有価証券報告書-第14期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/29 14:12
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【項目】
78項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融政策を背景に、緩やかな景気回復基調で推移した一方、欧米諸国の政策動向や東アジアの地政学的リスクによる世界経済への影響が懸念されるなど、景気の先行きは依然として不透明な状況となっております。
当社の事業に関わる高齢社会に関連する市場は、高齢者の増加と共に年々拡大する傾向にあり、ヘルスケアサービスの需要はますます高まりつつあります。また、健康寿命の延伸や、社会保障費の増大に歯止めをかけることなどが喫緊の課題として認識されております。現役世代並みの高所得者の介護サービスの利用者負担割合を2割から3割へ引き上げることや、介護保険料を報酬額に比例した負担とする総報酬割を導入することなどが盛り込まれた「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が平成29年5月に成立し、平成30年4月からは介護報酬改定による報酬単価の見直し等による影響も懸念される一方、高齢者の健康維持・向上に重点をおいた短時間リハビリ型通所介護サービス(デイサービス)の需要はますます高まることが予想されます。
このような状況の中、当社は「健康な未来」というコーポレートスローガンのもと、「創意革新と挑戦による、超高齢社会における課題解決」を企業行動指針(ミッション)と位置づけ、短時間リハビリ型通所介護サービス(デイサービス)「レコードブック」店舗ネットワークの拡大、及びケアマネジャー会員ネットワーク「ケアマネジメント・オンライン」を活用したサービスの拡大に注力いたしました。また、介護保険制度を使用しない高齢者向けヘルスケア&コミュニティ「SMART TIMES」をテスト展開しております。
以上の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績の状況は次のとおりとなりました。
a. 財政状態
当事業年度末における資産合計は1,733,075千円となり、前事業年度末に比べ267,802千円増加いたしました。当事業年度末における負債合計は1,060,988千円となり、前事業年度末に比べ82,033千円増加いたしました。当事業年度末における純資産は672,086千円となり、前事業年度末に比べ185,768千円増加いたしました。
b. 経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高が3,289,415千円(前期比15.9%増)となりました。また、営業利益は241,913千円(前期比40.1%増)、経常利益は278,616千円(前期比90.3%増)、当期純利益は185,832千円(前期比78.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(ヘルスケアソリューション事業)
当事業年度において短時間リハビリ型通所介護サービス(デイサービス)「レコードブック」の直営店を2ヵ所、フランチャイズを44ヵ所開設しました。さらに直営店をフランチャイズ加盟店に3ヵ所譲渡、合弁会社である株式会社名鉄ライフサポートに2ヵ所譲渡し、また、フランチャイズ加盟店2ヵ所を譲受けたことから直営店が27ヵ所、フランチャイズが73ヵ所となりました。
この結果、売上高は1,989,414千円(前期比27.8%増)、営業利益は375,987千円(前期比63.1%増)となりました。
(在宅サービス事業)
安定的な事業所運営をめざし、新規顧客の獲得や稼働率を高めるよう営業活動に注力いたしました。
この結果、売上高は1,300,000千円(前期比1.5%増)、営業利益は337,917千円(前期比1.4%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ36,166千円減少し、405,257千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は321,044千円(前事業年度は120,870千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益268,208千円、預り金の増加額76,735千円、減価償却費64,385千円、未払費用の増加額34,840千円、売上債権の増加額34,109千円、法人税等の支払額87,484千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は248,144千円(前事業年度は65,423千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出198,032千円、差入保証金の差入による支出84,099千円、事業譲受による支出32,442千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は109,066千円(前事業年度は230,198千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入400,000千円、短期借入金の減少額310,000千円、長期借入金の返済による支出144,563千円、割賦債務の返済による支出24,121千円及び社債の償還による支出15,000千円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b. 受注実績
該当事項はありません。
c. 販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
ヘルスケアソリューション事業(千円)1,989,414127.8
在宅サービス事業(千円)1,300,000101.5
合計(千円)3,289,415115.9

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主要な販売先については、当社は一般個人を対象とした介護サービス事業が中心であり、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析及び検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りと異なることがあります。
