有価証券報告書-第15期(令和1年7月1日-令和2年6月30日)
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2019年7月1日~2020年6月30日)における世界経済は、米中貿易摩擦等に加え、2020年の新型コロナウイルス感染症の世界規模への拡大による企業活動停滞の影響に伴い、大幅に悪化いたしました。一方、好調な経済指標を示していた国内経済においても、消費税増税及び新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、景況感が急速に悪化いたしました。新型コロナウイルス感染症に対する新薬・ワクチンの開発及び普及並びに政府の財政・金融政策次第では、今回の不況は長期化するおそれがあり、景気の先行きに対する警戒感が強まっています。
このような経済環境の中で、当社グループが注力している技術者派遣・請負事業は成長が継続し、中でもIT業界、建設業界の技術者に対する需要は旺盛でしたが、当連結会計年度第4四半期以降、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因する、在宅勤務等によるサービス提供面での制約や機械領域・自動車業界等での需要減少が現れており、今後の経営環境は不透明感を増しています。
当連結会計年度における、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が見られるまでの、当社グループの主な取組みは、以下のとおりです。
(シフトアップ・チャージアップの推進)
技術者1人当たりの売上単価の向上に向けて、シフトアップ(配属先を変更することによる契約単価向上)とチャージアップ(同一配属先での契約更新時の契約単価向上)を前連結会計年度に引き続き推進いたしました。この契約単価の向上施策においては、技術者のスキル向上に伴う単価上昇に加えて、働き方改革における同一労働同一賃金(均等・均衡待遇)実現のための金額改定も引き続き推進しております。
(技術者の確保)
成長の源泉である技術者の採用活動に対して継続的に力を入れる一方で、退職抑制に向けた取組みを強化いたしました。具体的には、一部の子会社でテスト的に退職予測システムを導入し、退職の可能性が高い従業員へのフォローを実施し、リテンションにつなげる新たな施策も開始しております。また、従業員の待遇改善も継続的に進めております。
(技術者の高付加価値化)
㈱アイズファクトリーとのデータサイエンティスト養成・派遣事業での協業、Strategic Cyber Holdings LLCが運営するCYBERGYM TOKYOとのサイバーセキュリティエキスパート育成事業での協業、自動車産業向けモデルベース開発に強みを有するインテグレーションテクノロジー㈱との協業等、先端的技術力を有する企業、あるいはクラウド、ERP、RPA等の領域における主要プレイヤーとのパートナリングを通じて、これら外部エコシステムを活用した技術者の高付加価値化を推進しました。また、当社連結子会社で教育研修事業を手がけるピーシーアシスト㈱が運営するWinスクールにおいて、時代に即したニーズの高い技術習得のための講座を新たに開設する等、様々な取組みを進めました。
(グローバル化の推進)
2018年10月に英国を拠点に人材派遣事業及び人材紹介事業を展開するOrion Managed Services Limitedを連結子会社化し、アジア地域に加え、欧州地域における中長期的な事業拡大を推進する礎を築きました。同社に加え、アジア地域に拠点を持つテクノプロ中国グループ各社やHelius Technologies Pte Ltd等で連携を行い、欧州・アジアに拠点を有する日系企業への技術系サービスの提供を進めるとともに、日本国内で就業のできる外国籍技術者を確保し、国内の技術者不足に対応できる体制構築を進めております。
- 新型コロナウイルス感染症拡大の影響と対策 -
一方で、当連結会計年度第3四半期以降、新型コロナウイルス感染症拡大の当社グループへの影響が懸念されたことから、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)会社の経営戦略」に記載のとおり、悪影響を最小限に留めるべく、様々な施策を推進いたしました。しかしながら、当連結会計年度においては新型コロナウイルス感染症拡大の影響は避けられませんでした。全社・各事業分野への影響については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)外部環境」をご参照ください。
これら事業上の取組みや新型コロナウイルス感染症拡大への対策の結果、当連結会計年度末の国内技術者数は21,264人(前連結会計年度末比1,971人増加)へと増加いたしました。当連結会計年度の平均稼働率は94.0%(前連結会計年度比1.5pt減少)となりましたが、引き続き高稼働率を維持いたしました。シフトアップ・チャージアップは前連結会計年度より継続的に推進しており、技術者一人当たり売上単価(㈱テクノプロ及び㈱テクノプロ・コンストラクションの平均)の向上を進めてまいりましたが、多くの新卒技術社員の入社や政府主導の働き方改革による残業時間の減少、新型コロナウイルス感染症拡大による一時帰休等が影響し、当連結会計年度の月次平均売上単価は月額630千円(同0.4千円減少)となりました。なお、新入社員を除く既存社員は、前連結会計年度比で月額13千円上昇しております。
採用面においては、当連結会計年度の国内技術者採用数は4,398人(前連結会計年度比114人減少)であり、総在籍技術者数の伸びに寄与しております。
