有価証券報告書-第17期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年4月、2021年1月と二度にわたり緊急事態宣言が発出され、企業収益や個人消費が大幅に落ち込むなど社会、経済活動は大幅に制限されました。緊急事態宣言の解除後は、各種政策の効果により一部では持ち直しの動きが見られたものの、新型コロナウイルスの感染状況は依然として予断を許さない状況となっており、経営環境は極めて厳しい状況で推移しました。また、世界経済に関しても、新型コロナウイルスの感染拡大は依然収束が見えず、先行きが極めて不透明な状況が続いております。
当社の事業に関わる高齢社会に関連する市場におきましても、特に高齢者は感染すると重症化しやすいとされていることもあり、外出を自粛されている利用者のサービスの利用控えなどによる影響を受けております。昨春の緊急事態宣言発出中に大きく落ち込んだ利用者数は、当事業年度末時点においても当該感染症の影響が見られる前の水準には至っておらず、今後も感染拡大の状況によってはこの影響が長引く可能性があります。しかしながら、中長期的には今後も高齢化率の上昇基調は変わらないことから、引き続きヘルスケアサービスの需要は高まっていくものと予想されております。
このような環境のもと、当社はこれまでに、顧客や従業員、その他関係者等の健康と安全を確保しつつ事業を継続していくため、顧客や従業員、その他関係者等の安全確保、感染防止を最優先に取組み、事業への影響を最小限に抑えるべく必要な対応を行ってまいりました。レコードブック等の各事業所においては、利用者やスタッフの健康管理の徹底を始めとして、いわゆる3密を避けるため、利用者同士、利用者とスタッフの距離を十分確保して運営するとともに、店舗や送迎車両の消毒、換気の強化等を実施してまいりました。また、主に本社勤務の従業員を対象として時差出勤や在宅勤務を導入するなどの対策の強化も進めてまいりました。加えて、売上の減少による損失を最小限にするため、業務改善を進めるとともに、従業員の計画的な休業等の実施やアフターコロナの生活スタイル変化を踏まえた営業手法の見直しなど、コストコントロールを積極的に実施することで利益の確保に努めてまいりました。
当社では、休業手当として休業期間中の給与を全額支給し雇用調整助成金を受給しております。なお、介護保険サービスに従事する従業員の一部休業等については当該休業手当等の人件費を特別損失に「新型コロナウイルス感染症による損失」の科目にて計上しております。また、雇用調整助成金の支給決定通知を受領したものについてはこの休業手当に対応する金額を特別利益に、それ以外を営業外収益に、それぞれ「助成金収入」の科目にて計上しております。
以上の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績の状況は次のとおりとなりました。
a. 財政状態
当事業年度末における資産合計は2,346,627千円となり、前事業年度末に比べ112,317千円減少いたしました。当事業年度末における負債合計は1,329,118千円となり、前事業年度末に比べ277,159千円減少いたしました。当事業年度末における純資産は1,017,508千円となり、前事業年度末に比べ164,841千円増加いたしました。
b. 経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高が3,468,651千円(前期比3.0%減)となりました。また、営業利益は165,366千円(前期比23.6%減)、経常利益は249,992千円(前期比15.5%増)、当期純利益は150,110千円(前期比22.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(ヘルスケアソリューション事業)
レコードブック事業におきましては、当事業年度において短時間リハビリ型通所介護サービス(デイサービス)「レコードブック」のフランチャイズが10ヵ所増加しております。また、フランチャイズ加盟店4ヵ所を譲受け、1ヵ所を譲渡した結果、直営店が31ヵ所、フランチャイズが150ヵ所となりました。
そのほか、名古屋鉄道株式会社との合弁会社である株式会社名鉄ライフサポートが愛知県を中心に展開する「名鉄レコードブック」は、当事業年度末において21ヵ所となっております。
これにより、「レコードブック・ブランド」の店舗が合計で202店舗(前事業年度末は190店舗)となりました。
レコードブックの既存店舗では、感染防止や感染への不安などから外出の自粛等によりサービスの利用を控えられる利用者がほぼ全国的に一定割合で見られたことの影響を受け、利用者数は昨春の緊急事態宣言発出中を中心に減少し、減収となりました。一方で、顧客単価につきましては、2019年10月からの介護職員等特定処遇改善加算の取得等の影響に加え、新たに店舗で物販のテストを実施していること等により、前事業年度と比べ上昇いたしました。
また、フランチャイズにおいては総店舗数が前事業年度と比べて増加しており、フランチャイズからのロイヤルティ等による収入は増加いたしました。一方で、直近のこのような状況から、新規出店のための営業活動の制限や開業時期の後ろ倒しによる遅れなどの影響を受けたため、当事業年度における新規出店数は前事業年度と比べて減少したため、フランチャイズ全体としては減収となりました。
なお、上述のとおり従業員の一部休業に伴う人件費について、休業手当の一部を特別損失として計上しております。これらの結果、レコードブック事業全体として前事業年度と比べて売上高、営業利益は減少いたしました。
Webソリューション事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴い一定期間営業活動の制限、縮小を余儀なくされたため、新規案件の獲得は低調な推移となり、前事業年度と比べて売上高、営業利益は減少いたしました。
