有価証券報告書-第16期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当事業年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前事業年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度のわが国経済は、製造業においては海外経済の減速に伴う輸出の低迷や、大型台風などの影響で低迷し、消費増税の影響で小売業など消費関連が低下した一方で、非製造業でソフトウエア投資の拡大を背景に情報サービスなどの業種は堅調に推移し、緩やかな景気回復が持続しております。消費増税後の個人消費も、前回2014年の増税時のような深刻な落ち込みや長期低迷となる事態は避けられる見通しであり、増税前の駆け込み需要は前回の4割程度で、大幅な反動減は生じない見込みであります。
当社の属する住宅関連業界及び建設業界において、国土交通省が発表した2019年12月の新設住宅着工戸数は、前年同月比7.9%減の72,174戸で6ヵ月連続のマイナスとなりました。その内容としては、5ヵ月連続減少が続く持ち家などに加え、分譲住宅では分譲マンションが前年同月比では2ヵ月連続の減少(前年同月比6.2%減)、分譲一戸建住宅が7ヵ月ぶりの減少(前年同月比4.5%減)等、消費増税の駆け込み需要による反動減の影響がみられる状況であります。また、2019年12月の全建築物の着工床面積は1,036万㎡と前年同月比4.8%減で、4ヵ月連続のマイナスとなり、官民ともに設備投資が軟調となっております。しかしながら、五輪に関連した公共投資は限定的なほか、都心部の再開発など民間投資が増加傾向にあることから、五輪後に建設需要が大きく落ち込む可能性は低く、東京五輪後の景気失速リスクも過度な懸念は不要であると考えられます。
このような状況のもと、当社は「人と地球にやさしい住環境を創ることで社会に貢献」という経営理念を基に、中期経営計画「Road To 2023」の達成に邁進するべく「アクアフォーム®」を中心とする硬質ウレタンフォーム断熱材の施工・販売に注力してまいりました。その結果、当事業年度の売上高につきましては、21,366百万円(前年同期比10.0%増)となりました。営業利益につきましては、1,909百万円(前年同期比149.0%増)となり、経常利益は1,909百万円(前年同期比149.7%増)となり、当期純利益につきましては1,275百万円(前年同期比160.5%増)となりました。
(2) 財政状態の状況の概要
当事業年度末における財政状態は、資産は15,379百万円(前事業年度末と比べ997百万円増)、負債は8,536百万円(前連結会計年度末と比べ39百万円増)、純資産は6,843百万円(前事業年度末と比べ957百万円増)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の概要
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ15百万円減の1,878百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローはそれぞれ、営業活動によるキャッシュ・フローは1,657百万円の収入(前事業年度は359百万円支出)、投資活動によるキャッシュ・フローは769百万円の支出(前事業年度は39百万円の支出)、財務活動によるキャッシュ・フローは902百万円の支出(前事業年度は316百万円の収入)となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当社の主たる事業である断熱材の施工販売は、受注を契機として施工を行い、かつ主力の戸建住宅分野では施工期間が原則1日間と短期であることから、生産実績と販売実績とは近似しており、記載を省略しております。
(2) 受注実績
当社の主たる事業である断熱材の施工販売は、そのほとんどにおいて、受注から施工実施、販売までの期間が短期であることから、受注実績と販売実績とは近似しており、記載を省略しております。
(3) 販売実績
当社は、単一セグメントでの事業を行っておりますが、当事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)における販売実績を品目別及び地域別に示すと、次のとおりであります。
品目別販売実績
地域別販売実績
(注)当事業年度より北信越ブロックを廃止し、北関東・南関東・中部の各ブロックに振り分けした関係で、北関東・南関東・中部の各ブロックが大幅に増加しています。
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針等に基づき、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断に関しましては、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性のため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
(2) 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①売上高
