有価証券報告書-第25期(2024/01/01-2024/12/31)
(1)経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、ロシア・ウクライナ戦争の継続や中東情勢の不安定化、長期化する円安に加え、エネルギー価格や原材料費の高騰、労働市場の逼迫などの影響を受けました。これにより、企業のコスト負担が増大し、個人消費や設備投資の回復に足踏みが見られる一方で、生成AIをはじめとする新技術の台頭が産業構造の変革を加速させるなど、先行き不透明ながらも変化の兆しが見られる年となりました。
日本市場では、行動制限の緩和と経済活動の正常化が進み、リアルイベントや対面でのビジネス活動が回復基調となる中で、デジタルとの融合を前提とした新たな市場環境が形成されつつあります。当社においても、この市場の変化に対応し、リアルとオンラインのハイブリッドモデルを強化することで、安定的な業績を維持しました。
一方、米国市場では、コロナ後に獲得した新規顧客との案件開始の遅れや、為替の影響が引き続き業績の下押し要因となりました。しかしながら、当社米国子会社においてはNASDAQ市場へ上場し、これを契機に財務基盤の安定化を進め、今後の成長に向けた戦略的な展開を加速させてまいります。
こうした環境の中、当社グループは収益構造の最適化を継続的に進めております。国内においては、事業ポートフォリオの見直しを含む経営資源の適正化を進め、コストコントロールを徹底するとともに、収益力の強化を図りました。今後も、国内外における収益性の改善に向けた施策を継続し、持続的な成長を実現するための経営基盤の強化に取り組んでまいります。
2025年以降は、これらの取り組みに加え、当連結会計年度に開始した新規事業の本格展開、新製品の市場投入、及び米国市場における新たな顧客基盤の確立を推進し、売上高の堅調な成長を見込んでおります。引き続き、事業の拡大と収益の向上に向けた施策を着実に進めてまいります。
また、テレワークの定着及びリモートを活用したコミュニケーションDXによる生産性・生活の質の向上の実現に向けて、当連結会計年度において以下の項目を実施いたしました。
(ⅰ)Web会議ツールの継続的提供と市場拡大への貢献
緊急事態宣言下における必須ツールとしてWeb会議ツールを導入する企業が増加し、当社のWeb会議サービスである「V-CUBEミーティング」のほか、当社が代理店として販売する「Zoom」も堅調に推移しました。また、テレワークの定着によりサービス利用数や利用時間は依然としてコロナ禍以前よりも高水準で推移しております。Web会議ツールは今や企業活動に欠かせない社会インフラとなったため、今後も提供サービスの安定運用ができるよう機能開発・品質改善活動を継続してまいります。
(ⅱ)イベント配信サービス事業の拡大
様々な業界ではイベント及びセミナー開催がオンラインとリアル回帰のハイブリット型が進む中、配信件数は前年度に比べ減少いたしました。しかしながら、オンラインイベントの需要は今後も堅調に推移していく見込みであることから、人材や機材等のキャパシティ拡大とともに、他社サービスとの差別化となる高付加価値のオンラインイベントを提供するための開発投資を積極的に実施いたしました。
(ⅲ)テレワークを支援するセキュアな個室ブース「テレキューブ」の提供
企業においてテレワークが普及した一方でオフィスへ出社する機会も戻りつつある中で、在宅勤務者とのWeb会議を開催するための場所の需要が拡大した結果、企業におけるテレキューブの設置台数も大幅に増加いたしました。また、コロナ禍により自宅でも職場でもない「第三の場所」を求める傾向を踏まえ、前年度に引き続き駅やオフィスビルなど公共向けのテレキューブ設置台数を積極的に拡大いたしました。
これらのミッション実現施策とともに、企業として持続的成長を実現していくための新規事業領域の創出や、株式会社としての使命たる企業価値最大化のための業績向上と株主還元も併せて実施いたしております。
当連結会計年度の業績は以下のとおりです。
(単位:千円)
当連結会計年度において、売上高は前年同期比で5.6%減少いたしました。これは、主にプロフェッショナルワーク事業の譲渡の影響のほか、国内の製薬業界の講演会市場の縮小や大口顧客の案件減少の影響によるものです。また、国内事業のセールスミックスの変化や、北米地域の連結子会社TEN Holdings, Inc.における営業人員の増強及びIPO関連費用の計上により、営業損失は236,769千円(前年同期は156,098千円の営業損失)となりました。
営業外損益においては、前連結会計年度の財務制限条項への抵触に起因して経営改善に向けた財務関連手数料として56,024千円計上したほか、支払利息63,143千円を計上いたしました。
特別損益においては、投資有価証券売却益を11,037千円計上したほか、主に収益性の低下した一部のソフトウエアについて減損損失598,518千円を計上いたしました。
セグメント別の業績は、以下のとおりです。
なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、当連結会計年度より、当社グループ内の一部のセグメント区分の変更及び全社費用の配賦基準の変更を行っております。前連結会計年度のセグメント情報については、新しい方法により作成しており、以下の前年同期比については、新しい方法により組み替えた数値で比較しております。
