訂正有価証券報告書-第13期(平成29年7月1日-平成30年6月30日)

【提出】
2018/10/04 13:37
【資料】
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【項目】
57項目
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2017年7月1日~2018年6月30日)における世界経済は、東アジアや中東地域での地政学リスクに対する懸念が残るものの、順調な米国経済等に牽引され、堅調に推移いたしました。国内においても企業収益や雇用情勢は改善しており、景気は緩やかな回復基調が続いています。
このような経済環境の結果、当社グループが注力している技術者派遣・請負事業は安定成長が継続し、特に自動車・自動車部品、IT業界、建設業界の技術者に対する需要は引き続き活況でしたが、技術者採用市場における供給不足の状態が前連結会計年度より継続いたしました。
当連結会計年度において、当社グループとしては主に以下の取組みを実施いたしました。
(シフトアップ・チャージアップの推進)
技術者一人当たりの売上単価の向上に向けて、シフトアップ(配属先を変更することによる売上単価向上)とチャージアップ(同一配属先での契約更新時の売上単価向上)を前連結会計年度に引き続き推進いたしました。
(技術者の確保)
技術者に対する旺盛な需要に加え、当社グループの成長の礎となる技術力の高い技術者を確保するため、更なる採用強化を進めました。具体的には、技術者による知人紹介の推進、連結子会社である㈱テクノプロ・キャリアやBoyd&Moore Executive Search㈱を含む人材紹介会社の利用、協業先と合同でのセミナー開催などを進めました。加えて、㈱エデルタや㈱プロビズモ、テクノライブ㈱を連結子会社化することで、IT領域における優秀な技術者を獲得いたしました。また、人事施策面では確定拠出年金制度を導入して福利厚生の充実を進める等、今後も優秀な技術者の採用を促進する施策を進めてまいります。
(技術者の育成)
技術者育成面においては、ピーシーアシスト㈱運営の「Winスクール」におけるAI分野等への講座拡充、データ分析先進企業である㈱ALBERTとの協業によるデータサイエンティストの養成を進めました。また、国内建設市場の旺盛な人材需要に応えるべく、㈱テクノプロ・コンストラクションが研修施設「大阪技術センター」を開設いたしました。これは、建築施工管理分野において、東京技術センターに続く国内2拠点目の研修施設となります。引続き、当社グループの技術者、研究者の知識や技術の向上を積極的に図ってまいります。
(グローバル化の推進)
2018年3月には、技術者を約600人擁し、IT領域において技術者派遣事業を展開するHelius Technologies Pte Ltdを連結子会社化し、東南アジア・インドにおいて中長期的事業拡大を推進する礎を築きました。
これら取組みの結果、当連結会計年度末の国内技術者数は16,797人(前連結会計年度末比2,451人増)へと増加しました。また、当連結会計年度の平均稼働率は95.7%と前連結会計年度比0.4pt増加し、シフトアップ・チャージアップを継続的に推進した結果、技術者一人当たり売上(㈱テクノプロ及び㈱テクノプロ・コンストラクションの平均)も月額630千円と同3.9千円改善し、売上収益の増加に貢献しました。
採用面においては、当連結会計年度の国内技術者採用数は4,151人(前連結会計年度比1,467人増)であり、技術者数の伸びに寄与しております。
費用面においては、業績向上に伴う技術者の人件費増加といった売上原価増要因があったものの、売上総利益率は25.3%(前連結会計年度比1.9pt増加)となりました。一方で、グループ規模の拡大に伴い管理コストも増加し、売上収益販売管理費比率は15.7%(同1.8pt増加)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの業績につきましては、売上収益は1,165億29百万円(前連結会計年度比16.4%増)、営業利益は112億38百万円(同16.5%増)、税引前当期利益は111億63百万円(同16.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は84億98百万円(同10.1%増)となりました。
当連結会計年度における主要事業分野の業績は、次のとおりです。
(R&Dアウトソーシング分野)
専任チームの主導によるシフトアップ・チャージアップの交渉による高収益化の推進を進めることに加え、人材育成・採用に係る情報システムの構築を進めました。これらの取組みの結果、同分野の売上収益は974億57百万円(前連結会計年度比14.6%増)となりました。
(施工管理アウトソーシング分野)
前連結会計年度に引き続き、チーム配属の推進による技術者一人当たりの売上単価の向上を進めると共に、未経験者採用・育成、及び施工管理に加え、設計等の領域の拡大を進めました。これらの取組みの結果、同分野の売上収益は146億59百万円(前連結会計年度比11.0%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ82億54百万円増加し、216億52百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金は107億98百万円の収入(前期は86億34百万円の収入)となりました。これは主に、税引前当期利益(111億63百万円)、預り金の増加(10億5百万円)、法人所得税還付額(21億46百万円)による資金の増加に対し、売掛金及びその他の債権の増加(19億28百万円)、法人所得税支払額(41億70百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金は53億61百万円の支出(前期は28億64百万円の支出)となりました。これは主に、子会社の取得による支出(47億80百万円)、有形固定資産の取得(2億63百万円)及びその他の金融資産の取得による支出(2億55百万円)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金は28億26百万円の収入(前期は40億87百万円の支出)となりました。これは主に、新株の発行による収入(122億59百万円)、長期借入れによる収入(69億円)による資金の増加に対し、配当金支払額(38億61百万円)、長期借入金の返済による支出(102億25百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社グループで行う事業(技術者派遣・請負事業)は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