費用面においては、業績向上に伴う技術者の人件費増加といった売上原価増の要因があったものの、売上総利益率は25.4%(前連結会計年度比0.1pt増加)となりました。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大による売上毀損も見込まれたことから先行的にコストコントロールを徹底し、売上収益に対する販売管理費の比率は15.1%(同0.7pt減少)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの業績につきましては、売上収益は1,584億7百万円(前連結会計年度比9.9%増加)、営業利益は157億72百万円(同14.8%増加)、税引前当期利益は158億43百万円(同15.4%増加)、親会社の所有者に帰属する当期利益は108億25百万円(同11.8%増加)となりました。
当連結会計年度における主要事業分野の業績は、以下のとおりです。
(R&Dアウトソーシング事業)
R&Dアウトソーシングの中でも好調を維持しているIT分野を拡大するため、高付加価値技術を持った企業との協業に取り組むことにより、シフトアップ・チャージアップによる高収益化を進めました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は1,261億79百万円(前連結会計年度比10.7%増加)となりました。
(施工管理アウトソーシング事業)
前連結会計年度に引き続き、チーム配属の推進による技術者1人当たりの売上単価の向上を進めるとともに、未経験者の採用・育成、及び施工管理に加え、設計等の領域の拡大を進めました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は197億87百万円(前連結会計年度比11.7%増加)となりました。
(国内その他事業)
国内その他事業は、人材紹介事業及び技術系教育研修事業で構成されています。前連結会計年度にグループ入りしたテクノブレーン㈱が寄与し、当社グループにおける人材紹介事業の売上拡大が進みました。また、ピーシーアシスト㈱が手掛けるWinスクールが、自宅や職場で個人指導を受けられるオンライン講座の提供を開始いたしました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は41億3百万円(前連結会計年度比18.1%増加)となりました。
(海外事業)
グローバル拠点の管理体制・営業体制を強化し、国内拠点及びグローバル拠点相互の営業連携を図り、グローバルに事業展開する顧客のニーズに合致した技術者及びソリューションの提供を進めるなど、新たなシナジーを生み出せるようさらなるグループ間連携を強化しました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は99億41百万円(前連結会計年度比3.3%減少)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ15億66百万円増加し、227億97百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金は180億59百万円の収入(前期は112億70百万円の収入)となりました。これは主に、税引前当期利益(158億43百万円)、前払費用の減少(33億30百万円)、減価償却費及び償却費(26億4百万円)による資金の増加に対し、法人所得税支払額(55億円)、預り金の減少(8億28百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金は14億98百万円の支出(前期は44億29百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得(6億35百万円)、子会社株式の条件付取得対価の決済による支出(4億40百万円)、その他の金融資産の取得による支出(2億55百万円)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金は149億27百万円の支出(前期は71億84百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入(10億円)による資金の増加に対し、配当金支払額(49億12百万円)、リース負債の返済による支出(64億16百万円)、長期借入金の返済による支出(32億98百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
ロ.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
ハ.販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、以下のとおりであります。
(注)上記金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 注記4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
② 経営成績の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
③ 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は1,079億67百万円(前連結会計年度末比141億96百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん361億15百万円、現金及び現金同等物227億97百万円、売掛金及びその他の債権202億14百万円等であります。
各項目の状況は、以下のとおりです。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は513億7百万円(前連結会計年度末比67億45百万円増加)となりました。主な内訳は、現金及び現金同等物227億97百万円(同15億66百万円増加)、売掛金及びその他の債権202億14百万円(同4億48百万円増加)等であります。
(非流動資産)
