有価証券報告書-第14期(平成30年7月1日-令和1年6月30日)
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2018年7月1日~2019年6月30日)における世界経済は、米中貿易摩擦等による中国経済の減速や英国のEU離脱に伴う欧州経済の混乱、中東の不安定な政治状況等が影響し、減速懸念が根強い一年でした。一方、国内においても、2018年10月以降下落の続いていた日経平均株価は上昇基調へと転じたものの、輸出の停滞と消費の一進一退が続き、また2019年10月に予定される消費税増税への懸念から、景気の先行きに対する警戒感が強まっています。
このような経済環境を背景としつつも、当社グループが注力している技術者派遣・請負事業は成長が継続しており、中でも自動車・自動車部品業界、IT業界、建設業界の技術者に対する需要は高い状態が続いています。
当連結会計年度において、当社グループとしては主に以下の取組みを実施いたしました。
(シフトアップ・チャージアップの推進)
技術者一人当たりの売上単価の向上に向けて、シフトアップ(配属先を変更することによる売上単価向上)とチャージアップ(同一配属先での契約更新時の売上単価向上)を、前連結会計年度に引き続き推進いたしました。
(技術者の確保)
国内における技術者採用市場は、需要に対して供給不足の状態が継続し、当社グループのさらなる成長のため、技術者の確保が重要な課題となっています。新卒採用を積極的に行うとともに、優秀な技術者の確保を行うための具体的な取組みとして、技術者による知人紹介や人材紹介会社の積極活用、採用セミナーの開催等を進めております。また、ハイエンド技術者に特化したスカウト型の人材紹介事業を営むテクノブレーン㈱を2019年2月に連結子会社化し、2019年7月には、人材紹介事業を営む連結子会社である㈱テクノプロ・キャリアとの間で、テクノブレーン㈱を存続会社とする吸収合併を行いました。この合併により、登録型とスカウト型の強みを併せ持った様々な領域の人材紹介サービスを行うことが可能となります。技術者を主体とする人材紹介事業の成長を進め、グループ内外への技術者供給力を高めてまいります。
(技術者の高付加価値化)
技術者の高付加価値化を進める施策として、㈱ALBERT、㈱アイズファクトリーとのデータサイエンティスト養成・派遣事業での協業、Strategic Cyber Holdings LLCが運営するCYBERGYM TOKYOとサイバーセキュリティエキスパート育成事業での協業、㈱A.L.I.TechnologiesとAI技術を活用したドローンソリューションサービスの共同展開等を進めました。また、東京大学、東京工業大学、鳥取大学等の各研究機関との共同研究を推進するとともに、当社連結子会社で教育研修事業を手がけるピーシーアシスト㈱が運営するWinスクールにおいて、時代に即したニーズの高い技術習得のための講座を新規開設する等、技術者の高付加価値化に向け様々な取組みを進めてまいりました。引き続き、当社グループの技術者、研究者の知識や技術の向上を積極的に図り、技術者の高付加価値化を進めてまいります。
(グローバル化の推進)
2018年10月に英国を拠点に技術者派遣事業及び人材紹介事業を展開するOrion Managed Services Limitedを連結子会社化し、アジア地域に加え欧州地域における中長期的な事業拡大を推進する礎を築きました。同社に加え、アジア地域に拠点を持つテクノプロ中国グループ各社やHelius Technologies Pte Ltd等で連携を行い、欧州・アジアに拠点を有する日系企業への技術系サービスの提供を進めるとともに、日本国内で就業のできる外国籍技術者を確保し、国内技術者不足に対応できる体制構築を進めてまいります。
これら取組みの結果、当連結会計年度末の国内技術者数は19,293人(前連結会計年度末比2,496人増)へと増加しました。当連結会計年度の平均稼働率は95.5%と前連結会計年度比0.2pt減少となりましたが、高稼働率を維持いたしました。シフトアップ・チャージアップは前連結会計年度より継続的に推進しており、技術者一人当たり売上(㈱テクノプロ及び㈱テクノプロ・コンストラクションの平均)の向上を進めてまいりましたが、多くの新卒技術社員の入社や政府主導の働き方改革による残業時間の減少等が影響し、月額630千円と同0.1千円の減少となりました。
採用面においては、当連結会計年度の国内技術者採用数(M&Aによって獲得した技術者数を含む)は4,512人(前連結会計年度比361人増)であり、技術者数の伸びに寄与しております。
費用面においては、業績向上に伴う技術者の人件費増加といった売上原価増の要因があったものの、売上総利益率は25.3%となりました。一方で、グループ規模の拡大に伴い管理コストも増加し、売上収益販売管理費比率は15.8%となりました。
当連結会計年度における主要事業分野の業績は以下のとおりであります。
(R&Dアウトソーシング分野)
専任チームの主導によるシフトアップ・チャージアップの交渉による高収益化の推進を進めることに加え、人材育成・採用に係る情報システムの構築を進めました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は1,137億83百万円(前連結会計年度比16.8%増)となりました。
(施工管理アウトソーシング分野)
