四半期報告書-第19期第1四半期(2023/07/01-2023/09/30)

【提出】
2023/11/09 10:03
【資料】
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【項目】
34項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年7月1日~2023年9月30日)における世界経済は、ウクライナ情勢に端を発した資源価格の上昇、米国や欧州でのインフレ対応利上げによる景気抑制政策に起因した景気後退懸念、また、極東アジア地域での地政学リスクの高まり等もあり、不透明な状況が継続しました。国内経済においても、ウィズコロナの経済活動が日常化しつつあるものの、急激な円安の進行等による物価高や原材料調達への制約があり、依然として不透明な状況が続いています。
このような環境下においても、当社グループが注力する技術者派遣・請負業務に対する顧客需要は底堅く、特に、輸送用機器や情報産業におけるソフトウェア技術者へのオーダーは引き続き堅調です。
当社グループでは、当第1四半期連結累計期間において、主に以下の取組みを実施しました。
(技術者の確保)
顧客からの旺盛な技術者需要は継続している一方、当社グループの稼働率は95%前後の状態が続き、新たなオーダーに対応できる技術者が不足しています。そのため、高い採用基準を維持しつつ、育成前提の未経験者採用を増やすなど、技術者の確保に努めています。さらに、コロナ禍において凍結していたグローバル外国籍採用も再開し、対象とする国を広げてグローバルでの人材獲得に取り組んでいます。
引き続き、優能な技術者の確保を進め、持続的な成長を実現してまいります。
(技術者単価の上昇)
国内技術者の採用は、概ねコロナ禍前の水準に回復しましたが、コロナ禍前と比較して高い採用基準を設けていることから、将来にわたって採用数が大きく伸長することは想定しておりません。一方、技術者の契約単価にはまだ上昇余地があると考えており、単価の改善を積極的に推進しています。教育研修を通じたアップスキルやリスキリングなど、顧客から求められる技術の習得やレベルの向上に継続的に取り組み、それらの技術やレベルの向上に合わせた適正単価による契約獲得に努めています。一人ひとりの単価上昇は、全体の売上収益への貢献もさることながら、技術者の処遇改善にもつながり、リテンション効果を期待できます。
引き続き、有能な技術者の確保に加えて、契約単価の上昇を進めてまいります。
(ソリューション事業の強化)
2022年6月期を初年度とする5年計画の中期経営計画「Evolution 2026」では、ソリューション事業の強化を掲げており、同事業の売上収益や同事業に携わる技術者数も増加しています。2024年6月期以降の後半3年は、高成長の実現期と位置づけ、国内外の技術動向予測や当社の内部ケイパビリティ評価に基づき注力ソリューションを絞り込んだうえで、マーケティング・営業から採用・育成・デリバリーまでの首尾一貫したオペレーションを組織的に行っています。
引き続き、競争優位性の高い、柱となるソリューションの確立・拡大を目指してまいります。
これら事業上の取組みの結果、当第1四半期連結累計期間末の国内在籍技術者数は24,351人(前第1四半期連結累計期間末比2,078人増加)、当第1四半期連結累計期間の平均稼働率は95.0%(前第1四半期連結累計期間比0.9pt減少)となりました。従前より進めてきた技術者一人当たり売上単価の向上については、前年同期と比較して稼働日数や残業時間が減少したものの、シフトアップやチャージアップ、さらにはソリューション事業の拡大等による単価上昇もあり、当第1四半期連結累計期間の月次平均売上単価は669千円(同14千円増加)となりました。
費用面においては、前第1四半期連結累計期間に比べて販売費及び一般管理費が増加しました。主に、人材獲得のための採用費や海外子会社における先行投資やインフレの影響によるものです。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の当社グループの業績につきまして、売上収益は528億96百万円(前第1四半期連結累計期間比9.7%増加)、事業利益は57億8百万円(同3.9%減少)、営業利益は57億88百万円(同3.6%減少)、税引前四半期利益は58億52百万円(同3.3%減少)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は40億31百万円(同3.6%減少)となりました。
※ 事業利益は、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」を減算したもので、「その他の収益」や「その他の費用」に計上される特別項目(雇用調整助成金や減損損失等)による影響を除いたものを示している当社独自の利益指標です。
当第1四半期連結累計期間における主要事業分野の業績は、以下のとおりです。
(R&Dアウトソーシング事業)
R&Dアウトソーシング事業の中でも好調を維持しているIT分野を拡大するため、高付加価値技術者を主体とした中途採用の強化に加え、ハード系技術者、化学・バイオ系技術者に対するデジタル技術の教育を実施し、スキル転換や複数スキルの習得により、デジタル領域の旺盛な需要に対応する取組みを実施しました。また、先端技術を有するアライアンス企業との協業や社内外での研修を積極的に進め、提供サービスの高品質化や多様化によって、より高い単価での配属に努めました。これらの取組みにより、当第1四半期連結累計期間末の在籍技術者数は21,354人(前第1四半期連結累計期間末比1,881人増加)、稼働技術者数は20,352人(同1,672人増加)となりました。
その結果、同事業の売上収益は405億61百万円(前第1四半期連結累計期間比10.9%増加)となりました。
(施工管理アウトソーシング事業)