以上の結果、売上高は2,217,612千円(前期比5.9%減)、営業利益は351,804千円(前期比11.9%減)となりました。
(在宅サービス事業)
在宅サービス事業におきましては、主に通所介護事業が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、利用者数の減少はレコードブック事業と比較すると軽微に留まり、訪問介護事業では前事業年度の下期から取得している加算等の影響により顧客単価が上昇するなどしたため、在宅サービス事業全体として売上高は前事業年度と比べてやや増加いたしました。営業利益につきましても、売上の増加に加え、主に同じく人件費の一部を特別損失としたことにより増加いたしました。
この結果、売上高は1,251,038千円(前期比2.7%増)、営業利益は373,054千円(前期比11.1%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ84,993千円減少し、845,183千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は361,591千円(前事業年度は395,446千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益225,666千円、減価償却費138,581千円、預り金の増加額27,741千円などによる資金の増加が、法人税等の支払額113,594千円などによる資金の減少を上回ったことによるものであります。
減価償却費及び預り金の増加額は、いずれも主にレコードブック事業におけるフランチャイズ店舗の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は104,032千円(前事業年度は170,433千円の使用)となりました。これは主に、事業譲渡による収入17,550千円などによる資金の増加が、有形固定資産の取得による支出85,014千円、事業譲受による支出22,918千円などによる資金の減少を下回ったことによるものであります。
事業譲渡による収入は、レコードブック店舗の譲渡によるものであります。有形固定資産の取得は、主にレコードブック事業におけるフランチャイズ店舗の増加に伴う内装工事等の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は342,552千円(前事業年度は275,218千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入による収入240,000千円などによる資金の増加が、短期借入金の純減少額380,000千円、長期借入金の返済による支出192,939千円などによる資金の減少を下回ったことによるものであります。
長期借入による収入は、主に新型コロナウイルス感染拡大に備えて借り入れていた短期借入金の一部につき、経営の安定化を図るべく長期借入への借り換えを実行したことによるものであります。また、短期借入金の純減少額は、短期借入金にから長期借入金への借り換えを行ったこと、業績の回復を考慮して手元資金の調整を行ったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主要な販売先については、当社は一般個人を対象とした介護サービス事業が中心であり、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析及び検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りと異なることがあります。
なお、当社が財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針及び見積り及び新型コロナウイルス感染症による影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」及び「同 重要な会計上の見積り」に記載されたとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析・検討内容
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は1,533,184千円となり、前事業年度末に比べ95,109千円減少いたしました。その主な要因は、売掛金が14,247千円増加した一方、現金及び預金が84,993千円、貯蔵品が14,394千円減少したことによるものであります。
売掛金の増加は、主にレコードブック事業において、レコードブック直営店の増加などにより期末月の売上が増加したことによるものであります。貯蔵品の減少は、主にレコードブック事業における旧ユニフォーム在庫等の棚卸評価損の計上によるものであります。
(固定資産)
固定資産は813,442千円となり、前事業年度末に比べ17,207千円減少いたしました。その主な要因は、繰延税金資産が34,931千円増加した一方、建物(純額)が53,779千円減少したことによるものであります。
繰延税金資産の増加は、主に減価償却超過額等のスケジューリング可能な将来減算一時差異の増加によるものであります。建物(純額)の減少は、主にレコードブック事業における建物の減価償却費が取得額を上回ったことによるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は957,458千円となり、前事業年度末に比べ352,955千円減少いたしました。その主な要因は、預り金が49,761千円、未払金が18,944千円増加した一方、短期借入金が380,000千円、1年内返済長期借入金が27,535千円減少したことによるものであります。
