有価証券報告書-第43期(令和1年6月1日-令和2年5月31日)

【提出】
2020/08/31 15:00
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【項目】
136項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、2019年末までは企業収益の改善とそれに伴う雇用情勢の改善により景気は緩やかな回復基調となりましたが、2020年1月以降は新型コロナウイルス感染症の拡大による国内外経済の減速等、景気の先行きは不透明な状況となっております。
当社グループを取り巻くメンテナンス業界におきましては、設備の維持管理コストを減少させるための省エネ提案や、突発的な故障の発生を減少させるための保全メンテナンスの要望が多くなってきており、また、当社グループがメインターゲットとしている小売業や飲食業を中心とした多店舗展開企業では、メンテナンス管理の一括アウトソーシング化のニーズも高まってきております。
このような環境下において、当社グループは、24時間365日稼働のコールセンターを核としたすべての設備機器を対象とするサービスを強みとして、社内に蓄積されたノウハウやデータに基づき突発的な修理不具合を未然に防止するための保全メンテナンスや機器入替、また、環境改善を考えた省エネ等の提案営業を行うことで、お客様の潜在的ニーズを掘り起こすことに注力してまいりました。
また、自社メンテナンスエンジニアの多能工化(大型吸収式冷温水機をはじめとして小型パッケージエアコン等の各種空調機器を扱うことができる事)を推進することや新入社員の早期育成を行うために、引き続き当社研修センターでの実機研修による人材育成を行ってまいりました。
こうしたなか、新型コロナウイルス感染症の拡大により、2020年4月以降、省エネ工事案件の施工延期や緊急事態宣言による行動自粛により保全メンテナンス等の作業が実施できないなど一部業績に影響がでてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ325,296千円増加し4,847,313千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ192,964千円増加し1,970,157千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ132,331千円増加し2,877,156千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高11,679,180千円(前年同期比5.7%増)、営業利益406,660千円(前年同期比37.7%減)、経常利益408,526千円(前年同期比38.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益272,534千円(前年同期比36.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ173,795千円減少し903,390千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度末に比べ152,638千円減少し162,156千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が408,526千円、未払消費税及び前受金を含むその他の流動負債の増加額が243,968千円あった一方で、売上債権の増加額が355,360千円、法人税等の支払額が184,632千円あったこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度末に比べ256,594千円減少し148,277千円となりました。これは主に、定期預金の預入による支出が21,744千円、無形固定資産の取得による支出が108,682千円あったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度末に比べ7,557千円減少し186,004千円となりました。これは主に、非支配株主からの払込みによる収入が29,540千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入が35,309千円あった一方で、配当金の支払額が174,912千円、長期借入金の返済による支出が59,992千円あったこと等によります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注によるサービス提供を行っておりますが、受注から売上までの期間が短いため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当社グループは「メンテナンス事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年6月1日
至 2020年5月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
メンテナンス事業11,679,1805.7

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年6月1日
至 2019年5月31日)
当連結会計年度
(自 2019年6月1日
至 2020年5月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社セブン-イレブン・ジャパン3,048,60627.63,137,31026.9
パナソニック産機システムズ株式会社1,831,97916.61,677,18114.4
株式会社ライフコーポレーション1,788,31916.21,600,74113.7

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d.外注実績
当社グループは「メンテナンス事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度における外注実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年6月1日
至 2020年5月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
メンテナンス事業5,743,9852.1

