有価証券報告書
(業績等の概要)
(1) 業績
当事業年度のわが国経済は、相次ぐ自然災害の影響で一進一退の動きとなりました。しかしながら、企業の投資マインドは堅調なほか、家計所得の増加ペースも加速しており、自律的な景気回復メカニズムに大きな変調はみられておりません。秋以降は、災害の影響も一巡してきており、景気は再び回復軌道に復帰しつつあります。2019年10月に予定されている消費増税が景気後退を引き起こすリスクも小さいとみられ、東京オリンピック後の建設需要の大幅な減少も避けられる見通しであります。以上を踏まえると、わが国経済は、来年度以降も様々な下振れ圧力に晒されながらも、内需にけん引される形で、息の長い景気回復が実現する見込みであります。当事業年度の当社業績の概要は以下の通りであります。
戸建住宅部門におきましては、売上高は12,257百万円と前年比6.1%増となりました。
建築物部門におきましては、売上高は3,331百万円と前年比17.6%増となりました。
その他の部門においては、売上高は3,828百万円と前年比4.4%増となりました。
その結果、当事業年度の売上高につきましては、19,417百万円、営業利益につきましては、766百万円(前年比41.6%減)となりました。経常利益は764百万円(前年比46.1%減)となり、当期純利益につきましては489百万円(前年比48.0%減)となりました。
(2)財政状態の状況の概要
(流動資産)
当事業年度における流動資産は11,038百万円となり、前事業年度より1,711百万円の増加となりました。
(固定資産)
当事業年度における固定資産は3,343百万円となり、前事業年度より136百万円の減少となりました。
(流動負債)
当事業年度における流動負債は8,266百万円となり、前事業年度より1,363百万円の増加となりました。
(固定負債)
当事業年度における固定負債は230百万円となり、前事業年度より164百万円の減少となりました。
(純資産)
当事業年度における純資産は5,885百万円となり、前事業年度より376百万円の増加となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当社の主たる事業である断熱材の施工販売は、受注を契機として施工を行い、かつ主力の戸建住宅分野では施工期間が原則1日間と短期であることから、生産実績と販売実績とは近似しており、記載を省略しております。
(2) 受注実績
当社の主たる事業である断熱材の施工販売は、そのほとんどにおいて、受注から施工実施、販売までの期間が短期であることから、受注実績と販売実績とは近似しており、記載を省略しております。
(3) 販売実績
当社は、単一セグメントでの事業を行っておりますが、当事業年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)における販売実績を品目別及び地域別に示すと、次のとおりであります。
品目別販売実績
(注)当事業年度より建築物リフォームを商品販売から建築物向け断熱材に組替を行っております。
地域別販売実績
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針等に基づき、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断に関しましては、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性のため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
(2) 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の属する住宅関連業界及び建設業界では、戸建住宅分野においては住宅着工戸数の持家分野の上半期は前年比割れが続き、下半期に持ち直したものの、通期では減少という結果となりました。建設業界においては、マンションの建設において昨年の増加から、一転して再び3.8%の減少となりました。また、民間非居住建築物は、着工床面積は前年比でほぼ同等となっており、大幅な市場の拡大には至りませんでした。
このような状況のもと、当社は「人と地球に優しい住環境を創ることで社会に貢献」という経営理念を基に「アクアフォーム」を中心とする硬質ウレタンフォーム断熱材の施工・販売に注力してまいりました。
戸建住宅部門におきましては、住宅着工戸数の減少に加え、2017年末に発生した硬質ウレタンフォームの原料であるイソシアネートの、中国国内の環境規制による一時的な減産による価格の高騰が収益を圧迫し、年初から第3四半期までは利益面では伸び悩む状況となりました。しかしながら、第4四半期に入り価格が下落してきたこと、及び他のメーカーが価格高騰を理由に値上を実施したにもかかわらず、当社は販売価格の据え置きを続けたことから顧客の獲得に成功し、売上高は前年比6.1%増となりました。建築物部門におきましては、マンションの着工数減少など市場の大幅な拡大には至りませんでしたが、東京オリンピック関連の受注が好調であったこと、環境省から認定された広域認定リサイクルシステムによるゼネコン各社からの需要が大きかったことなどにより、売上高は前年比17.6%増となりました。その他の部門においては、昨年急増した機械販売が一段落し、品不足による原料販売が減収となりましたが、木造戸建部門の施工棟数増加に比例して副資材の販売が増加したことから、売上高は前年比4.4%増となりました。
その結果、当事業年度の売上高につきましては、19,417百万円(前年比7.6%増)となりました。営業利益につきましては、イソシアネートの世界的な品不足からくる価格上昇が影響し、766百万円(前年比41.6%減)となりました。経常利益は、売上高経常利益率10%以上を目標としておりましたが、前述の通りイソシアネートの価格上昇により764百万円(前年比46.1%減)の売上高経常利益率3.9%となり、当期純利益につきましては489百万円(前年比48.0%減)となりました。
