有価証券報告書-第29期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
①財政状況及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済の状況は、減速感はありながらも、引き続き米国経済を中心に堅調でしたが、年明け以降の新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、グローバルなサプライチェーンの寸断、外出制限などによる様々な分野での需要の減退が生じ、また流行が終焉を迎えていないこともあり、景気の先行きは不透明な状況にあります。
当社の事業領域であるフィリピンは、国内外からの投資を背景にしたインフラストラクチャーの整備、世界経済の拡大を背景にした海外からの送金もあり引き続き高い成長を継続するという見方が中心でしたが、予算執行の遅れなどの影響もあり、2019年のフィリピンの国内総生産の成長率は、2018年の6.2%には及ばず、5.9%となりました。(2020年1月フィリピン共和国統計局発表)ただ東南アジア諸国の中では2019年は、引き続き高い経済成長をしておりました。
しかしフィリピン同様に、新型コロナウイルス感染症の流行が始まり、3月には外出制限、公共サービスなどを除いた事業者の営業停止などが行われております。すでに経済活動は再開しておりますが、引き続き感染者数が増加しており、今回の流行が与える将来への影響の見通すことは、難しい状況にあります。
当連結会計年度において、為替レートはおおむね安定的に推移しました。ドル円では期首における111円が期末には107円と円高傾向で推移し、フィリピンペソは期中を通じておおむね2.1円前後で推移いたしました。
当社の主要な事業領域である通信業界は、通信技術の発達による伝送速度の向上、動画配信サービス等の拡大によるデータ通信量の増加が見込まれることから、引き続き通信トラフィックの増加が見込まれます。今後は次世代移動通信(5G)の普及により、携帯端末と基地局との間の通信量が増加し、バックボーン回線についても需要が高まることが予想されます。当社でもこの事業年度に、5Gに用いる周波数を所管官庁から割り当てを受けておりますが、今後は5Gによって、IoTなどの新たな通信サービスの展開が求められております。
このような状況のもと、当社グループは収益の拡大を図るため、各事業において新規顧客の獲得及び既存顧客との取引拡大を積極的に推進しております。フィリピンでは子会社であるInfiniVAN, Inc.が、マニラ首都圏地域において法人向けインターネットサービスプロバイダー事業を拡大させておりますが、2019年12月には、主要な商業地域を結ぶ鉄道路線であるMRT3号線に光ファイバーを敷設し、インターネット接続サービスの提供地域の拡大を見込めるようにするとともに、この通信回線の共用を希望する事業者に対して、回線の一部を引き渡しました。今後も採算性が高く早期の投資回収が見込まれる案件への投資を積極的に行う方針です。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は6,508百万円(前期比12.6%増)、営業利益は1,070百万円(前期比13.2%増)、経常利益は1,075百万円(前期比7.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は645百万円(前期比9.7%増)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
(海外通信事業)
当連結会計年度では、マニラ周辺のケーブルテレビ事業者への提供が、契約期間1年の短期の国際回線のリースが中心となったこと、また高単価が見込まれる地方のケーブルテレビ事業者への供給に時間を要したことから売り上げは減少いたしました。しかし米国-マニラ間の国際通信回線など以前購入した回線の減価償却期間が経過したことから、収益率を改善させ、利益は微増になりました。
この結果、売上高は1,271百万円(前期比16.0%減)、セグメント利益は479百万円(前期比0.7%増)となりました。
(フィリピン国内通信事業)
当連結会計年度は、前年度に引き続きInfiniVAN, Inc.が、フィリピン国内外の企業の拠点が集まるマカティ市で法人向けインターネット接続サービスの積極的な営業活動を行い、獲得が進みました。2019年12月末におけるサービス提供先は815件、回線開通済み建物は162棟となりました。
マカティ市内の回線を他社からの供給に頼っているため、サービス開始に時間を要するケースが多いことから、2018年7月より自社での回線敷設を開始いたしました。
また、マニラ首都圏地域内の高架鉄道MRT3号線の高架上に設置したダクトの中に光ファイバを敷設し、他の商業地域にサービスを拡大するために利用します。また敷設した回線の一部をフィリピン最大のCATV事業者Sky Cable Corporationに対して長期リースを実施いたしました。
この結果、売上高は864百万円(前期比151.5%増)、セグメント利益は73百万円(前期比8,496.7%増)となりました。
(国内通信事業)
当連結会計年度における国内通信事業は、大手電気通信事業者が提供している着信課金サービス(フリーダイヤル)を大量に仕入れて、コールセンター事業者向けに秒単位で販売する秒課金サービスが、上場大手コールセンター事業者に採用されるなど、知名度が高まり順調に新規顧客を獲得できたほか、国際電話事業者向けに提供している通話サービスも好調でした。
この結果、売上高は3,303百万円(前期比14.1%増)、セグメント利益は338百万円(前期比26.1%増)となりました。
(在留フィリピン人関連事業)
当連結会計年度における在留フィリピン人関連事業は、人材派遣・紹介事業及び求人広告サービスを提供しておりましたが、主な対象である在留フィリピン人の平均年齢は上昇する傾向にあり、ここにフォーカスした人材事業を提供することは難しくなっております。それに加えて多くの求人が集まっていたホテルの客室清掃の業務が、インバウンド需要がなくなることで、当社が運営する広告媒体の収益も立ちにくくなりました。そのためこの3月末をもって、タガログ語新聞及び求人サイトの運営から撤退いたしました。