当連結会計年度末における非流動資産の残高は566億60百万円(前連結会計年度末比74億51百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん361億15百万円(同9億64百万円減少)、IFRS第16号「リース」(2016年1月公表)(以下、「IFRS第16号」という。)の適用により増加した使用権資産66億49百万円、繰延税金資産42億82百万円(同3億25百万円増加)等であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は431億65百万円(前連結会計年度末比89億94百万円増加)となりました。主な内訳は、買掛金及びその他の債務133億69百万円(同4億5百万円増加)、従業員給付に係る負債63億98百万円(同5億51百万円増加)、IFRS第16号の適用により増加したリース負債58億88百万円、社債及び借入金44億53百万円(同10億93百万円増加)等であります。
(非流動負債)
当連結会計年度末における非流動負債の残高は152億92百万円(前連結会計年度末比17億58百万円増加)となりました。主な内訳は、IFRS第16号の適用により増加したリース負債58億65百万円、その他の長期金融負債52億14百万円(同14億80百万円減少)、借入金32億5百万円(同26億19百万円減少)等であります。
(親会社の所有者に帰属する持分)
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の残高は482億29百万円(前連結会計年度末比34億26百万円増加)となりました。主な内訳は、利益剰余金361億39百万円(同50億10百万円増加)、資本剰余金73億49百万円(同44百万円増加)等であります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(3)資本の財源及び資金の流動性
① 資金需要
当社グループは技術者派遣業務を主体として事業運営しているため、主要な運転資金需要は、人件費(給与手当、賞与、法定福利費等)の支払となります。また、技術者派遣業務は、役務提供の対価が毎月入金されることが基本であるため、運転資金の大半は顧客からの入金で充足されます。なお、当連結会計年度における売上債権回転期間は1.5ヵ月、未払人件費等回転期間は1.3ヵ月です。
その他、情報システム投資や営業拠点投資、自己株式取得、M&A投資が主要な資金需要となります。
② 財務政策
当社グループは、(ア)将来的成長へ向けた積極投資、(イ)適正な財務健全性・レバレッジの確保、(ウ)株主還元の規律、の最適なバランスを踏まえた財務政策を基本方針としており、指標としては基本的1株当たり当期利益の長期継続的改善を重視し、資本コストが相対的に低い借入金を主体とした負債性資本による調達を基本としています。
また、当社グループでは、当連結会計年度末時点において、短期的資金需要及びM&A資金需要を賄うため、総額230億円のコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2019年7月1日~2020年6月30日)における世界経済は、米中貿易摩擦等に加え、2020年の新型コロナウイルス感染症の世界規模への拡大による企業活動停滞の影響に伴い、大幅に悪化いたしました。一方、好調な経済指標を示していた国内経済においても、消費税増税及び新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、景況感が急速に悪化いたしました。新型コロナウイルス感染症に対する新薬・ワクチンの開発及び普及並びに政府の財政・金融政策次第では、今回の不況は長期化するおそれがあり、景気の先行きに対する警戒感が強まっています。
このような経済環境の中で、当社グループが注力している技術者派遣・請負事業は成長が継続し、中でもIT業界、建設業界の技術者に対する需要は旺盛でしたが、当連結会計年度第4四半期以降、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因する、在宅勤務等によるサービス提供面での制約や機械領域・自動車業界等での需要減少が現れており、今後の経営環境は不透明感を増しています。
当連結会計年度における、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が見られるまでの、当社グループの主な取組みは、以下のとおりです。
(シフトアップ・チャージアップの推進)
技術者1人当たりの売上単価の向上に向けて、シフトアップ(配属先を変更することによる契約単価向上)とチャージアップ(同一配属先での契約更新時の契約単価向上)を前連結会計年度に引き続き推進いたしました。この契約単価の向上施策においては、技術者のスキル向上に伴う単価上昇に加えて、働き方改革における同一労働同一賃金(均等・均衡待遇)実現のための金額改定も引き続き推進しております。
(技術者の確保)
成長の源泉である技術者の採用活動に対して継続的に力を入れる一方で、退職抑制に向けた取組みを強化いたしました。具体的には、一部の子会社でテスト的に退職予測システムを導入し、退職の可能性が高い従業員へのフォローを実施し、リテンションにつなげる新たな施策も開始しております。また、従業員の待遇改善も継続的に進めております。
(技術者の高付加価値化)
㈱アイズファクトリーとのデータサイエンティスト養成・派遣事業での協業、Strategic Cyber Holdings LLCが運営するCYBERGYM TOKYOとのサイバーセキュリティエキスパート育成事業での協業、自動車産業向けモデルベース開発に強みを有するインテグレーションテクノロジー㈱との協業等、先端的技術力を有する企業、あるいはクラウド、ERP、RPA等の領域における主要プレイヤーとのパートナリングを通じて、これら外部エコシステムを活用した技術者の高付加価値化を推進しました。また、当社連結子会社で教育研修事業を手がけるピーシーアシスト㈱が運営するWinスクールにおいて、時代に即したニーズの高い技術習得のための講座を新たに開設する等、様々な取組みを進めました。
(グローバル化の推進)