売上高は、21,366百万円(前事業年度と比べ1,949百万円、前年同期比10.0%増)となりました。これは、戸建住宅向け断熱材の施工販売が13,244百万円(前年同期比8.1%増)、建築物向け断熱材の施工販売が4,144百万円(前年同期比24.4%増)、商品販売が3,977百万円(前年同期比3.9%増)となったことによるものです。戸建住宅部門は、消費税の増税の影響で住宅着工戸数が前年比で4.0%減少したものの、当社の主力商品である「アクアフォーム®」の商品力と認知度の向上が増収を支えたものであります。建築物部門は、これまでに培ってきた産業廃棄物広域認定の取組みが日本建設業連合会に評価されたことや、オゾン破壊係数がゼロである上に温暖化係数が1未満ときわめて低く温室効果を軽減し、地球温暖化防止に役立つ建築物向け断熱材「アクアフォームNEO」が東京オリンピック需要と相まって好評を博したこと、さらに7月に不燃性断熱材「アクアモエン®」の受注も開始したことから大幅に増収となったものであります。商品販売は認定施工店向け機械販売が、新機種への入れ替えを終えてひと段落したものの、ウレタン原料であるイソシアネートにおいて前事業年度における中国国内の生産規制が解除され、世界的に生産量が増加したことにより、原料販売が回復したことから微減となったものであります。
②売上原価
売上原価は15,962百万円(前事業年度と比べ436百万円、前年同期比2.8%増)となりました。前事業年度と比べて売上高の増加に対して売上原価の増加が低く、売上総利益率が上昇しましたが、これはアクアフォーム®の原料であるイソシアネートの価格低下により、戸建住宅向け・建築物向け共に前年より大幅にコストダウンしたことによるものであります。売上総利益率は前事業年度の20.0%から25.3%に上昇いたしました。
③販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、3,493百万円(前事業年度と比べ369百万円、前年同期比11.8%増)となりました。これは、事業拡大による人件費の増加、及びそれに伴う採用関係費用の増加と、社内インフラの整備によるシステム関連費用の増加によるものであります。販売費及び一般管理費の売上高に占める割合については16.4%となり、前事業年度と比べ0.3ポイント増加いたしました。
④営業外損益
営業外収益は、30百万円(前事業年度と比べ3百万円、前年同期比12.0%増)となり、営業外費用は、31百万円(前事業年度と比べ1百万円、前年同期比5.4%増)となりました。
⑤特別損益
特別利益は、2百万円(前事業年度と比べ0百万円、前年同期比9.6%増)となり、特別損失は2百万円(前事業年度と比べ1百万円、前年同期比38.2%減)となりました。
⑥法人税等合計
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた法人税等合計は633百万円(前事業年度と比べ361百万円、前年同期比132.4%増)と、前事業年度に比べ大幅に増加となりました。これは、原料コストダウンによる売上原価率の低下により、税引前当期純利益が前年より大幅に増加したことによります。以上の結果、当期純利益は1,275百万円(前事業年度と比べ785百万円、160.5%増)となりました。
⑦収益性
目標とする経営指標として収益性については、自己資本利益率(ROE)で15%、配当方針としては配当性向50%を設定しておりましたが、当事業年度において自己資本利益率(ROE)は20.0%、配当性向は43.0%となりました。この要因としては、自己資本純利益率(ROE)については、原料価格の低下により当期純利益が想定以上の増益となったため目標を5.0%上回りました。配当性向については増益を見込んで増配としたものの、想定以上の当期純利益となったことにより配当性向については50%に届かなかったものであります。
(3) 財政状態の分析
(総資産)
当事業年度末における総資産は15,379百万円(前事業年度末比6.9%増)となり、前事業年度末に比べ997百万円の増加となりました。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は11,238百万円(前事業年度末比2.3%増)となり、前事業年度末に比べ255百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、受取手形が156百万円、売掛金が238百万円、商品が124百万円、原材料及び貯蔵品が239百万円増加したことに対し、未収入金481百万円が減少したことなどによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は4,141百万円(前事業年度末比21.8%増)となり、前事業年度末に比べ、741百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、新潟営業所、金沢営業所、青森営業所及び厚木営業所建設用地の取得による土地349百万円、建設仮勘定の220百万円、及び会計基準の改正による繰延税金資産の区分変更による134百万円の増加に対し、減価償却による資産の減少が165百万円あったことなどによるものであります。
(負債合計)
