有価証券報告書-第42期(平成30年6月1日-令和1年5月31日)

【提出】
2019/08/29 15:07
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【項目】
136項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善とそれに伴う雇用情勢の改善により、景気は緩やかな回復基調となりました。一方、米国・中国による保護主義的な通商政策や世界経済の不確実性、金融市場の変動が引き続き懸念されるなど、景気の先行きは不透明な状況となっております。
当社グループを取り巻くメンテナンス業界におきましては、設備の維持管理コストを減少させるための省エネ提案や、突発的な故障の発生を減少させるための保全メンテナンスの要望が多くなってきており、また、当社グループがメインターゲットとしている小売業や飲食業を中心とした多店舗展開企業では、メンテナンス管理の一括アウトソーシング化のニーズも高まってきております。
このような環境下において、当社グループは、24時間365日稼働のコールセンターを核としたすべての設備機器を対象とするサービスを強みとして、社内に蓄積されたノウハウやデータに基づき突発的な修理不具合を未然に防止するための保全メンテナンスや機器入替、また、環境改善を考えた省エネ等の提案営業を行ってまいりました。
また、自社メンテナンスエンジニアの多能工化(特定の設備機器のみならず数種の設備機器を扱うことができる事)により生産性を向上させるため、引き続き当社研修センターでの実機研修による人材育成に注力してまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ213,450千円減少し4,522,017千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ512,765千円減少し1,777,192千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ299,315千円増加し2,744,824千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高11,050,444千円(前年同期比0.9%減)、営業利益652,967千円(前年同期比16.0%減)、経常利益659,050千円(前年同期比15.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益431,271千円(前年同期比18.2%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ284,323千円減少し1,077,185千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度末に比べ149,305千円減少し314,795千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が659,050千円、売上債権の減少額が342,225千円あった一方で、仕入債務の減少額が325,892千円及び法人税等の支払額が339,798千円あったこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度末に比べ331,987千円増加し404,871千円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が274,428千円、投資有価証券の取得による支出が100,809千円あったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、193,562千円の資金の減少(前連結会計年度は154,940千円の資金の増加)となりました。これは主に、配当金の支払額が162,812千円、長期借入金の返済による支出が59,992千円あったこと等によります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注によるサービス提供を行っておりますが、受注から売上までの期間が短いため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当社グループは「メンテナンス事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年6月1日
至 2019年5月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
メンテナンス事業11,050,444△0.9

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年6月1日
至 2018年5月31日)
当連結会計年度
(自 2018年6月1日
至 2019年5月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社セブン-イレブン・ジャパン2,558,58922.93,048,60627.6
パナソニック産機システムズ株式会社1,756,61115.81,831,97916.6
株式会社ライフコーポレーション1,467,95813.21,788,31916.2

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d.外注実績
当社グループは「メンテナンス事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度における外注実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年6月1日
至 2019年5月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
メンテナンス事業5,625,587△8.4

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ573,505千円減少し3,377,349千円となりました。主な要因は、現金及び預金が272,302千円、受取手形及び売掛金が344,468千円減少したこと等によります。
また、固定資産は、前連結会計年度末に比べ360,055千円増加し1,144,667千円となりました。主な要因は、無形固定資産が269,057千円、投資有価証券が93,410千円増加したこと等によります。
これらの結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ213,450千円減少し4,522,017千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ474,285千円減少し1,393,458千円となりました。主な要因は、工事未払金が327,208千円、未払法人税等が111,938千円、賞与引当金が41,164千円減少したこと等によります。
また、固定負債は、前連結会計年度末に比べ38,480千円減少し383,733千円となりました。主な要因は、長期借入金が59,992千円減少したこと等によります。
これらの結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ512,765千円減少し1,777,192千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ299,315千円増加し2,744,824千円となりました。主な要因は、利益剰余金が269,172千円増加したこと等によります。
2)経営成績
当連結会計年度の売上高は11,050,444千円(前年同期比0.9%減)、売上原価は8,639,438千円(前年同期比0.6%減)となりました。これは主に、通期で見込んでいた利益率の高い省エネ工事案件の多くが翌期以降に期ずれを起こしたことや、新規のトータルメンテナンス契約の交渉が長期化したためであります。また、販売費及び一般管理費は、新たな海外進出先としてベトナムの合弁会社設立準備費用の増加、及び大口取引先への対応力強化のためにとった体制強化の費用増加等により1,758,038千円(前年同期比4.9%増)となりました。これらの結果、当連結会計年度の営業利益は652,967千円(前年同期比16.0%減)となりました。
当連結会計年度の経常利益は659,050千円(前年同期比15.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は431,271千円(前年同期比18.2%減)となりました。
3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当社の経営成績に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
c.資本の財源及び資金の流動性
資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社グループにとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施してまいります。
短期運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入や新株発行等を検討した上で調達しております。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は148,286千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,077,185千円となっております。
将来の成長のための内部留保については、人材の育成・獲得、海外進出、ITシステム強化等の将来の事業展開の財源のための投資に資源を優先的に充当いたします。
d.中期経営計画等の進捗状況
当社グループは、2020年5月期を初年度とする新中期年経営計画「変革と持続的成長 SANKI2022」を2019年7月12日に公表いたしました。今後、当社グループが持続的に事業成長するために、各部門の連携をさらに強化し、お客様への提案を通じ、付加価値向上を目指し続けることにより、下記の数値目標を達成いたします。
「変革と持続的成長 SANKI2022」における数値目標
2020年5月期2021年5月期2022年5月期
売上高(千円)12,100,00013,300,00015,000,000
営業利益(千円)600,000720,000950,000
売上高営業利益率(%)5.05.46.3
ROE(%)13.714.917.6

なお、当社グループでは中期3ヵ年を下記のように2つのフェーズに分けております。
<フェーズ1>2020年5月期
「次なる成長のための営業基盤強化」の期間と捉え、営業体制の強化、リーダー育成やエンジニアを中心とした採用等の人事基盤の強化、IT基盤強化に取り組みます。
<フェーズ2>2021年5月期~2022年5月期
「変革と持続的成長」の期間とし、空調メンテンナンス工事の内製化の拡大、設備・工事案件の対応力強化、トータルメンテナンスの更なる品質向上を推進します。
e.目標とする経営指標の達成状況
当社グループは、安定した利益率の確保と財務体質の強化を目指し、売上高及び営業利益の継続的な伸長と営業利益率及びROEの上昇を目標としておりますが、その達成状況は下記のとおりです。
2017年5月期2018年5月期2019年5月期
金額又は
割合
前年同期比金額又は
割合
前年同期比金額又は
割合
前年同期比
売上高(千円)8,777,94632.6%11,148,84127.0%11,050,444△0.9%
営業利益(千円)538,78136.7%777,22844.3%652,967△16.0%
売上高営業利益率(%)6.10.2%pt7.00.9%pt5.9△1.1%pt
ROE(%)23.13.9%pt25.52.4%pt16.6△8.9%pt

前連結会計年度までは各指標ともに順調に伸長しておりましたが、当連結会計年度におきましてはすべての指標がマイナスとなっております。これは前述のとおり、主に通期で見込んでいた利益率の高い省エネ工事案件の多くが翌期以降に期ずれを起こしたことや、新規のトータルメンテナンス契約の交渉が長期化したために、売上高及び売上総利益が減少したことによります。また、新たな海外進出先としてベトナムの合弁会社設立準備費用が増加したことや、大口取引先への対応力強化のためにとった体制強化の費用増加等により営業利益が減少したことによります。