(3) 財政状態の分析
(流動資産)
当事業年度における流動資産は11,038百万円となり、前事業年度より1,711百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、売上の増加に伴い売掛金が698百万円、未収入金が617百万円増加したこと、棚卸資産として商品が151百万円、原材料及び貯蔵品が206百万円増加したことなどによるものであります。
(固定資産)
当事業年度における固定資産は3,343百万円となり、前事業年度より136百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、敷金及び保証金が解約により39百万円の減少などによるものであります。
(流動負債)
当事業年度における流動負債は8,266百万円となり、前事業年度より1,363百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、売上の増加に伴い原料仕入等による買掛金が873百万円増加したこと、運転資金調達のための短期借入金605百万円の増加に対し、未払費用が74百万円減少したことなどによるものであります。
(固定負債)
当事業年度における固定負債は230百万円となり、前事業年度より164百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、長期借入金が1年以内返済予定の長期借入金への振替により、199百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
当事業年度における純資産は5,885百万円となり、前事業年度より376百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、新株予約権の行使による資本金及び資本準備金増加がそれぞれ8百万円、及び自己株式の消却による自己株式の減少が787百万円あったこと、利益剰余金の489百万円増加に対し、配当と自己株式の消却により利益剰余金が915百万円減少したことによるものであります。
(4) キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローについては、営業活動による支出359百万円、投資活動による支出39百万円、財務活動による収入316百万円となりました。このため、現金及び現金同等物の期末残高は1,893百万円となり、前年同期に比べ82百万円の減少となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とこれに係る要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、359百万円の支出(前年同期は447百万円の収入)となりました。これは、税引前当期純利益762百万円、仕入債務の増加額873百万円、減価償却費156百万円などが収入に寄与した一方、売上債権の増加額776百万円、たな卸資産の増加416百万円、未収入金の増加額612百万円、法人税等の支払228百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、39百万円の支出(前年同期は492百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得74百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、316百万円の収入(前年同期は547百万円の支出)となりました。これ は、短期借入金の純増減額605百万円の増加に対し、長期借入金の返済による支出199百万円、配当の支払による支出128百万円によるものであります。
(資金の主な調達源)
資金の調達源は、主に銀行からの借入によっております。
(5) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するように努めております。現在の経営方針は以下のとおりであります。
第1に、戸建住宅において年間1次エネルギー消費量を削減させるため、断熱強化と設備性能の向上を図るZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及を推進することで、アクアフォーム®のシェアを拡大させてまいります。省エネ推進政策を追い風に断熱材市場におけるシェアを拡大させるために、コスト削減により価格競争力の強化を進めてまいります。
断熱施工の営業は、地域密着で地場工務店、ビルダー等にアプローチすることが基本であります。また、施工能力の確保も重要であり、自社工務と併せて認定施工店の施工能力拡充を図ります。自社工務では、工務人員の採用とスキルの向上を進めていきます。認定施工店では、既存の認定施工店の施工能力を増やすとともに新規認定施工店の獲得、また独立支援制度による社員から認定施工店へ独立にも力を入れ、包括的な施工能力の向上を目指しててまいります。価格競争力においては、自社ブランドによる原料の製造委託をさらに強化し、原価低減に注力してまいります。
第2に、建築物向け断熱施工を今後さらに強化してまいります。
建築物向け断熱施工は、自社施工中心から外注へ徐々にシフトする方針で、元請けのゼネコン等が要求する品質、工期を遵守できる外注施工先の増加に努めていきます。また、大手ゼネコンとの関係をより強化し、オゾン層破壊係数(ODP)ゼロで、地球温暖化係数(GWP)1であるHFO原料「アクアフォームNEO」の施工販売を拡大してまいります。1年後の東京オリンピック特需の取り込みや施工業者向けの原料販売の強化や建築物を施工できる認定施工店を育成し、施工能力の強化に努めてまいります。