Ⅰ.エンタープライズDX事業
(単位:千円)
エンタープライズDX事業は、主に企業や官公庁等を対象に、社内外のコミュニケーションにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するサービスを提供しております。
具体的には、自社開発の汎用Web会議システム「V-CUBE ミーティング」の販売及び「Zoom」「Zoomphone」等のZoom Communications Inc.の提供するサービスのリセール販売を中心とした「ハイブリッド」事業、高品質な通話・配信・会話型AIの機能を簡単に実装できる「Agora」を中心とした「ビジネスグロース」事業、動画の制作・管理・配信が可能な企業向け動画配信プラットフォーム「Qumu」を中心とした「リスキリング」事業で構成されています。
当連結会計年度のセグメント売上高は、前年同期比6.4%減の4,058,584千円となりました。これは主に、第2四半期連結会計期間にプロフェッショナルワーク事業を譲渡した影響によるものであります。
また、販売価格の値上げや仕入価格の低減の施策が利益率の改善に寄与したこと等により、セグメント利益率は16.0%から16.4%に上昇したものの、セグメント利益は前年同期比3.9%減の667,446千円となりました。
Ⅱ.イベントDX事業
(単位:千円)
イベントDX事業は、様々な分野におけるイベント、セミナーのリモート化を支援する事業であります。
具体的には、Webセミナー配信サービス「V-CUBE セミナー」や「EventIn」などのセミナー配信ソフトウエアを提供するほか、イベント配信に係る運用設計、当日の配信サポートや後日のイベントデータ解析などの運用支援サービスを提供しております。
当連結会計年度では、国内の製薬業界の講演会市場の縮小は底打ちし、今後の注力領域であるハイブリッドイベントが成長したものの、大口顧客の案件減少の影響により、セグメント売上高は前年同期比10.3%減の3,763,996千円となりました。
また、米国の連結子会社TEN Holdings, Inc.における営業人員の増加及びIPO関連費用の計上により収益性が低下したことから、セグメント損失は566,367千円(前年同期は507,938千円のセグメント損失)となりました。
Ⅲ.サードプレイスDX事業
(単位:千円)
サードプレイスDX事業は、自宅や職場とは異なるサードプレイス(第3の場所)の提供や運用支援を行うことで、昨今日本に浸透しつつあるテレワークを1つのワークスタイルとして定着させることを目的とする事業であります。
具体的には、企業及び公共空間への「テレキューブ」の提供、公共空間におけるワークブースの管理運営システムの開発、「テレキューブ」において提供する関連サービスの開発を行っております。
当連結会計年度では、セグメント売上高は前年同期比3.6%増の2,641,265千円となりました。これは、主に企業向けの防音型個室ブースの多様な販売モデルを通じた提供が堅調に推移したことによるものであります。
また、セグメント利益は前年同期比2.4%減の746,632千円となりました。これは、多様な販売モデルを提供したことによるセールスミックスが変化したためであります。
② 財政状態の状況
(単位:千円)
a.資産
当連結会計年度末において、資産残高は前期末比1,848,116千円減の10,481,052千円となりました。これは主に、ソフトウエアの減損損失を計上したことによる無形固定資産残高の減少のほか、主に米国の連結子会社TEN Holdings, Inc.の取得資金のローンの返済等により現金及び預金が減少したことによるものであります。
b.負債
負債残高は前期末比1,125,724千円減の10,457,387千円となりました。これは主に、米国の連結子会社TEN Holdings, Inc.の取得資金のローンの返済等により有利子負債の約定弁済が行われたことによるものであります。
c.純資産
純資産残高は前期末比722,392千円減の23,664千円となりました。これは主に、2024年3月22日付及び2024年6月13日付で第三者割当増資の払込みを受けた一方、親会社株主に帰属する当期純損失1,417,278千円の計上により利益剰余金が減少したこと、欠損填補を目的とした減資により、資本金及び資本剰余金が1,587,695千円減少し、利益剰余金が652,956千円増加したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:千円)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は815,786千円となりました。これは主に、非資金項目である減価償却費及び減損損失の計上による増加があった一方で、税金等調整前当期純損失の計上によって減少となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は473,127千円となりました。これは主に、プロフェッショナルワーク事業の売却により661,384千円の収入があった一方、事業の選択と集中による開発投資の適正化の推進により前連結会計年度から大幅に削減したものの無形固定資産の取得に1,129,202千円支出したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は759,595千円となりました。これは主に、資本増強のための株式の発行による収入434,236千円があった一方、米国の連結子会社TEN Holdings, Inc.の取得資金のローンの返済が開始されたこと等、有利子負債の削減を進めたことによるものであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、当社サービスの新規開発や機能拡充のための開発投資、イベント配信サービス(オンラインセミナー配信サービス)に使用する配信機材の調達、テレキューブを中心とするハードウェアの仕入調達であります。