当事業年度末における負債合計は8,536百万円(前事業年度末比0.5%増)となり、前事業年度末に比べ39百万円の増加となりました。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は8,392百万円(前事業年度末比1.5%増)となり、前事業年度末に比べ126百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、原料価格の低下に起因して仕入債務が減少したことによる買掛金が427百万円の減少、返済による短期借入金の440百万円減少に対し、未払費用が239百万円増加したこと、当事業年度における利益回復により未払法人税等が598百万円増加したこと、及び未払消費税等が182百万円増加したことなどによるものであります。
(4) キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ、15百万円減少し、1,878百万円(前年同期1,893百万円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は1,657百万円(前年同期は359百万円の減少)となりました。これは主に税引前当期純利益1,908百万円に加え、減価償却費165百万円、未収入金の減少475百万円による資金の増加の一方、売上債権の増加394百万円、たな卸資産の増加453百万円、仕入債務の減少427百万円、法人税等の支払197百万円による資金の減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は769百万円(前年同期は39百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得730百万円、無形固定資産の取得39百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の減少は902百万円(前年同期は316百万円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額440百万円、配当金の支払いによる支出322百万円に対し、セール・アンド・リースバックによる収入73百万円などによるものであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
現状における当社の資金需要の主なものは、運転資金、納税資金、固定資産への投資資金です。運転資金の主な内容は、ウレタン原料の製造及び仕入代金、認定施工店への外注費、副資材の仕入代金、販売費及び一般管理費等の営業費用です。販売費及び一般管理費の内訳は、人件費、広告宣伝費、販売手数料等です。固定資産への投資資金の主な内容は、中核拠点建設の土地及び建物等の有形固定資産、ソフトウエア等の無形固定資産、並びに敷金及び保証金等の投資その他の資産への投資資金です。
資金調達については、主に銀行借入と内部留保資金により調達しております。今後、大きな資金需要が発生した場合には、増資等による資金調達の可能性もありますが、当面必要な運転資金、固定資産への投資資金については、銀行借入と内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フローにより十分調達可能であると考えております。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するように努めております。現在の経営方針は以下のとおりであります。
第1に、戸建住宅において年間1次エネルギー消費量を削減させるため、断熱強化と設備性能の向上を図るZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及を推進することで、アクアフォーム®のシェアを拡大させてまいります。省エネ推進政策を追い風に断熱材市場におけるシェアを拡大させるために、コスト削減により価格競争力の強化を進めてまいります。
断熱施工の営業は、地域密着で地場工務店、ビルダー等にアプローチすることが基本であります。また、施工能力の確保も重要であり、自社工務と併せて認定施工店の施工能力拡充を図ります。自社工務では、工務人員の採用とスキルの向上を進めていきます。認定施工店では、既存の認定施工店の施工能力を増やすとともに新規認定施工店の獲得、また独立支援制度による社員から認定施工店へ独立にも力を入れ、包括的な施工能力の向上を目指しててまいります。価格競争力においては、自社ブランドによる原料の製造委託と複数購買を強化し、原価低減に注力してまいります。
第2に、建築物向け断熱施工を今後さらに強化してまいります。
建築物向け断熱施工は、元請けのゼネコン等が要求する品質、工期を遵守できる施工体制の構築に努めていきます。また、大手ゼネコンとの関係をより強化し、オゾン層破壊係数(ODP)ゼロで、地球温暖化係数(GWP)1であるHFO原料「アクアフォームNEO」の施工販売を拡大すること、及び建築基準法の不燃材料に適合し、国土交通大臣の認定を受けた新製品「不燃性断熱材アクアモエン®」が受注を牽引していくと考えております。「不燃性断熱材アクアモエン®」は、高断熱性能と防炎性能を合わせ持ち、建設現場で発生する溶接・溶断の火花があたっても表面が炭化するだけで着火しません。建設現場の火災リスクを防ぎ、工期を短縮したいと考える大手ゼネコン向けに受注を開始し、建築部門における来年度以降の増収要因となるよう受注件数が順調に積み上がっております。これに加え、不燃断熱材と同様に新規事業として研究中であった防水事業も本格的に提供できる体制が整い、今後の受注と売上増加に寄与していく見込みであります。また、2016年3月に取得した産業廃棄物広域認定を背景とした当社のブローイング・リサイクルシステムにより、産業廃棄物処理対応に苦慮していた全国のゼネコンに対し、当社だけにしかできない産業廃棄物処理まで含めた施工受注の拡大を図ってまいります。