前連結会計年度に引き続き、チーム配属の推進による技術者一人当たりの売上単価の向上を進めるとともに、未経験者採用・育成、及び施工管理に加え、設計等の領域の拡大を進めました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は177億20百万円(前連結会計年度比20.9%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4億21百万円減少し、212億30百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金は112億70百万円の収入(前期は107億98百万円の収入)となりました。これは主に、税引前当期利益(137億27百万円)、買掛金及びその他の債務の増加(16億59百万円)による資金の増加に対し、売掛金及びその他の債権の増加(17億86百万円)、法人所得税支払額(35億29百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金は44億29百万円の支出(前期は53億61百万円の支出)となりました。これは主に、子会社の取得による支出(37億5百万円)、有形固定資産の取得(3億75百万円)及びその他の金融資産の取得による支出(2億60百万円)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金は71億84百万円の支出(前期は28億26百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入(10億円)による資金の増加に対し、配当金支払額(43億38百万円)、長期借入金の返済による支出(34億33百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
ロ.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
ハ.販売実績
当社グループは技術者派遣・請負事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業分野別の販売実績を記載しています。当社グループの当連結会計年度における販売実績は以下のとおりであります。
(注)上記金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されています。
これらの連結財務諸表の作成にあたっては一部に見積りによる金額を含んでおりますが、見積りにつきましては、過去実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づいており、妥当性についての継続的な評価を行っています。
しかしながら見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
② 経営成績の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
③ 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は937億71百万円(前連結会計年度末比55億69百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん370億79百万円、売掛金及びその他の債権197億65百万円、現金及び現金同等物212億30百万円等であります。
各項目の状況は以下のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は445億62百万円(前連結会計年度末比35億61百万円増加)となりました。主な内訳は、現金及び現金同等物212億30百万円(同4億21百万円減少)、売掛金及びその他の債権197億65百万円(同23億86百万円増加)等であります。
(非流動資産)
当連結会計年度末における非流動資産の残高は492億8百万円(前連結会計年度末比20億7百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん370億79百万円(同25億80百万円増加)、繰延税金資産39億57百万円(同24百万円増加)等であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は341億71百万円(前連結会計年度末比54億26百万円増加)となりました。主な内訳は、買掛金及びその他の債務129億64百万円(同19億18百万円増加)、従業員給付に係る負債58億46百万円(同9億52百万円増加)等であります。
(非流動負債)
当連結会計年度末における非流動負債の残高は135億34百万円(前連結会計年度末比29億55百万円減少)となりました。主な内訳は、社債及び借入金58億25百万円(同23億19百万円減少)、その他の長期金融負債66億97百万円(同5億95百万円減少)等であります。
(親会社の所有者に帰属する持分)
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の残高は448億3百万円(前連結会計年度末比31億9百万円増加)となりました。主な内訳は、資本剰余金73億4百万円(同16億98百万円減少)、利益剰余金311億29百万円(同53億4百万円増加)等であります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(3)資本の財源及び資金の流動性
① 資金需要
当社グループは技術者派遣業務を主体として事業運営しているため、主要な運転資金需要は、人件費(給与手当、賞与、法定福利費等)の支払となります。また、技術者派遣業務は、役務提供の対価が毎月入金されることが基本であるため、運転資金の大半は顧客からの入金で充足されます。なお、当連結会計年度における売上債権回転期間は1.6ヵ月、未払人件費等回転期間は1.4ヵ月です。
その他、情報システム投資や営業拠点投資、M&A投資が主要な資金需要となります。
② 財務政策