開発投資についてはソフトウエア償却額と同程度の水準を目安とすることにより財務健全性を維持することとしております。また、配信機材やハードウェアは自己資金またはリースによる調達を行っておりますが、特に配信機材の調達については回収期間や機材の陳腐化を総合的に判断して、リースの期間を決定しております。
また、得られたフリーキャッシュ・フローについては、上述の開発投資やイベント配信ビジネスへの投資のほか、配当性向20%を目安とし、中長期的には30%を想定した株主還元を行ってまいります。なお、株価が割安と判断された場合は手許資金及び会社法上の分配可能額を勘案しながら積極的に自社株買いを実施してまいります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標は以下のとおりです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)1.各指標の計算方法は以下のとおりであります。
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
5.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を利用しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なることがあります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注状況の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
② 販売実績
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりです。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、当連結会計年度より、当社グループ内の一部のセグメント区分の変更及び全社費用の配賦基準の変更を行っております。前連結会計年度のセグメント情報については、新しい方法により作成しており、以下の前年同期比については、新しい方法により組み替えた数値で比較しております。
Ⅰ.エンタープライズDX事業
エンタープライズDX事業ではハイブリッドワーク、ビジネスグロース、プロフェッショナルワーク、リスキリングの4つのカテゴリでサービス提供を行っております。各サービスの売上高推移は以下のとおりです。
サービス別売上高推移 (単位:千円)
当連結会計年度においては、官公庁や製造業を主な顧客とするプロフェッショナルワーク事業において売上高が前年同期比50.9%減の308,411千円となりました。第2四半期連結会計期間において、プロフェッショナルワーク事業はテクノホライゾン株式会社へ事業譲渡しております。
また、主にシンガポール子会社で展開しているリスキリング事業についても前年同期比4.2%減の837,646千円となりました。
Web会議システムが主力商材であるハイブリッドワーク事業については、世の中にテレワークが定着したことで需要が堅調に推移しており、前年同期比5.2%増の1,846,502千円となりました。ハイブリッドワーク事業については、世界的な企業によるサービス提供がなされる競争の激しい分野であることから、将来的には大きな成長は見込めず、横ばいで推移すると考えております。
一方、映像組み込み型サービスの開発を容易にするSDKを主力商材とするビジネスグロース事業については、前年同期比1.2%減の1,066,023千円となりました。
Ⅱ.イベントDX事業
イベントDX事業においては、その後、大規模配信案件や高付加価値案件の割合の上昇により配信1回当たりの平均単価は上昇したものの、年間配信回数は減少し、売上高は前連結会計年度より減少いたしました。
イベントDX事業の連結売上高推移 (単位:千円)
季節的変動については大きくはないものの、配信回数については第1四半期に増加し、第3四半期に減少、平均単価については株主総会開催が集中する第2四半期に増加するという傾向が見受けられます。当連結会計年度においては、大規模配信案件や高付加価値案件の割合が増加したために1配信あたりの単価は前年同期比で平均4万円程度増加したものの、一方で配信回数が3ヶ月平均1,100回前後(前年同期比約200回減)となったために、当連結会計年度における連結売上高は前年同期比10.3%減の3,763,996千円となりました。