2018年10月に英国を拠点に人材派遣事業及び人材紹介事業を展開するOrion Managed Services Limitedを連結子会社化し、アジア地域に加え、欧州地域における中長期的な事業拡大を推進する礎を築きました。同社に加え、アジア地域に拠点を持つテクノプロ中国グループ各社やHelius Technologies Pte Ltd等で連携を行い、欧州・アジアに拠点を有する日系企業への技術系サービスの提供を進めるとともに、日本国内で就業のできる外国籍技術者を確保し、国内の技術者不足に対応できる体制構築を進めております。
- 新型コロナウイルス感染症拡大の影響と対策 -
一方で、当連結会計年度第3四半期以降、新型コロナウイルス感染症拡大の当社グループへの影響が懸念されたことから、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)会社の経営戦略」に記載のとおり、悪影響を最小限に留めるべく、様々な施策を推進いたしました。しかしながら、当連結会計年度においては新型コロナウイルス感染症拡大の影響は避けられませんでした。全社・各事業分野への影響については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)外部環境」をご参照ください。
これら事業上の取組みや新型コロナウイルス感染症拡大への対策の結果、当連結会計年度末の国内技術者数は21,264人(前連結会計年度末比1,971人増加)へと増加いたしました。当連結会計年度の平均稼働率は94.0%(前連結会計年度比1.5pt減少)となりましたが、引き続き高稼働率を維持いたしました。シフトアップ・チャージアップは前連結会計年度より継続的に推進しており、技術者一人当たり売上単価(㈱テクノプロ及び㈱テクノプロ・コンストラクションの平均)の向上を進めてまいりましたが、多くの新卒技術社員の入社や政府主導の働き方改革による残業時間の減少、新型コロナウイルス感染症拡大による一時帰休等が影響し、当連結会計年度の月次平均売上単価は月額630千円(同0.4千円減少)となりました。なお、新入社員を除く既存社員は、前連結会計年度比で月額13千円上昇しております。
採用面においては、当連結会計年度の国内技術者採用数は4,398人(前連結会計年度比114人減少)であり、総在籍技術者数の伸びに寄与しております。
費用面においては、業績向上に伴う技術者の人件費増加といった売上原価増の要因があったものの、売上総利益率は25.4%(前連結会計年度比0.1pt増加)となりました。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大による売上毀損も見込まれたことから先行的にコストコントロールを徹底し、売上収益に対する販売管理費の比率は15.1%(同0.7pt減少)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの業績につきましては、売上収益は1,584億7百万円(前連結会計年度比9.9%増加)、営業利益は157億72百万円(同14.8%増加)、税引前当期利益は158億43百万円(同15.4%増加)、親会社の所有者に帰属する当期利益は108億25百万円(同11.8%増加)となりました。
当連結会計年度における主要事業分野の業績は、以下のとおりです。
(R&Dアウトソーシング事業)
R&Dアウトソーシングの中でも好調を維持しているIT分野を拡大するため、高付加価値技術を持った企業との協業に取り組むことにより、シフトアップ・チャージアップによる高収益化を進めました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は1,261億79百万円(前連結会計年度比10.7%増加)となりました。
(施工管理アウトソーシング事業)
前連結会計年度に引き続き、チーム配属の推進による技術者1人当たりの売上単価の向上を進めるとともに、未経験者の採用・育成、及び施工管理に加え、設計等の領域の拡大を進めました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は197億87百万円(前連結会計年度比11.7%増加)となりました。
(国内その他事業)
国内その他事業は、人材紹介事業及び技術系教育研修事業で構成されています。前連結会計年度にグループ入りしたテクノブレーン㈱が寄与し、当社グループにおける人材紹介事業の売上拡大が進みました。また、ピーシーアシスト㈱が手掛けるWinスクールが、自宅や職場で個人指導を受けられるオンライン講座の提供を開始いたしました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は41億3百万円(前連結会計年度比18.1%増加)となりました。
(海外事業)
グローバル拠点の管理体制・営業体制を強化し、国内拠点及びグローバル拠点相互の営業連携を図り、グローバルに事業展開する顧客のニーズに合致した技術者及びソリューションの提供を進めるなど、新たなシナジーを生み出せるようさらなるグループ間連携を強化しました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は99億41百万円(前連結会計年度比3.3%減少)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ15億66百万円増加し、227億97百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金は180億59百万円の収入(前期は112億70百万円の収入)となりました。これは主に、税引前当期利益(158億43百万円)、前払費用の減少(33億30百万円)、減価償却費及び償却費(26億4百万円)による資金の増加に対し、法人所得税支払額(55億円)、預り金の減少(8億28百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金は14億98百万円の支出(前期は44億29百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得(6億35百万円)、子会社株式の条件付取得対価の決済による支出(4億40百万円)、その他の金融資産の取得による支出(2億55百万円)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金は149億27百万円の支出(前期は71億84百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入(10億円)による資金の増加に対し、配当金支払額(49億12百万円)、リース負債の返済による支出(64億16百万円)、長期借入金の返済による支出(32億98百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