預り金の増加は、主にレコードブック事業におけるフランチャイズ店舗増加に伴う介護報酬の預り金の増加によるものであります。未払金の増加は、主にレコードブック事業におけるフランチャイズ開業予定店舗において、当社が一時負担している内装工事費用の増加によるものであります。短期借入金の減少は、主に新型コロナウイルス感染拡大に備えて借り入れていた短期借入金の一部につき経営の安定化を図るべく長期借入金への借り換えを行ったこと、業績の回復を考慮して手元資金の調整を行ったこと等によるものであります。
(固定負債)
固定負債は371,660千円となり、前事業年度末に比べ75,796千円増加いたしました。その主な要因は、長期借入金が74,596千円増加したことによるものであります。
長期借入金の増加は、新型コロナウイルス感染拡大に備えて借り入れていた短期借入金の一部につき、経営の安定化を図るべく長期借入金への借り換えを行ったことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は1,017,508千円となり、前事業年度末に比べ164,841千円増加いたしました。その主な要因は、当期純利益の計上による増加150,110千円、及び譲渡制限付株式報酬としての自己株式処分に伴う自己株式の減少23,653千円によるものであります。
譲渡制限付株式報酬としての自己株式処分は、当社の取締役等を対象として、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを付与するとともに、株主の皆さまと一層の価値共有を進めることを目的に2020年7月に実施したものであります。
なお、セグメントごとの財政状態については、セグメントごとの資産及び負債の情報を経営資源の配分の決定及び業績を評価するための対象とはしていないため、記載しておりません。
b. 経営成績の分析・検討内容
(売上高)
当事業年度の売上高は3,468,651千円となり、前事業年度に比べ107,179千円減少いたしました。
これは、ヘルスケアソリューション事業における売上高が2,217,612千円(前期比5.9%減)であった一方で、在宅サービス事業の売上高が1,251,038千円(前期比2.7%増)であったことによるものであります。
ヘルスケアソリューション事業において売上高が減少した主な要因は、レコードブック事業において、新型コロナウイルス感染症の拡大により、前事業年度と比べ利用控え等により利用者数が減少したことや営業制限等により店舗の新規出店数が減少したことによるものであります。
在宅サービス事業において売上高が増加した主な要因は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた通所介護事業における利用者数の減少がレコードブック事業と比較して軽微だったことに加え、訪問介護事業では前事業年度の下期から取得している加算等の影響により顧客単価が上昇したことによるものであります。
(売上総利益)
当事業年度の売上原価は2,347,628千円となり、前事業年度に比べ13,841千円減少いたしました。
その主な要因は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、介護保険サービスに従事する従業員の一部休業等を実施し、支給した休業手当については特別損失として計上していることや、ヘルスケアソリューション事業においてレコードブックのフランチャイズ新規出店数が減少したこと等に伴う運動機器等の商品仕入高の減少によるものであります。
この結果、売上総利益は1,121,022千円(前期比7.7%減)となりました。
(営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は955,656千円となり、前事業年度に比べ42,123千円減少いたしました。
その主な要因は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、ヘルスケアソリューション事業においてレコードブックのフランチャイズ新規出店募集に係る広告宣伝費を抑制したことや、採用活動を見直したことにより新卒採用費用や中途採用の紹介料などの採用教育費が減少したことによるものであります。
この結果、営業利益は165,366千円(前期比23.6%減)となりました。
なお、セグメント別の利益につきましては、ヘルスケアソリューション事業が351,804千円(前期比11.9%減)となった一方で、在宅サービス事業は373,054千円(前期比11.1%増)、各報告セグメントに配分していない全社費用は559,492千円(前期比7.9%増)となりました。また、セグメント別の利益率につきましては、ヘルスケアソリューション事業が15.9%(前期比1.0ポイント減)、在宅サービス事業は29.8%(前期比2.2ポイント増)となりました。
(経常利益)
当事業年度の営業外収益は100,044千円となり、前事業年度に比べ88,011千円増加いたしました。
その主な要因は、従業員の一部休業等に伴い雇用調整助成金の受給を申請し、支給決定通知を受領したものについて助成金収入として計上したことによるものであります。なお、特別損失として計上している介護保険サービスに従事する従業員に対する休業手当等の人件費に対応する助成金収入は、特別利益に計上しております。
当事業年度の営業外費用は15,417千円となり、前事業年度に比べ3,223千円増加いたしました。
その主な要因は、フランチャイズ店舗の増加や借入金の増加に伴う支払利息や支払手数料の増加によるものであります。