第3に、リフォーム向け断熱施工を順次強化してまいります。
リフォーム事業者に断熱リフォームを積極的に提案し、全国で2000万戸ある無断熱住宅をターゲットに営業展開してまいります。営業戦略としては、ホームセンターの商流を活用して断熱リフォーム施工の受注獲得、また、大手リフォーム会社との提携を進め、販路の拡大と断熱リフォーム市場の構築に注力してまいります。
第4に、産業資材事業として新たな商材を開発してまいります。
ウレタン原料を使用したフローリングの接着剤・コーキング剤の製造を開始し、自社流通網を活用して積極的に販売をしてまいります。
第5に品質管理・開発体制を強化してまいります。
2014年3月に横浜市に開設しましたテクニカルセンターで、アクアフォーム®および新技術・新商品の研究を進め、JIS・省エネルギー技術への対応を進めてまいります。2016年10月に当社の製造する鉱工業品(自社製造原料)及びその加工技術の工場並びに事業場について、JISマーク表示製品として認証を取得し、2017年3月に当社は、一般社団法人・建築環境・省エネルギー機構(IBEC)の現場施工型優良断熱施工システムの製品と指定施工業者としての認定を受けております。この他、施工研修の専門部署を立ち上げると共に品質管理専門の人員を全国7ブロックにそれぞれ配置し、熟練度の増加に伴う技術の向上や品質管理の安定を進めてまいります。
第6に中核拠点の増設・強化を進めてまいります。
今後の受注増加に備えて新たに中規模拠点を5ヶ所建設し、輸送の合理化と施工力の強化につなげる計画を進めており、2019年9月に新潟営業所が新たに竣工いたしました。今後は順次金沢、厚木、青森、秋田で完成していく予定です。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度のわが国経済は、製造業においては海外経済の減速に伴う輸出の低迷や、大型台風などの影響で低迷し、消費増税の影響で小売業など消費関連が低下した一方で、非製造業でソフトウエア投資の拡大を背景に情報サービスなどの業種は堅調に推移し、緩やかな景気回復が持続しております。消費増税後の個人消費も、前回2014年の増税時のような深刻な落ち込みや長期低迷となる事態は避けられる見通しであり、増税前の駆け込み需要は前回の4割程度で、大幅な反動減は生じない見込みであります。
当社の属する住宅関連業界及び建設業界において、国土交通省が発表した2019年12月の新設住宅着工戸数は、前年同月比7.9%減の72,174戸で6ヵ月連続のマイナスとなりました。その内容としては、5ヵ月連続減少が続く持ち家などに加え、分譲住宅では分譲マンションが前年同月比では2ヵ月連続の減少(前年同月比6.2%減)、分譲一戸建住宅が7ヵ月ぶりの減少(前年同月比4.5%減)等、消費増税の駆け込み需要による反動減の影響がみられる状況であります。また、2019年12月の全建築物の着工床面積は1,036万㎡と前年同月比4.8%減で、4ヵ月連続のマイナスとなり、官民ともに設備投資が軟調となっております。しかしながら、五輪に関連した公共投資は限定的なほか、都心部の再開発など民間投資が増加傾向にあることから、五輪後に建設需要が大きく落ち込む可能性は低く、東京五輪後の景気失速リスクも過度な懸念は不要であると考えられます。
このような状況のもと、当社は「人と地球にやさしい住環境を創ることで社会に貢献」という経営理念を基に、中期経営計画「Road To 2023」の達成に邁進するべく「アクアフォーム®」を中心とする硬質ウレタンフォーム断熱材の施工・販売に注力してまいりました。その結果、当事業年度の売上高につきましては、21,366百万円(前年同期比10.0%増)となりました。営業利益につきましては、1,909百万円(前年同期比149.0%増)となり、経常利益は1,909百万円(前年同期比149.7%増)となり、当期純利益につきましては1,275百万円(前年同期比160.5%増)となりました。
(2) 財政状態の状況の概要
当事業年度末における財政状態は、資産は15,379百万円(前事業年度末と比べ997百万円増)、負債は8,536百万円(前連結会計年度末と比べ39百万円増)、純資産は6,843百万円(前事業年度末と比べ957百万円増)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の概要
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ15百万円減の1,878百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローはそれぞれ、営業活動によるキャッシュ・フローは1,657百万円の収入(前事業年度は359百万円支出)、投資活動によるキャッシュ・フローは769百万円の支出(前事業年度は39百万円の支出)、財務活動によるキャッシュ・フローは902百万円の支出(前事業年度は316百万円の収入)となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当社の主たる事業である断熱材の施工販売は、受注を契機として施工を行い、かつ主力の戸建住宅分野では施工期間が原則1日間と短期であることから、生産実績と販売実績とは近似しており、記載を省略しております。