また、自社ブランドの原料製造を開始したことにより、これまで競合関係にあった全国の断熱施工業者と協力関係を築き、施工だけでなく、断熱施工業者への原料の販売にも注力してまいります。
さらに、2016年3月に取得した産業廃棄物広域認定を背景とした当社のブローイング・リサイクルシステムにより、産業廃棄物処理対応に苦慮していた全国のゼネコンに対し、当社だけにしかできない産業廃棄物処理まで含めた施工受注の拡大を図ってまいります。
第3に、リフォーム向け断熱施工を順次強化してまいります。
リフォーム事業者に断熱リフォームを積極的に提案し、全国で2000万戸ある無断熱住宅をターゲットに営業展開してまいります。営業戦略としては、ホームセンターの商流を活用して断熱リフォーム施工の受注獲得、また、大手リフォーム会社との提携を進め、販路の拡大と断熱リフォーム市場の構築に注力してまいります。
第4に、産業資材事業として新たな商材を開発してまいります。
ウレタン原料を使用したフローリングの接着剤・コーキング剤の製造を開始し、自社流通網を活用して積極的に販売をしてまいります。
第5に品質管理・開発体制を強化してまいります。
2014年3月に横浜市に開設しましたテクニカルセンターで、アクアフォーム®および新技術・新商品の研究を進め、JIS・省エネルギー技術への対応してまいります。2016年10月に当社の製造する鉱工業品(自社製造原料)及びその加工技術の工場並びに事業場について、JISマーク表示製品として認証を取得し、2017年3月に当社は、一般社団法人・建築環境・省エネルギー機構(IBEC)の現場施工型優良断熱施工システムの製品と指定施工業者としての認定を受けております。
この他、施工研修の専門部署を立ち上げると共に品質管理専門の人員を全国7ブロックにそれぞれ配置し、熟練度の増加に伴う技術の向上や品質管理の安定を進めてまいります。
(1) 業績
当事業年度のわが国経済は、相次ぐ自然災害の影響で一進一退の動きとなりました。しかしながら、企業の投資マインドは堅調なほか、家計所得の増加ペースも加速しており、自律的な景気回復メカニズムに大きな変調はみられておりません。秋以降は、災害の影響も一巡してきており、景気は再び回復軌道に復帰しつつあります。2019年10月に予定されている消費増税が景気後退を引き起こすリスクも小さいとみられ、東京オリンピック後の建設需要の大幅な減少も避けられる見通しであります。以上を踏まえると、わが国経済は、来年度以降も様々な下振れ圧力に晒されながらも、内需にけん引される形で、息の長い景気回復が実現する見込みであります。当事業年度の当社業績の概要は以下の通りであります。
戸建住宅部門におきましては、売上高は12,257百万円と前年比6.1%増となりました。
建築物部門におきましては、売上高は3,331百万円と前年比17.6%増となりました。
その他の部門においては、売上高は3,828百万円と前年比4.4%増となりました。
その結果、当事業年度の売上高につきましては、19,417百万円、営業利益につきましては、766百万円(前年比41.6%減)となりました。経常利益は764百万円(前年比46.1%減)となり、当期純利益につきましては489百万円(前年比48.0%減)となりました。
(2)財政状態の状況の概要
(流動資産)
当事業年度における流動資産は11,038百万円となり、前事業年度より1,711百万円の増加となりました。
(固定資産)
当事業年度における固定資産は3,343百万円となり、前事業年度より136百万円の減少となりました。
(流動負債)
当事業年度における流動負債は8,266百万円となり、前事業年度より1,363百万円の増加となりました。
(固定負債)
当事業年度における固定負債は230百万円となり、前事業年度より164百万円の減少となりました。
(純資産)
当事業年度における純資産は5,885百万円となり、前事業年度より376百万円の増加となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当社の主たる事業である断熱材の施工販売は、受注を契機として施工を行い、かつ主力の戸建住宅分野では施工期間が原則1日間と短期であることから、生産実績と販売実績とは近似しており、記載を省略しております。
(2) 受注実績
当社の主たる事業である断熱材の施工販売は、そのほとんどにおいて、受注から施工実施、販売までの期間が短期であることから、受注実績と販売実績とは近似しており、記載を省略しております。
(3) 販売実績
当社は、単一セグメントでの事業を行っておりますが、当事業年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)における販売実績を品目別及び地域別に示すと、次のとおりであります。
品目別販売実績
品目 | 当事業年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | |
販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
戸建住宅向け断熱材 | 12,257,849 | 106.1 |
建築物向け断熱材 | 3,331,042 | 117.6 |
商品販売 | 3,828,275 | 104.4 |
合計 | 19,417,166 | 107.6 |
(注)当事業年度より建築物リフォームを商品販売から建築物向け断熱材に組替を行っております。
地域別販売実績
地域 | 当事業年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | |
販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
東北ブロック | 2,203,455 | 112.8 |