当社グループは、(ア)将来的成長へ向けた積極投資、(イ)適正な財務健全性・レバレッジの確保、(ウ)株主還元の規律、の最適なバランスを踏まえた財務政策を基本方針としており、指標としては基本的1株当たり当期利益の長期継続的改善を重視し、借入金を主体とした負債性資本による調達を基本としています。
また、当社グループでは、当連結会計年度末時点において、短期的資金需要を賄うため、総額160億円のコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。
(4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
(のれんの償却)
日本基準においては、のれんはその効果の及ぶ期間を見積り、当該期間で償却することとしておりましたが、IFRSでは償却を行わず、毎期の減損テストにより必要な場合は減損損失を計上します。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が前連結会計年度21億48百万円、当連結会計年度28億60百万円減少しております。
(5)参考情報
(報告セグメント区分の変更)
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているセグメントです。当社グループは、当連結会計年度まで、技術者派遣・請負事業を単一セグメントで展開しておりましたが、国内技術者派遣事業以外のサービスからの収益が拡大していることを受け、2020年6月期(2019年7月1日~2020年6月30日)の会計年度より、従来ビジネスユニット別にて管理していた分野を基に「R&Dアウトソーシング事業」、「施工管理アウトソーシング事業」、「国内その他事業」、「海外事業」の4区分を報告セグメントとし、報告セグメントごとの業績を取締役会に報告して業績管理する等のセグメント別の経営を開始しております。
各報告セグメントの概要は下記になります。
「R&Dアウトソーシング事業」は、自動車・自動車部品、産業機械・装置、情報通信機器、電機・電子機器、IT、半導体、エネルギー、医薬品、化学等の業界における大手企業等を顧客として、機械、電気・電子、組込制御、ITネットワーク、ビジネスアプリケーション、システム保守運用、生化学等の技術領域において、技術者派遣・請負業務を提供しております。「施工管理アウトソーシング事業」は、建設業界、主に大手ゼネコン・サブコンを顧客として、建築・土木・設備電機・プラント領域における施工管理業務(安全管理、品質管理、工程管理、原価管理)の技術者派遣を提供しております。「国内その他事業」は、人材紹介事業、技術系教育研修事業を行っております。「海外事業」は、中国において技術者派遣・請負及び人材紹介業務、シンガポールとインドを主体にIT技術者派遣業務、英国において技術者派遣及び人材紹介業務を提供しております。
なお、参考情報として、前連結会計年度及び当連結会計年度の報告セグメントに関する情報を、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを以下に開示いたします。(非監査数値)
(報告セグメントに関する情報)
報告セグメントの会計方針は、連結財務諸表作成における会計方針と同一であります。各報告セグメントのセグメント間の取引は、市場実勢価格に基づいており、セグメント利益は営業利益になります。なお、セグメント資産は、各報告区分ごとには、算定していないため記載は省略しております。
前連結会計年度(自 2017年7月1日 至 2018年6月30日)
(単位:百万円)
(注)全社/消去のセグメント利益には、各報告セグメントに配分していない全社費用が含まれております。
当連結会計年度(自 2018年7月1日 至 2019年6月30日)
(単位:百万円)
(注)全社/消去のセグメント利益には、各報告セグメントに配分していない全社費用が含まれております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2018年7月1日~2019年6月30日)における世界経済は、米中貿易摩擦等による中国経済の減速や英国のEU離脱に伴う欧州経済の混乱、中東の不安定な政治状況等が影響し、減速懸念が根強い一年でした。一方、国内においても、2018年10月以降下落の続いていた日経平均株価は上昇基調へと転じたものの、輸出の停滞と消費の一進一退が続き、また2019年10月に予定される消費税増税への懸念から、景気の先行きに対する警戒感が強まっています。
このような経済環境を背景としつつも、当社グループが注力している技術者派遣・請負事業は成長が継続しており、中でも自動車・自動車部品業界、IT業界、建設業界の技術者に対する需要は高い状態が続いています。
当連結会計年度において、当社グループとしては主に以下の取組みを実施いたしました。
(シフトアップ・チャージアップの推進)
技術者一人当たりの売上単価の向上に向けて、シフトアップ(配属先を変更することによる売上単価向上)とチャージアップ(同一配属先での契約更新時の売上単価向上)を、前連結会計年度に引き続き推進いたしました。
(技術者の確保)
国内における技術者採用市場は、需要に対して供給不足の状態が継続し、当社グループのさらなる成長のため、技術者の確保が重要な課題となっています。新卒採用を積極的に行うとともに、優秀な技術者の確保を行うための具体的な取組みとして、技術者による知人紹介や人材紹介会社の積極活用、採用セミナーの開催等を進めております。また、ハイエンド技術者に特化したスカウト型の人材紹介事業を営むテクノブレーン㈱を2019年2月に連結子会社化し、2019年7月には、人材紹介事業を営む連結子会社である㈱テクノプロ・キャリアとの間で、テクノブレーン㈱を存続会社とする吸収合併を行いました。この合併により、登録型とスカウト型の強みを併せ持った様々な領域の人材紹介サービスを行うことが可能となります。技術者を主体とする人材紹介事業の成長を進め、グループ内外への技術者供給力を高めてまいります。