施工管理アウトソーシング事業のメインである施工管理サービスに加え、ドローンを使用した3次元計測、空撮、点検等の実施や、一級建築士事務所の設置等、設計分野・施工管理分野で培われた技術力をもとに、様々なサービスを展開しています。当第1四半期連結累計期間末の在籍技術者数は2,997人(前第1四半期連結累計期間末比197人増加)、稼働技術者数は2,859人(同162人増加)となりました。
その結果、同事業の売上収益は55億59百万円(前第1四半期連結累計期間比7.2%増加)となりました。
(国内その他事業)
国内その他事業は、人材紹介及び技術系教育研修サービスで構成されています。人材紹介では、採用を通じた当社グループへの人材供給は伸張している一方、外部顧客が求めるハイスキル人材の獲得に苦戦し、また、景気の不透明感によって採用を一時抑制する動きも見られます。また、技術系教育研修では、当社グループとより一体となった研修プログラムの開発や効率化を行う一方、人的資本投資への需要を取り込むべく先行して費用を投じながら、企業向け技術者育成コンサルティング、e-Learningシステムの整備や外販の拡大に取り組んでいます。
その結果、同事業の売上収益は10億66百万円(前第1四半期連結累計期間比16.2%減少)となりました。
(海外事業)
海外事業は、インドや中国において、主に欧米や日本の顧客に対するオフショア・デリバリーサービスを、東南アジアや英国において、技術者派遣及び人材紹介サービスをそれぞれ展開しています。国により多少の違いはあるものの、世界的な景気後退懸念や地政学リスクの影響を徐々に受けつつあります。一方、国内ソリューション事業のケイパビリティ獲得にも寄与する、高利益率のオフショア・デリバリー案件を新規獲得するべく積極的に投資を行っています。
その結果、同事業の売上収益は64億6百万円(前第1四半期連結累計期間比8.1%増加)となりました。
(2)財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、1,421億12百万円(前連結会計年度末比19億5百万円減少)となりました。主な内訳は、のれん465億50百万円、現金及び現金同等物320億59百万円、売掛金及びその他の債権274億85百万円等です。
各項目の状況は、以下のとおりです。
(流動資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産の残高は、736億19百万円(前連結会計年度末比30億37百万円減少)となりました。主な内訳は、現金及び現金同等物320億59百万円(同33億14百万円減少)、売掛金及びその他の債権274億85百万円(同79百万円増加)等です。
(非流動資産)
当第1四半期連結会計期間末における非流動資産の残高は、684億92百万円(前連結会計年度末比11億32百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん465億50百万円(同1億78百万円増加)、繰延税金資産50億22百万円(同10億85百万円増加)等です。
(流動負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債の残高は、477億19百万円(前連結会計年度末比7億74百万円増加)となりました。主な内訳は、買掛金及びその他の債務196億26百万円(同35億82百万円増加)、従業員給付に係る負債86億10百万円(同75百万円減少)等です。
(非流動負債)
当第1四半期連結会計期間末における非流動負債の残高は、200億85百万円(前連結会計年度末比2億24百万円減少)となりました。主な内訳は、社債及び借入金134億70百万円(同2億46百万円減少)、リース負債41億28百万円(同12百万円増加)等です。
(親会社の所有者に帰属する持分)
当第1四半期連結会計期間末における親会社の所有者に帰属する持分の残高は、733億99百万円(前連結会計年度末比21億29百万円減少)となりました。主な内訳は、利益剰余金579億31百万円(同13億30百万円減少)、資本剰余金85億7百万円(同2億48百万円増加)等です。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ33億14百万円減少し、320億59百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金は60億63百万円の収入(前第1四半期連結累計期間は12億52百万円の収入)となりました。これは主に、税引前四半期利益(58億52百万円)、買掛金及びその他の債務の増加(35億81百万円)等による資金の増加に対し、法人所得税支払額(43億79百万円)等により資金が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金は72百万円の収入(前第1四半期連結累計期間は36億9百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入(8億10百万円)、投資の売却及び償還による収入(7億83百万円)等による資金の増加に対し、定期預金の預入による支出(8億78百万円)、投資の取得による支出(8億92百万円)等により資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金は95億90百万円の支出(前第1四半期連結累計期間は77億35百万円の支出)となりました。これは主に、配当金支払額(55億5百万円)、リース負債の返済による支出(16億91百万円)、自己株式の取得による支出(14億23百万円)等により資金が減少したことによるものです。なお、非支配持分からの子会社持分取得による支出(7億83百万円)は、Orion Managed Services Limitedの残株式の取得対価支払額になり、本取得により同社の所有割合は100%となっております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(6)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
特記すべき事項はありません。