北関東ブロック | 2,710,444 | 99.5 |
南関東ブロック | 984,014 | 90.0 |
北信越ブロック | 2,397,064 | 100.4 |
中部ブロック | 2,453,783 | 112.7 |
関西ブロック | 2,583,268 | 113.5 |
中国四国ブロック | 1,700,725 | 95.5 |
九州ブロック | 3,139,167 | 118.0 |
営業本部 | 1,245,246 | 124.8 |
合計 | 19,417,166 | 107.6 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前事業年度 (自 2017年1月1日 至 2017年12月31日) | 当事業年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
SMB建材㈱ | 2,003,023 | 11.1 | 1,848,783 | 9.5 |
伊藤忠建材㈱ | 1,907,263 | 10.6 | 2,189,695 | 11.3 |
1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針等に基づき、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断に関しましては、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性のため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
(2) 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の属する住宅関連業界及び建設業界では、戸建住宅分野においては住宅着工戸数の持家分野の上半期は前年比割れが続き、下半期に持ち直したものの、通期では減少という結果となりました。建設業界においては、マンションの建設において昨年の増加から、一転して再び3.8%の減少となりました。また、民間非居住建築物は、着工床面積は前年比でほぼ同等となっており、大幅な市場の拡大には至りませんでした。
このような状況のもと、当社は「人と地球に優しい住環境を創ることで社会に貢献」という経営理念を基に「アクアフォーム」を中心とする硬質ウレタンフォーム断熱材の施工・販売に注力してまいりました。
戸建住宅部門におきましては、住宅着工戸数の減少に加え、2017年末に発生した硬質ウレタンフォームの原料であるイソシアネートの、中国国内の環境規制による一時的な減産による価格の高騰が収益を圧迫し、年初から第3四半期までは利益面では伸び悩む状況となりました。しかしながら、第4四半期に入り価格が下落してきたこと、及び他のメーカーが価格高騰を理由に値上を実施したにもかかわらず、当社は販売価格の据え置きを続けたことから顧客の獲得に成功し、売上高は前年比6.1%増となりました。建築物部門におきましては、マンションの着工数減少など市場の大幅な拡大には至りませんでしたが、東京オリンピック関連の受注が好調であったこと、環境省から認定された広域認定リサイクルシステムによるゼネコン各社からの需要が大きかったことなどにより、売上高は前年比17.6%増となりました。その他の部門においては、昨年急増した機械販売が一段落し、品不足による原料販売が減収となりましたが、木造戸建部門の施工棟数増加に比例して副資材の販売が増加したことから、売上高は前年比4.4%増となりました。
その結果、当事業年度の売上高につきましては、19,417百万円(前年比7.6%増)となりました。営業利益につきましては、イソシアネートの世界的な品不足からくる価格上昇が影響し、766百万円(前年比41.6%減)となりました。経常利益は、売上高経常利益率10%以上を目標としておりましたが、前述の通りイソシアネートの価格上昇により764百万円(前年比46.1%減)の売上高経常利益率3.9%となり、当期純利益につきましては489百万円(前年比48.0%減)となりました。
(3) 財政状態の分析
(流動資産)
当事業年度における流動資産は11,038百万円となり、前事業年度より1,711百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、売上の増加に伴い売掛金が698百万円、未収入金が617百万円増加したこと、棚卸資産として商品が151百万円、原材料及び貯蔵品が206百万円増加したことなどによるものであります。
(固定資産)
当事業年度における固定資産は3,343百万円となり、前事業年度より136百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、敷金及び保証金が解約により39百万円の減少などによるものであります。
(流動負債)
当事業年度における流動負債は8,266百万円となり、前事業年度より1,363百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、売上の増加に伴い原料仕入等による買掛金が873百万円増加したこと、運転資金調達のための短期借入金605百万円の増加に対し、未払費用が74百万円減少したことなどによるものであります。
(固定負債)
当事業年度における固定負債は230百万円となり、前事業年度より164百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、長期借入金が1年以内返済予定の長期借入金への振替により、199百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