来期以降については、配信回数自体は本年度と同水準であるものの、法定の議事進行を要し失敗の許されない株主総会やクオリティの高いオンラインイベントを提供する高付加価値案件など、1配信当たり単価の高い案件の需要が増加すると予測されること、また米国においては当連結会計年度に生じた急激なリアル回帰が沈静化し、再びオンライン配信への揺り戻しが起きることが見込まれることから、当該事業については今後も緩やかに成長を続けていくものと考えております。
Ⅲ.サードプレイスDX事業
サードプレイスDX事業においては、企業及び公共空間においてWeb会議に対応したセキュアな防音型個室ブースである「テレキューブ」の需要が根強く、当連結会計年度における販売実績台数は7,355台(前年同期比8.3%減)と前連結会計年度より減少したものの、累計設置台数は32,144台に拡大いたしました。
主要駅やオフィスビルを中心とした公共空間に設置するテレキューブを販売する公共向けについては、Web会議の定着に伴い、公共空間における会議スペース需要が増加したことから設置箇所が拡大し、累計設置台数は前年同期比17.1%増の1,206台となりました。テレワークが定着した昨今の状況を鑑みれば、来期以降においても公共空間におけるセキュアなスペースに対する需要は高まっていくと考えられ、2025年12月期においても設置数は増加する見込みであります。
企業向けテレキューブの販売形態については、テレキューブ本体を購入いただく「販売型」に加えて、契約期間中は月額定額料金で利用することが可能な「サブスクリプション型」の2つの形態で提供しております。「サブスクリプション型」は「販売型」に比べて初期導入コストが抑えられるメリットがあるため、より幅広い顧客層へのアプローチが可能であります。
当連結会計年度における企業向けの販売実績台数は、前年同期比7.9%減の7,179台となり、累計設置台数は30,938台となりました。これは、企業オフィスへの出社と在宅勤務のハイブリッドな勤務形態が定着しつつあり、企業内においてのWeb会議に対応したセキュアな会議スペースの需要が一巡し、増加ペースが緩やかになったためであります。
しかしながら、今後もこのような勤務形態が主流になると見込まれることから、企業向けテレキューブの需要は引き続き今後も堅調に推移していくものと考えております。
テレキューブ累計設置台数 (単位:台)
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、ロシア・ウクライナ戦争の継続や中東情勢の不安定化、長期化する円安に加え、エネルギー価格や原材料費の高騰、労働市場の逼迫などの影響を受けました。これにより、企業のコスト負担が増大し、個人消費や設備投資の回復に足踏みが見られる一方で、生成AIをはじめとする新技術の台頭が産業構造の変革を加速させるなど、先行き不透明ながらも変化の兆しが見られる年となりました。
日本市場では、行動制限の緩和と経済活動の正常化が進み、リアルイベントや対面でのビジネス活動が回復基調となる中で、デジタルとの融合を前提とした新たな市場環境が形成されつつあります。当社においても、この市場の変化に対応し、リアルとオンラインのハイブリッドモデルを強化することで、安定的な業績を維持しました。
一方、米国市場では、コロナ後に獲得した新規顧客との案件開始の遅れや、為替の影響が引き続き業績の下押し要因となりました。しかしながら、当社米国子会社においてはNASDAQ市場へ上場し、これを契機に財務基盤の安定化を進め、今後の成長に向けた戦略的な展開を加速させてまいります。
こうした環境の中、当社グループは収益構造の最適化を継続的に進めております。国内においては、事業ポートフォリオの見直しを含む経営資源の適正化を進め、コストコントロールを徹底するとともに、収益力の強化を図りました。今後も、国内外における収益性の改善に向けた施策を継続し、持続的な成長を実現するための経営基盤の強化に取り組んでまいります。
2025年以降は、これらの取り組みに加え、当連結会計年度に開始した新規事業の本格展開、新製品の市場投入、及び米国市場における新たな顧客基盤の確立を推進し、売上高の堅調な成長を見込んでおります。引き続き、事業の拡大と収益の向上に向けた施策を着実に進めてまいります。
また、テレワークの定着及びリモートを活用したコミュニケーションDXによる生産性・生活の質の向上の実現に向けて、当連結会計年度において以下の項目を実施いたしました。
(ⅰ)Web会議ツールの継続的提供と市場拡大への貢献
緊急事態宣言下における必須ツールとしてWeb会議ツールを導入する企業が増加し、当社のWeb会議サービスである「V-CUBEミーティング」のほか、当社が代理店として販売する「Zoom」も堅調に推移しました。また、テレワークの定着によりサービス利用数や利用時間は依然としてコロナ禍以前よりも高水準で推移しております。Web会議ツールは今や企業活動に欠かせない社会インフラとなったため、今後も提供サービスの安定運用ができるよう機能開発・品質改善活動を継続してまいります。
(ⅱ)イベント配信サービス事業の拡大
様々な業界ではイベント及びセミナー開催がオンラインとリアル回帰のハイブリット型が進む中、配信件数は前年度に比べ減少いたしました。しかしながら、オンラインイベントの需要は今後も堅調に推移していく見込みであることから、人材や機材等のキャパシティ拡大とともに、他社サービスとの差別化となる高付加価値のオンラインイベントを提供するための開発投資を積極的に実施いたしました。