(技術者の高付加価値化)
技術者の高付加価値化を進める施策として、㈱ALBERT、㈱アイズファクトリーとのデータサイエンティスト養成・派遣事業での協業、Strategic Cyber Holdings LLCが運営するCYBERGYM TOKYOとサイバーセキュリティエキスパート育成事業での協業、㈱A.L.I.TechnologiesとAI技術を活用したドローンソリューションサービスの共同展開等を進めました。また、東京大学、東京工業大学、鳥取大学等の各研究機関との共同研究を推進するとともに、当社連結子会社で教育研修事業を手がけるピーシーアシスト㈱が運営するWinスクールにおいて、時代に即したニーズの高い技術習得のための講座を新規開設する等、技術者の高付加価値化に向け様々な取組みを進めてまいりました。引き続き、当社グループの技術者、研究者の知識や技術の向上を積極的に図り、技術者の高付加価値化を進めてまいります。
(グローバル化の推進)
2018年10月に英国を拠点に技術者派遣事業及び人材紹介事業を展開するOrion Managed Services Limitedを連結子会社化し、アジア地域に加え欧州地域における中長期的な事業拡大を推進する礎を築きました。同社に加え、アジア地域に拠点を持つテクノプロ中国グループ各社やHelius Technologies Pte Ltd等で連携を行い、欧州・アジアに拠点を有する日系企業への技術系サービスの提供を進めるとともに、日本国内で就業のできる外国籍技術者を確保し、国内技術者不足に対応できる体制構築を進めてまいります。
これら取組みの結果、当連結会計年度末の国内技術者数は19,293人(前連結会計年度末比2,496人増)へと増加しました。当連結会計年度の平均稼働率は95.5%と前連結会計年度比0.2pt減少となりましたが、高稼働率を維持いたしました。シフトアップ・チャージアップは前連結会計年度より継続的に推進しており、技術者一人当たり売上(㈱テクノプロ及び㈱テクノプロ・コンストラクションの平均)の向上を進めてまいりましたが、多くの新卒技術社員の入社や政府主導の働き方改革による残業時間の減少等が影響し、月額630千円と同0.1千円の減少となりました。
採用面においては、当連結会計年度の国内技術者採用数(M&Aによって獲得した技術者数を含む)は4,512人(前連結会計年度比361人増)であり、技術者数の伸びに寄与しております。
費用面においては、業績向上に伴う技術者の人件費増加といった売上原価増の要因があったものの、売上総利益率は25.3%となりました。一方で、グループ規模の拡大に伴い管理コストも増加し、売上収益販売管理費比率は15.8%となりました。
当連結会計年度における主要事業分野の業績は以下のとおりであります。
(R&Dアウトソーシング分野)
専任チームの主導によるシフトアップ・チャージアップの交渉による高収益化の推進を進めることに加え、人材育成・採用に係る情報システムの構築を進めました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は1,137億83百万円(前連結会計年度比16.8%増)となりました。
(施工管理アウトソーシング分野)
前連結会計年度に引き続き、チーム配属の推進による技術者一人当たりの売上単価の向上を進めるとともに、未経験者採用・育成、及び施工管理に加え、設計等の領域の拡大を進めました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は177億20百万円(前連結会計年度比20.9%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4億21百万円減少し、212億30百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金は112億70百万円の収入(前期は107億98百万円の収入)となりました。これは主に、税引前当期利益(137億27百万円)、買掛金及びその他の債務の増加(16億59百万円)による資金の増加に対し、売掛金及びその他の債権の増加(17億86百万円)、法人所得税支払額(35億29百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金は44億29百万円の支出(前期は53億61百万円の支出)となりました。これは主に、子会社の取得による支出(37億5百万円)、有形固定資産の取得(3億75百万円)及びその他の金融資産の取得による支出(2億60百万円)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金は71億84百万円の支出(前期は28億26百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入(10億円)による資金の増加に対し、配当金支払額(43億38百万円)、長期借入金の返済による支出(34億33百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
ロ.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
ハ.販売実績
当社グループは技術者派遣・請負事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業分野別の販売実績を記載しています。当社グループの当連結会計年度における販売実績は以下のとおりであります。