この結果、経常利益は249,992千円(前期比15.5%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度の特別利益は76,110千円となり、前事業年度に比べ76,110千円増加いたしました。
その主な要因は、介護保険サービスに従事する従業員の一部休業に伴い雇用調整助成金の受給を申請し、支給決定通知を受領したものについて助成金収入として計上したことによるものであります。
当事業年度の特別損失は100,435千円となり、前事業年度に比べ74,853千円増加いたしました。
その主な要因は、介護保険サービスに従事する従業員の一部休業等について、当該休業手当等の人件費を新型コロナウイルス感染症による損失として計上したことによるものであります。
この結果、税引前当期純利益は225,666千円(前期比18.3%増)となりました。
また、法人税等合計は75,556千円(前期比10.3%増)となりました。
税効果会計適用後の法人税等の負担率については33.5%(前期と比べ2.4ポイント減)となり、前事業年度と比べ減少いたしました。その主な要因は、評価性引当額が減少したことによるものであります。
この結果、当期純利益は150,110千円(前期比22.7%増)となりました。
c. 経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社が今後更なる成長と発展を遂げ、より良いサービスを提供していくために、経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題に対処していくことが必要であると認識しております。
それらの課題に対応するために経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社の経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。
また、必要な人材を適時に採用すると同時に、教育研修に注力することで営業力の強化と企業規模の拡大に対応した内部管理体制の強化を図り、企業価値の更なる向上を目指して取り組んでまいります。
d. キャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、レコードブック等の店舗運営にかかる費用、販売費及び一般管理費等の営業費用、納税資金であります。店舗運営にかかる費用の内訳は、労務費、地代家賃、ソフト利用料及びリース料等であります。営業費用の内訳は、人件費、広告宣伝費及び地代家賃等であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、レコードブック等の店舗開発にかかる費用であります。この内訳は、内装工事費、運動機器等の工具、器具及び備品、差入保証金等であります。
資金調達につきましては、事業計画に基づき、主に内部資金及び金融機関からの借入等により調達しております。また機動的な資金確保のため、主要取引銀行と当座貸越契約を締結しております。なお、将来大規模な投資資金などの資金需要が発生した場合には、エクイティファイナンス等による調達手段を検討してまいります。
なお、株式会社フルケアの株式取得に必要な資金を手当てするため、2021年3月15日開催の取締役会決議に基づき株式会社みずほ銀行と金銭消費貸借契約を締結し、2021年4月に300百万円の借入を実行しております。
e.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、「健康な未来」というコーポレートスローガンのもと、「創意革新と挑戦による、超高齢社会における課題解決」をミッションと位置づけ、当社のヘルスケアプラットフォームを活用することで、高齢者の生活環境の整備や介護現場の情報整備をするとともに、高齢者の健康寿命の延伸に貢献したいと考えております。当該ミッションを果たすために、現状は、当社のコアコンピタンスである「レコードブック店舗ネットワーク」と「ケアマネジャーネットワーク」の2つのプラットフォームを活用したヘルスケアソリューションの開発に力を入れております。
「レコードブック店舗ネットワーク」においては、首都圏及び関西圏のみならず全国にレコードブック店舗ネットワークを拡大させたいと考えております。当事業年度末における店舗数は、直営店が31ヵ所、フランチャイズが150ヵ所、名古屋鉄道株式会社との合弁会社である株式会社名鉄ライフサポートが展開する「名鉄レコードブック」が21ヵ所、合計で202ヵ所となりました。「ケアマネジャーネットワーク」においては、介護が必要な高齢者と社会をつなぐインフラとしての役割をより一層拡大させることを目指しております。ケアマネジャー向けに運営している専門Webサイト「ケアマネジメント・オンライン」の当事業年度末における会員数は、約9万9千人となりました。
具体的な経営指標としては、ROE(自己資本利益率)や売上高営業利益率を高めていくことを目標としております。当事業年度のROEは16.1%(前期比1.4ポイント増)となりました。今後は、必要な成長投資を強化しつつ収益力を底上げすることによりROEを高めてまいりたいと考えております。当事業年度の売上高営業利益率は4.8%(前期比1.3ポイント減)となりました。今後は、高付加価値のサービス提供による効率的な利益の獲得により、売上高営業利益率の向上を目指してまいります。