(ⅲ)テレワークを支援するセキュアな個室ブース「テレキューブ」の提供
企業においてテレワークが普及した一方でオフィスへ出社する機会も戻りつつある中で、在宅勤務者とのWeb会議を開催するための場所の需要が拡大した結果、企業におけるテレキューブの設置台数も大幅に増加いたしました。また、コロナ禍により自宅でも職場でもない「第三の場所」を求める傾向を踏まえ、前年度に引き続き駅やオフィスビルなど公共向けのテレキューブ設置台数を積極的に拡大いたしました。
これらのミッション実現施策とともに、企業として持続的成長を実現していくための新規事業領域の創出や、株式会社としての使命たる企業価値最大化のための業績向上と株主還元も併せて実施いたしております。
当連結会計年度の業績は以下のとおりです。
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 11,084,673 | 10,463,846 | △620,827 | △5.6 |
| 営業損失(△) | △156,098 | △236,769 | △80,671 | - |
| 経常損失(△) | △275,470 | △320,861 | △45,391 | - |
| 親会社株主に帰属する当期純損失(△) | △5,623,183 | △1,417,278 | 4,205,905 | - |
当連結会計年度において、売上高は前年同期比で5.6%減少いたしました。これは、主にプロフェッショナルワーク事業の譲渡の影響のほか、国内の製薬業界の講演会市場の縮小や大口顧客の案件減少の影響によるものです。また、国内事業のセールスミックスの変化や、北米地域の連結子会社TEN Holdings, Inc.における営業人員の増強及びIPO関連費用の計上により、営業損失は236,769千円(前年同期は156,098千円の営業損失)となりました。
営業外損益においては、前連結会計年度の財務制限条項への抵触に起因して経営改善に向けた財務関連手数料として56,024千円計上したほか、支払利息63,143千円を計上いたしました。
特別損益においては、投資有価証券売却益を11,037千円計上したほか、主に収益性の低下した一部のソフトウエアについて減損損失598,518千円を計上いたしました。
セグメント別の業績は、以下のとおりです。
なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、当連結会計年度より、当社グループ内の一部のセグメント区分の変更及び全社費用の配賦基準の変更を行っております。前連結会計年度のセグメント情報については、新しい方法により作成しており、以下の前年同期比については、新しい方法により組み替えた数値で比較しております。
Ⅰ.エンタープライズDX事業
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 4,337,866 | 4,058,584 | △279,282 | △6.4 |
| セグメント利益 | 694,436 | 667,446 | △26,990 | △3.9 |
エンタープライズDX事業は、主に企業や官公庁等を対象に、社内外のコミュニケーションにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するサービスを提供しております。
具体的には、自社開発の汎用Web会議システム「V-CUBE ミーティング」の販売及び「Zoom」「Zoomphone」等のZoom Communications Inc.の提供するサービスのリセール販売を中心とした「ハイブリッド」事業、高品質な通話・配信・会話型AIの機能を簡単に実装できる「Agora」を中心とした「ビジネスグロース」事業、動画の制作・管理・配信が可能な企業向け動画配信プラットフォーム「Qumu」を中心とした「リスキリング」事業で構成されています。
当連結会計年度のセグメント売上高は、前年同期比6.4%減の4,058,584千円となりました。これは主に、第2四半期連結会計期間にプロフェッショナルワーク事業を譲渡した影響によるものであります。
また、販売価格の値上げや仕入価格の低減の施策が利益率の改善に寄与したこと等により、セグメント利益率は16.0%から16.4%に上昇したものの、セグメント利益は前年同期比3.9%減の667,446千円となりました。
Ⅱ.イベントDX事業
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 4,196,623 | 3,763,996 | △432,627 | △10.3 |
| セグメント損失(△) | △507,938 | △566,367 | △58,429 | - |
イベントDX事業は、様々な分野におけるイベント、セミナーのリモート化を支援する事業であります。
具体的には、Webセミナー配信サービス「V-CUBE セミナー」や「EventIn」などのセミナー配信ソフトウエアを提供するほか、イベント配信に係る運用設計、当日の配信サポートや後日のイベントデータ解析などの運用支援サービスを提供しております。
当連結会計年度では、国内の製薬業界の講演会市場の縮小は底打ちし、今後の注力領域であるハイブリッドイベントが成長したものの、大口顧客の案件減少の影響により、セグメント売上高は前年同期比10.3%減の3,763,996千円となりました。