事業分野の名称 | 当連結会計年度 (自 2018年7月1日 至 2019年6月30日) | |
金額 (百万円) | 前年同期比 (%) | |
R&Dアウトソーシング | 113,783 | 116.8 |
施工管理アウトソーシング | 17,720 | 120.9 |
その他 | 12,671 | 287.2 |
合計 | 144,176 | 123.7 |
(注)上記金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されています。
これらの連結財務諸表の作成にあたっては一部に見積りによる金額を含んでおりますが、見積りにつきましては、過去実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づいており、妥当性についての継続的な評価を行っています。
しかしながら見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
② 経営成績の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
③ 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は937億71百万円(前連結会計年度末比55億69百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん370億79百万円、売掛金及びその他の債権197億65百万円、現金及び現金同等物212億30百万円等であります。
各項目の状況は以下のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は445億62百万円(前連結会計年度末比35億61百万円増加)となりました。主な内訳は、現金及び現金同等物212億30百万円(同4億21百万円減少)、売掛金及びその他の債権197億65百万円(同23億86百万円増加)等であります。
(非流動資産)
当連結会計年度末における非流動資産の残高は492億8百万円(前連結会計年度末比20億7百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん370億79百万円(同25億80百万円増加)、繰延税金資産39億57百万円(同24百万円増加)等であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は341億71百万円(前連結会計年度末比54億26百万円増加)となりました。主な内訳は、買掛金及びその他の債務129億64百万円(同19億18百万円増加)、従業員給付に係る負債58億46百万円(同9億52百万円増加)等であります。
(非流動負債)
当連結会計年度末における非流動負債の残高は135億34百万円(前連結会計年度末比29億55百万円減少)となりました。主な内訳は、社債及び借入金58億25百万円(同23億19百万円減少)、その他の長期金融負債66億97百万円(同5億95百万円減少)等であります。
(親会社の所有者に帰属する持分)
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の残高は448億3百万円(前連結会計年度末比31億9百万円増加)となりました。主な内訳は、資本剰余金73億4百万円(同16億98百万円減少)、利益剰余金311億29百万円(同53億4百万円増加)等であります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(3)資本の財源及び資金の流動性
① 資金需要
当社グループは技術者派遣業務を主体として事業運営しているため、主要な運転資金需要は、人件費(給与手当、賞与、法定福利費等)の支払となります。また、技術者派遣業務は、役務提供の対価が毎月入金されることが基本であるため、運転資金の大半は顧客からの入金で充足されます。なお、当連結会計年度における売上債権回転期間は1.6ヵ月、未払人件費等回転期間は1.4ヵ月です。
その他、情報システム投資や営業拠点投資、M&A投資が主要な資金需要となります。
② 財務政策
当社グループは、(ア)将来的成長へ向けた積極投資、(イ)適正な財務健全性・レバレッジの確保、(ウ)株主還元の規律、の最適なバランスを踏まえた財務政策を基本方針としており、指標としては基本的1株当たり当期利益の長期継続的改善を重視し、借入金を主体とした負債性資本による調達を基本としています。
また、当社グループでは、当連結会計年度末時点において、短期的資金需要を賄うため、総額160億円のコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。
(4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
(のれんの償却)
日本基準においては、のれんはその効果の及ぶ期間を見積り、当該期間で償却することとしておりましたが、IFRSでは償却を行わず、毎期の減損テストにより必要な場合は減損損失を計上します。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が前連結会計年度21億48百万円、当連結会計年度28億60百万円減少しております。
(5)参考情報
(報告セグメント区分の変更)
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているセグメントです。当社グループは、当連結会計年度まで、技術者派遣・請負事業を単一セグメントで展開しておりましたが、国内技術者派遣事業以外のサービスからの収益が拡大していることを受け、2020年6月期(2019年7月1日~2020年6月30日)の会計年度より、従来ビジネスユニット別にて管理していた分野を基に「R&Dアウトソーシング事業」、「施工管理アウトソーシング事業」、「国内その他事業」、「海外事業」の4区分を報告セグメントとし、報告セグメントごとの業績を取締役会に報告して業績管理する等のセグメント別の経営を開始しております。