将来的には、既存事業の更なる成長施策に加え、新規事業の立ち上げや、資本・業務提携を通じて、ヘルスケアソリューションを提供する会社として、企業価値の更なる拡大を図ってまいります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年4月、2021年1月と二度にわたり緊急事態宣言が発出され、企業収益や個人消費が大幅に落ち込むなど社会、経済活動は大幅に制限されました。緊急事態宣言の解除後は、各種政策の効果により一部では持ち直しの動きが見られたものの、新型コロナウイルスの感染状況は依然として予断を許さない状況となっており、経営環境は極めて厳しい状況で推移しました。また、世界経済に関しても、新型コロナウイルスの感染拡大は依然収束が見えず、先行きが極めて不透明な状況が続いております。
当社の事業に関わる高齢社会に関連する市場におきましても、特に高齢者は感染すると重症化しやすいとされていることもあり、外出を自粛されている利用者のサービスの利用控えなどによる影響を受けております。昨春の緊急事態宣言発出中に大きく落ち込んだ利用者数は、当事業年度末時点においても当該感染症の影響が見られる前の水準には至っておらず、今後も感染拡大の状況によってはこの影響が長引く可能性があります。しかしながら、中長期的には今後も高齢化率の上昇基調は変わらないことから、引き続きヘルスケアサービスの需要は高まっていくものと予想されております。
このような環境のもと、当社はこれまでに、顧客や従業員、その他関係者等の健康と安全を確保しつつ事業を継続していくため、顧客や従業員、その他関係者等の安全確保、感染防止を最優先に取組み、事業への影響を最小限に抑えるべく必要な対応を行ってまいりました。レコードブック等の各事業所においては、利用者やスタッフの健康管理の徹底を始めとして、いわゆる3密を避けるため、利用者同士、利用者とスタッフの距離を十分確保して運営するとともに、店舗や送迎車両の消毒、換気の強化等を実施してまいりました。また、主に本社勤務の従業員を対象として時差出勤や在宅勤務を導入するなどの対策の強化も進めてまいりました。加えて、売上の減少による損失を最小限にするため、業務改善を進めるとともに、従業員の計画的な休業等の実施やアフターコロナの生活スタイル変化を踏まえた営業手法の見直しなど、コストコントロールを積極的に実施することで利益の確保に努めてまいりました。
当社では、休業手当として休業期間中の給与を全額支給し雇用調整助成金を受給しております。なお、介護保険サービスに従事する従業員の一部休業等については当該休業手当等の人件費を特別損失に「新型コロナウイルス感染症による損失」の科目にて計上しております。また、雇用調整助成金の支給決定通知を受領したものについてはこの休業手当に対応する金額を特別利益に、それ以外を営業外収益に、それぞれ「助成金収入」の科目にて計上しております。
以上の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績の状況は次のとおりとなりました。
a. 財政状態
当事業年度末における資産合計は2,346,627千円となり、前事業年度末に比べ112,317千円減少いたしました。当事業年度末における負債合計は1,329,118千円となり、前事業年度末に比べ277,159千円減少いたしました。当事業年度末における純資産は1,017,508千円となり、前事業年度末に比べ164,841千円増加いたしました。
b. 経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高が3,468,651千円(前期比3.0%減)となりました。また、営業利益は165,366千円(前期比23.6%減)、経常利益は249,992千円(前期比15.5%増)、当期純利益は150,110千円(前期比22.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(ヘルスケアソリューション事業)
レコードブック事業におきましては、当事業年度において短時間リハビリ型通所介護サービス(デイサービス)「レコードブック」のフランチャイズが10ヵ所増加しております。また、フランチャイズ加盟店4ヵ所を譲受け、1ヵ所を譲渡した結果、直営店が31ヵ所、フランチャイズが150ヵ所となりました。
そのほか、名古屋鉄道株式会社との合弁会社である株式会社名鉄ライフサポートが愛知県を中心に展開する「名鉄レコードブック」は、当事業年度末において21ヵ所となっております。
これにより、「レコードブック・ブランド」の店舗が合計で202店舗(前事業年度末は190店舗)となりました。
レコードブックの既存店舗では、感染防止や感染への不安などから外出の自粛等によりサービスの利用を控えられる利用者がほぼ全国的に一定割合で見られたことの影響を受け、利用者数は昨春の緊急事態宣言発出中を中心に減少し、減収となりました。一方で、顧客単価につきましては、2019年10月からの介護職員等特定処遇改善加算の取得等の影響に加え、新たに店舗で物販のテストを実施していること等により、前事業年度と比べ上昇いたしました。
また、フランチャイズにおいては総店舗数が前事業年度と比べて増加しており、フランチャイズからのロイヤルティ等による収入は増加いたしました。一方で、直近のこのような状況から、新規出店のための営業活動の制限や開業時期の後ろ倒しによる遅れなどの影響を受けたため、当事業年度における新規出店数は前事業年度と比べて減少したため、フランチャイズ全体としては減収となりました。
なお、上述のとおり従業員の一部休業に伴う人件費について、休業手当の一部を特別損失として計上しております。これらの結果、レコードブック事業全体として前事業年度と比べて売上高、営業利益は減少いたしました。
Webソリューション事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴い一定期間営業活動の制限、縮小を余儀なくされたため、新規案件の獲得は低調な推移となり、前事業年度と比べて売上高、営業利益は減少いたしました。