(2) 受注実績
当社の主たる事業である断熱材の施工販売は、そのほとんどにおいて、受注から施工実施、販売までの期間が短期であることから、受注実績と販売実績とは近似しており、記載を省略しております。
(3) 販売実績
当社は、単一セグメントでの事業を行っておりますが、当事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)における販売実績を品目別及び地域別に示すと、次のとおりであります。
品目別販売実績
品目 | 当事業年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | |
販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
戸建住宅向け断熱材 | 13,244,856 | 108.1 |
建築物向け断熱材 | 4,144,025 | 124.4 |
商品販売 | 3,977,629 | 103.9 |
合計 | 21,366,509 | 110.0 |
地域別販売実績
地域 | 当事業年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | |
販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
北海道・東北ブロック | 2,262,197 | 102.7 |
北関東ブロック | 3,790,525 | 106.9 |
南関東ブロック | 2,371,906 | 127.4 |
中部ブロック | 3,360,619 | 137.0 |
関西ブロック | 2,741,944 | 106.1 |
中国四国ブロック | 1,756,915 | 103.3 |
九州ブロック | 3,632,141 | 115.6 |
営業本部 | 1,450,262 | 75.3 |
合計 | 21,366,509 | 110.0 |
(注)当事業年度より北信越ブロックを廃止し、北関東・南関東・中部の各ブロックに振り分けした関係で、北関東・南関東・中部の各ブロックが大幅に増加しています。
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前事業年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | 当事業年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
SMB建材㈱ | 1,848,783 | 9.5 | 2,526,494 | 11.8 |
伊藤忠建材㈱ | 2,189,695 | 11.3 | 1,954,759 | 9.1 |
1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針等に基づき、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断に関しましては、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性のため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
(2) 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①売上高
売上高は、21,366百万円(前事業年度と比べ1,949百万円、前年同期比10.0%増)となりました。これは、戸建住宅向け断熱材の施工販売が13,244百万円(前年同期比8.1%増)、建築物向け断熱材の施工販売が4,144百万円(前年同期比24.4%増)、商品販売が3,977百万円(前年同期比3.9%増)となったことによるものです。戸建住宅部門は、消費税の増税の影響で住宅着工戸数が前年比で4.0%減少したものの、当社の主力商品である「アクアフォーム®」の商品力と認知度の向上が増収を支えたものであります。建築物部門は、これまでに培ってきた産業廃棄物広域認定の取組みが日本建設業連合会に評価されたことや、オゾン破壊係数がゼロである上に温暖化係数が1未満ときわめて低く温室効果を軽減し、地球温暖化防止に役立つ建築物向け断熱材「アクアフォームNEO」が東京オリンピック需要と相まって好評を博したこと、さらに7月に不燃性断熱材「アクアモエン®」の受注も開始したことから大幅に増収となったものであります。商品販売は認定施工店向け機械販売が、新機種への入れ替えを終えてひと段落したものの、ウレタン原料であるイソシアネートにおいて前事業年度における中国国内の生産規制が解除され、世界的に生産量が増加したことにより、原料販売が回復したことから微減となったものであります。
②売上原価
売上原価は15,962百万円(前事業年度と比べ436百万円、前年同期比2.8%増)となりました。前事業年度と比べて売上高の増加に対して売上原価の増加が低く、売上総利益率が上昇しましたが、これはアクアフォーム®の原料であるイソシアネートの価格低下により、戸建住宅向け・建築物向け共に前年より大幅にコストダウンしたことによるものであります。売上総利益率は前事業年度の20.0%から25.3%に上昇いたしました。
