びWeb媒体を利用した広告宣伝活動を実施したためであります。
② 財政状態の状況
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 資産 | 15,259,020 | 16,891,863 | 1,632,843 |
| 負債 | 10,158,169 | 10,902,333 | 744,164 |
| 純資産 | 5,100,851 | 5,989,529 | 888,678 |
a.資産
当連結会計年度末において、資産残高は前期末比1,632,843千円増の16,891,863千円となりました。これは主に新規サービスのソフトウェア開発に着手したことによりソフトウェア仮勘定残高が増加したこと、及び為替レートが円安方向に動いたことで海外子会社の円換算後ののれん残高が増加したことによるものであります。
b.負債
負債残高は前期末比744,164千円増の10,902,333千円となりました。これは主に、事業規模拡大により借入金等のポジションを増額したことで借入金残高が増加したためであります。
c.純資産
純資産残高は前期末比888,678千円増の5,989,529千円となりました。これは昨年末と比べて為替レートが大幅な円安となったために為替換算調整勘定が918,461千円増加したことによるものであります。
この純資産増加の影響により、自己資本比率は34.9%(前連結会計年度末は33.1%)に増加いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 2,087,470 | 1,833,235 | △254,235 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △5,965,713 | △2,395,745 | 3,569,968 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 2,829,467 | 290,310 | △2,539,157 |
| 現金及び現金同等物の当期末残高 | 1,823,797 | 1,699,697 | △124,100 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、営業利益が前期に比べて縮小したことにより、前期比254,235千円減の1,833,235千円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は2,395,745千円となりました。これは主に当社グループサービスの開発投資としての無形固定資産の取得に1,592,147千円を支出したことによるものであります。また、公共向けテレキューブ事業の更なる推進のためのテレキューブサービス株式会社への増資として、50,000千円を支出したほか、当社の事業とのシナジー効果が見込まれる企業への出資により投資有価証券の取得に60,552千円を支出しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は290,310千円となりました。これは主に、事業活動の拡大により、短期借入金を中心に借入金のポジションを増加させた結果であります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、当社サービスの新規開発や機能拡充のための開発投資、イベント配信サービス(オンラインセミナー配信サービス)に使用する配信機材の調達、テレキューブを中心とするハードウェアの仕入調達であります。
開発投資についてはソフトウェア償却額と同程度の水準を目安とすることにより財務健全性を維持することとしております。また、配信機材やハードウェアは自己資金またはデットファイナンスによる調達を行っておりますが、特に配信機材の調達については回収期間や機材の陳腐化を総合的に判断して、借入またはリースの期間を決定しております。
また、得られたフリーキャッシュフローについては、上述の開発投資やイベント配信ビジネスへの投資のほか、配当性向20%を目安とし、中長期的には30%を想定した株主還元を行ってまいります。なお、株価が割安と判断された場合は手許資金及び会社法上の分配可能額を勘案しながら積極的に自社株買いを実施してまいります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標は以下のとおりです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2018年12月期 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | |
| 自己資本比率(%) | 35.0 | 43.2 | 37.8 | 33.1 | 34.9 |
| 時価ベースの 自己資本比率(%) | 83.6 | 226.9 | 738.8 | 171.5 | 104.7 |
| キャッシュ・フロー対 有利子負債比率(年) | 4.0 | 5.9 | 1.8 | 3.3 | 4.1 |
| インタレスト・ カバレッジ・レシオ(倍) | 33.6 | 17.9 | 88.8 | 58.5 | 40.6 |
(注)1.各指標の計算方法は以下のとおりであります。
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
5.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を利用しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なることがあります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注状況の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
② 販売実績
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりです。
(3)経営者による分析
Ⅰ.エンタープライズDX事業
エンタープライズDX事業では汎用ウェブ等サービス、SDK、緊急対策、LMSの4つのカテゴリでサービス提供を行っております。各サービスの売上高推移は以下のとおりです。
サービス別売上高推移 (単位:千円)
| 種別 | 2021年 第1四半期 | 2021年 第2四半期 | 2021年 第3四半期 | 2021年 第4四半期 | 2022年 第1四半期 | 2022年 第2四半期 | 2022年 第3四半期 | 2022年 第4四半期 |
| 汎用ウェブ等 | 834,110 | 690,279 | 640,489 | 594,338 | 532,198 | 493,610 | 494,662 | 513,905 |
| SDK | 168,825 | 182,964 | 180,923 | 210,268 | 404,258 | 316,908 | 295,193 | 284,591 |