以上の結果、売上高は2,217,612千円(前期比5.9%減)、営業利益は351,804千円(前期比11.9%減)となりました。
(在宅サービス事業)
在宅サービス事業におきましては、主に通所介護事業が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、利用者数の減少はレコードブック事業と比較すると軽微に留まり、訪問介護事業では前事業年度の下期から取得している加算等の影響により顧客単価が上昇するなどしたため、在宅サービス事業全体として売上高は前事業年度と比べてやや増加いたしました。営業利益につきましても、売上の増加に加え、主に同じく人件費の一部を特別損失としたことにより増加いたしました。
この結果、売上高は1,251,038千円(前期比2.7%増)、営業利益は373,054千円(前期比11.1%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ84,993千円減少し、845,183千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は361,591千円(前事業年度は395,446千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益225,666千円、減価償却費138,581千円、預り金の増加額27,741千円などによる資金の増加が、法人税等の支払額113,594千円などによる資金の減少を上回ったことによるものであります。
減価償却費及び預り金の増加額は、いずれも主にレコードブック事業におけるフランチャイズ店舗の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は104,032千円(前事業年度は170,433千円の使用)となりました。これは主に、事業譲渡による収入17,550千円などによる資金の増加が、有形固定資産の取得による支出85,014千円、事業譲受による支出22,918千円などによる資金の減少を下回ったことによるものであります。
事業譲渡による収入は、レコードブック店舗の譲渡によるものであります。有形固定資産の取得は、主にレコードブック事業におけるフランチャイズ店舗の増加に伴う内装工事等の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は342,552千円(前事業年度は275,218千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入による収入240,000千円などによる資金の増加が、短期借入金の純減少額380,000千円、長期借入金の返済による支出192,939千円などによる資金の減少を下回ったことによるものであります。
長期借入による収入は、主に新型コロナウイルス感染拡大に備えて借り入れていた短期借入金の一部につき、経営の安定化を図るべく長期借入への借り換えを実行したことによるものであります。また、短期借入金の純減少額は、短期借入金にから長期借入金への借り換えを行ったこと、業績の回復を考慮して手元資金の調整を行ったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
ヘルスケアソリューション事業(千円) | 2,217,612 | 94.1 |
在宅サービス事業(千円) | 1,251,038 | 102.7 |
合計(千円) | 3,468,651 | 97.0 |
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主要な販売先については、当社は一般個人を対象とした介護サービス事業が中心であり、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析及び検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りと異なることがあります。
なお、当社が財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針及び見積り及び新型コロナウイルス感染症による影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」及び「同 重要な会計上の見積り」に記載されたとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析・検討内容
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は1,533,184千円となり、前事業年度末に比べ95,109千円減少いたしました。その主な要因は、売掛金が14,247千円増加した一方、現金及び預金が84,993千円、貯蔵品が14,394千円減少したことによるものであります。
売掛金の増加は、主にレコードブック事業において、レコードブック直営店の増加などにより期末月の売上が増加したことによるものであります。貯蔵品の減少は、主にレコードブック事業における旧ユニフォーム在庫等の棚卸評価損の計上によるものであります。
(固定資産)
固定資産は813,442千円となり、前事業年度末に比べ17,207千円減少いたしました。その主な要因は、繰延税金資産が34,931千円増加した一方、建物(純額)が53,779千円減少したことによるものであります。
繰延税金資産の増加は、主に減価償却超過額等のスケジューリング可能な将来減算一時差異の増加によるものであります。建物(純額)の減少は、主にレコードブック事業における建物の減価償却費が取得額を上回ったことによるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は957,458千円となり、前事業年度末に比べ352,955千円減少いたしました。その主な要因は、預り金が49,761千円、未払金が18,944千円増加した一方、短期借入金が380,000千円、1年内返済長期借入金が27,535千円減少したことによるものであります。