③販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、3,493百万円(前事業年度と比べ369百万円、前年同期比11.8%増)となりました。これは、事業拡大による人件費の増加、及びそれに伴う採用関係費用の増加と、社内インフラの整備によるシステム関連費用の増加によるものであります。販売費及び一般管理費の売上高に占める割合については16.4%となり、前事業年度と比べ0.3ポイント増加いたしました。
④営業外損益
営業外収益は、30百万円(前事業年度と比べ3百万円、前年同期比12.0%増)となり、営業外費用は、31百万円(前事業年度と比べ1百万円、前年同期比5.4%増)となりました。
⑤特別損益
特別利益は、2百万円(前事業年度と比べ0百万円、前年同期比9.6%増)となり、特別損失は2百万円(前事業年度と比べ1百万円、前年同期比38.2%減)となりました。
⑥法人税等合計
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた法人税等合計は633百万円(前事業年度と比べ361百万円、前年同期比132.4%増)と、前事業年度に比べ大幅に増加となりました。これは、原料コストダウンによる売上原価率の低下により、税引前当期純利益が前年より大幅に増加したことによります。以上の結果、当期純利益は1,275百万円(前事業年度と比べ785百万円、160.5%増)となりました。
⑦収益性
目標とする経営指標として収益性については、自己資本利益率(ROE)で15%、配当方針としては配当性向50%を設定しておりましたが、当事業年度において自己資本利益率(ROE)は20.0%、配当性向は43.0%となりました。この要因としては、自己資本純利益率(ROE)については、原料価格の低下により当期純利益が想定以上の増益となったため目標を5.0%上回りました。配当性向については増益を見込んで増配としたものの、想定以上の当期純利益となったことにより配当性向については50%に届かなかったものであります。
(3) 財政状態の分析
(総資産)
当事業年度末における総資産は15,379百万円(前事業年度末比6.9%増)となり、前事業年度末に比べ997百万円の増加となりました。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は11,238百万円(前事業年度末比2.3%増)となり、前事業年度末に比べ255百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、受取手形が156百万円、売掛金が238百万円、商品が124百万円、原材料及び貯蔵品が239百万円増加したことに対し、未収入金481百万円が減少したことなどによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は4,141百万円(前事業年度末比21.8%増)となり、前事業年度末に比べ、741百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、新潟営業所、金沢営業所、青森営業所及び厚木営業所建設用地の取得による土地349百万円、建設仮勘定の220百万円、及び会計基準の改正による繰延税金資産の区分変更による134百万円の増加に対し、減価償却による資産の減少が165百万円あったことなどによるものであります。
(負債合計)
当事業年度末における負債合計は8,536百万円(前事業年度末比0.5%増)となり、前事業年度末に比べ39百万円の増加となりました。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は8,392百万円(前事業年度末比1.5%増)となり、前事業年度末に比べ126百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、原料価格の低下に起因して仕入債務が減少したことによる買掛金が427百万円の減少、返済による短期借入金の440百万円減少に対し、未払費用が239百万円増加したこと、当事業年度における利益回復により未払法人税等が598百万円増加したこと、及び未払消費税等が182百万円増加したことなどによるものであります。
(4) キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ、15百万円減少し、1,878百万円(前年同期1,893百万円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は1,657百万円(前年同期は359百万円の減少)となりました。これは主に税引前当期純利益1,908百万円に加え、減価償却費165百万円、未収入金の減少475百万円による資金の増加の一方、売上債権の増加394百万円、たな卸資産の増加453百万円、仕入債務の減少427百万円、法人税等の支払197百万円による資金の減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は769百万円(前年同期は39百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得730百万円、無形固定資産の取得39百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の減少は902百万円(前年同期は316百万円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額440百万円、配当金の支払いによる支出322百万円に対し、セール・アンド・リースバックによる収入73百万円などによるものであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