この結果、売上高は196百万円(前期比25.6%減)、セグメント利益については、厳しい人材採用環境の影響を受け人材派遣者数が低調に推移したことから、89百万円の損失(前期は40百万円の損失)となりました。
(医療・美容事業)
当連結会計年度は、Shinagawa Lasik & Aesthetics Center Corporationにおいて、近視矯正手術に加えて白内障手術を新たに開始し、売上・利益ともに好調に推移しました。最近は、施術数が頭打ちになったため、休日の施術のキャパシティを確保するため、3番目のクリニックを開設することといたしました。
積極的なプロモーションとその計数管理を行うことで、効率よく集客できるようになっております。
この結果、売上高は872百万円(前期比14.4%増)、セグメント利益は268百万円(前期比11.6%増)となりました。
また、財政状態は次のとおりであります。
(資産の状況)
当連結会計年度末の流動資産は5,121百万円となり、前連結会計年度末に比べ21百万円減少いたしました。これは主に、売掛金が63百万円、リース投資資産が83百万円それぞれ減少した一方で、その他に含まれる前渡金が141百万円、貸倒引当金が59百万円それぞれ増加したことによるものであります。また、固定資産は2,669百万円となり前連結会計年度末に比べ1,065百万円増加いたしました。これは主に、有形固定資産が868百万円、長期前払費用が129百万円それぞれ増加したことによるものであります。この結果、資産合計は7,790百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,044百万円増加いたしました。
(負債の状況)
当連結会計年度末の流動負債は2,445百万円となり、前連結会計年度末に比べ138百万円増加いたしました。これは主に、繰延延払利益が89百万円減少した一方で、短期借入金が100百万円、1年以内返済予定の長期借入金が43百万円、その他に含まれる未払費用が93百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債は629百万円となり、前連結会計年度末に比べ81百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が70百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は3,074百万円となり、前連結会計年度末に比べ56百万円増加いたしました。
(純資産の状況)
当連結会計年度末の純資産は4,715百万円となり、前連結会計年度末に比べ987百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益645百万円の計上により利益剰余金が同額増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は49.9%(前連結会計年度末は46.3%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,462百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動において獲得した資金は1,038百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,069百万円、法人税等の支払額381百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動において使用した資金は1,137百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,013百万円、長期前払費用の取得による支出120百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動において獲得した資金は196百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出326百万円があった一方、短期借入金の純増額100百万円、長期借入れによる収入300百万円、及び非支配株主からの払込みによる収入135百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当社の国内通信事業及び海外通信事業においては、提供するサービスの性質上、有形の物品ではなく無形の資産(通信回線の使用権)に対しての支払が原価の大部分を占めておりますため、これらを仕入と見做します。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 仕入高(千円) | 前年同期比(%) |
| 海外通信事業 | 804,296 | 103.3 |
| フィリピン国内通信事業 | 41,625 | 65.7 |
| 国内通信事業 | 2,351,853 | 113.3 |
| 在留フィリピン人関連事業 | 201,920 | 146.4 |
| 医療・美容事業 | 390,786 | 105.7 |
| 合計 | 3,790,483 | 110.6 |
(注) 1.セグメント間取引は相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは受注生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
| 海外通信事業 | 1,271,647 | 84.0 |
| フィリピン国内通信事業 | 864,441 | 251.5 |
| 国内通信事業 | 3,303,988 | 114.1 |
| 在留フィリピン人関連事業 | 196,504 | 74.4 |
| 医療・美容事業 | 872,322 | 114.4 |
| 合計 | 6,508,904 | 112.6 |
(注) 1.セグメント間取引は相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| 株式会社NTTドコモ | 1,075,507 | 18.3 | 1,263,641 | 19.4 |