当事業年度における純資産は5,885百万円となり、前事業年度より376百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、新株予約権の行使による資本金及び資本準備金増加がそれぞれ8百万円、及び自己株式の消却による自己株式の減少が787百万円あったこと、利益剰余金の489百万円増加に対し、配当と自己株式の消却により利益剰余金が915百万円減少したことによるものであります。
(4) キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローについては、営業活動による支出359百万円、投資活動による支出39百万円、財務活動による収入316百万円となりました。このため、現金及び現金同等物の期末残高は1,893百万円となり、前年同期に比べ82百万円の減少となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とこれに係る要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、359百万円の支出(前年同期は447百万円の収入)となりました。これは、税引前当期純利益762百万円、仕入債務の増加額873百万円、減価償却費156百万円などが収入に寄与した一方、売上債権の増加額776百万円、たな卸資産の増加416百万円、未収入金の増加額612百万円、法人税等の支払228百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、39百万円の支出(前年同期は492百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得74百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、316百万円の収入(前年同期は547百万円の支出)となりました。これ は、短期借入金の純増減額605百万円の増加に対し、長期借入金の返済による支出199百万円、配当の支払による支出128百万円によるものであります。
(資金の主な調達源)
資金の調達源は、主に銀行からの借入によっております。
(5) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するように努めております。現在の経営方針は以下のとおりであります。
第1に、戸建住宅において年間1次エネルギー消費量を削減させるため、断熱強化と設備性能の向上を図るZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及を推進することで、アクアフォーム®のシェアを拡大させてまいります。省エネ推進政策を追い風に断熱材市場におけるシェアを拡大させるために、コスト削減により価格競争力の強化を進めてまいります。
断熱施工の営業は、地域密着で地場工務店、ビルダー等にアプローチすることが基本であります。また、施工能力の確保も重要であり、自社工務と併せて認定施工店の施工能力拡充を図ります。自社工務では、工務人員の採用とスキルの向上を進めていきます。認定施工店では、既存の認定施工店の施工能力を増やすとともに新規認定施工店の獲得、また独立支援制度による社員から認定施工店へ独立にも力を入れ、包括的な施工能力の向上を目指しててまいります。価格競争力においては、自社ブランドによる原料の製造委託をさらに強化し、原価低減に注力してまいります。
第2に、建築物向け断熱施工を今後さらに強化してまいります。
建築物向け断熱施工は、自社施工中心から外注へ徐々にシフトする方針で、元請けのゼネコン等が要求する品質、工期を遵守できる外注施工先の増加に努めていきます。また、大手ゼネコンとの関係をより強化し、オゾン層破壊係数(ODP)ゼロで、地球温暖化係数(GWP)1であるHFO原料「アクアフォームNEO」の施工販売を拡大してまいります。1年後の東京オリンピック特需の取り込みや施工業者向けの原料販売の強化や建築物を施工できる認定施工店を育成し、施工能力の強化に努めてまいります。
また、自社ブランドの原料製造を開始したことにより、これまで競合関係にあった全国の断熱施工業者と協力関係を築き、施工だけでなく、断熱施工業者への原料の販売にも注力してまいります。
さらに、2016年3月に取得した産業廃棄物広域認定を背景とした当社のブローイング・リサイクルシステムにより、産業廃棄物処理対応に苦慮していた全国のゼネコンに対し、当社だけにしかできない産業廃棄物処理まで含めた施工受注の拡大を図ってまいります。
第3に、リフォーム向け断熱施工を順次強化してまいります。
リフォーム事業者に断熱リフォームを積極的に提案し、全国で2000万戸ある無断熱住宅をターゲットに営業展開してまいります。営業戦略としては、ホームセンターの商流を活用して断熱リフォーム施工の受注獲得、また、大手リフォーム会社との提携を進め、販路の拡大と断熱リフォーム市場の構築に注力してまいります。
第4に、産業資材事業として新たな商材を開発してまいります。
ウレタン原料を使用したフローリングの接着剤・コーキング剤の製造を開始し、自社流通網を活用して積極的に販売をしてまいります。
第5に品質管理・開発体制を強化してまいります。
2014年3月に横浜市に開設しましたテクニカルセンターで、アクアフォーム®および新技術・新商品の研究を進め、JIS・省エネルギー技術への対応してまいります。2016年10月に当社の製造する鉱工業品(自社製造原料)及びその加工技術の工場並びに事業場について、JISマーク表示製品として認証を取得し、2017年3月に当社は、一般社団法人・建築環境・省エネルギー機構(IBEC)の現場施工型優良断熱施工システムの製品と指定施工業者としての認定を受けております。
この他、施工研修の専門部署を立ち上げると共に品質管理専門の人員を全国7ブロックにそれぞれ配置し、熟練度の増加に伴う技術の向上や品質管理の安定を進めてまいります。