有価証券報告書-第44期(令和2年6月1日-令和3年5月31日)

【提出】
2021/08/30 15:00
【資料】
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【項目】
121項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、経済活動が大きく制限されることとなり厳しい状況で推移しました。国内外で段階的な経済活動再開の動きが見られるものの、変異ウイルスの拡大やワクチン普及の遅れ等の懸念材料を抱えており、依然として先行きは不透明な状況にあります。
当社グループを取り巻くメンテナンス業界におきましては、設備の維持管理コストを減少させるための省エネ提案や、突発的な故障の発生を減少させるための保全メンテナンスの要望が多くなってきており、また、当社グループが注力している小売業や飲食業を中心とした多店舗展開企業では、メンテナンス管理の一括アウトソーシング化のニーズも高まってきております。
このような環境下において、当社グループは、24時間365日稼働のコールセンターを核としたすべての設備機器を対象とするサービスを強みとして、社内に蓄積されたノウハウやデータに基づき突発的な修理不具合を未然に防止するための保全メンテナンスや機器入替、また、環境改善を考えた省エネ等の提案営業を行うことで、お客様の潜在的ニーズを掘り起こすことに注力してまいりました。
また、自社メンテナンスエンジニアの多能工化(各種空調機器をはじめとして、それに付随する設備や給排気設備等に幅広く対応できるようにする事)を推進することや新入社員・若手社員の早期育成を行うために、引き続き当社研修センターでの実機研修による人材育成を行ってまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ246,278千円増加し5,093,592千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ159,329千円増加し2,129,486千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ86,948千円増加し2,964,105千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高11,525,334千円(前年同期比1.3%減)、営業利益288,853千円(前年同期比29.0%減)、経常利益293,942千円(前年同期比28.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益175,795千円(前年同期比35.5%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ741,917千円増加し1,645,307千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度末に比べ503,951千円増加し666,108千円となりました。これは主に、法人税等の支払額が143,534千円あった一方で、税金等調整前当期純利益が274,624千円、売上債権の減少額が476,133千円あったこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度末に比べ38,007千円減少し110,269千円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が86,574千円あったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は183,735千円(前年同期は186,004千円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が450,000千円あった一方で、配当金の支払額が145,119千円、長期借入金の返済による支出が104,197千円あったこと等によります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注によるサービス提供を行っておりますが、受注から売上までの期間が短いため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当社グループは「メンテナンス事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年6月1日
至 2021年5月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
メンテナンス事業11,525,33498.7

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年6月1日
至 2020年5月31日)
当連結会計年度
(自 2020年6月1日
至 2021年5月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社セブン-イレブン・ジャパン3,137,31026.92,305,28120.0
株式会社ライフコーポレーション1,600,74113.71,941,71916.8
パナソニック産機システムズ株式会社1,677,18114.41,702,49514.8
株式会社オークワ--1,181,55710.3

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d.外注実績
当社グループは「メンテナンス事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度における外注実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年6月1日
至 2021年5月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
メンテナンス事業6,253,814108.9