| Sky Cable Corporation | 750,277 | 12.8 | - | - |
当連結会計年度のSky Cable Corporationに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
1)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、6,508百万円(前年同期比12.6%増)となりました。これは主に、国内通信事業の売上高3,303百万円(前年同期比14.1%増)、ならびに海外通信事業の売上高1,271百万円(前年同期比16.0%減)によるものであります。
(営業利益)
上記の結果、営業利益は1,070百万円(前年同期比13.2%増)となりました。これは主に、国内通信事業のセグメント利益が338百万円(前年同期比26.1%増)、ならびに海外通信事業のセグメント利益が479百万円(前年同期比0.7%増)となったことによるものであります。
(経常利益)
営業外収益として受取利息及び配当金を31百万円、営業外費用として為替差損を21百万円計上したことなどにより、経常利益は1,075百万円(前年同期比7.4%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税として344百万円、非支配株主に帰属する当期純利益として73百万円を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は645百万円(前年同期比9.7%増)となりました。
なお、セグメントの概況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
2)財政状態の分析
財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
国内通信事業が、コールセンター向けの電話サービスについて、競合事業者からの顧客獲得が進んだことや同サービスの認知度の向上により、大きな投資を伴わない形で、収益が拡大しております。
一方回線の敷設が必要な、フィリピン国内通信事業は、地方での回線敷設も増え、社内の多くのリソースを割く必要が出てきました。売上は、864百万円 セグメント利益は73百万円となりました。
これまで設備投資は、InfiniVAN社の現地資本に対する増資と手許資金で行ってまいりましたが、今後は、長期借入金を中心とした調達をすることを計画しております
3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末(投資活動によるキャッシュ・フロー)における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,462百万円となり、投資活動において使用した資金は1,137百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出1,013百万円、長期前払費用の取得による支出120百万円によるものであります。
当社グループは、今回取得した国際海底ケーブルを利用する通信トラフィックをフィリピン各地で獲得するため、今後も、フィリピン国内の通信回線設備の構築などの投資が必要となります。当社グループによる回線構築にあたっては、他の事業者と共用できるように事前に他の事業者と調整するなど、当社グループの負担額を抑えることに努めておりますが、当面の間は、投資の需要が大きいことが見込まれます。投資に振り向ける資金の調達は、営業キャッシュフロー、銀行からの長期借入金を充てることを想定しております。手許資金については、今後少なくなることが見込まれますが、銀行からの当座貸越枠の設定・拡大などを通じて対応していく計画です。
フィリピン国内の都市間中継回線・マニラ首都圏地域の設備投資が落ち着き、収益が安定したときは、手許資金を積極的に株主に還元していくことを予定しております。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
当社グループは、過去の実績や取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産、負債の帳簿価額及び収益、費用の全般に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
財政状態及び経営成績に関する以下の分析が行われております。なお、本項に記載した予想、見込み、見通し、方針等の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性があるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
②経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
③経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが今後も持続的に成長していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の構造や変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。
(3) 資金調達と資金の流動性についての分析
当社グループの資金調達は、金融機関からの借入による間接調達と資本市場からの調達による直接調達で構成されております。
長期運転資金及び設備投資資金については、営業活動より得られたキャッシュ・フロー、金融機関からの長期借入やリース、及び株式発行による直接調達を基本としております。
短期資金需要については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び当座貸越契約の融資枠の利用を含めた金融機関からの短期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は939百万円、現金及び現金同等物の残高は2,462百万円となりました。