ロ.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
ハ.販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、以下のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年7月1日 至 2020年6月30日) | |
金額 (百万円) | 前年同期比 (%) | |
R&Dアウトソーシング事業 | 126,179 | 110.7 |
施工管理アウトソーシング事業 | 19,787 | 111.7 |
国内その他事業 | 4,103 | 118.1 |
海外事業 | 9,941 | 96.7 |
全社/消去 | △1,605 | 121.2 |
合計 | 158,407 | 109.9 |
(注)上記金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 注記4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
② 経営成績の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
③ 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は1,079億67百万円(前連結会計年度末比141億96百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん361億15百万円、現金及び現金同等物227億97百万円、売掛金及びその他の債権202億14百万円等であります。
各項目の状況は、以下のとおりです。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は513億7百万円(前連結会計年度末比67億45百万円増加)となりました。主な内訳は、現金及び現金同等物227億97百万円(同15億66百万円増加)、売掛金及びその他の債権202億14百万円(同4億48百万円増加)等であります。
(非流動資産)
当連結会計年度末における非流動資産の残高は566億60百万円(前連結会計年度末比74億51百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん361億15百万円(同9億64百万円減少)、IFRS第16号「リース」(2016年1月公表)(以下、「IFRS第16号」という。)の適用により増加した使用権資産66億49百万円、繰延税金資産42億82百万円(同3億25百万円増加)等であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は431億65百万円(前連結会計年度末比89億94百万円増加)となりました。主な内訳は、買掛金及びその他の債務133億69百万円(同4億5百万円増加)、従業員給付に係る負債63億98百万円(同5億51百万円増加)、IFRS第16号の適用により増加したリース負債58億88百万円、社債及び借入金44億53百万円(同10億93百万円増加)等であります。
(非流動負債)
当連結会計年度末における非流動負債の残高は152億92百万円(前連結会計年度末比17億58百万円増加)となりました。主な内訳は、IFRS第16号の適用により増加したリース負債58億65百万円、その他の長期金融負債52億14百万円(同14億80百万円減少)、借入金32億5百万円(同26億19百万円減少)等であります。
(親会社の所有者に帰属する持分)
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の残高は482億29百万円(前連結会計年度末比34億26百万円増加)となりました。主な内訳は、利益剰余金361億39百万円(同50億10百万円増加)、資本剰余金73億49百万円(同44百万円増加)等であります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(3)資本の財源及び資金の流動性
① 資金需要
当社グループは技術者派遣業務を主体として事業運営しているため、主要な運転資金需要は、人件費(給与手当、賞与、法定福利費等)の支払となります。また、技術者派遣業務は、役務提供の対価が毎月入金されることが基本であるため、運転資金の大半は顧客からの入金で充足されます。なお、当連結会計年度における売上債権回転期間は1.5ヵ月、未払人件費等回転期間は1.3ヵ月です。
その他、情報システム投資や営業拠点投資、自己株式取得、M&A投資が主要な資金需要となります。
② 財務政策
当社グループは、(ア)将来的成長へ向けた積極投資、(イ)適正な財務健全性・レバレッジの確保、(ウ)株主還元の規律、の最適なバランスを踏まえた財務政策を基本方針としており、指標としては基本的1株当たり当期利益の長期継続的改善を重視し、資本コストが相対的に低い借入金を主体とした負債性資本による調達を基本としています。
また、当社グループでは、当連結会計年度末時点において、短期的資金需要及びM&A資金需要を賄うため、総額230億円のコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。