ロ.受注実績
当社グループで行う事業(技術者派遣・請負事業)は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
ハ.販売実績
当社グループは技術者派遣・請負事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業分野別の販売実績を記載しています。当社グループの当連結会計年度における販売実績は次のとおりとなります。
事業分野の名称当連結会計年度
(自 2017年7月1日
至 2018年6月30日)
金額
(百万円)
前年同期比
(%)
R&Dアウトソーシング97,457114.6
施工管理アウトソーシング14,659111.0
その他4,412239.2
合計116,529116.4

(注)上記金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されています。
これらの連結財務諸表の作成にあたっては一部に見積りによる金額を含んでおりますが、見積りにつきましては、過去実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づいており、妥当性についての継続的な評価を行っています。
しかしながら見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
② 経営成績の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
③ 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は882億1百万円(前連結会計年度末比180億81百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん344億98百万円、売掛金及びその他の債権173億78百万円、現金及び現金同等物216億52百万円等であります。
各項目の状況は以下のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は410億円(前連結会計年度末比99億8百万円増加)となりました。主な内訳は、現金及び現金同等物216億52百万円(同82億54百万円増加)、売掛金及びその他の債権173億78百万円(同33億81百万円増加)等であります。
(非流動資産)
当連結会計年度末における非流動資産の残高は472億1百万円(前連結会計年度末比81億73百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん344億98百万円(同49億57百万円増加)、繰延税金資産39億32百万円(同3億17百万円増加)等であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は287億44百万円(前連結会計年度末比41億28百万円増加)となりました。主な内訳は、買掛金及びその他の債務110億45百万円(同15億86百万円増加)、従業員給付に係る負債48億94百万円(同8億93百万円増加)等であります。
(非流動負債)
当連結会計年度末における非流動負債の残高は164億89百万円(前連結会計年度末比13億17百万円減少)となりました。主な内訳は、社債及び借入金81億44百万円(同44億5百万円減少)、その他の長期金融負債72億93百万円(同71億79百万円増加)等であります。
(親会社の所有者に帰属する持分)
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の残高は416億94百万円(前連結会計年度末比139億97百万円増加)となりました。主な内訳は、資本剰余金90億3百万円(同30億28百万円増加)、利益剰余金258億24百万円(同47億49百万円増加)等であります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(3)資本の財源及び資金の流動性
① 資金需要
当社グループは技術者派遣業務を主体として事業運営しているため、主要な運転資金需要は、人件費(給与手当、賞与、法定福利費等)の支払となります。また、技術者派遣業務は、役務提供の対価が毎月入金されることが基本であるため、運転資金の大半は顧客からの入金で充足されます。なお、当連結会計年度における売上債権回転期間は1.8ヵ月、未払人件費等回転期間は1.5ヵ月です。
その他、情報システム投資や営業拠点投資、M&A投資が主要な資金需要となります。
② 財務政策
当社グループは、(ア)将来的成長へ向けた積極投資、(イ)適正な財務健全性・レバレッジの確保、(ウ)株主還元の規律、の最適なバランスを踏まえた財務政策を基本方針としており、指標としては基本的1株当たり当期利益の長期継続的改善を重視し、借入金を主体とした負債性資本による調達を基本としています。
なお、当連結会計年度においては、財務健全性と将来的資金調達余力の向上を狙いとし、海外募集による新株式発行により、自己資本を123億30百万円調達しております。
また、当社グループでは、当連結会計年度末時点において、短期的資金需要を賄うため、総額110億円のコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。
(4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
(のれんの償却)
日本基準においては、のれんはその効果の及ぶ期間を見積り、当該期間で償却することとしておりましたが、IFRSでは償却を行わず、毎期の減損テストにより必要な場合は減損損失を計上します。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が前連結会計年度16億44百万円、当連結会計年度21億48百万円減少しております。