預り金の増加は、主にレコードブック事業におけるフランチャイズ店舗増加に伴う介護報酬の預り金の増加によるものであります。未払金の増加は、主にレコードブック事業におけるフランチャイズ開業予定店舗において、当社が一時負担している内装工事費用の増加によるものであります。短期借入金の減少は、主に新型コロナウイルス感染拡大に備えて借り入れていた短期借入金の一部につき経営の安定化を図るべく長期借入金への借り換えを行ったこと、業績の回復を考慮して手元資金の調整を行ったこと等によるものであります。
(固定負債)
固定負債は371,660千円となり、前事業年度末に比べ75,796千円増加いたしました。その主な要因は、長期借入金が74,596千円増加したことによるものであります。
長期借入金の増加は、新型コロナウイルス感染拡大に備えて借り入れていた短期借入金の一部につき、経営の安定化を図るべく長期借入金への借り換えを行ったことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は1,017,508千円となり、前事業年度末に比べ164,841千円増加いたしました。その主な要因は、当期純利益の計上による増加150,110千円、及び譲渡制限付株式報酬としての自己株式処分に伴う自己株式の減少23,653千円によるものであります。
譲渡制限付株式報酬としての自己株式処分は、当社の取締役等を対象として、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを付与するとともに、株主の皆さまと一層の価値共有を進めることを目的に2020年7月に実施したものであります。
なお、セグメントごとの財政状態については、セグメントごとの資産及び負債の情報を経営資源の配分の決定及び業績を評価するための対象とはしていないため、記載しておりません。
b. 経営成績の分析・検討内容
(売上高)
当事業年度の売上高は3,468,651千円となり、前事業年度に比べ107,179千円減少いたしました。
これは、ヘルスケアソリューション事業における売上高が2,217,612千円(前期比5.9%減)であった一方で、在宅サービス事業の売上高が1,251,038千円(前期比2.7%増)であったことによるものであります。
ヘルスケアソリューション事業において売上高が減少した主な要因は、レコードブック事業において、新型コロナウイルス感染症の拡大により、前事業年度と比べ利用控え等により利用者数が減少したことや営業制限等により店舗の新規出店数が減少したことによるものであります。
在宅サービス事業において売上高が増加した主な要因は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた通所介護事業における利用者数の減少がレコードブック事業と比較して軽微だったことに加え、訪問介護事業では前事業年度の下期から取得している加算等の影響により顧客単価が上昇したことによるものであります。
(売上総利益)
当事業年度の売上原価は2,347,628千円となり、前事業年度に比べ13,841千円減少いたしました。
その主な要因は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、介護保険サービスに従事する従業員の一部休業等を実施し、支給した休業手当については特別損失として計上していることや、ヘルスケアソリューション事業においてレコードブックのフランチャイズ新規出店数が減少したこと等に伴う運動機器等の商品仕入高の減少によるものであります。
この結果、売上総利益は1,121,022千円(前期比7.7%減)となりました。
(営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は955,656千円となり、前事業年度に比べ42,123千円減少いたしました。
その主な要因は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、ヘルスケアソリューション事業においてレコードブックのフランチャイズ新規出店募集に係る広告宣伝費を抑制したことや、採用活動を見直したことにより新卒採用費用や中途採用の紹介料などの採用教育費が減少したことによるものであります。
この結果、営業利益は165,366千円(前期比23.6%減)となりました。
なお、セグメント別の利益につきましては、ヘルスケアソリューション事業が351,804千円(前期比11.9%減)となった一方で、在宅サービス事業は373,054千円(前期比11.1%増)、各報告セグメントに配分していない全社費用は559,492千円(前期比7.9%増)となりました。また、セグメント別の利益率につきましては、ヘルスケアソリューション事業が15.9%(前期比1.0ポイント減)、在宅サービス事業は29.8%(前期比2.2ポイント増)となりました。
(経常利益)
当事業年度の営業外収益は100,044千円となり、前事業年度に比べ88,011千円増加いたしました。
その主な要因は、従業員の一部休業等に伴い雇用調整助成金の受給を申請し、支給決定通知を受領したものについて助成金収入として計上したことによるものであります。なお、特別損失として計上している介護保険サービスに従事する従業員に対する休業手当等の人件費に対応する助成金収入は、特別利益に計上しております。
当事業年度の営業外費用は15,417千円となり、前事業年度に比べ3,223千円増加いたしました。