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、特に重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症による今後の影響等などを含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を慎重に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、新たに減損処理が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ295,853千円増加し3,958,183千円となりました。主な要因は、現金及び預金が744,206千円増加した一方で、受取手形及び売掛金が468,748千円減少したこと等によります。
また、固定資産は、前連結会計年度末に比べ49,575千円減少し1,135,408千円となりました。主な要因は、投資有価証券が35,167千円減少したこと等によります。
これらの結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ246,278千円増加し5,093,592千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ133,738千円減少し1,489,538千円となりました。主な要因は、工事未払金が91,434千円、その他流動負債に含まれる未払消費税が39,038千円減少したこと等によります。
また、固定負債は、前連結会計年度末に比べ293,068千円増加し639,948千円となりました。主な要因は、長期借入金が295,847千円増加したこと等によります。
これらの結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ159,329千円増加し2,129,486千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ86,948千円増加し2,964,105千円となりました。主な要因は、利益剰余金が28,397千円増加したことと、資本金及び資本剰余金がそれぞれ25,667千円増加したこと等によります。
2)経営成績
当連結会計年度の売上高は、新たな大口顧客に対するサービスの提供開始及び既存顧客に対するメンテナンスサービスの提供範囲の拡大等による増加要因はあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響により飲食業を中心に売上が減少したことや省エネ工事や新設、更新工事等の伸び悩み等により11,525,334千円(前年同期比1.3%減)、売上原価8,896,479千円(前年同期比1.3%減)となりました。
また、販売費及び一般管理費は、新基幹システム導入に伴う減価償却費の増加等により2,340,001千円(前年同期比3.7%増)となりました。これらの結果、当連結会計年度の営業利益は288,853千円(前年同期比29.0%減)となりました。
当連結会計年度の経常利益は293,942千円(前年同期比28.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、サンキ-ソナデジ株式会社の清算に伴う子会社清算損19,317千円を計上したこと等により175,795千円(前年同期比35.5%減)となりました。
3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当社の経営成績に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
c.資本の財源及び資金の流動性
資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社グループにとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施してまいります。
短期運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入や新株発行等を検討した上で調達しております。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は414,023千円、現金及び現金同等物の残高は1,645,307千円となっております。更に金融機関との間にコミットメントライン契約を締結していることにより、急な資金需要や不測の事態にも備えております。
将来の成長のための内部留保については、人材の育成・獲得、ITシステム強化等の将来の事業展開の財源のための投資に資源を優先的に充当いたします。
d.中期経営計画等の進捗状況
2020年7月13日に公表いたしました「2020年5月期 連結業績予想と実績の差異、中期経営計画の見直しおよび、剰余金の配当に関するお知らせ」に記載のとおり、当社グループは、2019年7月12日に公表しました中期経営計画「変革と持続的成長 SANKI2022」に基づき「持続的な成長と変革」をテーマに、新企業理念の浸透を目的とした広報活動の強化や、研修センターを利用したエンジニアの短期育成や多能工化による内製強化、新基幹システム導入によるITシステムの競争力強化、法人営業部新設による営業体制の強化などに取り組んでまいりました。しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、今後の経済情勢の予測が極めて不透明な状況となっております。この状況下において、「持続的な成長と変革」のための中期経営計画は引き続き推進してまいりますが、2019年7月12日の公表値につきましては見直しを行い、今後予測される新型コロナウイルスの再感染拡大などによる当社グループへの影響も含め、市場環境の見通しが一定程度判断できる状況となりましたら、改めて公表いたします。
e.目標とする経営指標の達成状況
当社グループは、安定した利益率の確保と財務体質の強化を目指し、売上高及び営業利益の継続的な伸長と営業利益率を目標としておりますが、その推移状況は下記のとおりです。
2019年5月期2020年5月期2021年5月期
金額又は
割合
前年同期比金額又は
割合
前年同期比金額又は
割合
前年同期比
売上高(千円)11,050,444△0.9%11,679,1805.7%11,525,334△1.3%
営業利益(千円)652,967△16.0%406,660△37.7%288,853△29.0%
売上高営業利益率(%)5.9△1.1%pt3.5△2.4%pt2.5△1.0%pt
ROE(%)16.6△8.9%pt9.7△6.9%pt6.0△3.7%pt

当連結会計年度におきましてはすべての指標がマイナスとなっております。これは前述のとおり、主に、前連結会計年度と比べて、新たな大口顧客に対するサービスの提供開始及び既存顧客に対するメンテナンスサービスの提供範囲の拡大等による増加要因はあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響により飲食業を中心に売上が減少したことや省エネ工事や新設、更新工事等の伸び悩み等により売上が減少したことと、新基幹システム導入に伴う減価償却費の増加等により販売費及び一般管理費が増加し、営業利益が減少したこと等によります。