各報告セグメントの概要は下記になります。
「R&Dアウトソーシング事業」は、自動車・自動車部品、産業機械・装置、情報通信機器、電機・電子機器、IT、半導体、エネルギー、医薬品、化学等の業界における大手企業等を顧客として、機械、電気・電子、組込制御、ITネットワーク、ビジネスアプリケーション、システム保守運用、生化学等の技術領域において、技術者派遣・請負業務を提供しております。「施工管理アウトソーシング事業」は、建設業界、主に大手ゼネコン・サブコンを顧客として、建築・土木・設備電機・プラント領域における施工管理業務(安全管理、品質管理、工程管理、原価管理)の技術者派遣を提供しております。「国内その他事業」は、人材紹介事業、技術系教育研修事業を行っております。「海外事業」は、中国において技術者派遣・請負及び人材紹介業務、シンガポールとインドを主体にIT技術者派遣業務、英国において技術者派遣及び人材紹介業務を提供しております。
なお、参考情報として、前連結会計年度及び当連結会計年度の報告セグメントに関する情報を、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを以下に開示いたします。(非監査数値)
(報告セグメントに関する情報)
報告セグメントの会計方針は、連結財務諸表作成における会計方針と同一であります。各報告セグメントのセグメント間の取引は、市場実勢価格に基づいており、セグメント利益は営業利益になります。なお、セグメント資産は、各報告区分ごとには、算定していないため記載は省略しております。
前連結会計年度(自 2017年7月1日 至 2018年6月30日)
(単位:百万円)
報告セグメント | 全社/ 消去 | 連結 | |||||
R&D アウト ソーシング 事業 | 施工管理 アウト ソーシング 事業 | 国内 その他 事業 | 海外 事業 | 合計 | |||
売上収益 | |||||||
外部顧客からの売上収益 | 97,457 | 14,659 | 2,213 | 2,166 | 116,497 | 32 | 116,529 |
セグメント間の内部 売上高又は振替高 | 230 | - | 587 | 169 | 987 | △987 | - |
売上収益合計 | 97,687 | 14,659 | 2,800 | 2,336 | 117,484 | △955 | 116,529 |
営業利益 | 9,261 | 1,540 | 293 | 138 | 11,233 | 4 | 11,238 |
金融収益 | - | - | - | - | - | - | 69 |
金融費用 | - | - | - | - | - | - | 148 |
持分法による投資利益(△は損失) | - | - | - | - | - | - | 3 |
税引前利益 | - | - | - | - | - | - | 11,163 |
その他の項目 | |||||||
減価償却費及び償却費 | 162 | 24 | 20 | 69 | 276 | 230 | 506 |
減損損失 | - | - | - | - | - | - | - |
資本的支出 | 126 | 49 | 18 | 15 | 210 | 198 | 408 |
(注)全社/消去のセグメント利益には、各報告セグメントに配分していない全社費用が含まれております。
当連結会計年度(自 2018年7月1日 至 2019年6月30日)
(単位:百万円)
報告セグメント | 全社/ 消去 | 連結 | |||||
R&D アウト ソーシング 事業 | 施工管理 アウト ソーシング 事業 | 国内 その他 事業 | 海外 事業 | 合計 | |||
売上収益 | |||||||
外部顧客からの売上収益 | 113,783 | 17,720 | 2,705 | 9,920 | 144,130 | 45 | 144,176 |
セグメント間の内部 売上高又は振替高 | 237 | - | 769 | 363 | 1,370 | △1,370 | - |
売上収益合計 | 114,021 | 17,720 | 3,474 | 10,283 | 145,500 | △1,324 | 144,176 |
営業利益 | 10,672 | 1,938 | 416 | △931 | 12,096 | 1,642 | 13,739 |
金融収益 | - | - | - | - | - | - | 109 |
金融費用 | - | - | - | - | - | - | 113 |
持分法による投資利益(△は損失) | - | - | - | - | - | - | △7 |
税引前利益 | - | - | - | - | - | - | 13,727 |
その他の項目 | |||||||
減価償却費及び償却費 | 218 | 33 | 18 | 293 | 564 | 213 | 777 |
被支配株主に付与されたプット・オプションに係る益 | - | - | - | - | - | 1,359 | 1,359 |
条件付対価に係る価値変動額(利益) | - | - | - | - | - | 110 | 110 |
減損損失 | - | - | - | 1,673 | 1,673 | - | 1,673 |
資本的支出 | 231 | 26 | 30 | 46 | 333 | 127 | 460 |
(注)全社/消去のセグメント利益には、各報告セグメントに配分していない全社費用が含まれております。