その主な要因は、フランチャイズ店舗の増加や借入金の増加に伴う支払利息や支払手数料の増加によるものであります。
この結果、経常利益は249,992千円(前期比15.5%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度の特別利益は76,110千円となり、前事業年度に比べ76,110千円増加いたしました。
その主な要因は、介護保険サービスに従事する従業員の一部休業に伴い雇用調整助成金の受給を申請し、支給決定通知を受領したものについて助成金収入として計上したことによるものであります。
当事業年度の特別損失は100,435千円となり、前事業年度に比べ74,853千円増加いたしました。
その主な要因は、介護保険サービスに従事する従業員の一部休業等について、当該休業手当等の人件費を新型コロナウイルス感染症による損失として計上したことによるものであります。
この結果、税引前当期純利益は225,666千円(前期比18.3%増)となりました。
また、法人税等合計は75,556千円(前期比10.3%増)となりました。
税効果会計適用後の法人税等の負担率については33.5%(前期と比べ2.4ポイント減)となり、前事業年度と比べ減少いたしました。その主な要因は、評価性引当額が減少したことによるものであります。
この結果、当期純利益は150,110千円(前期比22.7%増)となりました。
c. 経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社が今後更なる成長と発展を遂げ、より良いサービスを提供していくために、経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題に対処していくことが必要であると認識しております。
それらの課題に対応するために経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社の経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。
また、必要な人材を適時に採用すると同時に、教育研修に注力することで営業力の強化と企業規模の拡大に対応した内部管理体制の強化を図り、企業価値の更なる向上を目指して取り組んでまいります。
d. キャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、レコードブック等の店舗運営にかかる費用、販売費及び一般管理費等の営業費用、納税資金であります。店舗運営にかかる費用の内訳は、労務費、地代家賃、ソフト利用料及びリース料等であります。営業費用の内訳は、人件費、広告宣伝費及び地代家賃等であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、レコードブック等の店舗開発にかかる費用であります。この内訳は、内装工事費、運動機器等の工具、器具及び備品、差入保証金等であります。
資金調達につきましては、事業計画に基づき、主に内部資金及び金融機関からの借入等により調達しております。また機動的な資金確保のため、主要取引銀行と当座貸越契約を締結しております。なお、将来大規模な投資資金などの資金需要が発生した場合には、エクイティファイナンス等による調達手段を検討してまいります。
なお、株式会社フルケアの株式取得に必要な資金を手当てするため、2021年3月15日開催の取締役会決議に基づき株式会社みずほ銀行と金銭消費貸借契約を締結し、2021年4月に300百万円の借入を実行しております。
e.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、「健康な未来」というコーポレートスローガンのもと、「創意革新と挑戦による、超高齢社会における課題解決」をミッションと位置づけ、当社のヘルスケアプラットフォームを活用することで、高齢者の生活環境の整備や介護現場の情報整備をするとともに、高齢者の健康寿命の延伸に貢献したいと考えております。当該ミッションを果たすために、現状は、当社のコアコンピタンスである「レコードブック店舗ネットワーク」と「ケアマネジャーネットワーク」の2つのプラットフォームを活用したヘルスケアソリューションの開発に力を入れております。
「レコードブック店舗ネットワーク」においては、首都圏及び関西圏のみならず全国にレコードブック店舗ネットワークを拡大させたいと考えております。当事業年度末における店舗数は、直営店が31ヵ所、フランチャイズが150ヵ所、名古屋鉄道株式会社との合弁会社である株式会社名鉄ライフサポートが展開する「名鉄レコードブック」が21ヵ所、合計で202ヵ所となりました。「ケアマネジャーネットワーク」においては、介護が必要な高齢者と社会をつなぐインフラとしての役割をより一層拡大させることを目指しております。ケアマネジャー向けに運営している専門Webサイト「ケアマネジメント・オンライン」の当事業年度末における会員数は、約9万9千人となりました。
具体的な経営指標としては、ROE(自己資本利益率)や売上高営業利益率を高めていくことを目標としております。当事業年度のROEは16.1%(前期比1.4ポイント増)となりました。今後は、必要な成長投資を強化しつつ収益力を底上げすることによりROEを高めてまいりたいと考えております。当事業年度の売上高営業利益率は4.8%(前期比1.3ポイント減)となりました。今後は、高付加価値のサービス提供による効率的な利益の獲得により、売上高営業利益率の向上を目指してまいります。
将来的には、既存事業の更なる成長施策に加え、新規事業の立ち上げや、資本・業務提携を通じて、ヘルスケアソリューションを提供する会社として、企業価値の更なる拡大を図ってまいります。