| 緊急対策 | 145,657 | 89,534 | 83,465 | 99,731 | 192,364 | 83,436 | 73,475 | 138,169 |
| LMS | 148,494 | 163,249 | 174,541 | 166,310 | 116,304 | 119,336 | 131,290 | 141,435 |
| 合計 | 1,297,087 | 1,126,028 | 1,079,419 | 1,070,649 | 1,245,126 | 1,013,292 | 994,621 | 1,078,101 |
当連結会計年度においては、「V-CUBE Video SDK」などのサービスがあるSDKの売上高が前年比75.1%増の1,300,952千円に増加した一方、前年度に緊急事態宣言による在宅勤務への急な切り替え対応のため、一時的にWeb会議システム需要が増加していた汎用ウェブ等のサービスについては、事態の長期化によって需要が落ち着いたことにより前年比26.3%減の2,034,376千円となりました。汎用ウェブ等サービスについては、世界的な企業によるサービス提供がなされる競争の激しい分野であることから、将来的には大きな成長は見込めず、横ばいで推移すると考えておりますが、映像組み込み型サービスの開発を容易にするSDKについては、コロナ禍で需要が拡大し今後も成長が見込まれる映像配信サービスの開発に必須であることから、今後も売上高は拡大していくものと考えております。
また、緊急対策サービスについては、コロナウイルスの弱毒化と流行の鎮静化により、長らく停止していた商談が前連結会計年度より再開したことから、売上高はコロナ禍前の水準に回復し、前年比16.5%増の487,446千円となりました。本サービスの主力商材は、災害現場や工場等の遠隔監視を可能とするシステムであり根強いニーズがあるため、翌連結会計年度以降も売上高は拡大していくものと見込んでおります。
Ⅱ.イベントDX事業
イベントDX事業においては、コロナ禍を契機としたリモート化へのシフトにより配信回数が急増しました。その後、配信内製化に伴い、2021年第1四半期をピークとして配信回数自体は減少いたしましたが、大規模配信案件や高付加価値案件の割合の上昇により、売上高は前連結会計年度より増加いたしました。
イベントDX事業の連結売上高推移 (単位:千円)
| 種別 | 2021年 第1四半期 | 2021年 第2四半期 | 2021年 第3四半期 | 2021年 第4四半期 | 2022年 第1四半期 | 2022年 第2四半期 | 2022年 第3四半期 | 2022年 第4四半期 |
| 配信回数 | 3,005回 | 1,533回 | 1,361回 | 1,425回 | 2,142回 | 1,783回 | 1,266回 | 1,714回 |
| 平均単価 | 511 | 653 | 581 | 749 | 679 | 790 | 701 | 734 |
| セグメント 売上高 | 1,536,515 | 1,069,693 | 880,250 | 1,223,863 | 1,453,826 | 1,408,860 | 887,827 | 1,257,640 |
配信回数については第1四半期に増加し、第3四半期に減少するという季節的変動が若干みられるものの、当連結会計年度における配信回数は3か月平均1,700回前後(前年比約200回減)で落ち着いております。一方で大規模配信案件や高付加価値案件の割合が増加したために1配信あたりの単価は前年比で平均10万円程度増加したことで、当連結会計年度における連結売上高は前年同期比6.3%増の5,008,155千円となりました。
来期以降については、配信回数自体は本年度と同水準であるものの、法定の議事進行を要し失敗の許されない株主総会やクオリティの高いオンラインイベントを提供する高付加価値案件など、1配信当たり単価の高い案件の需要が増加すると予測されること、また米国においては当連結会計年度に生じた急激なリアル回帰が沈静化し、再びオンライン配信への揺り戻しが起きることが見込まれることから、当該事業については今後も緩やかに成長を続けていくものと考えております。
Ⅲ.サードプレイスDX事業
サードプレイスDX事業においては、企業及び公共空間においてWeb会議に対応したセキュアなワークブースである「テレキューブ」の需要が急増したことにより、当連結会計年度における販売実績台数は9,017台(前年比58%増)に、累計設置台数は16,770台に拡大いたしました。
主要駅やオフィスビルを中心とした公共空間に設置するテレキューブを販売する公共向けについては、Web会議の定着に伴い、公共空間における会議スペース需要が増加したことから設置箇所が拡大し、累計設置台数は前年比82%増の808台となりました。テレワークが定着した昨今の状況を鑑みれば、来期以降においても公共空間におけるセキュアなスペースに対する需要は高まっていくと考えられ、2023年12月期においても設置数は増加する見込みであります。
企業向けテレキューブの販売形態については、テレキューブ本体を購入いただく「販売型」に加えて、契約期間中は月額定額料金で利用することが可能な「サブスクリプション型」の2つの形態で提供しております。「サブスクリプション型」は「販売型」に比べて初期導入コストが抑えられるメリットがあるため、より幅広い顧客層へのアプローチが可能であります。
当連結会計年度における企業向けの販売実績台数は、前年比58%増の8,652台となり、累計設置台数は15,962台となりました。これは、企業オフィスへの出社と在宅勤務のハイブリッドな勤務形態が増加した結果、企業内においてもWeb会議に対応したセキュアな会議スペースの需要が急増したことによるものと考えられます。
今後はこのような勤務形態が主流になると見込まれることから、企業向けテレキューブの需要は今後も拡大していくものと考えております。
テレキューブ累計設置台数 (単位:台)
| 種別 | 2021年 第1四半期末 | 2021年 第2四半期末 | 2021年 第3四半期末 | 2021年期末 | 2022年 第1四半期末 | 2022年 第2四半期末 | 2022年 第3四半期末 | 2022年期末 |
| 公共向け | 282 | 306 | 355 | 443 | 581 | 626 | 699 | 808 |
| 企業向け(販売型) | 2,483 | 3,633 | 5,292 | 6,975 | 9,610 | 11,777 | 13,472 | 15,423 |
| 企業向け (サブスクリプション型) | 253 | 268 | 310 | 335 | 322 | 415 | 495 | 539 |
| 合計 | 3,018 | 4,207 | 5,957 | 7,753 | 10,513 | 12,818 | 14,666 | 16,770 |
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。