現状における当社の資金需要の主なものは、運転資金、納税資金、固定資産への投資資金です。運転資金の主な内容は、ウレタン原料の製造及び仕入代金、認定施工店への外注費、副資材の仕入代金、販売費及び一般管理費等の営業費用です。販売費及び一般管理費の内訳は、人件費、広告宣伝費、販売手数料等です。固定資産への投資資金の主な内容は、中核拠点建設の土地及び建物等の有形固定資産、ソフトウエア等の無形固定資産、並びに敷金及び保証金等の投資その他の資産への投資資金です。
資金調達については、主に銀行借入と内部留保資金により調達しております。今後、大きな資金需要が発生した場合には、増資等による資金調達の可能性もありますが、当面必要な運転資金、固定資産への投資資金については、銀行借入と内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フローにより十分調達可能であると考えております。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するように努めております。現在の経営方針は以下のとおりであります。
第1に、戸建住宅において年間1次エネルギー消費量を削減させるため、断熱強化と設備性能の向上を図るZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及を推進することで、アクアフォーム®のシェアを拡大させてまいります。省エネ推進政策を追い風に断熱材市場におけるシェアを拡大させるために、コスト削減により価格競争力の強化を進めてまいります。
断熱施工の営業は、地域密着で地場工務店、ビルダー等にアプローチすることが基本であります。また、施工能力の確保も重要であり、自社工務と併せて認定施工店の施工能力拡充を図ります。自社工務では、工務人員の採用とスキルの向上を進めていきます。認定施工店では、既存の認定施工店の施工能力を増やすとともに新規認定施工店の獲得、また独立支援制度による社員から認定施工店へ独立にも力を入れ、包括的な施工能力の向上を目指しててまいります。価格競争力においては、自社ブランドによる原料の製造委託と複数購買を強化し、原価低減に注力してまいります。
第2に、建築物向け断熱施工を今後さらに強化してまいります。
建築物向け断熱施工は、元請けのゼネコン等が要求する品質、工期を遵守できる施工体制の構築に努めていきます。また、大手ゼネコンとの関係をより強化し、オゾン層破壊係数(ODP)ゼロで、地球温暖化係数(GWP)1であるHFO原料「アクアフォームNEO」の施工販売を拡大すること、及び建築基準法の不燃材料に適合し、国土交通大臣の認定を受けた新製品「不燃性断熱材アクアモエン®」が受注を牽引していくと考えております。「不燃性断熱材アクアモエン®」は、高断熱性能と防炎性能を合わせ持ち、建設現場で発生する溶接・溶断の火花があたっても表面が炭化するだけで着火しません。建設現場の火災リスクを防ぎ、工期を短縮したいと考える大手ゼネコン向けに受注を開始し、建築部門における来年度以降の増収要因となるよう受注件数が順調に積み上がっております。これに加え、不燃断熱材と同様に新規事業として研究中であった防水事業も本格的に提供できる体制が整い、今後の受注と売上増加に寄与していく見込みであります。また、2016年3月に取得した産業廃棄物広域認定を背景とした当社のブローイング・リサイクルシステムにより、産業廃棄物処理対応に苦慮していた全国のゼネコンに対し、当社だけにしかできない産業廃棄物処理まで含めた施工受注の拡大を図ってまいります。
第3に、リフォーム向け断熱施工を順次強化してまいります。
リフォーム事業者に断熱リフォームを積極的に提案し、全国で2000万戸ある無断熱住宅をターゲットに営業展開してまいります。営業戦略としては、ホームセンターの商流を活用して断熱リフォーム施工の受注獲得、また、大手リフォーム会社との提携を進め、販路の拡大と断熱リフォーム市場の構築に注力してまいります。
第4に、産業資材事業として新たな商材を開発してまいります。
ウレタン原料を使用したフローリングの接着剤・コーキング剤の製造を開始し、自社流通網を活用して積極的に販売をしてまいります。
第5に品質管理・開発体制を強化してまいります。
2014年3月に横浜市に開設しましたテクニカルセンターで、アクアフォーム®および新技術・新商品の研究を進め、JIS・省エネルギー技術への対応を進めてまいります。2016年10月に当社の製造する鉱工業品(自社製造原料)及びその加工技術の工場並びに事業場について、JISマーク表示製品として認証を取得し、2017年3月に当社は、一般社団法人・建築環境・省エネルギー機構(IBEC)の現場施工型優良断熱施工システムの製品と指定施工業者としての認定を受けております。この他、施工研修の専門部署を立ち上げると共に品質管理専門の人員を全国7ブロックにそれぞれ配置し、熟練度の増加に伴う技術の向上や品質管理の安定を進めてまいります。
第6に中核拠点の増設・強化を進めてまいります。
今後の受注増加に備えて新たに中規模拠点を5ヶ所建設し、輸送の合理化と施工力の強化につなげる計画を進めており、2019年9月に新潟営業所が新たに竣工いたしました。今後は順次金沢、厚木、青森、秋田で完成していく予定です。