また、米国の連結子会社TEN Holdings, Inc.における営業人員の増加及びIPO関連費用の計上により収益性が低下したことから、セグメント損失は566,367千円(前年同期は507,938千円のセグメント損失)となりました。
Ⅲ.サードプレイスDX事業
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 2,550,184 | 2,641,265 | 91,081 | 3.6 |
| セグメント利益 | 764,703 | 746,632 | △18,071 | △2.4 |
サードプレイスDX事業は、自宅や職場とは異なるサードプレイス(第3の場所)の提供や運用支援を行うことで、昨今日本に浸透しつつあるテレワークを1つのワークスタイルとして定着させることを目的とする事業であります。
具体的には、企業及び公共空間への「テレキューブ」の提供、公共空間におけるワークブースの管理運営システムの開発、「テレキューブ」において提供する関連サービスの開発を行っております。
当連結会計年度では、セグメント売上高は前年同期比3.6%増の2,641,265千円となりました。これは、主に企業向けの防音型個室ブースの多様な販売モデルを通じた提供が堅調に推移したことによるものであります。
また、セグメント利益は前年同期比2.4%減の746,632千円となりました。これは、多様な販売モデルを提供したことによるセールスミックスが変化したためであります。
② 財政状態の状況
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 資産 | 12,329,168 | 10,481,052 | △1,848,116 |
| 負債 | 11,583,111 | 10,457,387 | △1,125,724 |
| 純資産 | 746,056 | 23,664 | △722,392 |
a.資産
当連結会計年度末において、資産残高は前期末比1,848,116千円減の10,481,052千円となりました。これは主に、ソフトウエアの減損損失を計上したことによる無形固定資産残高の減少のほか、主に米国の連結子会社TEN Holdings, Inc.の取得資金のローンの返済等により現金及び預金が減少したことによるものであります。
b.負債
負債残高は前期末比1,125,724千円減の10,457,387千円となりました。これは主に、米国の連結子会社TEN Holdings, Inc.の取得資金のローンの返済等により有利子負債の約定弁済が行われたことによるものであります。
c.純資産
純資産残高は前期末比722,392千円減の23,664千円となりました。これは主に、2024年3月22日付及び2024年6月13日付で第三者割当増資の払込みを受けた一方、親会社株主に帰属する当期純損失1,417,278千円の計上により利益剰余金が減少したこと、欠損填補を目的とした減資により、資本金及び資本剰余金が1,587,695千円減少し、利益剰余金が652,956千円増加したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 990,958 | 815,786 | △175,172 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △1,916,914 | △473,127 | 1,443,787 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 562,404 | △759,595 | △1,321,999 |
| 現金及び現金同等物の当期末残高 | 1,389,327 | 1,006,735 | △382,592 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は815,786千円となりました。これは主に、非資金項目である減価償却費及び減損損失の計上による増加があった一方で、税金等調整前当期純損失の計上によって減少となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は473,127千円となりました。これは主に、プロフェッショナルワーク事業の売却により661,384千円の収入があった一方、事業の選択と集中による開発投資の適正化の推進により前連結会計年度から大幅に削減したものの無形固定資産の取得に1,129,202千円支出したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は759,595千円となりました。これは主に、資本増強のための株式の発行による収入434,236千円があった一方、米国の連結子会社TEN Holdings, Inc.の取得資金のローンの返済が開始されたこと等、有利子負債の削減を進めたことによるものであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、当社サービスの新規開発や機能拡充のための開発投資、イベント配信サービス(オンラインセミナー配信サービス)に使用する配信機材の調達、テレキューブを中心とするハードウェアの仕入調達であります。