なお、当社が財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 重要な会計方針」に記載されたとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は1,074,472千円となり、前事業年度末に比べ43,222千円増加いたしました。その主な要因は、売掛金が47,766千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は658,602千円となり、前事業年度末に比べ224,580千円増加いたしました。その主な要因は、レコードブックの店舗拡大等に伴い、建物(純額)が128,529千円、工具、器具及び備品(純額)が12,336千円、差入保証金が61,932千円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は710,990千円となり、前事業年度末に比べ96,551千円減少いたしました。その主な要因は、預り金が76,735千円、1年内返済予定の長期借入金が70,732千円、賞与引当金が37,871千円増加した一方、短期借入金が310,000千円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は349,997千円となり、前事業年度末に比べ178,585千円増加いたしました。その主な要因は、長期借入金が184,704千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は672,086千円となり、前事業年度末に比べ185,768千円増加いたしました。その主な要因は、当期純利益を計上したことにより利益剰余金が185,832千円増加したことによるものであります。
b. 経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は3,289,415千円となり、前事業年度に比べ451,997千円増加いたしました。その主な要因は、レコードブック事業において、直営店を2ヵ所、フランチャイズ店を44ヵ所出店したことによるものであります。
(売上総利益)
当事業年度の売上原価は2,229,593千円となり、前事業年度に比べ217,262千円増加いたしました。その主な要因は、新規出店に伴う人件費や家賃等の増加によるものです。
この結果、売上総利益は1,059,821千円(前期比28.4%増)となりました。
(営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は817,908千円となり、前事業年度に比べ165,488千円増加いたしました。その主な要因は、人件費や広告宣伝費の増加によるものです。
この結果、営業利益は241,913千円(前期比40.1%増)となりました。
(経常利益)
当事業年度の営業外収益は47,119千円となり、前事業年度に比べ45,855千円増加いたしました。
当事業年度の営業外費用は10,416千円となり、前事業年度に比べ17,076千円減少いたしました。
この結果、経常利益は278,616千円(前期比90.3%増)となりました。
(当期純利益)
特別利益として負ののれん発生益6,798千円を計上する一方、特別損失として本社移転費用9,938千円、減損損失7,268千円を計上したことにより、税引前当期純利益は268,208千円(前期比66.7%増)となりました。
また、法人税等合計は82,376千円となりました。
この結果、当期純利益は185,832千円(前期比78.5%増)となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社が今後更なる成長と発展を遂げ、より良いサービスを提供していくために、経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題に対処していくことが必要であると認識しております。
それらの課題に対応するために経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社の経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。
また、必要な人材を適時に採用すると同時に、教育研修に注力することで営業力の強化と企業規模の拡大に対応した内部管理体制の強化を図り、企業価値の更なる向上を目指して取り組んでまいります。
c. キャッシュ・フローの分析
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、レコードブック等の店舗運営にかかる費用、販売費及び一般管理費等の営業費用、納税資金であります。店舗運営にかかる費用の内訳は、労務費、地代家賃、ソフト利用料及びリース料等であります。営業費用の内訳は、人件費、広告宣伝費及び地代家賃等であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、レコードブック等の店舗開発にかかる費用であります。この内訳は、内装工事費、運動機器等の工具、器具及び備品、差入保証金等であります。
資金調達につきましては、事業計画に基づき、主に内部資金、金融機関からの借入や社債の発行等により調達しております。また機動的な資金確保のため、主要取引銀行と当座貸越契約を締結しております。なお、将来大規模な投資資金などの資金需要が発生した場合には、エクイティファイナンス等による調達手段を検討してまいります。
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。
当社は、「健康な未来」というコーポレートスローガンのもと、「創意革新と挑戦による、超高齢社会における課題解決」をミッションと位置づけ、当社のヘルスケアプラットフォームを活用することで、高齢者の生活環境の整備や介護現場の情報整備をするとともに、高齢者の健康寿命の延伸に貢献したいと考えております。当該ミッションを果たすために、現状は、当社のコアコンピタンスである「レコードブック店舗ネットワーク」と「ケアマネジャーネットワーク」の2つのプラットフォームを活用したヘルスケアソリューションの開発に力を入れております。
「レコードブック店舗ネットワーク」においては、首都圏及び関西圏のみならず全国にレコードブック店舗ネットワークを拡大させたいと考えております。当事業年度末における店舗数は、直営店が27ヵ所、フランチャイズが73ヵ所、合計100ヵ所となりました。「ケアマネジャーネットワーク」においては、介護が必要な高齢者と社会をつなぐインフラとしての役割をより一層拡大させることを目指しております。ケアマネジャー向けに運営している専門Webサイト「ケアマネジメント・オンライン」の当事業年度末における会員数は、約8万9千人となりました。
また、具体的な経営指標としては、ROE(自己資本利益率)や売上高営業利益率を高めていくことを目標としております。当事業年度のROEは32.1%(前期比0.2ポイント減)となりました。今後は、必要な成長投資を強化しつつ収益力を底上げすることによりROEを高めてまいりたいと考えております。当事業年度の売上高営業利益率は7.4%(前期比1.3ポイント増)となりました。今後は、高付加価値のサービス提供による効率的な利益の獲得により、売上高営業利益率の向上を目指してまいります。
将来的には、既存事業の更なる成長施策に加え、新規事業の立ち上げや、資本・業務提携を通じて、ヘルスケアソリューションを提供する会社として、企業価値の更なる拡大を図ってまいります。