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、特に重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症による今後の影響等などを含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を慎重に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、新たに減損処理が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ284,980千円増加し3,662,330千円となりました。主な要因は、受取手形及び売掛金が348,101千円増加した一方で、現金及び預金が152,051千円減少したこと等によります。
また、固定資産は、前連結会計年度末に比べ40,315千円増加し1,184,983千円となりました。主な要因は、無形固定資産が42,357千円増加したこと等によります。
これらの結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ325,296千円増加し4,847,313千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ229,818千円増加し1,623,277千円となりました。主な要因は、工事未払金が31,170千円、その他流動負債に含まれる前受金が94,895千円、未払消費税が70,929千円増加したこと等によります。
また、固定負債は、前連結会計年度末に比べ36,853千円減少し346,880千円となりました。主な要因は、長期借入金が40,036千円減少したこと等によります。
これらの結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ192,964千円増加し1,970,157千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ132,331千円増加し2,877,156千円となりました。主な要因は、利益剰余金が97,510千円増加したことと、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ22,045千円増加したこと等によります。
2)経営成績
当連結会計年度の売上高は11,679,180千円(前年同期比5.7%増)、売上原価は9,016,115千円(前年同期比4.4%増)となりました。これは主に、前連結会計年度と比べて省エネ工事案件が増加したことや、新規のトータルメンテナンス契約を受注したためであります。また、販売費及び一般管理費は、当連結会計年度に稼働したITシステムの償却費増加や、3ヵ年の新中期経営計画に基づいて行った体制強化及び新規大口取引先への対応力強化のための人材補強による人件費及び採用費の増加等により2,256,405千円(前年同期比28.3%増)となりました。これらの結果、当連結会計年度の営業利益は406,660千円(前年同期比37.7%減)となりました。
当連結会計年度の経常利益は408,526千円(前年同期比38.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は272,534千円(前年同期比36.8%減)となりました。
3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当社の経営成績に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
c.資本の財源及び資金の流動性
資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社グループにとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施してまいります。
短期運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入や新株発行等を検討した上で調達しております。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は83,234千円、現金及び現金同等物の残高は903,390千円となっております。更に金融機関との間にコミットメントライン契約を締結していることにより、急な資金需要や不測の事態にも備えております。
将来の成長のための内部留保については、人材の育成・獲得、ITシステム強化等の将来の事業展開の財源のための投資に資源を優先的に充当いたします。
d.中期経営計画等の進捗状況
2020年7月13日に公表いたしました「2020年5月期 連結業績予想と実績の差異、中期経営計画の見直しおよび、剰余金の配当に関するお知らせ」に記載のとおり、当社グループは、2019年7月12日に公表しました中期経営計画「変革と持続的成長 SANKI2022」に基づき「持続的な成長と変革」をテーマに、新企業理念の浸透を目的とした広報活動の強化や、研修センターを利用したエンジニアの短期育成や多能工化による内製強化、新基幹システム導入によるITシステムの競争力強化、法人営業部新設による営業体制の強化などに取り組んでまいりました。しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、今後の経済情勢の予測が極めて不透明な状況となっております。この状況下において、「持続的な成長と変革」のための中期経営計画は引き続き推進してまいりますが、2019年7月12日の公表値につきましては見直しを行い、今後予測される新型コロナウイルスの再感染拡大などによる当社グループへの影響も含め、市場環境の見通しが一定程度判断できる状況となりましたら、改めて公表いたします。
当連結会計年度と「変革と持続的成長 SANKI2022」における数値目標の差異
2020年5月期(実績)2020年5月期
(中期経営計画)
差異
売上高(千円)11,679,18012,100,000△420,819
営業利益(千円)406,660600,000△193,339
売上高営業利益率(%)3.55.0△1.5
ROE(%)9.713.7△4.0

e.目標とする経営指標の達成状況
当社グループは、安定した利益率の確保と財務体質の強化を目指し、売上高及び営業利益の継続的な伸長と営業利益率を目標としておりますが、その推移状況は下記のとおりです。
2018年5月期2019年5月期2020年5月期
金額又は
割合
前年同期比金額又は
割合
前年同期比金額又は
割合
前年同期比
売上高(千円)11,148,84127.0%11,050,444△0.9%11,679,1805.7%
営業利益(千円)777,22844.3%652,967△16.0%406,660△37.7%
売上高営業利益率(%)7.00.9%pt5.9△1.1%pt3.5△2.4%pt
ROE(%)25.52.4%pt16.6△8.9%pt9.7△6.9%pt

当連結会計年度におきましては前年同期比で売上高以外の指標がマイナスとなっております。これは前述のとおり、主に、前連結会計年度と比べて省エネ工事案件が増加したことや、新規のトータルメンテナンス契約を受注した一方で、販売費及び一般管理費は、当連結会計年度に稼働したITシステムの償却費増加や、3ヵ年の新中期経営計画に基づいて行った体制強化及び新規大口取引先への対応力強化のための人材補強による人件費及び採用費の増加等により営業利益が減少したことによります。