開発投資についてはソフトウエア償却額と同程度の水準を目安とすることにより財務健全性を維持することとしております。また、配信機材やハードウェアは自己資金またはリースによる調達を行っておりますが、特に配信機材の調達については回収期間や機材の陳腐化を総合的に判断して、リースの期間を決定しております。
また、得られたフリーキャッシュ・フローについては、上述の開発投資やイベント配信ビジネスへの投資のほか、配当性向20%を目安とし、中長期的には30%を想定した株主還元を行ってまいります。なお、株価が割安と判断された場合は手許資金及び会社法上の分配可能額を勘案しながら積極的に自社株買いを実施してまいります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標は以下のとおりです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2020年12月期 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | |
| 自己資本比率(%) | 37.8 | 33.1 | 34.9 | 5.0 | △1.3 |
| 時価ベースの 自己資本比率(%) | 738.8 | 171.5 | 104.7 | 64.2 | 48.0 |
| キャッシュ・フロー対 有利子負債比率(年) | 1.8 | 3.3 | 4.1 | 8.6 | 9.1 |
| インタレスト・ カバレッジ・レシオ(倍) | 88.8 | 58.5 | 40.6 | 21.7 | 13.0 |
(注)1.各指標の計算方法は以下のとおりであります。
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
5.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を利用しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なることがあります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注状況の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
② 販売実績
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりです。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、当連結会計年度より、当社グループ内の一部のセグメント区分の変更及び全社費用の配賦基準の変更を行っております。前連結会計年度のセグメント情報については、新しい方法により作成しており、以下の前年同期比については、新しい方法により組み替えた数値で比較しております。
Ⅰ.エンタープライズDX事業
エンタープライズDX事業ではハイブリッドワーク、ビジネスグロース、プロフェッショナルワーク、リスキリングの4つのカテゴリでサービス提供を行っております。各サービスの売上高推移は以下のとおりです。
サービス別売上高推移 (単位:千円)
| 種別 | 2023年 第1四半期 | 2023年 第2四半期 | 2023年 第3四半期 | 2023年 第4四半期 | 2024年 第1四半期 | 2024年 第2四半期 | 2024年 第3四半期 | 2024年 第4四半期 |
| ハイブリッド ワーク | 438,869 | 416,834 | 427,611 | 472,357 | 469,269 | 413,889 | 446,500 | 516,844 |
| ビジネス グロース | 294,036 | 269,076 | 267,227 | 248,427 | 267,492 | 251,837 | 273,165 | 273,528 |
| プロフェッショナルワーク | 179,949 | 124,570 | 83,081 | 241,024 | 164,278 | 144,133 | - | - |
| リスキリング | 225,170 | 207,983 | 228,493 | 213,152 | 212,551 | 208,154 | 219,653 | 197,287 |
| 合計 | 1,138,025 | 1,018,465 | 1,006,413 | 1,174,962 | 1,113,591 | 1,018,014 | 939,319 | 987,659 |
当連結会計年度においては、官公庁や製造業を主な顧客とするプロフェッショナルワーク事業において売上高が前年同期比50.9%減の308,411千円となりました。第2四半期連結会計期間において、プロフェッショナルワーク事業はテクノホライゾン株式会社へ事業譲渡しております。
また、主にシンガポール子会社で展開しているリスキリング事業についても前年同期比4.2%減の837,646千円となりました。
Web会議システムが主力商材であるハイブリッドワーク事業については、世の中にテレワークが定着したことで需要が堅調に推移しており、前年同期比5.2%増の1,846,502千円となりました。ハイブリッドワーク事業については、世界的な企業によるサービス提供がなされる競争の激しい分野であることから、将来的には大きな成長は見込めず、横ばいで推移すると考えております。
一方、映像組み込み型サービスの開発を容易にするSDKを主力商材とするビジネスグロース事業については、前年同期比1.2%減の1,066,023千円となりました。
Ⅱ.イベントDX事業
イベントDX事業においては、その後、大規模配信案件や高付加価値案件の割合の上昇により配信1回当たりの平均単価は上昇したものの、年間配信回数は減少し、売上高は前連結会計年度より減少いたしました。
イベントDX事業の連結売上高推移 (単位:千円)
| 種別 | 2023年 第1四半期 | 2023年 第2四半期 | 2023年 第3四半期 | 2023年 第4四半期 | 2024年 第1四半期 | 2024年 第2四半期 | 2024年 第3四半期 | 2024年 第4四半期 |
| 配信回数 | 1,578回 | 1,313回 | 1,018回 | 1,317回 | 1,149回 | 1,155回 | 931回 | 1,171回 |
| 平均単価 | 704 | 921 | 806 | 802 | 832 | 968 | 780 | 823 |
| セグメント 売上高 | 1,110,695 | 1,209,218 | 820,924 | 1,055,784 | 955,890 | 1,117,927 | 726,614 | 963,563 |
季節的変動については大きくはないものの、配信回数については第1四半期に増加し、第3四半期に減少、平均単価については株主総会開催が集中する第2四半期に増加するという傾向が見受けられます。当連結会計年度においては、大規模配信案件や高付加価値案件の割合が増加したために1配信あたりの単価は前年同期比で平均4万円程度増加したものの、一方で配信回数が3ヶ月平均1,100回前後(前年同期比約200回減)となったために、当連結会計年度における連結売上高は前年同期比10.3%減の3,763,996千円となりました。
来期以降については、配信回数自体は本年度と同水準であるものの、法定の議事進行を要し失敗の許されない株主総会やクオリティの高いオンラインイベントを提供する高付加価値案件など、1配信当たり単価の高い案件の需要が増加すると予測されること、また米国においては当連結会計年度に生じた急激なリアル回帰が沈静化し、再びオンライン配信への揺り戻しが起きることが見込まれることから、当該事業については今後も緩やかに成長を続けていくものと考えております。
Ⅲ.サードプレイスDX事業
サードプレイスDX事業においては、企業及び公共空間においてWeb会議に対応したセキュアな防音型個室ブースである「テレキューブ」の需要が根強く、当連結会計年度における販売実績台数は7,355台(前年同期比8.3%減)と前連結会計年度より減少したものの、累計設置台数は32,144台に拡大いたしました。
主要駅やオフィスビルを中心とした公共空間に設置するテレキューブを販売する公共向けについては、Web会議の定着に伴い、公共空間における会議スペース需要が増加したことから設置箇所が拡大し、累計設置台数は前年同期比17.1%増の1,206台となりました。テレワークが定着した昨今の状況を鑑みれば、来期以降においても公共空間におけるセキュアなスペースに対する需要は高まっていくと考えられ、2025年12月期においても設置数は増加する見込みであります。
企業向けテレキューブの販売形態については、テレキューブ本体を購入いただく「販売型」に加えて、契約期間中は月額定額料金で利用することが可能な「サブスクリプション型」の2つの形態で提供しております。「サブスクリプション型」は「販売型」に比べて初期導入コストが抑えられるメリットがあるため、より幅広い顧客層へのアプローチが可能であります。
当連結会計年度における企業向けの販売実績台数は、前年同期比7.9%減の7,179台となり、累計設置台数は30,938台となりました。これは、企業オフィスへの出社と在宅勤務のハイブリッドな勤務形態が定着しつつあり、企業内においてのWeb会議に対応したセキュアな会議スペースの需要が一巡し、増加ペースが緩やかになったためであります。
しかしながら、今後もこのような勤務形態が主流になると見込まれることから、企業向けテレキューブの需要は引き続き今後も堅調に推移していくものと考えております。
テレキューブ累計設置台数 (単位:台)
| 種別 | 2023年 第1四半期末 | 2023年 第2四半期末 | 2023年 第3四半期末 | 2023年期末 | 2024年 第1四半期末 | 2024年 第2四半期末 | 2024年 第3四半期末 | 2024年期末 |
| 公共向け | 899 | 929 | 965 | 1,030 | 1,098 | 1,128 | 1,149 | 1,206 |
| 企業向け(販売型) | 17,805 | 19,491 | 21,199 | 23,055 | 25,249 | 27,191 | 28,666 | 30,196 |
| 企業向け (サブスクリプション型) | 591 | 632 | 655 | 704 | 705 | 714 | 729 | 742 |
| 合計 | 19,295 | 21,052 | 22,819 | 24,789 | 27,052 | 29,033 | 30,544 | 32,144 |
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。